JPH0348115B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエスカレーターや電動道路等の乗客コ
ンベアに係り、特に老朽化した乗客コンベアに対
して安全増し、省エネルギー及びデザインの近代
化など最新の技術を効率よく適用できる乗客コン
ベアに関する。

〔従来の技術〕

一般に、乗客コンベアは、各種商用ビルの付帯
設備として重用されてきたが、最近では事務所ビ
ル、都市交通機関及び歩道橋など実に多様な分野
に普及し始めている。

最近の乗客コンベアの特徴は、利用者層の拡大
に伴う安全施策の充実、製造技術の進歩がもたら
した新材料の適用及び省エネルギー指向などがあ
り、これらの特徴は上記の新分野への進出と時代
のニーズを機会にして達成されている。

これに対して、従来の乗客コンベア（特に普及
初期の形態）は、第１図に示した通り乗客コンベ
ア本来の輸送機能を重点にした構成となつてい
る。

その主なる構成は、第１図に示した通り、乗客
を運ぶためのステツプ１及びハンドレール２が無
端状に配置され、それぞれに駆動車３及び４をも
つて所定の速度で運転されるものである。また、
この上部の機械室５にはモータ６ａと減速機６ｂ
から成る駆動機６が配置され、この駆動機６の歯
車６の回転を伝達するチエン７，８によつてステ
ツプ１及びハンドレール２のような駆動体を駆動
する仕組みになつている。さらに、上記の構成部
品は、丈夫なトラス構造の本体枠９で支持されて
おり、その内外面は欄干１０と外装板１１で被わ
れている。

なお、第１図に示した乗客コンベアは、一般に
不透明形と呼ばれる欄干形態であり、欄干パネル
１２の材質がステレンス鋼、塗装板あるいはアク
リル樹脂で構成されている。この欄干形態は、乗
客コンベアの普及初期にハンドレール２を駆動す
る唯一の方法として駆動車４が用いられたために
欄干パネル１２に透視材を採用し得なかつたこと
から不透明形となつている。しかしながら、最近
では摩擦駆動技術の進歩によつて第１図の構造設
計を脱した透明形の欄干が主流を占めており、建
築ザデインとの調和や欄干デザインの高級化が乗
客コンベア全体の商品価値を決定付けるまでに重
要視されている。このため、欄干デザインは時代
の流行に合せて変貌する一方、その意匠材も従来
のアルミ合金から高級イメージのステンレス鋼へ
進化している。

以上のように欄干デザインの重要性が認識され
始めると必然的に十年から二十年前に設置された
乗客コンベアの古さが目立ち、デザインの刷新と
高級材の適用が要望されている。

一方、新旧の乗客コンベアにおける安全性の面
での特徴的な違いは第２図及び第３図に示したス
テツプ１及び１３にある。従来のステツプ１は、
表面に多数の凹凸を有するアルミ合金製のクリー
ト１ａと薄板を単に太鼓状に曲げたライザー１ｂ
で構成されているが、最近のステツプ１３は、ク
リート１３ａ及びライザー１３ｂ共に凹凸を有
し、ステツプ１３同志あるいは乗降口のコーム
（図示せず）と精緻に噛み合つて人身事故に至る
人体や衣服の引込みを防止する構成となつてい
る。さらに、最近のもので最も安全と評価されて
いるステツプでは、クリート１３ａの周囲に強化
樹脂製の注意帯１３ｃ，１３ｄ，１３ｅ，１３ｆ
を配置し、この注意帯の色調（黄色）がもたらす
注意喚起効果によつて危険な部分への接近を心理
的に阻止する仕組みになつている。また、更に安
全なステツプでは、側方の注意帯１３ｅ及び１３
ｆの上面を一段背高にして側壁への接近を物理的
に阻止する構造や前記のクリート１３ａ及び１３
ｂをステンレス鋼に代えて無折損の丈夫なステツ
プを実現し、耐久性及び安全性の両面で効果を発
揮したものも存在する。

このようにステツプに代表される安全増しの諸
施策は、ここ数年の間に極めて充実しており、図
示は省略するがハンドレール出入口安全装置、ス
テツプ異状走行検出装置及び各種保護装置が装備
されて人身保護に寄与している。

