JPH05112616A - 改質フルオロ炭化水素ポリマー - Google Patents

改質フルオロ炭化水素ポリマー

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JPH05112616A
JPH05112616A JP4064746A JP6474692A JPH05112616A JP H05112616 A JPH05112616 A JP H05112616A JP 4064746 A JP4064746 A JP 4064746A JP 6474692 A JP6474692 A JP 6474692A JP H05112616 A JPH05112616 A JP H05112616A
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JP
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polymer
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fluorohydrocarbon
vinyl
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JP4064746A
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Gerardo Caporiccio
カポリツシオ ジエラルド
Gerald A Gornowicz
アルフアンス ゴルナウイツ ジエラルド
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Dow Corning Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F259/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of halogen containing monomers as defined in group C08F14/00
    • C08F259/08Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of halogen containing monomers as defined in group C08F14/00 on to polymers containing fluorine
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 置換基を導入することによって改質したフル
オロ炭化水素ポリマーを提供する。 【構成】 該置換基は、ビニル、アリル、アクリレー
ト、アルコキシシラン、アミド、スルホン酸塩、ピリジ
ン、カルボン酸エステル、及びカルボン酸塩のような官
能性基を有する。該官能性基をさらに反応させて、ポリ
マーを分岐、グラフト、あるいは架橋することができ
る。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンとのコ
ポリマーが、本発明により改質される代表的フルオロ炭
化水素ポリマーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニル、アリル、アク
リレート、アルコキシシラン、アミド、スルホン酸塩、
ピリジン、カルボン酸エステル、及びカルボン酸塩のよ
うな官能基を有する置換基を導入することによって改質
された、フルオロ炭化水素ポリマーに関する。該官能基
をさらに反応させて、ポリマーを分岐、グラフト、また
は架橋させることができる。フッ化ビニリデンとヘキサ
フルオロプロペンとのコポリマー、例えばVITON
A(商標)ゴムやKYNAR FLEX 2801(商
標)プラストマーは、本発明の新規材料を得るために改
質されるフルオロ炭化水素ポリマーの種類の代表であ
る。
【0002】
【従来の技術】フルオロカーボン及びフルオロ炭化水素
ポリマーは、その化学特性及び耐熱性について知られて
いる。しかしながら、非フッ素化ポリアルカンと比較す
ると、それらの処理加工はより難しく且つ複雑であるの
が典型的である。例えば、ポリテトラフルオロエチレン
は、適当な粘度を得るために必要な高温では急速に分解
してしまうので、標準的な溶融状態技法によっては処理
加工することができない。結果として、それは金属処理
加工法に類似した方法、例えば水系分散液から堆積させ
た薄層の、または粉末から成形した予備付形品の焼結に
よる方法、によって処理加工されている。
【0003】部分フッ素化ポリマー、例えばポリフッ化
ビニリデンは一般に、熱可塑性炭化水素ポリマーに共通
に適用可能な溶融技法を用いて処理加工することができ
る。しかしながら、耐食性合金でできた特別の設備や高
温が必要である。部分フッ素化ゴムはまた、二官能性求
核試薬、例えばテレケリックジアミン(telechelic dia
mine) またはビスフェノールを使用することによって架
橋することもできる。配合物は、代表的には、数種の無
機塩や促進剤を含む錯体である。またさらに、該処理の
架橋段階及び後硬化段階の両方の段階において、注意深
い温度制御が必要である。ブロモまたはヨード置換基を
含有する単位をもつ他の部分フッ素化コポリマーであっ
て、トリアリルイソシアヌレートの存在において過酸化
物によって加硫できる部分フッ素化コポリマーが開発さ
れている。
【0004】フルオロ炭化水素ポリマーを架橋すること
によって製造したエラストマーは、炭化水素ゴムに比べ
優れた熱機械的及び化学的耐性を有するが、クリープや
緩和現象のため、高い圧縮荷重または引張荷重下では1
50℃の使用温度により限定される。耐熱酸化性は26
0℃〜350℃まで非常に良好である。
【0005】炭化水素ポリマーの化学的及び物理的改質
については非常に広範囲に研究されており、多くの工業
製品がブレンド、アロイ、グラフトポリマー、ブロック
ポリマー、放射線架橋ポリマーなどとして利用可能であ
る一方、フルオロカーボンやフルオロ炭化水素ポリマー
を改質する方法については比較的研究されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、ポリマー鎖に
沿って特異な置換基を導入することによるフルオロ炭化
水素ポリマーの改質方法を提供することが、本発明の目
的である。さらなる目的は、ポリマーのブレンド化、ア
ロイ化、及び架橋のための処理においてポリマーのさら
なる制御反応及び改質を促進する反応性基を含有する置
換基を有するフルオロ炭化水素ポリマーを提供すること
である。
【0007】フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフル
オロプロペン(HFP)コポリマーの架橋反応はCiril
loら(Biological and Synthetic Polymer Netwo
rks,1988,255)によって検討されている。詳細
には、架橋反応は次の反応序列として特性付けられてい
る。すなわち、まず塩基誘導型脱フッ化水素により不飽
和ポリマー鎖が生成し、次いで該不飽和鎖とビス求核試
薬との反応によって網目が生成するものである。Ciril
loらは、該不飽和ポリマーを単離し、そしてそれを臭素
やp−クロロフェナートのような試薬と反応させて該ポ
リマーの不飽和部位の特性を評価する方法によって、該
反応について研究した。
【0008】オルガノポリシロキサンセグメントをフル
オロカーボンポリマーゼクメントにグラフトする方法
が、米国特許第4,314,043号明細書に記載され
ている。一般に、まずフルオロカーボンポリマーセグメ
ント及びオルガノポリシロキサンセグメントの両方を反
応性部位を有するように調製し、次いで該反応部位が共
反応してフルオロカーボンポリマーセグメントとオルガ
ノポリシロキサンセグメントとを一緒に結合させるよう
な条件下で、それらを混合する。しかしながら、フッ化
ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレンポリマー
と、エチレンジアミン官能性置換基を含有するオルガノ
ポリシロキサンポリマーとをメチルエチルケトン中で還
流することによってもグラフトコポリマーが製造され
た。
【0009】Brennanらは、Polym. Prepr. (Am.
