JP3041416B2 - 酒類の製造法 - Google Patents
酒類の製造法Info
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- JP3041416B2 JP3041416B2 JP16154598A JP16154598A JP3041416B2 JP 3041416 B2 JP3041416 B2 JP 3041416B2 JP 16154598 A JP16154598 A JP 16154598A JP 16154598 A JP16154598 A JP 16154598A JP 3041416 B2 JP3041416 B2 JP 3041416B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酒類の製造に関す
るものであり、更に詳細には、米麹のカラメル化による
色香味に個性があり、低アルコールでも味わいのある新
規な醸造酒やリキュール類の製造に関するとともに、そ
の製造に使用される各種の新規麹製品にも関するもので
ある。
るものであり、更に詳細には、米麹のカラメル化による
色香味に個性があり、低アルコールでも味わいのある新
規な醸造酒やリキュール類の製造に関するとともに、そ
の製造に使用される各種の新規麹製品にも関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在、上市されて販売されている清酒に
ついては、酒質の多様化のためにいろいろな着色の試み
がなされてきた(桃色濁り酒(西谷ら:日本醸造協会雑
誌80,17(1985))・あかい酒(広井忠夫:麹
学 日本醸造協会編p474(1986)参考)。しか
し、清酒製造法については、原料として米、米麹等使用
制限があり、限られた多様化しか図れなかった。特に近
年の消費者のライト化指向により、低濃度アルコール化
の傾向がある。しかし、清酒等の無色透明で香りに個性
の少ない酒類についてはアルコール度数の低下に伴い、
敏感に官能評価が悪くなる傾向がある。
ついては、酒質の多様化のためにいろいろな着色の試み
がなされてきた(桃色濁り酒(西谷ら:日本醸造協会雑
誌80,17(1985))・あかい酒(広井忠夫:麹
学 日本醸造協会編p474(1986)参考)。しか
し、清酒製造法については、原料として米、米麹等使用
制限があり、限られた多様化しか図れなかった。特に近
年の消費者のライト化指向により、低濃度アルコール化
の傾向がある。しかし、清酒等の無色透明で香りに個性
の少ない酒類についてはアルコール度数の低下に伴い、
敏感に官能評価が悪くなる傾向がある。
【0003】現在、清酒醸造で使用されるでんぷんの液
化、糖化剤としては、米麹が使用されている。一般に、
米麹は液化力が強く、水分含量が高い状態で高温におか
れると液化して形状が崩れてしまう。そのため、ビール
製造用の殻のある麦芽のカラメル化のように粒状を保っ
たカラメル化することは不可能であり、清酒醸造には用
いられていない。
化、糖化剤としては、米麹が使用されている。一般に、
米麹は液化力が強く、水分含量が高い状態で高温におか
れると液化して形状が崩れてしまう。そのため、ビール
製造用の殻のある麦芽のカラメル化のように粒状を保っ
たカラメル化することは不可能であり、清酒醸造には用
いられていない。
【0004】清酒の多様化の一つとして、色調の多様化
が試みられてきたが、赤色酵母を利用する桃色濁り酒に
ついては、通常の清酒製造とは異なる酵母を使用するた
め、特別な微生物管理が必要である。さらに、製成酒の
色度の安定性が悪く、日光等による退色が激しいので、
商品として保存に問題が生じる。一方、紅麹については
全体的な酵素力価が低く、単独では清酒醸造には使用で
きない。そこで、従来の黄麹と併用することになる。そ
の場合、異なる微生物を製麹工程を分けて作る必要があ
るため、製造工程上の負担が大きくなる。
が試みられてきたが、赤色酵母を利用する桃色濁り酒に
ついては、通常の清酒製造とは異なる酵母を使用するた
め、特別な微生物管理が必要である。さらに、製成酒の
色度の安定性が悪く、日光等による退色が激しいので、
商品として保存に問題が生じる。一方、紅麹については
全体的な酵素力価が低く、単独では清酒醸造には使用で
きない。そこで、従来の黄麹と併用することになる。そ
の場合、異なる微生物を製麹工程を分けて作る必要があ
るため、製造工程上の負担が大きくなる。
【0005】一方、食品用色素として多くの食品におい
てカラメル色素が使用されているが、清酒醸造等では色
素の添加が認められていないため、カラメル色素を使用
することができず、この点も清酒の多様化の妨げのひと
つになっている。
てカラメル色素が使用されているが、清酒醸造等では色
素の添加が認められていないため、カラメル色素を使用
することができず、この点も清酒の多様化の妨げのひと
つになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術の現状に鑑み、新しいタイプの清酒類を開発するた
