JPH11213927A - 回転陽極型x線管 - Google Patents

回転陽極型x線管

Info

Publication number
JPH11213927A
JPH11213927A JP1124498A JP1124498A JPH11213927A JP H11213927 A JPH11213927 A JP H11213927A JP 1124498 A JP1124498 A JP 1124498A JP 1124498 A JP1124498 A JP 1124498A JP H11213927 A JPH11213927 A JP H11213927A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
lubricant
anode
ray tube
rotating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1124498A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Abu
秀郎 阿武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP1124498A priority Critical patent/JPH11213927A/ja
Publication of JPH11213927A publication Critical patent/JPH11213927A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線管の製造工程などにおいて陽極構造体の
回転起動を滑らかにし、破損を防止できる回転陽極型X
線管を提供すること。 【解決手段】 陽極ターゲットに連結された回転体12
の内面と固定体15の外面とが軸受け間隙をもって配置
され、かつ、回転体12と固定体15との間に動圧式す
べり軸受けが形成された回転陽極型X線管において、回
転体12の軸受け面と固定体15の軸受け面の少なくと
も一方に鉛の薄膜51、53を付着させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転陽極型X線
管に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、相互間に軸受が形
成された回転体と固定体とによって円盤状の陽極ターゲ
ットが支えられている。そして、真空容器外に配置した
ステータの電磁コイルを付勢して陽極ターゲットを高速
に回転させ、陰極から放出した電子ビームを陽極ターゲ
ット面に当てX線を放射させている。
【0003】回転陽極型X線管の場合、軸受には、ボー
ルベアリングのようなころがり軸受や動圧式すベリ軸受
が利用されている。動圧式すベリ軸受は、軸受面に動圧
発生用のらせん溝を形成し、ガリウム(Ga)、また
は、ガリウムーインジウムー錫(Ga−In−Sn)合
金のような液体金属潤滑剤を、動圧発生用のらせん溝お
よび軸受間隙に供給している。
【0004】動圧式すベリ軸受やそれを用いた回転陽極
型X線管は、特公昭60−21463号および特開平2
−244545号、特開平2−227947号、特開平
2−227948号、特公平3−77617号、特公平
7−105885号などの各公報に開示されている。ま
た、その製造方法については、例えば、特公平5−12
997号や特公平5−290734号の各公報に開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転陽極型X線
管は、らせん溝を有する動圧すベリ軸受部の相嵌合する
軸受面は20μm程度の微小な軸受間隙を保つように構
成されている。そして、らせん溝や軸受間隙に液体金属
潤滑剤が充填されている。このとき、液体金属潤滑剤が
軸受間隙の全体にくまなく行き渡たらないと、すベリ軸
受の動圧が十分に得られず、動圧すべり軸受の安定した
動作が維持されない。このため、極端な場合は、軸受面
同士がかじり合いを起こし、回転不能状態や破損を引き
起こすことがある。
【0006】このような不都合を防止するために、長い
時間、動作した場合でも、液体金属潤滑剤が循環などし
て軸受部に十分な量が供給できるように、軸受部に連通
する潤滑剤収容室、いわゆるリザーバが設けられてい
る。
【0007】ところで、動圧すベリ軸受に供給された液
体金属潤滑剤については、X線管の動作中はもちろん、
その製造工程においても真空容器の内部空間に漏れ出な
いようにしなければならない。また、排気工程では、X
線管を構成する部品や陽極構造体、あるいは潤滑剤から
十分にガスを放出させ排気する必要がある。
【0008】このため、排気工程では、軸受やその付近
