JPH0323139Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、化粧料、パフ等を上下に収納するよ
うにした二段式コンパクト容器に関するものであ
る。

「従来の技術」 コンパクト容器は、主として携帯用であるか
ら、コンパクト容器自体の小形化について配慮す
べきことは勿論、使い易さの点に対しても十分な
配慮が必要である。

従来、このような点を考慮して、蓋体の開口操
作のワンタツチ化が図られているが、ワンタツチ
化に伴つて機構が複雑になり易く、また部品点数
も多くなつてコスト高になり易いという問題があ
つた。

ところで、容器本体と蓋体との間に中容器を縦
回動自在に取り付けた二段式コンパクト容器にあ
つては、蓋体と中容器とをあけるためのワンタツ
チ化が図られており、例えば実願昭57−147672号
（実開昭59−51509号公報）などによつて、押ボタ
ンの押圧操作により蓋体および中容器を開ける構
造のものが提案されている。これは中容器の前壁
部に押ボタンを縦回動自在に装着し、該押ボタン
に容器本体および蓋体の前端部へ挿入圧接させる
カム部（突出部）を設けたもので、押ボタンの押
圧操作によつて、これを回動させ、カム部により
蓋体を上方に押し上げるとともに押しボタンの下
端により容器本体を押し下げ、蓋体および中容器
を同時に開口する基本構成となつている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、このものでは、押ボタンの押圧操作
によつて蓋体および容器本体をそれぞれ上下に同
時に回動させる構造であるため、他の中容器をも
たない一般のコンパクト容器にくらべて二重にフ
ツクを外さなければならず、押ボタンを押す際の
力が大きくなつて、開けずらくなるなどの問題が
生じる。

また、化粧時に鏡だけを使いたい場合には、押
ボタンの押圧操作によつて、同時に蓋体と中容器
とが開口するので、使い勝手が悪いといつた問題
もある。

本考案は、このような問題点を有効に解決する
とともに、押ボタンの操作性並びに容器の使い勝
手を良好にした二段式コンパクト容器を提供する
ことを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、容器本体から蓋体および中容器を開
けるための押ボタンを中容器の前壁部に縦回動自
在に装着した二段式コンパクト容器において、前
記押ボタンを、外部から押圧操作される押圧板
と、蓋体の自由端下面から突出し中容器の上側フ
ツクに係合するフツクをもつ起立片の下面に当接
する押上げ部とから構成し、さらに前記押圧板
を、容器本体のフツクを有する係止片の傾斜した
外面に臨ませ、この押圧板の内面と係止片の外面
とに間隙を形成した。

「作用」 押しボタンを押すと、最初に押上げ部が蓋体の
起立片を押し上げて、フツクの係合を外し、蓋体
が開けられる。この蓋体の開口操作中、押圧板は
容器本体の係止片に向け回動するが、間隙がある
ので容器本体を中容器から押し下げてることがな
く、中容器と容器本体とは仮止めされた状態に保
持されている。

蓋体の開口後、押ボタンをさらに押すと、押圧
板が係止片の傾斜した外面を揺動しながら容器本
体を下方へ押し、中容器と容器本体とを仮止めし
ているフツクの係合が外れて、容器本体から中容
器を開けることができるものである。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第４図
を参照して説明すると、このコンパクト容器は、
矩形受け皿状の容器本体１の後壁部２ａに、中容
器３と蓋体４とがヒンジピン５を介して縦回動自
在にヒンジ結合されるとともに、中容器３に対し
て容器本体１と蓋体４とがそれぞれ仮止めされる
構成となつている。

前記容器本体１は、角形周壁に囲まれた内部に
パフｐ等を収納するための収納部６を有し、前壁
部２ｂには内面にフツク７をもつ係止片８が設け
られている。この係止片８は、図示例では容器本
体１の前壁部２ｂの一部を構成しており、その外
面８ａは前面に向かつて下り匂配に傾斜してい
る。

