JPS6327861Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は寄せ曲げ加工に於いて製品のスプリン
グバツクおよび素材の設置ズレが生じていても製
品を正規位置に保証して下型内に固定するプレス
用金型に関するものである。

従来、寄せ曲げ加工において、片側はダブルカ
ムを使用して曲げ加工する場合、下型で製品素材
の全面を受けることができない。従つて、製品素
材の初期設置状態は常に不安定な状態になるた
め、ダブルカム側で製品素材のフランジ端を支持
する受けバーを設け、製品素材の平衡を保つよう
にしているが、製品のスプリングバツク量が加工
材料のバラツキで異なりまた加工スピードによつ
ても初期設置状態の変化が出る。たとえば、製品
素材は下型の受け面で常にダブルカム側に垂れ下
がり、反対側では跳ね上がつた状態になつている
時、上型が下降することにより、逆にシーソーの
ようにダブルカム側の製品素材が下型より外れ下
型の上に乗り上げる。その状態で上型が下降し製
品素材を上型と下型との間で押し潰し変形させる
ことがしばしば発生し、不良品を多く出してい
る。

本考案はプレス用金型に関する上記欠点を改善
するためのもので、あらかじめ製品素材を上型に
設けられた自重式先行押えにより下型の製品支持
部へ押し付けることによりプレス前の製品素材の
おどりを防止するプレス用金型を提供することを
目的とし、特に、上型に自在継手を介して製品の
傾きに合わせて当接する自重式先行押えを設け、
下型に自重式先行押えの当接部に対応しかつ製品
形状に合わせた面を持つ製品支持部を設け、しか
も下型側面に中央部より外方に向かつて移動し製
品の位置決めをするダブルカムを備えたことを特
徴とするものである。

以下、本考案の一実施例につき図により説明す
る。

図のように上型１には平面部１ａを貫通する自
重式先行押え２を設け、その先端部に自在継手３
を介して当接部４を取付ける。これにより当接部
４は製品形状に合わせて傾斜でき押えを確実なも
のにする。自重式先行押え２は上型１に対して先
行して下降できるように上部に錘（図示せず）を
取付け、その重量により常に下側へ力を加える。
自重式先行押え２は軸部５が垂直に上下するよう
に垂直に立てた筒状ガイド６により支持する。

下型７には縁部折り曲げ加工用ダイ８を設け、
下型７の側面に設けられたダブルカム９側端面に
自重式先行押え２の当接部４に対する製品支持部
１０を設ける。この製品支持部１０は製品１１の
形状に合わせて上面を成形しておき、製品１１を
下型７に設置した時に、製品１１が安定した状態
に支持され、自重式先行押え２が下降した場合
に、製品１１を自重式先行押え２との間に挾持
し、製品１１を動かないように固定する。ダブル
カム９にはダイ８と反対側の向きの縁部折り曲げ
用ダイ１２を設ける。ダブルカム９は、下型ベー
ス２１に摺動自在に載置されており、常時はばね
２２によつて下型７側へ寄せられている。しかし
てダブルカム９の案内溝９ａを挾む後端部にはプ
レス上ラム（図示略）から延びる固定カム２３の
一側面に係合可能な傾斜面９ｂが形成されてお
り、該固定カム２３の下降に追従してダブルカム
９は反下型７側へつまり型外方へ寄せられるよう
になる。またダブルカム９の前記案内溝９ａ内に
は受動カム１６が摺動自在に載置されている。こ
の受動カム１６は、その一端に前記ダイ１２に対
する曲げ刃１４を取付けており、常時はばね２４
により反ダイ１２側へ寄せられている。受動カム
１６の後端には前記固定カム２３の他側面に係合
可能な傾斜面２３ａが形成されており、該固定カ
ム２３の下降に追従して受動カム１６はダイ１２
側へ寄せられるようになる。一方下型７上には、
前記ダイ８に対する曲げ刃１３を取付けた受動カ
ム１５が摺動自在に載置されている。この受動カ
ム１５は常時はばね２５により反ダイ８側へ寄せ
られている。受動カム１５の後端には同じくプレ
ス上ラムから延びる固定カム２６に係合可能な傾
斜面１５ａが形成されており、該固定カム２６の
下降に追従して受動カム１５はダイ８側へ寄せら
れるようになる。

上記のように構成した金型を使用して以下のよ
うに加工する。

縁部を加工していない半完成状態の製品１１を
下型７に乗せる。上型１（プレス上ラム）の下降
により先ずダイ１２を取付けたダブルカム９が製
品１１の右縁部に接触するように外方（図中の右
側）へ移動し、製品１１のダイ８側縁部をダイ８
に当接するまで引張る。これにより製品１１を下
型７の正規位置へ配置する。その後、さらに上型
１が下降すると、上型１に設けられた自重式先行
押え２が先に当接し、自重式先行押え２の自重分
の荷重を加えて製品１１を固定する。この時、下
型７、製品支持部１０は製品形状に合わされてい
るためガタ付きなく固定される。製品１１を固定
した後、上型１が製品１１に当接し、さらに下型
７、ダイ８，１２へ製品１１を押し付ける。その
後、曲げ刃１３，１４をそれぞれ取付けた受動カ
ム１５，１６が、ダイ８，１２側へ移動し、曲げ
刃１３，１４をそれぞれダイ８，１２へ押し付
け、製品１１の縁部の曲げ加工を行なう。縁部の
加工が完了した後、受動カム１５，１６がダイ
８，１２より離れ、上型１が上昇して行くととも
に一定の時間遅れの後に自重式先行押え２も上昇
し、さらにダブルカム９が中央側（図中左側）へ
移動する。製品１１の拘束物がすべて除かれた
後、製品１１は自動取出しされ、次の加工が繰り
返される。

以上のように、本考案のプレス用金型では製品
投入後に自重式先行押えにより製品を押えるた
め、上型下降時における製品の浮き上がりを防止
し、自重式先行押えの下部に製品形状に合わせた
製品支持部を設けたことにより製品の保持を確実
にして、変形押しが解消出来、不良品をなくした
ことによる経費と時間の節約ができた。従来の不
良品の検査は内側面であつたため変形の確認がし
にくく検査に時間が掛つたばかりでなく、後工程
へ流れるものもあつたが、これらの不具合発生要
因をなくすことができ、検査工程の削減と品質の
安定に寄与した。

【図面の簡単な説明】

図は本考案のプレス用金型の縦断面図である。 １……上型、１ａ……上型の平面部、２……自
重式先行押え、３……自在継手、４……当接部、
５……軸部、６……筒状ガイド、７……下型、
８，１２……ダイ、９……ダブルカム、１０……
製品支持部、１１……製品、１３，１４……曲げ
刃、１５，１６……受動カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型に自在継手を介して製品の傾きに合わせて
   当接する自重式先行押えを設け、下型に該自重式
   先行押えの当接部に対応し、かつ製品形状に合わ
   せた面を持つ製品支持部を設け、しかも下型側面
   に中央部より外方に向かつて移動し製品の位置決
   めをするダブルカムを備えたことを特徴とするプ
   レス用金型。