JPH0256169B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、被成形部材である鋼板等を絞り加工
するプレス絞り型における予備曲げ加工装置に関
するものである。

（従来の技術） 鋼板を絞り加工する際、該鋼板は自重及び剛性
により縁部が凸形では垂れ下がり、又、凹形では
跳ね上がるため、鋼板押圧開始時に、第５図に示
すように鋼板１の縁部１ａが下型２の上部面２ａ
（鋼板１の縁部１ａが位置する部分）に略直角状
に当接するため、該縁部１ａから内方のＣ部が袋
状に変形して銜え皺が発生する。３は上型であ
る。

この問題を解決するため従来では、鋼板１を出
来上り製品よりも面積の大きなものにして第５図
に示すように余肉部分Ｂを設け、該余肉部分Ｂに
銜え皺を発生させ、成形後、該余肉部分Ｂを切断
する方法や、あるいは、第６図に示すように絞り
加工する前に予じめ鋼板１の縁部１ａを予備曲げ
加工する方法が取られていた。

（本発明が解決しようとする問題点） しかしながら、前記従来の方法では、前者にお
いては製品を形成する被成形部材である鋼板に余
肉部分だけ大きな物を使用しなければならないた
め被成形部材の歩留りが悪く、その分材料費が嵩
むことになるのみならず、型も前記余肉部分を形
成する分だけ大きくしなければならないという問
題がある。又、後者においては絞り加工の前工程
として予備曲げ加工工程を増やさなければならな
いため、作業性が悪くなり、さらには該予備曲げ
加工のための型を増設しなければならないため、
コスト高にもなる等の問題を有している。

（本発明の目的） そこで本発明では前記従来の問題点に鑑みてな
されたものであつて、製品を形成する被成形部材
である鋼板の絞り加工時において、縁部の内方部
に銜え皺が発生することのない予備曲げ加工機能
を備えたプレス絞り型を提供し、鋼板に余肉部分
を設けたり、あるいは前工程としての予備曲げ加
工工程を増やしたりすることをなくすようにする
ことにある。

（目的を達成するための手段） そのために本発明では該プレス絞り型を、下型
もしくは上型の周縁部に予備曲げブロツクと弾装
機構が設けられ、該予備曲げブロツクは上型の上
昇位置において下型の上部面もしくは上型の下部
面と略同じ高さに位置され、かつ、上型の下降時
に該予備曲げブロツクと上型もしくは下型の周縁
部の間で前記被成形部材の端部を挟持可能に形成
されていると共に、上型の下降時に前記弾装機構
のばね力に抗して上型の周縁部の下降位置まで押
圧可能に弾装され、上型もしくは下型の周縁部に
は、上型の下降位置において前記予備曲げブロツ
クと弾装機構を収容可能な凹部が形成され、さら
に、前記予備曲げブロツクには、上型の上昇位置
において被成形部材の端部に当接し、該被成形部
材の位置決めをする位置決め機構が形成されてい
る予備曲げ加工装置を備えた構造としたものであ
る。

（作用） 前記構成により成形加工前において上型が上方
にあるときは、第２図イに示すように予備曲げブ
ロツクは弾装機構であるスプリングによつて下型
の上部面もしくは上型の下部面と略同じ高さに支
承されている。この状態で製品を形成する被成形
部材である鋼板を下型の上部面に載置し、前記予
備曲げブロツクに形成された位置決め機構である
位置決め用突起に鋼板の縁部を当接させて該鋼板
を所定位置に載置する。尚、鋼板が上型に取付け
られた場合は、該上型の下降時に位置決め機構に
より所定の位置に規制される。

然る後、プレス絞り型を作動させて上型を下降
させると、予備曲げブロツクに形成された挾持片
に鋼板の端部が支持され、該挾持片と下型の周縁
部近くの上方に位置する凸部の間、すなわち、鋼
板の縁部から内方部が上型に押圧され、第２図ロ
に示すように該挾持片と上型の周縁部の下部面の
間に挾持されて予備曲げ加工が行われる。

前記鋼板の縁部が挾持されると同時にプツシユ
ブロツクの先端が予備曲げブロツクの上面に当接
する。したがつて、この状態で上型が下降し続け
るに伴なつて予備曲げブロツクもプツシユブロツ
クに押圧されてスプリングの反力に抗して同等の
速度で押し下げられる。

そして、上型が下降しきると第２図ハに示すよ
うに前記挾持片は下型の周縁部の上部面に形成さ
れた凹部内に入り込み該凹部側縁の下型の周縁部
の上部面と同一平面となると共に鋼板の縁部は前
記挾持片から外れる。したがつて、鋼板は下型と
上型の周縁部により鋼板が押圧挾持され、上型と
下型とで協同し押圧成形されて絞り加工が完成さ
れる。

絞り加工後は上型を上昇させることによつて予
備曲げブロツクがスプリングの反力によつて元の
位置に復帰し、次の成形加工態勢が整えられる。

（実施例） 以下、本発明を図示せる実施例に随つて説明す
る。

Ａは製品を形成する被成形部材である鋼板１１
を絞り加工するプレス絞り型であつて、下型４０
と上型３０から構成されている。

下型４０の上面１２の周縁部２６の前記鋼板１
１の縁部１１ａが位置する部位には凹部１３が形
成され、該凹部１３の略中央には後述する予備曲
げブロツク１６を上下方向にガイドするガイドバ
ー１４が支持台１５を介して立設されている。

