JP2003203590A - 回転陽極型x線管 - Google Patents

回転陽極型x線管

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JP2003203590A
JP2003203590A JP2002294568A JP2002294568A JP2003203590A JP 2003203590 A JP2003203590 A JP 2003203590A JP 2002294568 A JP2002294568 A JP 2002294568A JP 2002294568 A JP2002294568 A JP 2002294568A JP 2003203590 A JP2003203590 A JP 2003203590A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受部分の温度上昇を抑え、長期にわたり安
定な回転特性を維持できる回転陽極型X線管を提供する
こと。 【解決手段】 真空容器11内に配置された陽極ターゲ
ット14と、この陽極ターゲット14と一体に回転する
回転体17と、この回転体17と嵌合する嵌合部分の所
定領域に動圧式すべり軸受Ra、Rbが設けられている
固定体20とを具備した回転陽極型X線管において、動
圧式すべり軸受Ra、Rbが設けられている所定領域を
除いた回転体17と固定体20の嵌合部分の逃げ部25
に、液体金属潤滑材に浸漬した円筒スリーブ26を設け
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は回転陽極型X線管
に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、真空容器内に陽極
ターゲットを配置し、高速回転する陽極ターゲットに対
して電子ビームを照射し、陽極ターゲットからX線を放
出させる電子管で、医療用診断装置などのX線源として
利用されている。
【0003】ここで、従来の回転陽極型X線管につい
て、その主要部を断面で示した図8を参照して説明す
る。収容容器71内に回転陽極型X線管72およびステ
ータコイル73などが配置されている。回転陽極型X線
管72は真空容器74などから構成されている。
【0004】真空容器74は、外径が大きい接地側容器
74aおよびこれよりも外径が小さい陽極側容器74b
などから構成されている。接地側容器74aはたとえば
金属で形成され、陽極側容器74bはたとえばガラスで
形成されている。真空容器74の図示下端は接合リング
75および封止リング76によって気密に封止されてい
る。接地側容器74a内に陽極ターゲット77が配置さ
れている。
【0005】陽極ターゲット77は固定ねじ78で継手
部79に固定され、継手部79は回転体80に連結され
ている。回転体80はたとえば3つの回転円筒からなる
3層構造で構成され、回転体80の図示下端の開口はス
ラストリング81で封止されている。また、回転体80
およびスラストリング81で囲まれた内側空間に円柱状
の固定体82が嵌合されている。
【0006】固定体82の下端82aはスラストリング
81および封止リング76を順に貫通し、真空容器74
の外側まで伸び、収容容器71に固定されている。たと
えば、収容容器71に保持部材83が固定され、保持部
材83に金属リング84が固定され、この金属リング8
4に固定体82の下端82aがねじ85で固定されてい
る。
【0007】固定体82の外周面にらせん溝86a、8
6bがそれぞれ対に形成されている。らせん溝86a、
86bなどの部分に液体金属潤滑材たとえばGa−In
−Sn合金が送り込まれ、ラジアル方向の動圧式すべり
軸受が形成されている。また、固定体82の図示上側の
端面およびスラストリング81と対向する固定体82の
段差面にもらせん溝(図示せず)が形成され、これらの
らせん溝などの部分に液体金属潤滑材が送り込まれ、ス
ラスト方向の動圧式すべり軸受87a、87bが形成さ
れている。
【0008】また、保持部材83などに絶縁冷却油の循
環用孔88が形成され、保持部材83に近い収容容器7
1の部分に絶縁媒体を供給する供給口89が設けられて
いる。この場合、供給口89から供給される絶縁媒体
は、たとえば矢印Yで示すように流れ、回転陽極型X線
管を構成する真空容器74と収容容器71との間隙に送
り込まれる。
【0009】上記した構成において、ステータコイル7
3に電流を流して回転磁界を発生させる。この回転磁界
で回転体80が回転し、陽極ターゲット77が回転す
る。陽極ターゲット77が回転する状態で陽極ターゲッ
ト77に電子ビームが照射され、陽極ターゲット77か
らX線が放出する。このX線はX線放射窓90を通して
外部に取り出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】回転陽極型X線管が動
作状態に入ると、電子ビームの照射で陽極ターゲットの
温度が上昇する。陽極ターゲットの熱の多くは表面から
輻射され、たとえば真空容器の金属部分に到達し、真空
容器の外壁面に沿って流れる絶縁油に伝導し放散され
る。陽極ターゲットの熱の一部および軸受部分に発生す
る自己発熱は固定体に伝達し、真空容器外に伸びた固定
体の端部などから管外に放散される。
【0011】ところで、回転陽極型X線管に動圧式すべ
り軸受を用いる場合、動圧式すべり軸受が設けられる回
転体と固定体の嵌合部分に液体金属潤滑材が供給され
る。液体金属潤滑材は活性があるため、軸受部分の温度
が上昇すると、軸受面を構成する固定体や回転体の材料
