JP3410886B2 - 回転陽極型x線管 - Google Patents
回転陽極型x線管Info
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Description
管及びその製造方法に関する。
受を有する回転体および固定体で円盤状の陽極ターゲッ
トを支え、真空容器外に配置したステータの電磁コイル
を付勢し高速回転させながら、陰極から放出した電子ビ
ームを陽極ターゲット面上に当ててX線を放射させる。
軸受は、ボールベアリングのようなころがり軸受や、軸
受面に動圧発生用のらせん溝を形成するとともにガリウ
ム(Ga)、又はガリウム−インジウム−錫(Ga−I
n−Sn)合金のような液体金属潤滑剤を動圧発生用溝
及び軸受間隙に供給たした動圧式すべり軸受で構成され
る。
回転陽極型X線管は、例えば特公昭60−21463号
や、特開平2−244545号、特開平2−22794
7号、特開平2−227948号、特公平3−7761
7号、或いは特公平7−105885号の各公報等に開
示されている。また、その製造方法は、例えば特公平5
−12997号や特公平5−290734号公報等に開
示されている。
ている回転陽極型X線管及びその製造方法では、らせん
溝を有する動圧すべり軸受部の相嵌合する軸受面が、例
えば20μm程度の微小な軸受間隙を保つように構成さ
れ、らせん溝および軸受間隙に液体金属潤滑剤が充填さ
れる。この潤滑剤が軸受間隙の全体にくまなく行き渡た
らないと、当然のことながら、すべり軸受の動圧が十分
得られず、安定な動圧すべり軸受の動作が維持できなく
なる。そして、極端な場合は軸受面同士がかじり合いを
起こし、回転不能状態や破損を引き起こすおそれがあ
る。このような不都合な現象を未然に防止し、長時間の
動作でも軸受部に必要十分な量の液体金属潤滑剤が循環
等により供給されるようにするため、軸受部に連通する
潤滑剤収容室すなわちリザーバが設けられる。
体金属潤滑剤が、X線管の動作中はもちろん製造工程に
おいても真空容器の内部空間に漏れ出ないようにしなけ
ればならない。とくに、排気工程でX線管を構成する部
品や陽極構造体、或いは潤滑剤から十分にガスを放出さ
せて排気をする必要がある。そのためには、排気工程で
軸受やその付近からの放出ガスを潤滑剤の漏出を伴うこ
となく能率よく排出させることが必要である。また、排
気工程のある段階で、陽極ターゲットを回転させてター
ゲットに電子ビーム衝撃を与え、十分高い温度まで発熱
させて陽極ターゲットや軸受構成部材を含む各部材から
のガス放出を促す必要がある。
内部の放出ガスを、潤滑剤の漏出を伴うことなく能率よ
く排出するためには、陽極構造体にあるガス排出通路を
上方に向けてX線管を排気装置に取り付け、この状態で
排気を行うことが望ましい。ところがこの状態では、陽
極ターゲットを回転させる前の段階で、軸受を構成する
固定体と回転体との軸受面がこれら軸受面間に潤滑剤が
存在しないで部分的に密着することがある。
れに近い状態でX線管を固定すると、回転体や陽極ター
ゲットが重力のために回転中心軸に垂直な少なくとも一
方のスラストすべり軸受を構成する軸受面同士が密着し
た状態になる。潤滑剤が存在しないこの密着状態から回
転を始めると、スムースな回転駆動ができず、極端な場
合は軸受の破損を起こすおそれがある。
し、動圧式すべり軸受の軸受面や軸受間隙に液体金属潤
滑剤の供給を確実にでき、X線管の製造工程や実動作時
の陽極構造体の回転起動がスムースにできる回転陽極型
X線管、及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
り軸受の軸受面が金属母材に金、銀、銅、白金、ロジウ
