JPH0463376B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は液晶セルの製造方法に係るものであ
り、液晶表示器用のセルに液晶を真空排気などの
減圧処理を行うことによつて注入する注入方法に
関するものである。

〔従来の技術〕

従来、セルに液晶を注入する方法としては真空
容器中に液晶パンを設けて行れるものであつた。
第５図から第７図に示すものは前記従来の液晶注
入方法を工程順に示したものであり、第５図にお
いて液晶１は液晶パン１０の中に入れられる。こ
の時に液晶中に含まれる気体成分が液晶表示器と
して組立後に分離して気泡となり機能を損うこと
を防止するために脱泡処理を行う必要があり、そ
の脱泡処理に要する時間を短縮するために前記液
晶パン１０は前記液晶１の表面積が大きくなる位
置に真空容器１１内で保持され、真空容器１１は
真空ポンプ１２で内部の大気を排気することで減
圧され脱泡処理が行れる。尚この時にあまりに高
真空にすると、脱泡が行れると同時に液晶１の成
分が部分的に蒸発して液晶作用を害するので低真
空で長時間前記脱泡処理が行れるが、低真空の脱
泡処理では不充分であり、そのため第６図に示す
ように前記液晶パン１０を90゜回転させて前記液
晶１の表面積を減じることで蒸発量を減じるよう
にして高真空による脱泡処理を行う。この時同時
に真空容器１１中にセル２も置かれ、その内部の
排気も行れる。以上の二工程によつて液晶１の脱
泡処理が終了するので、第７図に示すように前記
液晶パン１０を再度90゜回転すると共に、前記セ
ル２の注入口３が液晶パン１０の中の液晶１に充
分に浸るように配置した後、前記真空容器１１の
内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを徐々に
注入して真空容器１１の内部圧力を大気圧に復圧
する。これにより前記セル内の真空と不活性ガス
による大気圧の圧力差によつてセル２の内部に液
晶１が注入される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来の方法においては液晶パン
内における液晶は上記で説明したようにセルの注
入口が充分に浸る深さが必要であるために脱泡処
理に長時間を要し、そのため液晶の蒸発を生じ、
その防止のために二工程の脱泡処理及び再度の真
空容器中での液晶パンの回転など生産工程中で長
時間を要し、生産ラインが滞留するなどの問題点
を生じていた。更にセルの注入口を液晶中に充分
に浸すことによる注入方法は必然的にセルの注入
口の設けられた辺の部分に付着して損失分となる
液晶を生じ、その割合は極端な場合にはセル内に
注入される有効な液晶の量以上の量がこの原因に
よつて失れていた。又液晶パンの中にも注入工程
後に残余の液晶を必然的に生じ、次回の注入工程
では新しい液晶を補充して前述の工程を繰返す
が、これにより残余の液晶は蒸発がさらに進行す
ることにより特性が劣化する。この繰返しによつ
て液晶パン中の液晶は徐々に濃縮され、その結果
特性劣化は徐々に進行するので、適度の注入工程
の回数の繰返しの後に残余する液晶を全て廃棄し
て新しい液晶に全交換することが必要である。こ
のように注入口の辺の部分に付着して失れる液晶
と特性の劣化によつて廃棄される液晶が多量であ
り、その損失分も見込れる事によつて液晶表示器
の価格も必要以上に高価になるという問題点も生
じていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記問題点を解決するための具体的手
段として、液晶セルに液晶を注入充填するときの
真空注入法による液晶注入方法において、液晶の
特性に対して中性である繊維布が固定箱に挿入さ
れて形成された注入ユニツトを、注入が行われる
液晶セルの配置される間隔に見合う距離でセツト
箱に取付けて前記液晶セルの注入口と対峙させ、
前記注入ユニツトと液晶セルの注入口とが接して
いない状態で前記注入ユニツトに前記液晶セルへ
の一回の注入に必要量の液晶を含浸させ、減圧処
理を行つた後に前記注入ユニツトと注入口を接し
て復圧処理を行うことを特徴とする液晶注入方法
を提供することによつて、脱泡処理に要する時間
を短縮し工程を単純化すると共に、液晶の損失も
無くして上記問題点を解決したものである。

