JPH0248643B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0248643B2
JPH0248643B2 JP59244588A JP24458884A JPH0248643B2 JP H0248643 B2 JPH0248643 B2 JP H0248643B2 JP 59244588 A JP59244588 A JP 59244588A JP 24458884 A JP24458884 A JP 24458884A JP H0248643 B2 JPH0248643 B2 JP H0248643B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge hole
cross
discharge
multifilament
hollow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59244588A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS61124618A (ja
Inventor
Masato Yoshimoto
Shinji Oowaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP24458884A priority Critical patent/JPS61124618A/ja
Publication of JPS61124618A publication Critical patent/JPS61124618A/ja
Publication of JPH0248643B2 publication Critical patent/JPH0248643B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は潜在嵩高性マルチフイラメントの製造
法に関し、更に詳しくは断面方向及び長手方向に
収縮差を有するフイラメントから成る潜在嵩高性
マルチフイラメントの製造法に関する。 (従来技術) 熱処理を施すことによつて嵩高性を呈し得る潜
在嵩高性マルチフイラメントは、収縮差を有する
フイラメント同志を混繊することによつて得るこ
とができる(例えば、米国特許第3200576号明細
書参照)。 かかるマルチフイラメントは、熱処理時に高収
縮フイラメントが収縮し、これにより低収縮フイ
ラメントが張り出すことによつて嵩高性を付与す
るものである。 そして、この際に高収縮フイラメントを太デニ
ールとし、低収縮フイラメントを細デニールとす
ると、熱処理後の嵩高マルチフイラメントの風合
は腰があると共に、柔かなタツチを呈するものと
なる。 ところで、かかる収縮差を有するフイラメント
から成るマルチフイラメントを得るには、予め収
縮差を付与された複数の糸条を混繊する方法が多
く採用されており、例えば特開昭54−82423号公
報(米国特許第4153660号明細書)には次の様な
方法が提案されている。 即ち、この方法は、同一紡糸口金から吐出され
た重合体流を急冷して得られる紡出糸条を2つの
糸束に分割して、その1つの糸束には水が主体で
ある紡糸仕上剤を付与し、他の1つの糸束には水
よりも高温の沸点を有する剤を付与してから、両
糸束を別々に同一条件下で熱処理しつつ延伸を施
してから混繊するものである。 かかる方法は紡糸仕上剤の沸点差を利用して糸
束間に収縮差を付与するものであるが、この様に
2種類の紡糸仕上剤を付与する等の極めて繁雑な
操作を施す必要がある。 また、この様な同一紡糸口金から吐出される紡
出糸条において糸条を構成するフイラメント間に
デニール差を付与せんとすると、糸揺れによるフ
イラメントの密着、或いは断糸等のトラブルが発
生し易く、ドラフト率、冷却風量等の紡糸条件を
厳密に管理することが必要である。 これに対して、かかる繁雑な操作を施すことな
く潜在嵩高性マルチフイラメントを製造する方法
が特開昭54−42415号公報及び特開昭55−51809号
公報(米国特許第4332757号及び米国特許第
4349604号)にて提案されている。 この方法は単一の紡糸口金に配置されている或
る角度で対向し、且つ吐出断面積が異る1対の吐
出孔を通して2つの流通性を有するポリエステル
の流れを吐出し、口金面直下で、前記1対の吐出
孔の吐出断面積が大なる吐出孔から吐出した低速
重合体流に、吐出断面積が小なる吐出孔から吐出
した高速重合体流を衝突・振動させつつ接合せし
めてから、これを急冷して巻き取るものであつ
て、得られるマルチフイラメント(以下、バルシ
ングヤーンと称することがある)は断面方向及び
長手方向に収縮差を有しているフイラメントから
成る。 しかしながら、この様な潜在嵩高性マルチフイ
ラメントは織編物と成してから熱処理を施される
ことが一般的であるが、前記パルシングヤーンは
織編物、特に織物での嵩高性が不足すると言う欠
点を有している。 即ち、織物の織組織による拘束力が強く、しか
もパルシングヤーンの有する収縮力が低いため、
パルシングヤーンの収縮が制限されて嵩高性が不
足することに因る。 また、かかるパルシングヤーンは紡糸してから
更に延伸を施すと、前記収縮差が消失する欠点を
有しているので、極めて大きな収縮率のものでも
延伸を施すことなく使用せざるを得ない。このた
め、パルシングヤーンを用いた織編物ではシボ状
の収縮斑や染色斑が発生することがあり、染色条
件及び仕上条件が大巾に制約を受けるため実用に
供し得なかつた。 そこで、本発明者等は、延伸を施しても収縮差
が消失することのない極めて大きな収縮力を有す
る潜在嵩高性マルチフイラメントについて種々検
討し、特願昭59−5699号及び特願昭59−36097号
明細書にて提案した。 かかる潜在嵩高性マルチフイラメントは、長手
方向に太さ斑を有する扁心中空フイラメントで構
成されており、且つ構成フイラメントの中空部分
の配向度がこれに隣接する中実部分の配向度より
も極めて大きいものであるため、フイラメント間
及びフイラメント内の収縮差を大きくすることが
でき、この様なフイラメントで構成されているマ
ルチフイラメントでは充分な収縮力を呈し得るこ
とができるのである。 そして、前記潜在嵩高性マルチフイラメントは
延伸を施してもフイラメント間及びフイラメント
内の収縮差が消失することがないため、延伸を施
してから使用することができる。このため、かか
る潜在嵩高性マルチフイラメントを用いた織編物
はパルシングヤーンを用いたものよりもはるかに
シボ状の収縮斑や染色斑を減少することができる
