JP2003073521A - ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法 - Google Patents

ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性に優れ、各種基材の表面処理剤とし
て好適なハイブリッド化合物を提供すること。耐熱性お
よび耐溶剤性に優れた改質層をゴム基材の表面に形成す
ることができ、フッ素含有オリゴマーに由来する表面改
質効果を安定的に発現させることができるゴムの表面処
理方法を提供すること。 【解決手段】 本発明のハイブリッド化合物は、下記
(1)で示されるフッ素含有オリゴマー(式中、RF
フルオロアルキル基を含有する基、xは1〜100の整
数)と、テトラアルコキシシランとを反応させて得られ
る。本発明のゴムの表面処理方法は、上記のハイブリッ
ド化合物を未架橋のゴム基材の表面近傍に存在させる工
程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含む。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素含有オリゴ
マーとテトラアルコキシシランとを反応させて得られる
新規なハイブリッド化合物およびその製造方法、並び
に、当該ハイブリッド化合物を使用して行うゴムの表面
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フルオロアルキル基を両末端に有
し、中間鎖に官能基が結合されてなるフッ素含有オリゴ
マーにより樹脂の表面を改質する方法が知られている。
樹脂の表面改質に適用される当該フッ素含有オリゴマー
は、分子両末端におけるフルオロアルキル基が共有結合
を介して中間鎖に結合されているので、長期にわたって
所期の改質効果(例えば防汚性・抗菌性など)を発現す
ることができる。
【0003】かかるフッ素含有オリゴマーによる樹脂の
改質方法として、下記(1)乃至(2)の処理法が紹介
されている。 (1)フッ素含有オリゴマーを樹脂とともに有機溶剤に
溶解し、一定時間放置した後に溶剤を除去する方法(特
開平11−246573号公報参照)。 (2)フッ素含有オリゴマーを光重合性のモノマーに溶
解して光硬化性の樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物
を基材樹脂の表面に塗布し、形成された塗膜を光硬化さ
せる方法(特開平10−245419号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかして、上記のよう
なフッ素含有オリゴマーを使用して、ゴムの表面を改質
することができれば望ましい。しかしながら、上記
(1)乃至(2)の方法は、樹脂の表面改質方法として
は適しているものの、これらの方法に従ってゴムを処理
しても、当該ゴムの表面を改質することができなかっ
た。
【0005】そこで、本発明者らは、未架橋ゴムからな
るゴム基材をフッ素含有オリゴマーの溶液中に浸漬する
ことにより、当該ゴム基材の表面にフッ素含有オリゴマ
ーの塗膜を形成し、これを加熱処理(架橋処理)して、
架橋ゴムの表面に改質層(フッ素含有オリゴマーによる
被膜)を形成する方法を試みた。
【0006】しかしながら、この方法で形成された改質
層を構成するフッ素含有オリゴマーは種々の溶剤に溶解
されてしまうため、当該改質層を備えたゴム製品を耐溶
剤性が要求される用途に使用することができない。ま
た、当該改質層を構成するフッ素含有オリゴマーは十分
な熱安定性を有するものでないため、当該改質層を備え
たゴム製品を耐熱性が要求される用途に使用することが
できない。
【0007】本発明は以上のような事情に基いてなされ
たものである。本発明の第1の目的は、熱安定性に優
れ、各種の基材の表面処理剤として好適に使用すること
のできる新規なハイブリッド化合物を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、そのような優れた特性のハ
イブリッド化合物を好適に製造する方法を提供すること
にある。本発明の第3の目的は、耐熱性および耐溶剤性
に優れた改質層(被膜)をゴム基材の表面に形成するこ
とができ、フッ素含有オリゴマーに由来する表面改質効
果を安定的に発現させることができるゴムの表面処理方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のハイブリッド化
合物は、下記(1)で示されるフッ素含有オリゴマー
(以下、「特定のフッ素含有オリゴマー」という。)
と、テトラアルコキシシランとを反応させて得られるこ
とを特徴とする。
