JP3748841B2 - ゴムの表面処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムの表面処理方法に関し、更に詳しくは、フルオロアルキル基を含有する基を分子両末端に有するフッ素系化合物に由来の構造を、ゴム基材の表面近傍における架橋ゴムのポリマー主鎖に確実かつ効率的に結合させることのできるゴムの表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルオロアルキル基を分子両末端に有し、中間鎖に官能基が結合されてなるフッ素系化合物(オリゴマー)により樹脂の表面を処理する方法が知られている。樹脂の表面処理に適用される当該フッ素系化合物は、分子両末端におけるフルオロアルキル基が共有結合を介して中間鎖に結合されているので、非粘着性、表面潤滑性、撥水撥油性、防汚性、抗菌性および生理活性の付与など、表面処理による所期の効果を長期にわたり発現することができる。
【0003】
かかるフッ素系化合物による樹脂の処理方法(表面処理された樹脂製品の製造方法)として、下記(1)および(2)の方法が紹介されている。
(1)当該フッ素系化合物を樹脂とともに有機溶剤に溶解した後、当該有機溶剤を除去する方法(特開平11−246573号公報参照)。
(2)当該フッ素系化合物を光重合性モノマーに溶解して光硬化性の組成物を調製し、当該組成物を樹脂(プラスチック)の表面に塗布し、形成された塗膜を光硬化させる方法(特開平10−245419号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、このようなフッ素系化合物をゴム製品に適用すること、すなわち、当該フッ素系化合物を使用してゴムの表面を処理すること(表面処理されたゴム製品を製造すること)ができれば望ましい。
しかしながら、上記(1)および(2)の方法は、『樹脂』の処理方法(樹脂製品の製造方法)としては適しているものの、これらの方法に従って『ゴム』を処理しても、表面特性の良好なゴム製品を得ることはできなかった。
そこで、本発明者らは、さらに下記(3)および(4)の方法を試みた。
【0005】
(3)未架橋ゴムからなる成形体(ゴム基材)を、当該フッ素系化合物の溶液中に浸漬し、乾燥後、当該成形体を加熱処理することにより、ゴムを架橋させるとともに、当該成形体の表面に被膜(表面処理層)を形成する方法。
(4)架橋ゴムからなる成形体(ゴム基材)を、当該フッ素系化合物の溶液中に浸漬し、乾燥後、当該成形体を加熱処理することにより、当該成形体の表面に被膜(表面処理層)を形成する方法。
【0006】
しかしながら、上記(3)および(4)の方法においては、形成される被膜(表面処理層)の成形体(ゴム基材)に対する密着力が小さく、当該被膜が容易に剥離してしまい実用的ではない。また、被膜を構成するフッ素系化合物が種々の溶剤に溶解されやすいために、上記(3)または(4)の方法によって得られたゴム製品に溶剤を接触させると、当該被膜が溶剤に浸食・溶解されて、成形体の表面から除去されてしまう。この結果、フッ素系化合物によって付与された成形品の表面特性が減殺され、または消滅してしまう。
【0007】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。本発明の目的は、フルオロアルキル基を含有する基を分子両末端に有し、中間鎖に官能基が結合されてなるフッ素系化合物に由来の構造を、ゴム基材の表面近傍における架橋ゴムのポリマー主鎖に確実かつ効率的に結合させることができ、当該フッ素系化合物による表面処理効果を、種々の溶剤との接触によっても消滅または減殺されることなく安定的に発現させることのできるゴムの表面処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のゴムの表面処理方法は、下記一般式(I)で示されるフッ素系化合物(以下、「特定のフッ素系化合物」ともいう。)と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;前記ゴム基材の表面にシランカップリング剤の溶液を塗布することにより、当該シランカップリング剤を当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させるとともに、当該ゴム基材の表面に前記フッ素系化合物の溶液を塗布することにより、当該フッ素系化合物を当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させることを特徴とする。
【0009】
【化3】
Figure 0003748841
【0010】
(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基、R1 は、加水分解性基との反応性を有する官能基、R2 は、水素原子またはアルキル基、R3 およびR4 は、同一または異なる、水素原子または1価の有機基を表す。xは1〜100の整数であり、yは0〜500の整数である。)
【0011】
また、本発明のゴムの表面処理方法は、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;前記ゴム基材の表面に、前記フッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液を塗布することにより、当該フッ素系化合物と、当該シランカップリング剤とを当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させることを特徴とする。
