JP5305721B2 - 表面処理剤、ゴムの表面処理方法およびゴム製品 - Google Patents

表面処理剤、ゴムの表面処理方法およびゴム製品 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理剤、ゴムの表面処理方法およびゴム製品に関し、さらに詳しくは、各種製品に超撥水性を付与することのできる表面処理剤、当該表面処理剤を用いたゴムの表面処理方法、および、当該表面処理剤により処理されてなるゴム製品に関する。
基材の表面に撥水性を付与するために、種々の表面処理剤(撥水剤)が提案されている。例えば、加硫ゴムの粉砕粒を圧縮成形して得られる通気性防水ゴム成形体に含浸させる撥水剤として、液状のシリコーン樹脂または液状のフッ素樹脂を使用することが提案されている(特許文献1参照)。
また、ガラス面等の被処理面に展延した際の初期撥水性および長期にわたる耐久性ともに優れているとされる撥水剤として、ジメチルシリコーン油、フッ素油、強酸触媒およびアルコールを含有するものが提案されている(特許文献2参照)。
さらに、長期間の使用により表面が磨耗された場合にも高い撥水性および撥油性を発揮することが可能な皮膜を形成することができる表面処理剤(ハードコート液)として、シリコーン系の重合硬化物と、フッ素結合基を有するシランカップリング剤とを部分的に縮合してなるものが提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3には、シリコーン系の重合硬化物の具体例としてメチルトリメトキシシランが記載され、フッ素結合基を有するシランカップリング剤の具体例として、アルコキシ基を有するパーフルオロアルキルシラン(FAS)が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載のものを含めて従来公知の表面処理剤によりゴムの表面を処理したところ、水との接触角が140°以上の超撥水性の表面を得ることができなかった。
また、従来公知の表面処理剤で処理して撥水性が付与されたゴム製品の表面に有機溶剤を接触させると、付与された撥水性が大幅に減少してしまうことがあり、このため、そのような表面処理剤で処理されたゴム製品を耐溶剤性が要求される用途に使用することができない。
特開2002−361749号公報 特開2003−277735号公報 特開平9−324139号公報
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、ゴムの表面を含めた種々の基材表面に対して超撥水性を付与することができ、有機溶剤を接触させた後であっても、付与された超撥水性を保持することができる耐久性(耐溶剤性)に優れた表面処理層を形成することができる表面処理剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するフッ素化合物とシリコーン系樹脂とを併用してなる表面処理剤によれば、各々を単独で使用して処理したのでは発揮することのできない優れた撥水性を基材表面に付与することができ、しかも、付与された超撥水性は、有機溶剤との接触によっても十分に保持されることを見出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の表面処理剤は、(A)下記一般式(I)で示されるフッ素含有化合物(以下、「特定のフッ素含有化合物」という。)と、(B)(B1)ポリオルガノシロキサンと、(B2)ポリオルガノ水素シロキサンと、(B3)エポキシ変性シリコーンと、(B4)シランカップリング剤とを含有するシリコーン系樹脂(以下、「特定のシリコーン系樹脂」ともいう。)と、(C)これらを溶解する溶剤とを含有し、
(A)特定のフッ素含有化合物の含有量をa、(B1)ポリオルガノシロキサンの含有量をb1、(B2)ポリオルガノ水素シロキサンの含有量をb2、(B3)エポキシ変性シリコーンの含有量をb3、(B4)シランカップリング剤の含有量をb4とするとき、a/(b1+b2+b3+b4)の値(質量比率)が1.0〜4.0であることを特徴とする。
Figure 0005305721
(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R1 はアルキル基またはアルコキシ基を表し、xは1〜100の整数である。)
本発明の表面処理剤において、a/(b1+b2+b3+b4)の値は1.5〜3.5であることが好ましい。
また、特定のシリコーン系樹脂が、(B5)ジアルキルスズ化合物からなる触媒を含有することが好ましい。
また、本発明の表面処理剤には、酸触媒が含有されていることが好ましい。
本発明の表面処理剤は、ゴムの表面を処理するのに好適である。