ム、アンチモン、セリウム、タリウム、鉛の中から選択
された少なくとも1つの金属又は合金からなる軟金属被
覆層を有するとともに、母材とこの軟金属被覆層との間
にこれら母材と被覆層を構成する金属との相互拡散層が
形成されている回転陽極型X線管である。
べり軸受の軸受面を構成する金属母材の表面に金、銀、
銅、白金、ロジウム、アンチモン、セリウム、タリウ
ム、鉛の中から選択された少なくとも1つの金属を付着
させて軟金属被覆層を形成し、その後所定温度で熱処理
して母材と軟金属被覆層との間にこれら母材と軟金属被
覆層を構成する金属との相互拡散層を形成することを特
徴とする。
説明する。なお同一部分は同一符号であらわす。図1は
陽極構造体の各部品と組立構造、及び液体金属潤滑剤の
注入工程の状態をあらわしている。概略有底円筒状の回
転体12の一端に突設された回転軸13には、図5に符
号11であらわす重金属製円盤状陽極ターゲットが、同
じく符号14であらわすナットで固定されている。回転
体12は、鉄合金からなる内側円筒12a、及び銅から
なる外側円筒12bが二重に嵌合され接合固着されてい
る。この回転体の中心部に形成してある穴12dの内部
に、Ga−In−Sn合金からなる潤滑剤Lを所定量注
入する。この金属潤滑剤は融点が約16℃であり、注入
する室温で液体である。
穴12dに挿入する鉄合金製の概略円柱状固定体15
は、図示下方の径小部15aと、途中の径大部15b
と、図示上方の陽極支持部15cとを備えている。そし
て径小部15aの外周の軸受面には、前述の各公報に開
示されるものと同様の、ラジアルすべり軸受用の2組の
動圧発生用ヘリンホンパターンらせん溝16,17が形
成されている。また、固定体径大部15bの中心軸に垂
直な図示下側の軸受面には、一方のスラストすべり軸受
用のサークル状動圧発生用ヘリンホンパターンらせん溝
20が形成されている。
り軸受用らせん溝16,17の間の中間領域はやや細く
なっており、また、固定体15の中心軸部には、図5に
も示すように、軸方向に沿ってくり抜かれた直径が3m
mの穴からなる潤滑剤収容室31が設けられている。こ
の潤滑剤収容室31は、径小部の先端に開口31aがあ
り、また、中間部には潤滑剤収容室31から細い部分の
外周面に開口する4つの放射方向通路32が90度間隔
で対称的に形成されている。
の陽極支持部15cの外周面に開口する第1の通気孔3
3に連通している。この通気孔33は、直径が例えば
1.5mmで、その内部に図示しないロッドが挿入され
ている。このロッドは、モリブデンや銅、或いは鉄合金
のような、液体金属潤滑剤でよく濡れ且つ反応する材料
で形成され、通気孔33に密に嵌合する外径寸法になっ
ている。なおこのロッドには、外周壁の一部がわずかに
面取りされた切欠き部が形成され、これによって、通気
孔33の横断面積が実質的に狭められ、液体金属潤滑剤
の表面張力との兼ね合いでこの通気孔から潤滑剤が直接
漏出することが抑制される。なおロッドは、任意の材料
を芯としてその表面部に液体金属潤滑剤でよく濡れ且つ
反応する被膜が付着されたものであってもよい。
図3にも示すように、その外周壁面から内部の途中に向
かって各々独立して穿設された直径が3mmの穴からな
る3個の潤滑剤収容室35,36,37が形成されてい
る。3個の潤滑剤収容室35,36,37は、中心軸上
に形成された上述の潤滑剤収容室31を避けて延長され
互いに分離して構成されている。またこれら3個の潤滑
剤収容室35,36,37は、回転中心軸に垂直な面に
対して斜め方向に傾斜して穿設されている。すなわちこ
の実施例では、各潤滑剤収容室35,36,37の開口
35a,36a,37aが固定体の陽極支持部15cに
近い方に位置し、内部端35b,36b,37bが固定
