JPH0512997A - 回転陽極型x線管の製造方法および製造装置 - Google Patents

回転陽極型x線管の製造方法および製造装置

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JPH0512997A
JPH0512997A JP3312190A JP31219091A JPH0512997A JP H0512997 A JPH0512997 A JP H0512997A JP 3312190 A JP3312190 A JP 3312190A JP 31219091 A JP31219091 A JP 31219091A JP H0512997 A JPH0512997 A JP H0512997A
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勝弘 小野
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弘行 杉浦
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隆幸 北見
Minoru Shida
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、軸受部を清浄化し液体金属潤滑
剤との濡れ性を良くしてこの潤滑剤を確実に軸受面に充
填できる回転陽極型X線管の製造方法およびその製造装
置を得ることを目的とする。 【構成】 この発明の製造方法は、軸受部回転体および
固定体の軸受部に液体金属潤滑剤を充填し、その後、こ
の軸受部を真空中で200℃以上の温度に加熱しながら
排気する工程を経ることを特徴とする。また製造装置
は、加熱手段を有する真空ベルジャと、軸受構成部材を
保持するとともに真空装置外からの制御により移動又は
相互締結する部品保持・制御装置と、上記真空ベルジャ
内に載置される軸受構成部材に金属潤滑剤を注入する潤
滑剤注入装置とを具備することを特徴とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転陽極型X線管の
製造方法、及びその実施に使用する製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、周知のように、軸
受部を有する回転体および固定体で円板状の陽極ターゲ
ットを支え、真空容器外に配置したステータの電磁コイ
ルを付勢し高速回転させながら、陰極から放出した電子
ビームを陽極ターゲット面上に当ててX線を放射する。
軸受部は、ボールベアリングのようなころがり軸受や、
軸受面にらせん溝を形成するとともにガリウム(G
a)、又はガリウム−インジウム−錫(Ga−In−S
n)合金のような液体金属潤滑剤を軸受間隙に満たした
動圧式すべり軸受で構成される。後者のすべり軸受を用
いた例は、たとえば特公昭60-21463号、特開昭60-97536
号、特開昭 60-117531号、特開昭 62-287555号、あるい
は特開平2-227948号の各公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に開示され
ている回転陽極型X線管では、らせん溝を有する動圧す
べり軸受部の相対向する軸受面が、例えば20マイクロ
メートル程度のわずかな軸受間隙を保つように構成さ
れ、らせん溝および軸受間隙に液体金属潤滑剤が詰めら
れる。この回転陽極構体を組立てる際、軸受部に空気が
残っていたり、あるいは構成部品や潤滑剤からガス放出
が起こると、軸受面が酸化して潤滑剤による濡れ状態が
劣化する。また、ガス気泡のために局部的に液体金属潤
滑剤の存在しない部分が生じてしまう。さらに、組立完
成後のX線管を実際に動作させ、使用した時には、軸受
部がおよそ200℃の最高温度に到達するが、このよう
な実動作時に軸受構成部材や潤滑剤からガス放出が起こ
る場合がある。このように、軸受部でガス放出が起こる
と、ガス気泡とともに潤滑剤の一部が軸受部から外部に
吹き出してしまうおそれがある。このような現象が生じ
ると、当然ながら、すべり軸受の長時間の安定な動圧軸
受作用が得られず、さらにX線管容器内空間に飛散した
液体金属潤滑剤により、耐電圧性能が著しく損なわれる
という致命的な障害をもたらす。
【0004】この発明は、以上のような不都合を解消
し、完成したX線管の軸受部や潤滑剤からのガスの発生
を抑制し、かつ液体金属潤滑剤の漏出を防止でき、安定
