JPH04129774U - 釣り用リール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制動力を大きい値から、小さい値まで無理な
く調節し得る制動機構を備えた釣り用リールをできるだ
け小型に構成する。 【構成】 永久磁石２８と導電体との相対距離を調節す
る操作具２９及び、この操作具２９の操作により永久磁
石２８を離間方向に調節した際に、永久磁石２８と導電
体との間に挿入される磁性体製の遮蔽板３０を備え、永
久磁石２８と導電体との相対距離を増大させる方向に、
この操作具２９を操作するほど、永久磁石２８の磁束の
遮蔽量の増大を図るように操作方向を設定して操作具２
９と遮蔽板３０とを連係してある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、釣り糸を巻き取る回転体と一体回転する系、若しくは、連動回転す る系に導電体を形成し、この導電体に近接配置した永久磁石の磁束の作用により 導電体に電流を誘起させて回転体に制動力を作用させる制動機構を備えて成る釣 り用リールの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、上記のように構成される制動機構は、通常マグブレーキ等と称され、こ の種の制動機構では導電体にアルミニューム、銅等の非磁性体製の導体を用いて おり、この導電体と永久磁石との相対距離を調節する操作系を備える、あるいは 、開口を有した磁性体製の遮蔽板を備えることにより、永久磁石から導電体に作 用する磁束の量を調節可能に構成してあり、釣り用リールの使用時には、この調 節により導電体に生ずる誘導電流の値を変化させてスプール（回転体）に作用さ せる制動力を調節し得るように構成されている（例えば、実開昭６０―９４０７ ２号公報、実開昭５８―１６４４７８号公報）。 尚、この種の制動機構はベイトキャスティング用の釣り用リールに用いられる ものであり、キャスト時においてバックラッシュを抑制する機能を有する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ここで、導電体と永久磁石とによってスプールの回転に制動力を作用させるも のについて考えるに、この制動系では回転系に対して接触する制動用の部材等を 備えないため、制動を円滑の行えるものの、前述した従来例の前者のように、導 電体と永久磁石との相対距離を調節する構造のものでは、導電体と永久磁石との 相対距離を小さい値に設定して比較的大きい制動力を作用させ得る反面、導電体 と永久磁石との離間を図って制動力を低減しても永久磁石からの磁束が多少とも 導電体に作用することから制動力の値をあまり小さく設定できず、又、前述した 従来例の後者のように、開口を有した磁性体製の遮蔽板を備えた構造のものでは 導電体と永久磁石とを大きく離間させずとも制動力の値を低く設定できる反面、 導電体と永久磁石との距離が一定であるため、制動力をあまり大きい値に設定で きず夫々の従来例とも改善の余地がある。 本考案の目的は、円滑に制動を行うという良好な面を損なうこと無く、制動力 を大きい値から、小さい値まで無理なく調節し得る制動機構を備えた釣り用リー ルをできるだけ簡単に構成する点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴は、導電体と永久磁石との作用により回転体に制動力を作用させ る制動機構を備えて成る釣り用リールにおいて、前記永久磁石と前記導電体との 相対距離を調節する操作具を備えると共に、この操作具の操作により永久磁石を 離間方向に調節した際に、永久磁石と導電体との間に挿入される磁性体製の遮蔽 板を備え、永久磁石と導電体との相対距離を増大させる方向に、この操作具を操 作するほど、永久磁石の磁束の遮蔽量の増大を図るように操作方向を設定して操 作具と遮蔽板とを連係してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りであ る。