め、特に着色にすぐれた、香味に特徴を有する新規酒類
を開発する目的でなされたものである。
技術の現状に鑑み、新しいタイプの清酒類を開発するた
め、特に着色にすぐれた、香味に特徴を有する新規酒類
を開発する目的でなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、各方面から検討の
結果、本発明者らはカラメル色素に着目した。そして米
麹のカラメル化を図ることとし、鋭意研究の結果、米麹
の水分を調整することにより、米麹を固体のまま糖化す
ることが可能であることを発見した。さらに、この糖化
麹を高温で乾燥することによりカラメル化することを発
見した。この高温乾燥の時間を調節することにより、種
々の色、香味の異なる米麹ができることを見いだした。
また、高温乾燥による雑菌の除去及び乾燥後、密閉保存
することにより貯蔵性が増すことも見いだした。
成するためになされたものであって、各方面から検討の
結果、本発明者らはカラメル色素に着目した。そして米
麹のカラメル化を図ることとし、鋭意研究の結果、米麹
の水分を調整することにより、米麹を固体のまま糖化す
ることが可能であることを発見した。さらに、この糖化
麹を高温で乾燥することによりカラメル化することを発
見した。この高温乾燥の時間を調節することにより、種
々の色、香味の異なる米麹ができることを見いだした。
また、高温乾燥による雑菌の除去及び乾燥後、密閉保存
することにより貯蔵性が増すことも見いだした。
【0008】本発明により製造した乾燥糖化麹又はそれ
をカラメル化した麹を用いた試醸を試み、種々のタイプ
の酒類の製造を試みたところ、低アルコール濃度におい
ても色調・香味に特色のある酒類の製造を行うことがで
きることを発見した。
をカラメル化した麹を用いた試醸を試み、種々のタイプ
の酒類の製造を試みたところ、低アルコール濃度におい
ても色調・香味に特色のある酒類の製造を行うことがで
きることを発見した。
【0009】また、米麹を高濃度で糖化を行った後、高
温で保温することにより着色液が取得できることを見い
だし、酒類の製造に使用できることを発見した。
温で保温することにより着色液が取得できることを見い
だし、酒類の製造に使用できることを発見した。
【0010】本発明のカラメル化した麹より色素等を従
来のカラメル系色素と同様に、水、温水等で抽出して、
リキュール原料として利用できることを見いだした。
来のカラメル系色素と同様に、水、温水等で抽出して、
リキュール原料として利用できることを見いだした。
【0011】本発明は、これらの有用新知見に基づいて
なされたものであって、米麹を固体のまま糖化し、高温
で乾燥させることによりカラメル化させ、貯蔵性の優れ
た着色の麹を製造し、又は高濃度の麹糖化液を高温で保
持することによりカラメル化させた色素液を製造し、こ
れらを原料として色調豊かで香味に特徴のある醸造酒又
はリキュール類の製造に関するものである。以下、本発
明について詳しく説明する。
なされたものであって、米麹を固体のまま糖化し、高温
で乾燥させることによりカラメル化させ、貯蔵性の優れ
た着色の麹を製造し、又は高濃度の麹糖化液を高温で保
持することによりカラメル化させた色素液を製造し、こ
れらを原料として色調豊かで香味に特徴のある醸造酒又
はリキュール類の製造に関するものである。以下、本発
明について詳しく説明する。
【0012】本発明を実施するには、先ず、米麹を加水
した後、加熱することにより、固体状のまま糖化して糖
化麹を製造する。その際米麹の水分が40.5〜48.
5%、好適には40〜45%となるよう、加水して水分
調整を行い、45〜65℃で1〜10時間加熱処理し
て、固体状のまま糖化させるのがよい。
した後、加熱することにより、固体状のまま糖化して糖
化麹を製造する。その際米麹の水分が40.5〜48.
5%、好適には40〜45%となるよう、加水して水分
調整を行い、45〜65℃で1〜10時間加熱処理し
て、固体状のまま糖化させるのがよい。
【0013】このようにして得た固体の糖化麹は、次に
60〜90℃で1〜6時間乾燥せしめ、乾燥糖化麹を得
る。乾燥方法に格別な限定はなく、例えば上記温度の温
風を用い、必要あれば糖化麹を移動及び/又は攪拌しな
がら乾燥してもよいし、あるいは適宜な熱源を用いてそ
のまま乾燥せしめてもよい。
60〜90℃で1〜6時間乾燥せしめ、乾燥糖化麹を得
る。乾燥方法に格別な限定はなく、例えば上記温度の温
風を用い、必要あれば糖化麹を移動及び/又は攪拌しな
がら乾燥してもよいし、あるいは適宜な熱源を用いてそ
のまま乾燥せしめてもよい。
【0014】この乾燥糖化麹は、米麹由来の酵素活性を
残存させたままで、しかも雑菌は除去されており、且つ
水分含量が低く(10%以下、好ましくは5%以下)、
高い貯蔵性を有している。そのうえ、この乾燥糖化麹
は、一部カラメル化が始まっていて褐色化しており、ま
た、液化することなく粒状を呈しているので、以降にお
いて茶色麹及び/又は乾燥粒状糖化麹という場合もあ
る。
残存させたままで、しかも雑菌は除去されており、且つ
水分含量が低く(10%以下、好ましくは5%以下)、