Chem. Soc.)1988,29(2),336におい
て、ポリフッ化ビニリデンを表面改質し、よって−O
H、−NH2 、−CN、Br、またはClのような基を
ポリマー鎖表面に結合させることについて報告してい
る。関連研究において、Dias らは、Polym. Prepr.
(Am. Chem. Soc.)1986,27(2),44の
中で、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチ
レンのようなポリマーの表面に官能基を導入することに
関する別の研究について記述している。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用、及び効果】本発明
は、各種の部分フッ素化炭化水素ポリマーを改質して、
ポリマーに潜在的反応性部位を提供する経路について記
述する。次に続く反応において、該潜在的反応性部位を
利用して該ポリマーを架橋または硬化したり、あるいは
他の材料を該ポリマーにグラフトする部位として該潜在
的反応性部位を利用したりして、ポリマー特性をさらに
改質及び改良することができる。
【0011】ある一つの態様において、本発明は、改質
性置換基の求核性基との反応によってポリマー鎖の炭素
原子に結合した改質性置換基を含有する、部分フッ素化
炭化水素ポリマーである。該求核性基はアミノ基、オキ
シ基、またはチオ基のいずれかである。該改質性置換基
は、結合セグメント及び潜在的反応性セグメントをさら
に含んで成る。該結合セグメントは、該求核性基と該潜
在的反応性セグメントとを結合させ、そして該求核性基
に結合した一つの炭素原子を含む複数の炭素原子を含有
する。該潜在的反応性セグメントは、ビニル単位、加水
分解性基を有するシラン、アミド単位、スルホン酸塩単
位、ピリジン単位、及びカルボン酸エステルまたは塩単
位より成る群から選択される。
【0012】別の態様では、本発明は、改質性置換基を
含有する部分フッ素化炭化水素ポリマーの組成物であっ
て、別のいくつかの処理法によりさらに反応させて該ポ
リマーを架橋または硬化した組成物に関する。例えば、
該改質性置換基がビニル基を含有する場合には、UV照
射によるか、あるいはポリ(ヒドロメチル)シロキサン
とのヒドロシリル化反応によるかして、架橋または硬化
を行うことができる。該改質性置換基が加水分解性基を
有するシランを含有する場合には、水との反応による
か、あるいは水及び触媒(例えばスズ化合物またはチタ
ン化合物)混合物との反応によるかして、架橋または硬
化を行うことができる。
【0013】別の態様では、本発明は、改質性置換基を
含有する部分フッ素化炭化水素の組成物であって、該部
分フッ素化炭化水素ポリマーの特性を改変及び改良する
ために、別のいくつかの処理法によりさらに反応させて
該改質性置換基に付加的な成分をグラフトした組成物に
関する。例えば、最初の改質性置換基が一つの加水分解
性基を有するシランを含有する場合には、一つまたは二
つの加水分解性基を有するオルガノシランとの共加水分
解を用いて、該ポリマーに付加的なオルガノシラン単位
がグラフトされる。
【0014】本発明は、各種の部分フッ素化炭化水素ポ
リマーを改質して、該ポリマー鎖に沿って潜在的反応性
置換基を付与する経路について記述する。該改質性置換
基は、一連の連続反応において段階的に、あるいは該ポ
リマーに同時に作用するいくつかの試薬を含む一段階に
おいて、のどちらかで該ポリマーに導入することができ
る。簡便のため、該経路を一連の連続反応について記述
するが、本発明が、連続反応法または同時反応法のいず
れを用いて得られた改質ポリマーまたは処理法をも含む
ことを理解すべきである。
【0015】ポリマー改質法の第一段階は、ポリマーを
脱フッ化水素して、フッ素置換ポリマー鎖にC−C二重
結合を導入する段階である。脱フッ化水素反応は、溶剤
に分散または溶解させた陽性金属または塩基性試薬と該
ポリマーとを反応させるか、あるいは気体または液体状
のルイス酸または求電子性試薬に該ポリマーを暴露する
かのいずれかによって行うことができる。部分フッ素化
炭化水素ポリマーの脱フッ化水素反応は、様々な条件下
で起こることが報告されている。例えば、ジメチルホル
ムアミド中で150℃に加熱したときの該ポリマーの脱
フッ化水素反応については、英国特許第1,152,2
08号に記載されている。また、水酸化ナトリウム水溶
液中の相間移動触媒によるポリ(フッ化ビニリデン)の
脱フッ化水素反応については、Journal of Polymer
Science(Polymer ChemistryEdition, Vol. 2
1,3443−3451,1983)において、Kise
らが記述している。
【0016】ポリマー改質法の第二段階は、新たに生成
した該C−C二重結合に試薬を付加して、該ポリマー鎖
に新規置換基を導入する段階である。本発明の特異的な
特徴は、該二重結合に付加する官能基Yのみならず、同
一分子内に、第二の官能基Zをもまた有する特別の試薬
を使用することである。該第二官能基Zは潜在的に反応
性であるが、該フルオロ炭化水素ポリマー鎖の該二重結
合との競争的反応性はない。該ポリマーにこのような置
換基を付加しても、該ポリマーを架橋または硬化するこ
とはないが、その代わり、次いで別の独立した架橋また
は硬化化学反応に使用できるか、あるいは硬化させずに
該ポリマーにさらなる改質化合物を分岐またはグラフト
するのに使用できる、そのような部位が導入される。
【0017】本発明の改質ポリマーを得るためにポリマ
ー鎖のエチリデンまたはビニリデン基に付加される試薬
は、YRZ型構造式を有する分子として一般的に表され
る。該式中、Yは代表的には、C−C二重結合に容易に
付加する化学基の求核性原子であり、Rは該分子の結合
