JPH024728B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、建築または擁壁の構築・補強などの
土木工事に用いるアンカーロツドに関する。

（従来の技術） われわれは、アンカーロツドとして特願昭56−
103819号（特開昭58−7023号）の発明を提供して
いる。

この発明の構成は、「外管と内管とからなるア
ンカーロツド本体の外管の周壁部に、この外管を
直立させたとき略逆Ｕ字形となる複数個の切目
と、略直線状の複数個の切目を設け、上記アンカ
ーロツド本体の先端開口部に閉塞金具を取付け、
このようになしたアンカーロツド本体の後端開口
部から、上記外管と内管の間に形成した間隙に、
膨張剤を注入充填しうるように構成したことを特
徴とするアンカーロツド。」である。

（発明が解決しようとする課題） この発明に係るアンカーロツドは、地中に打設
または埋設したとき、アンカーロツド本体内に各
切目から土砂や水が入り、アンカーロツド本体内
に注入充填する膨張剤の膨張効果を阻害するとい
つた問題があつた。

（課題を解決するための手段） 本発明アンカーロツドは、外管と内管とからな
るアンカーロツド本体の外管の周壁部に、この外
管を直立させたとき略逆Ｕ字形となる複数個の切
目と、略たて直線状となる複数個の切目を設け、
上記アンカーロツド本体の先端開口部に閉塞金具
を取付け、かつアンカーロツド本体の外管の周壁
部に熱収縮性チユーブを外嵌固着させてこの周壁
部に形成した上記の各切目（略逆Ｕ字形および略
たて直線状の切目）を閉じ、このようになしたア
ンカーロツド本体の後端開口部から、上記外管と
内管の間に形成した間隙に、膨張剤を注入充填し
うるように構成したものである。

（作用） アンカーロツド本体の周壁部に設けた各切目
（アンカーロツド本体と直立させたとき略Ｕ字形
となる切目、略たて直線状となる切目）を閉じる
熱収縮性チユーブをこのアンカーロツド本体の周
壁部に外嵌固着させている。

このようになしたアンカーロツド本体に膨張剤
を注入充填して、アンカーロツド本体に引抜抵抗
力と摩擦力を高める膨大部および上開きの舌片を
形成する。アンカーロツド本体内に土砂や水が入
つていないので膨張効果がよい。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付の図面に従つて説
明する。

第１図は本発明の一実施例を示す分解全体斜視
図である。同図中１はアンカーロツド本体であ
り、金属製または合成樹脂製の円筒体である外管
２と内管３とからなる。大径である外管２の中に
小径の内管３を挿入する。外管２と内管３との間
には、一定幅の間隙４が形成されている。外管２
の先端周壁部には、この外管２を直立させたとき
略逆Ｕ字形となる複数個の切目５と、略たて直線
状となる複数個の切目６…とが設けられている。
切目５…により上開きとなる舌片７…が複数個形
成される。第２図および第３図はそれぞれ第１図
のＷ−Ｗ線およびＶ−Ｖ線横断面図である。

一方、第１図中８は閉塞金具であり、後端部８
ｃがアンカーロツド本体１の内管３の先端開口部
３ａに、中央部８ｂがアンカーロツド本体１の外
管２の先端開口部２ａに、それぞれ圧入固定され
る。閉塞金具８がアンカーロツド本体１に取付け
られることにより、地中でのアンカーロツド本体
１への土の侵入が防止されると共に、外管２と内
管３との間隙４に膨張剤を注入充填しうる収容室
が形成される。なお、閉塞金具８の取付けはここ
に示したものに限らない。閉塞金具８は主として
打設用であり、先端部８ａは鋭利な形状となつて
いる。

９は熱収縮性チユーブであり、アンカーロツド
本体１に設けた切目５…，６…を閉じるようにア
ンカーロツド本体１の外管２の周壁部に外嵌固着
する。こうしてアンカーロツド本体１に熱収縮性
チユーブ９を外嵌固着することにより、地中で切
目５…，６…から土砂や水がアンカーロツド本体
１内へ入るのを防止できる。このように、アンカ
ーロツド本体１と閉塞金具８と熱収縮性チユーブ
９とからアンカーロツドＡが構成されている。

なお、地中にアンカーロツド本体１を打設する
ときには、熱収縮性チユーブ９に約70℃〜100℃
の熱湯をかけ熱収縮させて、アンカーロツド本体
１の周壁部に外嵌固着させ、前記した各切目５
…，６…を閉じる。

