JP2000357639A - 電解コンデンサ素子の含浸方法及び含浸装置 - Google Patents

電解コンデンサ素子の含浸方法及び含浸装置

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JP2000357639A JP11170604A JP17060499A JP2000357639A JP 2000357639 A JP2000357639 A JP 2000357639A JP 11170604 A JP11170604 A JP 11170604A JP 17060499 A JP17060499 A JP 17060499A JP 2000357639 A JP2000357639 A JP 2000357639A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液を含浸槽に注入する際の電解液の減圧
状態を保持し、充分な含浸状態を得る。 【解決手段】 電解コンデンサ素子に電解液を含浸させ
る含浸槽の上部に、電解液を貯留する貯留槽を配設し、
両者を開閉弁を介して連結し、乾燥状態にした含浸槽内
に、電解コンデンサ素子を水分を含んだ状態で装着し、
含浸槽及び貯留槽内を所定の気圧に減圧して、所定時間
この気圧に維持した後、貯留槽内の電解液を含浸槽内に
自由落下により供給し、所定時間密閉状態を維持した
後、含浸槽内を大気圧に戻すことにより、電解液を電解
コンデンサ素子に含浸させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ素
子に電解液を含浸する含浸方法及び含浸装置に係り、特
に、電気的特性の優れた電解コンデンサ素子を作製する
ことができる電解コンデンサ素子の含浸方法及び含浸装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電解コンデンサ素子に電解液
を含浸する方法として、複数の電解コンデンサ素子のリ
ード線をクランプ治具によって整列挾持して電解コンデ
ンサ素子を真空含浸槽内に搬送し、その真空含浸槽内を
真空状態にして電解コンデンサ素子の本体内部の空気を
排除した後、電解液を供給してこれを電解コンデンサ素
子の本体内部に含浸させる方法及び装置が用いられてい
る。
【0003】しかし、上述したような従来の含浸方法及
び装置によると、真空含浸槽に供給される電解液は大気
中に解放されていて、電解液の内部に空気を含んでいる
ため、その電解液が真空含浸槽へ供給されたとき、その
電解液の内部に含まれていた空気が細かい気泡となって
拡散し、その一部が電解コンデンサ素子内部へ電解液と
共に浸入してピンホール状の未含浸部分を形成してしま
い、電解コンデンサ素子を用いた電解コンデンサの電気
的特性を劣化させるという欠点があった。
【0004】また、真空含浸槽内において、電解液中の
空気が急速に泡となって拡散するので、電解液が沸騰状
態となって各部に飛び跳ね、例えばリード線に付着し
て、後工程での半田付け作業での半田付け不良の原因と
なる欠点があった。さらに、これが、自動組立機の稼動
率を低下させる原因ともなっていた。
【0005】さらに、電解液の脱泡が真空含浸槽内で行
われるため、真空含浸槽内の圧力を必要とされる真空度
にまで高めるためには比較的長い時間を要し、含浸作業
の作業効率が低下すると共に、大型の電解コンデンサ素
子の中心部にまで十分電解液を含浸させることができな
いという欠点があった。また、このような現象は、高耐
圧の電解コンデンサに使用される粘度の高い電解液にお
いては著しく、粘度の高い電解液を含浸させるためには
大型の装置を用いなければならないという欠点があっ
た。
【0006】また、真空含浸の終了後、真空含浸槽内の
残余の電解液を貯留槽へ返送するためダイヤフラム式ポ
ンプ等の専用ポンプを備えていたので、装置が大型とな
ると共に製作費が高価となる欠点があった。
【0007】このような種々の問題点を解決するため、
特公平7−82973号公報に示されたように、真空と
した貯留槽内で電解液中の空気を真空脱泡した後、その
電解液を真空含浸槽へ真空圧により吸い上げて供給し
て、電解コンデンサ素子に電解液を含浸させる含浸方法
及び装置が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の電解コンデンサ素子の含浸方法では、電
解液の発泡等の影響で、充分な真空度を得ることが非常
に困難であり、そのために所望の含浸ができなかった。
すなわち、コンデンサ素子に、粘度の高い電解液を含浸
