JP2008502789A - グラフト化したフルオロエラストマー - Google Patents

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Abstract

求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーを、少なくとも1つの側基を有するモノフェノールでグラフト化する。得られたグラフト化したフルオロエラストマーは、更なる改変、架橋のために、またはフルオロエラストマーの物理的諸特性(例えば、T)を変更するために使用可能な側基を組み込みながら、優れた早期加硫特性を含めて元のエラストマーの特性の大半を保持する。

Description

本発明は、フルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数のモノフェノールグラフト化剤を有するグラフト化したフルオロエラストマーであって、熱誘導早期加硫に耐性を示し、求核性末端基を実質的に含まないフルオロエラストマーに関する。
フルオロエラストマーは、当技術分野でよく知られている。多くは、フッ化ビニリデン(VF)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの少なくとも1つの他のフッ素化コモノマーとのコポリマーである。他のフルオロエラストマーには、テトラフルオロエチレンとエチレンやプロピレンなどの炭化水素オレフィンとのコポリマー、およびテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマーが含まれる。
分子をポリマー主鎖または側鎖にグラフト化することによって、フルオロエラストマーの特性を改変することが望ましいことがある。グラフト化した分子は、更なる改変、架橋のために、またはフルオロエラストマーの物理的諸特性(例えば、T)を変更するために使用可能な側基を有する。
典型的グラフトは、フルオロエラストマー上の炭素−炭素二重結合を、二重結合と反応するための単一の求核性基(例えば、「モノフェノール」)を有するグラフト化剤と反応させるものである。1つを超える求核性基を有する作用剤は、フルオロエラストマー鎖の架橋を生じる恐れがあり、望ましくない。グラフト化剤は、通常はフルオロエラストマー特性を改変するための、ビニル、アリル、アクリレート、アルコキシシラン、アミド、スルホン酸塩、ピリジン、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩基などの1つまたは複数の側基を有する。エラストマー上の炭素−炭素二重結合は、エラストマーをグラフト化化合物と混合する前に存在することができ、または二重結合は、グラフト化化合物の存在下で脱ヒドロフッ素化触媒(すなわち、促進剤)によって生成することができる。
残念なことに、グラフト化方法は、フルオロエラストマー組成物の望ましくない早期加硫(すなわち、ムーニー粘度の上昇)を招く場合が多く、後続のプロセシングに悪影響を及ぼし、組成物の混合、押出、または成形を困難にする。後者は、「スコーチ」と呼ばれる事がある。このスコーチ現象は、実質的に乾燥しているフルオロエラストマーゴムを用いてバルク中でグラフト化反応が生じる場合の特定の問題である。
カポリッシオ(Caporiccio)ら(米国特許公報(特許文献1))は、実質的に乾燥しているフルオロエラストマーゴムを用いてバルクで行うのではなく、分散液または溶液中でグラフト化を行った。しかし、得られたグラフト化したフルオロエラストマー組成物はやはり、ミル混合、押出、または成形など次のプロセシングの間に望ましくない早期加硫を示す恐れがある。
ハラディ(Halladay)ら(米国特許公報(特許文献2))は、室温硬化性フルオロエラストマー組成物を開示している。イソシアナートとの後続の架橋のための活性水素を有する基を有する作用剤を用いて、フルオロエラストマーをバルクでグラフト化させる。グラフト化は、好ましくはアミノ基またはメルカプト基を介する。このようなグラフト化したフルオロエラストマー組成物はやはり、ミル混合、押出、または成形など次のプロセシングの間に望ましくない早期加硫を示す恐れがある。さらに、アミノおよびメルカプト基グラフト物は、アミノ基グラフト化に起因するイミン結合の相対的に不十分な加水分解安定性、およびメルカプト基グラフト化に起因するスルフィド結合の限定された熱安定性のため、いくつかの最終使用用途で望ましくない。
米国特許第5,367,023号明細書 米国特許第6,838,407 B2号明細書 国際公開第2004/000896 A1号パンフレット 米国特許第4,243,770号明細書 米国特許第4,985,520号明細書 米国特許第6,664,339 B2号明細書 米国特許第6,703,450 B2号明細書
本発明の目的は、グラフト化可能な組成物と得られたグラフト化したフルオロエラストマーが共に熱誘導早期加硫に対して改善された耐性を有する、モノフェノールをグラフト化したフルオロエラストマーを、実質的に乾燥している状態のバルクで作製することである。
驚くべきことに、実質的に乾燥している状態のバルクで、求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーをモノフェノールでグラフト化して、グラフト化プロセスの最中に早期加硫せず、しかもミル混合、押出、または成形など後続のプロセシングの最中に早期加硫に耐性を示すグラフト化したフルオロエラストマーが得られることが発見された。早期加硫が存在する場合は、フルオロエラストマー鎖上に存在する求核性末端基と、グラフト化反応の最中に形成されるフルオロエラストマー鎖上の炭素−炭素二重結合との反応に起因する。この反応により、エラストマーの加工を困難にするゲル化した高ムーニー粘度が得られる。したがって、フルオロエラストマー上の求核性末端基を最小限に抑え、またはなくすことが、早期加硫を最小限に抑え、またはなくすことになる。フルオロエラストマーの求核性末端基のレベルが、測定を困難にする恐れがある。間接的な測定は、活性求核性末端基が存在するグラフト化可能なまたはグラフト化した組成物を、ムーニー粘度計で、1分間予熱した後135℃で18分間(すなわち、ML(1+18))試験した場合に起こるムーニー粘度の上昇である。本発明では、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まない。
したがって、本発明の態様は、グラフト化したフルオロエラストマーであって、前記フルオロエラストマーがモノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有し、前記グラフト化したフルオロエラストマーが、求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満である。
本発明の別の態様は、求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマー;モノフェノールグラフト化剤;促進剤;および酸受容体を含むグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物であって、前記組成物は、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満である。