高い貯蔵性を有している。そのうえ、この乾燥糖化麹
は、一部カラメル化が始まっていて褐色化しており、ま
た、液化することなく粒状を呈しているので、以降にお
いて茶色麹及び/又は乾燥粒状糖化麹という場合もあ
る。
【0015】次いで、糖化麹又は茶色麹をカラメル化す
る、カラメル化は、90℃以上(好ましくは100℃以
上)で1時間以上(好ましくは3時間以上、更に好まし
くは15時間以上)で加熱して行う。好適な態様として
は、例えば90〜100℃で1時間以上乾燥せしめて行
えばよく、このように加熱乾燥処理することによって、
カラメル化された茶色麹、すなわち黒色乾燥糖化麹(以
下、黒色麹ということもある)を得る。黒色麹には、黒
色色素及び/又はカラメル特有の香味が付加されてお
り、しかも上記した加熱条件をコントロールすることに
より、色調及び/又は香味を自由にコントロールするこ
とができる。
る、カラメル化は、90℃以上(好ましくは100℃以
上)で1時間以上(好ましくは3時間以上、更に好まし
くは15時間以上)で加熱して行う。好適な態様として
は、例えば90〜100℃で1時間以上乾燥せしめて行
えばよく、このように加熱乾燥処理することによって、
カラメル化された茶色麹、すなわち黒色乾燥糖化麹(以
下、黒色麹ということもある)を得る。黒色麹には、黒
色色素及び/又はカラメル特有の香味が付加されてお
り、しかも上記した加熱条件をコントロールすることに
より、色調及び/又は香味を自由にコントロールするこ
とができる。
【0016】また、茶色麹は、液体状でカラメル化する
ことができ、そのためには、茶色麹に重量比で70〜1
50%(好ましくは75〜125%)の水を加水した
後、85℃以上(好ましくは95℃以上)で10時間以
上(好ましくは15時間以上保温すればよい。好適な態
様としては、例えば85〜100℃で10時間以上)保
温すればよく、その結果、乾燥糖化麹を原料としてカラ
メル化した溶液を製造することができる。
ことができ、そのためには、茶色麹に重量比で70〜1
50%(好ましくは75〜125%)の水を加水した
後、85℃以上(好ましくは95℃以上)で10時間以
上(好ましくは15時間以上保温すればよい。好適な態
様としては、例えば85〜100℃で10時間以上)保
温すればよく、その結果、乾燥糖化麹を原料としてカラ
メル化した溶液を製造することができる。
【0017】また更に、米麹を茶色麹にすることなく、
糖化液とし、これをカラメル化してもよい。そのために
は、米麹に対して重量比で70〜150%(好ましくは
72〜125%)の水を加水し、先に述べた糖化条件
(45〜65℃、1〜10時間の加熱)によって糖化
し、得られた糖化液を、上記した茶色麹の場合と同様の
条件で保温し、米麹からカラメル化した溶液を直接製造
することができる。
糖化液とし、これをカラメル化してもよい。そのために
は、米麹に対して重量比で70〜150%(好ましくは
72〜125%)の水を加水し、先に述べた糖化条件
(45〜65℃、1〜10時間の加熱)によって糖化
し、得られた糖化液を、上記した茶色麹の場合と同様の
条件で保温し、米麹からカラメル化した溶液を直接製造
することができる。
【0018】上記したカラメル化した溶液についても茶
色麹や黒色麹の場合と同様に、カラメル化条件をコント
ロールすることにより、色調及び/又は香味を自由にコ
ントロールすることができる。このようにして、茶色
麹、黒色麹、カラメル化した溶液の少なくともひとつか
らなるカラメル化物質を製造することができる。
色麹や黒色麹の場合と同様に、カラメル化条件をコント
ロールすることにより、色調及び/又は香味を自由にコ
ントロールすることができる。このようにして、茶色
麹、黒色麹、カラメル化した溶液の少なくともひとつか
らなるカラメル化物質を製造することができる。
【0019】カラメル化物質は、そのままあるいはその
処理物(濃縮物、ペースト化物、乾燥物、又は希釈物)
として、これを単独で使用することにより(例えば単発
酵)、あるいは、酒類醸造時の原材料(酒母、麹米、四
段用添加成分等)として使用することにより(例えば、
併行複発酵)、着色及び/又は香味付与された醸造酒や
リキュール類を得ることができる。
処理物(濃縮物、ペースト化物、乾燥物、又は希釈物)
として、これを単独で使用することにより(例えば単発
酵)、あるいは、酒類醸造時の原材料(酒母、麹米、四
段用添加成分等)として使用することにより(例えば、
併行複発酵)、着色及び/又は香味付与された醸造酒や
リキュール類を得ることができる。
【0020】本発明によれば、原料、水分や加熱条件等
をコントロールすることによって、着色及び/又は風香
味を自由にコントロールすることができ、例えば、淡褐
色〜黒色の色調を有し、及び/又は、カラメル特有の香
味が弱い〜強いという各種の風香味を有する醸造酒やリ
キュール、例えば低アルコール型、清酒型又はビール型
等の各種酒類を製造することができる。
をコントロールすることによって、着色及び/又は風香
味を自由にコントロールすることができ、例えば、淡褐
色〜黒色の色調を有し、及び/又は、カラメル特有の香
