JPH038191Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は容器内へ化粧料を直接充填して固化さ
せた、棒状の後端まで残さず使いきることのでき
る固形棒状化粧料容器に関するものである。

〔考案の背景〕

アイブロー、アイシヤドウ、口紅等の棒状化粧
料は一般に芯チヤツクにより後端を保持し、芯チ
ヤツクの背後から押し、又は引くことによつて化
粧料を筒状容器から進出させ、又は引込めるよう
になつている。この芯チヤツクは、通常、有底円
筒形又は少なくとも化粧料の後端外周を保持し得
る筒形をしており、このような筒部は例えば１cm
程度の深さを有している。この筒部の深さによつ
て棒状化粧料の後端を把持し、芯のフラつきを防
止しているので、この深さを余りに浅くし、芯チ
ヤツクを例えば皿形のようにすることはできな
い。しかし、この芯チヤツクの中に把持されてい
る化粧料は、周囲の筒部に邪摩されて結局化粧に
は使用できない部分であり、見えているのに使え
ないいう勿体なさと無駄がある。

従来の棒状化粧料の繰出し容器では、この無駄
な部分を短かすしようとすれば、芯の保持が不安
定になり、芯の保持を強くしようとすれば使えな
い無駄な部分が長くなるという、矛盾した問題を
内包していた。

また、従来の棒状化粧料は、容器に入れる前に
予め細い充填パイプに充填したり、或いは棒状に
成形した後に、芯チヤツクで保持して筒状容器の
中に装填するのが一般であるが、このような充
填・成形・装填などの作業は煩雑であつて熟練を
要する難点に加え、製造工程数を増加させ、製品
コストを高騰させるという問題を有していた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、このような従来の棒状化粧料容器の
抱えている矛盾や難点を解決しようとしてなされ
たもので、その目的とする所は、化粧料の後端の
保持を強固ならしめると共に芯チヤツクに保持さ
れている化粧料芯を最後までほぼ完全に使いきる
ことができるようにした棒状化粧料を、筒状容器
に直接充填して形成する固形棒状化粧料容器を提
供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は、上記目的を達成するため、従来のよ
うに筒部と底部とが一体に連結している芯チヤツ
クの構造を改良し、芯チヤツク自体は平板状の部
材とし、これに対し軸方向に相対的に可動な筒状
の前端部を有するチヤツクガイドを組合わせ、芯
チヤツクとチヤツクガイドの筒状前端部とによつ
て棒状化粧料の後端を保持するようにしたもので
ある。チヤツクガイドの前端部より先へ突出して
いる通常の長さの化粧料が使い尽された時は、芯
チヤツクがチヤツクガイドと独立して前進され、
チヤツクガイドの前端部内に保持されている残り
の長さの化粧料が押し出される。従つて、チヤツ
クガイドの筒状前端部の長さを大きくして棒状化
粧料の保持を強化しても、筒状前端部内の化粧料
が使い残されることがない。

好適に、芯チヤツクは穿孔を有する平板状の部
材により構成し、この穿孔平板状の芯チヤツクを
支える上底を前端側に有するネジ棒を前記チヤツ
クガイドの中に挿通し、前記通常長さの化粧料を
使いきるまでは、ネジ棒とチヤツクガイドを一体
に進退させるようにする。通常長さを使いきつた
後は、ネジ棒とチヤツクガイドの一体性を断ち、
ネジ棒のみが前進して芯チヤツクとそれに保持さ
れている残りの化粧料を前進させる。

芯チヤツクとそれを支えているネジ棒上底と、
芯チヤツクの周囲を取り巻いているチヤツクガイ
ドの筒状前端部とは、三者協働して棒状化粧料の
後端を保持するものであつて、このような保持部
材は初めから化粧料容器の中に用意されているか
ら、本考案によれば化粧料は初め泥状で直接化粧
料容器の前記保持部材上へ充填され、冷却固化す
ればそのまま使用し得る固形化粧料容器となる。
こうして、従来の製造工程は大幅に短縮乃至省略
され、コストの低減化に寄与する。

〔考案の実施例〕

図面を参照して本考案の固形化粧料容器の実施
例について設明する。

第１図は、キヤツプを被せてある状態の化粧料
容器を半分断面、半分側面で示す図、第２図は通
常の繰出し工程の最後の段階、第３図は残りの繰
出し行程の最後の段階をそれぞれ示す半截断面図
である。軸筒１は、先端（図で左端）外周にキヤ
ツプ１０を着脱し得るようになており、軸筒１の
内部には先筒２が相対回転可能に嵌め合わされ
る。先筒２は、軸筒１から大半突出している前半
部２Ａと、軸筒１内に収められた後半部２Ｂとか
ら成り、前半部２Ａと後半部２Ｂとの間に段部２
Ｃが設けられる。後半部２Ｂには軸方向にガイド
スロツト３が形成され、ガイドスロツト３の前端
は段部２Ｃで終る。ガイドスロツト３の長さに相
当する軸筒１の内周領域には、図示のように螺旋
みぞが設けられてている。