また、本発明のゴムの表面処理方法は、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;前記ゴム基材をシランカップリング剤の溶液中に浸漬することにより、当該シランカップリング剤を当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させるとともに、当該ゴム基材を前記フッ素系化合物の溶液中に浸漬することにより、当該フッ素系化合物を当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させることを特徴とする。
また、本発明のゴムの表面処理方法は、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;前記ゴム基材を、前記フッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液中に浸漬することにより、当該フッ素系化合物と、当該シランカップリング剤とを当該ゴム基材の表面近傍に存在(付着)させることを特徴とする。
【0012】
本発明のゴムの表面処理方法においては、下記の実施形態が好ましい。
(a)特定のフッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、R1 で表される官能基がアルコキシシリル基またはアルコキシアルコキシシリル基であること。
(b)特定のフッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、R1 で表される官能基がトリメトキシシリル基であること。
(c)特定のフッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、RF で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1もしくは2である)で表されること。
(d)特定のフッ素系化合物が、下記式(1)で示される化合物であること。
(e)前記シランカップリング剤の有する反応性有機官能基がメルカプト基またはビニル基であること。
【0013】
【化4】
Figure 0003748841
【0014】
(式中、x’は2または3である。)
【0015】
本発明の表面処理剤は、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とが、少なくとも1種の溶剤に溶解された混合溶液からなることを特徴とする。
【0016】
【作用】
特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とが表面近傍に存在しているゴム基材(架橋ゴム)を加熱処理することにより、当該ゴム基材を構成する架橋ゴムのポリマー主鎖に、シランカップリング剤を介して、特定のフッ素系化合物に由来の構造を結合させることができる。
すなわち、加熱処理されるゴム基材の表面近傍においては、(i)特定のフッ素系化合物の有する官能基(R1 )と、シランカップリング剤の有する加水分解性基との反応、(ii)シランカップリング剤の有する反応性有機官能基と、架橋ゴムのポリマー主鎖との反応が起こる。
このように、特定のフッ素系化合物に由来の構造とシランカップリング剤との間、および、シランカップリング剤と架橋ゴムのポリマー主鎖との間に化学的な結合が形成されるため、特定のフッ素系化合物に由来の構造(表面処理層)は、ゴム基材に対して強固に密着することになる。
さらに、特定のフッ素系化合物の有する官能基と、シランカップリング剤の有する加水分解性基との反応により形成されるハイブリッドは、熱安定性および化学的安定性に優れ、特定のフッ素系化合物に対して良溶媒である種々の溶剤に対しても不溶性または難溶性となるため、当該フッ素系化合物による表面処理効果を、種々の溶剤との接触によっても消滅または減殺されることなく安定的に発現させることができるようになり、当該ゴムの耐薬品性(耐油性・耐溶剤性)を格段に向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する
本発明の表面処理方法は、上記一般式(I)で示される特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含む点に特徴を有する。
【0018】
<ゴム基材>
本発明の表面処理方法により処理されるゴム基材(原料ゴム)としては、特に限定されるものではなく、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、アクリルゴム(ACM,ANM)、エピクロロヒドリンゴム(CO,ECO)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、フッ素ゴム(FKM,FEPM)などを例示することができる。
ゴム基材を構成するゴム組成物中には、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤など、従来公知の種々のゴム用配合剤が含有されていてもよい。
【0019】
<特定のフッ素系化合物>
本発明の表面処理方法に使用される特定のフッ素系化合物は、フルオロアルキル基を含有する基(RF )を分子両末端に有し、加水分解性基との反応性を有する官能基(R1 )を中間鎖に有する、分子量が500〜50,000程度のフッ素系のオリゴマーである。
【0020】
特定のフッ素系化合物を構成するフルオロアルキル基を含有する基(RF )の具体例としては、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13および−C7 15など−Cq 2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;−CF(CF3 )OC3 7 、−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]OC3 7 、および−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]2 OC3 7 で表される基(オキシフルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例示することができ、これらのうち、−CF(CF3 )OC3 7 で表される基が特に好ましい。
