JPH0529449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は光フアイバ複数本を並設してなるフラ
ツト型の多心光フアイバ心線の接続のためのコネ
クタに関する。

〔従来技術〕

一般にフラツト型の多心光フアイバ心線用コネ
クタにおいては多心光フアイバ心線をコネクタ本
体に抜け止め固定する手段として接着剤等による
固定手段が採用されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、このような従来の構成では接着剤の
硬化までの待ち時間が長く、組立の作業性が悪い
という問題があり、また接着剤に二液配合型のも
のを用いる場合には、配合ミスにより接着力にバ
ラツキが生じ、その結果コネクタの信頼性が低下
するということも起こり得る。

本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであ
り、多心光フアイバ心線をコネクタ内に確実に固
定し、組立作業も迅速に行い得る多心光フアイバ
心線用コネクタの提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る多心光フアイバ心線用コネクタ
は、光フアイバ複数本を並設してなる多心光フア
イバ心線を接続する多心光フアイバ心線用コネク
タにおいて、適長露出した各光フアイバの先端部
を並列状態に載置させる複数の溝を備えてなる整
列部材と、該整列部材の前記光フアイバ上に載置
される鉛、アモルフアス又は軟銅製の緩衝材と、
前記整列部材と対向配置され、前記光フアイバを
整列部材と前記緩衝材との間に挟持する押え部材
と、前記両部材をその先端部に配し、前記多心光
フアイバ心線部分をその後端部に固定するフエル
ールとを具備し、前記緩衝材は前記押え部材の光
フアイバ対向側の面に形成された凹所内に嵌入さ
れており、かつ、前記緩衝材及び前記押え部材は
前記フエルール先端部において、前記フエルール
の外周面に設けられ、前記各光フアイバに対して
直交する連通孔に圧入されていることを特徴とす
る。

〔作用〕

フエルールの先端部には整列部材及び押え部材
が配されており、適長露出された各光フアイバの
先端部は、整列部材の複数の溝上に並列状態に載
置され、この上に緩衝材が載置されて押え部材に
よつて整列部材と緩衝材との間に挟持される。ま
た多心光フアイバ心線部分は、前記フエルールの
後端部に固定される。押え部材及び緩衝材は連通
孔に圧入されているのでフエルール先端部で光フ
アイバを確実に固定する。また緩衝材は光フアイ
バの過度の押圧を防止する。

〔実施例〕

以下、本考案をその実施例を示す図面に基づき
具体的に説明する。第１図は本考案に係る多心光
フアイバ心線用コネクタ（以下、本案コネクタと
いう）の縦断面図、第２図はその拡大正面図であ
る。フエルール１は円筒状をなし、これの軸心線
に沿つて多心光フアイバ心線２を通す偏平孔１３
ｂをフエルール１の先端寄りに備え、該偏平孔１
３ｂは、フエルール１の先端部に開孔された拡大
凹孔１３ａ及びフエルール１の後端部に開孔され
た拡大孔１３ｃと夫々連通されている。

多心光フアイバ心線２は、例えば５本の光フア
イバ２１の各別に１次被覆及び緩衝層が施された
ものが一層に並列されて一括して２次被覆が施さ
れた偏平なリボン状をなしており、前記偏平孔１
３ｂの途中から１次被覆、緩衝層及び２次被覆を
剥離し、露出させた各光フアイバ２１を前記拡大
凹孔１３ａ内の上部に嵌入してある。各光フアイ
バ２１は、拡大凹孔１３ａ内に嵌合された矩形板
状の整列部材３の上面にフエルール１の軸長方向
と平行に並列させて形成された複数本、この場合
５本のＶ型の溝３１内に載置されており、各溝３
１は多心光フアイバ心線２内における各光フアイ
バ２１の相互の間隔と略等しい間隔で形成されて
いる。

整列部材３における各溝３１の両側には、溝３
１よりも大型の同じくＶ型の溝３２，３２が同様
に溝３１と平行に形成してあり、各溝３２は、拡
大凹孔１３ａ内の上面に各溝３２と夫々対向する
位置に形成された凹溝１３ｄとによりガイドピン
６，６の挿脱可能なガイドピン挿入孔を形成す
る。