セグメントであり、そしてZは潜在的反応性基、例えば
ビニル、加水分解性基を含むシラン、アミド、スルホン
酸塩、ピリジン、カルボン酸エステル、またはカルボン
酸塩である。該試薬は、Y、R、及びZの各セグメント
から成る種々の多数の組合せを有する化合物群から選択
でき、唯一の要件は、Zセグメントが、該ポリマーとY
セグメントとの反応の際に安定に残るということであ
る。結合セグメントのRがYセグメントとZセグメント
とを十分に隔離させて、該試薬の分子構造内における直
接的相互作用から派生しうるいかなる潜在的不安定要因
をも回避するということも重要である。該結合セグメン
トRが複数の炭素原子を含有し、且つYまたは求核性原
子が一つの炭素原子に結合していることが好ましい。
【0018】改変されて本発明の改質ポリマーを提供し
うるフルオロ炭化水素ポリマーには、例として、フルオ
ロプラストマー例えばポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、フッ化ビニリデン(VDF)とクロロトリフルオ
ロエチレン(CTFE)とのコポリマー、VDFとヘキ
サフルオロプロペン(HFP)とのコポリマー、VDF
とテトラフルオロエチレン(TFE)とのコポリマー、
CTFEとエチレンとのコポリマー、TFEとエチレン
とのコポリマー、ポリフッ化ビニル(PVF)、並びに
フルオロカーボンゴム例えばVDFとCTFEとのコポ
リマー、VDFとHFPとのコポリマー、VDFとペル
フルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー、TFE
とプロピレンとのコポリマー、及びVDFとHFPとT
FEとのターポリマーが含まれる。
【0019】フルオロ炭化水素ポリマーは、該ポリマー
と試薬との溶液を混合することによる改質反応を行うこ
とによって、均一に改変することができる。しかしなが
ら、本発明はまた、ポリマーを溶解または膨潤しない溶
剤に溶解または懸濁させた試薬に、あるいは気体状の試
薬に、固体ポリマーを接触させて改質したポリマー表面
部分を有する改質付形ポリマー例えばフィルム、シー
ト、粉末、またはグラニュールをも含むものである。
【0020】該ポリマーの脱フッ化水素反応の初期段階
は、脱フッ化水素反応を促進するとして知られているい
ずれかの反応体を用いて該ポリマーを処理することによ
って行うことができる。例えば、該ポリマーを以下の反
応体と反応させることができる。(1)周期律表の第I
及びII族のサブグループAの元素、例えばNa、K、M
g、及びCa、の炭酸塩または水酸化物の有機溶剤溶液
(適当な溶剤には、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン(THF)、ジグリム(diglyme)(DGM)、または
他のポリエーテルが含まれる);(2)有機溶剤(例え
ばポリエーテル、THF、DGM)においてまたは不活
性気体により運搬される蒸気として、低温(−78〜−
30℃)で液体の、トリアルキルアミンのような有機塩
基、例えばトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、ピリジン、キノリン、1,4−ジアザビシクロ
[2.2.2]−オクタン、1,8−ジアザビシクロ−
[5.4.0]−ウンデク−7−エン;(3)周期律表
の第I及びII族のサブグループAの元素、例えばNa、
K、Mg、及びCa、の炭酸塩または水酸化物の水溶液
(該反応は、相間移動触媒、例として有機置換アンモニ
ウムまたはホスホニウム塩例えばトリブチルオクタデシ
ルホスホニウムブロミドやテトラブチルアンモニウムク
ロリド、の存在によって促進される);(4)周期律表
の第I及びII族のサブグループAの元素、例えばNa、
K、Mg、及びCa、のフルオリド、または第四アンモ
ニウム化合物のフルオリド例えばテトラアルキルアンモ
ニウムフルオリド(該フルオリドは代表的にはエーテ
ル、THF、DGM、スルホラン(sulfolane)、及びア
セトニトリルのような溶剤の存在において使用され
る);(5)アルコール、グリコール、エーテル、ジオ
キサン、THF、及びDGMのような溶剤に懸濁したZ
n、Mg、Feのような陽性金属、または少量のZnC
2 、MgCl2 、LiCl、及びSnCl2 の存在に
よって活性化された前記金属;並びに(6)有機溶剤ま
たは沈澱防止剤、例えばクロロベンゼン、ニトロベンゼ
ン、ヘプタン、DGMのようなエーテル、の存在におけ
る、求電子性試薬及びルイス酸、例えば、Al、B、S
n、もしくはTiの化合物(例えば、Al2 3 、Al
Cl3 :AlF3 、BF3 、SnCl4 、TiCl4
Ti(OCH2 CH3)4)、トリアルキルホスフィンのよ
うな三価リンの化合物(例えばトリエチルホスフィ
ン)、または五価SbやAsの化合物(例えばSbF5
やAsCl5)。
【0021】二重結合を導入するための好ましいポリマ
ー処理温度は、ポリマーの構造、使用する試薬、(存在
する場合)溶剤の種類、及び所望の二重結合生成程度に
依存する。一般に、該反応は、−70℃〜150℃の温
度範囲で行うことができる。該反応は、代表的には、大
気圧において行われれるが、密閉容器にて自己発生的圧
力または減圧で行うことも可能である。
【0022】ポリマー改質法の第二段階では、該反応の
第一段階の際に生成した二重結合に試薬を付加すること
によって、該ポリマーに置換基を導入する。本発明の目
的のため、(1)該ポリマーの二重結合部位に付加す
る、あるいは該部位で置換する、ことによって反応する
基、Y基と、(2)該ポリマーの二重結合部位における
該Y基の付加または置換反応の際には反応しないが、潜
在的に反応性である基、Z基とを分子構造内に含有する
試薬が選択される。潜在的反応性という意味は、該基
