JP5066083B2 - 発泡性アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡性アルコール飲料及びその製造方法に関し、特に、低色度の発泡性アルコール飲料及びその製造方法に関する。
近年、ビールに用いられる量に比較して少ない量の麦芽を使用し、又は麦芽を使用することなく製造されたビール様発泡性アルコール飲料が登場している。
このビール様発泡性アルコール飲料の製造工程においては、ビールに類似した香味や色を付与するため、例えば、原料の一部としてホップを使用し、さらにホップを添加した麦汁の煮沸やカラメル色素の添加等による着色処理が行われていた。
一方、このビール様発泡性アルコール飲料の色度を低減する方法としては、従来、例えば、いったん着色された発泡性アルコール飲料を、その製造過程の最終段階で、活性炭等の吸着剤を用いて脱色する方法が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−211872号公報
しかしながら、上記従来の色度低減方法においては、吸着剤によって、色素のみならず、その製造過程でいったん付与された香味成分も除去されてしまうため、色度の低減に伴って発泡性アルコール飲料の醸造酒に特有の香味が損なわれてしまうという問題を避けることができなかった。
そして、このように脱色によって香味が損なわれた発泡性アルコール飲料にハーブ類を添加して所望の色付けをする場合には、当該ハーブ類に由来する味(例えば、酸味や渋味)が醸造酒に特有の香味を上回ることにより、香味のバランスが損なわれることがあった。なお、脱色を施さない高色度の発泡性アルコール飲料にハーブ類によって色付けする場合には、所望の色彩を得るために大量のハーブ類を添加した結果、やはり香味のバランスが損なわれることがある。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、低色度で、且つ、その製造過程で付与される香味を維持した発泡性アルコール飲料及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料製造方法は、色度がEBC単位で1.5以下の発酵前液を調製する発酵前工程と、前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、前記アルコール発酵を経た発酵後液から、色度がEBC単位で1.0以下の発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程と、を含むことを特徴とする。ここで、EBC単位とは、欧州醸造協会(European Brewery Convention)により定められた色度の単位であり、ビール等の色度を表す指標として一般に用いられているものである。また、本発明でいう発泡性アルコール飲料とは、例えば、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡もち特性と、を有するアルコール飲料であり、具体的には、EBC法によるNIBEM値(泡もち特性を表す単位)で50以上を示すアルコール飲料である。
本発明によれば、低色度で、且つ、その製造過程で付与される香味を維持した発泡性アルコール飲料の製造方法を提供することができる。すなわち、本発明によれば、発酵工程以降において吸着剤等を用いた特別な脱色処理を行う必要がないため、色度がEBC単位で1.0以下でありながら、醸造酒に特有の香味を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。
また、前記発酵前工程において、前記酵母が利用可能な炭素源と窒素源とを互いに独立に準備した後、当該炭素源と当該窒素源とを含む前記発酵前液を調製することとしてもよい。この場合、メラノイジン等の色素の生成を伴う糖化処理を必ずしも行う必要がないため、発酵前液の着色を効果的に抑制することができる。
また、前記発酵前工程において、前記発酵前液の煮沸を、その色度がEBC単位で1.5を超えない範囲内で行うこととしてもよい。この場合、メラノイジン等の色素の生成を伴う煮沸処理による発酵前液の着色を効果的に抑制することができる。
また、前記発酵前工程において、発芽させた豆類を原料の一部として含む前記発酵前液を調製することとしてもよい。また、前記豆類として、エンドウ、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆からなる群より選択される少なくとも1つを用いることとしてもよい。これらの場合、香味付けのために必ずしもホップを使用する必要がなくなり、低色度でありながら、香味に優れ、且つバランスの取れた苦味を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。
また、前記発酵前工程において、前記発芽させた豆類を、原料のうち0.0001質量%〜10質量%の範囲内で含む前記発酵前液を調製することとしてもよい。この場合、発芽させた豆類の色素による着色を効果的に抑制しつつ、香味に優れ、且つバランスの取れた苦味を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料は、前記発泡性アルコール飲料製造方法によって製造され、色度がEBC単位で1.0以下であることを特徴とする。
本発明によれば、低色度で、且つ、その製造過程で付与される香味を維持した発泡性アルコール飲料を提供することができる。すなわち、本発明によれば、色度がEBC単位で1.0以下でありながら、醸造酒に特有の香味を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。