【0021】
特定のフッ素系化合物を構成する官能基(R1 )は、加水分解性基との反応性を有するものであり、これにより、シランカップリング剤との結合が担保される。かかる官能基(R1 )としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのアルコキシシリル基;トリ(メトキシメトキシ)シリル基、トリ(メトキシエトキシ)シリル基、トリ(エトキシメトキシ)シリル基、トリ(エトキシエトキシ)シリル基などのアルコキシアルコキシシリル基を挙げることができる。これらのうち、アルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基が特に好ましい。
特定のフッ素系化合物を構成する基(R2 )は、水素原子またはメチル基などのアルキル基である。
【0022】
特定のフッ素系化合物を構成する基(R3 ,R4 )は、同一または異なる基であって、水素原子または1価の有機基であり、ゴムの表面に付与すべき機能などに応じて適宜の基を選択することができる。R3 またはR4 で示される有機基としては、下記(i)〜(v)に示すような基を挙げることができる。
【0023】
【化5】
Figure 0003748841
【0024】
特定のフッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、xは1〜100の整数とされ、好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5の整数とされる。
また、yは0〜500の整数とされ、好ましくは0〜100、更に好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜10、最も好ましくは0〜5とされる。
【0025】
上記一般式(I)で示される特定のフッ素系化合物は、下記一般式(IA)で示される含フッ素過酸化物の存在下に、下記一般式(IB)で示される単量体と、下記一般式(IC)で示される単量体とを重合させることにより得ることができる。
【0026】
【化6】
Figure 0003748841
【0027】
特定のフッ素系化合物を構成する好適な化合物としては、上記式(1)で示される化合物、下記式(2)乃至式(5)で示される化合物を挙げることができる。特に、上記式(1)および下記式(2)で示される化合物は、1分子中に占めるフッ素原子(表面特性の向上に寄与する原子)の割合が大きいために、成形体(ゴム基材)の表面に高い効率でフッ素原子を存在させることができるので好ましい。
【0028】
【化7】
Figure 0003748841
【0029】
〔式(2)および式(3)において、RF ' は、式:−CF(CF3 )OCF2 CF(CF3 )OC3 7 で示される基である。
式(2)中、xaは1〜100の整数である。
式(3)中、xbは1〜100の整数、ybは1〜500の整数である。〕
【0030】
【化8】
Figure 0003748841
【0031】
〔式(4)中、xcは1〜10の整数、ycは0〜100の整数である。式(5)中、xdは1〜10の整数、ydは0〜100の整数である。〕
【0032】
<シランカップリング剤>
本発明の表面処理方法に使用されるシランカップリング剤は、加水分解性基および反応性有機官能基を1分子中に含有し、特定のフッ素系化合物および架橋ゴムのポリマー主鎖のそれぞれと反応して、両者の間に強固な化学結合を形成するものである。かかるシランカップリング剤としては、下記一般式(II)で示されるものを挙げることができる。
【0033】
【化9】
Figure 0003748841
【0034】
シランカップリング剤を示す上記一般式(II)において、R5 は、アルキル基またはアルコキシアルキル基を示し、R6 はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数、好ましくは3であり、nは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数である。
【0035】
シランカップリング剤の有する加水分解性基〔Si(OR5 m 6 3-m −〕と、特定のフッ素系化合物の有する官能基(R1 )とが反応することにより、熱安定性および化学的安定性に優れたハイブリッドが形成される。
かかる加水分解性基としては、トリメトキシシリル基などのアルコキシシリル基を挙げることができる。
【0036】
シランカップリング剤を示す上記一般式(II)において、R7 は、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基を示す。
ここに、反応性有機官能基(R7 )としては、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ウレイド基などを挙げることができる。これらのうち、不飽和結合を有するゴムのポリマー主鎖に対して反応性を有するメルカプト基、不飽和結合を有しないゴムのポリマー主鎖に対して反応性を有するビニル基などを好適なものとして挙げることができる。
このように、ゴムの種類(ポリマー主鎖中の不飽和結合の有無)に応じて、反応性有機官能基(R7 )を選択することによれば、特定のフッ素系化合物として同一種類の化合物を種々のゴムに対して使用することが可能となる。
【0037】
本発明の表面処理方法においては、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる。
【0038】
架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを存在させる方法としては、
