JPH0242470B2 - - Google Patents

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JPH0242470B2
JPH0242470B2 JP17053886A JP17053886A JPH0242470B2 JP H0242470 B2 JPH0242470 B2 JP H0242470B2 JP 17053886 A JP17053886 A JP 17053886A JP 17053886 A JP17053886 A JP 17053886A JP H0242470 B2 JPH0242470 B2 JP H0242470B2
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【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野> この発明は、醸造および上槽後に電磁波の照射
を受けてはじめて赤色系統の色に発色・定着され
る新規な酒類(清酒等)の製造方法に関するもの
である。 <従来の技術> 従来の酒(特に清酒界)では、酒の着色を嫌
い、製品の脱色および清澄に精力が注がれてき
た。すなわち、従来の清酒製造工程においては、
一般米若しくは醸造好適米を精白して得た精白米
を原料として醸造し、醗酵後の醪を上槽して得た
上槽酒(淡黄色)にさらに所定の脱色剤(たとえ
ば活性炭素等)や所定の清澄剤(たとえば柿渋
等)のようないわゆる酒質きよう正剤を添加し処
理をして清酒の脱色および清澄をしている。ま
た、清酒貯蔵中における清酒の褐変・着色を防止
し貯蔵安定性のよい清酒を得るために、上槽後で
壜詰前の清酒に太陽光線・紫外線等(電磁波)を
照射して清酒中に存在するメラニン色素の生成を
強制的に促進させて褐変・着色したのち当該褐
変・着色物質を活性炭素により吸着除去すること
により清酒中に含まれる褐変物質を予めほぼ完全
に除去する等の方法が採用されている。(特公昭
46−41198号)前記清酒の褐変現象の機作は、(a)
チロシン、トリプトフアンなどのアミノ酸が光の
エネルギーによつて酸化されて最終的に赤褐色の
色素になる反応、(b)前記(a)の各種物質に加えて鉄
の存在により前記褐変現象がさらに促進される反
応、(c)酵母菌が生産するインドール酢酸や麹菌が
生産するプロトカテキユ酸の様な極めて酸化され
やすい物質が光によつて酸化されて色素となる反
応であり、前記(a)ないし(c)のいずれの反応におい
ても酸素が褐変現象を増加・促進することも公知
である。このような清酒の褐変現象の機作につい
ての知見に基づき前記清酒の褐変・着色防止によ
る貯蔵安定性増進の方法が利用されているもので
ある。 しかし、最近各種洋酒等の影響や嗜好の変化に
伴い、清酒においてもそのフアツシヨン化が要請
される傾向にある。 ところが、清酒の製造方法は、酒税法で原料そ
の他が厳格に規制されているので、製造工程に別
途色素等を投入出来ない。従来の着色酒類の製法
は、製麹にモナスカス属のカビ(例えば、紅麹
菌:Monascus anka等)を利用して紅麹菌に紅
色色素を生産させて赤色清酒を醸造する方法、醗
酵末期の醪に木灰を加えて褐変反応を促進させて
赤褐色の酒を造る方法、赤色清酒酵母を用いて桃
色にごり酒を製造する方法などがある。その他に
最近では、原料に水溶性およびアルコール可溶性
のアントシアン系の赤色色素を含む「黒米」を使
用した紅色ないし淡紅色を呈する着色酒類(清
酒)の製造方法(特公昭58−31192号、特開昭58
−193684号)がある。上記従来の各着色酒類は、
いづれも醸造工程中または/および上槽時におい
てすでに着色された酒が得られるものである。特
に、前記着色酒類(特公昭58−31192号に基づく
着色酒類)は、各国産の各種有色米(台湾の褐色
米、フイリピンの赤褐色米、タイ・インドネシア
の紫紅色米など)を原料に使用する場合でも、ま
た日本産の短粒種赤褐色米を原料に使用する場合
でも、何れにしても当該原料米自体にアントシア