から放出したガスを潤滑剤の漏出を伴うことなく排出さ
せることが重要である。また、排気工程のある段階で
は、陽極ターゲットを回転させながら電子ビーム衝撃を
与え、十分に高い温度まで発熱させ、軸受構成部材を含
む各部からガスを放出させている。
【0009】このような排気工程においては、潤滑剤の
漏出を伴うことなく、軸受部分を含む内部の放出ガスを
排出できるように、例えば、陽極構造体に設けられたガ
ス排出通路を上向きにしてX線管を排気装置に取り付け
排気している。しかし、このとき、陽極ターゲットを回
転させる前の段階で、軸受を構成する固定体と回転体と
の軸受面が、潤滑剤が存在しないまま部分的に密着する
ことがある。
【0010】例えば、排気工程で、回転中心軸が鉛直方
向やそれに近い状態でX線管を固定すると、回転体や陽
極ターゲットの重力によって、回転中心軸に対して垂直
に位置する少なくとも一方のスラストすべり軸受の軸受
面同士が密着した状態になる。そして、軸受面どうしが
密着し軸受面間に潤滑剤が存在しない状態で回転体が回
転を始めると、滑らかな回転駆動ができず、極端な場合
には軸受が破損する。
【0011】この発明は、上記した欠点を解決するもの
で、X線管の製造工程などにおいて陽極構造体の回転起
動を滑らかにし、破損を防止できる回転陽極型X線管を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、固定体と、
陽極ターゲットに連結されその内面と前記固定体の外面
とが軸受け間隙をもって配置された回転体と、前記固定
体の外面と前記回転体の内面との間に形成された動圧式
すべり軸受け、および、前記軸受け間隙にそれぞれ供給
された少なくとも動作中は液状である金属潤滑材とを具
備した回転陽極型X線管において、前記固定体の軸受け
面と前記回転体の軸受け面の少なくとも一方に、鉛の薄
膜を付着させている。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態について図1
を参照して説明する。図1は、陽極構造体の各部品やそ
の組立構造、そして液体金属潤滑剤の注入状況などを示
している。
【0014】符号12は、底があるほぼ円筒状の回転体
で、その一端に回転軸13が突設されている。回転体1
2は、鉄合金からなる内側円筒12aと銅からなる外側
円筒12bとが二重に嵌合され接合固着されている。回
転体12の中心部に穴12dが形成され、その内部に、
Ga−In−Sn合金からなる金属潤滑剤Lが所定量注
入されている。金属潤滑剤Lは融点が約11℃で、注入
される室温状態では液体である。そして、回転体12の
開口端部12cの方から、鉄合金製のほぼ円柱状の固定
体15が回転体の中心穴12dに挿入される。
【0015】固定体15は図示下方の径小部15aと、
途中の径大部15bと、図示上方の陽極支持部15cと
を備えている。そして、径小部15a外周の軸受面に
は、2組の動圧発生用へリンボンパターンらせん溝1
6、17が設けられ、前述した各公報に開示されるもの
と同様のラジアルすべり軸受が形成されている。そし
て、2組のすべり軸受用らせん溝16、17間の中間領
域はやや細くなっている。また、固定体径大部15bの
中心軸に垂直な図示下側の軸受面には、サークル状動圧
発生用ヘリンホンパターンらせん溝20が設けられ、一
方のスラストすベリ軸受を形成している。
【0016】また、固定体15の中心軸部には、軸方向
に沿ってくり抜かれた直径が3mmの穴からなる潤滑剤
収容室31が設けられている。潤滑剤収容室31は先端
部分に開口31aがあり、また、中間部には、潤滑剤収
容室31から細い部分の外周面に開口する4つの放射方
向通路32が90度間隔で対称に形成されている。潤滑
剤収容室31の図示上端部では、固定体の陽極支持部1
5cの外周面に開口する第1の通気孔33に連通してい
る。
【0017】通気孔33は、直径が例えば1.5mm
で、その内部に図示しないロッドが挿入されている。ロ
ッドは、モリブデンや銅、あるいは鉄合金のような、液
体金属潤滑剤でよく濡れ、かつ反応する材料で形成さ
れ、また、その外径寸法は通気孔33と密に嵌合する大
きさになっている。ロッドには、外周壁の一部がわずか
に面取りされた切欠き部が形成されている。これによっ
て、通気孔33の横断面積を実質的に狭め、液体金属潤
滑剤の表面張力との兼ね合いで、通気孔33から潤滑剤
が直接漏出しないようにしている。また、ロッドは芯の
部分に任意の材料を使用し、その外側に、液体金属潤滑
剤でよく濡れ、かつ反応する被膜を付着させた構造のも
のでもよい。
【0018】ここで、固定体径大部15bの構造につい
て図2および図3を参照して説明する。なお、図2およ
び図3では、図1に対応する部分には同一の符号が付さ