さらに、最近の乗客コンベアは社会的なニーズ
として省電力運転を指向しており、減速機の伝達
効率の向上、摩擦ロスの軽減及び回動体の軽量化
など総合的な経済設計が施されている。この結果
十数年前の乗客コンベアに比較して30〜50％の節
電が可能となつている。

以上説明した通り、最近の乗客コンベアでは欄
干のデザイン、安全性及び経済性の面で質量共に
著しく進歩しているが、ごく最近のニーズとして
設置後十数年を経過し、老朽化した乗客コンベア
に上記の新技術を応用して若返りを図る試みがな
されている。

ところで、従来の乗客コンベアの本体枠９を第
４図にしたがつて説明する。トラス構造の本体枠
９は乗客コンベアの土台となる強度部材であり、
建屋に装架される部材９ａ、駆動車３を取付ける
支持台９ｂ、駆動機６を載せる支持台９ｃ、左右
を結ぶ横桁９ｄ及び９ｅ、欄干支持台９ｆ，９
ｇ，９ｈ、底板９ｉそれに透明形のものではハン
ドレール駆動車９ｊや案内ローラ９ｋなどを支え
る取付台９ｌ及び９ｍ、レール取付台９ｎ、乗降
板取付台９ｐなどそれぞれ左右対称に配置される
のが普通である。なお、これらの雑多な部材は本
来枠９の上弦材９Ａ、下弦材９Ｂ及び縦部材９Ｄ
に対して溶接で一体的に接合されており、概ね欄
干支持台（9gなど）は上弦材９Ａに、また支持
台９ｂ、レール取付台９ｎなどは縦部材９Ｄに取
付けられている。

さらに、従来の乗客コンベアの寸法は、上弦材
９Ａの間隔Ｗ１内にステツプ１及びレール１４な
どを収納する関係上、一般に1500〜1600ミリメー
トル、機械室５の深さＨ１は縦長の駆動機６の高
さに相当する寸法の1000〜1200ミリメートルに設
定されている。上記の各寸法は、機器の頑丈さを
第一義にした従前の設計思想から各部に余裕のあ
る設定となつており、最近の乗客コンベアに比べ
てかなり大形の構造物となつている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来の乗客コンベアを新しい乗客コンベア
に交換する場合、既設の乗客コンベアを建屋から
撤去し、建屋を新しい乗客コンベアに合わせて改
修した後、上記新しい乗客コンベアを設置する
が、上記乗客コンベアは、一般的に店内の中央部
に設置され、入店者の大事なサービス設備として
活躍していることから、この乗客コンベアを若返
りのために長期間停止することは店舗の営業上極
めて困難な実情にある。特に、乗客コンベアの改
修のために店舗を休業することは許されず、この
改修に伴う一般客への迷惑も計り知れない。

このため、欄干デザインの刷新、省エネルギー
化は勿論、最優先に対策されるべき安全増しの改
修も改造期間の問題から不可能な状況にある。

本発明の目的は、建屋の内部に設置されていて
も改修を短期間で実施し得ると共に、改修後にお
いても改修物件であることを意識させることのな
い乗客コンベアを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記目的を達成するために、既設の乗
客コンベアの構成部品が撤去された既設本体枠を
利用し、この既設本体枠に新しい乗客コンベアを
構成する複数の構成部品を支持し、かつ新設乗客
コンベアの構成部品の一部をなし、前記既設本体
枠の外表面を被う大きさに形成された外装部材を
設けたのである。

このように既設の本体枠を利用する構成とする
ことにより、乗客コンベアの若返りに伴う建屋の
大幅な改変をなくすことができ、それにより改修
を短期間で行うことができ、かつ改修後において
も既設本体枠を新しい乗客コンベアの構成部品で
被つているので改修物件であることを意識させる
ことはない。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第５〜８図にもとづ
き説明する。