【0009】
【化2】
【0010】(式中、RF はフルオロアルキル基を含有
する基を表し、xは1〜100の整数である。)
【0011】本発明の製造方法は、特定のフッ素含有オ
リゴマーと、テトラアルコキシシランとを反応させるこ
とを特徴とする。
【0012】本発明のハイブリッド化合物においては下
記の形態が好ましい。 〔1〕前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシ
シランまたはテトラエトキシシランであること。 〔2〕上記式(1)において、RF で表される「フルオ
ロアルキル基を含有する基」が、−CF3 、−C
2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−
CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3
7 (式中、pは0,1もしくは2である。)で表される
基であること。 〔3〕ハイブリッド化合物の製造に供される特定のフッ
素含有オリゴマーと、テトラアルコキシシランとの質量
割合が1:1〜1:10であること。
【0013】本発明のゴムの表面処理方法は、本発明の
ハイブリッド化合物を未架橋のゴム基材の表面近傍に存
在させる工程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程とを
含むことを特徴とする。
【0014】本発明のゴムの表面処理方法においては下
記の形態が好ましい。 〔1〕ゴム基材中にシリカが充填されていること。 〔2〕未架橋のゴム基材の表面にハイブリッド化合物を
散在させることにより、当該ハイブリッド化合物をゴム
基材の表面近傍に存在させること。 〔3〕ハイブリッド化合物の分散液中に未架橋のゴム基
材を浸漬することにより、当該ハイブリッド化合物を当
該ゴム基材の表面近傍に存在させること。 〔4〕ハイブリッド化合物が表面近傍に存在している未
架橋のゴム基材を、プレスにより加熱処理(架橋処理)
すること。
【0015】
【作用】(a)本発明のハイブリッド化合物は、これを
構成する特定のフッ素含有オリゴマーよりも熱安定性に
優れている。従って、当該ハイブリッド化合物によって
表面処理されたゴム製品は、特定のフッ素含有オリゴマ
ーにより表面処理されたゴム製品と比較して、格段に優
れた耐熱性を有するものとなる。 (b)本発明のハイブリッド化合物は、ゴムとの相溶性
に優れ、かつ、特定のフッ素含有オリゴマーに対して良
溶媒である種々の溶剤に対しても不溶である。従って、
当該ハイブリッド化合物によって表面処理されたゴム製
品の改質効果は、溶剤洗浄(抽出)などによっても減少
することはない。このように、当該ハイブリッド化合物
により表面処理されたゴム製品は、特定のフッ素含有オ
リゴマーにより表面処理されたゴム製品と比較して、格
段に優れた耐溶剤性を有する。 (c)後述する実施例の結果からも明らかなように、本
発明のハイブリッド化合物により表面処理されたゴム製
品には、親水性・溌油性が発現され、表面改質効果とし
て優れた防汚性能が付与されている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する <ハイブリッド化合物>本発明のハイブリッド化合物
は、特定のフッ素含有オリゴマーと、テトラアルコキシ
シランとを反応させて得られる。
【0017】本発明のハイブリッド化合物を得るために
使用される特定のフッ素含有オリゴマーは、フルオロア
ルキル基を含有する基(RF )を分子両末端に有し、ジ
メチルカルバモイル基(−CON(CH3 2 )が結合
されてなる(ポリ)N,N−ジメチルアクリルアミドか
らなる中間鎖を有するフッ素系のオリゴマーである。
【0018】特定のフッ素含有オリゴマーを構成するフ
ルオロアルキル基を含有する基(R F )の具体例として
は、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13
よび−C7 15など−Cq 2q+1(q=1〜10)で表
されるフルオロアルキル基;−CF(CF3 )OC3
7 、−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]OC
3 7 、および−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF
3 )]2 OC3 7 で表される基(オキシフルオロアル
キレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例
示することができ、これらのうち、−CF(CF3 )O
3 7 で表される基が特に好ましい。また、特定のフ