ン系色素等が含まれていることが前提であり、も
ともと原料に含まれるアントシアン系の赤色色素
等は醸造工程中に麹菌酵素の作用や酵母の醗酵作
用を受けることなくそのまま醪および酒の中に残
存し、分散・溶出してその結果醪および酒が着色
され上槽時においてすでに着色された酒が得られ
るというものである。したがつて、前記着色酒類
の製法(特公昭58−31192号に基づく着色酒類の
製法)において使用される前記『日本産の短粒種
赤褐色米』(アントシアン系の色素を含有する米)
と、この発明において使用される赤米等(アント
シアン系の色素を全く含まないで、各種タンニン
類を含有する米)とは、遺伝子型および表現型と
もに全く相違するものである。 また一方、ウイスキー、ブランデー、ラムなど
の蒸留酒の熟成方法として、カシ、ナラ等の材よ
り抽出されたポリフエノール区分を前記蒸留酒に
添加し、室温以上に所定期間保存することにより
熟成し香気・着色度を付与する方法も提唱されて
いる(特公昭40−7119号)。さらにまた、蒸留清
酒に香味および色択を付与する方法として、蒸留
清酒と、乾燥杉材または未蒸留の清酒に接触させ
た杉材とを接触させることにより蒸留清酒に香
味・色択をつけることが提唱されている(特公昭
52−33197号)。しかし、これらの方法は、いずれ
も一旦蒸留した蒸留酒(たとえば、ウイスキー、
ブランデー、ラムなど)や蒸留清酒に、樽材や桶
材に用いられるカシ、ナラ、杉材等に含まれる香
味成分および着色成分をアルコール中に添加また
は抽出させて着色された蒸留酒を得るものであつ
て、むしろ蒸留酒の熟成方法に関するものであ
る。 <発明が解決しようとする問題点> この発明は、発明者らが原料を独自に検索・選
定し、その各種原料を使用して独自の有色酒類の
製造方法を鋭意研究した結果完成されたものであ
つて、従来の着色酒とは全く異なる原料(すなわ
ちアントシアン系の赤色色素を全く含まないで各
種タンニン類を含有する原料たとえば赤米等)を
仕込原料の一部または全部に使用して醸造し、上
槽後の淡黄色の酒に電磁波を照射するという従来
にはなかつた独自の発色工程を含む新規な製造方
法を開発し、これにより従来の着色酒とは色調の
異なる全く新しい有色酒類を得るものである。 すなわち、この発明では、第一に原料米および
各種仕込原料(仕込態様等)について研究され、
第二にその原料を用いて酒類の醸造方法および発
色方法等が研究された結果完成された。この発明
にかかる酒類は、醗酵後上槽して得られる酒(淡
黄色)に電磁波を照射してはじめて透明なロゼ色
(若干の黄色を帯有した赤色)に発色される。そ
して、この発明の酒類のロゼ色は、500nm付近
に最大吸収値を有し(第1図参照)品位(品格)
と重厚味(落着き)のある色調を有するものであ
り、従来のアントシアン系の色素を含む着色酒類
(530nm付近に最大吸収値を有する赤色が勝つた
色調すなわち紅色)とは全くタイプが異なる。こ
れにより現代感覚および嗜好などにマツチした新
規な有色酒類を提供することを目的とする。 <問題点を解決するための手段> 上記目的を達成するために、酒類製造工程にお
いて、この発明では酒類の製造方法の第1の特徴
として、 仕込原料の一部または全部に各種タンニン類を
含有する原料(たとえば赤米等)を使用し、この
原料(赤米等)に含有される前記各種タンニン類
を醸造工程(醪醗酵工程)で麹菌酵素の作用およ
び酵母の醗酵(酵素)作用等のうちのいずれか一
方の作用または両方の作用により、電磁波の照射
を受けて発色できる状態(発色前駆体)に変化さ
せる工程と、 第2の特徴として この醗酵醪を上槽して得られる淡黄色の上槽酒
に太陽光線(間接光)などの電磁波を照射して、
目的とする色調(赤褐色ないしロゼタイプのいわ
ゆる深みのある赤色系統の色調)および色合(色
濃度)に発色・定着させる工程 とを含ませることにより、新規な有色酒類を得る
ことに成功した。 なお、この明細書において記載されている前記
各種タンニン類とは、タンニン類自体のほかタン
ニン類の重合体、タンニン類の誘導体およびタン
ニン類の複合体等からなる化合物群より選ばれた
