JPH045721Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、一つの気筒の燃焼室に対する吸気弁
を、各気筒について２個にしたいわゆる２吸気弁
式の多気筒内燃機関において、その各気筒に慣性
吸気を行うための吸気装置に関するものである。

先行技術としての特開昭58−10130号公報は、
内燃機関の出力等を改善するために、燃焼室に対
する吸気弁を各気筒について２個にしたいわゆる
２吸気弁式の多気筒内燃機関を提案しており、ま
た、この公報は、前記のことに加えて、各気筒に
おける２つの吸気ポートと一つのサージタンクと
を、互いに独立した吸気管にて各々接続し、且
つ、この各吸気管の長さを長くすることによつ
て、慣性吸気を行うことも提案している。

ところで、慣性吸気を行うためには、サージタ
ンクから燃焼室までの吸気通路の長さを、特定の
回転数において吸入空気量が最大となるように設
定しなければならず、従つて、内燃機関の吸気ポ
ートとサージタンクとをつなぐ前記各吸気管は必
然的に長くなるから、この各吸気管によつてサー
ジタンクを内燃機関に対して支持する場合、この
吸気管には、内燃機関及びサージタンクの両方の
振動にて大きな外力が作用することになる。そこ
で、前記公報のものは、各気筒について２本ずつ
必要な吸気管をサージタンクと一体的に形成し、
且つ各吸気管を、各気筒について２本の吸気管を
一対とし、この対をなす両吸気管を互いに密接し
て一体化することにより、吸気管における剛性を
高めるようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、吸気管を各気筒について２本づつ設け
ることは、各気筒のうち対をなす両吸気管を前記
のように近接して一体化する構成にしても、この
各吸気管対の間の間隔幅が、各気筒について吸気
管を１本にした場合よりも狭くなるので、当該吸
気管付きのサージタンクを鋳造にて製造する場
合、その鋳物型のうち前記吸気管対の間の狭い間
隔に相当する部分は、形崩れを生じ易く、従つ
て、各吸気管対の間の部分には鋳造バリが多くで
き、この鋳造バリを鋳造後において除去するのに
可成りの手数を要すると言う問題があつた。

そのうち、各吸気管の間の部分に、当該吸気管
を内燃機関に対して締結するボルトを挿入するこ
とができないから、内燃機関に対する接合用フラ
ンジ部が大型化するばかりか、その接続用フラン
ジ部におけるシール性が低下すると言う問題もあ
つた。

本考案は、これらの問題を解消することを目的
とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、複数の気筒
の各々に２個ずつ有する吸気ポート、又はこの各
吸気ポートの各々に接続した吸入通路部材と、一
つのサージタンクとの間を、当該サージタンクか
ら内燃機関に向つて一体的に延びそして内燃機関
又は前記吸入通路部材に対して複数本のボルトを
使用した接合用フランジにて接合される吸気管を
介して各々別々に独立して接続し、且つ、前記サ
ージタンクから各気筒の燃焼室までの長さを、特
定の回転数において吸入空気量が最大となるよう
に設定して成る多気筒内燃機関において、前記サ
ージタンクから一体的に延びる各吸気管を、２本
ずつ一対として、この対をなす両吸気管を、その
間に隙間がないように互いに密接して一体化する
一方、前記対をなす吸気管対の間の間隔を、その
間に前記ボルトの最大直径よりも大きい隙間を形
成するように広幅間隔にし、この広幅間隔部に
は、吸気管に対して直角方向の断面をアーチ状に
形成したリブを装架配設して、このアーチ状リブ
を両側の吸気管及び前記接合用フランジに一体的
に結合し、更に、前記接合用フランジのうちアー
チ状リブで囲われた部分に、当該接合用フランジ
における複数本のボルトのうち一部のボルトを設
ける構成にした。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面について説明する
と、図において符号１は、第１気筒Ａ１、第２気
筒Ａ２及び第３気筒Ａ３をクランク軸（図示せ
ず）に沿つて一列状に配設した３気筒内燃機関を
示し、その各気筒Ａ１，Ａ２，Ａ３には、各々２
個ずつの吸気ポート２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ，４
ａ，４ｂが、前記内燃機関１のシリンダヘツド１
３における一側面１４に開口するように設けら
れ、これら各吸気ポートの燃焼室への開口部に
は、吸気弁５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂ，７ａ，７ｂ
が各々設けられている。