本発明の表面処理方法は、本発明の表面処理剤をゴムの表面に塗布する工程と、前記表面処理剤による塗膜を加熱する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のゴム製品は、本発明の表面処理剤によって処理され、水との接触角が140°以上であることを特徴とする。
本発明の表面処理剤によれば、ゴム表面を含めた種々の表面に対して、水との接触角が140°以上の超撥水性を付与することができる。本発明の表面処理剤により付与される超撥水性は、特定のフッ素含有化合物またはシリコーン系樹脂を単独で用いた場合に発現される撥水性からは予測することができないものである。
本発明の表面処理剤によれば、耐久性(耐溶剤性)に優れた表面処理層(超撥水性付与層)を形成することができ、本発明の表面処理剤により処理された表面に有機溶剤を接触させても、当該表面に付与された超撥水性は十分に保持される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の表面処理剤は、特定のフッ素含有化合物と、シリコーン系樹脂と、これらを溶解する溶剤とを含有する。
<特定のフッ素含有化合物>
本発明の表面処理剤を構成する「特定のフッ素含有化合物」は、フルオロアルキル基を含有する基(RF )を分子両末端に有するとともに、−Si(OR1 3 で示される基(トリアルコキシシリル基もしくはトリアルコキシアルコキシシリル基)が結合されてなる中間鎖を有するフッ素系のオリゴマーである。
特定のフッ素含有化合物をシリコーン系樹脂に併用することにより、基材表面に対して超撥水性を付与することのできる表面処理剤を得ることができる。
特定のフッ素含有化合物に代えて、他のフッ素含有化合物(例えば、引用文献3に記載されたFAS)を含有させても、得られる表面処理剤によっては、基材の表面に超撥水性を付与することができない(後述する比較例5参照)。
特定のフッ素含有化合物を構成するフルオロアルキル基を含有する基(RF )の具体例としては、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13および−C7 15など−Cq 2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;−CF(CF3 )OC3 7 、−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]OC3 7 、および−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]2 OC3 7 で表される基(オキシフルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例示することができ、これらのうち、−CF(CF3 )OC3 7 で表される基が特に好ましい。
特定のフッ素含有化合物を構成する中間鎖の有する−Si(OR1 3 で示される基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;トリ(メトキシメトキシ)シリル基、トリ(メトキシエトキシ)シリル基、トリ(エトキシメトキシ)シリル基、トリ(エトキシエトキシ)シリル基などのトリアルコキシアルコキシシリル基を挙げることができる。これらのうち、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基が特に好ましい。
特定のフッ素含有化合物を示す上記一般式(I)において、中間鎖の数(x)は1〜100とされ、好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜5とされる。
本発明の表面処理剤における特定のフッ素含有化合物の含有割合としては、0.05〜30質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜25質量%とされる。
特定のフッ素含有化合物の含有割合が過小である場合には、超撥水性を基材の表面に付与することが困難となる。他方、30質量%を超える割合で特定のフッ素含有化合物を含有させても、含有量に見合う処理効果が得られない。
<シリコーン系樹脂>
本発明の表面処理剤を構成する「シリコーン系樹脂」は、硬化性の樹脂であり、液状のシリコーンオイルを包含する。
本発明の表面処理剤を構成する好適なシリコーン系樹脂としては、ポリオルガノシロキサンと、ポリオルガノ水素シロキサンと、エポキシ変性シリコーンと、シランカップリング剤とを含有する特定のシリコーン系樹脂を挙げることができる。
特定のシリコーン系樹脂を構成する「ポリオルガノシロキサン」としては、
式:(R2 3 SiO[Si(R2 2 O]n Si(R2 3 (式中、R2 は、それぞれ同一または異なるアルキル基を示し、nは1以上の数である。)で示される直鎖状のポリアルキルシロキサンを挙げることができる。
