JP2930274B2 - 回転陽極型x線管 - Google Patents

回転陽極型x線管

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転陽極型X線管に
係わり、とくにその回転構造体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、周知のように、軸
受を有する回転体および固定体で円盤状の陽極ターゲッ
トを支え、真空容器外に配置したステータの電磁コイル
を付勢し高速回転させながら、陰極から放出した電子ビ
ームを陽極ターゲット面上に当ててX線を放射する。軸
受は、ボールベアリングのようなころがり軸受や、軸受
面にらせん溝を形成するとともにガリウム(Ga)、又
はガリウム−インジウム−錫(Ga−In−Sn)合金
のような動作中液状の金属潤滑剤を用いた動圧式すべり
軸受で構成される。後者のすべり軸受を用いた例は、た
とえば特公昭60−21463号、特開昭60−113
817号、特開昭60−117531号、特開平2−2
27948号、特開平2−244545号の各公報、或
いはヨーロッパ公開特許第479194号、同第479
198号の各明細書等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に開示され
ている液体金属潤滑剤使用の動圧式すべり軸受を備える
回転陽極型X線管では、固定体に対して回転体を高速回
転可能にするとともに、軸受部で発生するガスを軸受部
の外に潤滑剤の漏出を伴うことなく排出するために、固
定体と回転体との間に軸受間隙から真空容器内の空間に
通じる狭い通路を必要とする。液状金属潤滑剤が軸受部
分から漏れ出すと、すべり軸受内の潤滑剤が不足し、長
時間の安定な動圧軸受作用が得られず、さらにX線管の
真空容器内空間にこの液状金属潤滑剤が飛散すると、耐
電圧性能が著しく損なわれるという致命的な障害をもた
らす。
【0004】このような障害の発生を防止する目的で、
例えば上記の特開平2−244545号公報やヨーロッ
パ公開特許479194号、同479198号明細書に
開示された回転陽極型X線管は、すべり軸受から真空容
器内空間に至る空間的な通路が、液体金属潤滑剤が直ち
に付着するようにこの潤滑剤でよく濡れて反応する材質
の壁面で構成されている。この通路の一部は、0.1m
m程度の狭い隙間を有し、潤滑剤漏出防止手段の一部を
構成する。もし、軸受部分から漏出した潤滑剤がこの狭
い通路壁に付着して反応を起こすと、隙間が部分的にさ
らに狭まり、万一その後に潤滑剤が漏出すると、この狭
まった通路に堆積して通路を塞ぎ、極端な場合は回転体
と固定体が機械的に密着してしまうおそれがある。この
ような状態に達すると、安定な回転性能が得られなくな
る。
【0005】この発明は、以上のような不都合を解消
し、液体金属潤滑剤がすべり軸受部から真空容器内空間
に飛散することをより一層確実に防止するとともに、そ
の間の狭い空間的通路に液体金属潤滑剤が堆積してしま
うのを防止して、長時間にわたり信頼性の高い動圧式す
べり軸受動作を維持することができる回転陽極型X線管
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、固定体の延
長部とこれに同軸状に配置された回転体の延長部とによ
り構成される動圧すべり軸受間隙と真空容器内空間とを
繋ぐ空間的通路の壁面を液体金属潤滑剤で濡れない面と
し、この潤滑剤で濡れない面で構成される空間的通路の
途中に、この通路を通って漏出する潤滑剤を捕捉する少
なくとも1つのトラップ空胴が設けられてなる回転陽極
型X線管である。
【0007】
【作用】この発明によれば、万一、軸受部から液体金属
潤滑剤が漏出しても、狭い空間的通路の壁面にこの潤滑
剤が付着することなくトラップ空胴内に確実に捕捉さ
れ、それより外のX線管真空容器内空間に飛散すること
をより一層確実に防止できる。したがって、狭い空間的
通路に潤滑剤が堆積することがなく、長時間にわたり信
頼性の高い回転性能が維持される動圧式すべり軸受を備
える回転陽極型X線管を得ることができる。