な軸受動作を維持することができる回転陽極型X線管の
製造方法、およびその製造方法の実施に直接使用する製
造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、回転体およ
び固定体の軸受部に液体金属潤滑剤を充填し、その後、
この軸受部を真空中で200℃以上の温度に加熱しなが
ら排気する工程を経る回転陽極型X線管の製造方法であ
る。
【0006】また、この製造方法を実施するための装置
は、加熱手段を有する真空ベルジャと、軸受構成部材を
保持するとともに真空装置外からの制御により移動又は
相互締結する部品保持・制御装置と、真空ベルジャ内に
載置される軸受構成部材に金属潤滑剤を注入する潤滑剤
注入装置とを具備することを特徴としている。
【0007】
【作用】この発明の製造方法によれば、軸受部あるいは
液体金属潤滑剤を清浄化できるとともにこれらから発生
するガスを除去して潤滑剤による軸受面の良好な濡れ状
態が得られる。そして、潤滑剤の漏出がほとんど起こら
ず、長期に安定な動圧式すべり軸受動作を維持する回転
陽極型X線管を得ることができる。また、この発明の装
置によれば、能率よく、完成後のX線管ではガス発生の
少ない液体金属潤滑すべり軸受部を組立てることができ
る。
【0008】
【実施例】以下その実施例を図面を参照して説明する。
なお同一部分は同一符号であらわす。図1乃至図3に示
す実施例は、次の構成を有する。すなわち、組立て完成
後のX線管は、図1に示すように、重金属からなる円盤
状陽極ターゲット11が有底円筒状の回転体12の一端に突
設された回転軸13にナット14により一体的に固定されて
いる。図には描いていないが、回転体12の外周部には強
磁性体円筒および高導電体円筒からなる二重のロータ円
筒が同軸的に嵌合固着されている。この回転体12の内側
には、円柱状の固定体15が挿入されている。固定体15の
図示下端部すなわち回転体開口部12a の近傍には、外径
が縮小された固定体径小部15a が形成されている。そし
て回転体開口部12a には、固定体径小部15a を近接して
包囲し、この開口部を実質的に閉塞するリング状の開口
部閉塞体16が複数個のボルト16a により固着されてい
る。固定体径小部15a には、これら回転体12および固定
体15を機械的に支える鉄材製の陽極支持部17がろう接に
より固着され、これはガラス製の真空容器18に気密接合
されている。
【0009】円筒状回転体12と固定体15との嵌合部分
は、前述の各公報に示されるような動圧式のすべり軸受
部19を構成している。そのため、固定体側のすべり軸受
面となる固定体外周壁及び両端壁には、前述の各公報に
記載されているようなヘリンボン・パターンのらせん溝
20、21がそれぞれ形成されている。これと対面する回転
体のすべり軸受面は、単なる平滑な面でもよく、あるい
は必要に応じてらせん溝を形成したものでもよい。これ
ら回転体及び固定体の両軸受面は、およそ20マイクロ
メートルの軸受間隙Gをもって対面するようになってい
る。開口部閉塞体16と固定体径小部15a との間には、固
定体径小部の一部が円周状に切削されて構成された円周
状の空胴26が設けられている。閉塞体円筒部16b は、内
側の固定体径小部15a との間にわずかな隙間Qをつく
り、内周面にスクリューポンプ溝28を有している。この
スクリューポンプ溝28と隙間Qとは、潤滑剤漏出防止手
段を構成している。円周状空胴26は、隙間Qの半径方向
寸法よりも十分大きい寸法を有している。
【0010】固定体15には、その中心部が軸方向に沿っ
てくり抜かれた孔からなる潤滑剤収容室22が設けられて
いる。この潤滑剤収容室22の図示上端開口22a は、図示
上部のらせん溝21をもつスラスト軸受部の軸受間隙Gに
連通している。また、この固定体15には、その中間部外
周壁がわずかにテーパ状に削られた径小部23が形成さ
れ、潤滑剤収容室22からこの径小部23に通じる3つの放
射方向通路24が 120度間隔で対称的に形成されている。
それによって、潤滑剤収容室22は放射方向通路24を経て
2組のラジアル軸受部のらせん溝20,20 をもつ軸受間隙
Gに連通している。さらに、中心の潤滑剤補給路22の図
示下端部22b には、円周状空胴26に通じる同じく3つの
放射方向通路27が 120度間隔で対称的に形成されてい
る。それにより、潤滑剤収容室22の図示下端部22b は、
放射方向の孔27および円周状空胴26を通して図示下部の
らせん溝21をもつスラスト軸受部の軸受間隙Gに連通し