符号８は、エアクリーナ（図示せず）からの大
気吸入通路９を接続したサージタンクを示し、該
サージタンク８には、前記各吸気ポートにサージ
タンク８を各々別々に独立して連通するための吸
気管１０ａ，１０ｂ，１１ａ，１１ｂ，１２ａ，
１２ｂが、前記シリンダヘツド１３の一側面１４
に向つて延びるように一体に設けられ、これら各
吸気管１０ａ，１０ｂ，１１ａ，１１ｂ，１２
ａ，１２ｂの先端には、これらを前記シリンダヘ
ツド１３の一側面１４に対して複数本のボルト２
１にて接合するための接合用フランジ１５が一体
形に造形されている。なお、実施例の図面は、前
記各吸気管１０ａ，１０ｂ，１１ａ，１１ｂ，１
２ａ，１２ｂと前記シリンダヘツド１３の一側面
１４との間に、各吸気管の各々と前記各吸気ポー
トの各々とを接続するための吸入通路部材１６を
介挿して、この吸入通路部材１６の先端における
接合用フランジ１７に、各吸気管における接合用
フランジ１５を複数本のボルト２１にて接合した
場合を示したが、各吸気管１０ａ，１０ｂ，１１
ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂを、シリンダヘツド
１３の一側面１４まで長く延長して、その先端の
接合用フランジ１５を、シリンダヘツド１３の一
側面１４に対して直接的に複数本のボルトにて接
合するように構成しても良い。

そして、前記各吸気管１０ａ，１０ｂ，１１
ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂのうち、第１気筒Ａ
１に対する両吸気管１０ａ，１０ｂのうち他方の
吸気管１０ｂと第２気筒Ａ２に対する両吸気管１
１ａ，１１ｂのうち一方の吸気管１１ａ、及び第
２気筒Ａ２に対する他方の吸気管１１ｂと第三気
筒Ａ３に対する両吸気管１２ａ，１２ｂのうち一
方の吸気管１２ａとを各々２本一対として、この
対をなす両吸気管１０ｂ，１１ａ、及び両吸気管
１１ｂ，を各々互いに密接して一体化する。

一方、第１気筒Ａ１における両吸気管１０ａ，
１０ｂの間の間隔、及び第２気筒Ａ２における両
吸気管１１ａ，１１ｂの間の間隔、並びに第３気
筒Ａ３における両吸気管１２ａ，１２ｂの間の間
隔幅を、前記ボルト２１の最大直径（つまり、当
該ボルト２１における頭部の直径、又は当該ボル
ト２１に螺合するナツトの直径）よりも大きい隙
間を形成するように各々広幅間隔にし、この各広
幅間隔の上面側には、吸気管に対して直角方向の
断面を上向き凸のアーチ状に形成したリブ１８，
１９，２０を各々装架配設して、この各アーチ状
リブ１８，１９，２０を広幅間隔における両側の
吸気管及び前記接合用フランジ１５に一体的に結
合し、更に、前記接合用フランジ１５のうち前記
アーチ状リブ１８，１９，２０で囲われた部分
に、当該接合用フランジ１５における前記複数本
のボルト２１のうち一部のボルト２１を設ける構
成にする。

この場合、他の実施例としては、第１気筒Ａ１
に対する両吸気管１０ａ，１０ｂ、第２気筒Ａ２
に対する両吸気管１１ａ，１１ｂ、及び第３気筒
Ａ３に対する両吸気管１２ａ，１２ｂを各々一対
として、この対をなす両吸気管を互いに密接して
一体化する一方、第１気筒Ａ１に対する吸気管対
と第２気筒Ａ２に対する吸気管対との間、第２気
筒Ａ２に対する吸気管対と第３気筒Ａ３に対する
吸気管対との間の間隔幅を広くして、この各広幅
間隔部に、前記アーチ状リブを各々設けるように
しても良いのである。