本発明の別の態様は、グラフト化したフルオロエラストマーを作製するための方法であって、
a)バルクで、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体とを混合させて、グラフト化可能なフルオロエラストマー組成物を形成するステップと、
b)前記グラフト化可能な組成物を80℃〜250℃の温度で加熱し、それによってモノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップとを含む方法である。
本発明の代替の方法では、上記の方法のステップa)およびb)を組み合わせて単一のステップにすることができ、材料の混合は80℃〜250℃の温度で起こり、混合の最中にグラフト化が生じる。
本発明の別の態様は、グラフト化したフルオロエラストマーをポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムから作製するための方法であって、
a)バルクで、80°〜250℃の温度で、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)促進剤、およびiii)酸受容体とをグラフト化剤の不存在下に混合して、不飽和フルオロエラストマー組成物を形成するステップと、
b)i)前記不飽和フルオロエラストマー組成物と、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体とを混合して、グラフト化可能な組成物を形成するステップと、
c)前記グラフト化可能な組成物を80℃〜250℃の温度で加熱し、それによってモノフェノールを介して炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップとを含む方法である。
本発明の別の態様は、上記の方法のいずれかで作製されたグラフト化したフルオロエラストマーである。
本発明は、良好な早期加硫特性、およびモノフェノール結合を介してフルオロエラストマー上の炭素原子に、好ましくはエラストマーのポリマー主鎖に沿った炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを作製するための方法に関する。グラフト化したフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まない。好ましくは、グラフト化したフルオロエラストマーは、重量平均分子量(M)が少なくとも30,000、好ましくは50,000〜500,000である。グラフト化方法は、実質的に乾燥している、すなわち5重量パーセント未満、好ましくは1重量パーセント未満の水または溶媒しか含有しないフルオロエラストマーを用いて実施する。
適切な側基には、ビニル、アリル、アクリレート、アミド、スルホン酸塩、ピリジン、カルボン酸エステル、カルボン酸塩基、および脂肪族または芳香族のトリエーテルまたはトリエステルであるヒンダードシランが含まれるが、これらに限定されない。これらの側基は、モノフェノールがフルオロエラストマーにグラフト化する最中には反応しない。「側基を有するモノフェノール」という用語は、フルオロエラストマーにグラフト化するための単独の−OH基と、上記に記載するそれらの側基など少なくとも1つの側基(−OH以外)とを有する芳香族グラフト化剤を意味する。グラフト化の最中にフルオロエラストマーの望ましくない架橋が生じないないように、1つより多い求核性基を有するモノフェノールは、避けるべきである。グラフト化反応では、モノフェノールは、その酸素原子を介して、ポリヒドロキシ硬化性物であれば通常は反応するはずの不飽和部位においてフルオロエラストマー上の炭素原子に結合する。本発明のグラフト化可能な組成物は、通常はフルオロエラストマー100部当たり0.1〜75重量部のグラフト化剤(すなわち、0.1〜75phr)、好ましくは1〜5phrを含有する。
側基を有するモノフェノールの具体例には、2−メトキシ−4−アリルフェノール(オイゲノール)などのアリル性モノフェノール;2−アリルフェノール;2,5−ジアリルフェノール;p−アセトアミドフェノール;m−ヒドロキシ−N−メチルアセトアニリド;p−ヒドロキシメチル安息香酸フェニルエステル;ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル;3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル;1,2−または2,3−ジヒドロキシナフタレンのモノアクリル酸エステルなど、ビスフェノール、ジヒドロキシベンゼン、またはジヒドロキシナフタレンのモノアクリル酸エステル;4−ヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;およびビスフェノールAFのモノビニルまたはモノアリルエーテルなど、ジヒドロキシ芳香族のモノアリルエーテルまたはモノビニルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。
本発明での使用に適したフルオロエラストマーは、ポリヒドロキシ硬化性のものである。「ポリヒドロキシ硬化性」という用語は、ビスフェノールAFなどのポリヒドロキシ硬化性物と架橋することが知られているフルオロエラストマーを意味する。このようなフルオロエラストマーには、エラストマーポリマー主鎖に沿った複数の炭素−炭素二重結合を有するもの、さらに容易に脱ヒドロフッ素化することができる部位を含むフルオロエラストマーも含まれる。後者のフルオロエラストマーには、フッ化ビニリデン(VF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合された隣接する単位を含むもの、およびVF(またはテトラフルオロエチレン)と2−ヒドロペンタフルオロプロピレン;1−ヒドロペンタフルオロプロピレン;トリフルオロエチレン;2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;または3,3,3−トリフルオロプロペンなど酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーの共重合された隣接する単位を含むフルオロエラストマーが含まれるが、これらに限定されない。好ましいフルオロエラストマーには、i)フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、および任意選択的にテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマー;ii)フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、2−ヒドロペンタフルオロエチレン、および任意選択的にテトラフルオロエチレンのコポリマー;iii)テトラフルオロエチレンと、プロピレン、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマー;ならびにiv)エチレンと、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、および3,3,3−トリフルオロプロピレンのコポリマーが含まれる。