する場合や、大型のコンデンサ素子に電解液を含浸する
場合には、電解液をコンデンサ素子の中心部にまで充分
に含浸させることができず、静電容量やESR等の所望
の電気的特性が得られなかった。
【0009】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、電解液を含浸槽に注入する際の電解液の減圧状態を
保持し、高真空状態における電解液の発泡を防止して、
充分な含浸状態を得ることができる電解コンデンサ素子
の含浸方法及び含浸装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の電解コンデンサ素子の含浸方法
は、電解コンデンサ素子に電解液を含浸させる含浸槽
と、前記電解液を貯留する貯留槽を配設し、両者を開閉
弁を介して連結し、乾燥状態にした含浸槽内に、前記電
解コンデンサ素子と適量の水分とを収容し、含浸槽及び
貯留槽内を所定の気圧に減圧して、含浸槽内の水分を気
化させると共に、貯留槽内の電解液を脱泡させ、含浸槽
を密閉状態にした後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内
に供給し、含浸槽の前記密閉状態を所定時間維持した
後、含浸槽内を大気圧に戻すことにより、前記電解液を
電解コンデンサ素子に含浸させることを特徴とするもの
である。
【0011】また、請求項4に記載の電解コンデンサ素
子の含浸装置は、上記請求項1に記載の発明を装置の観
点から捉えたものであって、電解コンデンサ素子を収容
して電解液を含浸させる含浸槽と、前記電解液を貯留す
る貯留槽と、前記含浸槽及び貯留槽内の圧力を所定のタ
イミングに従って真空とする真空制御装置とを有する電
解コンデンサ素子の含浸装置において、前記含浸槽内を
乾燥状態にした後、前記電解コンデンサ素子と適量の水
分とを含浸槽内に収容し、含浸槽及び貯留槽内を所定の
気圧に減圧して、含浸槽内の水分を気化させると共に、
貯留槽内の電解液を脱泡させ、含浸槽を密閉状態にした
後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内に供給し、所定時
間、含浸槽の密閉状態を維持した後、含浸槽内を大気圧
に戻すように構成したことを特徴とするものである。
【0012】上記のような構成を有する請求項1あるい
は請求項4に記載の発明によれば、予め含浸槽内を乾燥
させ、この含浸槽内に電解コンデンサ素子と適量の水分
とを収容し、この水分を気化させることによって含浸槽
内に水蒸気を存在させ、この水蒸気と電解液とが、減圧
下、密閉容器内で相互に作用することにより、含浸槽内
の気圧を電解液を注入する前よりさらに減少させること
ができるので、高真空状態から大気圧に戻す際の加圧幅
が大きくなる。また、電解液は液相を維持しているの
で、電解液の含浸効率が大幅に向上し、素子内部並びに
ピット内に電解液がより効率良く浸透することができ
る。
【0013】請求項2に記載の電解コンデンサ素子の含
浸方法は、請求項1に記載の電解コンデンサ素子の含浸
方法において、乾燥状態にした含浸槽内に、電解コンデ
ンサ素子を水分を含んだ状態で収容し、含浸槽及び貯留
槽内を所定の気圧に減圧して、電解コンデンサ素子の水
分を含浸槽内で気化させると共に、貯留槽内の電解液を
脱泡させることを特徴とするものである。
【0014】また、請求項5に記載の電解コンデンサ素
子の含浸装置は、上記請求項2に記載の発明を装置の観
点から捉えたものであって、請求項4に記載の電解コン
デンサ素子の含浸装置において、前記電解コンデンサ素
子を、水分を含んだ状態で含浸槽内に収容し、含浸槽及
び貯留槽内を所定の気圧に減圧して、電解コンデンサ素
子の水分を含浸槽内で気化させるように構成したことを
特徴とするものである。
【0015】上記のような構成を有する請求項2あるい
は請求項5に記載の発明によれば、電解コンデンサ素子
を水分を含んだ状態で含浸槽内に収容し、この電解コン
デンサ素子に含まれる水分を含浸槽内で気化させること
によって含浸槽内に水蒸気を存在させることができるの
で、上記請求項1あるいは請求項4に記載の発明と同様
の作用・効果を得ることができる。
【0016】請求項3に記載の電解コンデンサ素子の含
浸方法は、請求項1または請求項2に記載の電解コンデ
ンサ素子の含浸方法において、前記貯留槽を前記含浸槽
の上部に配設し、両者を開閉弁を介して連結し、含浸槽
を密閉状態にした後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内
に自由落下により供給することを特徴とするものであ
る。
