JPH0476729B2

JPH0476729B2 -

Info

Publication number: JPH0476729B2
Application number: JP58209732A
Authority: JP
Inventors: Ryoji Sono; Koshoku Ko; Yasuhiko Tsuji
Original assignee: TSUJI SEIYU KK
Current assignee: TSUJI SEIYU KK
Priority date: 1983-11-07
Filing date: 1983-11-07
Publication date: 1992-12-04
Also published as: JPS6099333A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、リン脂質系固形化乳化剤に係り、特
に常温で固体であり、作業性に優れ、また油への
溶解性に優れたリン脂質系乳化剤に関するもので
ある。従来から、リン脂質（レシチン）、例えば大豆
リン脂質は、唯一の天然乳化剤であり、乳化作用
の他に、抗酸化作用、保水作用、分散作用、粘度
低下作用等の有用な特性を有するところから、食
品工業分野において、幅広く用いられている。而
して、この大豆リン脂質は、通常大豆油を30〜40
％含む粘稠なペースト状のものであり、このため
その計量時に計量した量を液状の原料油脂等の目
的物に添加しようとするときに、計量容器に付
着、残存する量が多く、その全量を定量的に目的
物に投入するには、手間が掛り、作業性が非常に
悪い欠点を有していた。また、大豆リン脂質は油溶性であるが、これを
油中に均一に溶解せしめるめためには、油の温度
を上げ、攪拌をよくしなければならない問題があ
り、一方常温で液状の乳化剤もみられるが、それ
らの乳化剤も、大豆リン脂質と同様な欠点を有し
ているのである。ところで、食品工業の分野において、乳化剤を
使用する際には、大豆リン脂質の如きリン脂質を
単独に使用する場合は稀で、これと共に、その他
の乳化剤を混合して使用し、そのような混合物の
乳化作用や分散作用、或いはその他の作用を引き
出しているのが現状であるが、それらのリン脂質
を含む乳化剤の使用時にあつては、原料油脂等の
対象物への投入量を正確に為し、且つ油中での攪
拌を充分に行なわなければ、製品の物性に多大の
悪影響を及ぼすところから、それらの乳化剤の計
量、油中での攪拌は、工程中、重要な作業となつ
ており、それ故リン脂質を含む乳化剤の使用に当
たつては、常にその悪い作業性が問題となつてい
るのである。ここにおいて、本発明者らは、これらの問題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、大豆リン脂質
等を用いたリン脂質系乳化剤において、これに高
融点の動植物油脂及び／又は高融点の天然ワツク
ス類を配合せしめることにより、その効果的な固
化が達成され、以て計量等の作業性に優れるばか
りでなく、食品工業の分野において採用される通
常の液状の油脂への溶解の際に、かかる液状油脂
中により速く溶解、分散し、作業能率の点からも
優れた効果を発揮し得る、常温で固体の乳化剤が
得られることを見い出し、本発明に到達したので
ある。すなわち、本発明は、乳化剤としてのペースト
状のリン脂質を、グリセリン脂肪酸エステル、ポ
リグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル
及びシヨ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれ
た他の乳化剤と共に、高融点の動植物油脂及び／
又は高融点の天然ワツクス類に、該動植物油脂及
び／又は天然ワツクス類が乳化剤全量に対して重
量で１〜300％となる割合にて配合し、固形化せ
しめてなるリン脂質系固形化乳化剤を、その特徴
とするものであり、これによつて、リン脂質系乳
化剤の取扱い作業性が著しく高められ、また油中
への分散、溶解性が効果的に高められ得たのであ
る。ところで、かかる本発明において用いられる高
融点の動植物油脂とは、牛脂、ヤシ油、パーム油
等の固体油脂及びそれらの硬化油；大豆油、トウ
モロコシ油、綿実油等の液体油脂の硬化油等を意
味するが、目的とする乳化剤組成物に常温での硬
度を与える、換言すればそれを固形化するために
は、融点が35℃以上、好ましくは50℃以上である
固体油脂を用いることが望ましいのである。ま
た、ここで用いられる高融点の天然ワツクス類と
してはミツロウ、ライスワツクス等があり、この
天然ワツクス類にあつても、上記動植物油脂と同
様に、35℃以上、好ましくは50℃以上の融点を有
することが望ましい。なお、必要に応じて、かか
る高融点の動植物油脂及び／又は天然ワツクス類
と共に、通常の液状油脂を固形化に影響を与えな
い範囲で添加することも可能である。また、本発明において用いられるリン脂質は、
通常大豆リン脂質であつて、それは、一般に大豆
油を30〜40％程度含む粘稠なペースト状の通常の