フルオロエラストマーは、一般にラジカル乳化または懸濁重合によって調製する。重合は、定常状態条件下で実施することができる。あるいは、回分および半回分プロセスを使用することができる。好ましくは、本発明で使用するポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーは、少なくとも30,000、最も好ましくは50,000〜500,000のMを有する。
1分間予熱し18分間混合した後のムーニー粘度(大型ローター、135℃)が160未満である、乾燥したバルク状態の(すなわち、5重量パーセント未満(好ましくは、1未満)の水または溶媒しか含まない)グラフト化したフルオロエラストマーを作製するためには、ポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まないことが重要である。相でない場合には、フルオロエラストマー鎖上に存在する求核性末端基が、グラフト化反応の最中または後続のプロセシング(すなわち、混合、押出、成形など)で、フルオロエラストマー上の炭素−炭素二重結合の一部と反応して、望ましくない早期加硫を誘導することが発見された。二重結合は、最初はグラフト化していないフルオロエラストマー上に存在し、またはグラフト化プロセスの最中に生成する。
フルオロエラストマー上の「求核性末端基」という用語は、β−フルオロアルコール末端基、すなわち−CFCHOHを意味する。求核性末端基の量は、本明細書の下記に試験方法で記載するように、NMRによって決定することができる。「求核性末端基を実質的に含まない」は、フルオロエラストマーが、フルオロエラストマー1kg当たり求核性末端基10ミリモル未満、好ましくはフルオロエラストマー1kg当たり2ミリモル未満、最も好ましくは1kg当たり1ミリモル未満を有することを意味する。求核性末端基レベルの直接的決定は、困難なことがある。間接的な測定は、1分間予熱した後135℃で18分間混合している最中に、ムーニー粘度計で起こるムーニー粘度の上昇である。このような上昇は、求核性末端基と、フルオロエラストマー鎖上の炭素−炭素二重結合との反応に起因する。135℃で18分間加熱している最中に観察されるムーニー粘度の上昇が小さくなれば、フルオロエラストマー上のβ−フルオロアルコール基のレベルが低くなる。ムーニー粘度の上昇が起こらないことが好ましい。本発明では、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満、好ましくは100未満であるグラフト化したフルオロエラストマーまたはグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物は、求核性末端基を実質的に含まないものとして定義される。粘度が断続的なグラフト化した生成物(すなわち、最初は135℃、ML(1+18)で>160であったが、粘度を低減するために高せん断に曝露させた生成物)の特性は、望ましくない。
求核性末端基が少ないまたは全くないフルオロエラストマーは、様々な手段によって生成することができる。例えば、無機過酸化物ではなく、有機過酸化物(例えば、過硫酸アンモニウム)を、重合開始剤として使用することができる。適切な有機過酸化物の例としては、ジイソプロピルペルオキシジカーボナート(IPP)、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボナート、ジ−sec−ヘキシルペルオキシジカーボナート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボナート、およびジ−n−ブチルペルオキシジカーボナートなどのジアルキルペルオキシジカーボナート;tert−ブチルペルオキシイソブチレートやtert−ブチルペルオキシピバレートなどのペルオキシエステル;ジプロピオニルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド;およびジ(パーフルオロプロピオニル)ペルオキシドやジ(トリクロロ−オクタフルオロヘキサノイル)ペルオキシドなどのジ(パーフルオロアシル)ペルオキシドまたはジ(クロロフルオロアシル)ペルオキシドが挙げられる。あるいは、重合反応は、有機または無機の塩化物塩の存在下で起こって(特許文献3)、求核性末端基ではなく、CFCl末端基を得ることができる。同様に、重合反応は、アルキルまたはパーフルオロアルキルヨージドまたはジヨージド(米国特許公報(特許文献4))、炭化水素、エーテル、アルコール、ケトンなど周知の連鎖移動剤の存在下で行って、末端基を制御することができる。
得られた乳濁液は、通常は電解質の添加によって凝固する。沈殿したポリマーを水で洗浄し、次いで例えばエアーオーブン中で乾燥して、実質的に乾燥しているフルオロエラストマーゴムを生成する。実質的に乾燥しているということは、ゴムが、5重量パーセント未満(好ましくは、1重量パーセント未満)の水または溶媒しか含有していないことを意味している。
本発明のグラフト化方法では、少なくとも1つの促進剤を使用して、グラフト化を容易にする。促進剤には、有機オニウム化合物(すなわち、第四級アンモニウム水酸化物または塩、第四級ホスホニウム水酸化物または塩、および第三級スルホニウム水酸化物または塩)、および環状アミンが含まれる。アルキル炭素の合計が8〜24であるC〜Cの対称テトラアルキルアンモニウム塩、非対称テトラアルキルアンモニウム塩、およびアルキル炭素の合計が7〜19であるベンジルトリアルキルアンモニウム塩などの第四級アンモニウム塩が最も好ましい。具体例としては、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、およびテトラブチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。テトラブチルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、およびベンジルジフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどの第四級ホスホニウム塩も好ましい。フェノレートは、第四級アンモニウムおよびホスホニウム塩について好ましいアニオンである。他の適切な促進剤には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンおよび1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンが含まれる。第四級アンモニウム塩は、向上した活性をこの系で発現するので好ましい。使用する促進剤の量は、フルオロエラストマー100部当たり0.1〜10重量部である。好ましくは、フルオロエラストマー100部当たり促進剤0.5〜3.0部を使用する。