味が弱い〜強いという各種の風香味を有する醸造酒やリ
キュール、例えば低アルコール型、清酒型又はビール型
等の各種酒類を製造することができる。
【0021】本発明に係るカラメル化物質は、そのま
ま、あるいは抽出し、あるいはそれを更に処理して、こ
れを着色物質及び/又は香味付与物質として、各種食
品、飲料、酒類、医薬品、化粧品に添加使用することが
でき、醸造酒の分野においては、例えば四段用色素液と
して好適に使用することができる。抽出処理は、水、温
水、エタノールの少なくともひとつを用いて行い、得ら
れた抽出液は、そのまま、あるいは更に処理物(濃縮
物、ペースト化物、乾燥物、又は希釈物)として使用す
ることもできる。
ま、あるいは抽出し、あるいはそれを更に処理して、こ
れを着色物質及び/又は香味付与物質として、各種食
品、飲料、酒類、医薬品、化粧品に添加使用することが
でき、醸造酒の分野においては、例えば四段用色素液と
して好適に使用することができる。抽出処理は、水、温
水、エタノールの少なくともひとつを用いて行い、得ら
れた抽出液は、そのまま、あるいは更に処理物(濃縮
物、ペースト化物、乾燥物、又は希釈物)として使用す
ることもできる。
【0022】以下、本発明の実施例について述べる。
【0023】
【実施例1:粒状糖化麹の作成】清酒製造用米麹10g
(水分含量28%)に1〜5gの蒸留水を加え、プラス
チックシャーレ(φ90×15mm)に密閉し、57℃
・1時間で糖化を行い、糖化の状況と糖化後の粒状の変
化を観察した。その結果、加水2g以下では麹全体に均
等に水分が回らず、糖化が米粒全体に進行しなかった
(糖化が進んだ部分は白色の麹部分が透明に変わる)。
一方、4g以上の加水については米粒の原型が崩れ、粒
の周りに余剰の糖液が溶出した。以後、米麹10gあた
り3gの加水により試料を調製し(水分含量44.6
%)、これを用いて、最適糖化条件を検討した。
(水分含量28%)に1〜5gの蒸留水を加え、プラス
チックシャーレ(φ90×15mm)に密閉し、57℃
・1時間で糖化を行い、糖化の状況と糖化後の粒状の変
化を観察した。その結果、加水2g以下では麹全体に均
等に水分が回らず、糖化が米粒全体に進行しなかった
(糖化が進んだ部分は白色の麹部分が透明に変わる)。
一方、4g以上の加水については米粒の原型が崩れ、粒
の周りに余剰の糖液が溶出した。以後、米麹10gあた
り3gの加水により試料を調製し(水分含量44.6
%)、これを用いて、最適糖化条件を検討した。
【0024】糖化時間を1〜6時間に変更して、ぶどう
糖の生成量を測定した。ぶどう糖の生成量は米麹10g
相当に蒸留水50mlを加え、ミキサーミル(松下電器
産業(株)ナショナルミキサーMX−X51)で5分間
粉砕混合し、2000G、5分の遠心上澄液のぶどう糖
濃度をグルコースBテストワコー(和光純薬工業(株)
製)で測定した。その結果を表1(ぶどう糖の生成)に
示す。その結果3時間以上の糖化時間によりほぼ一定の
値が得られることを見出した。
糖の生成量を測定した。ぶどう糖の生成量は米麹10g
相当に蒸留水50mlを加え、ミキサーミル(松下電器
産業(株)ナショナルミキサーMX−X51)で5分間
粉砕混合し、2000G、5分の遠心上澄液のぶどう糖
濃度をグルコースBテストワコー(和光純薬工業(株)
製)で測定した。その結果を表1(ぶどう糖の生成)に
示す。その結果3時間以上の糖化時間によりほぼ一定の
値が得られることを見出した。
【0025】
【表1】
【0026】
【実施例2:粒状糖化麹の乾燥及びカラメル化】粒状糖
化麹の貯蔵性を高めるために、80℃の熱風乾燥による
乾燥化を行った。3〜5時間の乾燥で水分が5%以下に
なった。なお、この間の酵素活性の変化は、国税庁所定
分析法に従い、酵素抽出を行い、糖化力測定キット(キ
ッコーマン(株)製)による測定を行った。その結果、
1時間当たり約52%の失活が認められた。細菌酸度
(第三回改正 国税庁所定分析法注解p308(昭和4
9年)に基づき測定)は糖化前2.0ml、糖化後及び
3時間乾燥後0.2mlとなり、雑菌の除去が可能であ
ることが解った。また、乾燥時間が長くなることによ
り、褐色に発色することを見いだした。さらに、この操
作により、麹及びその糖化による特有の香(粕汁様)が
無くなり、カラメル様の香ばしい香が発生した。
化麹の貯蔵性を高めるために、80℃の熱風乾燥による
乾燥化を行った。3〜5時間の乾燥で水分が5%以下に
なった。なお、この間の酵素活性の変化は、国税庁所定
分析法に従い、酵素抽出を行い、糖化力測定キット(キ
ッコーマン(株)製)による測定を行った。その結果、
1時間当たり約52%の失活が認められた。細菌酸度
(第三回改正 国税庁所定分析法注解p308(昭和4
9年)に基づき測定)は糖化前2.0ml、糖化後及び
3時間乾燥後0.2mlとなり、雑菌の除去が可能であ
ることが解った。また、乾燥時間が長くなることによ
り、褐色に発色することを見いだした。さらに、この操
作により、麹及びその糖化による特有の香(粕汁様)が
無くなり、カラメル様の香ばしい香が発生した。
