JPH04267732A - 保香性能を有するゲーベルトップ型液体用紙容器の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ジュース，液体ヨーグ
ルト等が内填される液体用の紙容器の製造方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】液体用の紙容器は、紙容器用の積層シー
トが具備する熱溶着能によって容器の封緘部が形成　　
されており、ポリオレフィン系樹脂による熱溶着能が利
用され得るように、ポリオレフィン系樹脂によるヒート
シール用樹脂層を具備する紙容器用の積層シートによっ
て製函されている。

【０００３】前記ポリオレフィン系樹脂によるヒートシ
ール用樹脂層を具備する紙容器用積層シートによって製
函された紙容器は、紙容器の内周面層がポリオレフィン
系樹脂によるヒートシール用樹脂層によって形成される
ため、これらの積層シートを得る際のポリオレフィン系
樹脂層の形成時や、該積層シートによる紙容器の製函工
程等において、ポリオレフィン系樹脂が熱分解を受けて
脂肪族炭化水素等の揮発性成分を生成し、これが紙容器
内の内填物に移行ことに伴って、内填物に変味や異臭が
発生するという欠点を有している。

【０００４】また、前記内周面層がポリオレフィン系樹
脂層からなる容器は、ポリオレフィン系樹脂によるヒー
トシール用樹脂層が容器内に収容されている内填物中の
着香成分を吸着し易く、また、同時に透過させ易いため
、着香成分を含む内填物に対する保存性能が十分でない
等の問題を有している。

【０００５】本発明者らは、前述の問題を解決するため
に、内填物中の着香成分の保持性能に優れた作用を奏す
るガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽
和ポリエステル樹脂による内表面樹脂層を具備する積層
シートを利用することによって、保香性能を有する紙容
器の試作を試みてきた。

【０００６】しかるに、紙容器用の積層シートの外表面
樹脂層は、該樹脂層によって奏される耐水性やヒートシ
ール特性、及び、樹脂自体の価格の点等から、ポリオレ
フィン系樹脂によるものが最適であるため、前述のガラ
ス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリ
エステル樹脂による内表面樹脂層を具備する積層シート
による製函工程では、積層シートの外表面樹脂層と内表
面樹脂層との間の熱接着部が、ポリオレフィン系樹脂層
とガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽
和ポリエステル樹脂層との間の熱接着部となる。

【０００７】内部に液体が充填される紙容器の底部に必
要とされるに十分な熱接着強度を、前述のポリオレフィ
ン系樹脂層とガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低
結晶性の飽和ポリエステル樹脂層との間で形成される熱
接着部に具備させるためには、例えば３５０℃以上とい
うような高温での熱接着を行なわなければならず、かか
る高温での熱接着がピンホールや紙層の焦げ等の原因に
なることが判明した。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、着香成分を
含む内填物に対する保存性能に優れ、また、内填物に対
して内表面樹脂層に起因するポリ臭の移行の問題の無い
液体用の紙容器の製造方法に関するもので、しかも、ポ
リオレフィン系樹脂層とガラス転移温度が４０℃以上の
非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステ　　ル樹脂層との間
の熱接着部に対して、内部に液体が充填される紙容器の
底部に必要とされるに十分な熱接着強度を、ピンホール
や紙層の焦げ等を発生させることなく形成する方法を提
供する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の保香性能を有す
る液体用の紙容器の製造方法は、ポリオレフィン樹脂に
よる外表面樹脂層と、紙を含む中芯層と、該中芯層に対
してオレフィン系樹脂層を介して積層されているガラス
転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエ
ステル樹脂による内表面樹脂層とを具備する矩形状の積
層シートによって、該積層シートにおける外表面樹脂層
が容器外周面とされる紙容器を得るものであり、矩形状
に断裁されている紙容器用のブランク板からなる積層シ
ートの左，右の側辺部同士を接着することによって筒体
を形成する工程と、紙容器内への内填物の充填工程にお
ける容器底部の形成工程に先立って、前記ブランク板を
なす積層シートにおける外表面樹脂層と内表面樹脂層と
の間に形成される熱接着予定部の外表面樹脂層面をコロ
ナ放電処理し、該コロナ放電処理面の濡れ張力を４６〜
５２ｄｙｎｅにする工程と、容器底部を熱接着によって
形成すると共に、内填物の充填を行なう工程と、紙容器
の封緘を行なう工程とによって、液体が内填されている
紙容器を得るものである。

【００１０】本発明の液体用の紙容器の製造方法に利用
される積層シート、すなわち、ブランク板に断裁される
積層シートは、ポリオレフィン樹脂による外表面樹脂層
と、紙を含む中芯層と、該中芯層に対してオレフィン系
樹脂層を介して積層されているガラス転移温度が４０℃
以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂による
内表面樹脂層とを具備する積層構成からなり、本発明の
紙容器の製造方法においては、該積層シートにおける外
表面樹脂層が容器外周面となるようにして紙容器の成形
が行なわれる。

【００１１】本発明の液体用の紙容器の製造方法におい
ては、前記構成の積層シートを矩形状に断裁して得られ
たブランク板の左，右の側辺部同士を接着することによ
って筒体を形成した後、内填物の充填工程における紙容
器の底部の形成工程に先立って、前記積層シートにおけ
る外表面樹脂層と内表面樹脂層との間に形成される熱接
着予定部における外表面樹脂層面をコロナ放電処理する
ことにより、該コロナ放電処理面の濡れ張力を４６〜５
２ｄｙｎｅにする。

【００１２】前記構成からなる本発明の液体用の紙容器
の製造方法に利用される積層シートの内表面樹脂層をな
すガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽
和ポリエステル樹脂層は、結晶化度が１０％以下という
ような非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂で形成
されるものであり、例えば、エチレングリコール，プロ
ピレングリコール，１，４−シクロヘキサンジメタノー
ル等のジアルコール成分と、アジピン酸，セバシン酸等
の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸，イソフタル酸，
ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等によ
るジカルボン酸成分とによる共縮合重合によって得られ
るポリエステル樹脂、具体的には、エチレングリコール
とテレフタル酸，エチレングリコールとイソフタル酸と
テレフタル酸，１，４−シクロヘキサンジメタノールと
エチレングリコールとテレフタル酸，プロピレングリコ
ールとイソフタル酸とテレフタル酸等による組み合わせ
の共縮合重合体からなるポリエステル樹脂や、前述のテ
レフタル酸とエチレングリコールとをベース原料として
ポリエステル樹脂を重合する際に、酸成分の１部にトリ
メリット酸のような３価のカルボン酸を利用したり、あ
るいは、アルコール成分の１部にトリメチロールプロパ
ン等の３価のアルコールを使用したり、さらには、アル
コール成分の１部と酸成分の１部とに、３価のカルボン
酸と３価のアルコールとを利用する等して得られるポリ
エステル樹脂等で形成される。

【００１３】なお、前記ポリエステル樹脂が、酸成分中
の脂肪族ジカルボン酸成分が１０重量％以上になってい
るようなポリエステル樹脂の場合には、該樹脂による樹
脂層はその保香性能が十分ではなくなるので好ましくな
い。

【００１４】中芯層と内表面樹脂層との間に位置するオ
レフィン系樹脂層には、ガラス転移温度が４０℃以上の
非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂層に対して良
好な接着作用を呈するカルボキシル基変性ポリオレフィ
ン系樹脂が好適であるが、紙に対する接着性能の良好な
ポリオレフィン系樹脂とカルボキシル基変性ポリオレフ
ィン系樹脂との複合樹脂層であっても良く、この複合樹
脂層の場合には、カルボキシル基変性ポリオレフィン系
樹脂層と飽和ポリエステル樹脂層からなる内表面樹脂層
とが接するようにして、中芯層と内表面樹脂層との間に
介装されるものであることは勿論である。

【００１５】中芯層に対して形成されているオレフィン
系樹脂層とガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低結
晶性の飽和ポリエステル樹脂層との積層樹脂層の積層構
成の具体例は、 １）　ポリエチレン樹脂層／　ガラス転移温度が４０℃
以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂層　２
）　カルボキシル基で変性されている接着性ポリエチレ
ン樹脂層／　ガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低
結晶性の飽和ポリエステル樹脂層との共押し出し積層樹
脂層３）　ポリエチレン樹脂層／　カルボキシル基で変
性されている接着性ポリエチレン樹脂層／　ガラス転移
温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステ
ル樹脂層等である。

【００１６】前述の積層樹脂層は、共押し出し積層樹脂
層であっても、あるいは、各樹脂層間に接着剤を介在さ
せたものであっても良い。

【００１７】また、積層樹脂層におけるガラス転移温度
が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹
脂層は、その厚さが５μ未満の場合には安定性が悪くな
り、また、６０μを超えるようになる場合には該樹脂層
が硬くなるため、紙容器の成形特性が悪くなる傾向があ
るため、通常　　５〜６０μ程度の厚さに形成される。