と液体金属潤滑材が反応する。その結果、軸受面上に金
属間化合物層が堆積して軸受隙間が減少し回転特性を劣
化させる。
【0012】また、動圧式すべり軸受を用いる場合、た
とえば、ラジアル方向の動圧式すべり軸受が管軸方向に
離れた2つの領域に設けられる。そして、2つの動圧式
すべり軸受で挟まれた領域に、回転体および固定体の嵌
合部分の隙間が軸受部分よりも大きく、軸受としてほと
んど機能しない非軸受部分(以下、逃げ部と称する)が
設けられる。
【0013】逃げ部は液体金属潤滑材の貯蔵部として機
能し、液体金属潤滑材が満たされている。そのため、回
転体が高速で回転すると、逃げ部の液体金属潤滑材がそ
の粘性で発熱する。これまでは、回転体の回転速度が比
較的低いため逃げ部の発熱は問題になっていない。しか
し、回転陽極型X線管を高性能化するために、回転体の
回転速度が高くなると、逃げ部における液体金属潤滑材
の発熱が無視できなくなる。
【0014】たとえば回転体が低速で回転する場合、液
体金属潤滑材の流れはほぼ層流状態で、その発熱パワー
Pは回転体と固定体間の隙間の大きさGにほぼ反比例
し、回転数Nのほぼ2乗に比例する。高速で回転する場
合は、液体金属潤滑材の流れはほとんど乱流状態とな
り、層流の場合に比べ発熱パワーPが大きくなる。発熱
パワーPは回転数Nの3〜3.5乗に比例する。また、
層流から乱流に遷移する回転数は隙間Gにほぼ反比例す
る。
【0015】したがって、回転数Nを徐々に上げていく
と、回転数Nが小さい間は軸受部および逃げ部ともほぼ
層流状態で、隙間の大きさGが大きい部分の発熱は無視
できる。回転数がさらに上がると、隙間の大きさGが大
きい方が先に低速時から乱流に遷移する。したがって、
回転数Nの増加に伴い隙間の大きさGが大きい部分たと
えば逃げ部の発熱が相対的に増大する。
【0016】ここで、軸受部や逃げ部の発熱に対する発
明者の実験結果について述べる。この実験は、軸受部の
隙間の大きさG1が10μm、逃げ部の隙間の大きさG
2が40μm、固定体の直径φが40mmで、各隙間に
液体金属潤滑材が満たされている場合である。
【0017】回転体の回転速度が50rpsと低速の場
合、逃げ部の発熱パワーP2と軸受部の発熱パワーP1
との比P2/P1の値は1/4程度で、発熱に対する逃
げ部の発熱パワーP2の寄与は小さい。回転速度が10
0rpsと高速になると、P2/P1の値は1程度で、
逃げ部の発熱パワーP2が相対的に大きくなり、逃げ部
の発熱パワーP2が無視できなくなる。
【0018】上記の例は、陽極ターゲットを回転可能に
支持する軸受部分に動圧式すべり軸受を用いた場合であ
る。しかし、玉軸受あるいは磁気軸受を軸受部分に用
い、回転体と固定体の嵌合隙間に液体金属潤滑材を配置
し、この液体金属潤滑材を介して回転体から固定体へと
熱を伝達させる方法がある(特開昭60−136139
公報、特開平11−273599公報、米国特許第61
92107号明細書、米国特許第5875227号明細
書、米国特許第6377658号明細書、特開平6−1
62973公報参照)。この場合も、軸受部分に用いた
場合と同様、液体金属潤滑材が発熱するという問題があ
る。
【0019】この発熱は、伝熱作用を高めるために伝熱
面積を増やす場合、たとえば液体金属潤滑材を配置する
嵌合部分の径を大きくし、あるいは、液体金属潤滑材を
配置する嵌合部分の長さを長くする場合に大きな問題に
なる。
【0020】たとえば回転体と固定体の嵌合部分に配置
された液体金属潤滑材は、回転体が回転状態に入ると、
回転体に接する部分は回転体の回転速度と同じ速度で回
転し、固定体に接する部分は静止し、中間部は回転半径
に応じた中間の速度で回転する。このとき、液体金属潤
滑材にせん断力が働き、粘性に基づく粘性損失が発生す
る。この粘性損失による影響は高速回転時に大きくな
り、低速回転時はほとんど無視できる。
【0021】回転数が上昇すると、粘性損失が大きくな
って液体金属潤滑材の温度が上昇する。その結果、動圧
式すべり軸受部分と同様に、隙間を構成する回転体や固
定体と液体金属潤滑材との反応が進み、反応生成物の堆
積で隙間をつまらせる場合がある。また、陽極回転駆動
トルクが増大して回転数が低下し、あるいはステータコ
イルの消費電力が増大するという不所望の事態が発生す
る。
【0022】ここで本発明者の実験結果について説明す
る。この実験は、固定体直径φが30mm、対向隙間G
が50μm、軸方向長さが30mmの隙間に液体金属潤
滑材(ガリウム合金)を満たし、その液体金属潤滑材の
温度が約200℃の場合である。
【0023】50rpsの低速回転では、発熱パワーP
は約2Wとなっている。この程度の値では大きな問題に
ならない。160rpsの高速回転では、発熱パワーP
は約100Wとなり、上記した問題が発生する。
【0024】本発明は、上記した欠点を解決し、液体金
属潤滑材の温度上昇を抑え、長期にわたり安定な回転特
性を維持できる回転陽極型X線管を提供することを目的
とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空容器内に
配置された陽極ターゲットと、この陽極ターゲットと一
体に回転する回転体と、この回転体を軸受によって回転
可能に支える固定体とを具備した回転陽極型X線管にお
いて、前記軸受が設けられていない領域における前記回
転体と前記固定体の対向隙間に、液体金属潤滑材および
この液体金属潤滑材に浸漬された浮動体を配置したこと
を特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図1を