が、実用に供するには未だ不充分でより一層の改
善が望まれている。 また、前記収縮斑や染色斑は高速紡糸して延伸
熱セツトを施すことなく得られる潜在嵩高性マル
チフイラメントのものよりも、延伸熱セツトを施
して得られる潜在嵩高性マルチフイラメントのも
のに多く発生する傾向があつた。 (発明の目的) 本発明の第1の目的は、織編物、特に織物にお
いてより一層改良された外観とスパンライクな風
合とを併せ呈し得る潜在嵩高性マルチフイラメン
トの製造法を提供することにある。 本発明の第2の目的は延伸熱セツトを施して実
用に供し得る力学的性質を付与し、且つより一層
改良された外観とスパンライクな風合とを併せ呈
し得る潜在嵩高性マルチフイラメントの製造法を
提供することにある。 本発明の第3の目的は異デニールフイラメント
が混繊されたマルチフイラメントの如き腰のある
柔かなタツチと、より一層改良された外観とを併
せ呈し得る潜在嵩高性マルチフイラメントの製造
法を提供することにある。 (構成) 本発明者等はかかる目的を達成すべく検討した
ところ、収縮斑や染色斑を呈する織編物に用いら
れた潜在嵩高性マルチフイラメントは、マルチフ
イラメントの長手方向に高収縮部分と低収縮部分
とが遍在していることを知つた。 本発明者等はかかる知見に基き更に検討を重ね
た結果、潜在嵩高性マルチフイラメントの紡糸の
際に、吐出された重合体流の衝突・バウンドする
周期が異る2種の1対の吐出孔を配置した紡糸口
金を用いることによつて、高収縮部分及び低収縮
部分が遍在することなく分散した潜在嵩高性マル
チフイラメントが得られることを見い出し、本発
明に到達したものである。 即ち、本発明は、熱可塑性重合体を溶融して紡
糸口金の吐出断面積が異る1対の吐出孔から流速
差を有する1対の重合体流として吐出し、紡糸口
金面直下で前記1対の吐出孔の吐出面積が大なる
吐出孔から吐出した低速重合体流に、他方の吐出
断面積が小なる吐出孔から吐出した高速重合体流
を衝突、バウンドさせつつ接触せしめ、次いで冷
却固化させた後に引取るマルチフイラメントの製
造法において、該1対の吐出孔は吐出断面積の大
なる吐出孔を複数のスリツトで中空部を形成せし
めた中空吐出孔とすると共に、他方の吐出断面積
の小なる吐出孔を単一吐出孔とし、且つ両吐出孔
を連絡スリツトによつて連結せしめて構成し、そ
の際、該中空吐出孔と単一吐出孔との吐出断面積
比及び/又は連結スリツト長の異る少くとも2種
の1対の吐出孔から溶融重合体を吐出することを
特徴とする潜在嵩高性マルチフイラメントの製造
法である。 本発明を図面により説明する。 第1図は本発明の方法により得たマルチフイラ
メントを構成するフイラメントの断面図、及び長
手方向の側面図と前記側面図を90゜回転せしめた
正面図、第2図は上記のマルチフイラメントの断
面図、第3図は上記のマルチフイラメントの応力
(St)−伸度(E1)曲線、第4図は上記のマルチ
フイラメントを得るための紡糸口金の吐出孔断面
図、第5図は紡糸口金面直下で流速差を有する重
合体流の衝突・バウンドする状況を示す模式図、
第6図は紡糸口金に36個配置した1対の吐出孔に
おいて、両吐出孔を連結するスリツトの長さが異
る場合の重合体流の衝突・バウンド数の分布を示
したグラフ、第7図は第4図aの吐出孔からフリ
ーフオールで重合体を吐出した直後のフイラメン
トを横断面に沿つて切断した際のフイラメント斜
視図を夫々示す。 第1図において、nは長軸、cは短軸、x,
x′は長軸nを挾んでたがいに対向する1対の凹
部、eは中空部、mはフイラメント断面で短軸c
に平行な直線のうちで最大値を示す直線の長さ、
gは中空部eを含む断面において短軸cで分割さ
れる中空部分、hは同じく短軸cで分割される中
実部分であつて、gの部分の断面積はh部分のそ
れよりも常に大である。 このようなマルチフイラメントにおいて、その
構成するフイラメントの断面形状が第1図a,b
に示す如く扁平であつて長軸nを挟み互いに対向
する1対の凹部x,x′を結ぶことによつて形成さ
れる短軸cに対して非対称で、且つg部分、即ち
最大直線長mを有する側に中空部eが存在するも
のである。 そして、前記断面形状を有するフイラメント断
面のg部分の配向度がh部分の配向度よりも高い
と共に、フイラメントの長手方向に第1図c,d
に示すような太さ斑を有している。 第1図c,dは本発明のマルチフイラメントを
構成するフイラメントの側面図及び前記側面図を
90゜回転せしめた正面図を夫々示す。 このマルチフイラメントを構成するフイラメン
トの長手方向の太さ斑は、第1図c,dに示す様
に、長手方向に対してh部分の断面積がg部分の
断面積よりも大巾に変化しつつ接合しているので
ある。 この様に、本発明によつて得られるマルチフイ
ラメントを構成するフイラメントは、その断面に
おいて、第1図に示す如く中空部を含む断面積が
h部分よりも大きいg部分の配向度が高く、且つ
後述する様に紡糸時に大きな剪断力を受けるため
にg部分が中実である場合よりも極めて高い配合
度となるので、長手方向の太さ斑と相俟つて従来
のパルシングヤーンよりも一層大きな収縮力を有
することができる。 そして、このマルチフイラメントは、前記フイ
ラメントで構成されていると共に、構成フイラメ
ント間でフイラメントの長手方向の太さ斑の周期
(位相)、即ち第1図cで示すLが実質的に異つて
いる。 この様に、長手方向の太さ斑の位相が異るフイ
ラメントで構成されているマルチフイラメントで
は、構成フイラメントの太い部分(収縮部)及び
細い部分(低収縮部)の位相がそろうことがない
ため、マルチフイラメントの長手方向に高収縮部
分と低収縮部分とが分散されているものである。 これに対して、長手方向の太さ斑の位相が実質
的に同一であるフイラメントで構成されているマ
ルチフイラメントでは、構成フイラメントの高収
縮部及び低収縮部の位相が互にそろうために長手
方向に高収縮部分及び低収縮部分とが遍在してお
り、かかる潜在嵩高性マルチフイラメントを用い
た織編物では、一応スパンライクな風合を呈する
ものの、シボ状の収縮斑と帯状の染色斑とが発現
するため、商品価値の乏しいものとなるのであ
る。 本発明において、フイラメント断面形状の好ま
しい態様としては、第1図aに示す様な略まゆ形
円を呈するもの、或いは第1図bに示す様な略二
等辺三角形を呈するものが好ましい。特に、略等
辺三角形の断面形状を有するフイラメントでは独
特な光沢を呈することができ好ましい。 そして、かかる扁平中空フイラメントにおける
g部分の中空率は2〜30%、特に好ましくは10〜
15%であつて、g部分の中空部eを含む断面積