一方、前記中容器３は、容器本体１の外形に対
応してこれとほぼ同じ大きさの矩形受け皿状に形
成され、容器本体１の収納部６を開閉するととも
に、その内部に化粧料などの収納室９が形成され
る。また、この中容器３の前壁部３ａには、中容
器３の前面、および表裏面の３面に開口する如く
コ字状に切り欠いてなる凹部１０が形成され、該
凹部１０の奥面１０ａにはその上下に位置して、
蓋体４の後述するフツク１１に係合するフツク１
２および容器本体１のフツク７に係合するフツク
１３がそれぞれ突設されている。さらに、前記凹
部１０の両側面１０ｂには、この側面１０ｂに対
して直交する方向に取付け孔１４がそれぞれ形成
され、該取付け孔１４の位置は前壁部３ａの上部
となるように配慮されている。

前記蓋体４について説明を補足しておくと、そ
の内面には鏡１５が貼付されるとともに、自由端
の下面からは内面に蓋体４を仮止めするフツク１
１をもつた起立片１６が突設されている。

ところで、前記中容器３の凹部１０の両側面１
０ｂ，１０ｂには、該凹部１０内に収まる大きさ
の押ボタン１７が、その両側面にある突起軸１８
を取付け孔１４に嵌め入れて縦回動（コンパクト
容器の表面方向および裏面方向に対しての回動）
自在に取り付けられている。この押ボタン１７
は、前記突起軸１８に支持され外部から指先など
で押圧操作される押圧板１９と、この押圧板１９
の内面から突出して蓋体４の起立片１６の下面に
当接する押上げ部２０とから構成されている。ま
た、前記押圧板１９は、容器本体１の係止片８の
外面８ａに臨む位置まで延出しており、かつその
上下方向の長さが中容器３の厚さよりも若干長く
設定されている。そして、押圧板１９の内面と係
止片８の外面８ａとの間隙ｄは、第１図に示すよ
うに、押ボタン１７の回動時に蓋体４の起立片１
６を押し上げて両フツク１１，１２の係合を外し
た位置において、押圧板１９の内面が係止片８の
外面に触れる程度の大きさに設定されている。

なお、前記押ボタン１７の押上げ部２０の上面
は、第２図などに示すように、押ボタン１７の回
動中心よりも、すなわち、突起軸１８よりも下方
に位置するように設定されている。また押上げ部
２０と突起軸１８とを直線で結んだ長さ寸法を押
圧板１９の下端部と突起軸１８とを直線で結んだ
長さ寸法より短くする方がてこの原理により有利
である。

以下、このように構成されたコンパクト容器の
作用について説明する。

第２図に示すように、蓋体４が中容器３を、中
容器３が容器本体１を密閉しているときは、図示
例では押ボタン１７の上端部が蓋体４の自由端下
側に接し、かつ、押上げ部２０の上面が起立片１
６の下面に接して一定の位置に固定された状態に
なつている。

次いで、第２図から蓋体４を開く場合について
説明すると、押ボタン１７の押圧板１９をヒンジ
ピン５の方向に指先で押して押上げ部２０を突起
軸１８を中心として上方（反時計方向）に回動さ
せることにより、蓋体４を中容器３から離す方向
に回動させる。この際に、フツク１１，１２の係
合作用に抗して強い力で押ボタン１７の押圧板１
９を押してやれば、両フツク１１，１２の係合が
外れて、第３図に示すように蓋体４を開けること
ができる。

また、このような蓋体４の開口時における押圧
操作の際に、押圧板１９は突起軸１８を中心に容
器本体１の係止片８に向け回動するが、係止片８
との間には間隙ｄが設定されており、容器本体１
の係止片８を押し下げることがないため、容器本
体１が蓋体４と同時に開くことがない。

また、第４図に示すように、容器本体１を開け
る場合（すなわち、容器本体１と中容器３との仮
止めを解く場合）には、蓋体４を開けた状態から
さらに押ボタン１７の押圧板１９を、中容器３の
フツク１３と容器本体１のフツク７との係合力に
抗して押せば良い。この操作により、押圧板１９
の下端が容器本体１の係止片８の外面８ａ上を摺
動し、これを下方に向けて押すので、両フツク
７，１３の係合が外れて蓋体４を開けることがで
きるのである。