参照して説明する。符号11は回転陽極型X線管を構成
する真空容器で、図1ではその一部が示されている。真
空容器11の図示下端に接合リング12が封着され、接
合リング12の内側に封止リング13が接合されてい
る。真空容器11内に陽極ターゲット14が配置されて
いる。陽極ターゲット14は固定ねじ15で継手部16
に固定され、継手部16は回転体17に連結されてい
る。
【0027】回転体17は、たとえば継手部16が直接
連結された中間円筒17aおよび中間円筒17aの内側
に接合された有底円筒状の内側円筒17b、中間円筒1
7aの外側に接合された外側円筒17cから構成され、
たとえば3層構造になっている。中間円筒17aと内側
円筒17bの間、中間円筒17aと外側円筒17cの間
は接合部分などを除いて隙間が設けられている。
【0028】内側円筒17bの外周面は、たとえばその
最下端部を除いてほぼ面一に形成されている。その筒状
部分の図示上方たとえば陽極ターゲット14側は肉厚が
厚い肉厚部b1に形成され、図示下方は肉厚が薄い肉薄
部b2に形成されている。肉厚部b1と肉薄部b2の境
界に段差面Aが形成されている。肉厚部b1は肉厚が厚
い分だけ肉薄部b2よりも内径が小さくなっている。内
側円筒17bの図示下端の開口はスラストリング18で
封止され、内側円筒17bおよびスラストリング18は
ねじ19で固定されている。内側円筒17bおよびスラ
ストリング18で囲まれた内側空間に固定体20が嵌合
されている。
【0029】固定体20の図示下端201はスラストリ
ング18および封止リング13を貫通し、真空容器11
の外側まで伸び、封止リング13の部分に気密接合され
ている。固定体20は、内側円筒17bとの嵌合領域
に、外径が小さい径小部20aおよびこの径小部20a
よりも外径が大きい径大部20bが設けられ、径小部2
0aと径大部20bの境界に段差面Bが形成されてい
る。径小部20bの一部が内側円筒17bの肉厚部b1
に嵌合し、径大部20aの一部が内側円筒17bの肉薄
部b2に嵌合している。
【0030】内側円筒17bの肉厚部b1と固定体20
の径小部20aが嵌合する部分、および、内側円筒17
bの肉薄部b2と固定体20の径大部20bが嵌合する
部分では、たとえば固定体20の外面にらせん溝21
a、21bが形成されている。らせん溝21a、21b
などの部分に液体金属潤滑材が満たされ、管軸方向に離
れた2つの領域にラジアル方向の動圧式すべり軸受R
a、Rbが形成されている。動圧式すべり軸受Ra、R
bはその軸受面が管軸方向に形成されている。
【0031】また、内側円筒17bの図示上方底部と対
向する固定体20の上端面およびスラストリング18の
上面と対向する固定体20の段部に、それぞれらせん溝
22a、22bが形成されている。らせん溝22a、2
2bなどの部分に液体金属潤滑材が満たされ、スラスト
方向の動圧式すべり軸受Sa、Sbが形成されている。
動圧式すべり軸受Sa、Sbはその軸受面が管軸に直交
する方向に形成されている。
【0032】固定体20には管軸mに沿って液体金属潤
滑材を収納するリザーバ23が設けられ、リザーバ23
から内側円筒17bと固定体20の嵌合部分に向って液
体金属潤滑材が流れるダクト24が設けられている。
【0033】内側円筒17bの段差面Aと固定体20の
段差面Bは管軸mの延長方向に位置がずれ、段差面Aと
段差面Bとの間に、ラジアル方向の動圧式すべり軸受2
1a、21b部分よりも対向部分の隙間たとえば管軸m
を中心とする半径方向の隙間が大きい筒状対向部、いわ
ゆる逃げ部25が形成されている。逃げ部25には液体
金属潤滑材が満たされ、その液体金属潤滑材中に浮動体
たとえば円筒状スリーブ26が配置されている。円筒状
スリーブ26はたとえば内側円筒17bや固定体20の
軸受面と同じ材料で形成され、液体金属潤滑材に浸漬
し、たとえば浮いた状態になっている。また、円筒状ス
リーブ26にはその内側から外側に貫通する複数の孔2
6aが設けられている。
【0034】上記の回転陽極型X線管は、真空容器11
外に配置されているステータコイル(図示せず)が発生
する回転磁界を受けると、回転体17が管軸mを中心に
回転し、また、回転体17に連結する陽極ターゲット1
4が一体に回転する。この状態で、陰極(図示せず)か
ら陽極ターゲット14に電子ビームが照射され、陽極タ
ーゲット14からX線が放出される。
【0035】上記した構成によれば、回転体17と固定
体20の嵌合部分に動圧式すべり軸受が設けられてい
る。また、動圧式すべり軸受部分よりも回転体17と固
定体20との隙間が大きい逃げ部25が設けられ、その
逃げ部25に、液体金属潤滑材に浸漬した円筒状スリー
ブ26が配置されている。
【0036】円筒状スリーブ26は、回転体17が回転
すると、その約50%の回転数で回転する。このとき、
円筒状スリーブ26と内側円筒17b間、および、円筒
状スリーブ26と固定体20間の隙間に位置する液体金
属潤滑材が粘性損失で熱を発生する。しかし、円筒状ス
リーブ26がある場合、内側円筒17bと円筒状スリー
ブ26間、および、円筒状スリーブ26と固定体20間
の回転速度差が小さいため、逃げ部25における発熱が
小さくなり、全体の温度上昇が抑えられる。
【0037】たとえば、回転体の回転数が100rps
の場合で比較すると、円筒状スリーブ26が設けられて
いない従来技術の構造では、たとえばラジアル方向の軸
受部分の嵌合隙間G1=10μm、逃げ部25の嵌合隙
間G2=40μmの場合、逃げ部25の発熱パワーP2