ている。そして、らせん溝20、21を含む軸受部19、およ
びこれに連通する潤滑剤収容室22や放射方向通路24、径
小部23による空間には、図示しない液体金属潤滑剤が充
填されている。なお、放射方向通路27を形成しないで、
潤滑剤収容室22を途中で終端としてもよい。
【0011】この回転陽極型X線管の動作においては、
真空容器18の外側の回転体12に対応する位置に、図示し
ないステータ即ち電磁コイルを配置して回転磁界を生じ
させ、回転陽極を矢印Pの如く高速回転させる。液状に
なった金属潤滑剤は、すべり軸受部を十分満たし、円滑
な動圧軸受動作を可能にする。そしてこの液体金属潤滑
剤は、動作に伴う部分的な圧力差により、中心の潤滑剤
収容室、放射方向通路およびらせん溝を有する軸受間隙
を移動、循環して、安定な動圧軸受作用に供される。図
示しない陰極から放出された電子ビームが陽極ターゲッ
トに射突してX線を発生する。ターゲットに生じた熱
は、その多くが輻射により放散されるとともに、一部は
回転体12から軸受部19の液体金属潤滑剤を通り、固定体
15を経て外部に放散される。
【0012】そこで、この回転陽極構体の組立てにあた
っては、図2に示すように、加熱ヒータ31を有し、一部
に排気ポンプ32が接続された真空ベルジャ33の内部に、
各軸受構成部材を配置する。回転体12は、その開口部12
a が上に向けられて、保持台を兼ねる超音波振動器34の
上に載せられる。この真空ベルジャ33の内部には、固定
体15を上方に吊り下げて保持する固定体保持器35が設け
られ、これは固定体15を回転体の上方に位置決めして
吊り下げている。固定体の上方外周には、開口部閉塞体
16が図示しない保持体により保持されており、またそ
れを固定するための複数個のボルト16a が締結具36によ
って所定位置に位置決めされて保持されている。さらに
また、Ga合金のような液体金属潤滑剤を内蔵する潤滑
剤注入器37が設けられており、ベルジャ外の図示しない
制御装置によって図示のように注入ノズルの先端37a を
回転体開口部12a の内側に差し込み、所定量の潤滑剤を
回転体内部に注入できるようになっている。なお、図示
しないが、軸受構成部材12,15,…の温度を検出する温度
検出器が設けられている。
【0013】まず、同図に示すように各部品や制御装置
を配置し、排気ポンプ32によってベルジャ内を例えば1
-3Pa程度又はそれ以下の高真空にする。そして加熱
ヒータ31により少なくとも各軸受部材を200℃以上の
温度、例えば約450℃まで上昇させ、一定時間維持す
る。それによって、各部品、及び液体金属潤滑剤から内
蔵ガスが放出され、ポンプ32で排気される。この真空加
熱処理によって、各軸受部材は清浄化され、とくに軸受
面にこの軸受金属と潤滑剤との反応層がごく薄く形成さ
れて潤滑剤による軸受面の良好な濡れ状態が得られる。
次に、潤滑剤注入ノズル37a の先端を同図示のように回
転体開口部内に差し込み、所定値に計量された液体金属
潤滑剤を回転体内部に注入する。同図において、符号L
が注入された液体金属潤滑剤を示す。超音波振動によ
り、この液体金属潤滑剤Lの内部やそれと接触する回転
体内壁から出るガスは、ベルジャ内空間に効果的に出さ
れ、排気される。次に、ベルジャ外から制御装置を駆動
制御して、潤滑剤注入器37を元の位置に移動し、上方か
ら固定体15をゆっくり下降させて回転体12の内側に挿入
する。それによって、回転体の底部にある液体金属潤滑
剤Lは、両者の軸受間隙、固定体中心部の潤滑剤収容
室、及び放射方向通路内に流動して行く。そしてその
際、もし各部に残留した空気内蔵ガスが放出されて気泡
が生じた場合は、気泡が上方に移動して軸受部材外に排
出され、ポンプで排気される。それに置き換わって潤滑
剤が各部に浸透する。超音波振動は、このガスの排出お
よびこのガス気泡と潤滑剤との置換作用を一層増進す
る。
【0014】このように両者を嵌合した状態で、図3に
示すように、開口部閉塞体16を回転体開口部12a に適合
し、複数個のボルト16a を締結具36で締付けて固定す
る。この状態で引き続き真空中での加熱を続け、さらに
またそれに超音波振動を加え続けると、軸受部材および
潤滑剤からのガス抜きをより一層完全にできる。そし
て、所定時間真空加熱処理をした後、真空中で25℃程
度の室温まで徐冷する。こうして組立てられた軸受構造
体においては、液体金属潤滑剤がらせん溝を含む軸受間
隙及び潤滑剤収容室等に充填されるとともに軸受面が潤
