JP3017859B2 - 回転陽極型x線管およびその製造方法 - Google Patents

回転陽極型x線管およびその製造方法

Info

Publication number
JP3017859B2
JP3017859B2 JP3245890A JP24589091A JP3017859B2 JP 3017859 B2 JP3017859 B2 JP 3017859B2 JP 3245890 A JP3245890 A JP 3245890A JP 24589091 A JP24589091 A JP 24589091A JP 3017859 B2 JP3017859 B2 JP 3017859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
bearing surface
rotating body
metal
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3245890A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04363844A (ja
Inventor
勝弘 小野
秀郎 阿武
弘行 杉浦
隆幸 北見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP3245890A priority Critical patent/JP3017859B2/ja
Publication of JPH04363844A publication Critical patent/JPH04363844A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3017859B2 publication Critical patent/JP3017859B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転陽極型X線管
よびその製造方法に係わり、とくに少なくともX線管の
動作中は液状の金属潤滑剤を使用する動圧式すべり軸受
を備える回転陽極型X線管およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、周知のように、軸
受部を有する回転体および固定体で円盤状の陽極ターゲ
ットを支え、真空容器外に配置したステータの電磁コイ
ルを付勢して回転磁界を生じさせ、陽極ターゲットを高
速回転させながらこれに陰極から放出した電子ビームを
当ててX線を放射する。軸受部は、ボールベアリングの
ようなころがり軸受や、軸受面にらせん溝を形成すると
ともにガリウム(Ga)、又はガリウム−インジウム−
錫(Ga−In−Sn)合金のような液体金属を潤滑剤
として用いた動圧式すべり軸受で構成される。後者のす
べり軸受を用いた例は、たとえば特公昭60-21463号、特
開昭60-97536号、特開昭 60-117531号、特開昭 62-2875
55号、あるいは特開平2-227947号等の各公報に開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に開示され
ている回転陽極型X線管では、そのすべり軸受を構成す
る回転体および固定体として、モリブデン(Mo)又は
Mo合金、あるいはタングステン(W)、又はW合金が
使用されている。しかしながら、このような金属で構成
した軸受面は、空気中での組立て工程で酸化しやすく、
この酸化膜のために軸受面とGa合金の液体金属潤滑剤
との濡れ性が悪くなる。そのため、軸受面に生じた酸化
膜を除去する特別の処理が必要であり、組立て工程が煩
雑で、信頼性の高い動圧式すべり軸受の性能が得られな
い場合がある。
【0004】この発明は、以上のような不都合を解消
し、軸受面と液体金属潤滑剤との濡れ性にすぐれ、動圧
式すべり軸受の安定な動作を維持することができる回転
陽極型X線管を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、陽極ターゲ
ットを回転自在に支えるとともに動圧式すべり軸受部を
構成する回転体および固定体の少なくとも一方のすべり
軸受面が、金属母材もしくは窒化物セラミックス、炭化
物セラミックス、又は炭窒化物セラミックスからなる母
材の表面部に、この母材を構成している元素と、ガリウ
ム、インジウム、ビスマス、および錫の中から選ばれた
少なくとも1つの金属元素とを含む反応層が薄く形成さ
れてなる回転陽極型X線管である。
【0006】
【作用】この発明によれば、軸受面と液体金属潤滑剤と
の濡れ性がすぐれ、動圧式すべり軸受の安定な動作を維
持することができる。また、この軸受の組立てが容易
で、信頼性の高い軸受動作を得ることができる。
【0007】
【実施例】以下その実施例を図面を参照して説明する。
なお同一部分は同一符号であらわす。図1乃至図6に示
す実施例は、重金属からなる円盤状陽極ターゲット11
が、円筒状回転体12の一端に突設された回転軸部13にナ