直鎖状のポリアルキルシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
また、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ポリアルキルシロキサンを使用することもできる。
さらに、特定のシリコーン系樹脂を構成する「ポリオルガノシロキサン」として、シラノール基により両末端が封鎖されているポリオルガノシロキサン、ケイ素原子に結合しているアルケニル基を少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンなど、ヒドロシリル基(≡Si−H)との反応性のある基を有するものを挙げることができる。
ここに、「ケイ素原子に結合しているアルケニル基」としては、ビニル基、アリル基、ブチニル基、ヘキセニル基などを例示することができる。
特定のシリコーン系樹脂を構成する「ポリオルガノ水素シロキサン」としては、
式:(R3 3 SiO[Si(R2 )(H)O]m1[Si(R2 2 O]m2Si(R3 3 (式中、R2 は、それぞれ同一または異なるアルキル基、R3 は、それぞれ同一もしくは異なるアルキル基または水素原子である。m1は0以上の数であり、m2は1以上の数である。但し、m1が0であるとき、R3 の少なくとも2つは水素原子であり、m1が1であるとき、R3 の少なくとも1つは水素原子である。)で示されるポリアルキル水素シロキサンを挙げることができる。
特定のシリコーン系樹脂を構成する「エポキシ変性シリコーン」としては、
式:(R5 )(R4 2 SiO[Si(R4 2 O]p Si(R4 2 (R6 )(式中、R4 は、それぞれ同一または異なる一価の炭化水素基、R5 はエポキシ基を含有する基、R6 は、エポキシ基を含有する基または一価の炭化水素基であり、pは1以上の数である。)で示されるものを挙げることができる。
エポキシ変性シリコーンの具体例としては、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジエチルポリシロキサン、エポキシ変性ジフェニルポリシロキサン、エポキシ変性メチルフェニルポリシロキサンなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ変性シリコーンの有するエポキシ基は、特定のフッ素含有化合物の有する−Si(OR1 3 で示される基と反応性を有する。
特定のシリコーン系樹脂を構成する「シランカップリング剤」としては、
式:Si(OR7 q 8 3-q −(CH2 r −R9 (式中、R7 はアルキル基またはアルコキシ基を表し、R8 はアルキル基を表し、qは1〜3の整数、好ましくは3であり、rは0〜5の整数である。また、R9 は有機官能基を表す。)で示されるものを例示することができる。
シランカップリング剤の有する−Si(OR7 q 8 3-q で示される基は、エポキシ変性シリコーンの有するエポキシ基と反応性を有する。
更に、−Si(OR7 q 8 3-q で示される基は、特定のフッ素含有化合物の有する−Si(OR1 3 で示される基と反応性(加水分解・縮合反応)を有する。
また、シランカップリング剤の有する有機官能基(R9 )としては、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基などを例示することができる。
特定のシリコーン系樹脂は、通常、ポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノ水素シロキサンを含む主剤と、エポキシ変性シリコーンおよびシランカップリング剤を含む硬化剤とからなる二液硬化型の樹脂組成物として使用される。
ここに、ポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノ水素シロキサンを含有する主剤としては、シリコーン溶液「HS−3」および「HS−4」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
また、エポキシ変性シリコーンおよびシランカップリング剤を含有する硬化剤としてはシリコーン溶液「XC9603」(GE東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
特定のシリコーン系樹脂には、ジアルキルスズ化合物からなる触媒が含有されていることが好ましい。これにより、樹脂の硬化反応を促進することができる。
ジアルキルスズ化合物としては、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボキシレート類、ジブチルスズジブトキシド、ジオクチルスズジブトキシドなどのジアルキルスズジアルコキシド類、ジブチルスズジ(チオブトキシド)などのジアルキルスズジチオアルコキシド類、ジ(2−エチルヘキシル)スズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ビス(ブトキシジブチルスズ)オキサイドなどのジアルキルスズ酸化物類、ジブチルスズスルフィドなどのジアルキルスズ硫化物類を例示することができる。