(1)シランカップリング剤の溶液をゴム基材の表面に塗布するとともに、当該ゴム基材の表面に特定のフッ素系化合物の溶液を塗布する方法、
(2)特定のフッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液をゴム基材の表面に塗布する方法を挙げることができる。
本発明において、「特定のフッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液」とは、シランカップリング剤と、特定のフッ素系化合物とが、適宜の溶剤に溶解された溶液(本発明の表面処理剤)をいう。
【0039】
上記(1)の方法において、「特定のフッ素系化合物の溶液」を構成する溶剤としては、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトン、ヘキサン、および精密洗浄などの用途に使用される代替フロン(HCFC系,HFC系,PFC系)などを使用することができる。
また、上記(1)および上記(2)の方法において、「シランカップリング剤の溶液」または「混合溶液」を構成する溶剤としては、メタノール、エタノール、ヘキサンなどの有機溶剤を使用することができる。
【0040】
上記(1)の方法で使用する「特定のフッ素系化合物の溶液」および上記(2)の方法で使用する「混合溶液」は、酸性またはアルカリ性であることが好ましく、酸性(pHが6以下、特に3〜5)であることが特に好ましい。これにより、特定のフッ素系化合物の有する官能基(R1 )と、シランカップリング剤の加水分解性基との反応が効率的に行われ、ハイブリッドの形成が促進される。これらの溶液を酸性とするために添加含有される酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸などの有機酸を挙げることができ、これらのうち、酢酸が好ましい。
上記(1)および上記(2)の方法において、特定のフッ素系化合物および/またはシランカップリング剤の溶液を塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、当該溶液中にゴム基材を浸漬する方法(浸漬法)が好ましい。
なお、塗布面積の広い大型のゴム基材に対する塗布方法としては、刷毛塗り、吹き付け・噴霧による方法、各種のコーターによる方法などを採用することができる。
【0041】
<ハイブリッド化>
特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とが表面近傍に存在しているゴム基材を加熱処理することにより、特定のフッ素系化合物(官能基R1 )と、シランカップリング剤(加水分解性基)とが反応してハイブリッド(特定のフッ素系化合物−シランカップリング剤のハイブリッド)が形成される。また、当該シランカップリング剤(反応性有機官能基R7 )と、架橋ゴムのポリマー主鎖とが反応して、前記特定のフッ素系化合物に由来の構造を含む当該ハイブリッドが当該ポリマー主鎖に結合する。
【0042】
下記式(6)は、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物の加水分解物と、上記一般式(II)で示されるシランカップリング剤(但し、m=3)の加水分解物との縮合反応により形成される、シロキサン結合を有するハイブリッド構造の一例を示している。なお、下記式(6)では、シランカップリング剤とポリマー主鎖との結合状態は示されていないが、本発明の方法により表面処理されたゴム製品において、実際には、当該シランカップリング剤は、有機官能基(R7 )によって架橋ゴムのポリマー主鎖と結合している。
【0043】
【化10】
Figure 0003748841
【0044】
ゴム基材の加熱処理条件としては、(a)特定のフッ素系化合物とシランカップリング剤との縮合反応、(b)シランカップリング剤と、架橋ゴムのポリマー主鎖との反応を十分に進行させる観点から規定される。具体的には、70〜180℃で5〜60分間とされる。加熱処理方法としては、恒温槽(オーブン)による加熱が好ましい。
【0045】
本発明の方法による表面処理は、ベルト、プーリー、ホース、チューブ、ガスケット、Oリング、パッキン、ダイヤフラム、ワイパー、ロール、ケーブル、クッションパッド、印刷用ブランケット、グロメット、各種シール材および各種シート材などを構成するゴム基材に対して実施することができ、これらのゴム基材の表面に、非粘着性、表面潤滑性、撥水撥油性、防汚性、抗菌性および生理活性などを付与することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0047】
〔調製例1〕
エタノール95体積%と水5体積%からなる混合溶剤約100mLに、酢酸2滴を添加した後、当該混合溶剤に、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物を添加し、当該フッ素系化合物の濃度が1質量%の処理液を調製した。
【0048】
〔調製例2〕
HCFC−225ca(CF3 CF2 CHCl2 )と、HCFC−225cb(CClF2 CF2 CHClF)との混合溶剤「アサヒクリンAK−225」(旭硝子(株))約100mLに、酢酸2滴を添加した後、当該混合溶剤に、上記式(2)で示される特定のフッ素系化合物(但し、xa=2〜3)を添加して、均一に分散させることにより、当該フッ素系化合物の濃度が1質量%の処理液を調製した。
【0049】
〔調製例3〕
メタノール95体積%と水5体積%からなる混合溶剤約100mLに、酢酸2滴を添加した後、当該混合溶剤に、上記式(3)で示される特定のフッ素系化合物(但し、xb=1〜10、yb=1〜100)を添加し、当該フッ素系化合物の濃度が1質量%の処理液を調製した。
【0050】
〔調製例4〕