ット14で固定されている。円筒状回転体12の内側には、
固定体15が嵌合されており、回転体の下端開口部には円
板状のフランジ16が固着されている。固定体15の下端の
陽極支持部17は、ガラス製の真空容器18に気密接合され
ている。円筒状回転体12と固定体15との嵌合部分は、前
述の各公報に示されるような動圧式のラジアル軸受およ
びスラスト軸受部19を構成している。そのため、固定体
15のすべり軸受面となる外周壁及び両端壁には、前述の
各公報に記載されているようなヘリンボン・パターンの
らせん溝20、21が形成されている。これと対面する回転
体12のすべり軸受面は、単なる平滑な面でもよく、ある
いは必要に応じてらせん溝やその他の溝を形成したもの
でもよい。なお、回転体12のMo製母材の外周には、鉄
のような強磁性体円筒12a、及びその外周に銅のような
低電気抵抗材からなるロータ円筒12b が嵌合固着されて
いる。
【0008】そこで、回転体12及び固定体15は、その母
材がMo又はMo合金(以下、単にMoと記す)で構成
されている。そして、両者の軸受面となる回転体内表
面、および固定体外表面に、軸受母材の金属元素である
Moと少なくともGaとを含む薄い反応層(以下、単に
Mo−Ga反応層)と記す)31、32がそれぞれ薄く形成
されている。このMo−Ga反応層31、32は、予め、母
材の表面に1〜100マイクロメートルの範囲の厚さに
形成される。その形成例は後述する。
【0009】なお、Mo−Ga反応層31,32 が形成され
ている回転体及び固定体の両軸受面は、およそ20マイ
クロメートルの軸受間隙gを保って近接するように組立
てられる。固定体15には、その中心部が軸方向にくり抜
かれた透孔からなる潤滑剤収容室22が設けられている。
この潤滑剤収容室22は潤滑剤の循環用通路を兼ねてお
り、その図示上端22a は、固定体先端の軸受面に開口
し、らせん溝21、20をもつ軸受間隙に連通している。ま
た、この固定体15の中間部の外周壁に、わずかにテーパ
状に削られた径小部23が形成され、潤滑剤収容室22から
この径小部23に通じる3つの放射方向通路24が 120度間
隔で軸対称的に形成されている。さらに、中心の潤滑剤
収容室22の図示下端開口部22bは、固定体15と同じMo
製の栓25によって閉塞されており、その近傍に径小な円
周溝26が形成されている。そして、この円周溝26から中
心の潤滑剤収容室22に通じる同じく3つの放射方向通路
27が120度間隔で軸対称的に形成されている。それによ
り、潤滑剤収容室22の図示下端部22b は、放射方向の孔
27および円周溝26を通して図示下部のらせん溝21,20お
よび軸受間隙gに連通している。軸受部19のらせん溝2
0、21、軸受間隙g、およびこれに連通する潤滑剤収容
室22や通路24には、これらの空間を埋める量の図示しな
い液体金属潤滑剤が充填、収容される。そして、潤滑剤
収容室22の存在によって、長時間の動作でも各軸受間隙
gやらせん溝内に必要十分な量の液体金属潤滑剤が供給
され、所要の動圧式すべり軸受の動作が維持される。
【0010】固定体15の図示下端部には、鉄材からなる
陽極支持部17がろう接により一体的に固着されている。
陽極支持部17は、真空容器18に気密接合されている。そ
して、回転体12に対応する位置の真空容器外に、図示し
ない電磁コイルをもつステータを配置して回転磁界を生
じさせ、回転陽極を矢印Pの如く高速回転させる。図示
しない陰極から放出された電子ビームが陽極ターゲット
11の面上に衝突してX線を発生する。このターゲットに
生じた熱はその多くが輻射により放散されるとともに、
その一部は回転体から軸受部の液体金属潤滑剤を通り固
定体を経て外部に放散させられる。軸受面を構成してい
るMo−Ga反応層31,32 は、回転陽極型X線管として
必要十分な電気伝導性および熱伝導性を有しているの
で、陽極電流および熱の通路として支障なく機能する。
その上、高温での機械的強度も十分高く、安定な軸受動
作性能を備える回転陽極型X線管が得られる。
【0011】さて、回転体及び固定体の軸受面にMo−
Ga反応層31,32を形成する例について説明する。その
1つの例は、まずMo製回転体12及び固定体15の母材の
軸受面となる所定箇所に、ヘリンボン・パターンのらせ
ん溝20,21 を形成した。次にこのMo製母材を、真空中
でおよそ700℃に加熱して軸受面を清浄化した。次
に、同じ真空中で温度を約450〜550℃の範囲の例
えば500℃に保ち、同室中に置いたGa(但しこれに
はGaを主体とする合金を含み、たとえばGa−In−
Sn合金)の浴槽中にこの母材を浸し、所定時間保持し
たうえ、冷却した。それによって、Mo製母材の元の表
面から内部に約5マイクロメートル、外部に約9マイク
ロメートルの厚さでそれぞれ生成された合計約14マイ
クロメートルの厚さの、Mo,Ga,In,Snを含む
金属間化合物(合金)からなるMo−Ga反応層31,32
が母材表面部に形成された軸受面を得た。
【0012】なお、このように作製した軸受部材は、表