【0027】さらに、この発色を進めるために、80℃
・3時間乾燥した粒状糖化麹(透明感のある飴色を呈す
る、以下茶色麹という)を、さらに100℃で乾燥を続
けることにより、黒色の乾燥粒状糖化麹(以下黒色麹、
茶色麹と合わせ着色麹という)を取得することができ
た。この色素は蒸留水やエタノールにより抽出が可能で
あった。色素の生成を100℃で処理時間との関係を着
色度の変化で見た結果を図1に示した。なお、着色度は
実施例1のぶどう糖生成量と同様に色素を抽出し、遠心
上澄を430nmでの吸光度で測定した。その結果、1
00℃・15時間処理まで吸光度は上昇するが、以後そ
の増加は緩慢になることが見出せた。なお、この色素は
糖化した糖類のカラメル化もしくは糖類と麹中のアミノ
酸とのメラノイジン生成物と考えられる。両物質ともに
従来の食品に存在し、色素等としても使用されており安
全と考えられる。さらに、カラメル様の特有の香気と酸
味が生成する。
・3時間乾燥した粒状糖化麹(透明感のある飴色を呈す
る、以下茶色麹という)を、さらに100℃で乾燥を続
けることにより、黒色の乾燥粒状糖化麹(以下黒色麹、
茶色麹と合わせ着色麹という)を取得することができ
た。この色素は蒸留水やエタノールにより抽出が可能で
あった。色素の生成を100℃で処理時間との関係を着
色度の変化で見た結果を図1に示した。なお、着色度は
実施例1のぶどう糖生成量と同様に色素を抽出し、遠心
上澄を430nmでの吸光度で測定した。その結果、1
00℃・15時間処理まで吸光度は上昇するが、以後そ
の増加は緩慢になることが見出せた。なお、この色素は
糖化した糖類のカラメル化もしくは糖類と麹中のアミノ
酸とのメラノイジン生成物と考えられる。両物質ともに
従来の食品に存在し、色素等としても使用されており安
全と考えられる。さらに、カラメル様の特有の香気と酸
味が生成する。
【0028】以下、茶色麹として乾燥条件80℃3時間
及び黒化条件100℃、15時間乾燥させた黒色麹を使
用した。各乾燥麹の成分(湿重量当たりで示した)は表
2(粒状糖化麹等の成分)のとおりであった。なお、水
分は、各麹を赤外線ケット水分計FD−230((株)
ケット科学研究所製)で120℃10分測定し、色度は
試料1gを5gの蒸留水に6時間振とう・浸漬し、その
ろ液の430nm吸光度を示す。ぶどう糖、抽出酸度及
び酵素活性は、同様に調整したろ液を測定し、その値を
5倍し、米麹1g中の値に換算した。
及び黒化条件100℃、15時間乾燥させた黒色麹を使
用した。各乾燥麹の成分(湿重量当たりで示した)は表
2(粒状糖化麹等の成分)のとおりであった。なお、水
分は、各麹を赤外線ケット水分計FD−230((株)
ケット科学研究所製)で120℃10分測定し、色度は
試料1gを5gの蒸留水に6時間振とう・浸漬し、その
ろ液の430nm吸光度を示す。ぶどう糖、抽出酸度及
び酵素活性は、同様に調整したろ液を測定し、その値を
5倍し、米麹1g中の値に換算した。
【0029】
【表2】
【0030】
【実施例3:着色麹を用いた低濃度アルコール酒の製
造】着色麹を用いて清酒を醸造した。なお、対照区とし
て米麹を使用した。仕込配合は、表3(一段仕込の仕込
配合)、表4(二段仕込の仕込配合)のとおりで、各乾
燥麹は乾燥前の米麹相当の重量を示した。発酵の開始
は、清酒用乾燥酵母901号((財)日本醸造協会)4
5mg/100g−総米gを添加し、最終アルコール濃
度5%以下(一段仕込)及び10%以下(二段仕込)の
配合を行った。なお、一段仕込の汲み水は350%(乾
燥による水分の不足分を調整)、乳酸添加量は、添仕込
後の酸度が2.72になるように添加した。品温15℃
一定での発酵経過を炭酸ガス減量で見た結果を図2、3
に示す。
造】着色麹を用いて清酒を醸造した。なお、対照区とし
て米麹を使用した。仕込配合は、表3(一段仕込の仕込
配合)、表4(二段仕込の仕込配合)のとおりで、各乾
燥麹は乾燥前の米麹相当の重量を示した。発酵の開始
は、清酒用乾燥酵母901号((財)日本醸造協会)4
5mg/100g−総米gを添加し、最終アルコール濃
度5%以下(一段仕込)及び10%以下(二段仕込)の
配合を行った。なお、一段仕込の汲み水は350%(乾
燥による水分の不足分を調整)、乳酸添加量は、添仕込
後の酸度が2.72になるように添加した。品温15℃
一定での発酵経過を炭酸ガス減量で見た結果を図2、3
に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】一段仕込では、試験区1、2(着色麹単独
での仕込)では発酵が遅れる傾向があり、乾燥時に酵母
が発酵に必要な栄養分の一部等が分解するためと考えら
れた。その製成酒は色素は十分抽出されていたが、残糖
が多く、発酵が完全に終了していなかった。この現象は
適量の米麹を加えることにより、発酵が促進され改善さ
れることを見いだした。そこで、黒色麹を着色度が試験
区1と同程度になるように添加する試験区3の仕込配合
を設定した。二段仕込では一段仕込と同様に試験区1、
2(着色麹単独仕込)では発酵が遅れ、糖分の残った製
成酒が製成された。