【0017】また、請求項6に記載の電解コンデンサ素
子の含浸装置は、上記請求項3に記載の発明を装置の観
点から捉えたものであって、請求項4または請求項5に
記載の電解コンデンサ素子の含浸装置において、前記貯
留槽を前記含浸槽の上部に配設し、両者を開閉弁を介し
て連結し、含浸槽を密閉状態にした後、前記貯留槽内の
電解液を含浸槽内に自由落下により供給するように構成
したことを特徴とするものである。
【0018】上記のような構成を有する請求項3あるい
は請求項6に記載の発明によれば、貯留槽内で脱泡した
電解液を、貯留槽と含浸槽の気圧差を利用することなく
含浸槽内に供給することができるので、電解液の状態が
移送中に変化することを防止できる。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項4乃至請
求項6のいずれか一に記載の電解コンデンサ素子の含浸
装置において、含浸槽内に電解コンデンサ素子を収容す
る手段が、内側容器と外側容器とからなる二重容器であ
り、前記電解液が前記内側容器にのみ供給されるように
構成されていることを特徴とするものである。上記のよ
うな構成を有する請求項7に記載の発明によれば、含浸
処理の際に電解液によって濡れるのは内側トレイのみで
あるので、含浸処理終了後に、内側トレイだけを交換す
れば良い。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電解コンデン
サ素子の含浸装置の一つの実施の形態を、図面を参照し
て具体的に説明する。
【0021】[1.構成]本実施形態の電解コンデンサ
素子の含浸装置1は、図1に示したように、含浸槽2、
貯留槽3及び真空制御装置4をその主たる構成要素とし
ている。
【0022】(含浸槽)含浸槽2は、その内部に搬送さ
れた複数のコンデンサ素子に電解液を含浸するためのも
のであって、含浸槽2には、その一側面に開閉可能な蓋
21が設けられ、この開口部より含浸槽内部に、複数の
コンデンサ素子を搭載した1または2以上の含浸トレイ
22a、22b…を装着し、取り出すことができるよう
に構成されている。このように、含浸槽2は、その内部
に含浸トレイ22a、22b…を装着することにより二
重構造とされている。
【0023】また、含浸槽2には、含浸槽2と真空制御
装置4とを連結するパイプ23の開閉を制御する第1の
バルブ24、前記各含浸トレイ22a、22b…と後述
する貯留槽3とを連結するパイプ25a、25b…の開
閉を制御する第2のバルブ26a、26b…、及び含浸
槽2を大気に開放する第3のバルブ27が設けられてい
る。
【0024】(貯留槽)貯留槽3は、電解液31を貯留
すると共に、電解液31を真空脱泡して含浸槽2へ供給
するものであって、貯留槽3には、貯留槽3と真空制御
装置4とを連結するパイプ32の開閉を制御する第4の
バルブ33、前記含浸槽2内に装着された各含浸トレイ
22a、22b…と貯留槽3とを連結するパイプ25
a、25b…、及び貯留槽3を大気に開放する第5のバ
ルブ34が設けられている。また、貯留槽3は、前記含
浸槽2の上部に配設され、第2のバルブ26a、26b
…を開くことによって、内部に収納された電解液31
が、下部に配設された含浸槽2内に自由落下により供給
されるように構成されている。なお、素子に含浸する電
解液31としては、多価アルコール(例えば、エチレン
グリコール、グリセリン等)を溶媒とし、各種溶質、添
加剤を溶解したものを使用する。
【0025】(真空制御装置)真空制御装置4は、前記
含浸槽2及び貯留槽3内の圧力を真空にするためのもの
であって、公知の真空ポンプ41によって駆動され、真
空計42の測定値に基づいて、真空度を制御するように
構成されている。
【0026】[2.含浸方法]本発明の電解コンデンサ
素子の含浸方法においては、含浸槽2内に装着するコン
デンサ素子を乾燥させないこと、及び、含浸槽2内を乾
燥状態にすることが必須要件である。すなわち、コンデ
ンサ素子は、通常、陽極箔等と共に巻回される紙製のセ
パレータに重量比で2〜5%の水分が含まれているの
で、乾燥処理を施さずに、素子内に水分を残留させた状
態のままで含浸槽2内に装着する。あるいは、いったん
コンデンサ素子を乾燥させ、恒温恒湿器と真空容器等で
所定の水分量をガス置換することにより、素子内に水分
を含ませても良い。この場合は、コンデンサ素子内に含
有される水分量を定常化することができる。なお、恒温
恒湿器と真空容器等でガス置換する水分量としては、セ
パレータ重量比で2〜5%が望ましい。素子中に含まれ
る水分量が多すぎると、製品として使用した場合の内部