前記ガイドバー１４には鋼板１１の縁部１１ａ
の内方のＤ部を予備成形するための予備曲げブロ
ツク１６が上下方向に摺動自在に嵌合されてい
る。該予備曲げブロツク１６の上面１６ａの一側
には前記鋼板１１の位置決めをする位置決め機構
である位置決め用突起１７が形成されている。
又、該予備曲げブロツク１６の一側面の下縁に
は、挾持部である挾持片１８が下型４０方向に略
水平に延設されて形成され、鋼板１１の成形途中
において、前記上型３０の周縁部の下部面１９と
で該鋼板１１を挾持し、該鋼板１１の縁部１１ａ
の内方のＤ部を予備成形（予備曲げ加工）するよ
うになされている。

尚、位置決め機構及び挾持部共に前記実施例の
ものに限るものではなく、それぞれの役目を果す
ことができるものであれば、その形状等は自由に
選定することができる。

前記凹部１３内に設けられた支持台１５と予備
曲げブロツク１６の下面の間には弾装機構である
スプリング２０が介装されている。該スプリング
２０の反力は、上型３０の上昇時には予備曲げブ
ロツク１６を持ち上げて下型４０の上部面１２ａ
と略同じ高さに位置するように支承し、成形時に
は上型３０の下降による押圧力に屈して圧縮され
る強さに設定されている。

尚、弾装機構は前記実施例のものに限るもので
はなく、前記条件を満足するものであれば、スプ
リング２０に代えてゴムやウレタン等の弾性を有
する樹脂材でもよく、又、第３図に示すように軸
２１にコイルバネ（図示せず）等を介装したリン
ク２２式としてもよく、又、第４図に示すように
油圧、もしくはエアーシリンダ２３式としてもよ
い。

前記上型３０の周縁部の下部面１９の予備曲げ
ブロツク１６に対応する部位には、前記予備曲げ
ブロツク１６の一部を収納するに足りる広さと、
前記ガイドバー１４を収納するに足りる深さを有
する凹部２４が形成されている。該凹部２４の天
井面中央には、筒状に形成されたプツシユブロツ
ク２５の基端が固定されている。該プツシユブロ
ツク２５は前記ガイドバー１４に嵌合され、成形
時において、その成形途中から該プツシユブロツ
ク２５の先端２５ａが予備曲げブロツク１６の上
面１６ａに当接し、該予備曲げブロツク１６をス
プリング２０の反力に抗して押下げるようになさ
れている。

尚、前記実施例では予備曲げブロツク及び弾装
機構等を下型に設けた例で説明したが、これに限
るものではなく、これらを上型に設けてもよい。
この場合には上型の周縁部の上部面と上型に設け
られた予備曲げブロツクの挾持片とで鋼板の縁部
を支持するように形成する。

（本発明による効果） 以上述べたように本発明によれば、プレス絞り
型内に予備曲げブロツク、弾装機構及びプツシユ
ブロツク等からなる予備曲げ加工装置を設け、製
品を形成する被成形部材である鋼板の絞り加工時
において、その成形加工途中で該鋼板の縁部に予
備曲げ加工を施すようになしたので、銜え皺が発
生することなくプレス絞り加工ができるようにな
つた。したがつて従来のように鋼板に余肉形状を
取るための予分な部分を確保する必要がないので
材料費の歩留がよくなつた。又、予備曲げ加工工
程も別途に設ける必要がないので作業能率も向上
し、さらに予備曲げ工程のために型を増やす必要
がなくなり、コストの低減を図ることもできた。

又、実施例で示したように、上型が下降し上型
と下型とで鋼板を押圧挾持する時には予備曲げブ
ロツクの挾持片から鋼材の縁部が外れ、上型と下
型の周縁部で挾持され押圧成形されるので従来と
同様に絞り加工が何等支障なくできる。予備曲げ
ブロツクに、上型の上昇位置において被成形部材
の端部に当接し、該被成形部材の位置決めをする
位置決め機構を形成したので、被成形部材の位置
決めが確実に行え、かつ、被成形部材の側縁を確
実に挾持できる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による予備曲げ加工装置を示す
側面図、第２図イ，ロ，ハは予備曲げ加工装置を
備えたプレス絞り型による鋼板の絞り加工状態を
示す要部の側面図、第３図、第４図は弾装機構の
他の実施例を示す部分側面図、第５図は従来のプ
レス絞り型を示す部分側面図、第６図は従来の予
備曲げ加工工程を示す概略図である。 Ａはプレス絞り型、４０は下型、３０は上型、
１１は鋼板、１２は下型４０の上面、１２ａは下
型４０の上部面、１３は凹部、１４はガイドバ
ー、１６は予備曲げブロツク、１７は位置決め用
突起、１８は挾持片、１９は上型３０の周縁部の
下部面、２０はスプリング、２２はリンク、２３
はシリンダ、２４は凹部、２５はプツシユブロツ
ク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上型と下型とで協同し、被成形部材を押圧成
   形可能に形成されたプレス絞り型において、下型
   もしくは上型の周縁部に予備曲げブロツクと弾装
   機構が設けられ、該予備曲げブロツクは上型の上
   昇位置において下型の上部面もしくは上型の下部
   面と略同じ高さに位置され、かつ、上型の下降時
   に該予備曲げブロツクと上型もしくは下型の周縁
   部の間で前記被成形部材の端部を挟持可能に形成
   されていると共に、上型の下降時に前記弾装機構
   のばね力に抗して上型の周縁部の下降位置まで押
   圧可能に弾装され、上型もしくは下型の周縁部に
   は、上型の下降位置において前記予備曲げブロツ
   クと弾装機構を収容可能な凹部が形成され、さら
   に、前記予備曲げブロツクには、上型の上昇位置
   において被成形部材の端部に当接し、該被成形部
   材の位置決めをする位置決め機構が形成されてい
   ることを特徴とするブロツク絞り型における予備
   曲げ下降装置。