での仕込)では発酵が遅れる傾向があり、乾燥時に酵母
が発酵に必要な栄養分の一部等が分解するためと考えら
れた。その製成酒は色素は十分抽出されていたが、残糖
が多く、発酵が完全に終了していなかった。この現象は
適量の米麹を加えることにより、発酵が促進され改善さ
れることを見いだした。そこで、黒色麹を着色度が試験
区1と同程度になるように添加する試験区3の仕込配合
を設定した。二段仕込では一段仕込と同様に試験区1、
2(着色麹単独仕込)では発酵が遅れ、糖分の残った製
成酒が製成された。
【0034】製成酒の成分は、表5(一段仕込の製成酒
成分と官能評点)、表6(二段仕込の製成酒成分と官能
評点)のとおりであって、対照区に対して、試験区1、
2では、アルコール(ALC)の生成が少なく、アミノ
酸度が低い傾向があった。試験区1と同程度の着色度に
なるように、米麹に黒色麹を使用した試験区3では、順
調な発酵経過と対照区と同等の生成酒成分が得られた。
さらに、7名による官能試験(3点法:1:優、2:
良、3:可)の結果は、一段仕込の試験区1、2では着
色の重要性が指摘され、対照区で問題になった米麹に原
因する麹臭さがないことが示された。さらに、試験区3
では黒色麹の香味によるこの麹臭さがマスキングされ、
良い評価につながった。試験区2では甘味、苦味も強
く、個性的であるとの指摘があった。
成分と官能評点)、表6(二段仕込の製成酒成分と官能
評点)のとおりであって、対照区に対して、試験区1、
2では、アルコール(ALC)の生成が少なく、アミノ
酸度が低い傾向があった。試験区1と同程度の着色度に
なるように、米麹に黒色麹を使用した試験区3では、順
調な発酵経過と対照区と同等の生成酒成分が得られた。
さらに、7名による官能試験(3点法:1:優、2:
良、3:可)の結果は、一段仕込の試験区1、2では着
色の重要性が指摘され、対照区で問題になった米麹に原
因する麹臭さがないことが示された。さらに、試験区3
では黒色麹の香味によるこの麹臭さがマスキングされ、
良い評価につながった。試験区2では甘味、苦味も強
く、個性的であるとの指摘があった。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【実施例4:色素液の作成】米麹を重量比75〜125
%汲み水歩合で、57℃、4時間の高濃度糖化処理する
ことにより、または実施例2で作成した茶色麹に同様に
加水を行った後、100℃で24時間保温することによ
りカラメル化させることが可能であった。その結果を表
7に示した。色素生成量は、生成色素液1gを蒸留水1
00mlに希釈し、希釈液をろ過し、そのろ液の430
nmの吸光度を測定した。両者ともに430nmの着色
度は麹1g当り20前後の生成が認められた。前者の色
素液は、米麹とカラメルの混ざった複雑な香を、そして
後者の場合は、カラメルの香の強い香を有する傾向があ
った。
%汲み水歩合で、57℃、4時間の高濃度糖化処理する
ことにより、または実施例2で作成した茶色麹に同様に
加水を行った後、100℃で24時間保温することによ
りカラメル化させることが可能であった。その結果を表
7に示した。色素生成量は、生成色素液1gを蒸留水1
00mlに希釈し、希釈液をろ過し、そのろ液の430
nmの吸光度を測定した。両者ともに430nmの着色
度は麹1g当り20前後の生成が認められた。前者の色
素液は、米麹とカラメルの混ざった複雑な香を、そして
後者の場合は、カラメルの香の強い香を有する傾向があ
った。
【0038】
【表7】
【0039】米麹からの色素液は、米麹とカラメルの混
ざった複雑な香を、そして茶色麹使用の場合は、カラメ
ルの強い香を有する傾向があった。これらの色素液を市
販清酒に添加したところ、市販清酒100ml当たり1
OD以上になるように添加すると、赤褐色から濃いコハ
ク色になり、3OD以上添加することにより、黒色と認
められた。
ざった複雑な香を、そして茶色麹使用の場合は、カラメ
ルの強い香を有する傾向があった。これらの色素液を市
販清酒に添加したところ、市販清酒100ml当たり1
OD以上になるように添加すると、赤褐色から濃いコハ
ク色になり、3OD以上添加することにより、黒色と認
められた。
【0040】
【実施例5:着色麹を用いた清酒型醸造酒の製造】通常
の清酒仕込に対し、黒色麹を総米の8%添加することに
より、着色清酒の製造を試みた。仕込配合は難波らの方
法(日本醸造協会誌73,295(1978))に基づ
き、総米500g、清酒用乾燥酵母901号((財)日
本醸造協会)(0.225g添加)、品温15℃一定で
行った。仕込配合は表8(清酒型醸造酒の仕込配合)の
とおりである。なお、添時に10倍希釈75%乳酸1.
8ml添加した。
の清酒仕込に対し、黒色麹を総米の8%添加することに
より、着色清酒の製造を試みた。仕込配合は難波らの方
法(日本醸造協会誌73,295(1978))に基づ
き、総米500g、清酒用乾燥酵母901号((財)日
本醸造協会)(0.225g添加)、品温15℃一定で
行った。仕込配合は表8(清酒型醸造酒の仕込配合)の
とおりである。なお、添時に10倍希釈75%乳酸1.