先筒２の中に、中空筒状のチヤツクガイド４が
前後移動可能に収められ、チヤツクガイドの前端
部４ａは先筒前半部２Ａの中を摺動し得る径とさ
れ、特に最先端部４a′は、外周へ張り出して前半
部２Ａの内周に密に摺接するうにされる。これ
は、後述するように、芯チヤツク６上へ直接充填
される泥又は練り状の化粧料を後方へ漏出させな
いようにするためと、化粧料７を繰出す時に先筒
前半部２Ａの内壁をきれいに掻いて進むようにす
るためである。

チヤツクガイド４の中間部は、先筒２の段部２
Ｃで絞られた内径を通過し得る太さの細径部４ｂ
とされ、チヤツクガイド４の後端の外周には、前
記ガイドスロツト３へ突出するストツパー突起４
ｃが形成される。ストツパー突起４ｃは、通常の
繰出し行程の終りで、第２図に示すように、先筒
段部２Ｃに当接し、繰出し操作に抵抗を与える。

チヤツクガイド４の内周、図示の例では、スト
ツパー突起４ｃの内周に、係合突起４ｄが形成さ
れる。その目的と作用は、後述する。

チヤツクガイド４の細径部４ｂの中に、ネジ棒
５が挿通される。ネジ棒５は、チヤツクガイド細
径部４ｂより長い長さを有し、先端に細径部４ｂ
の内周に摺接する突周縁５ａを有する。突周縁５
ａも、泥状化粧料の直接充填の時に漏出を防止す
るため、細径部内周に密嵌する寸法とするのが好
適である。突周縁５ａから少し下がつてチヤツク
ガイドの上底５ｂがある。上底５ｂは、芯チヤツ
ク６の脚部６ａを受け入れて支え、充填されて固
化した化粧料７の基端７ａを支える。

ネジ棒５の最後端に、先筒後半部２Ｂのガイド
スロツト３を通つて、軸筒１の内周の螺旋みぞに
係合する突起５ｃが突設される。突起５ｃは、軸
筒１を先筒２に対して回転させた時、螺旋みぞに
より前進又は後退方向に回転力を受けるが、ガイ
ドスロツト３に拘束されるて直線運動のみをす
る。この点は従来の繰出構造と同様である。

ネジ棒５の外周に、前記チヤツクガイド４の内
周の係合突起４ｄを嵌合させる嵌合突起５ｄが形
成される。嵌合突起５ｄとネジ棒５後端との距離
は、図示の例で、チヤツクガイド４の前端部４ａ
の長さにほぼ等しい。前端部４ａの長さは、後述
のように充填される化粧料７の後端を保持する筒
部を構成する。本考案によれば、この筒部は、芯
の保持をしつかりさせるために長くしても、それ
によつて従来の芯チヤツクのように使い残しの無
駄を生じさせることがない。

チヤツクガイド４の係合突起４ｄは、第１図及
び第２図に示すように通常の繰出しし行程の時
は、ネジ棒５の嵌合突起５ｄに嵌まり込んでチヤ
ツクガイド４をネジ棒５の動きと一体にして動か
す。しかし、通常の最大長さＬ（第２図）を使い
きつてしまつて、普通なら使われずに終つてしま
うであろう保持部の長さｌをも使おうとする時
は、ストツパー突起４ｃが段部２Ｃに当つている
抵抗を乗り超えて軸筒１をさらに回すと、突起４
ｄと突起５ｄとの嵌合は外れ、第３図から認めら
れるように、ネジ棒５だけが前進する。この嵌合
離脱を容易にするため、ネジ棒が径内方へ撓むよ
うに、ネジ棒５を図示の例のように中筒状として
おくとよく、また、嵌合突起５ｄを含む領域でネ
ジ棒５にスリワリを入れておいてもよい。

芯チヤツク６は、皿状又は平板状の部材に、好
適には中央及び周縁付近など適宜穿孔し、背面に
短かい脚部６ａを設けて形成される。本考案の芯
チヤツク６は、従来一般の芯チヤツクのように周
縁から前方へ延設される筒状部を有しない。脚部
６ａはネジ棒５の前端付近の上底５ｂに当接支持
される。この時、芯チヤツク６の平板の裏面に多
少の隙間ができるように、脚部６ａは上底５ａの
深さより少し長めとするのが望ましい。

化粧料７は、第１図のようにネジ棒５及びチヤ
ツクガイド４を最後退位置に下げ、ネジ棒上底５
ａの上に芯チヤツク６を入れて軸筒１を垂直状に
立て、上底５ｂと芯チヤツク６とチヤツクガイド
の前端部４ａと先筒前半部２Ａとで囲まれた空間
に直接充填される。泥状又は練り状で充填された
化粧料は、芯チヤツク６の上に乗るだけでなく、
その穿孔を通つて裏面へも入り込み、その状態で
固化すると図示のように芯の抜け止めのための基
底７ａを形成する。芯チヤツク６の上に充填され
た化粧料７はチヤツクガイド４の前端部４ａの内
壁と、先筒前半部２Ａの内壁とに密着する。化粧
料７が固化してから、軸筒１を少し回わして化粧
料７を少し押し出せば、先筒前半部２Ａとの密着
は離れる。