また、前記発泡性アルコール飲料は、発酵由来の香味エステルとして、酢酸エチルを10.0mg/L以上、及び酢酸イソアミルを0.5mg/L以上含むこととしてもよい。この場合、低色度で、且つ、酵母によって生成された香味に優れ、味の厚みを付与された発泡性アルコール飲料を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法に含まれる主な工程を示すフロー図である。 実施例1における色度等の分析結果を示す説明図である。 実施例1における香味成分の分析結果を示す説明図である。 実施例1における官能検査の結果を示す説明図である。 実施例2における色度、香味成分、官能検査の評価結果を示す説明図である。 実施例3における吸光度の測定結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料」という)及びその製造方法(以下、「本方法」という)について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本方法に含まれる主な工程について示すフロー図である。図1に示すように、本方法は、色度がEBC単位で1.5以下の発酵前液を調製する発酵前工程10と、当該発酵前工程10で調製された発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程11と、当該発酵工程11を経た発酵後液に所定の処理を施して本飲料を得る発酵後工程12と、を含む。
発酵前工程10においては、その調製の過程で、発酵前液の色度がEBC単位で1.5を超えることがないよう、当該発酵前液を調製する。すなわち、発酵前液に添加する酵母の栄養源として、予め互いに独立に調製された炭素源と窒素源とを用いる。
この場合、炭素源としては、穀物から抽出されたデンプンを分解酵素や酸による加水分解によって分解することにより得られた、酵母が利用可能な発酵性糖を用いる。具体的に、トウモロコシ、馬鈴薯、米、小麦、大麦等から抽出されたデンプンを、アミラーゼ等の分解酵素を用いて低分子化することにより得られた精製糖類(例えば、グルコースやフルクトース等の単糖類や、マルトースやシュクロース等の二糖類を含む)を用いることができ、好ましくは、トウモロコシ由来の液糖を用いることができる。
また、窒素源としては、穀物から抽出されたタンパク質やペプチド、これらを分解酵素や酸による加水分解によって分解することにより得られた、酵母が利用可能な含窒素化合物を用いる。さらに、エンドウ、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆等の豆類から抽出されたタンパク質をプロテアーゼ等の分解酵素を用いて低分子化することにより得られたアミノ酸やペプチドを用いることができ、好ましくは、エンドウ由来タンパク質の酵素分解物を用いることができる。
そして、これら別々に精製された炭素源と窒素源とを湯に溶解することにより発酵前液を調製する。この場合、ビールの醸造等で行われている糖化工程が不要となるため、還元糖と含窒素化合物とのメイラード反応によるメラノイジン等の色素の生成を効果的に抑制しつつ、発酵前液を調製することができる。
また、この発酵前工程10においては、発酵前液に添加する原料の一部として、発芽させた豆類を用いることとしてもよい。これは、本発明者が鋭意研究を重ねた結果見出した、発芽させた豆類を発酵前液に添加することにより、色度がEBC単位で1.0以下であって、良好な香味及びバランスの取れた苦味を有する発泡性アルコール飲料を製造できるとの知見に基づくものである。
すなわち、本方法においては、炭素源及び窒素源に加えて、発芽豆類を添加した発酵前液を調製する。この場合、原料の一部としてホップを用いることなく、香味に優れ、バランスの取れた苦味を有した発泡性アルコール飲料を製造することができる。したがって、香味付けのためにホップを用いる必要がなくなるため、ホップに由来する着色を回避できるのみならず、ホップを用いないことによる香味や苦味の不足を解消することもできる。
この豆類としては、例えば、エンドウ、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆からなる群より選択される少なくとも1つを発芽させて用いることができ、好ましくは、発芽させたエンドウを用いることができる。
また、発酵前工程10において豆類の発芽及び焙燥を行う場合には、まず、当該豆類を所定温度の湿潤状態で所定時間放置することにより、当該豆類を発芽させる。具体的に、まず、0℃〜40℃、好ましくは10℃〜20℃の水に1時間〜48時間、豆類を浸す(浸豆)。次いで、豆類を網状の床面に置いて、当該床面の下方から湿度100%の空気を送りこみ、発芽させる。この発芽温度(例えば、送り込まれる湿潤空気の温度)は、例えば、0℃〜40℃の範囲内とすることができ、好ましくは、5℃〜20℃の範囲内とすることができ、特に好ましくは12℃前後とすることができる。また、発芽時間(例えば、豆類に対する湿潤空気の送風時間)は、用いる豆類に応じて適宜設定することができる。
そして、このようにして発芽させた豆類を乾燥させ、さらに焙燥する。すなわち、発芽した豆類の温度を、発芽温度程度から50℃〜90℃に徐々に昇温させるよう、当該豆類に対する送風温度を徐々に上昇させる。これにより、発芽豆類の水分を十分に蒸発させるとともに、さらに加熱して、50℃〜90℃で所定時間保持する焙燥を行うことができる。また、この焙燥においては、発芽させた豆類を煮沸させて当該豆類に含まれるデンプンのアルファ化等を行った後、当該煮沸後の発芽豆類を乾燥させることとしてもよい。