8ml添加した。
【0041】
【表8】
【0042】対照区・試験区との発酵経過の差はなく、
両者ともに順調に発酵が終了した。製成酒の成分は表9
(清酒型醸造酒の一般成分と官能評価)のとおりで、一
般成分及び官能的評点に差はなく、着色度のみに差が認
められた。なお、官能的には香味にカラメル特有の個性
が認められた。
両者ともに順調に発酵が終了した。製成酒の成分は表9
(清酒型醸造酒の一般成分と官能評価)のとおりで、一
般成分及び官能的評点に差はなく、着色度のみに差が認
められた。なお、官能的には香味にカラメル特有の個性
が認められた。
【0043】
【表9】
【0044】
【実施例6:清酒型酒の割水による影響】実施例5で得
られた醸造酒を表10(清酒型酒の割水による官能評価
に対する影響)に示すアルコール度数になるように蒸留
水で割り水を行った。さらに、実施例5の米麹で作成し
た黒色色素液を着色度が2になるように対照酒に添加し
た試験区2を設け、7人で官能審査(3点法)を行った
結果を同じく表10に示した。アルコール度数について
は、対照酒では、10%以下で急速に評点を下げる傾向
を示したのに対して、実施例6の着色酒の試験区1で
は、アルコール度数10%でも良い評価が得られた。し
かし、試験区1のアルコール度数5%では、評点が悪く
なった。この原因は原酒を割水により調整したため、着
色の状態で通常清酒の異常着色に相当するような色調に
なったためと考えられた。試験区2に対しては、5%で
も良好な評価が得られた。色素液の影響による色の効果
及び香味の効果によるものと考えられた。
られた醸造酒を表10(清酒型酒の割水による官能評価
に対する影響)に示すアルコール度数になるように蒸留
水で割り水を行った。さらに、実施例5の米麹で作成し
た黒色色素液を着色度が2になるように対照酒に添加し
た試験区2を設け、7人で官能審査(3点法)を行った
結果を同じく表10に示した。アルコール度数について
は、対照酒では、10%以下で急速に評点を下げる傾向
を示したのに対して、実施例6の着色酒の試験区1で
は、アルコール度数10%でも良い評価が得られた。し
かし、試験区1のアルコール度数5%では、評点が悪く
なった。この原因は原酒を割水により調整したため、着
色の状態で通常清酒の異常着色に相当するような色調に
なったためと考えられた。試験区2に対しては、5%で
も良好な評価が得られた。色素液の影響による色の効果
及び香味の効果によるものと考えられた。
【0045】
【表10】
【0046】
【実施例7:着色麹を用いたビール型醸造酒の製造】麦
芽の代わりに、米麹(試験区1)、茶色麹(試験区2)
及び米麹と黒色麹との混合(試験区3)を用いた発泡酒
の製造を試みた。仕込配合は、表11(ビール型醸造酒
の仕込配合)のとおりである。米麹は麹汁を製造し、糖
化麹については、煮沸により糖化麹汁を作成した。各麹
汁を麦汁と同じしょ糖度が9になるように加水して使用
した。各汁に乾燥ホップを添加し、煮沸を15分行い、
ろ過し、冷却後、ろ液に乾燥ビール酵母2g/lを添加
し、発酵を行った。発酵は、20℃で5日間主発酵を行
い、0.5g/100mlの砂糖を添加し、瓶詰後、3
℃で3週間後発酵を行った。主発酵の状態は、やや試験
区2の発酵が遅れるものの、他の試験区は対照区と同じ
であった。
芽の代わりに、米麹(試験区1)、茶色麹(試験区2)
及び米麹と黒色麹との混合(試験区3)を用いた発泡酒
の製造を試みた。仕込配合は、表11(ビール型醸造酒
の仕込配合)のとおりである。米麹は麹汁を製造し、糖
化麹については、煮沸により糖化麹汁を作成した。各麹
汁を麦汁と同じしょ糖度が9になるように加水して使用
した。各汁に乾燥ホップを添加し、煮沸を15分行い、
ろ過し、冷却後、ろ液に乾燥ビール酵母2g/lを添加
し、発酵を行った。発酵は、20℃で5日間主発酵を行
い、0.5g/100mlの砂糖を添加し、瓶詰後、3
℃で3週間後発酵を行った。主発酵の状態は、やや試験
区2の発酵が遅れるものの、他の試験区は対照区と同じ
であった。
【0047】
【表11】
【0048】製成酒の成分を分析するとともに、官能テ
ストを行い、表12(製成酒の成分と官能結果)の結果
を得た。その結果、米麹使用の発泡酒は、やや泡立ちが
低く、泡持ちが悪かった。しかし、他の試験区のもので
は、対照区と同程度の泡の状態が得られた。製成酒の成
分は、試験区2でアルコールの生成量がやや少なく、残
存エキスが多かった。7人による官能試験(3点法)の
結果、試験区3が黒ビール様で、カラメルの香味、特に
苦味による味幅の広がり等の評価による良好な結果が得
られた。試験区1については麹の香とホップの香が混在
し、新規性があるとの評価があった。
ストを行い、表12(製成酒の成分と官能結果)の結果
を得た。その結果、米麹使用の発泡酒は、やや泡立ちが
低く、泡持ちが悪かった。しかし、他の試験区のもので
は、対照区と同程度の泡の状態が得られた。製成酒の成
分は、試験区2でアルコールの生成量がやや少なく、残
存エキスが多かった。7人による官能試験(3点法)の
結果、試験区3が黒ビール様で、カラメルの香味、特に
苦味による味幅の広がり等の評価による良好な結果が得
られた。試験区1については麹の香とホップの香が混在
し、新規性があるとの評価があった。
【0049】
【表12】
【0050】
【発明の効果】米麹を固体のまま糖化し、加熱乾燥によ
ってカラメル化して黒色麹を取得し、あるいは米麹の糖
化液を加熱保温することによってカラメル化してカラメ
ル化溶液を取得し、黒褐色系の色素の生成及び/又はカ
ラメル特有の甘い香りや苦味によって、低濃度アルコー
ル酒の色、香味の増強が可能であるのみでなく、通常の
清酒醸造においても、これ(ら)を利用することによっ
て、清酒に着色したり、カラメル由来の風香味を付与し
たりすることができ、清酒の多様化も達成される。ま
た、糖化麹中にはグルコースのほかにアミノ酸も含有さ
れているためメイラード反応も進行し、カラメル化の効
果が更に増強される。
ってカラメル化して黒色麹を取得し、あるいは米麹の糖
化液を加熱保温することによってカラメル化してカラメ
ル化溶液を取得し、黒褐色系の色素の生成及び/又はカ