れている。
【0019】固定体径大部15bには、その外周壁面か
ら内部の途中まで、それぞれ独立した直径が3mmの穴
が穿設され、3個の潤滑剤収容室35、36、37が形
成されている。3個の潤滑剤収容室35、36、37
は、中心軸上に形成された潤滑剤収容室31を避けて延
長し、互いに分離して構成されている。また、これら3
個の潤滑剤収容室35、36、37は、回転中心軸に垂
直な面に対し斜め方向に傾斜して穿設されている。この
実施形態の場合、各潤滑剤収容室35、36、37は、
その開口35a、36a、37aは陽極支持部15cに
近い側に位置し、また、内部端35b、36b、37b
は径小部15aに近い側に位置し、径大部15bに斜め
に延長して形成されている。
【0020】各潤滑剤収容室35、36、37は、各収
容室の途中で第2の各通気孔35c、36c、37cに
それぞれ連通されている。第2の各通気孔35c、36
c、37cは陽極支持部15cの外周面に開口するよう
に斜めに形成され、直径は例えば1.5mmになってい
る。そして、第1の潤滑剤収容室31やそれに連通する
通気孔33を避けて穿設されている。
【0021】第2の通気孔の内部には、図示しないロッ
ドがそれぞれ密に挿入されている。ロッドには、モリブ
デンや銅、あるいは鉄合金のような、液体金属潤滑剤で
よく濡れ、かつ反応する材料が使用され、その外径寸法
は通気孔に密に嵌合する大きさになっている。ロッド
は、外周壁の一部がわずかに面取りされて切欠き部が形
成されている。これによって、各通気孔の横断面積を実
質的に狭め、通気孔から潤滑剤が直接漏出しないように
している。なお、ロッドには芯の部分に任意の材料を用
い、その外側に、液体金属潤滑剤でよく濡れ、かつ反応
する被膜を付着させた構造のものを使用することもでき
る。
【0022】なお、各潤滑剤収容室35、36、37の
内部には、図1に示すように中心軸を鉛直に置いた場合
にその収容室から流出せず、かつ、通気孔35c、36
c、37cの収容室内の開口を塞がない範囲で、できる
限り多くの量のGa合金からなる液体金属潤滑剤Lが注
入されている。
【0023】そして、固定体径大部15bの図示上側に
位置する中心軸に垂直な他方のスラストすベり軸受用の
平坦な軸受面15dには、約0.3μmの厚さで、鉛
(Pb)の薄膜51がスパッタリング法によって付着形
成されている。
【0024】また、図1に示すように、固定体径大部の
軸受面15dに対面して、スラスト軸受の軸受面を構成
するスラストリング21が用意されている。スラストリ
ング21の軸受面には、図4に示すようにサークル状の
動圧発生用ヘリンボンパターンらせん溝22が形成され
ている。
【0025】そして、スラストリング21のらせん溝2
2を含む軸受面には、上記と同様に、約0.3μmの厚
さで、鉛(Pb)の薄膜53がスパツタリング法によっ
て付着形成されている。また、スラストリング21に
は、液体金属潤滑剤の漏出を防止するために、固定体の
陽極支持部15cを微小間隙を保って取り巻く短円筒部
21aが一体的に設けられている。スラストリング21
の外周付近には、スラストリング21を回転体の開口端
部12cにねじ止めするためのねじ挿通用の複数の孔2
1bが形成されている。
【0026】さらに、スラストリング21の図示上方に
は、固定体の陽極支持部15cを微小間隙を保ってとり
まき、半断面がほぼクランク状の第1潤滑剤トラッブリ
ング25が当てがわれ、その内側には、第1の潤滑剤ト
ラッブ空胴39が構成されている。これらスラストリン
グ21、第1潤滑剤トラップリング25は、上述のよう
に回転体の開口端部12cに一体的にねじ止めで固定さ
れる。
【0027】真空ベルジャス内に配置する必要はない
が、スラストリング21および第1潤滑剤トラッブリン
グ25の図示上方に適合させる封止用補助リング26が
用意されている。
【0028】封止用補助リング26は、固定体の陽極支
持部15cの外周にきつく嵌合し気密溶接される。封止
用補助リング26には、液体金属潤滑剤の外部漏出を防
止するための第2の潤滑剤トラップリング29が予め固
着され、その内側に第2の潤滑剤トラップ空胴40が構
成されている。第2潤滑剤トラップ空胴40は、第1潤
滑剤トラップリング25の短円筒部の外周との間に円周
状の微小間隙G1を介して真空容器の内部空間に連通し
ている。
【0029】そして、図1に示すように各部に液体金属
潤滑剤Lを注入した後、これら部材を真空べルジャ内で
必要により加熱しながらガス抜きが行われる。次いで、
固定体15を回転体12の中心部の穴12dに上方から
ゆっくり挿入する。このとき、回転体の内側に注入した
潤滑剤Lは、ラジアル軸受部分や中心軸上の潤滑剤収容
室31、放射方向通路32、あるいは固定体と回転体と