一方、蓋体４、中容器３を閉じる場合は、蓋体
４および中容器３を反時計方向に回動させて、蓋
体４のフツク１１を中容器３の上側フツク１２
に、また容器本体１のフツク７を中容器３の下側
フツク１３にそれぞれ接触させて押し込み、これ
らを係合させる。この際に、押ボタン１７は第２
図に示す初期の位置に戻り、再びこれら蓋体４お
よび中容器３を開放する状態に待機する。

なお、容器本体１の前壁部１ｂにある係止片８
の部分は、その前側が空所となつて押圧板１９が
位置する構成となつているので、押圧板１９の押
圧操作がし易いという利点もある。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、次のよう
な優れた効果を奏する。

押釦を（その押圧板下部を）押圧操作するこ
とにより、押釦の押上げ部で蓋体の起立片を押
し上げ、まず蓋体のみを開放することができ、
次いでそのまま押釦をさらに奥方に押圧するこ
とにより、押釦の押圧板で容器本体の係止片を
押し下げ、容器本体を開放させることができ
る。このようにいちいち押釦の指の位置を変え
ることなく連続した押圧操作により、蓋体、容
器本体の順で開放操作を行うことができ、開放
操作性に非常に優れている。

蓋体のみの開放は、押釦の押圧操作時におい
て両フツクの係合が外れる感触が指に伝わるこ
とから容易に判断でき、さらに容器本体をも開
放する場合には、押釦をそのまま奥へ押圧すれ
ばよいから、連続した押圧操作の途中でいずれ
かの選択が容易である。これにより、例えば蓋
体のみを開けてその内面の鏡を使用する場合な
ど、その使用勝手にも優れている。

その他にも、蓋体及よび容器本体をそれぞれ
別々に開けることができるので、フツクの係合
を解く際の押圧力が少なくてすみ、操作性の向
上に寄与するといつた長所もある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は、本考案の一実施例を示
すもので、第１図は斜視図、第２図ないし第４図
は作用を説明するために示したもので、それぞれ
中央縦断面図である。 １……容器本体、２ａ……後壁部、３……中容
器、４……蓋体、６……収納部、７……フツク、
８……係止片、８ａ……外面、９……収納室、１
０……凹部、１０ａ……奥面、１０ｂ……両側
面、１１，１２，１３……フツク、１６……起立
片、１７……押ボタン、１８……突起軸、１９…
…押圧板、２０……押上げ部、ｄ……間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体１の後壁部２ａに、この容器本体１の
   収納部６を覆う中容器３と、該中容器３の収納室
   ９を覆う蓋体４とが縦回動自在にヒンジ結合され
   た二段式コンパクト容器において、前記中容器３
   の前壁部３ａにはこの中容器３の前面及び上下面
   に開口するコ字状の凹部１０が形成され、該凹部
   １０の奥面１０ａにはその上下に位置して一対の
   フツク１２，１３が突設され、前記容器本体１の
   前壁部２ｂには中容器３の下側フツク１３に係合
   して中容器３を仮止めするフツク７を有する係止
   片８が立設され、かつ該係止片８の外面８ａには
   容器本体１の前面に向けて下り匂配の傾斜面が形
   成される一方、前記蓋体４の自由端には前記中容
   器３の上側フツク１２に係合するフツク１１を有
   する起立片１６が垂設され、さらに、前記中容器
   ３の凹部１０には該凹部１０の両側面１０ｂに上
   端が軸支された押釦１７が縦回動自在に収納さ
   れ、かつ該押釦１７は外から押圧操作される押圧
   板１９と、該押圧板１９の内面から突出して蓋体
   ４の起立片１６下面に当接する押上げ部２０とか
   ら構成され、該押上げ部２０の当接面は押釦１７
   の回動中心よりも下方に位置するとともに、前記
   押圧板１９は容器本体１の係止片８外面に臨む位
   置まで延出しており、さらに、押圧板１９内面と
   係止片８外面との間隙ｄは、押釦１７の回動時に
   蓋体４の起立片１６を押し上げて両フツク１１，
   １２し係合を外した位置において、押圧板１９が
   係止片８外面に触れる程度の大きさに設定され、
   その位置からさらに押釦１７を回動させると、押
   圧板１９が容器本体１の係止片８外面を押し下げ
   て両フツク７，１３の係合が外れることを特徴と
   する二段式コンパクト容器。