Sgとh部分の断面積Shとの比(Sg/Sh)は1.2〜
3、特に1.5〜2であることが好ましい。 但し、前記中空率及び断面積Sg及びShはフイ
ラメント断面の顕微鏡写真から求めたものであ
る。 また、第1図c,dに示す如く、フイラメント
の長手方向にh部分がg部分に巻付くことなく接
合しているフイラメントは、その長手方向の変形
度、即ち太さ斑が大きく好ましいものである。 そして、かかるフイラメントの長手方向の太さ
斑は、第1図に示す様な大きな太さ斑「山から山
の長さ(L)が0.5〜3m」がランダムに存在するた
め、かかるフイラメントから成るマルチフイラメ
ントの任意断面においては、第2図に示す様に、
あたかもデニール差を有するフイラメントが混繊
されているのと同様な効果を呈する。 つまり、第2図において、Aは一本のマルチフ
イラメント断面での最大断面積であるフイラメン
ト断面を示し、n1及びm1はフイラメント断面A
の長軸及び最大直線長を夫々示す。また、Bは第
2図に示す一本のマルチフイラメント断面での最
小断面積のフイラメント断面を示し、n2及びm2
はフイラメント断面Bの長軸及び最大直線長を
夫々示す。 一般的に、第2図に示す様な断面積が異るフイ
ラメント、即ち、デニール差を有するフイラメン
トが混繊されている場合、断面積の大きい(太デ
ニール)フイラメントは断面積の小さい(細デニ
ール)フイラメントよりも収縮率が大きいため、
熱処理によつて、太デニールフイラメントは収縮
して張力担持体となり、細デニールフイラメント
はマルチフイラメントの外側に張り出すので、腰
があり且つ柔なタツチの風合を呈することができ
る。 本発明のマルチフイラメントにおいて、前記最
大断面積のフイラメントA及び最小断面積のフイ
ラメントBが下記〔〕式を満足するものは腰が
あり且つ柔らタツチの風合を呈し得ることができ
好ましい。 n1×m2/n2×m2≧1.5 ……〔〕 更に、本発明で得られるマルチフイラメントは
その断面方向及び長手方向に前述した様に大きな
斑、即ち大きな収縮差を有しているため、あたか
もフイラメント間及びフイラメント内に収縮差を
有するフイラメントを混繊した構造となつてい
る。このため、本発明のマルチフイラメントの応
力一伸度曲線は第3図に示すものとなる。 ここで、第3図aは紡糸して得られたマルチフ
イラメントの応力(St)−伸度(E1)曲線であ
り、第3図bは紡糸後、更に延浸を施して得られ
たマルチフイラメントの応力(St)−伸度(E1)
曲線である。 第3図において、L1は最終破断伸度、L2は最
大応力を示すときの伸度を夫々示す。 この様に、L1及びL2の伸度が見られるのは前
述した収縮差を有するフイラメントを混繊せしめ
た混繊糸の特徴であつて、かかる収縮差の極めて
小さい、或いは収縮差のないフイラメントから成
るマルチフイラメントでは通常L2のみが見られ
るに過ぎないのである。 この点、本発明の方法により得たマルチフイラ
メントでは、あたかも収縮差のあるフイラメント
から成る混繊糸と同等の効果を呈することができ
る。 そして、(L1−L2)の値が大である程、前記収
縮差が大であることを示し、かかる(L1−L2
の値が下記〔〕式を満足するマルチフイラメン
トが充分な嵩高性を呈す繊編物を得ることができ
好ましい。 L−L2≧20% ……〔〕 本発明によれば、未延伸糸の状態では勿論のこ
と、延伸し熱セツトを施して実用に耐え得る力学
的性質を付与しても充分に上記〔〕式を満足す
るものを得ることができる。 以上、述べてきたマルチフイラメントは、第4
図に示す1対の吐出孔から吐出された流速差のあ
る重合体流を、紡糸口金面直下で衝突・バウンド
させつつ接合せしめると共に、前記衝突・バウン
ドする周期の実質的に異る少くとも2種の1対の
吐出孔を採用する本発明の製造法によつて初めて
得ることができる。 第4図は本発明の製造法で採用する紡糸口金の
吐出孔断面図であつて、1a〜1c,2,3は
夫々重合体流を吐出する吐出孔であつて、4は1
a〜1cで示される複数のスリツトで形成される
中空部、2は単一吐出孔、3は1a〜1cのスリ
ツト及び中空部4からなる中空吐出孔と、単一吐
出孔2とを連結する連結スリツト、lA2は単一吐
出孔の内径、l及びWは連結スリツト3の幅及び
長さ、lA1及びlB1は第4図aの中空吐出孔の外径
及び内径を夫々示す。 かかる吐出孔の特徴は、吐出断面積が異なる1
対の吐出孔として、吐出断面積の大なる吐出孔に
複数のスリツト1a〜1cで構成される中空吐出
孔を、他方の吐出断面積の小なる吐出孔に単一吐
出孔2を夫々採用したことと、中空吐出孔と単一
吐出孔2とを連結スリツト3で連結したことにあ
る。 そして、本発明のマルチフイラメントの製造法
では、第4図に示す1対の吐出孔であつて、中空
吐出孔と単一吐出孔との吐出断面積比及び/又は
連結スリツト長(l)の異なる少くとも2種の1対の
吐出孔から溶融重合体を吐出し、紡糸口金面直下
で出孔から吐出された重合体流に、前記重合体流
の流速よりも高速である単一吐出孔2から吐出さ
れた重合体流を衝突、バウンドさせつつ接合せし
め、次いで冷却固化後に引取ることが必要であ
る。 この様な本発明のマルチフイラメントの製造法
を採用することによつて、得られるマルチフイラ
メントは構成するフイラメント内及びフイラメン
ト間の収縮差を大にしてマルチフイラメントの収
縮力を向上せしめることができると共に、マルチ
フイラメントの長手方向の高収縮部分及び低収縮
部分を分散せしめることができるのである。 ここで、前記第4図の吐出孔において、中空吐
出孔のスリツト1a〜1cの合計吐出孔断面積
(S1)と単一吐出孔2の吐出断面積(S2)とを等
しくすると、紡糸口金直下での重合体流の衝突・
バウンドがあまりにも激しくなるため安定な紡糸
が困難となる。 また、中空吐出孔と単一吐出孔2とが連結スリ
ツト3で連結されてない吐出孔を用いた場合に
は、得られるマルチフイラメントのフイラメント
内及びフイラメント間の収縮差は不充分となる。 更に、中空吐出孔の吐出断面積(S1)と単一吐
出孔の吐出断面積(S2)との比(S1/S2)及び連
結スリツト長(l)が同一である複数個の1対の吐出
孔を用いて得られるマルチフイラメントでは、長
手方向に高収縮部分及び低収縮部分が遍在するた
め、最終的に得られる繊編物は、一応のスパンラ
イクな風合を呈するものの、シボ状の収縮斑や染
色斑が発現し易い。 本発明の製造によつて得られるマルチフイラメ
ントを構成するフイラメントは、第1図a,bに
示す断面形状を有する扁平中空フイラメントであ
つて、断面方向には、第4図の中空吐出孔から吐
出された重合体流に単一吐出孔3から吐出された