体径小部15aの方に斜めに延長して形成されている。
は、各々の収容室の途中から陽極支持部15cの外周面
に開口するように斜めに形成された第2の各通気孔35
c,36c,37cにそれぞれ連通されている。これら
第2の通気孔は、やはり直径が例えば1.5mmで、第
1の潤滑剤収容室31やそれに連通する通気孔33を避
けて穿設されている。これら第2の通気孔の内部には、
やはり図示しないロッドがそれぞれ密に挿入されてい
る。これらロッドは、やはりモリブデンや銅、或いは鉄
合金のような、液体金属潤滑剤でよく濡れ且つ反応する
材料で形成され、通気孔に密に嵌合する外径寸法になっ
ている。これらロッドはまた、外周壁の一部がわずかに
面取りされて切欠き部が形成されていて、各通気孔の横
断面積を実質的に狭め、この通気孔から潤滑剤が直接漏
出することが抑制される。なお各ロッドは、やはり任意
の材料を芯としてその表面部に液体金属潤滑剤でよく濡
れ且つ反応する被膜が付着されたものであってもよい。
6,37の内部には、図示のように中心軸を鉛直に置い
てもその収容室から流出せず且つ通気孔35c,36
c.37cの収容室内の開口を塞がない範囲で可能な限
り多くの量の、上述と同様のGa合金からなる液体金属
潤滑剤Lを注入してある。
中心軸に垂直な他方のスラストすべり軸受用の平坦な軸
受面15dには、金(Au)と母材の鉄合金との相互拡
散層51を介してその上に厚さが約0.5μmの金(A
u)の軟金属被覆層52が付着されている。これらの層
を形成するには、まず鉄合金製の軸受母材15bの表面
にスパッタリング法により約0.8μmの厚さの金被膜
を付着する。そしてその後、母材と金被膜とを相互拡散
させる熱処理を施す。それによって、上記の二重の層が
相互に強い付着強度で形成された軸受面となる。しかも
この軸受面は、酸化しにくく且つGa合金からなる潤滑
剤との濡れ性が良好な表面状態が維持される。したがっ
て、製造過程での取扱いが容易でもある。
dに対面してスラスト軸受の軸受面を構成するように、
スラストリング21が用意されている。このスラストリ
ング21の軸受面には、図4に示すように、サークル状
の動圧発生用ヘリンホンパターンらせん溝22が形成さ
れている。そしてこのスラストリング21のらせん溝2
2を含む軸受面には、上記と同様に、金(Au)と母材
の鉄合金との相互拡散層53を介してその上に金(A
u)の軟金属被覆層54が付着されている。
体の陽極支持部15cを微小間隙を保って取り巻き液体
金属潤滑剤の漏出を防止するための短円筒部21aが一
体的に設けられている。なお、スラストリング21の外
周付近には、このスラストリングを回転体の開口端部1
2cにねじ止めするためのねじ挿通用の複数の孔21b
が形成されている。
には、同じく固定体の陽極支持部15cを微小間隙を保
ってとりまく半断面略クラクン状の第1潤滑剤トラップ
リング25が当てがわれ、その内側に第1の潤滑剤トラ
ップ空胴39が構成されている。これらスラストリング
21、第1潤滑剤トラップリング25は、上述のように
回転体の開口端部12cに一体的にねじ止め固定され
る。
ないが、ラストリング21及び第1潤滑剤トラップリン
グ25の図示上方に適合させる封止用補助リング26を
用意する。この封止用補助リング26は、固定体の陽極
支持部15cの外周にきつく嵌合させて気密溶接するも
のである。そしてこの封止用補助リング26には、液体
金属潤滑剤の外部漏出を防止するための第2の潤滑剤ト
ラップリング29が予め固着されており、その内側に第
2の潤滑剤トラップ空胴40が構成されている。なお、
第2潤滑剤トラップ空胴40は、第1潤滑剤トラップリ
ング25の短円筒部の外周との間に円周状の微小間隙G