【００１８】矩形状の積層シートの左，右の側辺部同士
を接着することによって筒体を形成した後、内填物の充
填工程における紙容器の底部の形成工程に先立って、前
記積層シートにおける外表面樹脂層と内表面樹脂層との
間に形成される熱接着予定部の外表面樹脂層（ポリオレ
フィン系樹脂層）面をコロナ放電処理に付すことによっ
て、紙容器の底部の形成する際の外表面樹脂層と内表面
樹脂層との間で形成される熱接着部のシール温度に３０
０℃程度の加熱が利用し得るようになり、該熱接着部に
ピンホールや紙の焦げ等を発生させることなく、十分な
接着強度を有する熱接着部が形成されるようになる。

【００１９】なお、コロナ放電処理面での濡れ張力が４
６ｄｙｎｅ未満の場合には、コロナ放電処理の効果が十
分ではなく、また、５２ｄｙｎｅを超えるようになって
も、それに見合ったコロナ放電処理の効果が得られない
。このため、コロナ放電処理は、該処理によって、４６
ｄｙｎｅ〜５２ｄｙｎｅの濡れ張力が得られるようにし
て施される。

【００２０】

【作用】前記構成からなる本発明の保香性能を有する液
体用の紙容器の製造方法は、ポリオレフィン樹脂による
外表面樹脂層と、紙を含む中芯層と、該中芯層に対して
オレフィン系樹脂層を介して積層されているガラス転移
温度が４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステ
ル樹脂による内表面樹脂層とを具備する矩形状の積層シ
ートにより、該積層シートにおける外表面樹脂層が容器
外周面とされる液体用の紙容器を得るものであるから、
製函された紙容器における内周面層がガラス転移温度が
４０℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂
層で形成される。

【００２１】かくして得られる紙容器の内周面層を構成
している飽和ポリエステル樹脂層が、該樹脂層の飽和ポ
リエステル樹脂のガラス転移温度未満の雰囲気中で優れ
た保香性能を奏するため、これと関連して、通常の液体
用の紙容器は４０℃未満の温度雰囲気中に置かれるとい
うこととの関係から、内填物に対する保香性能において
優れた作用を奏する紙容器が得られる。

【００２２】また、本発明の保香性能を有する液体用の
紙容器の製造方法は、前述の積層構成による矩形状の積
層シートの左，右の側辺部同士を接着することによって
筒体を形成した後、内填物の充填工程における紙容器の
底部の形成工程に先立って、前記積層シートにおける外
表面樹脂層と内表面樹脂層との間に形成される熱接着予
定部の外表面樹脂層面をコロナ放電処理に付し、該コロ
ナ放電処理面の濡れ張力を４６〜５２ｄｙｎｅにするこ
とにより、紙容器の底部の形成段階における外表面樹脂
層と内表面樹脂層との間の十分な熱接着が、例えばピン
ホールの発生や紙の焦げ等に繋るとこのないような適切
な温度でのヒートシールによって形成し得るため、品質
の良好な液体用の紙容器が得られる。

【００２３】

【実施例】以下、本発明の保香性能を有する液体用の紙
容器の製造方法の具体的な構成を実施例をもって説明す
る。

【００２４】実施例１ 紙容器用の積層シート ［図１］において、厚紙（　坪量３４０ｇ／ｍ２）２の
片側に、厚さ１５μのポリエチレン樹脂のコート層から
なる外表面樹脂層３を形成した後、もう一方の片面に、
厚さ２０μのカルボキシル基変性ポリエチレン系樹脂［
ポリエチレンに無水マレイン酸をグラフト重合させた共
重合体（アドマーＳＥ　８１０：三井石油化学工業　（
株）　）］層４と、ガラス転移温度が８１℃の非晶性飽
和ポリエステル樹脂（イーストマンコダック社製：ＰＥ
ＴＧ　６７６３　）による厚さ２０μの内表面樹脂層５
とを、共押し出しコート法によって積層し、符号６で表
示される積層シートを得た。

【００２５】紙容器の成形 前述の積層シート６に対して、折り曲げ加工用の押圧線
を賦形すると同時に、２９５　ｍｍ×２９５　ｍｍに打
ち抜き成形することにより、［図２］において符号７で
表示されるの紙容器用のブランク板を得た。