重合体流が接合した接合部で分割される中空部存
在部分の配向度がこれに隣接する中実部分の配向
度よりも大であると共に、第1図c,dに示す如
く長手方向には太さ斑を併せ有しているのであ
る。 尚、第1図において、x,x′で示される1対の
凹部は第4図の中空吐出孔から吐出される重合体
流に単一吐出孔2から吐出される重合体流が接合
した接合部である。 そして、かかるフイラメント断面において、断
面積がh部分よりも大であるg部分の配向度をh
部分分の配向度よりも大とできることが本発明の
製造法の特徴の1つでり、この様なフイラメント
に熱処理が施されると、断面積の大なるg部分の
収縮がh部分の収縮よりも大となる結果、大きな
収縮力を呈することができることは前述の通りで
ある。 本発明の製造法によつて、かかるフイラメント
が得られる理由は次の様に考えられる。 即ち、一般的に、中空吐出孔を構成している各
スリツト、及び単一吐出孔を通過する重合体流の
速度が互いに等しいならば、中空吐出孔の複数ス
リツトの合計圧力損失は単一吐出孔よりも大とな
る。 しかしながら、中空吐出孔と単一空吐出孔2と
を連結スリツト3を介して同一吐出孔内に併有し
ている第4図に示す吐出孔においては、孔の圧力
損失が等しくなる様に両孔を通過する重合体流間
に流速差が生じる。このため、中空吐出孔のスリ
ツト巾、単一吐出孔2の内径(lA2)等を調整す
ることによつて、中空吐出孔の1a〜1cのスリ
ツトよりも単一吐出孔2から吐出される重合体流
の流速が速くなる様に流速差を付与すると共に、
その流速差を容易に大きくすることができるので
ある。 この様に、中空吐出孔のスリツト1a〜1cを
通過する重合体流の流速は単一吐出孔2を通過す
る重合体流よりも遅いため、紡糸ドラフトは中空
吐出孔のスリツト1a〜1cから吐出された重合
体流に主に集中する。特に、高速紡糸では、高ド
ラフトが中空吐出孔のスリツト1a〜1cから吐
出された重合体流に集中する結果、かかる重合体
流が形成する中空部分は中空吐出孔が単一吐出孔
である場合よりも大きな剪断力を受けて、重合体
流が中実である場合よりも極めて高い配向度とな
るのである。 また、単一吐出孔2の吐出断面積(S2)は中空
吐出孔のスリツト1a〜1cの合計吐出断面積
(S1)よりも小さいため、得られるフイラメント
断面において中空部を含むg側の断面積よりもh
側の断面積が小さくなるのである。 更に、中空吐出孔及び単一吐出孔2から吐出さ
れる重合体流流速が異なると共に、連結スリツト
3から吐出される重合体流で前記2つの重合体流
が連結されているために、中空吐出孔から吐出さ
れた重合体流に単一吐出孔2から吐出された重合
体流が衝突・バウンドしつつ接合する結果、第1
図c,dに示す如く長手方向に太さ斑を有するフ
イラメントが得られるのである。 しかも、本発明の製造法では、第5図に示す様
に、衝突・バウンド周期の実質的に異るフイラメ
ントから成るマルチフイラメントを得ることがで
きるため、構成フイラメントの高収縮部及び低収
縮部との位相が互いにそろうことがなくマルチフ
イラメントの長手方向に高収縮部分と低収縮部分
とが分散されているのである。 第5図は、紡糸口金面直下で流速差を有する重
合体流の衝突、バウンドする状況を示す模式図で
あつて、hは第4図の単一吐出孔2から吐出され
た重合体流、gは第4図の中空吐出孔から吐出さ
れた重合体流を夫々示す。 また、第5図において、1〜3は1対の吐出孔
を示し、2は連結スリツト長(l)が1より短いもの
であり、3は中空吐出孔と単一吐出孔との吐出面
積比が1よりも小さいものを夫々示す。 第4図に示す1対の吐出孔において、連結スリ
ツト3の長さ(l)は、1対の吐出孔から吐出した重
合体流の衝突、バウンドの開始する位置に関係す
る。即ち、スリツト長(l)が短い場合には、紡糸口
金面に近い温度の高い場所で重合体流の衝突、バ
ウンドが開始するため、衝突、バウンドは激し
く、周期の短いものとなる。一方、連結スリツト
長(l)が長い場合には、紡糸口金面から離れた温度
の低い場所で重合体流の衝突、バウンドが開始す
るため、衝突、バウンドは穏やかで、周期の長い
ものとなる。この様な連結スリツト長(l)の異る吐
出孔を組合せたものが第5図aである。 また、中空吐出孔と単一吐出孔との吐出断面積
比は、1対の吐出孔から吐出される重合体流の流
速差に関し、吐出断面積比を小さくするほど重合
体流の流速差が小さくなるため、重合体流の衝
突、バウンドは穏やかなり、衝突、バウンドの周
期は長いものとなる。この様に吐出断面積比の異
る1対の吐出孔を組合せたものが第5図bであ
る。 更に、本発明では、吐出断面積比及び連結スリ
ツト長(l)の異なる1対の1対の吐出孔を第5図c
に示す様に混在させてもよく、この場合には得ら
れるマルチフイラメントを構成するフイラメント
の太さ斑の周期の分散が緊めて良好となるため好
ましい。 尚、第5図dは吐出断面積比及び連結スリツト
長(l)が同一である1対の吐出孔から吐出した重合
体流の衝突、バウンドを示したものであつて、衝
突、バウンドする周期はほぼ同一のものとなる。 ここで、第5図aで示す組合せ、即ち連結スリ
ツト長(l)の異なる36個の1対の吐出孔から成る紡
糸口金において、吐出量を変更させて吐出孔毎の
衝突、バウンド数〔振動数(rpm)〕をストロボ
スコープを用いて測定し、その結果を第6図に示
す。第6図から明らかな様に、スリツト長(l)が異
なる吐出孔を有する前記紡糸口金から吐出された
各重合体流の振動数の分布は、約350rpmと大き
なものである。 尚、連結スリツト長(l)が同一である36個の1対
の吐出孔を用いた場合の振動数の分布は高々
50rpm程度であるため、得られるマルチフイラメ
ントを構成するフイラメントの太さ斑の周期は実
質的に同じものとなる。 かかる本発明の製造法によつて得られるマルチ
フイラメントを構成するフイラメントは、その断
面において、第1図に示す如く中空部を含む断面
積がh部分よりも大きいg部分の配向度が高く、
且つg部分が中実である場合よりも極めて高い配
向度となるので、長手方向の太さ斑を相俟つて構
成するフイラメント内及びフイラメント間に大き
な収縮差を有すると共に、長手方向に高収縮部分
及び低収縮部分が極めて良好に分散されているの
である。 本発明の製造法において採用する中空吐出孔の
スリツトの配列形状、及び単一吐出孔の断面形状
は特に限定する必要はなく、目的に応じて最適な
ものを採用すればよい。 例えば、中空吐出孔のスリツトの配列形状とし
ては、英国特許第853062号明細書に記載されてい
る非円形状のものと採用でき、中でも第4図bに
