JPH029993B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、エンジンの前下方で排気系を覆うカ
バーを有する自動二輪車に関するものである。

（発明の背景） ステアリング・ヘツドパイプの後方斜め下方に
エンジンを備えた自動二輪車で、排気系エンジン
を前方からエンジン下方を通つて後方へ延びるよ
うに配置したものが公知である。

このような車両では前輪が跳上げる小石や泥水
がこの排気系に当たり易く、排気系を傷めやす
い。そこで前輪の後方であつてエンジンの前下方
付近の排気系をカバーで覆うことが考えられる。
しかし排気系が高温であるために、このカバーも
高温になり、カバーが高温になるとその強度が低
下する。たとえば合成樹脂製やアルミ製のカバー
が高温になるとその強度が低下し、これに小石や
泥水が当たると、機械的な衝撃や熱的な衝撃によ
り大きな損傷を受け易くなる。

またこのカバーを設けたことにより排気系の冷
却性が悪くなると、エンジンの性能が低下するば
かりでなくこのカバーの温度も上がることになり
好ましくない。

（発明の目的） 本発明はこのような事情に鑑みなされたもので
あり、前輪が跳上げる小石や泥水から排気系を良
好に保護し、しかもこの排気系を保護する為に設
けたカバーも過熱による強度低下から損傷を受け
易くなるのを同時に防止することができ、さらに
カバーを設けることにより排気系やカバーの温度
が上昇することも防ぐことができる自動二輪車を
提供することを目的とする。

（発明の構成） 本発明によればこの目的は、ステアリング・ヘ
ツドパイプの後方斜め下方に位置するエンジン
と、このエンジンの前方からエンジン下方を通り
後方へ延びる排気系とを備える自動二輪車におい
て、前記エンジンの前下方で前記排気系の少なく
とも下方および側方を覆うカバーを備え、前記カ
バーを、前後が開いた外カバーと、排気系と前記
外カバーとの間に空気層を介して位置し前後が開
いた内カバーとで形成し、前記内カバーの前開口
部を前記外カバーの前開口部に臨ませたことを特
徴とする自動二輪車、により達成される。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例を示す側面図、第２
図はその吸（給）・排気系の平面図、第３図はカ
バーの分解斜視図である。

第１図において符号１０はメインフレームであ
り、ステアリング・ヘツドパイプ１２と、このヘ
ツドパイプ１２から後方へ延びるメインパイプ１
４と、このメインパイプ１４に溶着されたシート
パイプ１６と、バツクステー１８とを備える。シ
ートパイプ１６とバツクステー１８との下端に
は、ブラケツト２０が溶着されている。このブラ
ケツト２０には、後輪２２を上下動可能に保持す
るリヤアーム２４の前端が、ピボツト軸２６によ
り取付けられている。２８は後輪２２を支持する
クツシヨンニツト、３０はヘツドパイプ１２の後
方に位置するようにメインパイプ１４に取付けら
れた燃料タンク、３２はシートである。また３４
は前輪、３６はフロントフオークであり、このフ
ロントフオーク３６は前記ヘツドパイプ１２に左
右へ回動可能に取付けられている。

４０は並列２気筒エンジンであり、このエンジ
ン４０のクランクケース４２内には変速機が一体
に組込まれている。エンジン４０は燃料タンク３
０の下方、すなわちヘツドパイプ１２の後方斜め
下方に位置するように、メインフレーム１０に取
付けられている。４４はクランクケース４２の下
面から下方へ突出するように形成されたオイルパ
ンであり、この内部には潤滑油が溜められてい
る。４６はシリンダ、４８はシリンダヘツド、５
０はシリンダヘツドカバーであり、シリンダ４６
はクランクケース４２から上方へ起立するように
取付けられている。。

５２，５２ａ，５２ｂはシリンダヘツド４８の
後面に各気筒毎に接続された気化器、５４はその
後方に位置する給気箱、５６はさらにその後方に
位置する空気清浄器である。

