JPH04116213U - エンジンの冷却構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両前方側に排気マニホールドを連結したエ
ンジン本体とその前方のラジエータとの間隔を狭めるよ
うにした場合でも、ラジエータやその付属部材に排気熱
の悪影響が及ぶのを防止する。 【構成】 ラジエータ３と排気マニホールド４とによっ
て挾まれた空間部に、エアコン用低圧側ホース２６が配
置されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ラジエータと排気マニホールドが対向する配置となっているエンジ ンの冷却構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば特公昭６３−７９６７号公報に示されるように、自動車のエンジ ンルーム内において車体前方側にラジエータが配置されるとともに、ラジエータ の後方に横置のエンジンが配置された構造は一般に知られている。このようにラ ジエータおよびエンジンが配置されたものにおいては、通常、上記ラジエータに 対向したエンジン本体の車体前方側の側面に排気ホールドが配置されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようにラジエータと対向して排気マニホールドが位置している場合、こ の排気マニホールドを具備するエンジン本体とラジエータとの間隔を比較的大き くとることによりラジエータ側へ排気熱の影響を小さくしているが、これではエ ンジンルーム内に大きなスペースが必要となる。このため、エンジン本体とラジ エータとの間隔を狭めることが要求される。

【０００４】 しかし、単に上記間隔を狭めるだけでは、排気マニホールドからの放射等によ りかなりの熱がラジエータ側へ伝わるため、ラジエータによる冷却性能が低下す る。さらに、ラジエータに付属する各種部材にも排気熱による悪影響が及ぶ。例 えば、ラジエータにオイルクーラーが内蔵されてそのオイルクーラーの吐出口が ラジエータの後方の側面に設けられている場合は、オイルクーラー吐出口が加熱 されてオイルクーラーの機能が阻害され、また、ラジエータにダイナミックダン バの機能を持たせるようにその取付部分にラバーマウントが設けられている場合 はラバーマウントが熱劣化し易くなる等の問題がある。

【０００５】 本考案は、上記のような問題を解決するもので、車両前方側の側面に排気マニ ホールドを連結したエンジン本体とその前方のラジエータとの間隔を狭めるよう にした場合でも、ラジエータやその付属部材に排気熱の悪影響が及ぶのを防止す ることができるエンジンの冷却構造を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、ラジエータが車体前部に配置され、ラジエータが車体前部に配置さ れ、該ラジエータに対向したエンジン本体の車体前方側の側面に排気マニホール ドが連結されている車両において、上記ラジエータと排気マニホールドとによっ て挾まれた空間部に、エアコン用低圧側ホースが配置されている構成としたもの である。

【０００７】 この構成において、ラジエータのロアタンクにオイルクーラーが内蔵されてい る場合には、その吐出口が排気マニホールドに対向するラジエータ側面に設けら れ、エアコン用低圧側ホースが該オイルクーラーの吐出口と排気マニホールドと の間の位置を通るように配置されていることが好ましい。

【０００８】 ラジエータの下部取付部にラバーマウントが設けられている場合には、エアコ ン用低圧側ホースが上記ラバーマウントのエンジン本体側の側方部を通るように 配置されていることが好ましい。

【０００９】 ラジエータのエンジンの本体側の側面に２つの電動ファンが車幅方向に並列に 配設されている場合には、上記エアコン用低圧側ホースが、両ファン間の谷間部 分を通るように配置されていることが好ましい。

【００１０】

【作用】

上記構成によると、上記エアコン用低圧側ホースは非常に温度が低く、この低 温のホースがラジエータと排気マニホールドとの間に介在することにより、排気 マニホールドからの熱がラジエータやその付属部材に及ぶことが抑制される。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】 図１乃至図３において、車両のエンジンルーム１内には、その後方側にエンジ ン本体２が配置され、その前方にラジエータ３が配置されている。