示す三角形状の配列のものが好ましい。 かかる、三角形状の中空吐出孔を用いた第4図
bの吐出孔によると、第1図bに示す略二等辺三
角形の断面形状を有するフイラメントが得られ
る。 また、中空吐出孔のスリツト配列形状及び単一
吐出孔の断面形状を第4図aの如く円形状とする
と、第1図aに示す略まゆ型の断面形状となる。
第4図aの吐出孔は工作が容易で好ましい。 更に、第4図において、単一吐出孔2と中空吐
出孔とを単一連結スリツト3で連結することによ
つて、驚くべきことに単一吐出孔2から吐出され
る重合体流は中空吐出孔から吐出される重合体流
の片側で衝突・バウンドしつつ接合するので、中
空部分gに中実部分hがまきつくことなく接合し
ている第1図c,dに示すフイラメントが得ら
れ、フイラメントの長手方向に大きな太さ斑を付
与することができる。 この様に、フイラメントの断面方向に大きな配
向度差を有すると共に、フイラメントの長手方向
に大きな太さ斑を有するフイラメントから成るマ
ルチフイラメントは、紡糸後、更に延伸し熱セツ
トを施して実用に供し得る力学的特性を付与して
も、充分な収縮力を呈することができ好ましい。
かかる連結スリツト3の形状は第4図に示す直線
状の他に、カギ形、或いは湾曲していてもよい。
要は中空吐出孔と単一吐出孔2とが連結スリツト
で連結されていることである。 これに対して、本発明者等の実験によると、特
開昭55−51809号公報(米国特許第4332757号及び
米国特許第4349604号明細書)に記載されている
紡糸口金を用いてパルシングヤーンを得る場合に
は、吐出面積の大なる吐出孔から吐出された重合
体流に、吐出断面積の小なる吐出孔から吐出され
た重合体流が巻付きつつ接合したフイラメントか
ら成るマルチフイラメントしか得られず、フイラ
メントの長手方向に大きな太さ斑を付与すること
は困難であつた。 また、連結スリツト3の長さを、得られるフイ
ラメント断面において第1図に示す凹部x,x′が
形成されるよう設定することによつても、中空吐
出孔及び単一吐出孔2から吐出される両重合体流
の衝突・バウンドによる振動周期をより大きくす
ることができ、得られるフイラメントの長手方向
に極めて大きな太さ斑を付与することができる。 そして、第4図の吐出孔を用いて第1図の断面
形状を有する扁平中空フイラメントを得ることが
できるが、その際にかかるフイラメント断面の顕
微鏡写真から求めたg部分の中空率を2〜30%、
特に好ましくは10〜15%とし、g部分の中空部e
を含む断面積Sgとh部分の断面積Shとの比
(Sg/Sh)を1.2〜3、特に1.5〜2とすることが
好ましい。 尚、本発明で採用する吐出孔では第4図に示す
単一吐出孔2が1ケ以上中空吐出孔に連結されて
いてもよく、単一吐出孔2の形状も三角形、四角
形、Y字形等の非円形であつてもよい。 これまで述べてきた本発明の吐出孔の具体的な
寸法を、第4図aの吐出孔について下記に示す。 1.5≦S1/S2≦15 0.04≦(lA1−lB1)/2≦0.30 0.10≦lA2<lB1<lA1≦1.5 0.05≦l≦1.30 0.03≦W<lA2≦1.0 〔但し、lA1、lB1、lA2、l、Wの夫々の単位は
(mm)である。〕 そして、この様な吐出孔から成る紡糸口金を採
用することによつて、あたかも異デニールフイラ
メントが混練された如きマルチフイラメントを容
易に得ることができる。 また、本発明のマルチフイラメントの製造法に
おいて、中空吐出孔から吐出される重合体流の流
速(V1)と、単一吐出孔2から吐出される重合
体流の流速(V2)との吐出速度比(V1/V2)を
1/1.5〜1/7、特に1/2.3〜1/3.4に設定す
ることが好ましく、この時の重合体の吐出量比
(中空吐出孔の吐出量/単一吐出孔2の吐出量)
へ3/1〜1/5、特に1.5/1〜3.3に設定する
ことが好ましい。 本発明の製造法において採用する吐出断面積比
(S1/S2)及び/又は連結スリツトル長(l)の異る
1対の吐出孔の寸法は、前述した寸法の範囲内で
あつて、重合体流の流速(V1、V2)、吐出速度比
(V1/V2)、及び吐出量比を上記の範囲にする様
に選択することが好ましい。 今、第4図aに示す吐出孔であつて、前記寸法
の範囲内にある吐出孔を有する紡糸口金面直下で
得られる紡出フイラメントの形状を第7図に示
す。 第7図はフリーフオールで得たものであり、中
空吐出孔から吐出された側の断面積はほとんど変
化せずに、単一吐出孔から吐出された側の断面積
が変化していることを示している。また、第7図
より単一吐出孔から吐出された重合体流は中空吐
出孔から吐出された重合体流に捲き付くことなく
一方向で振動しているとも併せて示している。 唯、第7図に示す紡出フイラメントは紡出ドラ
フトの作用を受けないフリーフオールで得られた
ものであるため、本発明で得られるマルチフイラ
メントを構成するフイラメントの断面形状と差異
が認められるが、紡糸ドラフト作用下では中実部
分が中空部分にバウンドしつつ接合しているため
に中実部分の長さは中空部分よりも長くなるの
で、第1図aに示すフイラメント断面形状を有す
るフイラメントが得られるのである。 この様にして吐出、接合せしめた重合体流を冷
却固化した後に更に混繊交絡処理を施してから引
取ることも、高収縮部分と低収縮部分との分散性
をより一層向上せしめることができ好ましい。こ
の際の混繊交絡処理の方法としては、通常実施さ
れている方法、例えば電気開繊、タスランノズ
ル、インターレースノズル等による方法が任意に
採用でき、中でも生産性及び操業性の面からイン
ターレースノズルによる方法が好ましい。かかる
インターレースノズルとしては、特公昭36−
12230号或いは特公昭37−1175号公報(米国特許
3069836号、第3083523号、第3110151号明細書)
等で知られているものを採用することができる。 そして、前記混繊交絡処理の際に付与する交絡
数としては、10個/m以上、特に15〜80個/mで
あることが得られるマルチフイラメントの長手方
向に高収縮部分及び低収縮部分を均一に分散せし
めると共に、最終製品である織編物の風合の上か
ら好ましい。 また、引取速度としては高引取速度にする程、
紡糸ドラフトが高くなつて得られるフイラメント
の中空部分gの配向度が高くなり、中実部分hと
の収縮差を拡大することができるため、2500m/
分以上の引取速度であれば500以上の高紡糸ドラ
フトを与えることができ好ましい。 更に、この様に混繊処理を施してから引取られ
たマルチフイラメントを延伸し100℃以上の温度
で熱セツトを施すことによつて、得られるマルチ