本考案の固形化粧料容器の使用法は、第２図に
示す通常の最大長さＬを使いきるまでは、従来の
繰出し容器と同じである。即ち、先筒２に対し軸
筒１を回わしてネジ棒５及びチヤツクガイド４を
一体に直線運動させる。チヤツクガイド前端部４
ａは比較的長く、化粧料７を強固に保持している
から、第２図のように最大に繰り出した後も化粧
料７を安全に引き戻すことが可能である。

使用を繰り返して長さＬを使いきつた後に、本
考案の特徴的な作用が行われる。即ち、長さＬが
なくなつた時は、チヤツクガイド４のストツパー
突起４ｃは第２図に示すように先筒２の段部２Ｃ
に当つていて前進をはばまれているから、ネジ棒
５は係合突起４ｄと嵌合突起５ｄとの噛み合いに
より同じく前進を止められている。この時、軸筒
１を回そうとすると抵抗を感じるが、それを乗り
超えるように通常より少し強く軸筒１を回すと係
合突起４ｄと嵌合突起５ｄの噛み合いが外れ、ネ
ジ棒５だけが前進する。こうして、ネジ棒５が芯
チヤツク６とそれに付着している化粧料の残りの
長さｌをチヤツクガイド４の前端部４ａの内壁か
ら剥がして先筒２より突出させる。

この残りの行程の最後を第３図に示してある。
こうして、本考案によれば、芯チヤツク６の面ス
レスレまでの化粧料７を有効に使いきるとがで
き、最後には芯チヤツク６はホキ出され得る。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、平板状の芯チヤ
ツクと、それを取り巻く別体の筒状部を有するチ
ヤツクガイドとを設け、通常は筒状部と芯チヤツ
クで化粧料の端を保持するようにしたから、筒状
部を長くすることにより化粧料の保持を安定強固
ならしめることができ、筒状部から突出している
化粧料を使いきつた後は、筒状部から独立に芯チ
ヤツクだけが前進して残りの化粧料を押し出し得
るから、化粧料の後端を使い残すことがなく、芯
チヤツクの面ギリギリまで有効に使いきることが
でき、消費者に満足感をえることができる。

また、別体の芯チヤツクと、それを取り巻く筒
状部と、さらにはネジ棒前端の上底との協働で構
成される化粧料後端保持構造は、最初から容器内
にあるから、化粧料は容器外で予め充填・成形等
をする必要がなく、容器へ泥状若しくは練り状で
直接充填し固形化すればよく、製造工程を簡略化
し、製造コストを低廉ならしめる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る直接充填式の固形化粧料
容器の一実施例を半分側面、半分断面で示す図、
第２図は第１図の実施例で化粧料を通常の繰出し
工程の最大限まで繰出した状態を示す半載断面
図、第３図は通常の繰出し行程の後の残りの繰出
し行程を最大限までで進めた状態で示す半截断面
図である。 主要符号、１……軸筒、２……先筒、２Ａ……
前半部、２Ｂ……後半部、２Ｃ……段部、３……
ガイドスロツト、４……チヤツクガイド、４ａ…
…前端部、４ｂ……細径部、４ｃ……ストツパー
突起、４ｄ……係合突起、５……ネジ棒、５ａ…
…突周縁、５ｂ……上底、６ａ……脚部、７……
固形化粧料、７ａ……基底。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 内周に螺旋みぞを有する軸筒と、 該軸筒先端に相対回転可能に嵌め込まれ、前
   半部と、段部を介して後半部とを有し、後半部
   に軸方向のガイドスロツトを有している先筒
   と、 該先筒内に嵌挿され、化粧料の後端を保持す
   る前端部と、前記ガイドスロツトに突出して通
   常の繰出し行程の終りで前記段部に当接するス
   トツパー突起とを有する中空筒状のチヤツクガ
   イドと、 該チヤツクガイド内に挿通され、前端近くに
   上底を有し、後端に前記螺旋みぞと係合する突
   起を有し、通常の繰出し行程ではチヤツクガイ
   ドと一体性で動くネジ棒と、 前記上底上に支持された平板状の部材から成
   る芯チヤツクと、 該芯チヤツク上に直接充填され、前記チヤツ
   クガイドの前端部に後端外周を保持され、前記
   先筒前半部の内壁と摺接する固形化粧料とから
   成り、 前記チヤツクガイド前端部より突出している
   通常長さの化粧料が使い尽くされた時、前記ネ
   ジ棒が前記チヤツクガイドとの一体性を断つて
   前進し、チヤツクガイド前端部内の残りの長さ
   の化粧料を押出し得るようにしたことを特徴と
   する、直接充填式の固形棒状化粧料容器。 ２ 前記芯チヤツクが穿孔を有する平板状部材で
   あつて、前記ネジ棒前端との間に隙間を有し、
   前記直接充填される化粧料は前記穿孔を通つて
   前記隙間に入り込み、芯チヤツクに固着した化
   粧料の基底を形成している実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の固形棒状化粧料容器。