〔実施例〕

つぎに、本発明を図示の一実施例に基づいて詳
細に説明する。尚理解を容易にするために従来例
と同一の部分には同一の符号を付けて説明を行う
と共に全く同一の部分については一部その説明を
省略する。図中符号４で示すものは使用する液晶
１に対して中性であつて、液晶１に対して悪影響
を与えず、かつ液晶１を含浸し易い繊維布であ
り、固定箱５に挿入されて注入ユニツト６を形成
する。更に該注入ユニツト６は第２図に示すセツ
ト箱７に取付けられ従来例と同様な真空容器１１
（図示せず）中に配設され、図中で矢印Ａで示す
様に上下方向に適宜な寸法の移動が可能としてあ
る。尚第２図においては単純化して明確に示すた
めに注入ユニツト６がセツト箱７に１個取付けた
例で示したが、実施にあたつては、例えば真空容
器１１の内容積或いは前記真空容器１１内に収納
されるセル２の数などに応じ増設が可能であり、
このときには前記セル２の配置される間隔に見合
う距離でセツト箱７に取付けられて注入口３と対
応するものとなる。

〔作 用〕

以上説明した構成とした注入ユニツト６を用い
た液晶１の注入方法を工程の順に従つて示したも
のが第３図、第４図である。先ず、第３図に示し
たように注入ユニツト６とセル２の注入口３は接
しない状態に配置され、前記注入ユニツト６の繊
維布４の部分に定量の液晶１が含浸される。図に
おいて含浸に用うる器具として注射器８が図示し
てあるのは、正確に計量した液晶１を正確な位置
で含浸出来る手段として例示したもので、注射器
８に限定するもので無く、要は計量と位置の定ま
る方法であれば良いものである。しかる後に前記
真空容器１１は排気されるが、本発明においては
直ちに高真空の排気が行れる。これは前記繊維布
４に含浸することによつて液晶１の表面積が飛躍
的に増大したことで脱泡処理が極めて短時間に終
了するため、高真空であつても、前記した液晶１
の蒸発量は極小であり劣化を生じないからであ
る。その後、第４図に示すように前記注入ユニツ
ト６と注入口３を接して、従来例と同様に真空容
器１１内に不活性ガスを注入し復圧して、圧力差
によつて繊維布４に含浸されていた液晶１がセル
２に注入される。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明したように、液晶の特性に対し
て中性である繊維布を用いて注入ユニツトを形成
し液晶を含浸することによつて、液晶の表面積を
飛躍的に増大するので、減圧による脱泡処理が短
時間で終了し、生産ライン上の滞留の原因となつ
ていた工程を解消すると共に従来例の方法にあつ
た液晶パンの再度の回転を無くして工程を簡素化
するなど優れた効果を奏すると共に、前記注入ユ
ニツトは一回の液晶注入量が含浸出来れば良く、
小型であるので注入口の周辺に付着して損失する
液晶の量も僅少であり、さらにその小型化によ
り、一回の注入によつて含浸されている液晶はほ
とんど全て使用されて液晶が残余しないので、こ
の残余の液晶の蒸発による特性劣化に対処する例
えば全交換などの対策も不要となり、よつて液晶
の綜合的な使用量を減じ液晶表示器の価格を適正
なものにする効果も合せて奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る液晶注入方法の一実施例
である注入ユニツトを分解して示した斜視図、第
２図は同じ注入ユニツトの設置の状態を示す斜視
図、第３図、第４図は注入工程を示す略示的な断
面図であり、第５図、第６図、第７図は従来例の
工程を示す略示的断面図である。 １……液晶、２……セル、３……注入口、４…
…繊維布、５……固定箱、６……注入ユニツト、
７……セツト箱。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 液晶セルに液晶を注入充填するときの真空注
   入法による液晶注入方法において、液晶の特性に
   対して中性である繊維布が固定箱に挿入されて形
   成された注入ユニツトを、注入が行われる液晶セ
   ルの配置される間隔に見合う距離でセツト箱に取
   付けて前記液晶セルの注入口と対峙させ、前記注
   入ユニツトと液晶セルの注入口とが接していない
   状態で前記注入ユニツトに前記液晶セルへの一回
   の注入に必要量の液晶を含浸させ、減圧処理を行
   つた後に前記注入ユニツトと注入口を接して復圧
   処理を行うことを特徴とする液晶注入方法。