フイラメントの力学的特性を実用に供し得る程度
に高めても依然として大きな収縮力を有している
と共に、長手方向に高収縮部分及び低収縮部分と
が均一に分散しているため、熱処理によつて良好
な外観と風合とを呈する織編物が得られる。 ここで、混繊交絡処理を施すことなく延伸に供
すると、構成フイラメントの低収縮部(細デニー
ル部)が高収縮部(太デニール部)よりも延伸さ
れ易いため、延伸後得られるマルチフイラメント
では高収縮部分と低収縮部分との差が拡大され易
い。この様に、高収縮部分と低収縮部分との差が
拡大したマルチフイラメントでも、混繊交絡処理
を施すことによつて前記収縮差を減少せしめるこ
とができるが、延伸後に施したのでは不充分とな
り易い傾向がある。 一方、紡糸引取速度が4000m/分以上、特に
4500〜550m/分では、得られるマルチフイラメ
ントをそのまま実用に供し得るものであり、熱処
理によつて充分な嵩高性を呈し得ることは言うま
でもない。 この様にして得られるマルチフイラメントの任
意断面における各フイラメントの断面形状は第1
図に示すものとなるが、中には断面形状が扁平で
あつても、第1図に示すフイラメント断面におけ
る凹部x,x′のない形状のフイラメントが存在し
ている。かかる断面形状のフイラメントが存在し
ていてもその数が小数本であるマルチフイラメン
トでは、本発明の目的を充分に達成することがで
きる。 以上、述べてきた本発明のマルチフイラメント
を得るための溶融紡糸において、通常の溶融紡糸
の如く紡糸口金から吐出した重合体流を冷却風に
より冷却して引取つても、冷却してから更に加熱
を施してから引取つてもよい。 また、溶融紡糸の後に延伸し熱セツトを施す方
法としては、溶融紡糸してから一旦捲き取つてか
ら別工程で延伸し熱セツトを施しても、或いは溶
融紡糸してから一旦捲き取ることなく延伸し熱セ
ツトを施してもよい。 尚、本発明において対象とする溶融紡糸可能な
重合体とは、実質的に繰返し単位の85モル%以上
がエチレンテレフタレートから構成される。ポリ
エチレンテレフタレートであり、該重合体には艶
消、染色性向上、帯電防止等各目的の添加物質を
共重合体又は、ブレンド体として含んでいても差
支えない。ポリエチレンテレフタレートの極限粘
度(35℃オルソクロルフエノール中で測定)は
0.45〜1.25が好ましく、特に0.50〜1.00が好まし
い。極限粘度が0.45未満のときは、得られるマル
チフイラメントの強度レベルが低く好ましくな
い。また、極限粘度が1.20を越えるときは、紡糸
時の溶融粘度が高過ぎて、溶融温度を高くするこ
とが必要のため、好ましくない。 また、本発明にて用いる溶融紡糸装置は、通常
用いられている装置を使用できることは言うまで
もない。 (作用) 従来のパルシングヤーンを得るための紡糸口金
の吐出孔は吐出断面積が異る1対の吐出孔が或る
角度で対向して設けられていると共に、吐出断面
積の小さい吐出孔のポリマー導孔の長さ(ランド
長)が吐出断面積の大きい吐出孔のポリマー導孔
の長さ(ランド長)よりも短く設定されている。
かかる設定によつて、吐出断面積の小さい吐出孔
から吐出される重合体流の流速は他方の吐出孔か
ら吐出される重合体流よりも速くなるのである。 この様に、流速差を有する1対の重合体流が紡
糸口金面直下で衝突・振動しつつ接合するために
フイラメントの断面方向及び長手方向に一応の収
縮差を付与することができるのである。 しかしながら、前述した様にかかるパルシング
ヤーンの収縮力は不充分であるため、フイラメン
ト断面方向の収縮力を大にすべく、吐出断面積の
差を大として得られるフイラメントの高配向度側
の断面積を大にせんとしても、両孔から吐出され
る重合体流の流速差は吐出孔のランド長等を調整
することによつて付与しているものであるため、
吐出断面積の差が大になる程流速差を付与するこ
とは困難になるのでかかる1対の吐出孔では限界
がある。 また、両重合体流の衝突による振動を激しくし
てフイラメントの長手方向の太さ斑を大にせんと
しても、両孔の設置距離を大にすると逆に振動は
減少、或いは消滅してしまうのである。 これに対し、本発明のマルチフイラメントの製
造法においては、第4図に示す如き吐出孔を有す
る紡糸口金を採用するため、重合体流の衝突・バ
ウンドによる大きな振動の発生と、中空吐出孔か
ら吐出された重合体流に紡糸ドラフトの作用点が
偏在下する効果を併せ奏することができる結果、
フイラメントの長手方向に大きな太さ斑と、第1
図に示す如くフイラメント断面において、g側の
配向度がh側よりも高くなる断面方向の配向度差
とを併せ有するフイラメントから成るマルチフイ
ラメントが得られるのである。 即ち、中空吐出孔を構成する複数スリツトのス
リツト巾及び単一吐出孔の孔径等を調整すること
によつて、かかる1対の吐出孔から吐出される重
合体流の流速差を充分に大きくすることができ
る。このため、紡糸ドラフトを中空吐出孔から吐
出される重合体流に集中せしめることができ、中
空吐出孔から吐出された重合体流に大きな剪断力
が作用するので中空部分の配向度が中実部分の配
向度よりも高く、且つ前記中空部分が中実である
場合よりも極めて高い配向度とすることができる
のである。 しかも、中空吐出孔を構成する複数スリツトの
合計吐出断面積が単一吐出孔の吐出断面積よりも
大きいため、得られるフイラメントの断面におい
て中実部分よりも中空部分の断面積が大きいので
ある。 また、両孔間の距離を大にしても、スリツトで
両孔を連結しているために、両重合体流は衝突・
バウンドによる大きな振動を発生しつつ接合せし
めることができる。 更に、本発明の製造法においては、中空吐出孔
と単一吐出孔との吐出断面積比及び/又は連結ス
リツト長の異なる少くとも2種の1対の吐出孔を
用いることによつて、重合体流の衝突・バウンド
する周期が吐出孔毎に異るため、得られるマルチ
フイラメントの長手方向に高収縮部分及び低収縮
部分とを分散せしめることができるのである。 この様にして得られる本発明のマルチフイラメ
ントを構成するフイラメントは、その断面におい
て、中空部を有する断面積が中実部分よりも大き
い中空部分の配向度が極めて高いため、中空部分
が中実部分よりも大きな収縮率を有していると共
に、フイラメントの長手方向にも大きな太さ斑を
有しているので、かかるフイラメントから成るマ
ルチフイラメントではフイラメント間、フイラメ
ント内に大きな収縮差を有しており、熱処理の際
に大きな収縮力を呈し得るのである。 かかるマルチフイラメントを用いた織物では、
熱処理によつて均一で且つ充分な嵩高性を呈する
ことができる。また、溶融紡糸で得られる未延伸