フエルール１の先端部の外周面には拡大凹孔１
３ａ内の前記整列部材３の各溝３１内に載置され
た各光フアイバ２１に対して直交する連通孔１２
が設けてあり、該連通孔１２の孔径は溝３２間の
幅より少し狭く設定してあり、連通孔１２内には
これの孔径と略等しい直径を有する円柱状、又は
角柱状の前記押え部材たる押子５が嵌入されてい
る。押子５の下面には両側の溝３１間の幅より少
し広い幅を有する方形の凹所が形成してあり、該
凹所内には鉛、アモルフアス、又は軟銅等の緩衝
材４が嵌入されている。つまり押子５が連通孔１
２内に圧入されることにより緩衝材４が各光フア
イバ２１を押圧して整列部材３の溝３１との間に
挟持し固定するのである。ここで前記緩衝材４
は、押子５が完全に連通孔１２内に圧入された状
態において押子５の凹所内に満たされて各光フア
イバ１２を押圧するように予めその大きさ及び厚
さ等を設定するのが望ましい。

１１はフエルール１の先端部の外周面に軸長方
向に形成された略位置決め用のガイド突条であ
る。

フエルール１の後端部の外周面には一段縮径さ
れた小径部１４が形成してあり、該小径部１４の
外径と略等しい外径を有する大径部材と、前記拡
大孔１３ｃの内径と略等しい外径を有する小径部
材とを備える筒状の保持部材８がこれの小径部材
を拡大孔１３ｃ内に挿入し、大径部材の前端部分
を小径部１４の端部に当接させている。保持部材
８は、ポリアセタール等の弾性材によつて構成さ
れ、前記小径部材の先端部及び前記大径部材の後
端部には、軸長方向に平行な内周面を有する小径
孔部８１及び円孔部８３を軸長方向に適当長、各
端部より形成させてあり、この小径孔部８１及び
円孔部８３との間に小径部材と大径部材とに跨り
先端部側に向かつて縮径される円錐孔部８２を形
成させている。

保持部材８内には、同じくポリアセタール等に
よつて構成されため部材７が後端側より挿入さ
せてあり、該め部材７は円錐台状をなし、第３
図の縦断面図に示すように保持部材８の円錐孔部
８２ときつく嵌合される円錐部７１を先端部に備
え、この円錐部７１の大径側に連設される円筒部
７２と、この円筒部７２に連設されるフランジ部
７３とを有する二段に拡径された構成となつてお
り、フランジ部７３の外径は保持部材８の大径部
材の外径と、円筒部７２の外径は前記円孔部８３
の孔径と夫々等しい外径を有している。そしてフ
ランジ部７３及び円筒部７２の内部には多心光フ
アイバ心線２の幅より広い孔径を有する孔７５が
軸心位置に形成してあり、該孔７５は、め部材
７の先端部から軸心を含んで円筒部７２の途中ま
で切り込まれたスリツト７４と連通されている。

さて、多心光フアイバ心線２は、上述の如く構
成されため部材７の軸心位置に貫挿されてお
り、め部材７が保持部材８内へ挿入されること
により円錐部７１及び円錐孔部８２がきつく嵌合
されてスリツト７４の幅が狭められ、多心光フア
イバ心線２を均等に圧縮して挟持、即ちめてい
る。め部材７の保持部材８内への挿入は、め
部材７の前記フランジ部７３の前端部７６が保持
部材８の円孔部８３の後端部８４な当接して止ま
ることにより、多心光フアイバ心線２のめ過ぎ
による不具合を防止し、かつめ量を一定として
いる。そしてめ部材７と保持部材８との接合部
分は円錐部７１と円錐孔部８２とによる嵌合だけ
ではなく、め部材７の円筒部７２の外周面及び
保持部材８の円孔部８３もきつく嵌合されること
により保持部材８からのめ部材７の抜けが防止
されている。

め部材７の後端から延設されている多心光フ
アイバ心線２には、これを保護するカバー筒１０
が設けてあり、該カバー筒１０は、カツプ状の外
筒９の底部に嵌入され、該外筒９の開口端部をフ
エルール１の前記小径部１４に外嵌させることに
よりめ部材７の後端部に密着されている。外筒
９は、め部材７及び保持部材８がフエルール１
から抜けるのも防止しており、小径部１４との嵌
合部分に凹凸部を設ける等して自身もフエルール
１と確実に嵌合させてある。

さて、以上の如く構成された本案コネクタにお
いては、まず多心光フアイバ心線２をめ部材７
及び保持部材８によつてめ固定し、これらをフ
エルール１の後端部に連結させた後、フエルール
１の先端部において予め多心光フアイバ心線２か
ら露出させておいた各光フアイバ２１を整列部材
３、押子５及び緩衝材４によつて整列させて挟持
し固定する。そしてフエルール１の先端面から突
出する光フアイバ２１を切断、又は研磨等により
フエルール１の先端面と面一に仕上げるのであ
る。