と軸受部の発熱パワーP1との比の値P2/P1はほぼ
1となる。一方、図1の発明構造では、たとえば軸受部
分の嵌合隙間G1=10μm、円筒状スリーブ26と内
側円筒17bの隙間G21=円筒状スリーブ26と固定体
20の隙間G22=40μmの場合、P2/P1=1/8
となり、全体の発熱に対し逃げ部25の発熱が小さくな
る。
【0038】また、円筒状スリーブ26が配置された逃
げ部25は軸受部分と相違する領域に設けられている。
したがって、回転体17が回転状態であっても、非回転
状態であっても、円筒状スリーブ26には荷重がかから
ない。そのため、大重量の陽極ターゲットを用いる場合
や、CT装置などに搭載されて陽極ターゲット部分に高
い加速度が加わる場合でも、円筒状スリーブ26は変形
しない。したがって、円筒状スリーブ26によって回転
特性が不良になったり、かじりが発生したりするような
ことがない。
【0039】また、円筒状スリーブ26に、回転体17
側の面から固定体20側の面に貫通する孔26aが設け
られている。この場合、円筒状スリーブ26の一方の側
から他方の側に液体金属潤滑材が通り抜ける。そのた
め、円筒状スリーブ26を挟んでその両側に位置する液
体金属潤滑材が補充しあい、円筒状スリーブ26は液体
金属潤滑材に浸漬した状態に保たれる。なお、円筒状ス
リーブ26には、回転体17および固定体20と対向す
る一方の面あるいは両方の面にらせん溝を設けることも
できる。らせん溝は液体金属潤滑材を保持する作用があ
り、円筒状スリーブ26は液体金属潤滑材に浸漬した状
態が確実に保たれる。
【0040】上記した構成によれば、逃げ部25などに
おける液体金属潤滑材の発熱が抑制されるため、対向隙
間に液体金属潤滑材をほぼ100%に満たすことができ
る。したがって、回転体17部分の熱が液体金属潤滑材
を介して固定体20に確実に伝達し放熱特性が向上す
る。
【0041】従来の回転陽極型X線管は、隙間の大きい
逃げ部がある場合、逃げ部における液体金属潤滑材の発
熱を回避するために、たとえば液体金属潤滑材の量を調
整し、動作時、逃げ部から液体金属潤滑材がなくなるよ
うにしている。そのため、回転体部分から固定体への熱
伝達効率が低下する。
【0042】次に、本発明の他の実施形態について図2
を参照して説明する。
【0043】符号31はX線を発生する陽極ターゲット
で、陽極ターゲット31は真空容器(図示せず)内に配
置され、たとえば有底円筒状の回転体32に直接連結さ
れている。回転体32は全体が円筒状に形成され、たと
えば陽極ターゲット31側に位置する径小部32aおよ
びこの径小部32aよりも内径が大きい筒状の径大部3
2b、径小部32aと径大部32bを結ぶ段差部32c
から形成されている。径大部32bの図示下方の開口は
閉塞リング33で封止され、径大部32bの側壁部分に
回転円筒34が連結されている。回転円筒34は熱およ
び電気の伝導度が高い銅で形成されている。また、回転
体32および閉塞リング33で囲まれた内部空間に円柱
状の固定体35が嵌合している。
【0044】固定体35は、回転体32の径小部32a
に嵌合する第1径小部35aおよびこの第1径小部35
aよりも外径が大きく回転体32の径大部32bに嵌合
する径大部35b、この径大部35bよりも外径が小さ
く閉塞リング33の部分を貫通する第2径小部35cか
ら形成されている。第2径小部35cの図示下方に筒状
の陽極支持部36が連結されている。
【0045】また、回転体32と固定体35の嵌合部分
などに動圧式すべり軸受が形成されている。たとえば第
1径小部35aのほぼ中間位置に環状の凹部37が形成
され、凹部37を挟んだその上方領域および下方領域
に、それぞれヘリンボンパターンのらせん溝A1、A2
が形成されている。また、径大部35の管軸mに直交す
る上下両面にサークル状のヘリンボンパターンのらせん
溝B1、B2が形成されている。
【0046】これらのらせん溝A1、A2、B1、B2
および回転体32と固定体34の間隙などにGa合金等
の液体金属潤滑材が満たされ、らせん溝A1、A2の部
分にラジアル方向の動圧式すべり軸受が形成され、ま
た、らせん溝B1、B2の部分にスラスト方向の動圧式
すべり軸受が形成されている。
【0047】なお、回転体32の径大部32bと固定体
35の径大部35bとが管軸mに平行な面どうしで対向
する部分は、その対向隙間が、らせん溝A1、A2やら
せん溝B1、B2が設けられた動圧式すべり軸受の部分
よりも大きく形成され、その対向隙間の部分にいわゆる
逃げ部38が形成されている。逃げ部38は液体金属潤
滑材が満たされ、その液体金属潤滑材に浸漬して浮動体
たとえば円筒状スリーブ39が配置されている。この場
合も、図1の実施形態と同様、逃げ部38における発熱
が円筒状スリーブ39のない場合に比べて小さくなり、
全体の温度上昇が抑えられる。
【0048】図2の実施形態の場合、固定体の径が大き
く形成され、この径の大きい部分に動圧すべり軸受が設
けられている。循環器診断装置などでは、被撮影体に対
しさまざまな方向からX線撮影が行われ、撮影方向が高
速に転換する。そのため、循環器診断装置に組み込まれ
る回転陽極型X線管には、大重量の陽極ターゲットに大
きな加速度が作用し、軸受部分にいろいろな方向から不
規則な荷重が加わる。図2の構造は、固定体の径の大き
い部分に動圧すべり軸受が設けられているため、上記し
たように不規則で大きな荷重がかかる場合に有効であ
る。
【0049】次に、本発明の他の実施形態について図3
を参照して説明する。図3は図2に対応する部分に同じ