糸に更に延伸し熱セツトを施して実用に供し得る
力学的特性を付与したマルチフイラメントでも、
依然として充分な収縮差を有していると共に、長
手方向の高収縮部分及び低収縮部分とが分散して
いるため、かかるマルチフイラメントを用いた織
物も熱処理によつて均一で充分な嵩高性を呈する
ことができる。 更に、本発明において、中空吐出孔のスリツト
を三角形に配置した第4図bに示す吐出孔を用い
ると、得られるフイラメントの断面形状を第1図
bに示す様に略二等辺三角形とすることができ、
かかるフイラメントから成るマルチフイラメント
は独特な光沢を呈することができる。 また、本発明のマルチフイラメントを構成する
フイラメントは長手方向に大きな太さ斑をランダ
ムに有していると共に、その細デニール及び太デ
ニール部の位相がそろうことがないため、異デニ
ールフイラメントが混繊された混繊糸の如き腰の
ある良好な風合を呈することもできる。 (発明の効果) 本発明で得られるマルチフイラメントは単に熱
処理を施すだけで均一で且つ大きな嵩高性を呈し
得るので、織編工程ではフラツトヤーンの状態で
扱うことができるため良好な工程通過性を有す
る。 しかも、単一重合体から繁雑な操作を施すこと
なく得られるので、その工業的意義は極めて大き
いものである。 (実施例) 以下、本発明を実施例にて更に説明するが、本
実施例で用いる物性は下記の方法で測定したもの
である。 (1) n1、m1、及びn1、m2 マルチフイラメントの任意断面について、
560部の倍率で断面写真をとり、中空部を含む
断面積が最大となるフイラメント断面の長軸
(n1)及び最大直線長(m1)、及び前記断面積
が最小とするフイラメント断面の長軸(n2)及
び最大直線長(m2)とを夫々実測した。 (2) 最大応力を呈するときの伸度(L2)及び最
終破断伸度(L1) 通常の引つ張り型試験機にて、温室25℃、湿
度60%で、試料長10cm、引つ張り速度200mm/
mmの条件で応力−伸度曲線を求め、応力が最大
となる伸度(L2)、応力が零となる伸度を最終
破断伸度(L1)とした。(測定は、n=5で、
その平均の値を採用した。) (3) 風合い(嵩高高及びスパンライク感) 得られた潜在嵩高性マルチフイラメントを筒
編みし、分散染料を使用して常法で染色し、水
洗乾燥後、180℃で1分間セツトし風合い(嵩
高感及びスパンライク感)評価用の試料とし
た。風合いは、肉眼観察並びに触感によつて評
価した。 (4) マルチフイラメントの収縮率 マルチフイラメントの平均の収縮率は、以下
の方法にて測定した。 (a) 沸水収縮率 マルチフイラメントの「カセ」を作り、こ
の「カセ」を沸水中の荷重をかけないで、30
分間処理した時の収縮率を以下の式より求め
た。 〔(l0−l1)/l0〕×100=収縮率(%) (l0:処理前の「カサ」の長さ) (l1:処理後の「カサ」の長さ) (b) 120℃乾熱収縮率 マルチフイラメントの「カセ」を作り、こ
の「カセ」に2.5mg相当の荷重をかけ、120で
5分間乾熱処理した時の収縮率を以下の式よ
り求めた。 〔(l0−l1)/l0〕×100=収縮率(%) (l0:処理前の「カサ」の長さ) (l1:処理後の「カサ」の長さ) 実施例 1 極限粘度〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタ
レート(艶消剤としてTiO2を0.3重量%含有)を
溶融して、紡糸温度300℃にて、第4図aに示す
吐出孔から37.5g/分の吐出量で吐出した。 そして、紡糸口金直下で中空吐出孔から吐出さ
れたポリエチレンテレフタレート(以下、PET
と称する)から成る重合体流の片面に、単一吐出
孔2から吐出されたPET重合体流が衝突・バウ
ンドしつつ接合する。 次いで、接合したPET流には温度26℃、湿度
60%の冷却風を30cm/秒の線速度で吹きつけて冷
却固化後、オイリングローラーで油剤を付与して
から引張速度45000m/mmで捲き取つて75de/
36filのマルチフイラメントを得た。 ここで使用した吐出孔の各部の寸法及び得られ
たマルチフイラメントの基本物性を第1表に示
す。
【表】
〔染色条件〕
染料:Polyester Eastman Blue 染料比:筒編み重量に対して4% 助剤:モノゲン(0.5%/) 浴比:1/100 温度×時間:100℃×60分 染色した試料を水洗、乾燥後、180℃で1分間
熱セツトした。 そのように調整した筒編染色試料を5点用意
し、染色斑及び風合を肉眼で判定した。 その結果を第2表に示す。
〔延伸熱セツト条件〕
予熱温度 80℃ 熱セツト温度 240℃(スリツトヒーター温度) 延伸倍率 1.4 延伸速度 700m/分 この延伸マルチフイラメントの基本物性及び筒
編み染色後の染色感、染色斑を第3表に示す。
【表】 第3表から明らかな様に、延伸熱セツトを施し
たマルチフイラメントにおいても、吐出断面積比
及び/又は連結スリツト長の異る1対の吐出孔を
配置した紡糸口金を用いれば、充分な嵩高感を呈
すると共に、染色斑も大きく改善される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法により得たマルチフイラ
メントを構成するフイラメントの断面図、及び長
手方向の側面図と前記側面図を90゜回転せしめた
正面図、第2図は上記のマルチフイラメントの断
面図、第3図は上記のマルチフイラメントの応力
(St)−伸度(E1)曲線、第4図は上記のマルチ
フイラメントを得るための紡糸口金の吐出孔断面
図、第5図は紡糸口金面直下で流速差を有する重
合体流の衝突・バウンドする状況を示す模式図、
第6図は紡糸口金に36個配置した1対の吐出孔に
おいて、両吐出孔を連結するスリツトの長さが異
る場合の重合体流の衝突・バウンド数の分布を示
したグラフ、第7図は第4図aの吐出孔からフリ
ーフオールで重合体を吐出した直後のフイラメン
トを横断面に沿つて切断した際のフイラメント斜
視図を夫々示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 熱可塑性重合体を溶融して紡糸口金の吐出断
    面積が異る1対の吐出孔から流速差を有する1対
    の重合体流として吐出し、紡糸口金面直下で前記
    1対の吐出孔の吐出面積が大なる吐出孔から吐出
    した低速重合体流に、他方の吐出断面積が小なる
    吐出孔から吐出した高速重合体流を衝突、バウン
    ドさせつつ接触せしめ、次いで冷却固化させた後
    に引取るマルチフイラメントの製造法において、
    該1対の吐出孔は吐出断面積の大なる吐出孔を複