の間にできる空間や軸受間隙に流動する。
【0030】その後、固定体径大部15bを回転体開口
端部12cの内側空所に合致させ、スラストリング21
および第1潤滑剤トラップリング25を嵌め、これらを
回転体開口部12cにねじ止めする。これによって、固
定体径大部21は、ねじ止めされた回転体内側円筒とス
ラストリング21とで挾持され、2つのスラスト軸受面
が相互に適合される。なお、これら2つのスラスト軸受
の軸受面間には、回転体の高速回転時に20〜30μm
程度の軸受間隙が確保される。
【0031】上記した方法で組立てを行った後、中心軸
を図示のように鉛直に維持したまま組立構造体を真空ベ
ルジャ外に取り出す。そして、第2潤滑剤トラップリン
グ29が予め固着されている封止用補助りング26を、
固定体の陽極支持部の外周に嵌合し、図5に符号Bmで
示すように気密に溶接する。図5には、回転軸13にナ
ット14で固定され重金属製円盤状陽極ターゲット11
が示されている。
【0032】さらに、組立構造体を真空容器27内部の
所定位置に挿入し、真空容器の封着用金属リング28と
封止用補助リング26との薄肉先端部を合致させ、符号
Bnで示すように気密溶接する。この状態では、各潤滑
剤収容室内の液体金属潤滑剤Lの各喫水線Ha、Hb
は、図示のようにそれぞれの潤滑剤収容室の途中の位置
になる。なお、図5の符号18、19は固定体径小部と
回転体との間に構成された動圧式ラジアルすべり軸受、
符号23、24は固定体径大部とスラストリングを含む
回転体との間に構成された動圧式スラストすべり軸受、
符号Sa、Sb、Scはそれぞれ固定体と回転体との間
に形成された内部空間を示している。
【0033】その後、図6に示すように、陽極支持部1
5cを上方に向け、回転軸を鉛直にした状態で排気装置
(図示せず)に取り付け、陰極構体61が支持された真
空容器27の図示下方にある排気管62から真空ポンプ
(図示せず)で排気する。この排気工程では、図示しな
いガスバーナや加熱ヒータ、高周波誘導加熱装置などに
より、真空容器や管内部品からガスを放出させ、真空ポ
ンブで排気する。
【0034】この場合、スラストリング21を含む回転
体は、固定体に対して自重により吊り下げられた状態に
なる。この状態におけるスラスト軸受の近傍は、それを
拡大して示すと図7のようになる。
【0035】回転体の一部を構成するスラストリング2
1は、固定体である径大部15bに対して自重で下方に
押し付けられている。このため、固定体径大部15bの
上側のスラスト軸受面15dと、スラストリング21の
らせん溝22がある軸受面は互いに密着する。したがっ
て、内部の軸受部分や潤滑剤収容室内で発生するガスは
スラスト軸受24を通過することができず、各潤滑剤収
容室から第2潤滑剤トラッブ空胴40に向けて開口して
いる各通気孔33、35c、36c、37c、および間
隙G1を通過して真空容器の内部空間に排出され、真空
ポンブによって外部に排出される。なお、符号G2、G
3は固定体陽極支持部とスラストリングおよび第1トラ
ッブリングとの間にできる潤滑剤漏れ防止用の微小間隙
をあらわしている。
【0036】上記したように陽極構造体を静止したまま
所定の加熱制御を行い排気する。次に、ステータコイル
を配置し、回転体および回転体に固定された陽極ターゲ
ットを回転させ、同時に、陰極から電子ビームを放出さ
せてターゲットに電子ビームを照射する。これにより、
陽極各部を加熱してガスを放出させ排気する。
【0037】この状態における排気工程は、回転体の全
荷重が上方のスラスト軸受24にかかっている。スラス
ト軸受24の両軸受面は、回転始動前には上述のように
密接しているものの、密接し合っている面はPb層にな
っている。Pbは比較的柔らかい金属であることから、
Pb層は実質的に潤滑剤の役割をする。したがって、回
転体はかみつき等を起こすことなく回転を始め、また、
安定な回転が維持され、陽極支持部を上向きすなわち回
転軸を鉛直方向に据えたまま、必要十分な排気を行うこ
とができる。
【0038】排気工程を経た後、X線管を例えば横倒し
にすれば、潤滑剤収容室などに注入されている液体金属
潤滑剤は、すべての軸受部分のらせん溝や軸受間隙、潤
滑剤通路、あるいは内部の空間に流動してゆきわたる。
Pb層を付着してあるスラスト軸受の軸受面は、Ga合
金からなる潤滑剤と比較的容易に濡れかつ融合し、潤滑
剤の機能を発揮する。したがって、軸受の破損を防止で
き、安定した軸受性能を有する回転陽極型X線管が得ら
れる。
【0039】なお、各潤滑剤収容室から延長された通気
孔は、上述のように潤滑剤を通過させない狭い寸法にな
っている。このため、X線管の回転軸がどの方向に向け
られても潤滑剤収容室から潤滑剤が真空容器の内部空間