ジアルキルスズ化合物からなる触媒の市販品としては「YC6831」(GE東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
<酸触媒>
特定のシリコーン系樹脂を含有する本発明の表面処理剤には、更に、酸触媒が含有されていることが好ましい。
酸触媒が含有されて酸性(pHが6以下、特に2〜5)とすることにより、特定のフッ素含有化合物の有する−Si(OR1 3 で示される基と、シランカップリング剤の有する−Si(OR7 q で示される基とを効率的に反応させることができる。
ここに、含有される酸触媒としては、無機酸であっても有機酸であってもよい。
ここに、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などを挙げることができ、塩酸が好ましい。また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸などを挙げることができ、酢酸が好ましい。
<溶剤>
本発明の表面処理剤を構成する溶剤としては、特定のフッ素含有化合物およびシリコーン系樹脂を共に溶解することができるものの中から選択することができ、これらの種類によっても異なるが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、アセトンなどの有機溶剤を例示することができ、これらは単独で、または2種類以上を混合して使用することができる。
<含有割合>
特定のシリコーン系樹脂を含有する本発明の表面処理剤において、特定のフッ素含有化合物の含有量をa、ポリオルガノシロキサンの含有量をb1、ポリオルガノ水素シロキサンの含有量をb2、エポキシ変性シリコーンの含有量をb3、シランカップリング剤の含有量をb4とするとき、a/(b1+b2+b3+b4)の値が1.0〜4.0であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.9〜3.1とされる。
a/(b1+b2+b3+b4)の値が過小となる場合には、形成される表面処理層に十分なフッ素原子を存在させることができない。また、この値が過大となる場合には、形成される表面処理層に残留する未反応のシリコーン系樹脂成分が撥水効果を低下させることがある。
a/(b1+b2+b3+b4)の値が1.0〜4.0であることにより、形成される表面処理層によって、水との接触角が140°以上の超撥水性を確実に付与することができる。
本発明の表面処理剤は、ゴムの表面を処理するのに好適であり、耐久性(耐溶剤性)に優れた表面処理層(撥水性の付与層)をゴムの表面に形成することができ、本発明の表面処理剤により処理したゴム製品に有機溶剤を接触させた後においても、所期の超撥水性が十分に発揮される。
本発明の表面処理剤により形成される表面処理層が耐久性に優れている理由は明らかではないが、例えば、特定のシリコーン系樹脂を含有する本発明の表面処理剤でゴムの表面を処理した場合に、フッ素原子を有する「特定のフッ素含有化合物」に由来の構造およびケイ素原子を有する「ポリオルガノ水素シロキサン」に由来の構造が、「エポキシ変性シリコーン」および「シランカップリング剤」を介してゴムの分子鎖に化学的に結合するからであると推測される。
なお、本発明の表面処理剤は、ゴム以外の基材(例えば樹脂、繊維、ガラス、金属)の表面にも適用できることは勿論である。
<表面処理方法>
本発明の表面処理方法は、本発明の表面処理剤をゴムの表面に塗布する工程(以下「塗布工程」という。)と、前記表面処理剤による塗膜を加熱する工程(以下「加熱工程」という。)とを含む。
塗布工程において、本発明の表面処理剤をゴム表面へ塗布する方法としては、スプレー法、浸漬法、刷毛やローラなどの塗布手段を使用する方法など特に制限されるものではない。
なお、この塗布工程の終了後、ゴムの表面に形成された塗膜から溶剤を除去するために乾燥処理を行うことが好ましい。
加熱工程において、塗膜の加熱方法としては、オーブンによる加熱、熱プレスによる加熱など、特に制限されるものではない。加熱条件としては、例えば80〜200℃で5分間〜2時間とされ、好ましくは100〜150℃で10〜60分間とされる。
被処理物であるゴムの表面に塗布された塗膜(本発明の表面処理剤による塗膜)を加熱することにより、硬化反応・架橋反応〔例えば、ポリオルガノ水素シロキサンとシランカップリング剤(有機官能基)との反応、シランカップリング剤(有機官能基)とゴムの分子鎖との反応、シランカップリング剤(アルコキシ基)とエポキシ変性シリコーン(エポキシ基)との反応、シランカップリング剤(アルコキシ基)と特定のフッ素含有化合物(アルコキシ基)との反応、エポキシ変性シリコーン(エポキシ基)と特定のフッ素含有化合物(アルコキシ基)との反応、エポキシ変性シリコーン(エポキシ基)とゴムの分子鎖との反応など〕が進行し、この結果、ゴムに対する密着性に優れた表面処理層(被覆層/改質層)が形成される。