第５図において、本発明では従来装架されてい
既設乗客コンベアのステツプ１，ハンドレール
２、駆動車３及び４、駆動機６、欄干１０、レー
ル１４（第１〜４図）などの構成部品を撤去した
既設の本体枠９を利用し、この既設の本体枠９の
中に新形の乗客コンベア１５の構成部品を支持さ
せ、かつこの構成部品の一部で前記既設の本体枠
９の外表面を被つたのである。ここで、新形の乗
客コンベア１５の構成部品は、従来と同一の機能
を持つステツプ１３、ハンドレール１６、欄干１
７などで構成され、これらの土台として上枠体１
８ａ、中枠体１８ｂ、下枠体１８ｃから成る新し
い本体枠（以下新設本体枠と云う）１８が新形の
乗客コンベア１５の強度を保持し、さらに全体の
重量は既設の本体枠９が保持する仕組みになつて
いる。

さらに、新形の乗客コンベア１５の構成部品は
第６図及び第７図に示した通り、欄干パネル１
９、内デツキ２０、外デツキ２１、案内ガイド２
２で成る欄干部材や外装板２３等の意匠部分に加
えて駆動車２４、レール２５、乗降板２６とこれ
の取付台２６ａのほか図示せざるも駆動機、各種
伝達チエン、ハンドレール駆動装置及び各種安全
装置など最近の技術で製作されている。

なお、新形の乗客コンベアの内部構造物（表面
から見えない構成部品）の外幅Ｗ２は既設の本体
枠９の内幅Ｗ１より小さく設定され、この既設の
本体枠９に接合されていた部材のうち内側に延出
していた部品、例えば横桁９ｄ及び９ｅ、欄干支
持台９ｆ，９ｇ，９ｈ、取付台９ｌ、レール取付
台９ｎ、乗降板取付台９ｐなどを撤去して設置ス
ペースを確保し、この設置スペースに新設本体枠
１８を収納するようにしたものである。

この新設本体枠１８は収納するに際し、前記既
設の本体枠９に部品取付部材である固定体２７，
２８を介して取付けられる。即ち、既設の本体枠
９の下方に、前記新設本体枠１８の位置を決めて
固定するための固定体２８を取付けておき、この
固体定体２８に新設本体枠１８を支持させて固定
し、両本体枠９，１８の上方を別の固定体２７で
接合して両者の遊びをなくするのである。

このように、あらかじめ取付けられた固定体２
７，２８を用いて新設本体枠１８を取付けること
により、現地での位置決め作業を簡単に行うこと
ができる。

一方、既設の本体枠９に固定された新設本体枠
１８には、欄干支持台２９、駆動車２４の取付台
３０、レール取付台３１及び３２を設けて新形の
乗客コンベア１５の全体強度を保持している。な
お、詳細な図示は省略せるも、前記新設本体枠１
８には駆動機の支持台、制御ユニツトの取付台、
ハンドレール駆動装置の取付台など新形の乗客コ
ンベア１５に必要な全ての部材が装着されている
ことは勿論である。

上記の構造の詳細は第８図に示した通りであ
り、新しい本体枠１８の一方に欄干支持台２９、
駆動圧の取付台３０、レール取付台３１及び３２
などがあらかじめ製造工場において一体的に接合
されており、さらにこの新設本体枠１８は左右の
横変形を防止する手段としてレール１４の取付台
を兼ねた横連結材３３から成る強度部材をもつて
特に左右の剛性を確保している。なお、この横連
結材３３はレール取付台３２に固定されて乗客コ
ンベアの長手方向に沿つて適宜配置されるもので
あるが、第７図に想像線Ｙで示したような変形
（内方へのたわみ）δを防止するために極めて有
効である。

以上説明した一実施例の構成は、改修作業にあ
たつて支持台２９、取付台３０、レール取付台３
１など複雑でその取付けに高精度が要求される多
数の部材を乗客コンベアの据付け現場で既設の本
体枠９に接合することなく、新設本体枠１８が製
作される工事において実施し得る利点が大きい。
当然のことながら工場では能率的な生産設備が利
用でき、かつ高精度に製作されるなどの利点があ
り、同一の作業を現地（建屋内）で行う方法に比
較して日程及び経済性の面で大きな長所がある。