ラメル特有の甘い香りや苦味によって、低濃度アルコー
ル酒の色、香味の増強が可能であるのみでなく、通常の
清酒醸造においても、これ(ら)を利用することによっ
て、清酒に着色したり、カラメル由来の風香味を付与し
たりすることができ、清酒の多様化も達成される。ま
た、糖化麹中にはグルコースのほかにアミノ酸も含有さ
れているためメイラード反応も進行し、カラメル化の効
果が更に増強される。
【図1】糖化麹の100℃乾燥処理による色素生成量の
変化を示す。
変化を示す。
【図2】一段仕込による発酵経過を示す。
【図3】二段仕込による発酵経過を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−11881(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12G 3/02 - 3/06 C12C 5/04 A23L 1/27 - 1/277
Claims (9)
- 【請求項1】 米麹の水分含量を40〜48.5%に調
整し、45〜65℃で1〜10時間加熱処理することに
よって固体状のまま糖化処理し、得られた固体状の糖化
麹を60〜90℃で1〜6時間乾燥せしめて酵素活性を
残したままの乾燥糖化麹(茶色麹)を得ること、を特徴
とするカラメル化物質の製造方法。 - 【請求項2】 米麹の水分含量を40〜48.5%に調
整し、45〜65℃で1〜10時間加熱処理することに
よって固体状のまま糖化処理して得た固体状の糖化麹、
あるいは、これを60〜90℃で1〜6時間乾燥せしめ
て得た酵素活性を残したままの乾燥糖化麹(茶色麹)、
についてこれを更に90〜100℃で1時間以上乾燥せ
しめて黒色乾燥糖化麹(黒色麹)を得ること、を特徴と
するカラメル化物質の製造方法。 - 【請求項3】 米麹に対して重量比で70〜150%の
水を加水して45〜65℃で1〜10時間加熱処理する
ことによって糖化処理した後、あるいは乾燥糖化麹(茶
色麹)にあってはこれを重量比で70〜150%の水を
加水した後、85〜100℃で10時間以上保温するこ
とによりカラメル化した溶液を得ること、を特徴とする
カラメル化物質の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方
法で製造してなるカラメル化物質。 - 【請求項5】 カラメル化物質が、茶色麹、黒色麹、カ
ラメル化した溶液の少なくともひとつであることを特徴
とする請求項4に記載の物質。 - 【請求項6】 請求項4又は5に記載の物質を、単独で
使用してなる、あるいは、酒類醸造時の材料の一部とし
て使用してなること、を特徴とする着色及び/又は香味
付与醸造酒又はリキュール。 - 【請求項7】 醸造酒が、低アルコール型、清酒型、ビ
ール型醸造酒の少なくともひとつであること、を特徴と
する請求項6に記載の醸造酒。 - 【請求項8】 請求項4又は5に記載の物質を、そのま
ま、あるいは、水、温水、エタノールの少なくともひと
つで抽出してなること、そして必要あれば更に濃縮処理
してなること、を特徴とする着色及び/又は香味付与物
質。 - 【請求項9】 四段用色素液として使用することを特徴
とする請求項8に記載の物質。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16154598A JP3041416B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 酒類の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16154598A JP3041416B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 酒類の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11332548A JPH11332548A (ja) | 1999-12-07 |
JP3041416B2 true JP3041416B2 (ja) | 2000-05-15 |
Family
ID=15737151
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16154598A Expired - Lifetime JP3041416B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 酒類の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3041416B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4600018B2 (ja) * | 2004-12-07 | 2010-12-15 | 地方独立行政法人山口県産業技術センター | 赤色清酒とその製造方法 |
JP2017112911A (ja) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | キリン株式会社 | ビールらしい苦味を有する未発酵のビールテイスト飲料 |
CN110903924A (zh) * | 2019-12-11 | 2020-03-24 | 四川轻化工大学 | 一种提高大曲酿造质量的方法 |
CN113736601A (zh) * | 2021-10-14 | 2021-12-03 | 厦门绿泗海生物科技有限公司 | 原味甘酒及其制备工艺 |
CN115181624A (zh) * | 2022-07-11 | 2022-10-14 | 四川省食品发酵工业研究设计院有限公司 | 一种富含洛伐他汀的功能型红曲米酒及其酿造工艺 |
-
1998
- 1998-05-27 JP JP16154598A patent/JP3041416B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11332548A (ja) | 1999-12-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |