JP3562400B2 - エスカレーター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下階床から上階床に至る階段に設置されるエスカレーターの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、既設階段上に設置されるエスカレーターは、例えば特開平8−143257 号公報に記載のように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、既設階段の改築工事の範囲及び費用低減と、設置スペースの縮小について言及するのみで、その上枠体と下枠体の支持構成や全体の強度保持については配慮されていなかった。
【0004】
本発明の目的は、既設階段の改築工事を最小限にすることは勿論のこと、上枠体と下枠体を支持するに好適なエスカレーターの構成を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下階床と上階床間に設けられた階段の上側に上枠体を設置し、前記階段の下側に下枠体を設置し、前記階段の始端部及び終端部に夫々表裏を貫通する穴を設け、この穴を通して複数の移動踏段を無端状に連結し、前記移動踏段の往路側が上枠体内を走行し、前記移動踏段の帰路側が下枠体内を走行するエスカレーターにおいて、前記階段の傾斜部に表裏を貫通する穴を設け、この穴を通して前記上枠体と前記下枠体とを支持体により連結し、前記下枠体を前記下階床で支柱により支持することにより達成される。
【0006】
また、上記目的は、前記上枠体に対して前記階段上に支持される支持台を設けて、強度保持する構成とすることにより達成される。
【0007】
上記前段の構成によれば、移動踏段の往路側を階段表の上側を、同帰路側を階段裏の下側を通しているので、ほぼ移動踏段の帰路側の分、階段表の高さ寸法が縮減できて乗客の移動路(頭上)高さに余裕ができ、また、エスカレーター上に屋根がある場合は、それの改造工事が不要となる一方、エスカレーターの主枠である前記上枠体と下枠体とを夫々階段の始端部,終端部及び傾斜部を貫通して連結するとともに、前記下枠体を前記下階床で支持する支柱を設けてあるので、前記上枠体と下枠体同士は勿論、主枠全体の支持構成がより確実となって強度保持に好適なものとなる。
【0008】
また、上記後段の構成によれば、主枠構成品で最も負荷(乗客荷重)がかかる上枠体の要所が支持台を介して階段によって強度保持されるのでより確実な支持構成となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるエスカレーター1の第1の実施例の形態を図1及び図2に基づいて説明する。建屋の上階床1Uと下階床1Dとの間に設置された例えば既設の階段2は、上部が上階床1Uに連結され、下部が下階床1Dに支持された階段枠3と、この階段枠3上の例えばコンクリートなどで成形された段々状の階段部4と踊り場2A(これが存在しない場合もある)で構成されている。
【0010】
このような階段2の始端部4A(下部),終端部4B(上部)及び傾斜部4C(図には踊り場2Aの所を例示す)に夫々表裏を貫通する貫通穴6,7,8を設け、このうちの貫通穴6,7を通して複数の移動踏段9が踏段チェーン9Cを介して無端状に連結されている。これら移動踏段9を連結した踏段チェーン9Cは上部反転部で駆動鎖車10に巻掛けられ、下部反転部で従来鎖車11に巻掛けられている。なお、貫通穴6の所には土木のピット12が設けられている。
【0011】
このように連結された移動踏段9の往路側9Aは、エスカレーター1の主枠5を形成する上枠体13内に布設された案内レール(図示せず)上を走行し、帰路側9Bは、エスカレーター1の主枠5を形成する下枠体16内に布設された案内レール(図示せず)上を反転走行するように構成されている。
【0012】
上記上枠体13は階段2の表の上側に設置され、下枠体16は階段2の裏の下側に設置され、全体として主枠5を形成する各枠体13,16は詳述せざるも前記貫通穴6,7を貫通して連結(図示せず)されている。
【0013】
さらに、上記上枠体13は移動踏段9の往路側9Aの両側に沿って欄干パネル14,外装板14Aを固定しており、この欄干パネル14の周縁に移動踏段9と同期して移動する移動手摺15を案内している。
【0014】
なお、上記上枠体13と下枠体16の階段2の終端部4B付近の連結部は、階段2の表裏に跨る上部機械室17が形成され、上枠体13の階段2の始端部4A付近には下部機械室18が形成されている。そして上部機械室17内の階段裏面側には周知の駆動装置19が設置され、小鎖車19Sに巻掛けた駆動チェーン