面部の深さ方向の各位置での金属成分含有量が、図7の
ような分布になった。これは、EPMA分析から成分量
を求めモル比を概算したものである。同図中の一点鎖線
Aの位置がMo製母材の元の表面に対応している。この
位置Aから母材の内部方向に主としてGaと母材Moと
の金属間化合物からなる点線B位置までの領域が確認で
きる。このAからBまでの厚さが約5マイクロメートル
である。そして位置B付近では、GaとMoとの比率が
急激に逆転してそこから奥はMoのみの金属領域になっ
ていることがわかる。つまり、深さB位置までは、浴槽
中のGaがMo母材中に拡散してGa−Mo反応層を生
成している。元のMo母材表面Aから表面Cまでの領域
には、Ga,In,Sn,Moからなる金属間化合物の
層が認められる。なお、表面位置Cは、前述の反応処理
後に粗面になっている最表面を研磨によって約2マイク
ロメートルの厚さ分だけ除去して平坦にした面である。
この表面部の反応層は、すべり軸受面として実用十分な
高い硬度を有することが確認された。こうして、表面C
から所定深さの位置BまでがMo−Ga反応層31(又は
32)である。なお、反応層を形成する前の回転体又は固
定体の軸受間隙寸法は、この反応層の厚さ分だけ大きい
寸法に形成しておき、完成時に所定の軸受間隙寸法とな
るようにする。なお、母材金属と反応層をつくる浴槽中
の低融点金属は、Ga単体でもよいし、あるいはGaと
他の比較的低融点金属との合金であってもよい。
【0013】この反応層を有する軸受面は、X線管の動
作中に経験する温度の最高が約400℃程度であって、
且つその持続時間が短いので、この反応層はほとんど変
化がなく、高硬度の軸受面が維持される。しかも、この
反応層は、組立て工程中に表面に酸化膜が形成されて
も、この酸化膜の除去がきわめて容易であるとともに、
すべり軸受として組立てたうえで両軸受間隙やらせん溝
内にGa又はGa合金からなる液体潤滑剤を注入充填す
れば、その後のX線管仕上げ工程での真空中の熱処理
で、Mo−Ga反応層からなる軸受面と液体金属潤滑剤
との濡れ性のよい安定な直接接触が得られる。したがっ
て、組立てが容易であるとともに、動圧式すべり軸受と
しての機能が十分得られる。
【0014】図8に示す実施例は、らせん溝を有しない
回転体又は固定体の母材表面部に、予め例えば50マイ
クロメートル程度の比較的厚いMo−Ga反応層31(又
は32)を前述のような方法で形成し、この反応層の表面
を軸受面としての所定直径寸法となるように切削すると
ともに、この反応層中にらせん溝20(又は21)を機械加
工あるいは化学エッチングにより形成したものである。
この製作方法によれば、最終的に所望の高精度らせん溝
や軸受間隙寸法を有する動圧式すべり軸受を持つX線管
を得ることができる。
【0015】なおまた、Mo−Ga反応層を形成した
後、表面部Cから少なくとも元の母材表面部Aまでの範
囲を研磨除去し、Mo中にGaが拡散した化合物層(図
7に示すAからBまでの領域に相当する)を表面に露出
させ、これを軸受面としてらせん溝をこの層中に形成し
て使用してもよい。それによって、高温での硬度が一層
高く、且つ液体金属潤滑剤とのなじみのよい安定な軸受
面を有するX線管が得られる。
【0016】以上の実施例は、回転体あるいは固定体
に、各部品状態で各々単独に表面反応層を形成したもの
である。なお、各軸受部品を常温の大気中で組立てる
際、軸受面を構成している反応層の表面に空気中の酸素
との自然結合によってGa酸化膜等が生成されるが、こ
のような酸化膜はきわめて薄く且つ不安定であるので、
拭き取りによっても大部分除去できるのみならず、その
後に供給されるGa又はGa合金等の液体金属潤滑剤と
の接触でこのような酸化膜はきわめて簡単に破れ、上記
反応層と潤滑剤との濡れ接触は確実に保たれる。また、
上記反応層上の自然生成的な酸化膜の一部は潤滑剤中に
分散することも考えられるが、その量は無視できる程度
に少ないので、動圧発生潤滑作用に支障が起きることは
ない。なお、Ga又はGa合金等の液体金属潤滑剤と接
触させる前の回転体又は固定体は、これら回転体又は固
定体の材料自体の表面酸化膜の生成を未然に防止するた
め、高温で空気中の酸素と長時間接触させないように
し、或いはGa又はGa合金と接触させる前に例えば真
空中で数100℃以上に加熱して表面を還元し清浄化
し、それらに引き続いて高温でGa又はGa合金と接触
させるようにして上記の反応層を形成する工程を経ると
よい。なおまた、上記に限らず、次のように製作するこ
ともできる。すなわち、予め、完成時の軸受間隙よりも
大きい軸受間隙寸法となるように回転体及び固定体を製
作するとともに、これらを組合わせ、軸受間隙やらせん
溝内、潤滑剤収容室内にGa又はGa合金の潤滑剤を注
入充填する。そしてこれらを、真空中で約500℃に加
熱して所定時間保持したうえ、冷却する。それによっ
て、回転体及び固定体の各軸受面には所定厚さのMo−
Ga反応層が形成されるとともに、減少した所定間隔の