符号を付し重複する説明を一部省略する。
【0050】この実施形態は、有底円筒状の第1回転体
32の底部41と固定体35の第1径小部35aの上端
面42との管軸mに直交する対向隙間が、らせん溝A
1、A2やらせん溝B1、B2が設けられた動圧式すべ
り軸受の部分よりも大きく形成され、その対向隙間の部
分にいわゆる逃げ部43が形成されている。逃げ部43
は液体金属潤滑材が満たされ、その液体金属潤滑材に浸
漬して浮動体たとえば円板44が配置されている。
【0051】この場合も、逃げ部43における発熱は円
筒状スリーブがない場合に比べて小さくなり、全体の温
度上昇が抑えられる。また、液体金属潤滑材が満たされ
た逃げ部43が陽極ターゲット31から固定体35への
熱の伝達経路上に位置している。そのため、陽極ターゲ
ット31の熱が逃げ部43の液体金属潤滑材などを介し
て固定体35に効率的に伝達され、放熱特性が向上す
る。
【0052】次に、本発明の他の実施形態について図4
を参照して説明する。
【0053】符号51は回転陽極型X線管を構成する真
空容器で、図4では、真空容器51の金属製接地側容器
51a部分およびガラス製陽極側容器51b部分の一部
が示されている。真空容器51内に陽極ターゲット52
が配置されている。陽極ターゲット52は固定ねじ53
で筒状継手部54に固定され、継手部54は回転体55
に連結されている。
【0054】たとえば継手部54にはその図示下端に内
側に向う鍔状部541が形成されている。回転体55に
は外側に突出する環状突出部551が形成され、継手部
54の鍔状部541と回転体55の環状突出部551が
管軸mを中心とする半径方向の接合面Pで、たとえばろ
う付けされている。
【0055】回転体55は肉厚の厚い肉厚部55aおよ
びこれよりも肉厚の薄い肉薄部55bから構成され、肉
厚部55aと肉薄部55bの境界に段差面55cが形成
されている。回転体55の図示上方に位置する開口およ
び図示下方に位置する開口はそれぞれ第1スラストリン
グ56および第2スラストリング57で封止されてい
る。第2スラストリング57の下面に筒状体58が固定
されている。筒状体58はロータを構成し、銅などで形
成され、たとえば真空容器51外から加えられる回転磁
界を受けて回転する。
【0056】回転体55および第1スラストリング5
6、第2スラストリング57で囲まれた内部空間に固定
体59が嵌合されている。固定体59の上端591は第
1スラストリング56を貫通してその上方へと伸び、真
空容器51の接地側容器51a部分に支持されている。
たとえば接地側容器51aに支持リング60が固定さ
れ、支持リング60の内側に支持部材61および支持円
筒62が順に固定され、支持円筒62に固定体59の上
端591が気密接合されている。
【0057】固定体59の下端592は第2スラストリ
ング57を貫通してその下方へと伸び、真空容器51の
陽極側容器51bの部分に支持されている。たとえば陽
極側容器51bに固定リング63が固定され、固定リン
グ63に固定体59の下端592が気密接合されてい
る。また、固定体59の上端面から下端面まで管軸に沿
って貫通穴64が形成されている。貫通穴64は、たと
えば矢印Yで示すように、冷却媒体が真空容器51の外
側から貫通穴64を通り、真空容器51の外側へと流れ
る冷却通路を構成している。
【0058】また、回転体55の内部空間に嵌合する固
定体59の中間部分は、外径が小さい径小部59aおよ
びこれよりも外径が大きい径大部59bから構成され、
径小部59aと径大部59bの境界に段差面59cが形
成されている。径小部59aの一部が回転体55の肉厚
部55aに嵌合し、径大部59bの一部が回転体55の
肉薄部55bに嵌合し、この嵌合部分における固定体5
9の外周面にらせん溝65a、65bが形成されてい
る。らせん溝65a、65bなどの部分に液体金属潤滑
材が供給され、ラジアル方向の動圧式すべり軸受Ra、
Rbが形成されている。
【0059】また、第1スラストリング56と対向する
固定体59の上段差面および第2スラストリング57と
対向する固定体59の下段差面にもらせん溝(図示せ
ず)が形成されている。らせん溝などの部分には液体金
属潤滑材が供給され、スラスト方向の動圧式すべり軸受
Sa、Sbが設けられている。
【0060】回転体55の段差面55cと固定体59の
段差面59cは管軸mの延長方向にずれ、2つの段差面
55c、59cに挟まれた領域は、回転体55と固定体
59の対向隙間がたとえばラジアル方向の動圧式すべり
軸受Ra、Rbの部分よりも大きく、この部分にいわゆ
る逃げ部67が形成されている。逃げ部67には液体金
属潤滑材が満たされ、その液体金属潤滑材に浸漬して浮
動体たとえば円筒状スリーブ68が配置されている。
【0061】なお、回転体55の段差面55cは、継手
部54と回転体55との接合面Pに対して管軸m方向に
おける一方の側たとえば陽極ターゲット52側に位置
し、固定体59の段差面59cは他方の側に位置してい
る。したがって、接合面Pが形成されている部分の回転
体55の内側の面は、たとえば逃げ部67内の円筒状ス
リーブ68と対向している。
【0062】上記した構成によれば、液体金属潤滑材に
浸漬して逃げ部67に浮動体たとえば円筒状スリーブ6
8が配置されているため、逃げ部67の発熱が軽減し、
軸受部分の温度上昇が抑えられる。
【0063】また、継手部54を介して陽極ターゲット
52が間接的に連結する部分の回転体55の内側が逃げ
部67になっている。この場合、陽極ターゲット52か
ら継手部54に伝達した熱が回転体55に伝達し、回転