滑剤でよく濡れた表面状態になる。したがって、潤滑剤
の軸受外への漏出も防止され、安定な動圧式すべり軸受
動作を有する回転陽極構体が得られる。
【0015】その後、回転軸13に陽極ターゲット11をナ
ット14で固定する。続いて、陽極支持部17をガラス真空
容器18の端部の金属リングに嵌めて気密溶接する。この
ようにX線管球であるガラス真空容器18の内部に陽極構
造体を組込み、X線管球の排気工程に移る。この排気工
程では、陽極ターゲットを3000rpm程度で連続回
転させながら電子衝撃あるいは高周波誘導加熱により例
えば450℃に加熱しつつ、各部品からガス放出させて
排気し、チップオフしてX線管を完成する。
【0016】なお、上記実施例で使用した潤滑剤注入器
を省略し、予め所定量の潤滑剤を回転体の内部空間に入
れておいてもよい。また、潤滑剤充填工程での軸受部の
最高加熱温度は、完成したX線管の実動作時における軸
受部の到達最高温度よりも高い温度に設定する。そのた
めに、上述のように200℃以上に設定するが、より好
ましくは300℃以上、700℃以下の範囲に設定す
る。それによって、完成したX線管の実動作時におい
て、軸受部や潤滑剤からガス放出が起こるおそれが少な
く、したがってガスと一緒に潤滑剤が軸受面から外部に
噴出するなどの不都合がほとんどなくなる。なお、この
真空加熱処理工程の温度は、軸受面の構成材料や潤滑剤
の材料、融点等により適切に設定する。また、この温度
を比較的低く設定した場合は処理時間を長くし、高い温
度に設定した場合は処理時間を比較的短くする。
【0017】あるいはまた、この潤滑剤充填工程での軸
受部の最高加熱温度は、この潤滑剤充填工程の後の製造
工程、例えば排気工程における軸受部の到達最高温度よ
りも高い温度に設定することが、より一層好ましい。
【0018】組立て方法の変形例として、次の工程を経
てもよい。すなわち、大気中で回転体12の軸受面、およ
び固定体15の軸受面にそれぞれ液体金属潤滑剤を塗布
し、また、回転体12の底部に液体金属潤滑剤Lを少量入
れる。その後、これら部材を図2に示すようにベルジャ
33の内部に入れて、このベルジャ内を真空にする。そし
て、高真空の状態で固定体15を回転体12の内部に挿入す
る。それによって、各軸受間隙や潤滑剤収容室22に液体
金属潤滑剤が流動して行く。このように組合わせてか
ら、加熱ヒータ31に通電して各部品を加熱しながらポン
プ32により引続き排気する。軸受部の温度を例えば45
0℃に保って約1時間保持する。それによって、軸受部
材や潤滑剤からのガス抜きおよび排気を行うとともに、
軸受面に潤滑剤との反応層をごく薄く形成して潤滑剤に
よる濡れ状態を完全にすることができる。その後、真空
状態で25℃程度の室温まで徐冷する。そしてこの組立
体をX線管の真空容器内に組込み、管球の排気工程を経
てX線管を完成する。
【0019】なお、固定体15を回転体12の内部に挿入し
た状態での真空状態、または上述のような条件の真空加
熱工程で、回転体又は固定体を例えば3000rpm程
度の回転数で回転させてもよい。それによって、ガス気
泡の排出やすべての軸受面の潤滑剤による濡れ状態をよ
り一層改善することができる。但し、この回転は断続的
に行ってもよい。それによって、回転時は潤滑剤の動圧
により軸受部からのガス排出がされないが停止時に軸受
部の一部にガス通路ができてガス排出がなされ、全体と
して軸受部からのガス抜きを確実に行うことができる。
この回転させる工程を経る場合は、回転に先立って各軸
受部すなわちらせん溝および軸受間隙に潤滑剤を満たし
ておくことが重要であり、上述のように固定体を回転体
の内部に挿入する前に各軸受面に予め潤滑剤を塗布して
おくことが望ましい。それによって、真空加熱状態でも
スムースに回転させることができる。
【0020】ところで、前述の実施例は円筒状の回転体
に陽極ターゲットを固定したものであるが、それに限ら
ず、図4に示すように、陽極ターゲットが一体結合され
て回転する円柱状の回転体12を回転中心軸上に配置した
ものにもこの発明を適用できる。すなわち、円柱状回転
体12の図示上部には、パイプ製の回転軸13が固着され、
それに陽極ターゲット11が固定されている。そして、回
転体12を包囲して有底円筒状の固定体15が設けられてい
る。この固定体15の図示上端開口部15b には、開口部閉
塞体16が複数個のボルト16a により締結されている。固
定体15の外周には、モータのロータ円筒として機能する
強磁性体円筒41およびその外側に嵌合された銅製の最外