が、後の時間において、照射や、他の化学試薬への暴露
や、あるいは高温のような手段によって誘発されて反応
しうることである。
【0023】該ポリマーに導入される置換基は、一般
に、化学式−YRZにより表されることができる。前記
式中、Yはアミン、オキシ、またはチオ基の求核性原子
を表し;Zはビニル、アリル、アクリレート、加水分解
性基を有するシラン、アミド、スルホン酸塩、ピリジ
ン、カルボン酸エステル、及びカルボン酸塩より成る群
から選択された潜在的反応性セグメントを表し;そして
Rは該求核性原子と該潜在的反応性セグメントとを結合
する結合セグメントを表す。該結合セグメントは複数の
炭素原子を含有し、そして該求核性原子が該結合セグメ
ントの一つの炭素原子に結合している。該結合セグメン
トは、代表的には炭化水素基であるが、炭素や水素以外
の原子、例えば酸素またはハロゲンを含有することも可
能である。
【0024】該潜在的反応性セグメントがビニル、アリ
ル、またはアクリレートである置換基は、該ポリマー
を、例えばアリルアルコール、2−アリルフェノール、
4−アリル−2−メトキシフェノール、4−ペンテン−
1−オール、6−ヘキセン−1−オール、アリルメルカ
プタン、アリルアミン、アルキルアリルアミン、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、及び4−ビニル−N−
(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、と反応させること
によって得ることができる。
【0025】該潜在的反応性セグメントがアミドである
置換基は、該ポリマーを、例えばp−アセトアミドフェ
ノール、m−ヒドロキシ−N−メチルアセトアニリド、
3−ヒドロキシプロピルアセトアミド、及びN−メチル
アセトアミドベンジルアルコール、と反応させることに
よって得ることができる。
【0026】該潜在的反応性セグメントがカルボン酸エ
ステルまたはカルボン酸塩である置換基は、該ポリマー
を、例えばp−ヒドロキシメチル安息香酸フェニルエス
テル、ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル、3−ヒド
ロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、3−メルカ
プトプロピオン酸エチル、及びp−メチルアミノ安息香
酸ナトリウム塩、と反応させることによって得ることが
できる。
【0027】該潜在的反応性セグメントがスルホン酸塩
である置換基は、該ポリマーを、例えばp−アミノベン
ゼンスルホン酸ナトリウム塩、p−メチルアミノベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム塩、1−ナフチルアミン−4−
スルホン酸ナトリウム塩、2−ナフチルアミン−8−ス
ルホン酸ナトリウム塩、2−ナフトール−6−スルホン
酸ナトリウム塩、2−ナフトール−7−スルホン酸ナト
リウム塩、1−ナフトール−5−スルホン酸ナトリウム
塩、及び2−ナフトール−8−スルホン酸ナトリウム
塩、と反応させることによって得ることができる。
【0028】該潜在的反応性セグメントがピリジンであ
る置換基は、該ポリマーを、例えば2−メルカプトピリ
ジンと反応させることによって得ることができる。
【0029】該潜在的反応性セグメントが、加水分解性
基を有するシランである置換基は、該ポリマーを、例え
ば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノ
プロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、3−アミノ−2−メチルプロ
ピル−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルメトキ
シシラン、3−アミノ−2−メチルプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−エチルアミノプロピルメチルジメト
キシシラン、N−メチルアミノ−p−フェニレントリメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラ
ン、及び1,2,2,4−テトラメチルアザシラシクロ
ペンタン、と反応させることによって得ることができ
る。
【0030】該試薬をフルオロ炭化水素ポリマー鎖に付
加する反応は、固体のポリマー付形物の表面において行
うことが可能である。代わりに、適当な有機溶剤に溶
解、分散、または膨潤させたポリマーに反応させること
によって、置換基をポリマー全体により均一に導入する
ことができる。適当な有機溶剤として、例えばテトラヒ
ドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジメチ
ルスルホキシド、アセトニトリル、クロロベンゼン、
1,2−クロロエチレン、及び塩化メチレンが挙げられ
る。
【0031】フルオロ炭化水素ポリマーの二重結合に対
する該試薬の求核性原子の反応は、テトラアルキルアン
モニウムまたはホスホニウム塩の存在によって促進する
ことができる。該反応はいずれかの有効温度で行われ
る。20℃〜150℃の温度範囲が一般に有効であり、
そして20℃〜120℃の温度が好ましい。該反応は、
大気圧において行われるのが代表的であるが、密閉容器
内で自己発生的圧力下または減圧下で行うこともでき
る。
【0032】本発明で記述された潜在的反応性基を有す
る置換基を含有する改質フルオロ炭化水素ポリマーをさ
らに処理して、幅広い範囲の有用な特性をもつポリマー
材料を得ることができる。得られる特定の特性は、用い
た特定のさらなる処理法や、該ポリマーに導入された置