第４図及び第５図は、フエルール１の先端部近
傍の他の実施例を示す縦断面図及び正面図であ
る。整列部材３が嵌合されている拡大凹孔１３ａ
の上面の中央部は、溝３２間の幅より少し狭く、
両側の溝３１間の幅より少し広い幅が光フアイバ
２１の長さ方向に亘つて整列部材３の上面と直交
する方向にフエルール１の外周面まで連通させて
あり、この部分にフエルール１の外周面の周面形
状と一致する上面を備える角柱状の押え部材５ａ
を嵌合させてある。該押え部材５ａの整列部材３
と対向する下面には前記押子６と類似形状の凹所
が形成してあり、該凹所内に緩衝材４を嵌入させ
てある。押え部材５ａを含むフエルール１の先端
部の外周面にはリング２０を外嵌させてあり、こ
れにより押え部材５ａは常時、整列部材３側へ押
圧されており、各光フアイバ２１は緩衝材４と整
列部材３との間に挟持されている。

次に温度試験前後における本案コネクタの試験
結果を記す。温度サイクルは１サイクル８時間で
−30℃から＋60℃まで変化させ、緩衝材として鉛
板を用いた。まず NFP （Near Field
Pattern）については温度試験前後共良好であり、
フアイバ内電力分布は異常を来たさないことが確
認された。そして温度試験後における多心光フア
イバ心線のコネクタからの保持強度は、緩衝材の
光フアイバに対する押圧力を３〜４Kgとした場
合、670〜940gfを有し、これは通常500gf以上で
あれば良好とされているので優れた結果といえ
る。

なお、本実施例においては、整列部材はフエル
ールと別体として構成してあるが、これをフエル
ールと一体構造としても良い。

（効果） 以上の如く構成された本考案に係る多心光フア
イバ心線用コネクタにおいては、多心光フアイバ
心線の先端部に適長露出された各光フアイバはフ
エルールの先端部に整列部材と緩衝材との間に整
列されて挟持されるので光フアイバに歪が生じる
ことがなく、伝送特性に影響を及ぼすことがな
い。また、緩衝材が光フアイバ周囲に密着して各
光フアイバを均等に保持するため、保持強度が強
くなる。この緩衝材及び押え部材（押子５）はフ
エルールに形成した連通孔に圧入されているの
で、上述の働きは確実に行われる。そしてフエル
ールの後端部においては多心光フアイバ心線が
め部材等による適宜の固定手段にて固定されるの
で光フアイバは、二箇所で確実に固定されてお
り、使用中に光フアイバが軸長方向にずれること
がなく、結合性は安定し、良好に保たれる。

そして従来のように接着剤を用いないので硬化
待ちによつて作業性が悪化することがなく、また
信頼性も低下しない等、本考案は優れた効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は本考案に係る多心光フアイバ心線用コネク
タの縦断面図、第２図は同じく拡大正面図、第３
図はその一部断面図、第４図は他の実施例を示す
要部縦断面図、第５図はその正面図である。 １……フエルール、２……多心光フアイバ心
線、３……整列部材、４……緩衝材、５……押
子、６……ガイドピン、７……め部材、２１…
…光フアイバ、３１，３２……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 光フアイバ複数本を並設してなる多心光フアイ
   バ心線を接続する多心光フアイバ心線用コネクタ
   において、 適長露出した各光フアイバの先端部を並列状態
   に載置させる複数の溝を備えてなる整列部材と、 該整列部材の前記光フアイバ上に載置される
   鉛、アモルフアス又は軟銅製の緩衝材と、 前記整列部材と対向配置され、前記光フアイバ
   を整列部材と前記緩衝材との間に挟持する押え部
   材と、 前記両部材をその先端部に配し、前記多心光フ
   アイバ心線部分をその後端部に固定するフエルー
   ルと を具備し、 前記緩衝材は前記押え部材の光フアイバ対向側
   の面に形成された凹所内に嵌入されており、か
   つ、前記緩衝材及び前記押え部材は前記フエルー
   ル先端部において、前記フエルールの外周面に設
   けられ、前記各光フアイバに対して直交する連通
   孔に圧入されていることを特徴とする多心光フア
   イバ心線用コネクタ。