〔考案の作用・効果〕

本考案は、前記のようにサージタンクから内燃
機関又は吸入通路部材に向つて延び且つサージタ
ンクの支持を兼ねた複数本の吸気管を、２本ずつ
一対とし、この対をなす両吸気管を互いに密接し
て一体化することに加えて、各吸気管対の間の部
分に、これら及び接合用フランジに一体的に結合
するアーチ状リブを設けたことにより、各吸気管
全体における断面係数がアーチ状リブにて増大す
るから、内燃機関に対してサージタンクを確実且
つ強固に支持できるのである。

しかも、各吸気管対の間の部分にアーチ状リブ
を設けたことにより、複数本の吸気管付きサージ
タンクの全体を鋳造にて製作する場合において、
その鋳造型のうち各吸気管対の間の間隔に相当す
る部分に形崩れを生じたとしても、この形崩れ
は、当該部分に設けたアーチ状リブが肉厚状にな
ることを生じるだけで、当該部分に鋳造バリが発
生することがないのであり、勿論、互いに密接し
て一体化した両吸気管の間の部分にも鋳物バリが
発生することはないから、鋳造後におけるバリ取
りの、工数が少なくなつて製造コスを大幅に低減
できるのである。

その上、本考案は、前記に加えて各吸気管の接
合用フランジを、内燃機関又は吸入通路部材に対
して接合するための複数本のボルトのうち一部の
ボルトを、前記アーチ状リブで囲まれた部分に設
けたことにより、前記各ボルトの螺合・締結が、
各吸気管の片側（図面の実施例では各吸気管の下
側）からできる一方、前記アーチ状リブで囲まれ
た部分におけるボルトには、各吸気管対の間隔
を、その間に前記ボルトの最大直径よりも大きい
隙間を形成するように広げたことで十分なスペー
スが有するから、内燃機関又は吸入通路部材に対
するサージタンクの取り付け及び取外しが至極簡
単にできるのであり、更に、前記アーチ状リブを
接合用フランジに一体的に結合したことにより、
接合用フランジの強度が増大して、そのシール性
を向上できると共に、接合用フランジの小型・軽
量化ができるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は平面
図、第２図は第１図の−視断面図、第３図は
第１図の−視断面図、第４図は第１図の−
視断面図である。 １……内燃機関、Ａ１，Ａ２，Ａ３……気筒、
２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂ……吸気ポ
ート、８……サージタンク、１０ａ，１０ｂ，１
１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂ……吸気管、１５
……接合用フランジ、１８，１９，２０……アー
チ状リブ、２１……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の気筒の各々に２個ずつ有する吸気ポー
   ト、又はこの各吸気ポートの各々に接続した吸入
   通路部材と、一つのサージタンクとの間を、当該
   サージタンクから内燃機関に向つて一体的に延び
   そして内燃機関又は前記吸入通路部材に対して複
   数本のボルトを使用した接合用フランジにて接合
   される吸気管を介して各々別々に独立して接続
   し、且つ、前記サージタンクから各気筒の燃焼室
   までの長さを、特定の回転数において吸入空気量
   が最大となるように設定して成る多気筒内燃機関
   において、前記サージタンクから一体的に延びる
   各吸気管を、２本ずつ一対として、この対をなす
   両吸気管を、その間に隙間がないように互いに密
   接して一体化する一方、前記対をなす吸気管対の
   間の間隔を、その間に前記ボルトの最大直径より
   も大きい隙間を形成するように広幅間隔にし、こ
   の広幅間隔部には、吸気管に対して直角方向の断
   面をアーチ状に形成したリブを装架配設して、こ
   のアーチ状リブを両側の吸気管及び前記接合用フ
   ランジに一体的に結合し、更に、前記接合用フラ
   ンジのうちアーチ状リブで囲われた部分に、当該
   接合用フランジにおける複数本のボルトのうち一
   部のボルトを設けたことを特徴とする多気筒内燃
   機関の吸気装置。