【0008】
【実施例】以下その実施例を図面を参照して説明する。
なお同一部分は同一符号であらわす。図1乃至図3に示
す実施例は、次の構成を有する。すなわち、重金属から
なる円盤状陽極ターゲット11は、円筒状の回転体12
の一端に固定されている。この回転体12は、同軸的に
嵌合された内側円筒13、中間円筒14、銅製の外側円
筒15、及び中間円筒に突設された回転軸16を備えて
いる。回転軸16には、陽極ターゲット11がナット1
7で固定されている。内側円筒13の内側には、円柱状
の固定体18が回転体開口部12aの方から挿入されて
同軸状に嵌合されている。固定体18は、その図示下端
部すなわち回転体開口部12aの近傍に、外径が縮小さ
れた固定体延長部18aを有している。そして、回転体
開口部12aには、固定体延長部18aを包囲し、実質
的に開口部12aを閉塞するリング状のスラストリング
19が複数個のボルト20により固着されている。固定
体延長部18aの先端部には、補助支持部材21が溶接
により固着され、これは封着金属リング22を介して真
空容器23のガラス部分に気密接合されている。真空容
器23の内部には、陽極ターゲット11に対向して陰極
24が設けられ、また、真空容器の一部にX線放出用の
窓25が設けられている。真空容器外の回転体12のま
わりには、ステータ電磁コイル26が配置される。
【0009】円筒状回転体12と固定体18との嵌合部
分には、前述の各公報に示されるような各2組の動圧式
ラジアルすべり軸受27、および動圧式スラストすべり
軸受28が構成されている。そのため、固定体側のすべ
り軸受面となる固定体外周面及び先端面、並びにスラス
トリング19の上面には、前述の各公報に記載されてい
るようなヘリンボン・パターンのらせん溝29、30が
形成されている。これと対面する回転体側のすべり軸受
面は、単なる平滑な面でもよく、あるいは必要に応じて
らせん溝を形成したものでもよい。各すべり軸受は、回
転動作中におよそ20マイクロメートルの軸受間隙を保
つように構成されている。また回転軸上にある固定体1
8には、その中心部が軸方向にくり抜かれた孔からなる
潤滑剤収容室31が設けられている。この潤滑剤収容室
31は、その図示上端開口31aがターゲット側のスラ
スト軸受28の軸受間隙に連通しており、図示下方の終
端部31bが固定体延長部18aまで延在している。こ
の固定体18の中間部の外周壁にはわずかに削られた径
小部32が形成されており、潤滑剤収容室31からこの
径小部32に開口する4つの放射方向通路33が90度
間隔で軸対称的に形成されている。すべり軸受のらせん
溝や、軸受間隙、潤滑剤収容室31、径小部32による
空間、および通路33には、Ga合金のような液体金属
潤滑剤が供給されている。
【0010】さて、径小な固定体延長部18aのスラス
ト軸受28に近接した部分には、径小に削られた円周状
凹み34が設けられている。スラストリング19には、
固定体延長部18aを近接包囲するスラストリング円筒
部19aが一体形成されている。これら固定体延長部1
8a及びスラストリング19によって、スラスト軸受2
8から真空容器23の内部空間に至る空間的な通路Gの
一部が構成されている。さらにスラストリング19に
は、スラストリング円筒部19a及び固定体延長部18
aの一部を同軸的に包囲する回転体カバー35が固定さ
れている。この回転体カバー35は、径大な外側円筒部
35a、及び径小な内側円筒部35bを有している。内
側円筒部35bは、スラストリング円筒部19aと同等
の内径を有し固定体延長部18aを近接包囲しており、
さらにその上下端部に外方に拡大するテーパ部35c、
35dが形成されている。こうして、固定体延長部18
a、及び回転体カバーの内側円筒部35bによって、同
じくスラスト軸受28から真空容器23の内部空間に至
る空間的な通路Gのさらに一部が構成されている。スラ
ストリング円筒部19a、回転体カバーの外側円筒部3
5a、及び内側円筒部35bの一部は、スラストリング
円筒部の外周にリング状の第1のトラップ空胴36を構
成している。そして、スラストリング円筒部19aの端