エタノール95体積%と水5体積%からなる混合溶剤約100mLに、酢酸2滴を添加した後、当該混合溶剤に、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物と、式:Si(OCH3 3 −(CH2 3 −SHで示されるシランカップリング剤「A−189」〔日本ユニカー(株)製〕とを添加し、当該フッ素系化合物の濃度が1質量%、当該シランカップリング剤の濃度が1質量%の処理液を調製した。
【0051】
〔調製例5〕
ヘキサン約100mLに、酢酸2滴を添加した後、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤「A−189」とを添加し、当該フッ素系化合物の濃度が5質量%、当該シランカップリング剤の濃度が1質量%の処理液(本発明の表面処理剤)を調製した。
【0052】
<実施例1>
ニトリルゴム「Nipol DN202H」(日本ゼオン(株)製)100部と、硫黄1部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸「アデカ脂肪酸SA−300」1部と、架橋促進剤「ノクセラーZTC」(大内新興化学(株)製)1部と、架橋促進剤「ノクセラーTOT−N」(大内新興化学(株)製)4部と、架橋促進剤「ノクセラーDM」(大内新興化学(株)製)2部とを8インチロールにより混練することにより、ニトリルゴム組成物からなる未架橋ゴムシートを作製した。この未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理(架橋処理)することにより架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
【0053】
次いで、得られた架橋ゴムシートを、式:Si(OCH3 3 −(CH2 3 −SHで示されるシランカップリング剤「A−189」〔日本ユニカー(株)製〕のエタノール溶液(濃度1質量%)中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して溶剤を除去した。
【0054】
その後、当該架橋ゴムシートを、調製例1で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0055】
<実施例2>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、シランカップリング剤「A−189」のエタノール溶液(濃度1質量%)中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して溶剤を除去した。
その後、当該架橋ゴムシートを、調製例2で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(2)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0056】
<実施例3>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、シランカップリング剤「A−189」のエタノール溶液(濃度1質量%)中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して溶剤を除去した。
その後、当該架橋ゴムシートを、調製例3で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(3)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0057】
<実施例4>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、調製例4で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0058】
<比較例1>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
【0059】
<比較例2>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、調製例1で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物を表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。この比較例は、シランカップリング剤を、ゴム基材である架橋ゴムシートの表面近傍に存在させないで表面処理した例である。
【0060】
<比較例3>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、調製例2で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物を表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(2)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。この比較例は、シランカップリング剤を、ゴム基材である架橋ゴムシートの表面近傍に存在させないで表面処理した例である。
【0061】
<比較例4>
実施例1と同一の組成の架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、得られた架橋ゴムシートを、調製例3で得られた処理液中に30分間浸漬し、当該架橋ゴムシートを室温にて乾燥して混合溶剤を除去した。
上記のようにして、特定のフッ素系化合物を表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(3)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。ゴム基材である架橋ゴムシートの表面近傍に存在させないで表面処理した例である。