側円筒42が同軸状に配置されている。なお、強磁性体円
筒41の上端部41a が回転軸13に機械的に強固に固着され
ている。開口部閉塞体16は、回転体12の上端面に接して
おり、その接触面にらせん溝21が形成されている。この
開口部閉塞体16の回転軸に近接する内周壁の下半部及び
回転体12の回転軸まわりに、円周状にくり抜かれた空胴
26が形成されている。この空胴26は、らせん溝21をもつ
軸受部19の軸受間隙Gの内端に連通して設けられてい
る。また、この空胴26から固定体外周壁と強磁性体円筒
内周壁との間の隙間を経て真空容器内空間に通じる途中
に、潤滑剤漏出防止のための微小隙間Q及び半径方向の
折返し部43が設けられている。なお、この折返し部43の
内面に、液体金属潤滑剤が付着して反応する被膜を形成
してもよい。それによって、万一この付近まで潤滑剤の
一部が漏れ出ても、折返し部43の内面に付着してそれよ
りも外部には漏出しない。
【0021】この回転陽極構体の組立てにあたっては、
図5に示すように、固定体15の開口部15b を上に向けて
真空ベルジャ33内の超音波振動器34上に載置する。この
固定体15の上方に、陽極ターゲットを固定しない状態の
回転体12、及び開口部閉塞体16、複数のボルト16a を位
置決めして吊り下げてある。真空ベルジャとは別に、液
体金属潤滑剤を真空熱処理するための潤滑剤前処理器45
が設けられている。この潤滑剤前処理器45は、加熱ヒー
タ46、真空ポンプ47、超音波振動器48、所定量の潤滑剤
を排出するための潤滑剤注入器37、および真空ベルジャ
内に伸縮するノズル37a を有している。
【0022】そこで、真空ベルジャ内を高真空にすると
ともに、加熱ヒータ31により各軸受構成部材を加熱して
内蔵ガスを放出させ、排気する。一方、潤滑剤前処理器
45の内部に貯蔵したGa合金のような液体金属潤滑剤
を、加熱ヒータ46および真空ポンプ47により、300℃
以上、例えば約450℃に加熱しながら真空に排気して
脱気する。その場合も、超音波振動器48により潤滑剤に
振動を加えて脱気を確実にする。その後、潤滑剤注入器
37およびノズル先端37a から高温のままの液体金属潤滑
剤Lを所定量だけ固定体15の内部に噴霧状にして注入す
る。そして、超音波振動器34で固定体15および潤滑剤を
振動させながら加熱、脱気する。その後、上方から回転
体12を下降させて固定体15の内側に挿入し、開口閉塞体
16を複数個のボルト16a で締結する。潤滑剤Lは、両者
の軸受隙間、及び潤滑剤収容室22内に染み込む。その
際、もし軸受部や潤滑剤収容室、潤滑剤にガスが発生し
た場合は、ガス気泡が軸受間隙を通って上方に移動し、
円周状空胴26に達し、そこで急激に圧力低下し、外部に
排出される。軸受間隙や潤滑剤収容室に生じた気泡に置
き換って潤滑剤が浸透する。この工程中も超音波振動を
続けることにより、ガスの排出と、潤滑剤の置換作用は
一層増進される。この処理を所定時間行った後、真空の
まま徐冷する。こうして、その後に軸受部材や潤滑剤か
らガスが発生するおそれが少なく、且つ潤滑剤が微小隙
間Qを経て真空容器内空間に漏出ことが抑制される。
【0023】なお、以上の実施例は液体金属潤滑剤を軸
受部に入れた状態で真空ベルジャ内で真空加熱処理を施
して、軸受部や潤滑剤からガス放出および軸受面の潤滑
剤による濡れを完全にするようにしたが、この真空加熱
処理をX線管球の排気工程で行ってもよい。すなわち、
軸受組立構造体への潤滑剤の充填を大気中又は真空中で
行い、その回転陽極構体をX線管球であるガラス真空容
器内に組込み、その後このX線管球の排気工程で陽極タ
ーゲットを3000rpm程度で連続回転または断続回
転させながら、このターゲットを電子ビーム衝撃又は高
周波誘導加熱により軸受部が200℃以上の温度、例え
ば250℃程度の温度になるように加熱しながら所定時
間排気し、軸受部からのガス抜きと軸受面への反応層の
形成、濡れ状態の確保を行ってもよい。それによって、
真空ベジャを使用しなくてもよく、製造工程を簡略化す
ることができる。
【0024】なおまた、金属潤滑剤は、Ga、Ga−I
n合金、あるいはGa−In−Sn合金のようなGaを
主体とするものが使用できるが、それに限らず、例えば
ビスマス(Bi)を相対的に多く含むBi−In−Pb
−Sn合金、あるいはInを相対的に多く含むIn−B
i合金、又はIn−Bi−Sn合金を使用し得る。これ
らは融点が室温以上であるので、陽極ターゲットを回転