圧力の上昇が早まるためである。
【0027】一方、含浸槽内を乾燥状態にするとは、含
浸槽内に電解液中に含まれるエチレングリコール等の多
価アルコールが存在しない状態にすることを意味する。
すなわち、本実施形態においては、含浸槽2は内部に含
浸トレイ22を備えることにより二重構造化されている
ので、含浸処理のたびに含浸トレイ22を交換すること
により、トレイ内にエチレングリコール等の多価アルコ
ールが存在しない状態にする。
【0028】そして、第2のバルブ26、第3のバルブ
27及び第5のバルブ34を閉じ、第1のバルブ24及
び第4のバルブ33を開けた状態で、真空ポンプ41に
より、含浸槽2及び電解液が貯留されている貯留槽3内
を所定の気圧に減圧する。一定気圧(例えば、5Tor
r)に達したら、真空制御装置4により、含浸槽2及び
貯留槽3内を一定時間(約5分間)、この気圧に維持す
る。
【0029】これにより、含浸槽2内において、コンデ
ンサ素子は一定時間(約5分間)、一定の気圧下、例え
ば水の蒸気圧以下で放置され、脱気されることにより、
コンデンサ素子に含まれる水分が蒸発し始め、その水蒸
気が被含浸物であるコンデンサ素子の内部の空気を外部
に押し出しながら、含浸槽2内に一定の水蒸気を存在さ
せ、また、素子内(エッチングピット内)にも一定の水
蒸気を存在させることができる。一方、素子を放置した
含浸槽2内と同気圧にされた貯留槽3内においては、電
解液31が脱気(脱泡)される。
【0030】続いて、第1のバルブ24を閉じ、第2の
バルブ26を開けて、自由落下により、貯留槽3内の電
解液31を含浸槽2内の含浸トレイ22a、22b…に
供給する。各含浸トレイに所定量の電解液31が供給さ
れた時点で、第2のバルブ26を閉じ、一定時間放置す
る。なお、貯留槽3から含浸槽2に電解液31を注入す
る際、含浸槽2は密閉状態にされている。
【0031】そして、第3のバルブ27を開けて、含浸
槽2内を大気圧に戻す。このときの加圧で、電解液が素
子内に含浸される。その後、含浸槽2内から含浸トレイ
22a、22b…を取り出し、含浸槽内に未処理の素子
を搭載した新たな含浸トレイをセットして、上記の処理
を繰り返す。
【0032】[3.作用・効果]本発明者が鋭意検討を
重ねた結果、上記の含浸方法によれば、含浸槽内の気圧
は結果的に電解液の蒸気圧以下に下がるものの、電解液
はなおも発泡することなく液相を維持することができる
ことが判明した。
【0033】すなわち、図2中、点線で示したように、
従来の含浸方法においては、真空度が5Torrに達す
るまで真空ポンプを駆動して真空制御を行い、電解液を
注入した後も、同様に真空ポンプを駆動して真空制御を
行い、5Torrを維持していた。
【0034】これに対し、本実施形態の含浸方法におい
ては、図2中、実線で示したように、従来と同様に真空
度が5Torrに達するまでは真空ポンプを駆動して真
空制御を行うが、電解液注入以降、含浸槽内を密閉して
真空制御を遮断すると、含浸槽内の気圧は電解液を注入
する前よりさらに減少することが判明した。その結果、
高真空状態から大気圧に戻す際の加圧幅が従来と比べて
大きくなり、また、電解液は液相を維持しているので、
電解液の含浸効率が大幅に向上し、素子内部並びにピッ
ト内に電解液がより効率良く浸透するようになることが
分かった。
【0035】上述したように含浸槽内の気圧が電解液を
注入する前よりさらに減少する理由は、エチレングリコ
ール等の多価アルコールと含浸槽内に存在する水蒸気と
が、減圧下、密閉容器内で相互に作用したためと考えら
れる。
【0036】ここで、本発明を前記の特公平7−829
73号公報に記載された従来の真空含浸方法と比較検討
した結果について述べる。すなわち、前記の特公平7−
82973号公報に記載された従来の真空含浸方法で
は、コンデンサ素子に連続的に含浸する場合、含浸槽内
でのコンデンサ素子の脱気工程に先立って、予め含浸槽
内を乾燥させていない。そのため、コンデンサ素子の脱
気工程において、コンデンサ素子内に水分が存在してい
る場合には、エチレングリコール等の多価アルコールが
付着して乾燥していない含浸槽内で、水蒸気となった水
分とエチレングリコールとが相互に作用してしまい、本
発明のような、含浸槽に電解液を供給する際の減圧効果
が得られない。
【0037】また、本発明者は、貯留槽から含浸槽に電
解液を供給するために貯留槽の気圧を大気圧に戻し、含
浸槽との気圧差によって電解液を供給すると、移送中に
電解液の状態が変化し、上記のような減圧効果を得るこ
とができないことを確認している。従って、従来の含浸