【0062】
<シートの評価(その1)>
〔フッ素原子の存在量(初期値および溶剤抽出後の保持率)〕:
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた架橋ゴムシートの各々について、X線光電子分光分析装置(XPS)により、シート表面におけるフッ素原子の存在量(炭素原子1個あたりのフッ素原子の個数)を測定した。この存在量が多いほど、撥水性および撥油性などの表面特性に優れているといえる。結果を下記表1に示す。測定条件は、次のとおりである。
【0063】
(測定条件)
・使用機種:Perkin Elmer PHI 5600 ESCA System,
・室内の圧力(減圧条件):2.8×10-7Pa,
・補正:中和銃にてC1sを285.0eVに補正,
・X線:AlKαモノクロX線,
・X線照射角度:45°〜55°,
・測定領域:800μm×2000μm
【0064】
また、上記の実施例1〜4および比較例1〜4で得られた架橋ゴムシートの各々について、下記表1に示す各溶剤との接触処理(ソックスレー抽出,抽出時間=12時間)を行った後に、シート表面におけるフッ素原子の存在量を再度測定し、抽出前(初期値)に対する保持率を求めた。この保持率が90%以上であれば、当該溶剤を接触させても、架橋ゴムシートの表面処理層により発現される所期の表面特性が消滅または減殺されることはないといえる。結果を併せて下記表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0003748841
【0066】
<実施例5>
ニトリルゴム「JSR N240S」(ジェイエスアール(株)製)100部と、老化防止剤「ノクラックCD」1.5部と、ステアリン酸「アデカ脂肪酸SA−300」1.5部と、酸化亜鉛5部と、カーボンブラック「サーマックスMT」70部と、炭酸カルシウム「白艶華CC」(白石工業(株)製)10部と、フタル酸ジオクチル(DOP)30部と、硫黄0.3部と、架橋促進剤「ノクセラーTT」(大内新興化学(株)製)1.5部と、架橋促進剤「ノクセラーCZ−G」(大内新興化学(株)製)1.5部とを8インチロールによって混練してニトリルゴム組成物からなる未架橋ゴムを得た。次いで、この未架橋ゴムを、熱プレスを用いて150℃で20分間にわたり加熱処理することにより、ニトリルゴムからなる架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
【0067】
次いで、調製例5で得られた処理液〔特定のフッ素系化合物(5質量%)と、シランカップリング剤(1質量%)とのヘキサン溶液〕中に当該架橋ゴムシートを10分間浸漬し、その後、当該架橋ゴムシートを室温で30分間乾燥して溶剤を除去した。このようにして、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを表面近傍に存在させた架橋ゴムシートを、換気機能を備えた恒温槽(150℃)内で10分間加熱処理することにより、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0068】
<実施例6>
シリコーンゴム「SE6749U」〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕100部と、2,5−ジメチル2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン50%ペースト「RC−4(50P)」(同社製)0.8部とを8インチロールによって混練してニトリルゴム組成物からなる未架橋ゴムを得た。次いで、この未架橋ゴムを、熱プレスを用いて170℃で10分間、更に、200℃で4時間にわたり加熱処理することにより、シリコーンゴムからなる架橋ゴムシート(ゴム基材)を作製した。
次いで、実施例5と同様にして、この架橋ゴムシートに浸漬処理、乾燥処理および加熱処理を行うことにより、上記式(1)で示される特定のフッ素系化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを製造した。
【0069】
<シートの評価(その2)>
実施例5により得られた架橋ゴムシート(表面処理されたニトリルゴムシート)、表面処理を施していない架橋ゴムシート(ニトリルゴムからなるゴム基材)、実施例6により得られた架橋ゴムシート(表面処理されたシリコーンゴムシート)、表面処理を施していない架橋ゴムシート(シリコーンゴムからなるゴム基材)の各々について、粘着力および動摩擦係数の測定を行い、表面の非粘着性および潤滑性を評価した。測定は、温度23℃、相対湿度40%の環境下で行った。測定方法は、下記のとおりである。結果を下記表2に示す。
【0070】
〔粘着力〕
JIS Z 0237に準拠して、ステンレス板に対する粘着力(90°剥離力)を測定した。
具体的には、エタノールで洗浄されたステンレス板の表面に、架橋ゴムシートからなる試験片(幅20mm×長さ180mm)を積重し、この積重体に約10N/cm幅の押圧力が付与されるよう、当該試験片の上に、直径95mmのローラを約300mm/分の速度で3往復にわたり走行させることにより、ステンレス板に試験片を圧着させた。この積重体を室温下に20分間放置した後、200mm/分の剥離速度で90°剥離力を測定した。
【0071】
〔動摩擦係数〕
ASTM D 1894に準拠して、コピー紙を相手材としたときの動摩擦係数を測定した。ここに、試験片の形状を25mm×63mmとし、滑り片の質量を約200gとし、試験速度を150mm/分とした。
【0072】
【表2】
Figure 0003748841
【0073】
表2に示す結果から、本発明の方法により表面処理されたゴム製品は、非粘着性を有し、表面潤滑性に優れていることが理解される。