グラフト化反応は、金属酸化物や金属水酸化物など、少なくとも1つの酸受容体の存在下でも実施される。有用な酸受容体である金属酸化物または水酸化物には、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、および酸化カルシウムが含まれる。水酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムが好ましい。酸受容体の量は、通常は1〜20phr、好ましくは3〜12phrである。
本発明のグラフト化方法では、求核性末端基を実質的に含まない実質的に乾燥しているポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーと、バルクで、i)側基を有するモノフェノール、ii)促進剤、およびiii)酸受容体を混合して、1分間予熱し18分間混合した後のムーニー粘度(大型ローター、135℃)が160未満であるグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物を形成する。後者のグラフト化可能な組成物は、本発明の実施形態である。グラフト化可能な組成物を、促進剤および酸受容体が、グラフト化する前に組成物中でよく分散されるように、グラフト化が起こり得る温度未満、すなわち80℃未満で作製することが好ましい。グラフト化方法では、次いでグラフト化可能な組成物を、80℃〜250℃の温度(好ましくは、130℃〜200℃)に加熱し、それによってモノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成する。グラフト化したフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まず、135℃、ML(1+18)で<160である。グラフト化したフルオロエラストマーは、次のプロセシングの最中に、末端基が、高温で早期加硫を誘導するような残留の炭素−炭素二重結合と反応しないように、求核性末端基を実質的に含まないことが重要である。
本発明の上記の方法の代替として、混合および加熱のステップを組み合わせて単一のステップにすることができ、材料の混合は80℃〜250℃、好ましくは130℃〜200℃の温度で起こり、従って混合の最中にグラフト化が生じる。
本発明のグラフト化方法の別の実施形態では、フルオロエラストマーの脱ヒドロフッ素化は、まずグラフト化剤の不存在下に起こり得る。次いで、不飽和フルオロエラストマーを容易にグラフト化することができる。このような方法は、a)バルクで、80°〜250℃の温度で、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)促進剤、およびiii)酸受容体を、グラフト化剤の不存在下に混合して、不飽和フルオロエラストマー組成物を形成するステップと、b)好ましくは80℃未満の温度で、i)前記不飽和フルオロエラストマー組成物と、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体を混合して、グラフト化可能な組成物を形成するステップと、c)前記グラフト化可能な組成物を80℃〜250℃の温度で加熱し、それによってモノフェノールを介して炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップとを含む。
本発明のすべての方法では、グラフト化可能な組成物を二軸押出機中、例えば150rpmで、穏やかに混合する間にグラフト化反応は起こることが好ましい。これによって、より均一なグラフト化した生成物が得られる。
上記のグラフト化方法のいずれかによって調製されたグラフト化したフルオロエラストマー組成物も、本発明の実施形態である。
任意選択的に、一般にゴムプロセシングで使用する添加剤は、グラフト化反応の最中に存在してもよく、またはその後に組み込まれてもよい。このような添加剤には、カーボンブラック、フルオロポリマー微粉末、および鉱物粉末などの硬化剤、加工助剤、および充填剤が含まれる。しかし、硬化剤がグラフト化条件に安定である、すなわちグラフト化の最中に架橋を開始しない場合、硬化剤は、グラフト化反応の最中に存在することができるだけである。
本発明のグラフト化したフルオロエラストマーは、射出、圧縮、またはトランスファー成形したシール、o−リング、およびガスケット、押出チュービングおよびホース、押出電線被覆、溶媒または火炎溶射方法によって塗布された被覆、ポリオレフィン押出用の加工助剤などの最終使用において有用性がある。不飽和側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーは、イソシアヌル酸トリアリルなどの多官能性共作用剤などを必要とすることなく、(放射線または過酸化物により誘導された)ラジカル反応により架橋することができ、同様のグラフト化していないフルオロエラストマーより後硬化を必要としないことがあり得る。
次に、下記の実施例によって本発明を例示する。実施例では、部はすべて、別段の指摘がない限り重量による。
(試験方法)
実施例に記載する組成物の物理的諸特性は、下記の試験手順に従って測定した。
Figure 2008502789
フルオロエラストマー中のβ−フルオロアルコール(−CFCHOH)末端基のレベルは、プロトンNMRで決定し、フルオロエラストマー1kg当たりのβ−フルオロアルコールのミリモル数で表した。20.0mgのフルオロエラストマーポリマーを、1.00mlのd−アセトンに溶解し、ブルーカー(Bruker)の500MHz DRX分光計で、次の2.55秒で90度パルスをかける前に完全な緩和を可能にするように30秒のパルス遅延時間を使用して、256回のスキャンを行った。必要な場合には、内部標準として3−トリフルオロメチルアニソールを使用し、化学シフトをTMS=0.000に対してppmで表した。実際の計算は、β−フルオロアルコールCH基上の2つのプロトン(3.75ppm)の積分と、共重合したVF単位のCH基上の2つのプロトン(2.50および3.25ppm)の積分の合計との比を決定するものであった。次いで、この比に、フルオロエラストマー1kg当たりの共重合したVF単位のミリモル数(試験するフルオロエラストマー中の共重合したモノマーのレベルから分かる)を乗じて、β−フルオロアルコール(−CFCHOH)末端基のレベルを得た。
(実施例1)
本発明のグラフト化可能な4つの組成物(試料1〜4)および対照(対照A)を、2本ロールのゴム用ロール機で調製した。表Iに、配合物を示す。バイトン(Viton)(登録商標)Aは、乳化重合した(過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸ナトリウムで開始した)、約60重量パーセントのフッ化ビニリデン(VF)単位と40重量パーセントのヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位のコポリマーであり、本願特許出願人から市販されている)。β−フルオロアルコール末端基のレベルを、フルオロエラストマー1kg当たり約30ミリモルであると決定した。ミラフロン(Miraflon)(登録商標)FR−5520(以前は、旭化成(Asahi Chem)から入手可能)は、懸濁重合した(ジイソプロピルペルオキシジカーボナートによって開始した)フルオロエラストマーであり(米国特許公報(特許文献5)に従って作製)、バイトン(Viton)(登録商標)Aの場合と同様な共重合したモノマー組成物を有するが、フルオロエラストマー1kg当たり1ミリモル未満のβ−フルオロアルコール末端基しか含まない。