1を介して真空容器の内部空間に連通するようになって
いる。
を注入した後、これら部材を真空ベルジャ内で必要によ
り加熱しながらガス抜きをし、次いで、固定体15を回
転体12の中心部の穴12dに上方からゆっくり挿入す
る。それによって、回転体の内側に注入した潤滑剤L
は、ラジアル軸受部分や中心軸上の潤滑剤収容室31、
放射方向通路32、或いは固定体と回転体との間にでき
る空間や軸受間隙に流動する。
cの内側空所に合致させた後、スラストリング21及び
第1潤滑剤トラップリング25を嵌め、これらを回転体
開口部12cにねじ止めする。それによって、固定体径
大部21は、ねじ止めされた回転体内側円筒とスラスト
リングとで挾持され、2つのスラスト軸受面が相互に適
合される。それによって、回転体の高速回転時にこれら
2つのスラスト軸受の軸受面間に、およそ20〜30μ
mの軸受間隙ができるようになる。
体をその中心軸を図示のように鉛直に維持したまま真空
ベルジャ外に取り出し、第2潤滑剤トラップリング29
が予め固着されている封止用補助リング26を固定体の
陽極支持部の外周に嵌合し、図5に符号Bmで示すよう
に真空気密に溶接する。さらにこの組立構造体を真空容
器27の内部の所定位置に挿入し、真空容器の封着用金
属リング28と封止用補助リング26との薄肉先端部を
合致させ、符号Bnで示すように真空気密に溶接する。
この状態では、各潤滑剤収容室内の液体金属潤滑剤Lの
各喫水線Ha,Hbは、図示のようにそれぞれの潤滑剤
収容室の途中の位置になる。なお、図5に示す符号1
8,19は固定体径小部と回転体との間に構成された動
圧式のラジアルすべり軸受、23,24は固定体径大部
とスラストリングを含む回転体との間に構成された動圧
式のスラストすべり軸受、Sa,Sb,Scはそれぞれ
固定体と回転体との間に形成される内部空間をあらわし
ている。
cを上方に向けて回転軸を鉛直にした状態で図示しない
排気装置に取り付け、真空容器の陰極構体61が支持さ
れた図示下方にある排気管62から図示しない真空ポン
プで排気を行う。この排気工程では、図示しないガスバ
ーナ又は加熱ヒータ、高周波誘導加熱装置などにより、
真空容器や管内部品からガスを放出させ、真空ポンプで
排気する。
回転体は、固定体に対して自重により吊り下げられた状
態になる。この状態のスラスト軸受の近傍を図7に一部
を拡大して示す。回転体の一部わ構成するスラストリン
グ21は、上述のように固定体である径大部15bに対
して自重で下方に押し付けられている。そのため、固定
体径大部15bの上側のスラスト軸受面15dと、スラ
ストリング21のらせん溝22がある軸受面は、互いに
密着している。つまり、両軸受面の軟金属被覆層52,
54は互いに密接している。そのため、内部の軸受部分
や潤滑剤収容室内で発生するガスは、このスラスト軸受
24を通過せず、各潤滑剤収容室から第2潤滑剤トラッ
プ空胴40に向けて開口して形成されている各通気孔3
3,35c,36c,37c、並びに間隙G1を通過し
て能率よく真空容器の内部空間に排出され、真空ポンプ
で外部に排出される。なお、同図に示す符号G2,G3
は固定体陽極支持部とスラストリング及び第1トラップ
リングとの間にできる潤滑剤漏れ防止用の微小間隙をあ
らわしている。
の加熱制御を行い排気をする。次に、ステータコイルを
配置して回転体及びそれに固定された陽極ターゲットを
回転させ、陰極から電子ビームを放出させてターゲット
に電子ビーム衝撃を行い、陽極各部を加熱してガス放出
させ、排気を行う。この状態での排気工程では、回転体
の全荷重が上方のスラスト軸受24にかかっている。こ
のスラスト軸受24の両軸受面は、回転始動前には上述
のように密接しているが、密接し合っている面は金から