体55から液体金属潤滑材が満たされた逃げ部67を経
て固定体59に効率的に伝達される。そして、固定体5
9に伝達した熱は冷却通路を流れる冷却媒体によって放
熱され、軸受部分の温度上昇が抑えられる。
【0064】図4の実施形態の場合、陽極ターゲット5
2が継手部54を介して回転体55と間接的に連結して
いる。しかし、陽極ターゲット52を他の支持部材を介
することなく回転体55に直接連結することもできる。
【0065】次に、本発明の他の実施形態について図5
を参照して説明する。
【0066】回転陽極型X線管を構成する真空容器91
は、外径が大きい接地側容器911および外径が小さい
陽極側容器912から構成されている。陽極側容器91
2の図示下端の開口は環状の封止部材92で封止され、
封止部材92に軸受容器93が気密接合されている。
【0067】軸受容器93は封止部材92に気密接合さ
れた底部931および底部931の端縁から図示上方に
伸びる第1筒状部932、下端が第1筒状部932の内
側に接合され図示上方に伸びる第2筒状部933などか
ら構成されている。
【0068】真空容器91の接地側容器911内に陽極
ターゲット94が配置されている。陽極ターゲット94
は継手部95に連結され、継手部95は有底円筒状の第
1回転体96および円柱状の第2回転体97に連結され
ている。
【0069】第1回転体96の一部に円筒状回転部いわ
ゆるロータ96aが設けられている。ロータ96aは、
軸受容器93の第1および第2筒状部932、933と
陽極側容器912との間に位置している。第2回転体9
7は軸受容器93の内側で管軸m上に位置し、第2筒状
部933との間に第1玉軸受98が設けられている。ま
た、第1筒状部932との間に第2玉軸受99が設けら
れている。この場合、軸受容器93は、第1および第2
の玉軸受98、99を介して回転体たとえば第2回転体
97を回転可能に支える固定体として機能している。
【0070】第1玉軸受98は、第2筒状部933の上
端内側に固定された外輪98aおよびボール98bなど
から構成されている。第2玉軸受99は第1筒状部93
2の下端近傍内側に固定された外輪99aおよびボール
99bなどから構成されている。
【0071】第2筒状部933は、第2回転体97と対
向するその内周面に、管軸m方向に所定長さの環状凹部
100が設けられている。この凹部100は、第2筒状
部933と第2回転体97との間に、隙間が大きい環状
逃げ部101を形成している。逃げ部101には、第2
回転体97から軸受容器93への伝熱領域を形成するた
めに、液体金属潤滑材が満たされ、また、その液体金属
潤滑材中に浮動体たとえば円筒状スリーブ102が配置
されている。第2回転体97および円筒状スリーブ10
2にはそれぞれ、図示上下の2箇所にらせん溝103、
104が形成され、液体金属潤滑材の漏れを防止してい
る。たとえば第2回転体97のらせん溝103は円筒状
スリーブ102側に設けられ、円筒状スリーブ102の
らせん溝104は軸受容器93の第2筒状部933側に
設けられている。
【0072】上記した構成によれば、陽極ターゲット9
4の熱は継手部95から第2回転体97へ、さらに、逃
げ部101の液体金属潤滑材を介して第2回転体97か
ら軸受容器93に伝達され、管外に放出される。この場
合、液体金属潤滑材中の円筒状スリーブ102の働き
で、逃げ部101における液体金属潤滑材の発熱が軽減
し、伝熱領域の温度上昇が抑えられる。
【0073】次に、本発明の他の実施形態について図6
を参照して説明する。図6は図5に対応する部分に同じ
符号を付し重複する説明を省略する。
【0074】この実施形態では、第2回転体97内部に
空洞105が形成されている。空洞105部分の図示下
端の開口は環状封止板106で封止されている。軸受容
器93には、空洞105内に位置する突出部934が設
けられている。突出部934は底部931から管軸mに
沿って図示上方に突出している。この場合、突出部93
4の外径は、第2回転体97の内周面との間に、隙間の
大きい環状の逃げ部101が形成される寸法になってい
る。
【0075】そして、第2回転体97から軸受容器93
への伝熱領域を形成するために、逃げ部101に液体金
属潤滑材が満たされ、その液体金属潤滑材中に浮動体た
とえば円筒状スリーブ102が配置されている。また、
突出部934および円筒状スリーブ102にらせん溝1
07、104が形成され、液体金属潤滑材の漏れを防止
している。この場合、円筒状スリーブ102のらせん溝
104は、第2回転体97内面と対向する面に設けられ
ている。
【0076】上記した構成によれば、陽極ターゲット9
4の熱は継手部95から第2回転体97へ、さらに、逃
げ部101の液体金属潤滑材を介して第2回転体97か
ら突出部934に伝達され、軸受容器93を経て管外に
放出される。この場合、液体金属潤滑材中の円筒状スリ
ーブ102の作用で逃げ部101の発熱が軽減し、伝熱
領域の温度上昇が抑えられる。
【0077】図5や図6のように玉軸受を用いる構造の
場合、浮動体のない従来構造では、固定体直径φが30
mm、Gが50μm、軸方向長さが30mm、液体金属
潤滑材の温度が200℃、回転体の回転数が160rp
sの場合、発熱パワーはPは約100Wとなっている。
一方、浮動体がある発明構造では、逃げ部における円筒
状スリーブ102両側の隙間が等しく50μmとなる寸
法の浮動体を配置した場合、発熱パワーPは約20Wと
なっている。
【0078】本発明の実施形態について図7を参照して
説明する。