これらの化合物のムーニー粘度は、大型ローターを用いて、135℃で最初に1分間予熱した後18分間にわたって、すなわち135℃、ML(1+18)で測定した。2〜12分のムーニー粘度の段階的上昇の大きさは、これらの化合物中のバイトン(Viton)(登録商標)Aに応じて単調に増加する関数であり、スコーチの上昇を表す。対照Aのムーニー粘度の上昇は、装置の測定能力を超えるものであった。
Figure 2008502789
(実施例2)
バイトン(Viton)(登録商標)B(過硫酸アンモニウムで開始して乳化重合したフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのフルオロエラストマーコポリマー)、バイトン(Viton)(登録商標)B−600(イソプロピルアルコール連鎖移動剤の存在下での重合によるイソプロピルアルコール末端基を有する)(両フルオロエラストマーとも本願特許出願人から入手可能)、およびイソプロピルアルコールではなくメチルエチルケトン(MEK)で改変したバイトン(Viton)(登録商標)B−600類似体のグラフト化可能な組成物をに比較して、−CFCHOH末端基レベルが減少しているが、同じ全組成物、および同様な分子量および分子量分布を有する一連のポリマーの相対的なスコーチ傾向を決定した。135℃、ML(1+18)で測定した。また、通常はムーニースコーチ測定に使用する小型ローターを使用して、ムーニー粘度を135℃で60分間測定することによって、スコーチ傾向を評価した。15ムーニー単位だけの上昇後に自動的に試験を止めるので、小型ローターを使用する標準のムーニースコーチ試験を使用せず、より大きな上昇に遭遇した。下記の配合物をミル混合し、改変したムーニー粘度試験にかけ、6〜18分の間に生じた粘度の段階的変化を記録した。表IIに、配合物およびスコーチの結果を示す。試料5〜6は、本発明のグラフト化可能な組成物であり、対照Bは、求核性末端基のレベルが高すぎた。NMR試験方法で測定したように、フルオロエラストマーのβ−フルオロアルコールレベルは、フルオロエラストマー1kg当たりバイトン(Viton)(登録商標)B 14ミリモル、フルオロエラストマー1kg当たりバイトン(Viton)(登録商標)B−600 1.4ミリモルであり、MEK類似体については測定しなかったが、1.4ミリモル/kg未満であった。
Figure 2008502789
(実施例3)
この実施例は、モノフェノールのポリマーへの結合を実証し、β−フルオロアルコール末端基が極めて少ないフルオロエラストマーに基づく、グラフト化した可溶性組成物の存在を確立する。2本ロールのゴム用ロール機を使用して、100gのダイエル(Dai−el) G−902(ダイキン(Daikin)から市販されている、大まかな組成が33重量%のフッ化ビニリデン、43重量%のヘキサフルオロプロピレン、および24重量%のテトラフルオロエチレンであるフルオロエラストマー)、2.07ミリモルのテトラブチルアンモニウム塩促進剤、18.3ミリモルの4−t−ブチルフェノール、3.0gのCa(OH)、および3.0gのエラストマグ(Elastomag)171(MgO)を緊密に混合した。次いで、得られた化合物を、ハーケ(Haake)密閉式ミキサー中、170℃で10分間処理した。得られた組成物は、ゲル化していないままであり、無機塩基以外はアセトンに可溶であった。アセトンを用いて、この組成物の7%(重量/体積)溶液を調製し、次いで4−t−ブチルフェノールにとって溶媒であるがフルオロエラストマーにとっては溶媒でないイソプロパノールを過剰に加えて、徐々に沈殿させた。沈殿したポリマーを完全に乾燥させ、その小部分をd−アセトンに溶解して、H−NMR分析用の試料を調製した。NMRスペクトルは、テトラメチルシランに比べて1.30ppmで強い吸収を明瞭に示し、フェノールのt−ブチル基の等価な9つのメチルプロトンが存在し、それらは、グラフト化していない4−t−ブチルフェノールを分離したはずの沈殿プロセスにおいて、ポリマーと分離するので、ポリマーに結合していることを明瞭に示した。グラフト化方法の効率は、高かった。ハーケ(Haake)処理後の組成物に存在する4−t−ブチルフェノールの79%超は、沈殿したポリマー中に存在した。これは、ハーケ(Haake)生成物と、その後に過剰のイソプロパノールを加えてアセトンから沈殿させることによって精製した生成物のNMRスペクトルを比較することによって決定した。
(実施例4)
この実施例は、トリアリルイソシアヌレートなどの従来型のラジカル捕獲剤、すなわちいわゆる共作用剤を使用することなく、ペルオキシド硬化性になることができるオイゲノール−グラフト化したフルオロエラストマーの有用性を示している。
テトラフルオロエチレン(TFE)、プロピレン(P)、およびフッ化ビニリデン(VF)の共重合された単位を含むフルオロエラストマーは、よく撹拌した反応容器中、60℃で半回分乳化重合を実施して調製した。水平に撹拌した33リットルの反応器に、23リットルの脱イオン脱酸素水、115gのフォーラファック(Forafac)1033D界面活性剤、および10.4gの水酸化ナトリウムを加えた。反応器を60℃に加熱し、次いで40.0重量%のTFE、58.0重量%のVF、および2.0重量%のプロピレンの混合物で2.07MPaに加圧した。次いで、10%過硫酸アンモニウム/1.75%水酸化ナトリウム開始剤溶液の274mlの試料を添加した。56.7重量%のTFE、32.2重量%のVF、および11.1重量%のプロピレンの混合物を反応器に加えて、重合全体にわたって2.07MPaの圧力を維持した。開始剤溶液を、モノマー供給が中断されるまで5ml/時間で連続供給した。80gのモノマー混合物が消費された後、28gの混合ジヨージド(I−(CF−I、式中、nは4、6、および8である)を反応器に供給した。3500gのモノマー混合物が消費された後、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン(ITFB)を、合計10mlが供給されるまで、モノマー混合物3000g当たり7.5mlの比で連続供給した。合計8000gのモノマー混合物を反応器に供給した後、モノマー添加を中断し、反応器から残留モノマーを除去した。全反応時間は、23時間であった。得られた乳濁液を、硫酸アルミニウム溶液の添加により凝固させ、脱イオン水で洗浄した。ポリマークラムを60℃で2日間乾燥した。ML−10(121℃)のムーニー粘度は34であった。フルオロエラストマー中の全ヨウ化物は、0.247重量%であり、TFE、P、およびVFのレベルはそれぞれ、56.6重量%、11重量%、および32重量%であった。このフルオロエラストマーは、トリアリルイソシアヌレートなどのラジカル捕獲剤の不存在下で直接にペルオキシド硬化性でない。