５８は排気マニホールドである。このマニホー
ルド５８はその上流側が二又状に分枝し、これら
各分枝管部はエンジン４０の各気筒の排気口に接
続されている。マニホールド５８の集合部は車輌
進行方向に向つて左側に偏位している。

６０はターボ過給機である。この過給機６０は
エンジン４０の前方に横向きに配置される。過給
機６０はタービン６２とコンプレツサ６４とを備
え、タービン６２の上向きに開口する排気流入口
６６（第２図）が前記排気マニホールド５８の集
合端に接続されている。なおタービン６２は第
２，３図に示すように左側にまたコンプレツサ６
４は右側に位置するよう、過給機６０はマニホー
ルド５８に接続される。この過給機６０は車輌幅
方向の中央付近に位置させることができ、左右の
重量バランスの向上が図られている。

６８は排気管であつて、エンジン４０の左側の
下方すなわち前記オイルパン４４の左側でかつク
ランクケース４２の下方を前後方向に通るように
配設されている。この排気管６８の前端はエンジ
ン４０の前方へ折曲されて前記過給機６０のター
ビン６２側端面の排気流出口に接続されている。
排気管６８の後端は後輪２２の左側に位置する排
気消音器７０に接続されている。７２は後輪２２
の右側に位置する排気消音器であり（第２図）、
この排気消音器７２と排気管６８とは連通管７４
により接続されている。

前記排気マニホールド５８と、ターボ過給機６
０と排気管６８とで、エンジン前方からエンジン
の下方を通つて後方へ延びる排気系が形成され
る。

７６は吸気管であつて、前記エンジン４０の右
側の下方を通るように前記排気管６８と略対称と
なるように配管されている。この吸気管７６の前
端はエンジン４０の前方へ折曲され、前記過給機
６０のコンプレツサ６４側端面に開口する吸気流
入口へ接続されている。吸気管７６の後端は、前
記ピボツト軸２６の後方を通る連通管７８によつ
て前記空気清浄器５６へ接続されている。

８０は給気管であり、この給気管８０はエンジ
ン４０の下方、すなわち第３図から明らかなよう
に吸気管７６をオイルパン４４とで挾まれる空間
を前後方向へ通るように配管されている。この給
気管８０の前端はコンプレツサ６４の給気吐出口
に接続され、その後端はピボツト軸２６の後方か
ら上方へ折曲されて前記給気箱５４に接続されて
いる。

８２はターボ過給機６０のカバーである。この
カバー８２は第１，３図に示すように外カバー８
４と内カバー８６とを備える。外カバー８４は正
面から見て逆三角形となるように略箱状に形成さ
れ、その後方は大きく開口している。この外カバ
ー８４の前面には逆三角形の前開口部８８が前方
を指向して開くように形成され、ここに水平な多
数のルーバ９０が設けられている。このルーバ９
０はその前縁が上方斜め前方を指向するように傾
斜している。また前開口部８８には、ルーパ９０
の後方に位置するよう網９２が取付けられてい
る。なお外カバー８４の前面の左右両端には前方
へ突出する壁９４，９４ａ，９４ｂが一体に形成
されている。

内カバー８６は正面から見て略逆三角形の筒状
に形成され、この三角形を形成する上板には前記
排気マニホールド５８を通す切欠部９６が、また
左板には前記排気管６８を通すために切欠部９８
が、さらに右板には吸気管７６を通すための切欠
部１００がそれぞれ形成されている。第３図にお
いて１０１は適宜位置に明けられた通気孔であ
る。

なお前記前開口部８８の下縁は、外カバー８４
の前面下縁よりも上方に位置し、この結果外カバ
ー８４の前面下部１０２は第３図に明らかなよう
に板状になつている。

また内カバー８６の前開口部は、外カバー８４
の前開口部８８にほぼ一致するようにほぼ同一形
状に形成され、この前開口部８８の後方に臨んで
いる。

カバー８２は、その外カバー８４を過給機６０
の前方からかぶせる一方、内カバー８６を後方か
ら過給機を挾むようにして外カバー８４内面に固
定することにより組立てられる。この組立体はさ
らに外カバー８４の縁側に突設した取付足１０
４，１０６を介してエンジン４０に固定される。