【００２６】なお、［図２］において符号ｍ，ｍ・・・
・で表示される部分は、折り曲げ加工用の押圧線である
。

【００２７】さらに、ブランク板７の左，右の側辺部同
士の接着予定部のポリエチレン樹脂のコート層からなる
外表面樹脂層３をフレームによる表面処理に付した後、
ブランク板７の左，右の側辺部同士を封筒貼りにヒート
シールすることによって、筒体を成形した。

【００２８】しかる後に、筒体の底部の形成に際し、外
表面樹脂層と内表面樹脂層との間の熱接着予定部におけ
る外表面樹脂層面をコロナ放電処理に付し、該コロナ放
電処理面の濡れ張力が５０ｄｙｎｅとなる表面処理を行
なった後、３００℃ヒートシール温度による所定の紙容
器の成形と、内填物の充填工程とにより、［図３］にお
いて符号１で表示される外観形状を有するゲーベルトッ
プ型の液体用の紙容器、すなわち、１０００ｃｃのオレ
ンジジュースがチルド充填されているゲーベルトップ型
直方体形状の液体用の紙容器を得た。

【００２９】なお、［図２］に示されるブランク板７の
斜線を付した部分が、底部の形成に際して外表面樹脂層
面に付されたコロナ放電処理部分である。

【００３０】得られた紙容器の底部における外表面樹脂
層と内表面樹脂層との間の熱接着強度は、１．５ｋｇ／
（　１５ｍｍ　幅　　）　である。

【００３１】比較例１ 前記実施例１で得られた積層シートと同一の構成による
積層シートを利用し、実施例１による紙容器の成形工程
中から、紙容器の底部の形成に先立つコロナ放電処理を
除外する以外は、全て実施例１における紙容器の成形工
程に準じ、１０００ｃｃのオレンジジュースがチルド充
填されているゲーベルトップ型直方体形状の紙容器を得
た。

【００３２】得られた紙容器の底部における外表面樹脂
層と内表面樹脂層との間の熱接着強度は、０．７ｋｇ／
（　１５ｍｍ　幅　　）　である。

【００３３】

【発明の効果】本発明の保香性能を有する液体用の紙容
器の製造方法は、前記実施例に明記されている通り、ポ
リオレフィン樹脂による外表面樹脂層と、紙を含む中芯
層と、該中芯層に対してオレフィン系樹脂層を介して積
層されているガラス転移温度が４０℃以上の非晶性〜低
結晶性の飽和ポリエステル樹脂による内表面樹脂層とを
具備する矩形状の積層シートにより、該積層シートにお
ける外表面樹脂層が容器外周面とされる保香性能を有す
る液体用の紙容器を得る際に、紙容器の底部における外
表面樹脂層と内表面樹脂層との間の熱接着部が、例えば
、ピンホールの発生や紙の焦げの発生等に繋るようなこ
とのないヒートシール温度によって形成されるので、保
香性能を有する品質の良好な液体用の紙容器が得られる
。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液体用の紙容器の製造方法に利用され
る積層シートの１例を模型的に示す断面図である。

【図２】［図１］に示される積層シートを打ち抜き成形
して得られた紙容器用ブランク板の展開図である。

【図３】本発明の保香性能を有する液体用の紙容器の製
造方法によって得られた紙容器の１例を示す斜面図であ
る。

【符号の説明】

１　　液体用の紙容器 ２　　厚紙 ３　　ポリオレフィン系樹脂による外表面樹脂層５　　
ガラス転移温度が４０℃以上の非晶性飽和和ポリエステ
ル樹脂による内表面樹脂層 ６　　紙容器用の積層シート ７　　ブランク板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ポリオレフィン樹脂による外表面樹脂
   層と、紙を含む中芯層と、該中芯層に対してオレフィン
   系樹脂層を介して積層されているガラス転移温度が４０
   ℃以上の非晶性〜低結晶性の飽和ポリエステル樹脂によ
   る内表面樹脂層とを具備する矩形状の積層シートにより
   、該積層シートにおける外表面樹脂層が容器外周面とさ
   れる液体用の紙容器の製造方法において、矩形状の積層
   シートからなるブランク板の左，右の側辺部同士を接着
   することによって筒体を形成した後、内填物の充填工程
   における紙容器の底部の形成工程に先立って、前記積層
   シートにおける外表面樹脂層と内表面樹脂層との間に形
   成される熱接着予定部の外表面樹脂層面をコロナ放電処
   理することにより、該コロナ放電処理面の濡れ張力を４
   ６〜５２ｄｙｎｅにすることを特徴とする保香性能を有
   する液体用の紙容器の製造方法。