させる前に金属潤滑剤をその融点以上の温度に予熱した
うえで回転させることが望ましい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の製造方法
によれば、X線管を完成する前に軸受部を清浄化できて
軸受面と潤滑剤との濡れ性のよい接触が得られるととも
に、軸受部あるいは潤滑剤内に生じるガスを確実に取り
除くことができる。また、ガス気泡と液体金属潤滑剤と
の置換を確実に得ることができる。したがって、安定な
動圧形すべり軸受動作を維持する回転陽極型X線管を得
ることができる。さらにまた、この発明の装置によれ
ば、各部材の真空加熱処理、潤滑剤の注入を能率よく行
うことができ、組立作業性が向上する。こうして、信頼
性の高い回転軸受部を組立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造対象となるX線管の構造を示す
縦断面図である。
【図2】この発明の一実施例を示す装置の概略図であ
る。
【図3】図2の後の組立工程における状態を示す要部縦
断面図である。
【図4】この発明の製造対象となるX線管の他の構造例
を示す縦断面図である。
【図5】図4のX線管の組立工程における状態を示す概
略縦断面図である。
【符号の説明】
11…陽極ターゲット、 12…回転体、 15…固定体、 18…真空容器、 19…すべり軸受部、 G…軸受間隙、 L…液体金属潤滑剤、 16…開口閉塞部、 31…加熱ヒータ、 32,47 …排気ポンプ、 33…真空ベルジャ、 34…超音波振動器(保持台) 35、36…部品保持・制御装置、 37…金属潤滑剤注入器、 45…潤滑剤前処理器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北見 隆幸 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須電子管工場内 (72)発明者 志田 稔 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須電子管工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極ターゲットが固定された回転体と、
    この回転体を回転可能に保持する固定体と、前記回転体
    および固定体の一部に設けられたらせん溝を有するすべ
    り軸受部と、このすべり軸受部の前記らせん溝を含む軸
    受間隙に充填された液体金属潤滑剤とを具備する回転陽
    極型X線管の製造方法において、 上記回転体および固定体の軸受部に液体金属潤滑剤を充
    填し、その後、この軸受部を真空中で200℃以上の温
    度に加熱しながら排気する工程を経ることを特徴とする
    回転陽極型X線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 液体金属潤滑剤を充填した軸受部を真空
    加熱しながら排気する工程での軸受部の最高加熱温度
    は、完成したX線管の実動作時における軸受部の到達最
    高温度よりも高い温度に設定して行う請求項1記載の回
    転陽極型X線管の製造方法。
  3. 【請求項3】 液体金属潤滑剤を充填した軸受部を真空
    加熱しながら排気する工程で、回転体又は固定体の一方
    を他方に対して回転させる請求項1記載の回転陽極型X
    線管の製造方法。
  4. 【請求項4】 潤滑剤充填工程の間またはその後に、回
    転体と固定体との組立体を真空中で超音波振動させる工
    程を経る請求項1記載の回転陽極型X線管の製造方法。
  5. 【請求項5】 予め300℃以上の温度に加熱して脱気
    した液体金属潤滑剤を、潤滑剤充填工程で軸受部に充填
    する請求項2,3または4に記載の回転陽極型X線管の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 加熱手段を有する真空ベルジャと、軸受
    構成部材を保持するとともに真空装置外からの制御によ
    り移動又は相互締結する部品保持・制御装置と、上記真
    空ベルジャ内に載置される軸受構成部材に金属潤滑剤を
    注入する潤滑剤注入装置とを具備してなる請求項1記載
    の回転陽極型X線管の製造方法を実施するための製造装
    置。
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