換基の種類及び量に依存する。例えば、該ポリマーを、
その潜在的反応性基を利用することによってさらに処理
して、(1)該ポリマーを硬化または架橋すること、
(2)他のポリマーにグラフトすること、あるいは
(3)新規の官能基を導入することによって該ポリマー
を化学改質すること、が可能である。
【0033】例えば、該潜在的反応性基がビニル、アリ
ル、またはアクリレートである場合には、(a)光増感
剤を用いるかまたは用いずに、20℃〜100℃の温度
でUV光を照射すること、(b)ガンマ線またはX線を
用いて電子ビームを照射すること、(c)必要に応じて
トリアリルイソシアヌレートのような試薬を存在させ
て、50℃〜150℃の温度で過酸化物によって開始さ
せること、(d)ポリヒドロオルガノシロキサンを用い
てヒドロシリル化反応させること、あるいは(e)加水
分解性基を有するシランを用いてヒドロシリル化反応さ
せて、次いで加水分解及び縮合によりシロキサン架橋を
生成させること、によってフルオロ炭化水素ポリマーを
架橋することができる。
【0034】より詳細には、ビニルまたはアリル含有置
換基を有するフルオロ炭化水素ポリマーを架橋するのに
有用なポリヒドロオルガノシロキサンは、化学式R'3
iO(R' HSiO)p (R' R"SiO)q SiR'3
で示される。該式中、p及びqは該ポリマーのそれぞれ
の単位のモル分率を示し、そしてpは0.01〜1、q
は0〜0.99の範囲にあり;R' はメチルであり;そ
してR" は、炭素原子1〜12個を含むアルキル基、フ
ェニル基、または化学式Rf n 2n(式中、n=2ま
たは3であり、そしてRfは炭素原子1〜8個を含むペ
ルフルオロアルキル基である)で示されるフルオロアル
キル基である。同様に、加水分解性基を有する有用なシ
ランは、化学式HSiR" m 3-m (式中、m=0、
1、または2であり;Xはハロゲン(好ましくは塩
素)、メトシキやエトキシのようなアルコキシ基、アセ
トキシのようなアシロキシ基、またはジメチルアミノの
ような炭化水素アミノ基を示し;そしてR" は上述のと
うりである) で表される。
【0035】該技術分野では周知のように、ヒドロシリ
ル化反応は、炭素に担持された白金、可溶性白金化合物
(例えばH2 PtCl6 ・6H2 O)、パラジウムもし
くはロジウム化合物、またはその担持金属によって触媒
することができる。ヒドロシリル化反応は、過酸化物例
えば過安息香酸t−ブチルを用いる過酸化物開始ラジカ
ル反応により、あるいはアゾビスイソブチロニトリルに
より促進することもできる。
【0036】化学式HSiR" m 3-m のシランを用い
たヒドロシリル化反応後に得られたフルオロ炭化水素ポ
リマーは、次いで周知の加水分解及び縮合方法によって
架橋されることができる。例えば、スズまたはチタンの
化合物のような触媒の存在において室温で大気水分を作
用させると、該ポリマーを有効に硬化または架橋するこ
とができる。
【0037】上述の手順により可能な架橋または硬化速
度は、非常に速いものであることができ、そしてこれが
本発明の材料の利点である。このような速い硬化速度
は、改良された機械的耐性、化学的耐性、または溶剤耐
性が必要とされるホースのライニングや電気ケーブルの
外被用に、本発明のフルオロ炭化水素ポリマーを使用す
ることを暗示する。該改質フルオロ炭化水素ポリマーを
ガラス用の中間層または接着フィルムとして使用して、
改良された衝撃特性を付与し、そして自動車、建築物、
太陽電池及びコレクターに使用するための抗裂傷性及び
抗爆発性ガラスを製造することも可能である。
【0038】該潜在的反応性セグメントが加水分解性基
を有するシランである場合には、化学式R'3OSi
(R' R" SiO)r SiR'2X(式中、R’、R”、
及びXは上述のとうりであり、そしてrは重合度を示
し、約4〜1000以上に変化することができる)によ
り示されるポリオルガノシロキサンを用いた反応によっ
て、該フルオロ炭化水素ポリマーをオルガノシロキサン
ポリマーにグラフトすることができる。同様に、化学式
R' R" m 3-m (式中、R’、R”、X、及びmは先
述のとうりである)で示されるシランを用いた反応によ
って、該潜在的反応性基を利用して該フルオロ炭化水素
ポリマーをさらに化学改質することができる。該フルオ
ロ炭化水素ポリマーのシラン加水分解性基とシランまた
はオルガノシロキサンポリマーとの間の反応は、該反応
を起こさせる該技術分野に周知のいずれの方法を用いて
も行うことができる。
【0039】オルガノシロキサンポリマーを用いてグラ
フトされたフルオロ炭化水素ポリマーは、他のフルオロ
炭化水素ポリマーとシリコーンまたはフルオロシリコー
ンポリマーとのブレンド用の相溶化剤として使用でき
る。それらはまた、低温例えば−15℃未満での加工性
や柔軟性が改良されたエラストマーを製造することにも
使用できる。
【0040】該潜在的反応性セグメントがアミド基であ
る場合、該アミド基をまず加水分解して遊離アミンを生
成させることができ、次いで該フルオロ炭化水素ポリマ
ーを、化学式C6 5 CO[NHC6 4 NHCOC6
4 CO]s 6 4 COX’及びC6 5[N(C
O)2 6 2 (CO)2 NC6 4 OC6 4s
HCOC6 4 COX’(式中、X’は塩素またはフェ
ノキシであり、そしてsは重合度を示す)で示される、
カルボキシを末端基とする芳香族ポリアミドまたはポリ
エーテルイミドにグラフトすることができる。
【0041】該潜在的反応性セグメントがカルボン酸エ
ステル基である場合には、該エステル基をまず加水分解
して遊離酸を生成させることができ(フェニルエステル
は反応性基として直接使用でき)、次いで該フルオロ炭
化水素ポリマーを、化学式C 6 5 CO[NHC6 4