面と、回転体カバーの内側円筒部35bのテーパ部35
dの先端面とは、第1トラップ空胴36の開口Q1 を構
成している。なお、スラストリング円筒部19a、回転
体カバー35は、固定体延長部を同軸的に取り巻く回転
体延長部を構成している。
【0011】そして、固定体延長部18aの外周に固定
された補助支持部材21は、そのテーパ部21aが回転
体カバーの内側円筒部35bのテーパ部35dに離隔近
接し、同じく狭い通路Gを保って配置されている。補助
支持部材21の外周には、回転体カバー35の一部を取
り巻いて、半断面ほぼU字状の固定体カバー37がろう
接固定されている。この固定体カバー37は、径大な第
2のトラップ空胴38を構成している。固定体カバー3
7の内側円筒部37aは、回転体カバーの外側円筒部3
5a、内側円筒部35b及びテーパ部35dの外形形状
に添った内形形状を有していて、これらによって同じく
狭い通路Gの一部が構成されている。また、補助支持部
材21とこれに近接して対向する固定体カバーの内側円
筒部37aの端面とは、第2のトラップ空胴38の開口
Q2 を構成している。そして、通路Gは、開口Q2 に至
る手前から図示上方に折り返されて縦断面でみると蛇行
状に延長され、真空容器内空間への開口Rで終端となっ
ている。そして、以上述べた各通路Gを構成している壁
面は、潤滑剤濡れ防止層43で構成されている。
【0012】第1及び第2のトラップ空胴36,38の
内面は、これらを構成している鉄或いはステンレス鋼の
ような類似の鉄合金の素材表面がそのまま露出してお
り、潤滑剤で濡れる内表面状態になっている。加えて、
これら第1トラップ空胴36の内部、並びに第2トラッ
プ空胴38の内部には、潤滑剤でよく濡れる銅の細線を
ほぼ円筒状に編んだ潤滑剤付着用のネット39、40を
それぞれ配置してある。一方のネット39は、第1トラ
ップ空胴の一部を構成している回転体カバー35の外側
円筒部35aの内周壁に、また他方のネット40は、第
2トラップ空胴の一部を構成している固定体カバー37
の外側円筒部の内周壁及び補助支持部材21の水平な壁
にそれぞれ貼り付けてある。さらに、潤滑剤収容室の下
端部31bと、第2トラップ空胴とを直接通気可能に接
続するように、微小直径の通気ダクト41を穿設してあ
る。この通気ダクト41は、潤滑剤を通過させず、且つ
それで塞がれないように、潤滑剤を弾く材料で構成され
たスポンジ状の栓42で保護されている。この通気ダク
ト41は、潤滑剤収容室31にガスが発生又は到達した
場合に、潤滑剤の漏出を伴わずにこのガスを内容積の大
きい第2トラップ空胴に排出してここでガス圧力を低下
させ、さらにこのガスを開口Rに至る通路Gを通して真
空容器内空間に排出するためのものである。
【0013】そこで、スラスト軸受28から真空容器2
3の内部空間に至る空間的な通路Gを構成している各部
材の壁面には、液体金属潤滑剤で濡れず、この潤滑剤を
弾く材料の潤滑剤濡れ防止層43を付着してある。この
潤滑剤濡れ防止層43は、図1及び図2では点線で、図
3では実線で表わされているように、通路Gのほぼ全領
域の壁面に付着されている。そしてこの潤滑剤濡れ防止
層43は、酸化ジルコニウム(Zr O2 )、酸化インジ
ウム(In23 )、酸化アルミニウム(Al2
3 )、或いは炭化チタン(TiC)等を塗布、吹き付
け、蒸着、スパッタリング、或いは溶射等により被覆し
たものが適当である。相対向する壁面が潤滑剤濡れ防止
層43で被覆された通路Gは、どこも約0.1mm程度
の通路間隙になっている。なお、スラスト軸受28に近
い円周状凹み34の近傍に、らせん溝ポンプを構成し
て、この円周状凹み付近に漏れ出た潤滑剤をスラスト軸
受28の方に押し戻すように構成してもよい。
【0014】このように構成された回転陽極型X線管
は、動作中、万一、軸受部から液体金属潤滑剤が通路G
の方に漏れ出た場合、通路Gの壁面が潤滑剤濡れ防止層
43で形成されているので、この通路壁面に付着するこ
となく小粒状態で転がり、移動する。そして、図3に示
すように、第1のトラップ空胴36の開口Q1 の付近に