ここで、新形の乗客コンベア１５は前記の通
り、現地において既設の本体枠９から内側へ延出
する部材を除去したのち、細かい構成部品を一体
的にユニツト化した新しい本体枠１８を装着し、
さらに別にユニツト化されたステツプ１３、駆動
車２４及び欄干１７などの次々と組込んで完成す
る。そして、最終的には第７図に示すように、新
しい乗客コンベアの構成部品の一部である外装部
材で既設の本体枠９の外表面を被う。新しい乗客
コンベアの構成部品はすべて既設の本体枠９の内
幅Ｗ１より小さく設定されているので、新しい乗
客コンベアの構成部品をそのまま既設の本体枠９
に取付けたのでは、この新しい乗客コンベアの側
方から既設の本体枠９が露出してしまう。そこ
で、露出した既設の本体枠９を被うために、専用
の外装板を形成する必要があるが、専用の外装板
を形成して取付ける場合、既設の本体枠９の外表
面に沿つて外装板を取付けなければならず、その
ため外装板の部品点数が多くなると共に、取付け
作業が細かい作業となる。しかも改修後の外観は
何かを無理して被い隠していることを意識させる
問題がある。そこで、本実施例では外装部材とし
て、既設の本体枠９の上弦材９Ａの上部を被う大
きさに形成した外デツキ２１と、この外デツキ２
１から下方に延在して既設本体枠９の側部を被う
大きさに形成した外装板２３を用いたのである。
このように、少し大きめの外デツキ２１と外装板
２３となり外装部材で、新しい乗客コンベアの構
成部品と既設本体枠９とを同時に被うことによ
り、意匠を低下させず、改修物件であることを意
識させることない外観的には新しい乗客コンベア
を得ることができる。勿論、外装部材の形状と取
付けは単純となり、取付け作業も簡単となる。

上記実施例によれば、工場でユニツト化された
新設本体枠１８を既設の本体枠９に組込むだけな
ので、乗客コンベアが設置されている建屋が店舗
の場合には営業を行つていても溶接作業などによ
る影響を最少限にすることができ、また建屋の床
などを新しい乗客コンベアを取付けるために改造
する必要まなく、改修作業を短時間に行うことが
できる。

以上は本発明の一実施例であり、本発明は上記
実施例に特定されるものではない。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、老朽化し
た乗客コンベアに対するデザインの刷新、省エネ
ルギー及び安全増しなどのための改修作業が短期
間で経済的に実施できると共に、改修後において
も改修物件であることを意識させることのない乗
客コンベアを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来設置された乗客コンベアの上部付
近の斜視図、第２図及び第３図はステツプの外観
を示した斜視図、第４図は第１図の乗客コンベア
の本体枠を示した斜視図、第５図以下は本発明の
一実施例を示したもので、第５図は新旧の乗客コ
ンベアの組合わせ状態を示した斜視図、第６図は
第５図を組合せて合体した状態を示した要部斜視
図、第７図は第６図の−線に沿う断面図、、
第８図は第６図の内部構造を示した斜視図であ
る。 １，１３……ステツプ、２，１６……ハンドレ
ール、３，２４……駆動車、９……既設の本体
枠、１８……新しい本体枠、１０，１７……欄
干、１５……既設の乗客コンベア、２５……レー
ル、２６……乗降板、２６ａ……取付台、２７，
２８……固定体、３３……横連結材、２９，３
４，３８，３９……欄干支持台、３０，３６……
取付台、３１，３２，３７……レール取付台、４
０……支持体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 建屋に支持され、既設の乗客コンベアの構成
   部品が撤去されている既設の本体枠と、この既設
   の本体枠に支持され、新設の乗客コンベアを構成
   する複数の構成部品と、これら新設乗客コンベア
   の構成部品の一部をなし、前記既設の本体枠の外
   表面を被う大きさに形成された外装部材とを備え
   たことを特徴とする乗客コンベア。 ２ 前記外装部材は、前記既設の本体枠の上部を
   被う大きさに形成された外デツキと、この外デツ
   キから下方に延在し、前記既設の本体枠の側部を
   被う大きさに形成された外装板とを有することを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の乗客コン
   ベア。 ３ 前記新設の乗客コンベアの構成部品は、前記
   既設の本体枠に取付けられた部品取付部材を介し
   て支持されていることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の乗客コンベア。