方法では、充分な真空度を得ることができず、結果とし
て、コンデンサ素子に充分な電解液を含浸させることは
できない。
【0038】
【実施例】続いて、本発明の含浸方法による効果を、実
施例を用いてより具体的に説明する。なお、表1に示し
たように、乾燥処理を施した、水分を含まないコンデン
サ素子を用いた電解コンデンサを従来例とし、乾燥処理
を施していないコンデンサ素子を用いた電解コンデンサ
を比較例及び実施例として、各条件下、それぞれ静電容
量、ESR特性を調べた。
【0039】また、表中、水分「○」は、乾燥処理を施
していないコンデンサ素子を用いたことを意味し、水分
「×」は、乾燥処理を施したコンデンサ素子を用いたこ
とを意味する。密閉「○」は、電解液注入後、含浸中真
空ポンプを停止し、第1のバルブを密閉したことを意味
し、密閉「×」は、電解液注入後、第1のバルブを開い
たままにし、含浸中真空ポンプを継続して作動させ、一
定気圧を保持したことを意味する。さらに、放置時間
は、電解液注入後、第2のバルブを閉じて放置した時間
を示している。
【0040】さらに、製品仕様は、450V470μF
(ケースサイズ:35φ50L)であり、素子内のセパ
レータとしては、クラフト紙を用いた。さらに、電解液
の組成は、溶媒として、エチレングリコール(EG)、
グリセリンあるいはγ−ブチロラクトンを用い、溶質と
して1,6−デカンジカルボン酸を用いた。
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかなように、従来例1と実施
例1とを比較すると、ESRは約25〜30%低減し、
静電容量は約2.3%増加した。また、乾燥処理を施し
ていないコンデンサ素子を用いた比較例1と従来例1と
を比較すると、ESRは約7〜10%低減し、静電容量
は約1.4%増加した。さらに、比較例1と実施例1と
を比較すると、ESRは約20〜25%低減し、静電容
量は約0.9%増加した。これらの結果から、乾燥処理
を施していないコンデンサ素子を用いた方が、ESRは
低減し、さらに、密閉処理を施した方がESRはさらに
低減することが判明した。
【0043】また、電解液の溶媒としてγ−ブチロラク
トンを用いた比較例2においては、ESRは大幅に上昇
しており、電解液の溶媒としてはエチレングリコールを
用いることが望ましいことが判明した。また、実施例1
と実施例2とを比較すると、電解液の溶媒としてエチレ
ングリコールを用いた方が、グリセリンを用いるよりE
SRの低減効果が大きいことが判明した。さらに、実施
例1と実施例3とを比較すると、5分間放置した場合と
10分間放置した場合とで、大きな差は見られないこと
から、放置時間は5分以上であれば良いことが分かっ
た。
【0044】このように、本発明の含浸方法によれば、
素子への電解液浸透量の向上、エッチングピット内の減
圧によるピット内への電解液浸透量の向上により、静電
容量、ESR特性が向上することが判明した。また、従
来と同程度の性能を求めるのであれば、含浸時間の短縮
が期待される。
【0045】[4.他の実施形態]本発明は、上述した
実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々
の変形例が考えられる。すなわち、貯留槽、含浸槽内を
同一気圧に減圧し、かつ制御できるのであれば、それぞ
れの槽に別個にポンプを取り付けても良い。この場合、
真空制御装置は各ポンプ毎に設置するか、全ポンプを同
時に制御するように構成する。
【0046】また、含浸トレイの構造は任意であり、公
知のチャック等を用いることも可能である。さらに、図
3に示したように、含浸トレイ22a、22b…を、内
側トレイ28と外側トレイ29とから構成された二重構
造としても良い。この場合、貯留槽3と連結するパイプ
25a、25b…の先端部は、それぞれ含浸トレイ22
a、22b…の内側トレイ28内に位置するように配設
する。そして、含浸処理のたびに内側トレイ28のみを
交換するようにしても良い。また、含浸槽内を1回毎に
洗浄、乾燥させれば、含浸トレイは不要であり、その場
合は一度に多量の素子に電解液を含浸することができ
る。
【0047】さらに、貯留槽内で脱泡した電解液を含浸
槽内に供給する方法としては、気圧差を利用しない供給
方法が望ましく、上記の実施形態のような“自由落下”
の他に、“ピストンを用いて電解液を押し出す方法”を
用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、電解液を含浸槽に注入する際の電解液の減圧状態を
保持し、高真空状態における電解液の発泡を防止して、