フルオロエラストマーをオイゲノール(アリル側基を有するモノフェノール)でグラフト化し、次いで共作用剤の不存在下に有機過酸化物で硬化させた。ゴム用ロール機で、100gのフルオロエラストマーと、0.75gの硫酸水素テトラブチルアンモニウム(TBAHS)、1.0gのマイクロセル(Microcel)E担体に担持させた2.0gのオイゲノール、6.0gのCa(OH)、および6.0gのエラストマグ(Elastomag)170(MgO)を配合することによって、グラフト化を行った。次いで、得られた組成物を、ハーケ(Haake)密閉式ミキサー中、177℃で4分間処理し、その時間中に、グラフト化反応が生じた。次いで、95gのグラフト化した生成物と、2.46gのルパーコ(Luperco)101−XLペルオキシド(ペンウォルトコーポレーション(Pennwalt Corporation)から入手可能)、および24.6gのMTカーボンブラックをミル混合した。次いで、得られた組成物の硬化特性を、177°、190°、および200℃で24分のMDR試験によって測定した(表III)。オイゲノールを省略した同様な組成物、すなわちアリル側基を有するモノフェノールでグラフト化しなかった組成物においては、硬化応答がなかった(すなわち、トルク(S)の上昇はなかった)。
Figure 2008502789
引張特性は、190℃で15分間プレス硬化し、次いでエアーオーブン中200℃で70時間後硬化させたスラブで測定した。圧縮永久ひずみは、スラブと同じ条件下で硬化させたペレットで測定した。表IVに、結果を示す。
Figure 2008502789
(実施例5)
この実施例は、グラフト化する前は有機過酸化物では硬化性でないビスフェノール硬化性フルオロエラストマーをオイゲノールでグラフト化し、次いで共作用剤の不存在下にペルオキシド硬化できることを実証している。フルオロエラストマーは、米国特許公報(特許文献6)の実施例2に実質的に従って調製したエチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマーであった。
100gのフルオロエラストマーと、1.3gの硫酸水素テトラブチルアンモニウム(TBAHS)、9.0gのCa(OH)、および1.32gのマイクロセル(Microcel)E担体に担持させた2.65gのオイゲノールをミル配合した。この化合物を、厚さ0.25インチのスラブとして、121℃のプレス中、15分間静的に加熱処理した。次いで、62.1gの加熱処理した組成物と、1.55gのルパーコ(Luperco)101−XLペルオキシドをミル混合し、およびMDR(177℃で24分間)、およびムーニースコーチ(121℃で30分間)試験にかけた。表Vに、結果を示す。フルオロエラストマーをオイゲノールでグラフト化しなかった同様な組成物は、硬化応答を示さなかった。
Figure 2008502789
(実施例6)
この実施例は、そのβ−フルオロアルコール末端基含量が大いに異なる2つのジポリマーの加工性および硬化応答の差異を示している。実施例1に報告するように、プロトンNMRで測定して、バイトン(Viton)(登録商標)Aは、フルオロエラストマー1kg当たり30ミリモルの−CFCHOHを有し、ミラフロン(Miraflon)FR−5520は、検出できないレベルである(<1ミリモル/フルオロエラストマー1kg)。各フルオロエラストマーを含むグラフト化可能な組成物は、200gのフルオロエラストマーと、1.00gのTBAHS、6.0gのCa(OH)、6.0gのエラストマグ(Elastomag)170(MgO)、および3.0gのマイクロセル(Microcel)E担体に担持させた6.00gのオイゲノールをミル配合することによって作製した。次いで、これらの組成物を、ハーケ(Haake)密閉式ミキサー中、150℃で10分間加熱処理した。3.0phrのルパーコ(Luperco)101−XLペルオキシドをゴム用ロール機で添加した後、得られたグラフト化した組成物を、次いで121℃で30分のムーニースコーチ試験にかけ、177℃で24分間のMDR測定によって加工性について試験した。表VIに、結果を示す。対照Cは、グラフト化したバイトン(Viton)(登録商標)A組成物であった。本発明の試料7は、グラフト化したミラフロン(Miraflon)FR−5520組成物であった。
Figure 2008502789
(実施例7)
この実施例で使用するフルオロエラストマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンの共重合された単位を含み、ヨージド末端基を有するバイトン(Viton)(登録商標)GF−300Sであった。プロトンNMRで、β−フルオロアルコール基のレベルを、フルオロエラストマー1kg当たり0.6ミリモル未満であると決定した。
2本ロールのゴム用ロール機で、100gのバイトン(Viton)(登録商標) GF−300Sと、0.60gのTBAHS、3.0gのCa(OH)、3.0gのエラストマグ(Elastomag) 170 (MgO)、および1.0gのマイクロセル(Microcel)−E担体に担持させた1.59gの2−アリルフェノールを混合した。次いで、このグラフト化可能な組成物を、厚さ0.25インチ(0.64cm)のスラブとして、プレス中135℃で10分間加熱して、アリルフェノールでグラフト化したフルオロエラストマーを生成した。次いで、加熱処理した組成物全部を、周囲温度で3.0gのルパーコ(Luperco)101−XLペルオキシドとミル配合し、177℃で24分のMDR試験にかけた。MDR応答は急速かつ実質的であり、0.20dN・mのS最小、8.24dN・mのS最大、1.01分のts2、1.30分のtc50、3.19分のtc90、および7.10dN・m/分のピーク速度が得られた。
(実施例8)
この実施例では、本発明のグラフト化可能な組成物(試料8)、およびグラフト化剤が存在していない対照組成物(対照D)を調製した。使用したフルオロエラストマーは、バイトン(Viton)(登録商標)B−600であった。まず、フルオロエラストマー、エラストマグ(Elastomag)170(MgO)、Ca(OH)、および硫酸水素テトラブチルアンモニウム(TBAHS)を、室温のミルで緊密に混合した。ミルからシートの形で取り出した後、化合物を造粒し、適切な量のオイゲノールとブレンドした。表VIIに、配合物を示す。
Figure 2008502789
グラフト化反応を二軸押出機で実施した。二軸押出機は、4つの温度制御ゾーンをもつ28mmの同方向回転完全噛合の設計であった。化合物は、ウェイトロスフィーダを使用して、またはスクリューへの材料の入口点を供給材料で連続的にカバーする「フラッドフィーディング」技法を使用することによって、押出機に供給することができる。化合物は、押出機から2穴式ストランドダイを通り抜けて冷却されたベルトに出る。化合物から揮発性物質を、およそ6つのスクリュー直径分の真空ポートを通して、ダイから上流に除去する。
表VIIの組成物を、二軸押出機により下記の条件下で加工した:
温度プロフィル(℃)、供給から出口まで、160、160、200、200