次にこの実施例の動作、作用を説明する。エン
ジン４０の運転中にはその排気が排気マニホール
ド５８からタービン６２へ導かれ、タービン６２
を駆動しつつ膨張して排気管６８へ流れ、さらに
左右の排気消音器７０，７２を通つて排出され
る。タービン６２によりコンプレツサ６４が駆動
される。このため空気清浄器５６、連通管７８、
吸気管７６を介して空気（吸気）がコンプレツサ
６４へ吸入され、この空気はコンプレツサ６４で
圧縮された後給気管８０に導かれて給気箱５４へ
流入する。給気箱５４内の加圧された空気（給
気）は気化器５２を通り、ここで適量の燃料が混
入されて混合気となつてエンジン４０に吸入され
る。

走行中には走行風がカバー８２の前開口部８８
からルーバ９０、網９２を通つて内カバー８６内
に流入し、高温のターボ過給機６０を冷却する。
この走行風はさらに内カバー８６を通つてエンジ
ン４０を冷却する。外カバー８４前面には壁９４
が前方へ突設されているので、走行風は効率よく
開口部８８内へ流入する一方、前開口部８８から
カバー８２内に入つた走行風は内カバー８６によ
り広がりが規制されているので、勢い良く過給機
６０に当り、冷却性能が一層良好になる。

走行中に前輪３４が小石や泥水を跳ね上げる
と、この小石や泥水の多くは外カバー８４の下面
或いは前面下部１０２に当り、路面へ落下する。
また小石や泥水が開口部８８に当つてもルーバ９
０、棒９２により排除されるから、これらは過給
機６０に当ることはない。特にルーバ９０はその
前縁が斜め上方を指向するように傾斜しているの
で、小石や泥水を確実に排除する一方、走行風を
有効にカバー８２内へ流入させることができる。

カバー８２は外カバー８４と、その内側にあつ
て外カバーと排気系との間に介在する内カバー８
４とで構成されているから、排気系の熱は直接外
カバー８４に伝わらず、外カバー８４の過熱を防
止することができる。このため外カバー８４が過
熱することによりその強度が低下しここに前輪が
跳上げる小石や泥水が当たつて外カバーを傷める
という不都合が生じない。

（発明の効果） 本発明は以上のように、エンジンの前下方で排
気系を覆うカバーを設ける場合に、このカバーを
外カバーと、その内側の内カバーとで構成したか
ら、排気系の熱が直接外カバーを過熱することが
なくなる。このため外カバーの強度が過熱により
低下することがなく、これに小石や泥水が当たる
ことにより損傷を受けることがない。また外カバ
ーの前開口部の後方にこれとほぼ同一形状の内カ
バーの前開口部が臨むようにしたから、走行風は
これらの前開口部からカバー内に入り、排気系と
カバーとを良好に冷却できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が一実施例を一部断面した側面
図、第２図はその吸・排気系を示す平面図、第３
図はカバーの分解斜視図である。 １２……ステアリング・ヘツドパイプ、４０…
…エンジン、６０……ターボ過給機、８２……カ
バー、８８……開口部、

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ステアリング・ヘツドパイプの後方斜め下方
   に位置するエンジンと、このエンジンの前方から
   エンジン下方を通り後方へ延びる排気系とを備え
   る自動二輪車において、 前記エンジンの前下方で前記排気系の少なくと
   も下方および側方を覆うカバーを備え、前記カバ
   ーを、前後が開いた外カバーと、排気系と前記外
   カバーとの間に空気層を介して位置し前後が開い
   た内カバーとで形成し、前記内カバーの前開口部
   を前記外カバーの前開口部に臨ませたことを特徴
   とする自動二輪車。