至ると、回転体が高速回転しているので、潤滑剤は遠心
力で第1トラップ空胴36の内部に弾き飛ばされ、ネッ
ト39あるいはトラップ空胴の内壁面に付着する。第1
トラップ空胴36内に弾き飛ばされた潤滑剤は、ネット
39又は空胴内壁面に付着して反応するので、ここで確
実に捕捉され、再び通路Gに入り込む余地がない。この
第1トラップ空胴36に捕捉されずに通路Gをさらに図
示下方に移動する潤滑剤は、やはり小粒状態のまま通路
Gを図示下方に移動し、回転体カバーのテーパ部35d
と補助支持部材21との間の通路Gを転がって、矢印の
ように遠心力で開口Q2 から第2トラップ空胴38の内
部に弾き飛ばされ、空胴内面壁あるいはネット40に付
着して捕捉される。なお、真空容器内空間に通じる開口
Rに近い通路Gは、開口Q2 に至る手前から図示上方に
折り返されて蛇行状に延長されているので、この終端側
の通路Gを経て開口Rから真空容器内空間に潤滑剤が漏
出する確率は極めて小さい。
【0015】こうして、万一、軸受部から液体金属潤滑
剤が漏出しても、狭い空間的通路の壁面にこの潤滑剤が
付着することなくトラップ空胴内に確実に捕捉され、通
路外のX線管真空容器内空間に飛散することが、より一
層確実に防止される。
【0016】図4に示す実施例は、回転軸の方向に沿っ
て延長した通路Gの先に第1のトラップ空胴36を形成
したものである。すなわち、補助支持部材21に半断面
L字状の金属リング44をろう接固定し、固定体延長部
18aのまわりに第1トラップ空胴36を構成してあ
る。そしてこの第1トラップ空胴36の開口Q1 までの
通路Gの壁面に潤滑剤濡れ防止層43を形成してある。
また、横方向に延長された通路Gの外周に第2トラップ
空胴38を構成してある。そして、第2トラップ空胴3
8への開口Q2 、真空空間への開口Rに至る各通路Gの
ほぼ全壁面に、潤滑剤濡れ防止層43を形成してある。
【0017】この実施例によれば、スラスト軸受28か
ら軸方向に直線的に延長された通路Gの先に第1のトラ
ップ空胴36を設け、さらに横方向に延長された通路G
の外周に第2トラップ空胴38を構成してあるため、通
路Gを移動する潤滑剤を一層確実にトラップ空胴に捕捉
することができる。したがって、真空容器内空間への潤
滑剤の漏出を一層確実に防止することができる。
【0018】図5および図6に示す実施例は、固定体カ
バー37の開口部の内側に、薄い金属円板からなるシー
ルリング45の外周部をねじ46により固定し、このシ
ールリング45の内周面を回転体カバー35の垂直面3
5eに接触させたものである。シールリング45は、例
えば厚さが約50マイクロメートルの、例えばタングス
テン(W)、インコネルとして知られるNi−Cr−F
e合金、或いはばね鋼のような、耐摩耗性にすぐれ且つ
比較的弾性に富む材料で構成されている。そしてこのシ
ールリング45には、その外周部に複数の固定用孔45
a、内周部に潤滑剤がその表面張力で通過できない狭い
通気用スリット45bがらせん状に多数形成されてい
る。それによって、このシールリング45は、回転体カ
バー35の垂直面35eに、それ自身がもつ弾性力でわ
ずかに押し付けられながら接触している。半断面L字状
の固定体内側リング47は、それと回転体カバーの内側
円筒部35bの外周壁との間に狭い通路Gを構成してお
り、この通路Gの壁面には潤滑剤濡れ防止層43が形成
されている。なお、潤滑剤収容室31bと第2トラップ
空胴とを通気可能に接続する通気ダクト41には、潤滑
剤がその表面張力により入り込めない大きさの多数の微
小孔を有するロッド48が打ち込まれて固定されてい
る。なお、このロッド48は、潤滑剤を弾く材料で構成
してもよく、その場合は貫通孔の内径を比較的大きくす
ることができる利点がある。
【0019】この実施例によれば、万一、軸受部から液
体金属潤滑剤が漏出しても、狭い空間的通路Gの壁面に
この潤滑剤が付着することなくトラップ空胴内に捕捉さ
れるとともに、とくにシールリングにより通路Gが真空
容器内空間と通気可能であるが潤滑剤の漏出が不可能な
状態に塞がれており、潤滑剤の真空容器内空間への漏出
は確実に防止される。
