JP3561571B2 - 酸化防止剤製剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が、油性物質に均一に分散されている酸化防止剤製剤に関する。更に詳しくは、液状であり、且つ粘度が低いため、取扱いが容易で、油脂類及び油脂含有食品ないし食品素材に配合が容易な酸化防止剤製剤に関する。さらに、本発明は、180℃程度の高温下で褐変することがない酸化防止剤製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
L−アスコルビン酸(別名:ビタミンC)は、強い還元作用を持ち、水溶性の酸化防止剤として、多くの食品に添加され、安全で且つ栄養強化剤としても使用できることから、好んで使用されていた。
【0003】
L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルとして、先に、わが国において食品添加物として使用が認められていた、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステルに続いて、最近、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが新たに食品添加物として使用できることになった。L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル及びL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは、脂溶性の酸化防止剤として油脂や油脂含有食品に広く使用され、L−アスコルビン酸と同様にその還元作用により、有効な酸化防止機能を発揮する。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルにおけるエステル結合は体内で容易に酵素分解され、ビタミンCと脂肪酸(パルミチン酸又はステアリン酸)になり、各々が有効成分としてはたらくことから安全性も高く評価されている。
【0004】
一方、前記のようなL−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、他の酸化防止剤との併用により、大きな相乗効果を得ることができる。例えば、従来より油溶性の酸化防止剤として使用されているトコフェロールは、通常原料由来でトコフェロールを含んでいるような植物油に添加しても、効果は低い。しかし、前記のような植物油に、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを添加すると相乗的な酸化防止効果が発揮される。従って、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、今後さらに広く油脂類や食品素材等に単独で、又は他の酸化防止剤製剤と併用して使用されることが期待され、この点でも有用なものである。
【0005】
前記エステルを酸化防止剤として使用するには、白色粉末状L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及びL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルを、直接、油脂類等に添加し、溶解させることにより行われていた。
【0006】
多様な油脂類、油脂含有食品及び食品素材等に添加する際、粉体のままよりも、液体として配合する方が、取扱いが容易なため便利である。このため、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの液状化が検討されている。現在は、油溶性の天然界面活性剤のレシチンを用いて、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを可溶化させた液状化製剤が一般的に使用されている。さらに、レシチン以外の他の界面活性剤を用いた可溶化も検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
L−アスコルビン酸は、経時安定性が悪く、油脂類に対する溶解性も乏しいため、添加剤として配合し難いもので、実際的な使用においては問題が多くあった。
【0008】
L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルは、経時安定性は改善されるものの、油脂類に対する溶解性は依然改善されないままで、油脂類の温度を約100℃程度に上げた状態で溶解していた。また、かさ比重が大きい粉末であるので、操作中に粉末が空気中に散在したりし、その取扱いも不便であった。このような点から油脂類等への配合が困難であった。
【0009】
配合を容易にするため液状化が検討され、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを可溶化することによって液状化された製剤を得ることはできるが、これは可溶化の際、レシチンを多量に使用するものであったので、低温(約5℃程度)下に置かれると、固化し、流動性が消失し、取り扱いが困難となった。しかも、このレシチンは、高温(例えば、テンプラ等の加熱温度180℃)で褐変するという性質を有しているため、レシチン可溶化液状化酸化防止剤製剤が、例えば揚げ油に添加されると、レシチンの前記性質が顕著に現れ、配合された油に高温で褐変現象が現れる。これらの点を考慮して、他の界面活性剤を用いて、可溶化する方法も検討されているが、これは、粘性の非常に大きい製剤となり、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量を上げると、流動性が消失してしまう。このように、これまで実際の使用において、取扱いが便利で、油脂類及び油脂含有食品ないし食品素材への配合が容易となるような液状化製剤は見いだされていなかった。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、油脂類及び油脂含有食品ないし食品素材等に容易に配合できるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの酸化防止剤製剤を提供することを基本目的とする。さらに、本発明は、テンプラ油等の高温で使用される油脂類に配合されても褐変することのない酸化防止剤製剤を提供することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的に鑑み鋭意研究を重ねた結果、可溶化のために多量のレシチンを使用することなく、油性物質にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶を分散させることによって、180℃程度の高温下で褐変することがない液状酸化防止剤製剤が作成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、請求項1記載の発明は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が、油性物質に均一に分散されていて、180℃で褐変しないことを特徴とする酸化防止剤製剤である。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶を、油性物質に分散させているため、粘性が低く、しかも多量のレシチンを用いて可溶化していないため、高温下で褐変することのない液状の酸化防止剤製剤を得ることができる。