本発明の表面処理剤により形成される表面処理層は、化学安定性に優れ、特定のフッ素含有化合物やシリコーン系樹脂に対して良溶媒である種々の有機溶剤〔例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトン〕に対しても不溶性または難溶性となる。この結果、本発明の表面処理剤によって表面処理したゴム製品(表面処理層)に有機溶剤を接触させても、表面処理層の一部が溶出することはなく、これによって付与される超撥水性が実質的に損なわれることはない。
このように、本発明の表面処理剤(処理方法)により表面処理されたゴム製品は、特定のフッ素含有化合物により表面処理されたゴム製品、および、シリコーン系樹脂により表面処理されたゴム製品と比較して、格段に優れた耐久性(耐溶剤性)を有するものとなる(後述する比較例2および比較例3参照)。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で使用したシリコーン溶液および触媒溶液は下記のとおりである。
(1)シリコーン溶液「HS−3」(GE東芝シリコーン(株)製):
・ポリアルキルシロキサンおよびポリアルキル水素シロキサン:12%
・キシレン:65%
・イソプロピルアルコール:16%
・シクロヘキサノン:7%
(2)シリコーン溶液「XC9603」(GE東芝シリコーン(株)製):
・エポキシ変性シリコーンおよびシランカップリング剤:30%
・イソプロピルアルコール:70%
(3)触媒溶液「YC6831」(GE東芝シリコーン(株)製):
・ジアルキルスズ化合物:37.5%
・トルエン:62.5%
<実施例1>
下記表1に示す処方に従って、下記の式(1)(式中、x’は2または3である。)で示される特定のフッ素含有化合物1.00gと、シリコーン溶液「HS−3」3.00g(ポリアルキルシロキサンおよびポリアルキル水素シロキサンの両者の含有量:0.36g)と、シリコーン溶液「XC9603」1.50g(エポキシ変性シリコーンおよびシランカップリング剤の両者の含有量:0.45g)と、触媒溶液「YC6831」0.30g(ジアルキルスズ化合物の含有量:0.11g)と、0.1Nの塩酸2.0gとを、トルエン3.0gに添加し、この系を室温下に1時間攪拌することにより、本発明の表面処理剤(a/(b1+b2+b3+b4)=1.2)を製造した。
Figure 0005305721
上記のようにして製造された本発明の表面処理剤(1時間の攪拌操作の終了直後)を、アルコール洗浄および静電気除去を施したEPDMからなるゴム板(80mm×80mm)の表面にスプレー塗布した(塗布量=3mL)。次いで、当該ゴム板を室温下に放置して塗膜を乾燥させた後、150℃のオーブン内で10分間加熱処理することにより、本発明の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
<実施例2〜5>
下記表1に示す処方に従って、特定のフッ素含有化合物の添加量を変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の表面処理剤を製造し、得られた表面処理剤の各々を塗布したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
<比較例1>
アルコール洗浄および静電気除去を施したEPDMからなるゴム板(80mm×80mm)を準備した。この比較例1は、表面処理剤によるゴム板の処理を行わない比較例である。
<比較例2>
下記表1に示す処方に従って、特定のフッ素含有化合物2.00gをトルエン3.0gに添加したこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造し、この表面処理剤を塗布したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
この比較例2は、シリコーン系樹脂を含有させずに製造した表面処理剤によりゴム板を処理した比較例である。
<比較例3>
下記表1に示す処方に従って、シリコーン溶液「HS−3」3.00gと、シリコーン溶液「XC9603」1.50gと、触媒溶液「YC6831」0.30gとをトルエン3.0gに添加したこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造し、この表面処理剤を塗布したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