ッ素含有オリゴマーを示す上記式(1)において、xは
1〜100の整数とされ、好ましくは1〜50とされ
る。
【0019】上記式(1)で示される特定のフッ素含有
オリゴマーは、下記式(1A)で示される含フッ素過酸
化物の存在下に、下記式(1B)で示される単量体を重
合させることにより得ることができる。なお、この反応
生成物(フッ素含有オリゴマー)中には、フルオロアル
キル基を含有する基(RF )が片末端のみに導入されて
いるオリゴマーが任意の割合で含まれていてもよい。
【0020】
【化3】
【0021】本発明のハイブリッド化合物を得るために
好適に使用されるテトラアルコキシシランとしては、テ
トラメトキシシラン(TMOS)およびテトラエトキシ
シラン(TEOS)を挙げることができる。液状である
TMOSおよび/またはTEOSを使用することによ
り、均質な反応原料(特定のフッ素含有オリゴマーとの
混合系)を得ることができる。
【0022】ハイブリッド化合物を得るために使用され
る特定のフッ素含有オリゴマーとテトラアルコキシシラ
ンとの質量割合としては、1:1〜1:10であること
が好ましく、更に好ましくは1:1〜2:5とされる。
【0023】本発明のハイブリッド化合物を得るための
方法としては、例えば、特定のフッ素含有オリゴマーを
適宜の溶媒に溶解してなる溶液中に、テトラアルコキシ
シランおよび塩酸を添加し、この系を室温下において攪
拌した後、反応混合物中の反応溶媒を除去し、得られた
生成物をソックスレイ抽出などによって精製する方法を
挙げることができ、このようにして、粉粒状のハイブリ
ッド化合物を得ることができる。
【0024】本発明のハイブリッド化合物は、これを得
るために使用した特定のフッ素含有オリゴマーと比較し
て熱安定性に優れている。また、本発明のハイブリッド
化合物は、特定のフッ素含有オリゴマーに対して良溶媒
である種々の溶剤〔例えば、メタノール、エタノール、
テトラヒドロフラン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エ
チル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトン〕
に対しても不溶である。
【0025】このような性能(熱安定性および耐溶剤
性)は、本発明のハイブリッド化合物の分子構造に起因
するものと考えられる。すなわち、本発明のハイブリッ
ド化合物においては、テトラアルコキシシランによって
形成されるシロキサン結合のマトリックス内に、特定の
フッ素含有オリゴマーの有するジメチルカルバモイル基
(−CON(CH3 2 )が入り込み、当該ジメチルカ
ルバモイル基を構成する水素原子と、前記マトリックス
を構成する酸素原子との間で水素結合が形成され、これ
が、優れた熱安定性、および溶剤に対する不溶性の発現
に寄与しているものと推測される。ここに、中間鎖の有
するジメチルカルバモイル基を他の官能基に置換してな
るフッ素含有オリゴマーを、テトラアルコキシシランと
反応させたとしても、熱安定性および耐溶剤性に優れた
ハイブリッド化合物を得ることはできない。
【0026】本発明のハイブリッド化合物は、金属、樹
脂、ゴムなどからなる各種の基材の表面処理に使用する
ことができ、当該基材の表面に、防汚性・抗菌性などの
種々の改質効果を付与することができる。本発明のハイ
ブリッド化合物は、ゴムとの相溶性に優れていることか
ら、ゴムの表面処理剤および配合剤として好適に使用す
ることができ、ゴムの表面処理剤として特に好適であ
る。以下、本発明のハイブリッド化合物を使用して行う
ゴムの表面処理方法(本発明の処理方法)について説明
する。
【0027】<ゴムの表面処理方法>本発明の表面処理
方法は、本発明のハイブリッド化合物を未架橋のゴム基
材の表面近傍に存在させる工程と、当該ゴム基材を加熱
処理する工程とを含む点に特徴を有する。ここに、「ゴ
ム基材の表面近傍に存在させる」とは、ゴム基材の表面
に付着させる態様のほか、表面近傍における基材内部に
含有させるような態様が含まれる。なお、ハイブリッド
化合物の全量をゴム基材の表面近傍に存在(偏在)させ
る必要はなく、当該ハイブリッド化合物をゴム基材中に
均一に分散させるような態様も、本発明の範囲に包含さ
れる。
【0028】本発明の方法により表面処理されるゴム基
材(原料ゴム)としては、特に限定されるものではな
く、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタ
ジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチ
ルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SB