【００１３】 上記エンジン本体２は、その出力軸が車幅方向に延びる横置き配置となってい る。このエンジン本体２の、上記ラジエータ３に対向する車両前方側の側面には 排気マニホールド４が連結されており、排気マニホールド４に連なる排気管５は 、エンジン本体２の下方から後方へ向かって延びている。上記エンジン本体２の 一端側（車幅方向の一側方）にはエアコンのコンプレッサ６が取付けられている 。また、エンジン本体２の他端側には、エンジン出力軸に連結される自動変速機 ７およびディファレンシャル等が配置されている。また、上記ラジエータ３は、 車両前部に位置し、ダイナミックダンパーとしての機能を有するように、両側下 部がラバーマウント１０を介して車両に支持されるとともに、両側上部が断面Ｌ 字形のブラケット１１とラバーを介してフレームメンバー１２に取付けられてい る。上記ブラケット１１には、フレームメンバー１２へのボルト止め部に縦長の ボルト流通孔１３が設けられるとともにラジエータ３へのボルト止め部に横長の ボルト流通孔１４が設けられることにより、これらの方向に取付位置調節可能と なっており、またこのブラケット１１とフレームメンバー１２とには相対応する 位置決め用のビード１５が設けられている。

【００１４】 上記ラジエータ３の車両後方側の側面には、２つの電動ファン１６，１７が車 幅方向に並列に配置されている。また、ラジエータ３には、自動変速機７の作動 油を冷却するオイルクーラー（図示せず）が内蔵されており、ラジエータ３の車 両後方側の側面に上記オイルクーラーの流入口２０および吐出口２１が設けられ ている。上記流入口２０は自動変速機７に対応するラジエータ３の一側端側に設 けられ、上記吐出口２１は、上記両ファン１６，１７間付近の位置のラジエータ 下部に設けられている。上記流入口２０および吐出口２１はそれぞれホース２２ ，２３で自動変速機７の油圧回路に接続されている。

【００１５】 上記ラジエータ３とエンジン本体２とに対し、ラジエータ３からエンジン本体 ２へ冷却水を送る冷却水ホース２４と、エンジン本体２からラジエータ３へ冷却 水を送る冷却水ホース２５とが接続されている。また、上記エアコンのコンプレ ッサ６には、コンプレッサ６へ冷媒を流入させるエアコン用低圧側ホース２６と コンプレッサ６による圧縮後の冷媒を流出させる高圧側ホース２７とが接続され る。

【００１６】 とくに本考案の特徴とする構造として、上記エアコン用低圧側ホース２６は、 ラジエータ３と排気マニホールド４とで挾まれた空間に配置されている。すなわ ち、エアコン用低圧側ホース２６が単にエンジンルーム内の車幅方向一側方から 上記コンプレッサ６に接続されるだけではラジエータ３と排気マニホールド４と の間を通らないので、このホース２６が迂回した形で、上記ラジエータ３と排気 マニホールド４との間の空間を通るように形成されている。

【００１７】 さらに具体的に上記エアコン用低圧側ホース２６の配置を説明すると、上記ホ ース２６は、エンジンルーム１の車幅方向一側方部から、ラジエータ３の後方上 部の空間を通って車幅方向略中央に延び、この位置から、上記両ファン１６，１ ７のカウリングの間に存在する谷間部分２８を通って、ラジエータ３の下部へ延 びる。そしてこのラジエータ３下部の位置から側方へ彎曲し、上記オイルクーラ ーの吐出口２１の後方（吐出口２１と排気マニホールド４との間の位置）を通り 、さらに、排気マニホールド４に近い側のラジエータ側端下部取付部に設けられ ているラバーマウント１０の後方を通って、コンプレッサ６に至るように構成さ れている。

【００１８】 なお、上記ラジエータ３からエンジン本体２に冷却水を送る冷却水ホース２４ は、上記コンプレッサ６と排気マニホールド４との間の位置を通るように配置さ れている（図３参照）。