【０００５】

【作用】

上記特徴を例えば図１乃至図５に示すように構成すると、制動力を大きい値に 設定する場合には操作具２９の操作により永久磁石２８と導電体６（回転体６そ のものが導電体６に構成されている）との相対距離を小さい値に設定することに よって永久磁石２８から導電体６に作用する磁束の量が増大し、又、制動力を小 さい値に設定する場合には操作具２９の操作により、永久磁石２８と導電体６と の相対距離が増大すると共に、永久磁石２８と導電体６との間に遮蔽板３０が挿 入されるので、この遮蔽板３０によって磁束が遮断される結果、導電体６に作用 する磁束の量が大きく減少する。 つまり、この考案では永久磁石２８と導電体６との相対距離の調節により制動 力の増大が可能であり、又、永久磁石と導電体６との間の距離を大きく設定せず とも遮蔽板３０によって導電体６に作用する磁束量を大きく低減して制動力の値 を極めて小さい値に設定できるのである。

【０００６】

【考案の効果】

従って、永久磁石と導電体とを用いて制動系を構成することにより円滑に制動 を行うという良好な面を損なうこと無く、制動力を大きい値から、小さい値まで 無理なく調節し得る制動機構を備えた釣り用リールが大型化を伴うことなく構成 できたのである。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１乃至図７に示すように、左右のケース部１，２の間の前部に螺軸３、ガイ ド杆４、糸案内具５夫々で成るレベルワインド機構を配置すると共に、中央部に 回転体としてのスプール６、後部にクラッチ操作具７を夫々配置し、又、右側ケ ース部２に、ハンドル８、ドラグ操作具９、キャストコントローラ１０夫々を備 えて釣り用リールとしてベイトキャスティング用のリールを構成する。 このリールでは左側ケース部１と右側ケース部２の一部、及び、夫々のケース 部１，２の間の上部に配置されるサムレスト１１、下部に配置される一対のロア ーフレーム１２，１２夫々がアルミダイキャストにより一体形成物Ａに形成され 、右側ケース部２の一部の外方を覆うカバー材２Ａを配置してリール本体を構成 し、前記ロアーフレーム１２，１２夫々に亘って竿に対する取付け用脚部１３を 備えている。 尚、このリールでは左側ケース部１の側から挿通する複数のボルト１４‥によ りカバー材２Ａの分離を行えるように構成され、このカバー材２Ａにはボルト１ ４のネジ部と螺合するナット１５を、面取り部（図示せず）により、回転不能状 態で、その凹部２Ｂに嵌め込み支持してあり、又、右側ケース部１の外周部、及 び、カバー材２Ａの外周部夫々にはリング状の弾性材１６を嵌め込んでリール本 体の傷つきを防止してあり、又、前記ハンドル８のパドル１７は軸１８に対して 遊転支承されると共に、パドル内面に螺合させたリング１９の鍔状部１９Ａと軸 １８の頭部１８Ａとのクリアランスの調整によりガタツキを抑制し、このリング １９の緩み止めを兼ねたキャップ２０が備えられている。 図２に示すように、右側ケース部２の内部に立設したハンドル軸２１に対して 前記ハンドル８、及び、ドラグ操作具９夫々を備えると共に、該ハンドル軸２１ の内端部にドラグ機構Ｄ、及び、ラチェットホイール２２を備えてあり、スプー ル６と一体回転するスプール軸２３にスライド操作自在に遊嵌したクラッチスリ ーブ２４とスプール軸２３に固設したピン２５との係脱構造によりクラッチ機構 Ｃを構成し、このクラッチスリーブ２４の入力ギヤ２４Ａとドラグ機構Ｄの出力 ギヤ２６との噛合により、ハンドル８からの回動操作力はドラグ機構Ｄ、クラッ チ機構Ｃ夫々を介してスプール６に伝えられる。 尚、クラッチ機構Ｃは前記クラッチ操作具７によって切り操作されるよう連係 され（操作系は詳述せず）、スプール軸２３は、その両端部がベアリング２７， ２７によって支承され、このスプール軸２３の右側の端部に作用させる摩擦力を 調節できるよう前記キャストコントローラ１０がネジ部を介して右側ケース部２ に取付けられている。 図１に示すように、左側ケース部１にはバックラッシュ防止用にマグネット型 の制動機構Ｂを備え、この制動機構Ｂは、金属製の前記スプール６（導電体に兼 用されている）に近接配置されるマグネット２８（永久磁石）のスプール６側面 に対する距離を回転型の操作具２９の回動操作によって調節するよう構成される と共に、このマグネット２８をスプール６から離間させる方向に操作具２９を操 作した場合にはマグネット２８とスプール６との間に磁性体製の遮蔽板３０が挿 入されるように構成されている。 つまり、操作具２９のスプール側の内面には、この操作具２９の回動軸芯Ｘと 同軸芯状の一対のカム溝２９Ａ，２９Ａ、及び、ギヤ部２９Ｂが形成され、この カム溝２９Ａ，２９Ａ、に係入する突起部３１Ａ，３１Ａを有する可動部材３１ に複数のマグネット２８が取り付けられ、前記遮蔽板３０は円盤状に形成される と共に、円弧状の開口３０Ａ、及び、回転操作用のギヤ部３０Ｂが形成され、こ のギヤ部３０Ｂと前記操作具２９のギヤ部２９Ｂとの間に中間ギヤ３２を備え、 可動部材２９、遮蔽板３０は中間部材３３に対してネジ部材３４によって挟み込 み状態で支持され、可動部材２９はコイルバネ３５により、その突起部３１Ａ， ３１Ａがカム溝２９Ａ，２９Ａに接触するよう付勢されている。 そして、この制動機構Ｂでは操作具２９を制動力増大方向に操作した場合には 、カム溝２９Ａとの接触によって可動部材３１がスプール６の方向に移動し、遮 蔽板３０の開口３０Ａを介してスプール６の側面に作用するマグネット２８の磁 束量を増大させ、又、操作具２９を制動力低減方向に操作した場合には、カム溝 ２９Ａとの接触によって可動部材３１がスプール６から離間する方向に移動して スプール６の側面に作用するマグネット２８の磁束量を減少させると共に、この 移動によりマグネット２８が所定位置に達すると、中間ギヤ３２を介して伝えら れる操作具２９からの動力により遮蔽板３０がマグネット２８からスプール６の 側面に作用させる磁束の量を大きく低減するように操作形態が設定されている。