スクリュー速度150rpm
フィーディング技法:フラッドフィーディング
押出を行った後、対照Dおよびグラフト化した試料8と、2phrの2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DBPH、アルドリッチ(Aldrich))をミル混合した。硬化特性は、177℃、0.5°アーク、24分間のMDRで測定して、表VIIIに示す。トルクの上昇(S最大〜S最小)が証拠となるように、本発明のグラフト化した組成物(試料8’)しか、ペルオキシドとの硬化を示さなかった。
Figure 2008502789
(実施例9)
この実施例で使用するフルオロエラストマーは、a)バイトン(Viton)(登録商標)A−500(β−フルオロアルコールレベル21ミリモル/フルオロエラストマー1kgである、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー)、b)上記に記載するようなバイトン(Viton)(登録商標)B−600、c)上記に記載するようなバイトン(Viton)(登録商標)GF−300S、およびd)米国特許公報(特許文献7)の実施例2に実質的に従って調製した、テトラフルオロエチレン、プロピレン、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマーであるFKM−1であった。FKM−1上のβ−フルオロアルコール基のレベルは測定しなかったが、エラストマーはVF単位を含まないので、<0.6ミリモル/フルオロエラストマー1kgであるはずである。
グラフト化可能な組成物を、実施例8の場合と同じ方法によって作製した。表IXに、配合物、およびグラフト化可能な組成物の135℃でのML(1+18)を示す。これらの配合物を、実施例8に記載するように、二軸押出機でグラフト化した。二軸スクリュー押出条件は、下記の通りであった:
対照E、試料9、および10の場合:
温度プロフィル(℃)、供給から出口まで、160、170、170、170
スクリュー速度150rpm
フィーディング技法:フラッドフィーディング
試料11の場合:
温度プロフィル(℃)、供給から出口まで、140、140、140、140
スクリュー速度100rpm
フィード速度:30g/分
表IXの結果から、本発明でないグラフト化可能な組成物対照Eは、グラフト化した後、制御できないほど高い粘度をもたらすことが明らかである。その粘度は、グラフト化していない純バイトン(Viton)(登録商標)A−500ゴムの粘度(121℃でML(1+10)が51.8である)の4倍より高かった。対照的に、グラフト化した試料9の粘度は、A−500に比べてB−600のβ−フルオロアルコール含量がかなり低いため、グラフト化していないバイトン(Viton)(登録商標)B−600(121℃でML(1+10)が67.3)の粘度より約35%しか高くなかった。試料10および11においてバイトン(Viton)(登録商標)GF−300S(グラフト化していない121℃でML(1+10)が25.8)およびFKM−1(グラフト化していない121℃でML(1+10)が55.0)をそれぞれグラフト化する際に、粘度は上昇するが、これらのポリマーの非常に低いβ−フルオロアルコール含量に対応して、それぞれ約15%および13%とかなり小さかった。
Figure 2008502789
表Xに、2phrのDBPHとミル混合した後の二軸スクリューでグラフト化した試料9〜11の硬化応答を示す。より低いせん断環境下でグラフト化した同様な組成物の硬化応答に対して、(例えば、押出機で)混合しながらグラフト化方法を行うことに起因する硬化応答の改善を示すために、グラフト化可能な組成物試料9および10(すなわち、押出しを行っていない)の造粒したものと、2phrのDBPHをミル混合し、硬化応答について試験した。表Xでは、これらの後者の組成物を試料9Mおよび10Mと表示した。
Figure 2008502789
表Xの結果から、本発明の組成物である試料9、9M、10、10M、および11はすべて、有用なレベルのペルオキシド硬化応答を示すことが示唆されている。ミルグラフト化した試料9Mおよび10Mは、対応する二軸スクリューでグラフト化した組成物より遅く、かつ低いレベルのトルクに硬化した。試料11から、3,3,3−トリフルオロプロペンなどのフェノール反応性部分が存在する限り、VFがポリマー主鎖に存在する必要はないことが分かる。

Claims (16)

  1. グラフト化したフルオロエラストマーであって、前記フルオロエラストマーが、モノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有し、前記グラフト化したフルオロエラストマーが、求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であることを特徴とするグラフト化したフルオロエラストマー。
  2. 前記側基が、ビニル、アリル、アクリレート、アミド、スルホン酸塩、ピリジン、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のグラフト化したフルオロエラストマー。
  3. 前記フルオロエラストマーが、i)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;ii)フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iii)フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、2−ヒドロペンタフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iv)テトラフルオロエチレンと、プロピレン、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマー;ならびにv)エチレンと、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、および3,3,3−トリフルオロプロピレンのコポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のグラフト化したフルオロエラストマー。
  4. グラフト化可能なフルオロエラストマー組成物であって、求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマー;モノフェノールグラフト化剤;促進剤;および酸受容体を含み、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であることを特徴とする組成物。