軸受面間に残りのGa又はGa合金の潤滑剤が滞留す
る。そして必要に応じて軸受間隙や潤滑剤収容室内にG
a又はGa合金潤滑剤を補充し、X線管として仕上げ
る。このような製作方法によれば、完成時の軸受間隙を
考慮したMo−Ga反応層の生成量を、熱処理温度およ
び保持時間を精密に管理することにより、回転体と固定
体との組立構体を分解することなくそのまま製品に仕上
げることができ、余分の組立工程が不要になる。従っ
て、量産性に富む。
【0017】なお、軸受部の軸受面構成母材は、Moの
他、W(これにはW主体の合金を含む)、ニオブ(N
b、これにはNb主体の合金を含む)、又はタンタル
(Ta、これにはTa主体の合金を含む)で構成するこ
とができる。また、鉄やステンレス鋼のような鉄合金又
は他の金属、あるいはセラミックスを軸受構成体としそ
の軸受面となる部分に前記のような金属を薄く被覆して
軸受母材としたものであってもよい。これら金属を軸受
部の母材とする場合は、その表面部に形成するこれら母
材金属とGa又はGa合金元素との反応層の厚さは、
受面の予期しないこすれ等による軸受母材金属の露出に
よる“かじり付き”や酸化の防止或いはその形成制御の
容易さから、1μm(マイクロメートル)〜100μm
の範囲の厚さにする必要がある。
【0018】軸受部の母材はまた、チタン窒化物、モリ
ブデン窒化物、又はニオブ窒化物のようなセラミック
ス、あるいはバナジウム炭化物、チタン炭化物、又はニ
オブ炭化物のようなセラミックスであってもよい。ある
いはまた、バナジウム炭窒化物やチタン炭化窒化物のよ
うな炭窒化物セラミックスであってもよい。
【0019】また、他の金属の表面部に窒化物、炭化
物、又は炭窒化物セラミックスの被覆を形成して軸受面
母材としたものであってもよい。これら窒化物、炭化
物、又は炭窒化物セラミックスの軸受母材の場合は、そ
の軸受母材とGaとの反応層の厚さは、その付着制御の
容易さから、1マイクロメートル以下(当然、0は含ま
ない)にすることが望ましい。すなわち図9に示すよう
に、予め、らせん溝20,21を形成したステンレス鋼製の
固定体15の軸受面部分に、数マイクロメートルの厚さの
チタン窒化物セラミックス層33をCVD法により付着形
成し、さらにその表面にチタン窒化物とGaとの反応層
34を約0.5マイクロメートルの厚さに付着形成して軸
受面としてもよい。なお、上記のようなセラミックス製
軸受母材とGa等の液体金属潤滑剤構成元素との反応層
は、例えばTiNセラミックスとGaとの場合では、こ
れらを高温に加熱処理することによりNと結合している
Tiの一部のTiとGaとの合金が生じ、これら3元素
の化合物の形であろうと推測される。これは、上記のよ
うなセラミックスと金属との接合技術の分野で確認され
ている濡れ性及び界面反応生成物と同様に考えられる。
【0020】軸受面となる反応層は、母材を構成してい
る元素と、Ga、ビスマス(Bi)、In、あるいはS
nから選択された少なくとも1つの元素とを含む反応層
であればよい。そして、母材を金属とした場合は、反応
層の厚さを1マイクロメートル以上にすることが望まし
い。また、母材を金属とした場合の反応層は、導電性を
有するので、X線管陽極電流の通路の一部としても利用
できる。一方、母材を窒化物、炭化物、又は炭窒化物セ
ラミックスとした場合は、製作の容易さから、反応層の
厚さを1マイクロメートル以下にすることが望ましい。
【0021】なおまた、潤滑剤は、Ga、Ga−In合
金、又はGa−In−Sn合金のようなGaを主体とす
るものに限らず、例えばビスマス(Bi)を相対的に多
く含むBi−In−Pb−Sn合金、あるいはInを相
対的に多く含むIn−Bi合金、又はIn−Bi−Sn
合金を使用し得る。これらは融点が室温以上であるの
で、陽極ターゲットを回転させる前に潤滑剤をその融点
以上の温度に予熱したうえで回転させることが 望まし
い。
【0022】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
すべり軸受面となる軸受母材表面部に、この母材を構成
している元素と、ガリウム、インジウム、ビスマス、お
よび錫の中から選ばれた少なとも1つとを含む反応層が
薄く形成されてなるため、この軸受面に対する液体金属
潤滑剤の濡れ性がすぐれ、動圧式すべり軸受の安定な動
作を維持することができる。また、この軸受の組立てが
容易で、信頼性の高い軸受動作性能をもつ回転陽極型X
線管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す要部縦断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】同じく図1の一部を示す半縦断面図である。
【図4】図1の要部を示す拡大縦断面図である。
【図5】図4の5−5における横断面図である。
【図6】図4の6−6における横断面図である。
【図7】この発明のものの軸受面付近の金属成分分布を
示す特性図である。
【図8】この発明の他の実施例を示す要部拡大縦断面図
である。