1の化合物の単一物若しくは2以上の化合物の混
合物をいう(以下同じ)。したがつて、この発明
の有色酒類の製造方法の仕込原料の一部または全
部に用いられる「各種タンニン類を含有する原
料」とは、タンニン類とタンニン類の重合体とタ
ンニン類の誘導体とタンニン類の複合体等とから
なる化合物群より選ばれた1以上の化合物を含有
する原料をいう。 第1図に示すように、この発明にかかる製造方
法により得られる有色酒類は、500nm付近に最
大吸収値を有する。そして、当該酒類の有色成分
は、タンニン類、タンニン類の重合体、タンニン
類の誘導体、タンニン類とアミノ酸や糖類等との
複合体(complex)の中から選択された1の化合
物の単一物または2以上の化合物の混合物であ
る。そして、前記有色成分が有する赤色系統の色
調(赤褐色ないしロゼ色)は、必要に応じてこの
有色酒類に炭酸ガス等の比較的活性度の低いガス
または不活性ガスを溶解させることにより、その
安定化を図ることができる。かくして、この発明
にかかる有色酒類に炭酸ガス等を溶解処理するこ
とにより、この有色酒類の長期間保存が可能とな
る。 なお、原料中に含まれる前記各種タンニン類が
前述のように電磁波の作用を受けると発色され得
る物質(発色前駆体)までに変化するメカニズム
については未だ解明されていないが、原料中の前
記各種タンニン類は少なくとも醪醗酵工程中にお
いて麹菌酵素の作用および酵母の醗酵(酵素)作
用のうちのいずれか一方の作用若しくは両方の作
用により何等かの変化を受けて前記発色前駆体に
なることは確実である。ちなみに、前記各種タン
ニン類を含む原料が醪醗酵工程後に投入された場
合、上槽酒は電磁波の照射を受けても発色しな
い。 また、この発明にかかる前記各種タンニン類の
発色前駆体が、電磁波の照射により赤色系統の色
に発色する機作は、前記清酒の褐変・着色現象と
は全く別異の機作によるものであることは明らか
である。なぜなら、前記清酒の褐変・着色現象の
機作には各種タンニン類は全然関与していないか
らである。 この発明について、さらに詳細に説明する。 この発明に使用される原料は、前記各種タンニ
ン類を含有するもの(赤米など)を酒類の仕込原
料の一部または全部に用いることができる。この
各種タンニン類を含有する米としては、一般に
「赤米」(総称)(以下単に「赤米」という)と称
されるものが最適である。この「赤米」は、玄米
の果皮と種皮とに各種タンニン類等(つまりタン
ニン類、タンニン類の誘導体、タンニン類の重合
体、タンニン類の複合体等の中から選ばれた1の
化合物の単一物若しくは2以上の化合物の混合
物)を構成成分に含む赤褐色系色素を含有する米
であつて、この赤米にはアントシアン系の赤色色
素を全く含まないことは公知文献(北海道大学農
学部農場研究報告第23号、p11、(1983))にも明
らかにされており、従来の着色酒類の原料として
利用されているアントシアン系の赤色色素を含む
「黒米」または「黒紫色米」とは全く遺伝子型お
よび表現型が異なる。 この発明に使用される原料の「赤米」は、イネ
の粒色に関する遺伝子型によつても特定すること
ができる。すなわち、前記各種タンニン類を含有
する「赤米」の遺伝子型は、(Rc rd)、(Rc
Rd)、(Rcs rd)、(Rcs Rd)の各遺伝子型のい
ずれかを有する。したがつて、前記4種の遺伝子
型のうちのいずれかの遺伝子型を有する米であれ
ば、野性種と在来種と新しく育成された品種との
如何を問わず、この発明の有色酒類の仕込原料米
の一部または全部として利用できる。前記赤米が
含有する主なタンニン類は、カテキン、カテコー
ルタンニンおよびフロバフエン等のなかから選択
された1以上の物質である。 この発明の原料米として利用できる前記遺伝子
型を有する赤米の具体例(慣用名、通称または俗
称等)は、「総社」、「フイリピン天草」、「Chiem
chanh」、「Hatadani」、「Col/Nepal/539」、
「Bertone」、「観音仙」、「海南島」、「赤毛3」、
「赤緒(黒石)」、「赤うんちく」、「AS46」、「B.J.