ものであるが、その他卵黄リン脂質、なたねリン
脂質等、動植物油脂起源の種々なリン脂質であつ
ても何等差支えない。また、粉末状のリン脂質を
部分的に混合せしめることも可能である。さらに、このようなリン脂質と共に、配合され
る他の乳化剤としては、本発明に従う乳化剤組成
物が、食品用途を主用途とする限りにおいて、グ
リセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、シ
ヨ糖脂肪酸エステルが用いられることとなる。な
お、シヨ糖脂肪酸エステルを用いる場合にあつて
は、HLB値が11以下であるものを用いることに
より、液状油脂中への溶解性を高めることが可能
である。そして、このような乳化剤構成成分を用いた本
発明に従う乳化剤組成物にあつては、前記高融点
の動植物油脂及び／又は天然ワツクス類は、乳化
剤全量（リン脂質＋他の乳化剤）に対して、重量
で１〜300％の割合となるように配合せしめられ
ることとなる。けだし、この動植物油脂及び／又
は天然ワツクス類の配合量が余りにも少ない場合
には、ペースト状のリン脂質を充分に固形化する
ことが出来ず、また動植物油脂及び／又は天然ワ
ツクス類を300％を越える割合で添加しても、固
形化の目的は達成されるものの、余りにも多過る
高融点の動植物油脂及び／又は天然ワツクス類の
存在は、本発明に従う乳化剤の添加される原料油
脂の物性に影響を及ぼし、結果として、製品の物
性にも影響が出るところから、可及的に少量であ
ることが望ましく、一般に300％以下とされるこ
ととなる。また、かかる動植物油脂及び／又は天
然ワツクス類を多量に加えても、少量加えたもの
に比べ、構成乳化剤の油中での溶解・分散促進に
は殆ど寄与しないのである。なお、リン脂質以外の乳化剤が、常温でフレー
ク状、ろう状等の固体である場合には、乳化剤全
量に対して１〜50％程度、好ましくは２〜40％程
度、また該他の乳化剤が常温で液状、ペースト状
である場合には、乳化剤全量に対して50〜300％
程度であれば、乳化剤組成物の固化状態やそれの
油脂への溶解性の点において、何等問題はなく、
その範囲内の割合において配合せしめられること
となる。何れにしても、所定の高融点の動植物油脂及
び／又は天然ワツクス類の所定量を、リン脂質と
他の乳化剤とを配合してなる混合物に添加、混合
せしめることによつて、乳化剤組成物を取扱いの
容易な固体状態にするばかりでなく、それの液状
油脂への溶解性を一層容易ならしめ得るのであ
る。また、かかる本発明に従う固形の乳化剤組成物
は、それぞれ所定割合のリン脂質、その他の乳化
剤、高融点の動植物油脂及び／又は天然ワツクス
類をそれぞれ加温、溶解した後、混合せしめる
か、或いはそれらを常温で混合しておき、その混
合物を加温、溶解する手法の何れかによつて製造
されることとなるが、リン脂質以外に添加される
他の乳化剤の溶解後の粘度が高い場合にあつて
は、後者の方法が好適に選択され、それによつ
て、目的とする乳化剤の製造に要する時間が効果
的に短縮され得ることとなる。そして、このよう
に溶解せしめられた混合物を冷却することによつ
て、かかる混合物は固形化せしめられ、以て目的
とするリン脂質系固形化乳化剤が得られることと
なるが、その形状は粉末状、粒状、フレーク状、
或いは塊状等の任意の形状とされ、使用目的に応
じて、作業性の良い形状が適宜に選択されること
となる。以下、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明
を更に具体的に明らかにするが、本発明が、それ
ら実施例の記載によつて何等限定的に解釈される
ものではないこと、言うまでもないところであ
る。なお、実施例中の部及び割合は、何れも重量
基準で示すものである。また、各実施例における溶解温度は、次のよう
にして測定されたものである。すなわち、先ず、
100ml容三角フラスコに大豆白絞油50ｇをとり、
各乳化剤の粉末１ｇを添加する。なお、この乳化
剤粉末は、各々の乳化剤組成物を加温溶解せしめ
た後、室温まで冷却し、厚さ１mmの薄膜と為した
後、これを適当な大きさに粉砕せしめたものであ
る。そして、三角フラスコ内の油温を測定しなが
ら、40℃の温度までは２℃／分の割合で上昇さ
せ、その後0.5℃／分の割合で加熱、上昇せしめ、
そして三角フラスコを約20秒に１回の割合で攪拌
しながら、添加した乳化剤粉末が溶解し始める温
度及び完全溶解する温度を読み取り、これを溶解
温度とした。実施例１リン脂質として大豆リン脂質を用い、また動植
物油脂として融点が60.8℃である牛脂硬化油を用
い、更にその他の乳化剤としてグリセリン脂肪酸
エステル（主成分はモノステアレート）：エマル
ジ−MS（理研ビタミン株式会社製）を用い、下
記第１表に示される如き各種の混合割合で各成分
を混合せしめ、次いでその混合物を加温溶解し
て、全体が均一になつた後、室温まで冷却せしめ
ることにより、各乳化剤組成物の固化状態を観察
した。また、得られた各乳化剤組成物の厚さ１mm
の薄膜について、それぞれその溶解温度を測定し
た。その結果を第１表に併せて示した。