に漏出することがない。また、エージング工程等を経る
なかで、各潤滑剤収容室から通気孔に入り込む一部の潤
滑剤は、通気孔の内壁、あるいは、ロッドがある場合に
はこのロッドの表面に付着して徐々に反応が進行し、反
応物の堆積で通気孔が密閉される。したがって、X線管
の動作中などに潤滑剤収容室から通気孔を経由する液体
金属潤滑剤の漏出が確実に防止される。
【0040】上記の実施形態は、陽極構造体の組立て、
そして、潤滑剤の供給から排気工程までを、陽極支持部
を上方に向けたままの縦向きで行っている。しかし、こ
れに限らず、回転軸を一旦横向きにした後に図6に示す
ように縦向きにして排気を行なってもよい。
【0041】回転軸を一旦横向きにすると、とくにスラ
スト軸受の部分では、図8に示すように、固定体径大部
15bに形成した潤滑剤収容室のうち、開口が下向きに
位置する収容室35から、潤滑剤Lが空間Scを経てス
ラスト軸受23、24の軸受間隙内に流動する。とくに
Pb層を付着した軸受面間に流動したGa合金潤滑剤
は、室温でも比較的速やかにPb層を濡らし、かつ、わ
ずかながら融合し、毛細管現象によりこの軸受間隙内お
よびらせん溝内にゆきわたる。なお、この操作は空気中
で行っても、Pb層および潤滑剤の表面部の酸化は少な
く、両者の濡れや融合は支障なく進行する。また、X線
管を横倒しのまま固定体径大部に形成したすべての潤滑
剤収容室が順次下向きになるように回せば、スラスト軸
受間隙の全体に確実に潤滑剤が供給される。
【0042】この後、図6に示したように縦向きに設置
して排気を行えば、回転構造体の全荷重が加わるスラス
ト軸受の両軸受面間に既に液体金属潤滑剤が介在してい
るため、陽極ターゲットを比較的高速で回転させても電
子ビーム衝撃を支障なく行うことができる。
【0043】また、Pb薄膜は、排気工程の際に回転体
の荷重が加わる軸受面には必ず付着するようにし、他の
軸受面、または固定体と回転体との嵌合面の潤滑剤が供
給される全面に付着するようにしてもよい。
【0044】上記の実施形態では、回転軸を縦向きにし
て排気を行う場合について述べたが、回転軸を横向きに
して排気を行ってもよい。この場合も、Pb薄膜をラジ
アル軸受面に付着させておくことにより、同様の効果を
得ることができる。
【0045】また、軸受面上に付着したPb薄膜の上
に、潤滑剤注入工程の前に液体金属潤滑剤を小量滴下し
て濡らし、その後、軸受構成部材を組立てもよい。
【0046】また、軸受面上にPb薄膜を付着する方法
は、スパッタリングやイオンプレーティング法、めっき
法に限らず、他の公知の薄膜形成方法を採用することが
できる。
【0047】なお、金属潤滑剤の充填量は、好ましく
は、上記の各軸受部分や軸受間隙、潤滑剤収容室、放射
方向通路、および各内部空間を含む空間容積の20%乃
至80%の範囲で、例えば50%程度が有効である。ま
た、金属潤滑剤は、GaやGa−In合金、あるいはG
a−In−Sn合金のようなGaを主体とするものが使
用される。しかし、これに限らず、例えばビスマス(B
i)を相対的に多く含むBiーIn−Pb−Sn合金、
あるいはInを相対的に多く含むIn−Bi合金、また
はIn−Bi−Sn合金を使用することができる。これ
らは融点が室温以上であるので、陽極ターゲットを回転
させる前に金属潤滑剤をその融点以上の温度に予熱した
後、回転させることが望ましい。
【0048】なお、上記した実施形態では、スラスト軸
受を形成するスラストリングの軸受面と固定体径大部の
軸受面にPb薄膜を付着しているが、その一方の軸受面
だけにPb薄膜を付着するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、X線管の製造工程な
どにおいて陽極構造体の回転起動を滑らかにし、破損を
防止できる回転陽極型X線管を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示す要部分解縦断面図で
ある。
【図2】図1の要部を拡大した断面図である。
【図3】図2の線分3−3における横断面図である。
【図4】図1の一部を示す底面図である。
【図5】図1の各部品を組み立てた状態を示す要部縦断
面図である。
【図6】この発明の排気工程を説明するための縦断面図
である。
【図7】この発明の排気工程における要部を拡大して示
した断面図である。
【図8】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【符号の説明】
11…陽極ターゲット 12…回転体 13…回転軸 15…固定体 15a…固定体径小部 15b…固定体径大部 16、17、20、22…らせん溝 31…中心軸方向の潤滑剤収容室 35…固定体径大部の潤滑剤収容室 51、53…Pb薄膜 L…液体金属潤滑剤