【0012】
求項2〜6は、好ましい実施態様を示している。即ち、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び/又はL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルとしたものである。これにより、酸化防止効果の高い酸化防止剤製剤が得られる。請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、油性物質が、ナタネ油、大豆油、コーン油、コメ油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマワリ油、落花生油、アーモンド油、綿実油、魚油、鯨油、サメ油、魚肝油、ミンク油、アボガド油、ホホバ油、ラード、スクアレン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ビタミンA、D及びE及びそれらの誘導体から成る群より選ばれる1種以上としたものである。これらの油性物質中に、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは均一に分散される。請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載の発明において、さらに界面活性剤を含むとしたものである。請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン及びステロールから成る群より選ばれる1種以上としたものである。これらの界面活性剤を加えることによって、分散状態の安定な分散液を得ることができる。請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載の発明において、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが酸化防止剤全重量に対して0.1〜70重量%としたものである。このような配合量とすることによって、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが均一に分散した液状化製剤を得ることができる。
【0013】
尚、本願において数値範囲の記載はその範囲に属する任意の値を示し、両端の値に限定されない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化防止剤製剤は、油性物質にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が均一に分散した粘性の低い液状化酸化防止剤製剤である。従って、取扱い易く、油脂類及び油脂含有食品ないし食品素材に容易に配合することができる。また、可溶化剤としてレシチンを多量に使う必要がないので、レシチンの欠点である高温(180℃程度)での褐変現象が現れない。従って、揚げ油のような高温にて使用するような油脂類にも安心して配合することができる。
【0015】
本発明に使用されるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、L−アスコルビン酸と脂肪酸からなるモノエステル、ジエステル、トリエステル等であり、そのエステルの酸部分としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。それらの中で、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及びL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルが特に好ましく、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが最も好ましい。Lアスコルビン酸パルミチン酸エステルは、分子量が小さい分、L−アスコルビン酸ステアリン酸に比べて同量を添加した場合の効果が若干高くなる。
【0016】
本発明において、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは前記群からなる1種を選んでも使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良い。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの配合量は、酸化防止剤製剤全重量に対して0.1〜70重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましい。有効な酸化防止効果を示すには、0.1重量%以上必要であり、且つ、流動性のある液体として製造されるには、70重量%以下が好ましい。
【0017】
本発明に使用される油性物質は、常温下で液状の油性物質であって、動植物油、炭化水素、ビタミン類、中鎖脂肪酸トリグリセライド等である。具体的には、動植物油脂としては、ナタネ油、大豆油、コーン油、コメ油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマワリ油、落花生油、アーモンド油、綿実油、魚油、鯨油、サメ油、魚肝油、ミンク油、アボガド油、ホホバ油、ラード等が挙げられる。炭化水素としては、スクアレンが挙げられる。中鎖脂肪酸トリグリセライドは、炭素数が6〜24の任意の範囲にある脂肪酸基を持つトリグリセライドの単一物又は混合物である。ビタミン類としては、ビタミンA、D及びE及びそれらの誘導体が挙げられる。これらの中で、特に好ましいのは、ナタネ油及び中鎖脂肪酸トリグリセライドである。
【0018】
或いは、油性物質の代わりに、グリセリン及びプロピレングリコール等の溶剤を使用することもできる。
【0019】
本発明において、油性物質は前記群からなる1種を選んでも使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良い。油性物質の使用量は、酸化防止剤製剤全重量に対して、30〜99.9重量%が好ましく、60〜98重量%がより好ましい。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを均一に分散させるには、油性物質の使用量は、前記範囲にあることが好ましい。
【0020】