なお、このような優れた表面特性は、表1に示した種々の溶剤との接触処理(ソックスレー抽出,抽出時間=12時間)を行うことによっても失われることはなかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の表面処理方法によれば、特定のフッ素系化合物に由来の構造を、ゴム基材のポリマー主鎖に確実かつ効率的に結合させることができ、この結果、当該フッ素系化合物による表面処理効果を、種々の溶剤との接触によっても消滅または減殺されることなく安定的に発現させることができる。
また、処理されるゴムの種類に応じて、シランカップリング剤の反応性有機官能基を選択することにより、特定のフッ素系化合物として、同一種類の化合物を種々のゴムに対して使用することが可能となる。
本発明の表面処理剤によれば、これを塗布してなるゴム基材の表面近傍に、特定のフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを効率的に存在させることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で示されるフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;
    前記ゴム基材の表面にシランカップリング剤の溶液を塗布することにより、当該シランカップリング剤を当該ゴム基材の表面近傍に存在させるとともに、当該ゴム基材の表面に前記フッ素系化合物の溶液を塗布することにより、当該フッ素系化合物を当該ゴム基材の表面近傍に存在させることを特徴とするゴムの表面処理方法。
    Figure 0003748841
    (式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基、R1 は、加水分解性基との反応性を有する官能基、R2 は、水素原子またはアルキル基、R3 およびR4 は、同一または異なる、水素原子または1価の有機基を表す。xは1〜100の整数であり、yは0〜500の整数である。)
  2. 請求項1記載の一般式(I)で示されるフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;
    前記ゴム基材の表面に、前記フッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液を塗布することにより、当該フッ素系化合物と、当該シランカップリング剤とを当該ゴム基材の表面近傍に存在させることを特徴とするゴムの表面処理方法。
  3. 請求項1記載の一般式(I)で示されるフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;
    前記ゴム基材をシランカップリング剤の溶液中に浸漬することにより、当該シランカップリング剤を当該ゴム基材の表面近傍に存在させるとともに、当該ゴム基材を前記フッ素系化合物の溶液中に浸漬することにより、当該フッ素系化合物を当該ゴム基材の表面近傍に存在させることを特徴とするゴムの表面処理方法。
  4. 請求項1記載の一般式(I)で示されるフッ素系化合物と、シランカップリング剤とを、架橋ゴムからなるゴム基材の表面近傍に存在させる工程と;当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含み;
    前記ゴム基材を、前記フッ素系化合物とシランカップリング剤との混合溶液中に浸漬することにより、当該フッ素系化合物と、当該シランカップリング剤とを当該ゴム基材の表面近傍に存在させることを特徴とする記載のゴムの表面処理方法。
  5. 前記フッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、R 1 で表される官能基がアルコキシシリル基またはアルコキシアルコキシシリル基であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のゴムの表面処理方法。
  6. 前記フッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、R 1 で表される官能基がトリメトキシシリル基であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のゴムの表面処理方法。
  7. 前記フッ素系化合物を示す上記一般式(I)において、R F で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、−CF 3 、−C 2 5 、−C 3 7 、−C 6 13 、−C 7 15 または−CF(CF 3 )[OCF 2 CF(CF 3 )] p OC 3 7 (式中、pは0,1もしくは2である)で表されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のゴムの表面処理方法。
  8. 前記フッ素系化合物が、下記式(1)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のゴムの表面処理方法。
    Figure 0003748841
    (式中、x’は2または3である。)
  9. 前記シランカップリング剤の有する反応性有機官能基がメルカプト基またはビニル基であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載のゴムの表面処理方法。
  10. 請求項1記載の一般式(I)で示されるフッ素系化合物と、シランカップリング剤とが、少なくとも1種の溶剤に溶解された混合溶液からなるゴムの表面処理剤。
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