【0020】なおこの発明は、中心軸上に略円柱状の回
転体を配置し、その外周に有底円筒状の固定体を同軸的
に嵌合配置した構造の回転陽極型X線管にも適用でき
る。また、トラップ空胴は、1個でも、或いは3個以上
設けてもよい。なおまた、通路Gの潤滑剤濡れ防止層
は、通路Gを構成する金属の表面を酸化させた酸化膜で
あってもよく、或いは被膜を形成する代わりに、通路G
を構成する素材自体が潤滑剤で濡れずに弾く例えばアル
ミナその他のセラミックスのような材料で構成されても
よい。
【0021】なおまた、液体金属潤滑剤は、Ga、Ga
−In合金、あるいはGa−In−Sn合金のようなG
aを主体とするものが使用できるが、それに限らず、例
えばビスマス(Bi)を相対的に多く含むBi−In−
Pb−Sn合金、あるいはInを相対的に多く含むIn
−Bi合金、又はIn−Bi−Sn合金を使用し得る。
これらは融点が室温以上であるので、陽極ターゲットを
回転させる前に金属潤滑剤をその融点以上の温度に予熱
したうえで回転させることが望ましい。
【0022】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
万一、軸受部から液体金属潤滑剤が狭い空間的通路Gに
漏出しても、この通路の壁面に潤滑剤が付着することな
くトラップ空胴内に確実に捕捉され、X線管真空容器内
空間に飛散することが一層確実に防止できる。したがっ
て、長時間にわたり信頼性の高い回転性能が維持される
動圧式すべり軸受を備える回転陽極型X線管を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す縦断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】図2のさらに要部拡大図。
【図4】この発明の他の実施例を示す要部縦断面図。
【図5】この発明のさらに他の実施例を示す要部拡大縦
断面図。
【図6】図5の要部斜視図。
【符号の説明】
11…陽極ターゲット、 12…回転体、 18…固定体、 18a…固定体延長部、 23…真空容器、 19、35…回転体延長部、 27,28…すべり軸受、 G…通路 36,38…トラップ空胴、 31…潤滑剤収容室、 41…通気ダクト、 43…潤滑剤濡れ防止層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 35/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に設けられた陽極ターゲット
    と、この陽極ターゲットが固定された回転軸を有する回
    転体と、この回転体に対して同軸状に嵌合配置され該回
    転体を回転可能に保持する固定体と、前記回転体および
    固定体の嵌合部に設けられたらせん溝を有するすべり軸
    受と、このすべり軸受のらせん溝及び軸受間隙に供給さ
    た動作中液状の金属潤滑剤とを具備する回転陽極型X
    線管において、 上記固定体の延長部とこれに同軸状に配置された上記回
    転体の延長部とにより構成される上記軸受間隙と上記真
    空容器内空間とを繋ぐ空間的通路の壁面を上記潤滑剤で
    濡れない面とし、 前記潤滑剤で濡れない面で構成される上記空間的通路の
    途中に、該通路を通って漏出する潤滑剤を捕捉する少な
    くとも1つのトラップ空胴が設けられてなることを特徴
    とする回転陽極型X線管。
  2. 【請求項2】 上記トラップ空胴の内壁面の少なくとも
    一部は上記潤滑剤が容易に付着する材質である請求項
    1記載の回転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 回転中心軸上にある上記固定体または回
    転体に潤滑剤収容室が設けられ、該潤滑剤収容室と上記
    トラップ空胴とが、上記潤滑剤を通過させない通気用ダ
    クトで連通されてなる請求項1記載の回転陽極型X線
    管。
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