JPH0336965Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、光フアイバ心線の接続部保護装置の
改良に関するものである。

第１図は光フアイバ心線の横断面図を示し、１
は光フアイバ心線で、光フアイバ心線１は、光伝
送用のガラス製光フアイバ素線２の外周に変成シ
リコンの焼付塗装層３が塗装され、焼付塗装層３
の外側にシリコンゴムの緩衝層４が形成され、緩
衝層４の外周にプラスチツク（ナイロン）ジヤケ
ツト５が被覆されている。

第２図は第１図の光フアイバ心線１の接続部正
面図を示し、６は、焼付塗装層３、緩衝層４及び
ジヤケツト５からなる被覆層が剥離された光フア
イバ素線２のアークによる素線溶接部、７は素線
溶接部６及び被覆層剥離部からなる素線溶接部、
８は光フアイバ心線接続で、素線接続部７及びそ
の両側の被覆層被覆部分からなり、この部分が保
護体によつて保護される部分である。

第３図は第２図の光フアイバ心線１の接続部の
従来の保護装置を示し、イは保護体蓋を除去した
状態の平面図、ロはイの保護体蓋を除去しない状
態の側面図、ハは同じく−矢視断面図であ
る。９は保護体本体、１０は保護体蓋でそれぞれ
プラスチツク成形品により形成されている。１１
は光フアイバ素線収納溝、１２は光フアイバ心線
収納溝、１３は接着材でシリコン系、あるいはエ
ポキシ系が用いられている。尚、保護体本体９と
保護体蓋１０とは締付部材の締付バンド（図示せ
ず）により一体に固定されるようになつている。

ところで、光フアイバ心線１の接続部に要求さ
れる基本条件としては、(1)引張り強さが元の強さ
のおよそ数十％以上で、(2)約−30℃〜＋70℃の温
度で光伝送特性、機械的特性が劣化しないこと、
(3)接続作業が短時間で行えること、(4)使用環境に
おいて長時間十分な安定性を保つことなどが望ま
れている。

しかし、第３図の接続部保護装置においては、
引張り強さが元の強さの数分の一以下となつて上
記条件を満足せず、そして、温度特性は保護体や
接着材の温度伸縮が原因となつて素線接続部７に
有害な張力や曲げ応力を生じるので実用に適しな
い。また、現場での接続作業では、光フアイバ素
線収納溝１１が極細のため、素線接続部７を光フ
アイバ素線収納溝１１内に確実に収納して保持す
ることが予想以上に困難であり、接着材１３を塗
布し保護体蓋１０を閉じたとき光フアイバ素線２
が素線収納溝１１から浮き上がり、溝のない部分
に移動し、保護体本体９と保護体蓋１０とにより
直接挟まれた状態で接着材１３が硬化するケース
が生じる。これは有害な光損失の増加や著しいと
きは光フアイバ素線２の破断を引き起こす。この
ような作業の不安定さは素線径が125μmと極細
で、軽量、かつ透明のため識別しにくいことによ
り生じるものである。また、接着材の硬化に時間
がかかるため、作業の良否がその場で直ちに判定
できにくいことも欠点とされている。一方、長期
安定性については、上記基本条件(1)，(2)，(3)を十
分に満足するものが実現した上で、即ち、信頼性
設計が一応確認された時点で考慮すればよいこと
である。尚、引張り強度の劣化は、被覆層の除去
時に印加される素線表面の微細傷、アーク溶接熱
によるガラスの材質劣化が主であるので、接続部
の構成から抜本的に考えてみる必要がある。

本考案は上記の状況に鑑みなされたものであ
り、光フアイバ素線、心線に有害な応力を加える
ことなく温度特性を向上し作業性を改善できる光
フアイバ心線の接続部保護装置を提供することを
目的としたものである。