NHCOC6 4 CO]s NHC6 4 NH2 及びC 6
5 CO[OC6 4 OCOC6 4 CO]s OC6
4 OH(式中、sは重合度を示す)で示される、アミノ
を末端基とする芳香族ポリアミドまたはヒドロキシを末
端基とする芳香族ポリエステルにグラフトすることがで
きる。
【0042】本発明の改質フルオロ炭化水素ポリマーに
グラフトできる他の官能化ポリマーの例として、ポリフ
ェニルスルホン、ポリフェニルエーテル、ポリエーテル
イミド、ポリエーテルケトンが挙げられる。
【0043】本発明の改質フルオロ炭化水素ポリマーを
用いて得られたグラフトコポリマーは、市販のエンジニ
アリングポリマーとのブレンド用に使用されて、それら
の表面特性や、厳しい環境に対する抵抗性や、耐摩耗性
を改良すること、そしてそれらの吸水性を低減すること
ができる。架橋によりさらに処理された本発明の改質フ
ルオロ炭化水素ポリマーは、未改質フルオロ炭化水素ポ
リマーと比べて、熱機械応力及び溶剤に対する抵抗性が
改良された。
【0044】
【実施例】以下の例は、本発明を例示するために記載さ
れるものであって、特許請求の範囲においてより完全に
記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0045】例1 VITON Aの商標で市販されているフッ化ビニリデ
ンとヘキサフルオロプロペンとのコポリマー(20モル
%ヘキサフルオロプロペン)30gを無水テトラヒドロ
フラン(THF)300mLに溶解し、THF20mL中の
テトラブチルアンモニウムブロミド0.3g及び粉末K
OH0.7gの微細分散液と混合した。該混合物を16
時間加熱還流した。黄色ポリマー1A(27.8g)を
メタノール/水(体積50/50)中で沈澱させること
によって回収し、メタノール/水で3回洗浄し、そして
減圧炉内で一晩乾燥した。該黄色ポリマー1AのIRス
ペクトルは、もとのVITON Aには認められなかっ
た1725及び1630cm -1の弱い吸収を示した。この
IR吸収は、それぞれ該コポリマーに導入された新規C
−H及び二重結合に基因しうる。最初のVITON A
と黄色ポリマー1AとのGPC(ポリスチレンゲル)
は、Mwが350,000(VITON A)から9
7,000(褐色エラストマー)へ低下したこと、並び
にMw/Mn比率が4(VITON A)から2.3へ
変化したことを示した。
【0046】該黄色ポリマー1Aの一部(8.4g)を
THF100mLに溶解し、そして4−アリル−2−メト
キシフェノール(0.8g),K2 CO3(0.8g)、
及びテトラブチルアンモニウムブロミド(0.15g)
と混合した。該混合物を16時間加熱還流した。改質コ
ポリマー1Bを、50%水性メタノールで沈澱させ、メ
タノールで洗浄し、そして減圧炉内で乾燥した。1Bの
IRスペクトルは1514、1630、2840、及び
2880−2915cm-1の領域において4−アリル−2
−メトキシフェノキシ置換基に特徴的な吸収を示した。
【0047】改質コポリマー1B(1g)及びDARO
CURE2273型光増感剤(0.005g)をTHF
10mLに溶解し、そしてガラス表面にフィルムをキャス
トした。溶剤を蒸発させた後、その乾燥したフィルムに
約4000mJ/cm2 のUVを照射した。その結果得られ
たフィルムは、実質的な引張強度を示し、そしてTHF
には不溶性であったが、酢酸ブチル中では若干膨潤し
た。
【0048】THF150mLに溶解した別の改質コポリ
マー1B部分(4.4g)を、エチルジクロロシラン
(0.27g)及びヘキサクロロ白金酸(10%イソプ
ロパノール溶液の0.1g)と混合し、そして6時間加
熱還流した。シラン改質コポリマー1Cを、トルエン/
ヘプタン(体積50/50)中で沈澱させて回収した。
元素分析により、コポリマー1Cはシラン含有分岐単位
約3重量%に対応する珪素0.7重量%を示した。
【0049】THF20mLに溶解したコポリマー1Cの
一部(1g)を、Ti(OC4 9) 4(0.05g)と混
合し、そしてフィルムをキャストした。溶剤を蒸発させ
た後、該フィルムを50℃に5時間加熱した。該フィル
ムは極性有機溶剤例えばエステルやアミドには不溶性で
あり、そして伸びに対して高い機械的抵抗性を示した。
【0050】例2 フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンとのコポリ
マー(VITON A)30gを、THF300mLに溶
解し、そしてメタノール(0.32g)、ナトリウムメ
トキシド(0.54g)、トリブチルオクタデシルホス
ホニウムブロミド(0.3g)、及び1,2,2,4−
テトラメチルアザシラシクロペンタン(1.45g)と
混合した。該混合物2Aを6時間加熱還流した。該混合
物のGPCによると、該ポリマーのMwは130,00
0であり、そしてMw/Mn比率は3.1であった。
【0051】改質コポリマーは、ヘプタン/メタノール
(体積70/30)からの沈澱及びメタノールでの洗浄
によって、混合物2Aの一部から回収した。乾燥後、該
コポリマーはTHFに部分的にしか可溶性ではなかっ
た。そのTHF可溶性部分のIRスペクトルによると、
2800−2955cm-1と1500−1530cm-1にお
いて新規吸収帯が認められた。
【0052】改質コポリマー2Aの溶液は湿分に対して
非常に感受性があり、そして湿分に暴露した後、ゲル化
沈澱物が生成した。該沈澱物の元素分析は、オルガノシ
ラン分岐約1.5〜2重量%に対応するSi0.25%
とN0.15%とを示した。
【0053】混合物2Aの一部(30mL) をジメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピルクロロシラン(0.