I」、「DK1−13」、「T−246」、「Col/
KAGOSHIMA」、「STIRPEROUGE1」、「Col/
MIYAZAKI」、「TOYAMA」、「Col/
NAGASAKI」、「RUNGSAK KESAMBIK」、
「Hawara gepoek1」、「ソヨーリー」、「天落租
A」、「薬〓(ヤカン)」「RIKUTOUAKAGOME
D」等々が例示できる。 前記「赤米」は、前述のように果皮および種皮
に各種タンニン類が蓄積されているために玄米の
色が褐色を帯有している。そして、赤米は、野性
種や栽培種等により異なるが、通常約9〜11%精
米処理(精米歩合約91〜89%)されると、前記各
種タンニン類等の色素成分を含む果皮および種皮
が取り除かれる。したがつて、赤米が一般的な清
酒醸造用に精米歩合約70%にまで精白されると、
通常の醸造白米と同様になる。そこで、この発明
の有色酒類を製造(醸造)する前記第1特徴の工
程、つまり各種タンニン類を含有する原料(赤米
等)を仕込原料の一部または全部に用いて醸造す
る工程には、つぎの3つの実施態様例が可能であ
る。 第1の実施態様例は、仕込原料の一部または全
部に赤米の玄米または/および精白度の低い赤米
(つまり前記各種タンニン類が蓄積された層を残
した状態の精白度<約90%以上の精米歩合>の赤
米)を用いる場合である。赤米の玄米または/お
よび精白度の低い赤米は、製造工程のうち製麹工
程、酒母工程または/および醪工程の各工程中に
用いられる「蒸米」の一部または全部として使用
することができる。赤米の玄米または/および精
白度の低い赤米の使用量は、その赤米(玄米)中
の各種タンニン類含有量および精白度の程度によ
り異なる。原則として有効量存在すればよいこと
となるが、通常赤米等の使用量は、仕込原料の蒸
米の全量に対して約10%以上、好ましくは約30%
以上である。なお、赤米を仕込原料の一部に用い
るときは、残りの仕込原料は通常の精白米を使用
するのは勿論である。 第2の実施態様例は、赤米の各種タンニン類
等・色素成分抽出液(以下「各種タンニン類等抽
出液」という)を仕込水の一部または全部として
用いる場合である。赤米の各種タンニン類等抽出
液は、仕込水の総量に対して少なくとも10%以上
好ましくは50%以上使用することができる。この
赤米の各種タンニン類等抽出液は、酒母育成の時
期から醪醗酵工程中のいずれの時期においても仕
込水の一部または全部として投入することができ
る。ところで、赤米の各種タンニン類等抽出液の
調整方法は、たとえば (a) 赤米の玄米を等倍量ないし約5倍量の水に常
温で数時間ないし一昼夜浸漬したのち固液分離
して抽出液(浸漬水)(つまり赤米の各種タン
ニン類等抽出液)を得る方法、 (b) 赤米の玄米に約20℃以上(好ましくは約60℃
以上)の温水を前記赤米の等倍量ないし5倍量
加え、時々撹拌しながら約30分ないし3時間浸
漬・抽出した後、固液分離して赤米の各種タン
ニン類等抽出液を得る方法、 (c) 赤米の玄米に熱水を前記赤米の等倍量ないし
5倍量加え、約5分ないし30分間煮沸して各種
タンニン類等・色素成分を抽出後、固液分離し
て赤米の各種タンニン類等抽出液を得る方法、 等によることができる。 第3の実施態様例は、赤米を精白したとき得ら
れる「糠粉」の糖化液を利用するものである。こ
の赤米の糠粉の糠化液の調整方法は、赤米を精白
する際に見られる「糠粉」1重量部に対して米麹
0.2〜10重量部(好ましくは0.5〜2重量部)を加
え、さらにこの糠粉および米麹の合計量に対して
汲水1〜2倍量を加え、約55℃で5時間以上かけ
て糖化する。(糖度:ブリツクス示度約20〜40度)
このようにして得られた糖化液を醪容量に対して
5%以上(好ましくは10%以上)を添加する。こ
の糖化液の添加時期は、仕込時または醪醗酵工程
中(添仕込、仲仕込、留仕込)のいずれの時期に
投入してもよいのは勿論、4段仕込にしてもよ
い。 なお、前記第3の実施態様例において、4段仕
込など醪醗酵工程の後期に前記糠糖化液を投入し
た場合、麹菌酵素の作用および酵母の醗酵(酵