本発明の光フアイバ心線の接続部保護装置は、
本体用基礎部材表面にゴムの本体用弾性層を固定
した保護体本体と蓋用基礎部材表面にゴムの蓋用
弾性層を固定した保護体蓋とからなり、前記本体
用弾性層の中央部に形成された平坦な凹部と前記
蓋用弾性層の中央部に形成された凸部とにより光
フアイバ素線接続部を挟持するようにし、前記本
体用弾性体の凹部両側にこの凹部よりも突出して
設けられた凸部の光フアイバ心線外径より幅が狭
く形成された心線収納溝内に光フアイバ心線を圧
着固定するようにしたことを要旨としている。

以下本考案の光フアイバ心線の接続部保護装置
の一実施例を従来と同部品は同符号で示し同部分
の構造の説明は省略し第４図により説明する。第
４図は接続部保護装置の斜視図を示し、１４は弾
性層被覆溝付きの保護体本体、１５は弾性層被覆
付の保護体蓋、１６は締付部材の締付バンドであ
る。保護体本体１４は斜視図で示した第５図イに
示すように、セラミツク材料からなる基礎部材１
４ａ表面に接着材１４ｂを介しゴム材料からなる
弾性層１４ｃが固定して形成されている。弾性層
１４ｃは、光フアイバ心線接続部８の素線接続部
７を支持するアーク１４ｇを有する凹部１４ｅ
と、凹部１４ｅの両側位置でそれぞれ光フアイバ
心線１の被覆層を密嵌する心線収納溝１４ｆを有
し凹部１４ｅの平面より上方へ突出された凸部１
４ｄとを備えている。心線収納溝１４ｆは光フア
イバ心線１の被覆層を密嵌するので、心線収納溝
１４ｆの幅は光フアイバ心線１の被覆層の外径よ
り小さく形成され、穴１４ｈに工具（図示せず）
を挿入し溝幅を押し拡げ光フアイバ心線１を収納
して工具を外したとき、ゴムの弾性層１４ｃによ
り第６図ロの如く保持されるよう形成されてい
る。保護体蓋１５は第５図ロのように接着材１５
ｂを介在し弾性層１５ｃが固着されている。弾性
層１５ｃは保護体本体１４の凹部１４ｅに嵌入さ
れる凸部１５ｅと、保護体本体１４の凸部１４ｄ
を嵌入する凹部１５ｄを有し、凹部１４ｅと凸部
１５ｅとの組合せ高さは、凸部１４ｄと凹部１５
ｄとの組合せ高さは等しく形成されている。

この接続部保護体を取り付けるには、接続すべ
き光フアイバ心線１の変成シリコンの焼付塗装層
３、緩衝層４及びジヤケツト５の被覆層を除去
し、光フアイバ素線２を必要長さの点で切断しそ
の両端面を素線接続部６にアーク溶接して第２図
の光フアイバ心線接続部８を形成する。次に、こ
の光フアイバ心線接続部８を保護体本体１４上
に、心線収納溝１４ｆを穴１４ｈに工具を挿入し
て押し開き被覆層を、また、素線接続部７を凹部
１４ｅのアーク１４ｇに沿わせて横たえる。この
場合、光フアイバ素線２に引張りや曲げ応力が印
加されないように注意して作業する。次に、拡大
用の工具を取り外し、保護体蓋１５を凹部１４ｅ
に凸部１５ｅを、凸部１４ｄに凹部１５ｄがそれ
ぞれ接するように嵌合し取り付ける。そして、挟
圧工具を用いて保護体本体１４と保護体蓋１５と
を圧接するように一体に締め付け、予め挿入して
ある締付バンド１６をずらせて保護体本体１４、
保護体蓋１５を締め付けた後、挟圧工具を外し保
護装置取付作業を完了する。

このように本実施例の光フアイバ心線の接続部
保護装置は、従来のものに比べて、光フアイバの
心線、素線の把持固定にゴムの柔軟な弾力性を用
いているので、光フアイバに有害な応力を加える
おそれがほとんどなく、そして、光フアイバ素線
の両側の心線をゴムの収縮力による十分な把持力
で保持する構造であるため安定な保護機能を発揮
できる。また、光フアイバ素線接続部は光フアイ
バ素線接続部を保持する溝がないので、作業は容
易にでき、ゴムの弾性層は保護体基礎部材に接着
されているので、その温度による伸縮は基礎部材
によつて支配され、従つて、基礎部材に例えばセ
ラミツク・ゴムにシリコンゴムを用いると、広い
温度範囲にわたつて良好な特性を有する心線接続
部の保護装置が得られる。

上記実施例においては基礎部材としてセラミツ
クを用いた場合について述べたが、設計要求条件
が緩和された場合には、ガラス、金属、強化プラ
スチツク等で代用できる。また、弾性層のゴム材
料については、温度範囲が、−30℃〜＋70℃と広
いときはシリコンゴムが適するが、条件が狭い場
合にはニトリルゴム、ブチルゴム等で代用でき
る。そして、保護体本体の基礎部材に固着した弾
性層に、心線収納溝だけを設けた場合について述
べたが、この弾性層のアーク部分に素線接続部収
納用に十分に遊びのある溝を設けて素線接続部を
収納しても同様の作用効果を有する。尚、素線接
続部収納用に十分に遊びのある溝でなくぴつたり
した溝を設けてもよいが、これは要求温度条件が
非常に狭い場合に用いられ、この場合折損しない
ように注意深く作業する必要がある。

以上記述した如く本考案の光フアイバ心線の接
続部保護装置は、光フアイバ素線、心線に有害な
応力を加えることなく温度特性を向上し作業性を
改善することができる効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は光フアイバ心線の横断面図、第２図は
第１図の光フアイバ心線の接続部正面図、第３図
は第２図の光フアイバ心線接続部の従来の保護装
置を示し、イは保護体蓋を除去した状態の平面
図、ロ，ハはそれぞれイの保護体蓋を取り付けた
状態の側面図及び−矢視断面図、第４図は本
考案の光フアイバ心線の接続部保護装置の実施例
の斜視図、第５図イ，ロはそれぞれ第４図の装置
の保護体本体及び保護体蓋の斜視図、第６図イ，
ロはそれぞれ第４図のＡ−Ａ，Ｂ−Ｂ矢視断面図
である。 １……光フアイバ心線、２……光フアイバ素
線、３……焼付塗装層、４……緩衝層、５……ジ
ヤケツト、６……素線溶接部、７……素線接続
部、８……光フアイバ心線接続部、１４……保護
体本体、１５……保護体蓋、１４ａ，１５ａ……
基礎部材、１４ｂ，１５ｂ……接着材、１４ｃ，
１５ｃ……弾性層、１４ｄ，１５ｅ……凸部、１
４ｅ，１５ｄ……凹部、１４ｆ……心線収納溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 被覆層を剥離され端部がアーク溶接された素
   線接続部を有する光フアイバ心線接続部を、相
   対向する保護体本体及び保護体蓋により挟持固
   定するものにおいて、前記保護体本体が本体用
   基礎部材表面に接着材を介しゴムの本体用弾性
   層を固定して形成されており、該本体用弾性層
   が前記光フアイバ素線接続部を前記保護体蓋と
   により挟持する平坦な凹部と該凹部両側に該凹
   部より突出して設けられ前記光フアイバ心線外
   径より幅が狭く形成されて前記光フアイバ心線
   を圧着固定可能な心線収納溝を有する凸部とか
   らなり、前記保護体蓋が蓋用基礎部材表面に接
   着材を介しゴムの蓋用弾性層を固定して形成さ
   れており、該蓋用弾性層が前記保護体本体の前
   記凹部及び２つの凸部にそれぞれ対応するよう
   形成された凸部及び２つの凹部からなることを
   特徴とする光フアイバ心線の接続部保護装置。 (2) 上記基礎部材が、セラミツク材から形成され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の光フアイバ心線の接続部保護装
   置。