R)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴ
ム(EPM,EPDM)、アクリルゴム(ACM,AN
M)、エピクロロヒドリンゴム(CO,ECO)、シリ
コーンゴム(VMQ,FVMQ)、ウレタンゴム(A
U,EU)、フッ素ゴム(FKM,FEPM)などを例
示することができる。
【0029】ゴム基材を構成するゴム組成物中には、架
橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤など、
従来公知の種々のゴム用配合剤が含有されていてもよ
い。また、当該ゴム組成物中にはシリカが配合されてい
ることが好ましい。シリカが含有されてなるゴム基材に
対して本発明の表面処理方法を実施することにより、得
られるゴム製品は、硬さが増加して強度の向上が図られ
るとともに、親水性、溌油性および防汚性などの向上も
図ることができる。ゴム組成物中におけるシリカの含有
量としては、原料ゴム100質量部あたり10〜100
質量部であることが好ましく、更に好ましくは15〜5
0質量部とされる。
【0030】ハイブリッド化合物を未架橋のゴム基材の
表面近傍に存在させる方法としては、ゴム基材の表面に
ハイブリッド化合物を散在させる(均一にふりかける)
方法、ハイブリッド化合物の分散液中に未架橋のゴム基
材を浸漬する方法など特に限定されるものではない。ゴ
ム基材の表面近傍に存在させるハイブリッド化合物の量
(付着量)としては、例えば0.0001〜0.01g
/cm2 とされ、好ましくは0.0003〜0.002
g/cm2 とされる。
【0031】ハイブリッド化合物を表面近傍に存在させ
たゴム基材の加熱処理条件としては、ゴムの架橋反応が
十分進行する条件であることが必要であり、例えば、1
40〜180℃で5〜30分間とされる。加熱処理方法
としては、プレスによる方法が好ましい。加熱処理が施
されることにより、ゴム基材の表面近傍におけるゴム
(架橋ゴム分子)に対して、当該ハイブリッド化合物が
強固に結合する。
【0032】本発明の方法により表面処理されたゴム製
品には、ハイブリッド化合物による表面改質効果(例え
ば、防汚性・抗菌性)が発現される。また、当該ゴム製
品を高温条件下(例えば150℃以上)で使用しても、
その表面改質効果が損なわれることはない。また、当該
ゴム製品を溶剤で洗浄(抽出)した後においても、その
表面改質効果が損なわれることはない。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらに限定されるものではない。
【0034】〔製造例1〕下記式(2)で示される特定
のフッ素含有オリゴマー0.8gをエタノール10ml
に溶解してなる溶液中に、テトラエトキシシラン(TE
OS)2.00gおよび1Nの塩酸2gを添加した。こ
の系を室温下に3日間攪拌した後、反応混合物中の反応
溶媒(エタノール)を減圧下で除去し、得られた生成物
をソックスレイ抽出によって精製した。これにより、粉
粒状のハイブリッド化合物(本発明のハイブリッド化合
物)0.21gが得られた。
【0035】
【化4】 (式中、RF ’は−CF(CF3 )OC3 7 を示し、
x’は2または3である。)
【0036】〔製造例2〕上記式(2)で示される特定
のフッ素含有オリゴマー1.2gをエタノール15ml
に溶解してなる溶液中に、テトラエトキシシラン(TE
OS)2.00gおよび1Nの塩酸3gを添加したこと
以外は製造例1と同様にして、粉粒状のハイブリッド化
合物(本発明のハイブリッド化合物)0.16gを得
た。
【0037】〔ハイブリッドの熱安定性の評価〕製造例
1〜2で得られた本発明のハイブリッド、および製造例
1〜2で使用した特定のフッ素含有オリゴマーの各々に
ついて、熱重量分析(TGA)を行って10%減量温度
を測定した。結果を下記表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1に示す結果から、本発明のハイブリッ
ドは、これを構成する特定のフッ素含有オリゴマーより
も熱安定性に優れており、特に、製造例2で得られた本
発明のハイブリッドは格段に優れた熱安定性を有してい
ることが理解される。
【0040】〔ハイブリッドの溶剤に対する溶解性の評
価〕製造例1〜2で得られた本発明のハイブリッド、お
よび製造例1〜2で使用した特定のフッ素含有オリゴマ
ーの各々について、各種溶剤に対する溶解性を評価し
た。結果を下記表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】〔作製例1(未架橋ゴム組成物の調製)〕
ニトリルゴム「Nipol DN401」(日本ゼオン
(株)製)100質量部と、硫黄1質量部と、酸化亜鉛