素)の作用のうちのいずれか一方の作用若しくは
両方の作用が充分に各種タンニン類に及ばないた
めに原料中の各種タンニン類等が発色し得る前記
発色前駆体まで完全に変化しないで有色酒類の発
色状態が若干低下することがある。このような場
合には糠糖化液の添加量(配合量)を適宜増加す
るのが好ましい。 また、この発明にかかる酒類の製造工程中、前
記第1の実施態様例、第2の実施態様例および第
3の実施態様例のいずれの方法を採用した場合で
も、醗酵中の醪色は淡黄色ないし微肌色を呈す
る。 この発明にかかる有色酒類の製造工程(上槽工
程以降は除く)において、前記各種タンニン類を
含有する原料(たとえば赤米等)を用いて醸造す
るという本発明の前記第1特徴の工程以外は、公
知の「製麹工程」、「酒母工程」および「醪工程」
を経て酒類を製造することとなる。なお、前記製
麹工程において、通常利用される菌種アスペルギ
ルス オリゼ(Aspergillus oryzae)に代えて、
有機酸生成能力の強い菌種たとえばアスペルギル
ス ニガ(Aspergillus niger)、アスペルギルス
カワチ(Aspergillus kawachi)、リゾプス属
(Rhizopus属)のある種の菌、その他の菌等を利
用して製麹を行うことにより、白ワインなみの酸
味の強い(通常の清酒の2〜3倍量の酸度のあ
る)サワータイプのさつばりとした酒類(清酒
等)を得ることができる。 上記のようにして得られた醪(淡黄色ないし微
肌色)は、公知の方法により上槽され、酒類(淡
黄色)と酒粕とに分離される。上槽後の酒類(淡
黄色)は、この発明の第2の特徴である発色・色
調定着の工程に移される。すなわち、上槽酒は、
たとえば光を透過し得る無色透明のガラス容器に
移され、電磁波たとえば太陽の直接光線、太陽の
間接光線、可視光線、紫外線、赤外線等に照射さ
れて上槽酒の色は淡黄色から透明で且つ赤色ない
しロゼ色(若干黄色を帯びた赤色ないし赤褐色)
に発色・色調定着される。第1図はこの発明にか
かる酒類(発色後)の可視部吸収スペクトルであ
り、この発明にかかる酒類が500nmに最大吸収
値を有する落着きのある色調のロゼ色(褐色を帯
びた赤色または若干黄色を帯びた赤色ないし赤褐
色)であることを示唆している。 この上槽酒の発色状態は、照射される電磁波
(太陽光線等)の強さおよび照射量に影響される。
照射される光が強い程また照射量が多い程、酒の
発色の進行状態が増大される傾向にある。前記上
槽酒に太陽の間接光線を照射した場合、酒類の発
色は数時間でわずかに発色しはじめ約2日〜50日
間で徐々にその色濃度が増加するので、酒類の色
調・色濃度を容易且つ自由に調整することができ
る。一方、太陽の直射光線を照射した場合、前記
上槽酒は数十分(約20〜30分)で発色しはじめ約
数時間ないし数日間で色濃度が増加するが、酒類
の色調が黄色ないし褐色に増強帯有されるという
変色の問題等々酒類の品質上の問題が生ずる。ま
た、紫外線および赤外線は、間接太陽光線や可視
光線と比較してその発色作用が劣る。したがつ
て、この発明の上槽酒に照射する電磁波は、太陽
の間接光線が最適である。 この発明にかかる製造方法により得られる酒類
の有色成分は、タンニン類、タンニン類の重合
体、タンニン類の誘導体およびタンニン類の複合
体(糖類・アミノ酸類等とタンニン類との複合体
<complex>)の中から選択された少なくとも1
以上の化合物を含んでいる。そして、前記タンニ
ン類としては、カテキン、カテコールタンニン、
フロバフエンなどの存在が認められる。 この発明にかかる製造方法により得られる有色
酒類が帯有している赤色ないし赤褐色の色調(ロ
ゼ)は、炭酸ガス等の比較的活性の低いガスまた
は不活性ガスがその酒類に溶解された場合、極め
て長時間安定であることが判明した。したがつ
て、上槽および発色後、この発明にかかる有色酒
類を冷所(約5〜10℃)で30日〜50日間後醗酵さ
せて酒類に炭酸ガスを含有させるか、または前記
有色酒類を約5℃以下に冷却して炭酸ガスを飽和
または充填(約2Kg/cm2以下)することにより、