この比較例3は、特定のフッ素含有化合物および0.1Nの塩酸を含有させずに製造した表面処理剤によりゴム板を処理した比較例である。
<比較例4> 下記表1に示す処方に従って、CF3 (CF2 7 CH2 CH2 Si(OCH3 3 で示される、アルコキシ基を有するパーフルオロアルキルシラン(FAS)「KBM−7803」(信越化学工業(株)製)2.00gをトルエン3.0gに添加したこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造し、この表面処理剤を塗布したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
この比較例4は、フッ素結合基を有するシランカップリング剤(FAS)による表面処理剤によりゴム板を処理した比較例である。
<比較例5> 下記表1に示す処方に従って、FAS「KBM−7803」2.00gと、シリコーン溶液「HS−3」3.00gと、シリコーン溶液「XC9603」1.50gと、触媒溶液「YC6831」0.30gと、0.1Nの塩酸2.0gとをトルエン3.0gに添加したこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造し、この表面処理剤を塗布したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面処理剤による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
この比較例5は、フッ素結合基を有するシランカップリング剤(FAS)を特定のフッ素含有化合物の代わりに含有する表面処理剤によりゴム板を処理した比較例である。
<評価>
(1)撥水性(初期値):
実施例1〜5および比較例1〜5により表面処理されたゴム板の各々について、処理面に約0.05ccの水滴を乗せ、滴下してから5分経過後の接触角をERMA社製のG−1−1000型ゴニオメーターを用いて水に対する接触角を測定した。結果を併せて下記表1に示す。
(2)撥水性(溶剤洗浄後):
実施例1〜5および比較例1〜5により表面処理されたゴム板の各々について、メタノール中で1時間にわたり超音波洗浄を行った後、上記(1)と同様にして水に対する接触角を測定した。結果を併せて下記表1に示す。

Figure 0005305721
本発明の表面処理剤は、ゴムの表面を含めた種々の基材の表面に対して超撥水性を付与することができる。本発明の表面処理方法により得られるゴム製品は、電力接続部品(電力ケーブル接続部品)として好適に利用される。

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(I)で示されるフッ素含有化合物と、
    (B)(B1)ポリオルガノシロキサンと、
    (B2)ポリオルガノ水素シロキサンと、
    (B3)エポキシ変性シリコーンと、
    (B4)シランカップリング剤とを含有するシリコーン系樹脂と、
    (C)これらを溶解する溶剤とを含有し、
    (A)フッ素含有化合物の含有量をa、
    (B1)ポリオルガノシロキサンの含有量をb1、
    (B2)ポリオルガノ水素シロキサンの含有量をb2、
    (B3)エポキシ変性シリコーンの含有量をb3、
    (B4)シランカップリング剤の含有量をb4とするとき、
    a/(b1+b2+b3+b4)の値が1.0〜4.0であることを特徴とする表面処理剤。
    Figure 0005305721
    (式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R1 はアルキル基またはアルコキシ基を表し、xは1〜100の整数である。)
  2. a/(b1+b2+b3+b4)の値が1.5〜3.5であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理剤。
  3. (B)シリコーン系樹脂が、
    (B5)ジアルキルスズ化合物からなる触媒を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面処理剤。
  4. 酸触媒を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の表面処理剤。
  5. ゴムの表面を処理するための請求項1乃至請求項4の何れかに記載の表面処理剤。
  6. 請求項5に記載の表面処理剤をゴムの表面に塗布する工程と、前記表面処理剤による塗膜を加熱する工程とを含むゴムの表面処理方法。
  7. 請求項5に記載の表面処理剤によって処理された、水との接触角が140°以上であるゴム製品。
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