なる軟金属被覆層であり、これらの軟金属被覆層が実質
的に潤滑剤の役割をするので、回転体の回転はかみつき
等を起こすことなく容易に始動及び維持される。そし
て、陽極ターゲットへの電子ビーム衝撃時の陽極回転数
は、1000rpm未満でよいため、このように陽極支
持部を上向きすなわち回転軸を鉛直方向に据えたまま
で、必要十分な排気を行うことができる。
倒しにすれば、潤滑剤収容室等に注入してある液体金属
潤滑剤は、すべての軸受部分のらせん溝や軸受間隙、潤
滑剤通路、或いは内部の空間に流動してゆきわたる。軟
金属被覆層を付着してあるスラスト軸受24の軸受面
は、酸化層がなく、Ga合金からなる潤滑剤と確実容易
に濡れ、潤滑剤の良好な機能を発揮する。したがって、
軸受の破損は皆無であり、安定した軸受性能を有する回
転陽極型X線管が得られる。
孔は、上述のように潤滑剤を通過させない狭い寸法にな
っているので、X線管の回転軸がどの方向に向けられて
も潤滑剤収容室から潤滑剤が真空容器の内部空間に漏出
することがない。また、エージング工程等を経るなか
で、各潤滑剤収容室から通気孔に入り込む一部の潤滑剤
は、通気孔の内壁、或いは、ロッドがある場合にはこの
ロッドの表面に付着して徐々に反応が進行し、反応物の
堆積で通気孔が密閉される。このように各通気孔が閉塞
されると、それによってX線管の動作中に潤滑剤収容室
から通気孔を経て液体金属潤滑剤が直接漏出することが
確実に防止される。
剤の供給から排気工程までの間に縦向きすなわち陽極支
持部を上方に向けたまま取り扱う製造方法であるが、そ
れに限らず、回転軸を一旦横向きにした後に図6に示す
ように縦向きにして排気を行う方法であってもよい。回
転軸を一旦横向きにすると、とくにスラスト軸受の部分
では、図8に示すように、固定体径大部15bに形成し
た潤滑剤収容室のうちの開口が下向きに位置する収容室
35から、潤滑剤Lが空間Scを経てスラスト軸受2
3,24の軸受間隙内に流動する。なお、X線管を横倒
しのまま固定体径大部に形成したすべての潤滑剤収容室
が順次下向きになるように回せば、スラスト軸受間隙の
全体に確実に潤滑剤が供給される。
縦向きに設置して排気を行えば、回転構造体の全荷重が
加わるスラスト軸受24の両軸受面間に既に液体金属潤
滑剤が介在しているので、陽極ターゲットを比較的高速
で回転させて電子ビーム衝撃を支障なく行うことができ
る。
流動したGa合金潤滑剤は、室温でも比較的速やかに軟
金属被覆層を濡らし、毛細管現象によりこの軸受間隙内
及びらせん溝内にゆきわたる。なお、空気中でこの操作
を行っても、軟金属被覆層及び潤滑剤の表面の酸化はほ
とんどなく、両者の濡れは支障なく進行する。また、軟
金属被覆層は母材との間の相互拡散層で母材に強固付着
しているので、製造過程やX線管の動作中に剥離を起こ
すこともなく、信頼性が高い。
の上部のスラスト軸受面に補助潤滑剤収容室71を形成
したものである。この補助潤滑剤収容室71は、円周方
向に1個又は複数個形成した小さい凹部で構成してあ
る。そして、この補助潤滑剤収容室71を含む軸受面及
び固定体外周面に、相互拡散層51及び軟金属被覆層5
2を形成してある。この補助潤滑剤収容室71の内部に
液体金属潤滑剤Lを予め入れて組み立てる。
の荷重がかかるスラスト軸受面に、補助潤滑剤収容室7
1の内部の液体金属潤滑剤Lが流動してこの軸受面を濡
らすので、初期の回転が一層確実容易に行える。
材料及び軟金属被覆層の材料は、上記の金に限らず、
銀、銅、白金、ロジウム、アンチモン、セリウム、タリ
ウム、或いは鉛の中から選択された少なくとも1つの金
属が適する。このような金属材料は、それ自体が軟質で
あり潤滑剤として機能するとともに、GaやGa合金の