この発明にかかる酒類の色調等の変化は極めて少
なくて長期間の保存が可能な有色発泡酒類を得る
ことができる。また、前記有機酸生産能力の強い
糖化菌種の使用とあいまつて、新しいサワータイ
プの有色発泡酒類(たとえば有色発泡清酒等)が
実現される。 また、この発明にかかる製造方法により得られ
る有色酒類の色調(前記有色成分)は、熱に安定
で火入れの工程によつても何等影響を受けない。
さらにまた、前記有色成分に起因すると考えられ
る酒の品質上の影響は、官能テストの結果認めら
れない。 <この発明の作用および効果> この発明は第1に仕込原料の一部または全部に
各種タンニン類(つまりタンニン類、タンニン類
の重合体、タンニン類の誘導体およびタンニン類
の複合体等の中から選ばれた1の化合物の単一物
または2以上の化合物の混合物.以下同じ)を含
有する原料(たとえば赤米など)を使用し、醸造
工程において麹菌酵素の作用および酵母の醗酵
(酵素)の作用のいずれか一方の作用若しくは両
方の作用により原料中に含まれる前記各種タンニ
ン類が電磁波の照射を受けて発色し得る状態(発
色前駆体)にまで変化され、第2に醗酵醪を上槽
して得られた淡黄色を呈する酒類に電磁波(太陽
の間接光線など)を照射することにより、前記発
色前駆体が赤色系統色(赤色若しくは赤褐色ない
しロゼ色)を呈するタンニン類、タンニン類の重
合体、タンニン類の誘導体および/またはタンニ
ン類の複合体等(上記各種有色成分)にまでさら
に変化・発色され、これにより特徴ある前記色調
(赤色若しくは赤褐色ないしロゼ色)に着色され
た新しいタイプの酒類(清酒等)を得る等、発明
目的を達成する卓越した効果を奏する。 さらにまた、この発明にかかる製造方法により
得られる酒類の有色成分は、電磁波の照射量によ
りその色調・濃度を簡単に調整することができ、
しかも安定である。とくに炭酸ガス等を酒類に溶
解させることにより著しくその安定度が増加する
ので、有色の発泡酒類や有機酸多量生産菌を使用
したサワータイプの有色発泡清酒等の有色発泡酒
類への利用が図れる等、応用範囲が広く経済価値
の高い酒類を提供する等々、発明目的を達成する
卓越した効果をも併せて奏する。 <実施例> (1) 原料米の一部に赤米の玄米を利用した醸造
例。 原料の一部に赤米(「総社」または「フイリ
ピン天草」の玄米等)を使用する。製麹工程、
酒母工程、醪醗酵工程の各工程で使用する「蒸
米」は、赤米玄米5重量部と精白米5重量部の
割合で混合したものを使用する。20日間醪醗酵
後上槽して上槽酒1(淡黄色)を得る。 (2) 赤米の各種タンニン類等抽出液を仕込水の一
部に利用した醸造例。 赤米の各種タンニン類等抽出液は、赤米の玄
米1重量部に対して2重量部の温水(約60℃)
を加えて浸漬し、時々撹拌して赤米の各種タン
ニン類等・色素成分を約3時間抽出した後、液
層を各種タンニン類等抽出液とするか、または
玄米1重量部に対して2重量部の熱水(約90
℃)を加え時々撹拌しながら約10〜20分煮沸し
て赤米の各種タンニン類等・色素成分を抽出し
た後、液層を各種タンニン類等抽出液とする。
そして、仕込工程において使用する各仕込水
は、赤米の前記各種タンニン類等抽出液1重量
部と通常仕込水1重量部との混合物を使用す
る。20日間醪醗酵後上槽して上槽酒2(淡黄
色)を得る。 (3) 「赤米の糠粉」の糖化液を醪中に利用した醸
造例。 赤米の糠粉(赤米を精白したときに得られる
糠粉)2重量部に対して米麹1重量部と汲水3
〜6重量部を加え、約55℃で5時間ないし8時
間糖化して赤米糠粉糖化液を得る。(糖度:ブ
リツクス示度約30゜) 前記赤米糠粉糖化液は、醪工程の醪総量に対
して配合量約30%となるように添加される。20
日間醪醗酵後上槽して上槽酒3(淡黄色)を得
る。 (4) 上槽酒1、上槽酒2および上槽酒3の発色処
理例。 前記上槽酒1、上槽酒2および上槽酒3を各
個別に無色透明のガラス容器にいれて栓をし、
室温で太陽光線の間接光に照射させる。照射時
間は1日につき約8時間ないし10時間とする。
淡黄色を呈した前記上槽酒1、上槽酒2および