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定体と、陽極ターゲットに連結されそ
    の内面と前記固定体の外面とが軸受け間隙をもって配置
    された回転体と、前記固定体の外面と前記回転体の内面
    との間に形成された動圧式すべり軸受け、および、前記
    軸受け間隙にそれぞれ供給された少なくとも動作中は液
    状である金属潤滑材とを具備した回転陽極型X線管にお
    いて、前記固定体の軸受け面と前記回転体の軸受け面の
    少なくとも一方に、鉛の薄膜を付着させたことを特徴と
    する回転陽極型X線管。
  2. 【請求項2】 金属潤滑剤は、ガリウム、インジウム、
    錫、およびビスマスの各金属の中から選択された少なく
    とも1つの金属、または、前記各金属の少なくとも1つ
    を含む合金からなる請求項1記載の回転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 鉛の薄膜を、回転軸に対して直角に位置
    する軸受け面のみに付着させた請求項1記載の回転陽極
    型X線管。
JP1124498A 1998-01-23 1998-01-23 回転陽極型x線管 Pending JPH11213927A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1124498A JPH11213927A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 回転陽極型x線管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1124498A JPH11213927A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 回転陽極型x線管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11213927A true JPH11213927A (ja) 1999-08-06

Family

ID=11772536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1124498A Pending JPH11213927A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 回転陽極型x線管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11213927A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011249244A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Toshiba Corp 回転陽極型x線管
US10094425B2 (en) 2014-05-21 2018-10-09 Koninklijke Philips N.V. Hydrodynamic bearing, and X-ray tube, and X-ray system, and a method for manufacturing a hydrodynamic bearing,

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011249244A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Toshiba Corp 回転陽極型x線管
US10094425B2 (en) 2014-05-21 2018-10-09 Koninklijke Philips N.V. Hydrodynamic bearing, and X-ray tube, and X-ray system, and a method for manufacturing a hydrodynamic bearing,

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3663111B2 (ja) 回転陽極型x線管
EP0479195B2 (en) Rotary-anode type x-ray tube
EP0552808B1 (en) Method of manufacturing a rotating anode X-ray tube
KR940009194B1 (ko) 회전양극형 x선관
JP3093581B2 (ja) 回転陽極型x線管及びその製造方法
JP3410882B2 (ja) 回転陽極型x線管
JPH11213927A (ja) 回転陽極型x線管
JP3410886B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3068952B2 (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JP4704717B2 (ja) 回転陽極型x線管装置
JP2937574B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2003203590A (ja) 回転陽極型x線管
JP2003272548A (ja) 回転陽極型x線管
JP2005108511A (ja) 回転陽極型x線管装置
JPH10255653A (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JP4233420B2 (ja) 回転陽極型x線管装置
JP2735417B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2005135784A (ja) 回転陽極型x線管およびその製造方法
JP2937573B2 (ja) 回転陽極型x線管
JPH04196036A (ja) 回転陽極型x線管
JP2991391B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3068951B2 (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JP3195199B2 (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JPH04144046A (ja) 回転陽極型x線管
JP2002251971A (ja) 回転陽極型x線管

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050120

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Effective date: 20050127

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060217

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060704