【図9】この発明のさらに他の実施例を示す要部拡大縦
断面図である。
【符号の説明】
11…陽極ターゲット、 12…回転体、 18…真空容器、 15…固定体、 19…すべり軸受部、 20, 21…らせん溝、 g…軸受間隙、 31、32、34…反応層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北見 隆幸 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式 会社東芝 那須電子管工場内 (56)参考文献 特開 平2−126544(JP,A) 特公 昭60−21463(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 35/10 H01J 9/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部に陽極ターゲットが固定された回転
    体と、この回転体を回転可能に保持する固定体と、前記
    回転体および固定体の嵌合部の少なくとも一方の軸受面
    設けられたらせん溝を有する動圧式すべり軸受部と、
    この動圧式すべり軸受部に供給された液体金属潤滑剤と
    を具備する回転陽極型X線管において、 上記回転体及び固定体の少なくとも一方の動圧式すべり
    軸受部の軸受面構成母材は金属からなるとともに、この
    金属製軸受面母材の表面に該母材を構成している金属元
    素と、ガリウム、インジウム、ビスマス、及び錫の中か
    ら選ばれた少なくとも1つの金属元素とを含む反応層が
    1μm〜100μmの範囲の厚さで形成されて該反応層
    が上記軸受面を構成していることを特徴とする回転陽極
    型X線管。
  2. 【請求項2】 一部に陽極ターゲットが固定された回転
    体と、この回転体を回転可能に保持する固定体と、前記
    回転体および固定体の嵌合部の少なくとも一方の軸受面
    に設けられたらせん溝を有する動圧式すべり軸受部と、
    この動圧式すべり軸受部に供給された液体金属潤滑剤と
    を具備する回転陽極型X線管において、 上記回転体及び固定体の少なくとも一方の動圧式すべり
    軸受部の軸受面構成母材は、窒化物セラミックス、炭化
    物セラミックス、又は炭窒化物セラミックスからなると
    ともに、このセラミックス製軸受面母材の表面に該母材
    を構成している元素と、ガリウム、インジウム、ビスマ
    ス、及び錫の中から選ばれた少なくとも1つの金属元素
    とを含む反応層が1μm以下(但し、0を含まない)の
    厚さで形成されていることを特徴とする回転陽極型X線
    管。
  3. 【請求項3】 上記軸受面構成母材は、金属製芯の表面
    部に上記セラミックスの被膜が形成されたものである請
    求項2記載の回転陽極型X線管。
  4. 【請求項4】 一部に陽極ターゲットが固定された回転
    体と、この回転体に嵌合され該回転体を回転可能に保持
    する固定体と、前記回転体および固定体の嵌合部の少な
    くとも一方の金属製軸受面に形成されたらせん溝を有す
    る動圧式すべり軸受部と、この動圧式すべり軸受部に供
    給された液体金属潤滑剤とを具備する回 転陽極型X線管
    の製造方法において、 予め、上記回転体及び固定体の少なくとも一方の単体部
    品状態の金属製軸受面の所定個所にらせん溝を形成し、
    この単体部品状態の軸受面を、真空中に置いた高温浴槽
    内のガリウム又はガリウム合金からなる高温溶融金属中
    に浸して所定時間保持し前記軸受面に該軸受面構成金属
    と前記液体金属潤滑剤構成金属との反応層を1μm〜1
    00μmの範囲の厚さに形成することを特徴とする回転
    陽極型X線管の製造方法。
JP3245890A 1990-10-19 1991-09-25 回転陽極型x線管およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3017859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3245890A JP3017859B2 (ja) 1990-10-19 1991-09-25 回転陽極型x線管およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-279350 1990-10-19
JP27935090 1990-10-19
JP3245890A JP3017859B2 (ja) 1990-10-19 1991-09-25 回転陽極型x線管およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04363844A JPH04363844A (ja) 1992-12-16
JP3017859B2 true JP3017859B2 (ja) 2000-03-13