21を介して前記駆動鎖車10を回転するように構成されている。さらに階段2の傾斜部4Cにおける上枠体13と下枠体16の連結部は、図2に示す構成となっている。ここで、上枠体13は左右一対の側部材13Aと底部材13Bを主部材として構成され、この中に移動踏段9の往路側9Aを収納し、下枠体16は、左右一対の側部材16Aと連結材16B及び底部材16Cを主部材として構成され、この中に移動踏段9の帰路側9Bを収納している。そして、上枠体13の底部には、スペーサ13C(高さ寸法調整用小片)と支持台13Bを介した状態で支持体13Eを貫通穴8を通して立設している。また、支持体13Eは下枠体
16の連結材16Bに連結されるもので、その両端は締結ボルト13F,13Gで固設されて上枠体13と下枠体16とが強度的に一体化されている。
【0015】
上記に加えて、支持体13Eにより一体化された主枠5は、それを構成する下枠体16の底部材16Cに固設された支持台16Dを介して支柱16Eにより下階床1Dに支持される。
【0016】
上記構成のエスカレーターにおいて、駆動装置19によって駆動鎖車10を回転させて上昇運転させる場合、踏段チェーン9Cに連結した往路側9Aの各移動踏段9は、上端部で駆動鎖車10によって方向変換され、貫通穴7を通して階段2の下側に回転し帰路側9Bに移動する。帰路側に移動した各移動踏段9は、貫通穴6から上枠体13内に案内され、下部機械室18内に向って移動する。各移動踏段9はさらに下部機械室18内の従動鎖車11で再度移動方向を変更され、往路側9Aに戻り、乗客を連続して運搬する。
【0017】
以上の実施例によれば、階段2上に移動踏段9の往路側9Aを案内する上枠体13を設置し、移動踏段9の帰路側9Bを案内する下枠体16を階段2の下側に設置したので、移動踏段9の復路側9Aと帰路側9Bとを階段2の上に設置する従来方法に比べて階段2の上側に位置するエスカレーターの高さ寸法は低くなり、省スペースとなる。さらに、上枠体13と下枠体16の最も長さが長く、その自重と乗客荷重の総和によって大きな撓み(沈下)が生じる傾斜部4Cにおいては、支持体13E、それに支柱16Eによって、下階床1Dで支持される構成であるのでエスカレーター1全体について安定した強度保持を行うことができる。また、上記構成によれば、階段2に夫々貫通穴6,7,8を開けるだけなので、階段2全体を解体するなどの大掛りな改築作業は必要ない。
【0018】
次に、図3に基づいて第2の実施例の形態を説明する。この実施例は、階段2で上記の上枠体13相当品を直接支持して設置する場合である。この基本構成は上記実施例と同じであり、また前記実施例と同一符号は同一物を示す。
【0019】
この実施例のエスカレーター20は、それの主枠21を構成する上枠体22を階段2の上面において、支持台23で直接支持する構成である。この場合、上枠体22の底部に単数の支持台23、あるいは支持台24を追加して複数配設する構成も含んでいる。そして、この支持台23や24によって最も負荷のかかる上枠体22を確実に強度保持する仕組みである。また、下枠体25は、ピット12の内側で支柱26(あるいは支持台)で支持する例を示してある。
【0020】
この実施例の構成においては、上記第1の実施例の貫通穴8が不要となって改築作業が省力化されるほか、主枠21全体の強度保持が確実なものとなる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、既設階段の改築工事を最小限にできると共に、上枠体と下枠体を支持するに好適なエスカレーターの構成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエスカレーターの第1の実施例の形態を概念的に示す概域側面図。
【図2】図1のI−I線に沿う断面図。
【図3】本発明によるエスカレーターの第2の実施例の形態を概念的に示す概略側断面図。
【符号の説明】
1,20…エスカレーター、1U…上階床、1D…下階床、2…階段、4A…始端部、4B…終端部、4C…傾斜部、5,21…主枠、6,7,8…貫通穴、9…移動踏段、9A…往路側、9B…帰路側、13,22…上枠体、13E…支持体、16,25…下枠体、16E,26…支柱(支持台)、23,24…支持台。

Claims (1)

  1. 下階床と上階床間に設けられた階段の上側に上枠体を設置し、前記階段の下側に下枠体を設置し、前記階段の始端部及び終端部に夫々表裏を貫通する穴を設け、この穴を通して複数の移動踏段を無端状に連結し、前記移動踏段の往路側が上枠体内を走行し、前記移動踏段の帰路側が下枠体内を走行するエスカレーターにおいて、前記階段の傾斜部に表裏を貫通する穴を設け、この穴を通して前記上枠体と前記下枠体とを支持体により連結し、前記下枠体を前記下階床で支柱により支持したことを特徴とするエスカレーター。
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