6g)と混合し、そして15分間攪拌している際に、T
HFに溶解した水(0.08g)に加えて、次いでその
混合物をさらに15分間攪拌した。該溶液をNaHCO
3 で中和し、そして水で沈澱させ、メタノールで3回洗
浄し、そして減圧乾燥してコポリマーを回収した。得ら
れたエラストマー材料2CはTHFに完全に溶解性であ
った。この材料の溶解性は、該コポリマー中に先に導入
されたシラン置換基が、ジメチル−3,3,3−トリフ
ルオロプロピルクロロシランとの反応によってうまくキ
ャップされたことを暗示している。この結論は、19F−
NMRスペクトルによってもさらに裏付けられ、−68
ppm においてトリフルオロプロピル基に特徴的なフッ素
の化学シフトを示した。該材料の元素分析によると、シ
ロキサングラフト基2.1〜2.2重量%に対応するS
i0.39%及びN0.1%が示された。
【0054】混合物2Aの別の部分(30mL) をチタン
ジエトキシジアセチルアセトネート(0.1mL) と混合
し、そして圧延ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)シート上にキャストしてフィルムを形成した。一晩
静置させた後、該フィルム(厚さ約0.1mm) はTHF
に不溶性となり、そして1140psi の引張強度を示し
た。
【0055】例3 KYNAR FLEX 2801の商標で市販されてい
るフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンとのプラ
ストマーコポリマー30gを無水THF300mLに溶解
し、そしてナトリウムメトキシド(0.54g)、3−
アミノプロピルトリメトキシシラン(1.8g)、及び
テトラブチルアンモニウムブロミド(0.15g)と混
合した。該混合物を7時間加熱還流した。粘度が顕著に
増加した。
【0056】該混合物の一部(30mL) をTHF5mLで
希釈して粘度を低下させ、次いでチタンジエトキシジア
セチルアセトネート(0.05mL) を加えた。触媒され
た混合物をPTFEシート上にキャストした。溶剤を蒸
発させた後、フィルムが約0.1mmの厚さで残った。該
フィルムはTHFに不溶性であり、そして5400psi
の引張強度を示した。該引張強度は、未改質のKYNA
R FLEX 2801コポリマー溶液から同様に得ら
れたフィルムのそれよりも60%高い値である。改質コ
ポリマーフィルムの元素分析はSi0.85重量%及び
N0.41重量%を示し、KYNAR FLEX 28
01コポリマーにシランが約5重量%付加したことに一
致する。改質コポリマーフィルムのIRスペクトルは、
2935、2865、及び1600−1640cm-1の領
域において新規ピークを示した。
【0057】先の触媒された混合物からガラス上に第二
のフィルムをキャストした。溶剤を蒸発させて一晩静置
した後、得られたフィルムはガラスに強く付着し、ガラ
ス表面から剥離することができなかった。その被覆され
たガラスをハンマーで叩いて破壊すると、ガラスの破片
は該コポリマーフィルムに結合したまま残り、飛散する
ことがなかった。未改質のKYNAR FLEX 28
01コポリマー溶液から同様に得られたフィルムは、ガ
ラス表面から容易に持ち上げられた。
【0058】例4 KYNAR FLEX 2801コポリマー(30g)
をTHF300mLに溶解し、そして無水K2 CO
3 (1.5g)及び3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン(1.64g)と混合した。該混合物を16時間加
熱還流した。該混合物の一部(30mL) にチタンジエト
キシジアセチルアセトネート(0.05mL) を加えた。
触媒された混合物を圧延PTFEシート上にキャスト
し、一晩硬化させた。得られたフィルムは透明であり、
そして4500psi の引張強度を示した。該引張強度値
は、未改質のKYNAR FLEX 2801コポリマ
ー溶液から同様に得られたフィルムのそれよりも35%
高い値であった。該フィルムのIRスペクトルは例3の
フィルムのそれと類似した。ヘプタンからの沈澱により
回収された改質コポリマーの元素分析はSi含量1.1
重量%を示し、これはKYNAR FLEX 2801
コポリマーにシランが約7.5重量%付加したことに一
致する。
【0059】例5 KYNAR FLEX 2801コポリマー(30g)
をTHF300mLに溶解し、そして無水K2 CO
3 (1.7g)、テトラブチルアンモニウムクロリド
(0.3g)、及びジアザビシクロオクタン(0.55
g、略号DABCOで市販されている)のN,N−ジメ
チルホルムアミド20mL中分散液と混合した。該混合物
を15分間加熱還流し、次いでp−アミノベンゼンスル
ホン酸ナトリウム(1.95g)を加えて、還流を24
時間継続した。改質コポリマーは水では沈澱しなかった
が、10%水性HC1を加えた後に沈澱した。該ポリマ
ーを水性メタノールで洗浄し、そして乾燥した。
【0060】回収したコポリマーのIRスペクトルは、
パラ置換ベンゼン環に基因する830cm-1における新規
ピーク、CN伸縮に基因する1390cm-1における鋭い
ピークの強度の顕著な増大、並びにOH基及びスルホン
酸基に基因する3300及び1200cm-1における弱い
吸収の出現、を示した。元素分析により、N含量0.1
1重量%が示され、これはコポリマー中のアミノベンゼ
ンスルホン酸約1.5重量%に一致する。
【0061】例6 KYNAR FLEX 2801コポリマー30gをT
HF300mLに溶解し、そしてKOH(0.28g)、
4−アリル−2−メトキシフェノール(1.66g)、
及びテトラブチルアンモニウムブロミド(0.3g)と
混合した。その混合物を6時間加熱還流し、次いで該コ
ポリマーをメタノール沈澱により回収し、メタノールで
洗浄し、そして乾燥した。回収したコポリマーのIRス