【０００８】 〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、例えば、スプールの側面に対して、銅板、アルミ ニュウーム板等の導電体を備えて実施して良く、又、スプールからの動力が伝え られる系に本考案の制動機構を備えて実施しても良い。 又、本考案は操作具２９をリール後部に設けて仕掛がキャストされている状况 下で制動力の調節を行い得るよう構成することも可能である。

【０００９】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】リール左側部の断面図

【図２】リール右側部の断面図

【図３】リールの縦断側面図

【図４】制動機構の分解斜視図

【図５】リールの左側面図

【図６】パドルの断面図

【図７】リールの後面図

【符号の説明】

６ 回転体 ２８ 永久磁石 ２９ 操作具 ３０ 遮蔽板 Ｂ 制動機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 釣り糸を巻き取る回転体（６）と一体回
   転する系、若しくは、連動回転する系に導電体を形成
   し、この導電体に近接配置した永久磁石（２８）の磁束
   の作用により導電体に電流を誘起させて回転体（６）に
   制動力を作用させる制動機構（Ｂ）を備えて成る釣り用
   リールであって、前記永久磁石（２８）と前記導電体と
   の相対距離を調節する操作具（２９）を備えると共に、
   この操作具（２９）の操作により永久磁石（２８）を離
   間方向に調節した際に、永久磁石（２８）と導電体との
   間に挿入される磁性体製の遮蔽板（３０）を備え、永久
   磁石（２８）と導電体との相対距離を増大させる方向
   に、この操作具（２９）を操作するほど、永久磁石（２
   ８）の磁束の遮蔽量の増大を図るように操作方向を設定
   して操作具（２９）と遮蔽板（３０）とを連係して成る
   釣り用リール。