以上説明したように、上記実施例においては、
アンカーロツド本体１の外管２の周壁部に切目５
…，６…を設け、アンカーロツド本体１の先端開
口部に閉塞金具８を取付け、これら切目５…，６
…を閉じる熱収縮性チユーブ９をアンカーロツド
本体１の外管２の周壁部に外嵌固着するだけで構
成されるので、製造が極めて容易であり、それゆ
え安価となる。また、熱収縮性チユーブ９を外嵌
固着しているので、地中において切目５…，６…
からこのアンカーロツド本体１内へ土砂、水が浸
入することを完全に防止できる。粒径の小さな土
砂から形成された土に対しても、また含有水分率
の高い軟弱な土に対しても有効に採用できる。そ
して現場で打設または埋設した後、アンカーロツ
ド本体１の後端開口部から膨張剤１３を注入すれ
ば、その膨張圧により舌片７…が上開きに起立す
るとともに、切目６…が押し開かれてこの部分が
膨大する。したがつて、アンカーロツドＡの土中
の引抜抵抗力および摩擦力は著しく高くなる。ま
た以下で詳細に説明するように、工場でアンカー
ロツド本体１の外管２の周壁部に切目５…，６…
を入れ、現場では打設するだけでよく、また埋設
する場合にもアンカーロツド本体１の外径と略等
しい径の削孔を掘削すればよいので、擁壁などの
補強工事も迅速、かつ経済的にできる。

なお、上記実施例においては、アンカーロツド
本体１は円筒体からなるが、中空の角柱を採用し
てもよい。切目５…，６…の数はアンカーロツド
本体１の強度に大きな影響を与えなければ多いほ
ど好ましい。

また上記実施例においては、アンカーロツド本
体１と閉塞金具８とは別部材であるが、一体に形
成してもよいし、外管２の先端開口部２ａと閉塞
金具８の後端部８ｂとを雌雄の螺合としてもよ
い。さらに第４図に示すように、閉塞金具８の後
端部８ｃに嵌合孔８ｄを設けて、アンカーロツド
本体１の内管３の先端部３ａを圧入固定させても
よい。埋設用には、第５図に示すように先端が平
坦な閉塞金具を採用すればよい。

さらに、上記実施例においては、塩化ビニル樹
脂製の熱収縮性チユーブ９を採用しているが、ナ
イロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン
樹脂製などであつてもよい。しかし、耐薬品性、
耐水性、耐候性および物理的強度の点からは、塩
化ビニル樹脂製のものが好ましい。たとえば、郡
是高分工業株式会社製の「Kopalon Ｓ−Tube」
（商品名）が好適に用いられる。そして、熱収縮
性チユーブ９は両端が開口しているが、特に埋設
用の場合は、先端が有底であつてもよく、この有
底の熱収縮性チユーブ９により閉塞金具８をも含
むようにアンカーロツド本体１を被覆してもよ
い。

以下、上記実施例のアンカーロツドＡを採用し
て実施しうる擁壁１０の補強工法の一例を説明す
ることにより、本発明のアンカーロツドの作用、
効果をより詳細に説明する。

まず、熱収縮性チユーブ９に約80℃の熱湯をか
け熱収縮させて、アンカーロツド本体１の外管２
の周壁部に熱収縮性チユーブ９を外嵌固着させ各
切目５…，６…を閉じる。ついで、このアンカー
ロツドＡの複数本、第６図に示すように、擁壁１
０に所定の間隔を置いて穿設した孔１１から擁壁
１０の垂直軸に対して鋭角に地中１２の所望の深
さまで打込む、このアンカーロツドＡは擁壁１０
の上部に打込むものは比較的短く、下部に到るに
従い次第に長いものを採用するのが好ましい。し
かし、必ずしもこのような方式に限るものではな
く、長いアンカーロツドと短いアンカーロツドと
を交互に打込んでもよい。また、アンカーロツド
は地盤が軟弱な場合は長いものを用いるのが好ま
しい。このように、アンカーロツドＡを地中１２
に打込んでも熱収縮性チユーブ９により地中１２
の土砂や水分はアンカーロツド本体１に浸入する
ことはない。

このようにして打込んだアンカーロツドＡの後
端開口部から膨張剤１３を各切目５…，６…が設
けられている位置まで注入充填する。この膨張剤
とは、硅酸塩を主体とする無機化合物と特定の有
機化合物と水との混合物である。たとえば、小野
田セメント株式会社製の「ブライスター」（商品
品名）と水との混合物が好適に使用できる。な
お、この膨張剤に少量のセメント、モルタルなど
を混合させたものを採用してもよい。