【表】かかる第１表の結果から明らかなように、通常
の乳化剤であるグリセリン脂肪酸エステルの単独
系より、大豆リン脂質を含有させることにより、
乳化剤の大豆白絞油に対する溶解温度が低くな
り、その溶解性が向上することが理解されるので
ある。また、この大豆リン脂質及びグリセリン脂
肪酸エステルに更に牛脂硬化油を配合せしめるこ
とにより、乳化剤組成物の固化状態が良好となる
ばかりでなく、その溶解温度が更に低下すること
が認められた。実施例２大豆リン脂質及び牛脂硬化油に対して、HLB
値が２〜３であるシヨ糖脂肪酸エステル：リヨー
トーシユガーエステルＳ−370（菱糖株式会社製）
を、第２表に示される割合で配合し、得られた乳
化剤の固化状態とその溶解温度を調べ、第２表に
併わせ示した。第２表の結果から明らかなように、シヨ糖脂肪
酸エステル単独では、80℃以上の溶解温度を必要
としているが、大豆リン脂質と混和することによ
り、溶解温度が低下し、更に牛脂硬化油を添加す
ることにより、乳化剤組成物の固化状態が良くな
るばかりでなく、溶解温度も更に低下するのであ
る。

【表】また、シヨ糖脂肪酸エステルのHLB値の異な
るものについて、下記第３表に示される如き割合
にて各成分を配合せしめ、得られた乳化剤組成物
の固化状態並びに溶解温度を調べ、その結果を第
３表に併せ示した。なお、シヨ糖脂肪酸エステル
のＳ−370，Ｓ−570，Ｓ−770，Ｓ−970，Ｓ−
1170は、それぞれ２〜３，５，７，９，11の
HLB値を持つものである。

【表】解せず。
実施例３大豆リン脂質及び牛脂硬化油と共に、ソルビタ
ン脂肪酸エステル（トリステアレート）：スパン
65（花王石鹸株式会社製）を用い、下記第４表に
示される配合割合にて、目的とする乳化剤組成物
を調製し、その固化状態及び溶解温度を調べ、そ
の結果を、第４表に併わせ示した。第４表の結果
から明らかなように、実施例１，２ほど顕著では
ないが、ソルビタン脂肪酸エステルと大豆リン脂
質からなる乳化剤は、牛脂硬化油との製剤化によ
り、固体状態が良好となり、溶解温度が低下して
いるのが認められる。

【表】実施例４大豆リン脂質及び牛脂硬化油と共に、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル（モノオレエート）：SY−
グリスターMO−500（阪本薬品工業株式会社製）
を用い、下記第５表に示される割合にて配合せし
め、目的とする乳化剤組成物を調整し、その固化
状態及び溶解温度を、前記実施例と同様にして調
べ、その結果を第５表に併わせ示した。この第５表の結果から明らかなように、大豆リ
ン脂質、牛脂硬化油、及びポリグリセリン脂肪酸
エステルの三者を共存させることにより、大豆白
絞油への溶解度が改善され、また固化状態も良好
なものであつた。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】１乳化剤としてのペースト状のリン脂質を、グ
リセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル及びシヨ糖脂肪酸
エステルからなる群より選ばれた他の乳化剤と共
に、高融点の動植物油脂及び／又は高融点の天然
ワツクス類に、該動植物油脂及び／又は天然ワツ
クス類が乳化剤全量に対して重量で１〜300％と
なる割合にて配合し、固形化せしめてなることを
特徴とするリン脂質系固形化乳化剤。２前記動植物油脂または前記天然ワツクス類
が、35℃以上の融点を有する特許請求の範囲第１
項記載の固形化乳化剤。３前記動植物油脂が、牛脂、ヤシ油、パーム油
及びそれらの硬化油、並びに大豆油、トウモロコ
シ油または綿実油の硬化油からなる群より選ばれ
たものである特許請求の範囲第１項又は第２項記
載の固形化乳化剤。４前記リン脂質が、大豆リン脂質である特許請
求の範囲第１項乃至第３項の何れかに記載の固形
化乳化剤。