ような金属潤滑剤でよく濡れるので、上記のような排気
工程でスムースの回転起動させることができる。これら
の中でも、ビッカース硬度が50以下の材料が望まし
い。また、金、銀、銅、白金、ロジウム、アンチモンが
とくに実用性にすぐれている。
もX線管の動作中は液状である金属潤滑剤を構成する金
属、例えばGa,In,Sn,又はBiのような金属元
素の少なくとも1つを付着させてもよい。また、軸受面
上に形成した軟金属被覆層の上に、潤滑剤注入工程の前
に液体金属潤滑剤を小量滴下して濡らし、その後軸受構
成部材を組立てもよい。また、軟金属被覆層を付着する
方法は、スパッタリング法に限らず、めっき法や他の公
知の薄膜形成方法を採用することができる。
は、排気工程で回転体の荷重が加わるスラスト軸受面に
付着することを必須とし、他の軸受面又は固定体と回転
体との嵌合面の潤滑剤が供給される全面に付着してもよ
い。
は、上記の各軸受部分や軸受間隙、潤滑剤収容室、放射
方向通路、及び各内部空間を含む空間容積の20%乃至
80%の範囲、例えばおよそ50%の相当する体積の量
である。また、金属潤滑剤は、Ga、Ga−In合金、
あるいはGa−In−Sn合金のようなGaを主体とす
るものが使用できるが、それに限らず、例えばビスマス
(Bi)を相対的に多く含むBi−In−Pb−Sn合
金、あるいはInを相対的に多く含むIn−Bi合金、
又はIn−Bi−Sn合金を使用し得る。これらは融点
が室温以上であるので、陽極ターゲットを回転させる前
に金属潤滑剤をその融点以上の温度に予熱したうえで回
転させることが望ましい。
X線管の製造工程及び実使用時の陽極構造体の回転起動
がスムースにでき、軸受性能のすぐれた回転陽極型X線
管が得られる。
部分解縦断面図。
面図。
す要部縦断面図。
図。
Claims (4)
- 【請求項1】 概略円柱状の固定体と、この固定体の外
周に嵌合され且つ一部に陽極ターゲットが固定された概
略円筒状の回転体と、上記固定体及び回転体間に構成さ
れた動圧式すべり軸受と、上記すべり軸受の軸受面に供
給された少なくとも動作中は液状である金属潤滑剤とを
具備する回転陽極型X線管において、上記すべり軸受の
軸受面は金属母材に金、銀、銅、白金、ロジウム、アン
チモン、セリウム、タリウム、鉛の中から選択された少
なくとも1つの金属又は合金からなり前記金属潤滑剤と
容易に濡れる軟金属被覆層を有するとともに、前記母材
と前記軟金属被覆層との間にこれら母材と被覆層を構成
する金属との相互拡散層が形成されていることを特徴と
する回転陽極型X線管。 - 【請求項2】 上記軟金属被覆層は、ビッカ−ス硬度が
50以下の材料である請求項1記載の回転陽極型X線
管。 - 【請求項3】 上記軟金属被覆層の表面部に、該被覆層
の材料と上記金属潤滑剤を構成する材料の中から選択さ
れた少なくとも1つの材料との相互拡散層が形成されて
いる請求項1記載の回転陽極型X線管。 - 【請求項4】 上記すべり軸受の軸受面を構成する金属
母材は、鉄又は高速度工具鋼の如き鉄合金である請求項
1記載の回転陽極型X線管。
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JPH09161699A JPH09161699A (ja) | 1997-06-20 |
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JP2693369B2 (ja) * | 1993-12-28 | 1997-12-24 | 大同メタル工業株式会社 | 多層構造エンドベアリング及びその製造方法 |
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