【0079】符号111は回転陽極型X線管を構成する
真空容器で、真空容器111内に陽極ターゲット112
が配置されている。陽極ターゲット112は固定ねじ1
13で回転支持機構114に固定されている。
【0080】回転支持機構114は、たとえば有底円筒
状の回転円筒115などからなる回転体および回転円筒
115の内側に嵌合する固定体116などから構成さ
れ、その回転円筒115部分に陽極ターゲット112が
直接固定されている。
【0081】回転円筒115は、たとえば内径が小さい
径小部115aおよびこれよりも内径が大きく径小部1
15bと一体に形成された径大部115bから構成され
ている。固定体116は、たとえば外径が小さい径小部
116aおよびこれよりも外径が大きく径小部116a
と一体に形成された径大部116bから構成され、回転
円筒115の径小部115aおよび径大部115bの内
側に、それぞれ固定体116の径小部116aおよび径
大部116bが嵌合している。
【0082】また、回転円筒115の外周部に銅製の筒
状部材117が接合され、回転円筒115の図示下端の
開口はスラストリング118で封止されている。スラス
トリング118は回転円筒115に固定され、回転円筒
115などとともに回転支持機構114の回転体を構成
している。
【0083】固定体116はスラストリング118を貫
通し、その下端116aは封止部材119を介して真空
容器111のガラス部分に気密接合されている。固定体
116内部に管軸に沿って細長い穴120が形成されて
いる。穴120の図示上端は陽極ターゲット112で囲
まれるその内側部分まで伸びている。
【0084】穴120の中にパイプ121が配置され、
穴120およびパイプ121はそれぞれの図示下端が真
空容器111外に開口し、固定体116内に冷却用通路
が形成されている。冷却用通路を流れる冷却媒体たとえ
ば絶縁油は、矢印Yで示すように、たとえば真空容器1
11外からパイプ121の外側を図示上方に流れ、上端
からパイプ121内に入り、パイプ121を図示下方に
流れ、真空容器111外に導出される。
【0085】また、回転円筒115と固定体116の嵌
合部分にラジアル方向の動圧式すべり軸受Ra、Rbが
設けられている。動圧式すべり軸受Ra、Rbは、たと
えば、固定体116の外周面に設けたヘリンボンパター
ンのらせん溝や、動作時にらせん溝の部分に供給される
液体金属潤滑剤などから構成される。
【0086】固定体116の径大部116b上端面と回
転円筒115の径小部115a下端面との対向部分およ
び固定体116の径大部116b下端面とスラストリン
グ118との対向部分には、スラスト方向の動圧式すべ
り軸受Sa、Sbが設けられている。動圧式すべり軸受
Sa、Sbは、固定体116の径大部116bの上端面
および下端面にそれぞれ設けたヘリンボンパターンのら
せん溝や、動作時にらせん溝の部分に供給される液体金
属潤滑剤などから構成される。
【0087】なお、回転円筒115の径小部115a内
面と固定体116の径小部116a外面とが対向する筒
状嵌合部分は、円A内の拡大図に示すように、その隙間
Gは動圧式すべり軸受Ra、Rb、Sa、Sbが形成さ
れた軸受領域の間隙よりも大きい逃げ部122を形成し
ている。逃げ部122は軸受としての機能がほとんどな
い非軸受領域を形成し、軸受領域と同様に、液体金属潤
滑剤が充填されている。そして、液体金属潤滑剤に侵漬
して浮動体たとえば円筒状スリーブ123が配置されて
いる。
【0088】上記した構成の場合も、円筒状スリーブ1
23の作用で逃げ部122の発熱が軽減し、伝熱領域の
温度上昇が抑えられる。
【0089】また、逃げ部122は液体金属潤滑剤が充
填され、陽極ターゲット112の熱を回転円筒115か
ら固定体116に伝達する伝熱領域を形成している。こ
の場合、動圧式すべり軸受Ra、Rb、Sa、Sbが、
伝熱領域を形成する逃げ部122よりも陽極ターゲット
112から遠くに位置するため、動圧式すべり軸受R
a、Rb、Sa、Sbの温度上昇が抑えられる。
【0090】上記の各実施形態において、逃げ部に円筒
状スリーブなどの浮動体を非軸受部に配置する場合、回
転部分と浮動体の隙間をG21とし、固定体と浮動体の隙
間をG22とし、動圧式すべり軸受たとえばラジアル方向
の動圧式すべり軸受部分の隙間をG1とした場合、たと
えばG2(=G21+G22)>G1の関係に設定してい
る。この関係によれば、回転部分や固定体と浮動体との
機械的接触時の荷重が軽減し、浮動体の変形などの不具
合発生が防止される。
【0091】また、浮動体と軸受面を同じ材料にした場
合、両者の熱膨張係数が同じため、軸受部分の温度が高
い状態でもG2>G1の関係が維持され、G21、G22を
狭くできる。G21、G22を狭くすると、毛細管現象によ
り液体金属潤滑剤を円筒状スリーブの部分に確実に保持
できる。
【0092】また、固定体と回転体の対向隙間に、液体
金属潤滑材をほぼ100%に満たすることができるた
め、陽極ターゲットの熱を液体金属を介して、固定体内
を冷却する冷媒へと効果的に伝えることができる。
【0093】なお、上記の実施形態では、動圧式すべり
軸受や玉軸受を用いた例で説明しているが、これらに代
えて磁気軸受を用いることもできる。
【0094】上記した発明の構成によれば、高速回転時
における逃げ部の発熱が低減し、軸受部分あるいは伝熱
部分の温度上昇が抑えられ、長期にわたり安定な回転特
性を維持できる回転陽極型X線管が得られる。
【0095】
【発明の効果】この発明によれば、長期にわたり安定な