    数のスリツトで中空部を形成せしめた中空吐出孔
    とすると共に、他方の吐出断面積の小なる吐出孔
    を単一吐出孔とし、且つ両吐出孔を連絡スリツト
    によつて連結せしめて構成し、その際、該中空吐
    出孔と単一吐出孔との吐出断面積比及び/又は連
    結スリツト長の異る少くとも2種の1対の吐出孔
    から溶融重合体を吐出することを特徴とする潜在
    嵩高性マルチフイラメントの製造法。 2 中空吐出孔を構成する複数のスリツトの配
    列、及び単一吐出孔の断面形状が共に円形である
    特許請求の範囲第1項記載の潜在嵩高性マルチフ
    イラメントの製造法。 3 中空吐出孔を構成する複数のスリツトの配列
    が非円形である特許請求の範囲第1項記載の潜在
    嵩高性マルチフイラメントの製造法。 4 中空吐出孔を構成する複数のスリツトの配列
    が三角形である特許請求の範囲第1項、又は第3
    項記載の潜在嵩高性マルチフイラメントの製造
    法。 5 連結スリツトにより互いに連絡せしめた1対
    の吐出孔からなる紡糸口金である特許請求の範囲
    第1項記載の潜在嵩高性マルチフイラメントの製
    造法。 6 連結スリツトが単一である特許請求の範囲第
    1項、又は第5項記載の潜在嵩高性マルチフイラ
    メントの製造法。 7 重合体がポリエステルである特許請求の範囲
    第1項記載の潜在嵩高性マルチフイラメントの製
    造法。
JP24458884A 1984-11-21 1984-11-21 潜在嵩高性マルチフィラメントの製造法 Granted JPS61124618A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24458884A JPS61124618A (ja) 1984-11-21 1984-11-21 潜在嵩高性マルチフィラメントの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24458884A JPS61124618A (ja) 1984-11-21 1984-11-21 潜在嵩高性マルチフィラメントの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS61124618A JPS61124618A (ja) 1986-06-12
JPH0248643B2 true JPH0248643B2 (ja) 1990-10-25

Family

ID=17120952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24458884A Granted JPS61124618A (ja) 1984-11-21 1984-11-21 潜在嵩高性マルチフィラメントの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS61124618A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109137098B (zh) * 2018-09-28 2021-01-01 浙江恒澜科技有限公司 一种自卷曲远红外中空复合长丝及其制备方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6353282A (ja) * 1986-08-25 1988-03-07 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 硝酸第2セリウム溶液の製造法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6353282A (ja) * 1986-08-25 1988-03-07 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 硝酸第2セリウム溶液の製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS61124618A (ja) 1986-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4631162A (en) Process for producing a hollow irregular multifilament yarn
EP0270019A2 (en) Synthetic polymer multifilament yarn useful for bulky yarn and process for producing the same
EP0758027B1 (en) Polyester filament yarn, process for the production thereof, woven and knitted fabrics thereof, and process for the production thereof
JPS6353282B2 (ja)
JPH0248643B2 (ja)
JPH0641648B2 (ja) 潜在嵩高性マルチフイラメントの製造法及びその紡糸口金
JPH0240773B2 (ja) Isendokonsenshi
JPH0151563B2 (ja)
JPH0361765B2 (ja)
KR880000377B1 (ko) 잠재 벌키성 멀티 필라멘트 및 그의 제조법
JPS61146808A (ja) 潜在嵩高性マルチフイラメント及びその製造法
JPH0342322B2 (ja)
JPS6411725B2 (ja)
JPS61201034A (ja) シルキ−調ポリエステル糸条
JP2898397B2 (ja) 混繊糸の製造方法
JPH0313346B2 (ja)
JPS63182430A (ja) 複合加工糸の製造方法
JP2003041425A (ja) 潜在捲縮性複合繊維の製造方法
JPS61239009A (ja) 太細糸及びその製造方法
JP2003342851A (ja) ポリエステル異収縮混繊糸
JPH0327143A (ja) 複合加工糸及びその製造方法
JP3666135B2 (ja) ポリエステル混繊糸および加工糸の製造方法
JPH01201512A (ja) 潜在嵩高性マルチフィラメント及びその製造法
JP2936304B2 (ja) ポリプロピレン系異収縮混繊糸及びその製造方法
JPH04316626A (ja) 綿様風合を呈するポリエステル混繊糸