5質量部と、架橋促進剤「ノクセラーZTC」(大内新
興化学(株)製)1質量部と、架橋促進剤「ノクセラー
TOT−N」(大内新興化学(株)製)4質量部と、架
橋促進剤「ノクセラーDM」(大内新興化学(株)製)
2質量部とを8インチロールにより混練してニトリルゴ
ム組成物からなる未架橋ゴムシート(ゴム基材)を得
た。
【0043】〔作製例2(未架橋ゴム組成物の調製)〕
シリカ「ニップシール VN3」(日本シリカ社製)2
0質量部を配合したこと以外は作製例1と同様にしてニ
トリルゴム組成物からなる未架橋ゴムシート(ゴム基
材)を得た。
【0044】<実施例1>作製例1で得られた未架橋ゴ
ムシートの表面(一面)に、製造例1で得られたハイブ
リッド化合物を均一にふりかけて付着させた(付着量約
0.0003g/cm2 )。次いで、この未架橋ゴムシ
ートを150℃で10分間プレスによって加熱処理する
ことにより、当該ゴムシートを架橋させるとともに、架
橋ゴムシートの表面にハイブリッド化合物を固定し、本
発明のハイブリッド化合物によって表面処理された架橋
ゴムシートを得た。
【0045】<実施例2>作製例1で得られた未架橋ゴ
ムシートの表面(一面)に、製造例2で得られたハイブ
リッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着
量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様に
して、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理さ
れた架橋ゴムシートを得た。
【0046】<実施例3>作製例2で得られた未架橋ゴ
ムシートの表面(一面)に、製造例1で得られたハイブ
リッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着
量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様に
して、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理さ
れた架橋ゴムシートを得た。
【0047】<実施例4>作製例2で得られた未架橋ゴ
ムシートの表面(一面)に、製造例2で得られたハイブ
リッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着
量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様に
して、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理さ
れた架橋ゴムシートを得た。
【0048】<比較例1>作製例1で得られた未架橋ゴ
ムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理
(架橋処理)することにより架橋ゴムシートを得た。
【0049】<比較例2>作製例2で得られた未架橋ゴ
ムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理
(架橋処理)することにより架橋ゴムシートを得た。
【0050】<比較例3>作製例1で得られた未架橋ゴ
ムシートを、上記式(2)で示される特定のフッ素含有
オリゴマーのエタノール溶液(フッ素含有オリゴマーの
濃度=1質量%)中に30分間浸漬し、当該未架橋ゴム
シートを乾燥してエタノールを除去した。上記のように
して、特定のフッ素含有オリゴマーを表面に付着させた
未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって
加熱処理(架橋処理)することにより、特定のフッ素含
有オリゴマーによって表面処理された架橋ゴムシートを
得た。
【0051】<シートの評価> (1)シート表面におけるフッ素原子の存在量(初期
値):実施例1〜4および比較例1〜3で得られたシー
トの各々について、X線光電子分光分析装置(XPS)
により、シート表面(処理面)に存在するフッ素原子の
量(炭素原子1個に対するフッ素原子の個数)を測定し
た。結果を下記表3に示す。測定条件は、下記のとおり
である。
【0052】(測定条件) ・使用機種:Perkin Elmer PHI 56
00 ESCA System, ・室内の圧力(減圧条件):2.8×10-7Pa, ・補正:中和銃にてC1sを285.0eVに補正, ・X線:AlKαモノクロX線, ・X線照射角度:45°, ・測定領域:800μm×2000μm
【0053】(2)シート表面の溌油性:実施例1〜4
および比較例1〜3で得られたシートの各々の表面(処