【００１９】 以上のような当実施例の冷却装置によると、非常に低温のエアコン用低圧側ホ ース２６が上記ラジエータ３と排気マニホールド４との間に介在し、この低温の ホース２６により、排気熱がラジエータ３側に伝わることが抑制される。とくに 、上記ホース２６がオイルクーラーの吐出口２１の後方を通ることにより、この 吐出口２１が排気熱から防護されてオイルクーラーの機能が維持される。さらに 、上記ホース２６がラジエータ側端下部取付部のラバーマウント１０の後方を通 ることにより、このラバーマウント１０も排気熱から防護され、ダイナミックダ ンパーとしての機能が維持される。

【００２０】 また、上記オイルクーラーの吐出口２１が両ファン１６，１７間付近の位置に 設けられるとともに、エアコン用低圧側ホース２６が両ファン１６，１７間の谷 間を通り、上記吐出口２１の後方を通過するように配設されているため、これら がコンパクトにレイアウトされる。

【００２１】 従って、排気マニホールド４とラジエータ３とを接近させてその間の空間を狭 くしても、熱害を生じることがなく、かつ、各ホース等が無理なくレイアウトさ れることとなる。

【００２２】 また、上記コンプレッサ６と排気マニホールド４との間を冷却水ホース２４が 通ることにより、コンプレッサ６の熱害も防止される。

【００２３】

【考案の効果】

以上のように本考案は、ラジエータと排気マニホールドとで挾まれた空間部に エアコン用低圧側ホースが配置されているため、低温の上記エアコン用低圧側ホ ースにより、ラジエータと付属部材に対する排気熱の影響を防止することができ る。従って、熱害等を避けつつ、ラジエータと排気マニホールドとを接近させて 全体をコンパクト化することができる。

【００２４】 また、とくにオイルクーラーの吐出口が排気マニホールドに対向するラジエー タ側面に設けられ、このオイルクーラーの吐出口と排気マニホールドとの間にエ アコン用低圧側ホースが位置するのようにした場合に、オイルクーラーが熱害を 受けることを確実に防止することができる。また、エアコン用低圧側ホースが上 記ラバーマウントのエンジン本体側の側方部を通るように配置されている場合、 上記ラバーマウントが熱害を受けることを防止することができる。

【００２５】 また、ラジエータのエンジンの本体側の側面に２つの電動ファンが車幅方向に 並列に配設されるとともに、上記エアコン用低圧側ホースが、両ファン間の谷間 部分を通るように配置されている構造とすれば、両ファン間のデッドスペースを 利用してコンパクトなレイアウトとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による構造の平面図である。

【図２】同構造の側面図である。

【図３】同構造の正面図である。

【符号の説明】

２ エンジン本体 ３ ラジエータ ４ 排気マニホールド ６ エアコンのコンプレッサ １０ ラバーマウント １６，１７ ファン ２１ オイルクーラーの吐出口 ２６ エアコン用低圧側ホース

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ラジエータが車体前部に配置され、該ラ
   ジエータに対向したエンジン本体の車体前方側の側面に
   排気マニホールドが連結されている車両において、上記
   ラジエータと排気マニホールドとによって挾まれた空間
   部に、エアコン用低圧側ホースが配置されていることを
   特徴とするエンジンの冷却構造。
2. 【請求項２】 ラジエータのロアタンクに内蔵されたオ
   イルクーラーの吐出口が排気マニホールドに対向するラ
   ジエータ側面に設けられ、エアコン用低圧側ホースが該
   オイルクーラーの吐出口と排気マニホールドとの間の位
   置を通るように配置されていることを特徴とする請求項
   １記載のエンジンの冷却構造。
3. 【請求項３】 ラジエータの下部取付部にラバーマウン
   トが設けられ、エアコン用低圧側ホースが上記ラバーマ
   ウントのエンジン本体側の側方部を通るように配置され
   ていることを特徴とする請求項１記載のエンジンの冷却
   構造。
4. 【請求項４】 ラジエータのエンジンの本体側の側面に
   ２つの電動ファンが車幅方向に並列に配設されるととも
   に、上記エアコン用低圧側ホースが、両ファン間の谷間
   部分を通るように配置されていることを特徴とする請求
   項１記載のエンジンの冷却構造。