本発明の酸化防止剤製剤には、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加によって、分散液の分散状態を安定化させることができる。好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤である。具体的には、非イオン界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン、ステロール等が挙げられる。これらの中で、特に、好ましいのは、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルである。尚、レシチン、酵素処理レシチン及び酵素分解レシチン等のレシチン類は、ごく微量を配合するのであれば、褐変の影響はないが、配合しないことが好ましい。
【0021】
本発明において、界面活性剤は、前記群からなる1種を選んで使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の使用量は、酸化防止剤製剤全重量に対して、20重量%以下が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。20重量%より多く使用しても増量による分散剤としての効果の上昇は見られない。
【0022】
次に、本発明に係るL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの分散液の製造方法について説明するが、以下の例には限定されない。
【0023】
70〜80℃に加熱させた油性物質に、界面活性剤を溶解させ、ホモミキサーで攪拌した後、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを混入し、約15分間良く攪拌し、冷却し、本発明の酸化防止剤製剤とする。
【0024】
或いは、次の方法でも製造することができる。
【0025】
70〜80℃に加熱させた油性物質に、界面活性剤及びL−アスコルビン酸脂肪酸エステルとを溶解させ、ホモミキサーで良く攪拌しながら冷却し、本発明の酸化防止剤製剤とする。
【0026】
前記の製造方法により得られた本発明の酸化防止剤製剤は、混入されるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの濃度により多少変化するが、粘度が約100〜3000cpの範囲にある、流動性の白濁液体である。
【0027】
本発明の酸化防止剤製剤は、油脂類及び油脂含有食品に混合攪拌することによって容易に配合することができる。また、本発明の酸化防止剤製剤は、食品の製造過程において、食品素材に練り込むことによって配合することもできる。好ましい配合量は、例えば、食用油に対して、0.1〜0.5重量%である。
【0028】
本発明の酸化防止剤製剤が、単独で油脂類及び油脂含有食品ないし食品素材等に配合される場合、最終的に添加される配合量が同一ならば、粉末のL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルを使用したときと同等の効果がある。さらに、他の酸化防止剤製剤と併用すると、その効果は相乗的に増大する。
【0029】
本発明の酸化防止剤製剤は、0℃程度の低温下に置かれても、固化は起こらず、流動性が消失することがない。また、暗所、室温にて保存されるとき、少なくとも6カ月間は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの消失は見られない。
【0030】
本発明に係る酸化防止剤製剤は、食品の他に、化粧品、医薬、飼料等に、添加することも可能である。
【0031】
以下、実施例により詳細に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特に断らない限り、%は重量%を表すこととする。
【0032】
【実施例】
<実施例1>分散性
(酸化防止剤製剤の試作)下記の処方で酸化防止剤製剤を試作した。
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル 10%
ショ糖パルミチン酸エステル 2%
ナタネ油 88%
ナタネ油を70〜80℃に加熱し、そこにショ糖パルミチン酸エステルを加えて溶解させた。溶液をホモミキサーで約6000rpmで攪拌しながら、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを混入し、15分間攪拌を続けた。攪拌後、溶液を冷却して、本発明の酸化防止剤製剤を得た。
【0033】
(分散状態の比較)常温にて、ナタネ油100gに対して、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、前記試作した酸化防止剤製剤を添加し、良く混合攪拌した後、ナタネ油中のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの分散の状態を目視及び光学顕微鏡で観察した。
【0034】
(結果)目視では、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルがナタネ油全体に均一に分散しているのが観察され、ナタネ油は、不透明であった。顕微鏡下では、25〜50μmの長さの針状結晶が観察され、凝集物は観察されなかった。
【0035】
<比較例1>
常温にて、ナタネ油100gに、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、粉末を直接添加して良く混合攪拌し、前記実施例1と同様にして、分散状態を観察した。
【0036】
(結果)目視では、ナタネ油にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの塊の浮遊及び沈澱が観察され、ナタネ油は透明であった。顕微鏡下では、30〜80μmの長さの針状結晶及びその凝集物(直径約500μm)が観察された。
【0037】
<実施例2>植物油における酸化防止効果の測定
(自動酸化(AOM)試験による酸化防止効果テスト)
常温にて、コメ油100gに対して、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、前記実施例1で試作した酸化防止剤製剤を添加した。
【0038】
基準油脂分析方法のAOM試験法に従って、酸化防止剤製剤の添加されたコメ油を180℃恒温槽中に2時間静置した後、70℃に調製したAOM試験器中に入れ、時間を追って過酸化物価を測定した。
【0039】
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003561571
【0041】
<比較例2>
無添加のコメ油100gを用いて、前記実施例2と同様の方法で、AOM試験を行って、過酸化物価を測定した。結果は前記表1に示される。
【0042】
<比較例3>
粉末L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、直接コメ油100gに添加し、良く攪拌したものを、前記実施例2と同様の方法で、AOM試験を行って、過酸化物価を測定した。結果は前記表1に示される。
【0043】
実施例1より、本発明の酸化防止剤製剤は、液状であるために、油脂類への添加が容易で、簡単に配合することができ、しかもL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは油脂類中で均一に分散していた。一方、比較例1で、粉末は、風等で、空気中に散在しやすく、取扱いが不便であり、また、油脂類へ配合されるとき、かなり混合攪拌を行わねばならず、手間がかかるうえ、なお塊も残り、経時的な沈降が起こった。