理面)にドデカンを滴下し、滴下直後および30分経過
時の接触角をERMA製G−1−1000型ゴニオメー
ターを用いて測定した。この接触角が大きい程、シート
表面の溌油性が大きい。結果を併せて下記表3に示す。
【0054】(3)シート表面の親水性:実施例1〜4
および比較例1〜3で得られたシートの各々の表面(処
理面)に水を滴下し、滴下直後から30分経過するまで
の接触角の経時的変化をERMA製G−1−1000型
ゴニオメーターを用いて測定した。この接触角が小さい
程、シート表面の親水性が大きい。結果を併せて下記表
3に示す。
【0055】(4)シート表面におけるフッ素原子の保
持率(シート表面の耐溶剤性):実施例1〜4および比
較例3で得られたシートの各々について、エタノールに
よるソックスレー抽出を12時間行った後、上記(1)
と同様にしてシート表面に存在するフッ素原子の量を測
定し、上記(1)により得られたフッ素原子の量(初期
値)に対する保持率を求めることにより、下記の評価基
準に従ってシート表面(改質層)の耐溶剤性を評価し
た。結果を併せて下記表3に示す。
【0056】(評価基準) 「○」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が80%以
上. 「△」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が20%以
上80%未満. 「×」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が20%未
満.
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】本発明のハイブリッド化合物は、熱安定
性に優れるとともに、各種基材の表面処理剤として好適
に使用することができる。本発明のハイブリッド化合物
は、熱安定性に優れ、各種溶剤に不溶であって、ゴムと
の相溶性に優れているので、ゴムの表面処理剤として特
に好適に使用することができる。本発明の製造方法によ
れば、優れた特性のハイブリッド化合物を好適に製造す
ることができる。本発明の表面処理方法によれば、優れ
た防汚性能(親水性・溌油性)をゴム製品に付与するこ
とができる。また、当該ゴム製品は、特定のフッ素含有
オリゴマーにより表面処理されたゴム製品と比較して、
格段に優れた耐熱性および耐溶剤性を有する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)で示されるフッ素含有オリゴ
    マーと、テトラアルコキシシランとを反応させて得られ
    ることを特徴とするハイブリッド化合物。 【化1】 (式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表
    し、xは1〜100の整数である。)
  2. 【請求項2】 前記テトラアルコキシシランが、テトラ
    メトキシシランまたはテトラエトキシシランであること
    を特徴とする請求項1に記載のハイブリッド化合物。
  3. 【請求項3】 前記フッ素含有オリゴマーを示す上記式
    (1)において、R F で表されるフルオロアルキル基を
    含有する基が、−CF3 、−C2 5 、−C 3 7 、−
    6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF
    2 CF(CF 3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1も
    しくは2である。)で表されることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載のハイブリッド化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のフッ素含有オリゴマー
    と、テトラアルコキシシランとを反応させることを特徴
    とするハイブリッド化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    ハイブリッド化合物を、未架橋のゴム基材の表面近傍に
    存在させる工程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程と
    を含むことを特徴とするゴムの表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記ゴム基材中にシリカが充填されてい
    ることを特徴とする請求項5に記載のゴムの表面処理方
    法。
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