Family

ID=26537456

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3245890A Expired - Lifetime JP3017859B2 (ja) 1990-10-19 1991-09-25 回転陽極型x線管およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3017859B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0527951U (ja) * 1991-09-18 1993-04-09 光洋精工株式会社 X線管用動圧軸受
JP2002175769A (ja) * 2000-12-07 2002-06-21 Toshiba Corp 回転陽極型x線管およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04363844A (ja) 1992-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940009195B1 (ko) 회전양극형 x선관
US5204890A (en) Rotary anode type x-ray tube
US7127035B2 (en) Rotary anode type X-ray tube
JP2960085B2 (ja) 回転陽極x線管
JP3017859B2 (ja) 回転陽極型x線管およびその製造方法
JP4112829B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3139873B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2989056B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2930255B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2856531B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3045906B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3124023B2 (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JP3032275B2 (ja) 回転陽極型x線管
CN1030807C (zh) 旋转阳极型x射线管
JP2886334B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP2002075259A (ja) 回転陽極型x線管
JP3159663B2 (ja) 回転陽極型x線管の製造方法
JP3410886B2 (ja) 回転陽極型x線管
JP3394616B2 (ja) 真空用動圧軸受装置の製造方法
JPH10241614A (ja) 真空用軸受およびその製造方法並びに回転陽極型x線管
JPS6332844A (ja) 回転陽極形x線管
JPH11213927A (ja) 回転陽極型x線管
JPH07105885A (ja) 真空用動圧軸受装置
JP2001312985A (ja) 回転陽極型x線管
JPH07226178A (ja) 回転陽極型x線管

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071224

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081224

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091224

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091224

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101224

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101224

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111224

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111224

Year of fee payment: 12