注入した膨張剤１３は膨大硬化し、約12〜24時
間経過すると最大の膨張圧を示し、第７図に示す
ように、この膨張圧により舌片７…は熱収縮性チ
ユーブ９を破断して上開きに起立し、略たて直線
状の切目６…の亀裂拡大に伴いアンカーロツド本
体１のその周辺部が膨大する（膨大部１４）。上
開きする舌片７…の起立により引抜抵抗力が、そ
してアンカーロツド本体１の膨大部１４…と、舌
片７…の周辺の膨大部１５により摩擦力がアンカ
ーロツドＡに付与される。第８図は舌片７…が上
開きに起立し、切目６…が亀裂拡大した状態を、
破断した熱収縮性チユーブ９を省略して示すアン
カーロツドＡの部分斜視図であり、第９図および
第１０図は、それぞれ膨張剤を省略して示す第８
図のＸ−Ｘ線横断面図およびＹ−Ｙ線横断面図で
ある。

アンカーロツド本体１の膨大部１４と、舌片７
…の起立に伴うアンカーロツド本体１のその周辺
部の膨大部１５とにより、アンカーロツドＡのそ
れらの周辺の土層に圧縮応力が加えられ圧密が生
じる。その結果、アンカーロツドＡと地中１２間
には大きな摩擦力が生じ、アンカーロツドＡ…の
引抜抵抗力は非常に高くなる。

膨張剤１３の膨張が終了した後、擁壁１０から
突出した各アンカーロツドＡ…の上端開口部に閉
塞金具を取付けるとともに、ナツトなどの締結手
段により擁壁１０に係合した各アンカーロツドＡ
…に緊張を付与する。このように張力を付与する
ことにより、アンカーロツドＡ…の引抜低抗力は
より大きくなる。

以上のようにして本発明のアンカーロツドの上
記実施例を採用した擁壁の補強は完了する。

なお、各アンカーロツドＡ…の擁壁１０からの
後端露出が好ましくないものであれば、その部分
をコンクリートで埋設するとよい。

（発明の効果） 地中に打込んだアンカーロツド本体に膨張剤を
注入充填させて、アンカーロツド本体の周壁部に
膨大部および上に開いた舌片を形成し、アンカー
ロツドに引抜抵抗力および摩擦力を高めることが
できる。アンカーロツド本体の周壁部には切目を
閉じる熱収縮性チユーブを外嵌固着しているの
で、アンカーロツド本体内に土砂や水が浸入せ
ず、膨張剤の膨張効率が阻害されないようにする
ことができる。直管状のアンカーロツド本体を地
中に打設または埋設し、膨張剤を注入充填するだ
けでよいので施工が容易で、施工機械も多く必要
としない。アンカーロツド本体を工場で量産で
き、しかも施工性がよいので経済的で、人家や施
設の密集地でも騒音が少なく、容易かつ迅速に施
工できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す分解斜視図、
第２図は第１図のＶ−Ｖ線横断面図、第３図は第
１図のＷ−Ｗ線横断面図、第４図および第５図は
閉塞金具の他の実施例を示す斜視図、第６図は擁
壁に設けられた孔に本発明アンカーロツドを貫通
して地中に打込んだ状態を示す一部断面図、第７
図は地中で舌片が熱収縮性チユーブを破断して起
立しかつ切目が亀裂拡大してそれらの周辺部が膨
大した状態を示す一部断面図、第８図は舌片が起
立しかつ切目が亀裂拡大してそれらの周辺部が膨
大した状態を破断した熱収縮性チユーブを省略し
て示す要部斜視図、第９図は膨張剤を省略して示
す第８図のＸ−Ｘ線横断面図、第１０図は膨張剤
を省略して示す第８図のＹ−Ｙ線横断面図であ
る。 Ａ……アンカーロツド、１……アンカーロツド
本体、５，６……切目、７……舌片、８……閉塞
金具、９……熱収縮性チユーブ、１０……擁壁、
１２……地中、１３……膨張剤、１４，１５……
膨大部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外管と内管とからなるアンカーロツド本体の
   外管の周壁部に、この外管を直立させたとき略逆
   Ｕ字形となる複数個の切目と、略たて直線状とな
   る複数個の切目を設け、上記アンカーロツド本体
   の先端開口部に閉塞金具を取付け、かつアンカー
   ロツド本体の外管の周壁部に熱収縮性チユーブを
   外嵌固着させてこの周壁部に形成した上記の各切
   目（略逆Ｕ字形および略たて直線状の切目）を閉
   じ、このようになしたアンカーロツド本体の後端
   開口部から、上記外管と内管の間に形成した間隙
   に、膨張剤を注入充填しうるように構成したこと
   を特徴とするアンカーロツド。