上槽酒3は数時間の照射でわずかに赤色ないし
ロゼ色に発色し始め、徐々にその色濃度が増加
する。第2図は太陽光線(間接光)の照射時間
と酒類の発色との関係を示す発色状態例図であ
り、縦軸は500nmにおける吸光度を示し、横
軸は照射時間(日)を示す。なお、この発色状
態は、前記上槽酒1、上槽酒2および上槽酒3
において有意の差は認められない。 (5) 炭酸ガスがこの発明の有色酒類の有色成分の
安定性に及ぼす影響の試験例。 供試体(試験物と対照物)の調整方法は、 A 試験体:この発明の有色酒類(電磁波を照
射して発色させた後の酒)に、0℃で10分間
炭酸ガスを溶解させる。 B 対照体:この発明の有色酒類(発色後の
酒)に炭酸ガス溶解処理をしないもの。 を使用する。 前記試験物および対照物は、調製されたのち
無色透明のガラス容器にいれて栓をし、室温下
太陽の間接光線があたる室内で保存される。酒
類の有色成分の安定性の試験方法としては、 (a) 酒類の色調等の変化(黄色ないし褐色の帯
有の有無など)を肉眼で観察することによる
方法、 (b) 酒類の可視部(500nm)における吸光度
の変化を測定する方法、 (c) 酒類の可視部吸収スペクトル曲線(または
最大吸収波長)の変化を測定する方法 を採用し、定期的に前記各観測および計測を行
う。 第1表は前記(a)の肉眼観察による酒類の色調
安定度(変色)試験例の結果を示す。
【表】 (6) 有色発泡清酒の醸造例(本発明の応用例)。 前記上槽酒1、上槽酒2および上槽酒3を発
色処理後、5〜10℃の条件下で30日ないし50日
間後醗酵させて、ロゼ色を呈し且つ発泡タイプ
の有色発泡清酒を得る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明にかかる有色酒類の可視部吸
収スペクトル、第2図はこの発明の酒類の発色状
態例を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 酒類製造工程において、各種タンニン類を含
    有する原料を仕込原料の一部または全部に用いて
    麹菌および酵母菌の存在下で醸造する工程と、醗
    酵した醪を上槽して得られる上槽酒に電磁波を照
    射して赤色系統の色に発色させる工程とを含むこ
    とを特徴とする有色酒類の製造方法。 2 前記各種タンニン類は、タンニン類とタンニ
    ン類の重合体とタンニン類の誘導体とタンニン類
    の複合体とからなる化合物群より選択された1の
    化合物の単一物または2以上の化合物の混合物で
    ある特許請求の範囲第1項記載の有色酒類の製造
    方法。 3 前記タンニン類は、カテキン、カテコールタ
    ンニンおよびフロバフエンより選択された1の化
    合物の単一物または2以上の化合物の混合物であ
    る特許請求の範囲第2項記載の有色酒類の製造方
    法。 4 前記各種タンニン類を含有する原料は、赤米
    である特許請求の範囲第1項記載の有色酒類の製
    造方法。 5 前記赤米は、その遺伝子型が(Rc rd)、
    (Rc Rd)、(Rcs rd)、(Rcs Rd)のうちのい
    ずれかの米である特許請求の範囲第4項記載の有
    色酒類の製造方法。 6 前記電磁波は、太陽の間接光線、太陽の直接
    光線、可視光線、紫外線、または赤外線である特
    許請求の範囲第1項記載の有色酒類の製造方法。
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JPS5233197A (en) * 1975-09-10 1977-03-14 Hitachi Ltd Centerless grinding method and device of workpiece
JPS5831192A (ja) * 1981-08-18 1983-02-23 日本フエルト株式会社 耳カ−ルを防止した合成繊維製抄紙用網

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