回転特性を維持できる回転陽極型X線管を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための断面図であ
る。
【図2】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図3】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図5】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図6】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図7】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
である。
【図8】従来例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11…真空容器11 12…接合リング 13…封止リング 14…陽極ターゲット 15…固定ねじ 16…回転支柱 17…回転体 18…スラストリング 19…ねじ 20…固定体 21a、21b…らせん溝 22a、21b…らせん溝 23…リザーバ 24…ダクト 25…逃げ部 26…円筒状スリーブ Ra、Rb…ラジアル方向の動圧式すべり軸受 Sa、Sb…スラスト方向の動圧式すべり軸受 m…管軸

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に配置された陽極ターゲット
    と、この陽極ターゲットと一体に回転する回転体と、こ
    の回転体を軸受によって回転可能に支える固定体とを具
    備した回転陽極型X線管において、前記軸受が設けられ
    ていない領域における前記回転体と前記固定体の対向隙
    間に、液体金属潤滑材およびこの液体金属潤滑材に浸漬
    された浮動体を配置したことを特徴とする回転陽極型X
    線管。
  2. 【請求項2】 真空容器内に配置された陽極ターゲット
    と、この陽極ターゲットと一体に回転する回転体と、管
    軸の延長方向に離れた2領域に設けられた軸受によって
    前記回転体を回転可能に支える固定体とを具備した回転
    陽極型X線管において、前記2領域に挟まれた領域にお
    ける前記回転体と前記固定体の対向隙間に、液体金属潤
    滑材およびこの液体金属潤滑材に浸漬された浮動体を配
    置したことを特徴とする回転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 真空容器内に配置された陽極ターゲット
    と、この陽極ターゲットと一体に回転する回転体と、管
    軸に直交する半径方向における外径寸法が相違する径大
    部および径小部を有し、前記径大部の半径方向に広がる
    2つの平行面と前記回転体との間に軸受が設けられてい
    る固定体とを具備した回転陽極型X線管において、前記
    径大部の前記管軸に平行な外側面と前記回転体との対向
    隙間に、液体金属潤滑材およびこの液体金属潤滑材に浸
    漬された浮動体を配置したことを特徴とする回転陽極型
    X線管。
  4. 【請求項4】 真空容器内に配置された陽極ターゲット
    と、管軸に直交する底部および前記管軸の延長方向に伸
    びる筒状部を有し前記陽極ターゲットと一体に回転する
    回転体と、この回転体を軸受によって回転可能に支える
    固定体とを具備した回転陽極型X線管において、前記回
    転体の底部と前記固定体の前記陽極ターゲット側端面と
    の対向隙間に、液体金属潤滑材およびこの液体金属潤滑
    材に浸漬された浮動体を配置したことを特徴とする回転
    陽極型X線管。
  5. 【請求項5】 真空容器内に配置された陽極ターゲット
    と、この陽極ターゲットと一体に回転する回転体と、こ
    の回転体を軸受によって回転可能に支え、内部に冷却媒
    体が流れる冷却用通路が形成されている固定体とを具備
    した回転陽極型X線管において、前記軸受が設けられて
    いない領域における前記回転体と前記固定体との対向隙
    間に液体金属潤滑材に浸漬された浮動体を配置し、前記
    回転体の内側の面が前記浮動体と対向する部分のその外
    側の面に前記陽極ターゲットが直接または間接に連結さ
    れていることを特徴とする回転陽極型X線管。
  6. 【請求項6】 回転体および固定体の少なくとも一方と
    対向する浮動体の面にらせん溝を形成した請求項1ない
    し請求項5のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管。
  7. 【請求項7】 浮動体に貫通穴を設けた請求項1ないし
    請求項5のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管。
  8. 【請求項8】 軸受が動圧式すべり軸受である請求項1
    ないし請求項5のいずれか1つに記載の回転陽極型X線
    管。
  9. 【請求項9】 回転体と浮動体の隙間をG21、固定体と
    浮動体の隙間をG22、動圧式すべり軸受が形成された領
    域の前記回転体と前記固定体の隙間をG1とした場合
    に、G21とG22の和G2がG1よりも大きい請求項8記
    載の回転陽極型X線管。
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