ペクトルは、結合したオイゲノール残基に基因する15
14及び2840−2900cm-1における新規吸収を示
した。
【0062】回収したコポリマーの一部(4.5g)を
ジメチルスルホキシド10mLに溶解し、そしてメチルフ
ェニルシラン(0.24g)及びt−ブチルベンゾイル
ペルオキシド(0.072g)と混合した。その混合物
を窒素下で80〜90℃に16時間加熱した。そのコポ
リマーをヘプタン/メタノール(80:20)中で沈澱
させて回収し、そして無水エタノールで洗浄した。
【0063】この回収したコポリマーの一部(0.5
g)をTHF10mLに溶解し、そしてジエチルアミン
(2g)、水(5g)、メタノール(10mL) 、及びジ
ブチルスズジラウレート(0.05g)と混合した。そ
の混合物からフィルムをすぐにキャストし、そして室温
で溶剤を一晩蒸発させた後、得られたフィルムは、厚さ
0.02mm、引張強度2000psi 、及び耐極性溶剤性
を示した。該フィルムに用いた混合物の一部を6時間還
流した場合には、完全に不溶性のゲルが沈澱した。
【0064】例7 ポリフッ化ビニリデン(KYNARの商標で市販されて
いる)30gをTHF300mLに溶解し、そしてナトリ
ウムメトキシド(0.11g)と、炭酸カリウム(1.
4g)と、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.3
g)と、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(1.8g)とのTHF20mL中の分散液と混合した。
その混合物を16時間加熱還流した。そのポリマーの一
部をトルエン/ヘキサン(体積50:50)で沈澱させ
て回収し、そして乾燥した。IRスペクトルは、300
5cm-1のピーク強度に対して2965cm-1のピーク強度
が増大したことを示した。元素分析はSi0.14重量
%を示し、その値はポリマー中に約1重量%のアミノプ
ロピルシラン基が存在することに対応する。この改質ポ
リマー溶液の一部に水を加えて、26時間静置させた場
合、そのポリマーはゲル化し、もはやTHFには溶解し
なかった。このゲル化は、改質性置換基としてポリマー
に導入されたアルコキシシラン基の加水分解及び縮合に
よる架橋反応に一致するものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改質性置換基の求核性原子の結合によっ
    てポリマー鎖の炭素原子に結合した前記改質性置換基を
    含有するフルオロ炭化水素ポリマーであって、前記求核
    性原子がアミノ、オキシ、またはチオ基のいずれかであ
    り;前記改質性置換基が結合セグメントと潜在的反応性
    セグメントとをさらに含んで成り;前記結合セグメント
    が、前記求核性原子と前記潜在的反応性セグメントとを
    結合し、そして前記求核性原子に結合した一つの炭素原
    子を含む複数の炭素原子を含有し;そして前記潜在的反
    応性セグメントが、ビニル、アリル、アクリレート、加
    水分解性基を有するシラン、アミド、スルホン酸塩、ピ
    リジン、カルボン酸エステル、及びカルボン酸塩より成
    る群から選択された、前記フルオロ炭化水素ポリマー。
  2. 【請求項2】 前記改質性置換基が、一般的−YZR
    (前記式中、Yは酸素、窒素、または硫黄を表し;Rは
    炭素原子2〜20個を含有する結合セグメントを表し;
    そしてZはビニル基、アリル基、アクリレート基、加水
    分解性基を有するシラン、アミド基、酸塩基、ピリジン
    基、またはエステル基を表し、但し、ZはYが結合して
    いる同じ炭素原子には結合していない)で示される、請
    求項1記載のフルオロ炭化水素ポリマー。
  3. 【請求項3】 前記Yが窒素を表し、そして前記Zが一
    般式−SiR3 n (OR2 3-n (前記式中、R3 は、
    炭素原子1〜8個を有するアルキル基、ビニル、アリ
    ル、5−ヘキセニル、トリフルオロプロピル、またはフ
    ェニルであり、R2 は炭素原子1〜4個を有するアルキ
    ル基であり、そしてnは0、1、または2である)で示
    される、請求項2記載のフルオロ炭化水素ポリマー。
  4. 【請求項4】 前記Zがビニルまたはアクリレート基で
    あり、そして前記ポリマーがUV照射によってさらに架
    橋された、請求項2記載のフルオロ炭化水素ポリマー。
  5. 【請求項5】 前記Zがビニルまたはアリル基であり、
    そして前記ポリマーがポリ(ヒドロメチル)シロキサン
    との反応によってさらに架橋された、請求項2記載のフ
    ルオロ炭化水素ポリマー。
  6. 【請求項6】 前記ポリマーが水との反応によってさら
    に架橋された、請求項3記載のフルオロ炭化水素ポリマ
    ー。
  7. 【請求項7】 前記水との反応が、スズ化合物またはチ
    タン化合物によって触媒された、請求項6記載のフルオ
    ロ炭化水素ポリマー。
  8. 【請求項8】 前記シランの加水分解性基が、ジメチル
    −3,3,3−トリフルオロプロピルクロロシラン、メ
    チル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラ
    ン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメト
    キシシラン、及びメチル−3,3,3−トリフルオロプ
    ロピルジメトキシシランより成る群から選択されたグラ
    フトシランと一緒に共加水分解された、請求項3記載の
    フルオロ炭化水素ポリマー。
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