充分な含浸状態を得ることができる電解コンデンサ素子
の含浸方法及び含浸装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電解コンデンサ素子の含浸装置の
一実施形態の構成を示す概略図
【図2】含浸槽内における真空制御パターンを示す図
【図3】二重構造化された含浸トレイの構成を示す斜視
【符号の説明】
1…電解コンデンサ素子の含浸装置 2…含浸槽 3…貯留槽 4…真空制御装置 21…蓋 22…含浸トレイ 23…パイプ 24…第1のバルブ 25…パイプ 26…第2のバルブ 27…第3のバルブ 28…内側トレイ 29…外側トレイ 31…電解液 32…パイプ 33…第4のバルブ 34…第5のバルブ 41…真空ポンプ 42…真空計

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解コンデンサ素子に電解液を含浸させ
    る含浸槽と、前記電解液を貯留する貯留槽を配設し、両
    者を開閉弁を介して連結し、乾燥状態にした含浸槽内
    に、前記電解コンデンサ素子と適量の水分とを収容し、
    含浸槽及び貯留槽内を所定の気圧に減圧して、含浸槽内
    の水分を気化させると共に、貯留槽内の電解液を脱泡さ
    せ、含浸槽を密閉状態にした後、前記貯留槽内の電解液
    を含浸槽内に供給し、含浸槽の前記密閉状態を所定時間
    維持した後、含浸槽内を大気圧に戻すことにより、前記
    電解液を電解コンデンサ素子に含浸させることを特徴と
    する電解コンデンサ素子の含浸方法。
  2. 【請求項2】 乾燥状態にした含浸槽内に、電解コンデ
    ンサ素子を水分を含んだ状態で収容し、含浸槽及び貯留
    槽内を所定の気圧に減圧して、電解コンデンサ素子の水
    分を含浸槽内で気化させると共に、貯留槽内の電解液を
    脱泡させることを特徴とする請求項1に記載の電解コン
    デンサ素子の含浸方法。
  3. 【請求項3】 前記貯留槽を前記含浸槽の上部に配設
    し、両者を開閉弁を介して連結し、含浸槽を密閉状態に
    した後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内に自由落下に
    より供給することを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の電解コンデンサ素子の含浸方法。
  4. 【請求項4】 電解コンデンサ素子を収容して電解液を
    含浸させる含浸槽と、前記電解液を貯留する貯留槽と、
    前記含浸槽及び貯留槽内の圧力を所定のタイミングに従
    って真空とする真空制御装置とを有する電解コンデンサ
    素子の含浸装置において、 前記含浸槽内を乾燥状態にした後、前記電解コンデンサ
    素子と適量の水分とを含浸槽内に収容し、含浸槽及び貯
    留槽内を所定の気圧に減圧して、含浸槽内の水分を気化
    させると共に、貯留槽内の電解液を脱泡させ、含浸槽を
    密閉状態にした後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内に
    供給し、所定時間、含浸槽の密閉状態を維持した後、含
    浸槽内を大気圧に戻すように構成したことを特徴とする
    電解コンデンサ素子の含浸装置。
  5. 【請求項5】 前記電解コンデンサ素子を、水分を含ん
    だ状態で含浸槽内に収容し、含浸槽及び貯留槽内を所定
    の気圧に減圧して、電解コンデンサ素子の水分を含浸槽
    内で気化させるように構成したことを特徴とする請求項
    4に記載の電解コンデンサ素子の含浸装置。
  6. 【請求項6】 前記貯留槽を前記含浸槽の上部に配設
    し、両者を開閉弁を介して連結し、含浸槽を密閉状態に
    した後、前記貯留槽内の電解液を含浸槽内に自由落下に
    より供給するように構成したことを特徴とする請求項4
    または請求項5に記載の電解コンデンサ素子の含浸装
    置。
  7. 【請求項7】 前記含浸槽内に電解コンデンサ素子を収
    容する手段が、内側容器と外側容器とからなる二重容器
    であり、前記電解液が前記内側容器にのみ供給されるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項4乃至請求
    項6のいずれか一に記載の電解コンデンサ素子の含浸装
    置。
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