  5. 前記フルオロエラストマーが、i)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;ii)フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iii)フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、2−ヒドロペンタフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iv)テトラフルオロエチレンと、プロピレン、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマー;およびv)エチレンと、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、および3,3,3−トリフルオロプロピレンのコポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物。
  6. 前記モノフェノールグラフト化剤が、2−メトキシ−4−アリルフェノール;2−アリルフェノール;2,5−ジアリルフェノール;p−アセトアミドフェノール;m−ヒドロキシ−N−メチルアセトアニリド;p−ヒドロキシメチル安息香酸フェニルエステル;ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル;3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル;ビスフェノールのモノアクリル酸エステル;ジヒドロキシベンゼンのモノアクリル酸エステル;ジヒドロキシナフタレンのモノアクリル酸エステル;4−ヒドロキシスチレン;ビスフェノールAFのモノアリルエーテル;およびビスフェノールAFのモノビニルエーテルからなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物。
  7. 前記促進剤が、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、および第三級スルホニウム塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物。
  8. 前記酸受容体が、金属酸化物、金属水酸化物、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のグラフト化可能なフルオロエラストマー組成物。
  9. グラフト化したフルオロエラストマーを作製するための方法であって、
    a)バルクで、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体を混合して、グラフト化可能なフルオロエラストマー組成物を形成するステップと、
    b)前記グラフト化可能な組成物を80℃〜250℃の温度で加熱し、それによってモノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップとを含むことを特徴とする方法。
  10. 前記混合ステップA)が、80℃未満の温度で行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記加熱ステップB)を、穏やかに混合しながら実施することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 前記加熱ステップB)は、130℃〜200℃の温度までであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  13. グラフト化したフルオロエラストマーを作製するための方法であって、
    a)バルクで、80°〜250℃の温度で、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体を混合して、モノフェノールを介して前記グラフト化したフルオロエラストマー上の炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを形成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップを含むことを特徴とする方法。
  14. グラフト化したフルオロエラストマーをポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムから作製するための方法であって、
    a)バルクで、80°〜250℃の温度で、i)求核性末端基を実質的に含まないポリヒドロキシ硬化性フルオロエラストマーゴムと、ii)促進剤、およびiii)酸受容体を、グラフト化剤の不存在下に混合して、不飽和フルオロエラストマーを形成するステップと、
    b)i)前記不飽和フルオロエラストマー組成物と、ii)側基を有するモノフェノール、iii)促進剤、およびiv)酸受容体を混合して、グラフト化可能な組成物を形成するステップと、
    c)前記グラフト化可能な組成物を80℃〜250℃の温度で加熱し、それによってモノフェノールを介して炭素原子に結合させた複数の側基を有するグラフト化したフルオロエラストマーを生成するステップであって、前記グラフト化したフルオロエラストマーは、求核性末端基を実質的に含まず、135℃でML(1+18)のムーニー粘度が160未満であるステップとを含むことを特徴とする方法。
  15. 前記フルオロエラストマーゴムが、i)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;ii)フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iii)フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、2−ヒドロペンタフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマー;iv)テトラフルオロエチレンと、プロピレン、および3,3,3−トリフルオロプロペンのコポリマー;ならびにv)エチレンと、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、および3,3,3−トリフルオロプロピレンのコポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記モノフェノールが、2−メトキシ−4−アリルフェノール;2−アリルフェノール;2,5−ジアリルフェノール;p−アセトアミドフェノール;m−ヒドロキシ−N−メチルアセトアニリド;p−ヒドロキシメチル安息香酸フェニルエステル;ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル;3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル;ビスフェノールのモノアクリル酸エステル;ジヒドロキシベンゼンのモノアクリル酸エステル;ジヒドロキシナフタレンのモノアクリル酸エステル;4−ヒドロキシスチレン;ビスフェノールAFのモノアリルエーテル;およびビスフェノールAFのモノビニルエーテルからなる群から選択されることを特徴とする請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
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