【0044】
さらに、実施例2において、本発明に係る酸化防止剤製剤は、最終的添加濃度が同一であるとき、比較例3の粉末のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルと同等の酸化防止効果を示した。従って、本発明品は配合が容易な上、粉末と酸化防止効果は同等であることが示された。
【0045】
<実施例3>加熱による褐変性
(ガードナー法及び目視による褐変性の評価試験)
常温にて、ナタネ油100gに対して、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、実施例1で試作された酸化防止剤製剤を添加し、良く混合した。
【0046】
前記ナタネ油を180℃に調製した恒温槽に静置し、0分後、30分後、90分後、120分後の溶液の色を目視で観察及び油脂分析試験法ガドーナー法に従って測定した。
【0047】
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003561571
【0049】
<比較例4>
次に示す組成の酸化防止剤製剤を作成した。
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル 10%
レシチン 75%
ナタネ油 15%
得られた酸化防止剤は、外観は暗褐色、透明であり、粘チョウ性の液体であった。前記のようにして得られた酸化防止剤を、室温にて、ナタネ油100gに対して、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが0.02%となるように、添加し、良く混合した後、実施例3と同様にして溶液の色を観察した。結果は前記表2に示される。
【0050】
本発明の分散液が配合された植物油は、高温下に置かれても、褐変現象は全く見られなかった。一方、比較例4のレシチン製剤が配合された油は、高温処理を始めて30分で褐変化が観察され、高温処理に対応して速やかに褐変化が起こることが観察された。従って、本発明品はレシチンを可溶化剤として多量に使用することがないので、褐変化現象を回避することができることが示された。
【0051】
<実施例4>粘度の測定
(各濃度の酸化防止剤製剤の作成)
下記表3に示す組成で、各濃度のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの分散液を試作した。
【0052】
【表3】
Figure 0003561571
【0053】
(粘度の測定)
基準油脂分析法に従って、各濃度の酸化防止剤製剤の粘度を測定した。
【0054】
結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
Figure 0003561571
【0056】
<比較例5>
上記表3に示す組成で、各濃度のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの可溶化液を試作し、実施例4と同様にして、各溶液の粘度を測定した。結果は前記表4に示される。
【0057】
比較例5の可溶化液では、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの10%溶液でかなり粘度が高く、これ以上濃度を上げると、流動性は消失するが、本発明に係る分散液は、30%溶液においても流動性は保たれていた。従って、本発明の分散液は、可溶化液と比べて、流動性を保った状態のままで、高濃度のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを含有することができるものであることが示された。
【0058】
【発明の効果】
本発明の酸化防止剤製剤は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が、油性物質中に均一に分散されていて、180℃で褐変しない液体である。これまでの粉末のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルに比べると、液体であるため、油脂及び油脂含有食品ないし食品素材等に添加、配合が容易であり、また、液体の粘度も低く、取扱い性に優れたものである。しかも、添加される油脂等の全重量に対して、最終的なL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの添加量が同一であるとき、粉末を直接添加したときと酸化防止効果は同等である。また、配合が容易なため他の酸化防止剤製剤との併用も容易であり、併用により相乗的に効果が増大する。さらに、高温において褐変する性質を持つレシチンを可溶化剤として多量に使う必要がないため、高温でも褐変現象を示さない。従って、例えば、高温で使用される油脂、特に、揚げ油等の食用油にも安心して添加することができる。

Claims (6)

  1. L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が、油性物質に均一に分散されていて、180℃で褐変しないことを特徴とする酸化防止剤製剤。
  2. 前記L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び/又はL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の酸化防止剤製剤。
  3. 前記油性物質がナタネ油、大豆油、コーン油、コメ油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマワリ油、落花生油、アーモンド油、綿実油、魚油、鯨油、サメ油、魚肝油、ミンク油、アボガド油、ホホバ油、ラード、スクアレン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ビタミンA、D及びE及びそれらの誘導体から成る群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化防止剤製剤。
  4. さらに界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の酸化防止剤製剤。
  5. 前記界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン及びステロールから成る群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4記載の酸化防止剤製剤。
  6. L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが酸化防止剤製剤全重量に対して0.1〜70重量%である請求項1〜5のいずれか一に記載の酸化防止剤製剤。
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