そして、発酵前工程10においては、このようにして得られた焙燥後の発芽豆類を粉砕した後、発酵前液に添加する。この発芽豆類の添加量は、例えば、発酵前液に添加する原料のうち、0.0001質量%〜10質量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.01質量%〜1質量%の範囲内とすることができる。これは、発芽豆類の添加量が10質量%より大きい場合には、当該発芽豆類に含まれる色素によって発酵前液の色度がEBC単位で1.5を上回ることがあり、また、0.0001質量%より小さい場合には、当該発芽豆類を用いたことによる香味やバランスのよい苦味を十分付与することができないことがあるためである。なお、原料の一部として発芽豆類を用いる場合には、発酵前液は、当該発芽豆類に由来する、酵母が利用可能な炭素源及び窒素源(タンパク質、ペプチド、アミノ酸等)や、泡もちを向上させるタンパク質等を含むこととなる。
また、発酵前工程10においては、上述した原料に加えて、香味の付与、泡もちの向上、発酵効率の向上等、本飲料に所望の特性を付与するために有効な成分をさらに含む発酵前液を調製することとしてもよい。すなわち、例えば、色付けや香り付けのためのハーブ類、泡もちを向上させるためのタンパク質、発酵効率を向上させるための硫酸アンモニウムや酵母エキス等をさらに含む発酵前液を調製することができる。
このハーブ類としては、アシュワガンダカット、アニスシードホール、エキナセアトップカット、エキナセアルートカット、エルダーフラワーホール、エルダーベリーホール、オレンジフラワーホール、カモミールローマン、菊花ホール、コーラナッツホール、コリアンダーホール、コーンフラワーホール、サンフラワーペタルホール、ジュニパーベリーホール、ステビアカット、ディルシードホール、バイオレットフラワーホール、ハイビスカスホール、パセリフレークカット、パッションフラワーハーブカット、ヒースフラワーホール、ヒソップカット、ブラックワールナッツカット、ペパーミントホール、ポピーフラワーレッドホール、マーシュマローフラワーホール、マリーゴールドホール、ヤローフラワーホール、ラベンダーホール、リンデンホール、ローズパープルバッツ、ローズヒップホール、ローズレッドホール、アイスランドモスカット、アイブライトカット、アグリモニーカット、アップルフルーツカット、ウォーターカラミントカット、エバーラスティングフラワーホール、オールスパイスホール、オレガノカット、カシアカット、カモマイルジャーマンホール、カルダモンパウダー、キャッツクロウバークカット、キャラウェイシードホール、キャロブカット、ココアパウダー、シープソレルパウダー、ジャスミンホール、スターアニスホール、ストロベリーリーフカット、ソーパルメットホール、ダンデリオンリーフカット、ディルウィードカット、バナバカット、ブラックベリーリーフカット、ベイベリーバークカット、ペパーミントファインカット、マグワートカット、マジョラムカット、マテグリーンカット、マロー/マルバフラワーブルーホール、マロー/マルバフラワーブラックホール、メイデンフェアーファーンカット、ヤローフラワーカット、ラズベリーリーフ、レモンバームホール、レモンピールカットワームウッドカット等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ハーブ類は、生のままのもの、又は乾燥させたものを用いることができる。また、ハーブ類から抽出され、発泡性アルコール飲料に所望の色彩や香味を付与できるエキス成分を精製したものを用いることもできる。また、ハーブ類は、粉砕したもの(カット)、又は粉砕しないもの(ホール)を用いることができる。また、ハーブ類は、発泡性アルコール飲料の製造工程における任意のタイミングで添加することができる。すなわち、ハーブ類は、原料の一部として発酵前液に添加することができ、又は発酵前液の発酵後に添加することもできる。また、ハーブ類の添加量(添加濃度)や組み合わせは、発泡性アルコール飲料に付与する色彩や香味等に応じて適宜選択することができる。
また、この発酵前工程10においては、発酵工程11に先立って、発酵前液に除菌処理を施す。すなわち、例えば、炭素源や窒素源等を含む発酵前液を加熱して、その色度がEBC単位で1.5を超えない範囲内で煮沸することにより、当該発酵前液を熱殺菌する。
すなわち、例えば、原料の一部として、ホップを添加することなく、発芽豆類を添加した発酵前液を調製した場合には、ビールの製造過程において発酵前に行う麦汁の煮沸のようにホップに含まれる成分を抽出する必要がないため、当該発酵前液の温度を速やかに上昇させることができるとともに、その煮沸時間を、当該発酵前液の殺菌に最低限必要な時間に抑えることができ、エネルギーコストの低減化を図ることもできる。
具体的に、所定温度の湯に炭素源や窒素源等を添加して発酵前液を調製する場合には、当該炭素源や窒素源の添加後、速やかに当該発酵前液の加熱を開始することにより、当該発酵前液の温度を、当該湯の温度付近から速やかに上昇させ、当該添加から短時間のうちに当該発酵前液の煮沸を開始することができる。
また、発酵前液の煮沸時間(例えば、煮沸が開始してから加熱を停止するまでの時間)は、発酵前液の色度がEBC単位で1.5を超えない範囲内とする。この煮沸時間は、用いられる容器のスケール、発酵前液の量や組成等の条件によって適宜調整することができるが、例えば、1分〜60分の範囲内とすることができ、好ましくは、5分〜20分の範囲内とすることができる。
なお、この発芽豆類を含む発酵前液を煮沸する場合には、当該煮沸により、当該発芽豆類に含まれる香味成分やタンパク質等を効果的に抽出することもできる。また、発酵前液の除菌工程においては、煮沸に限られず、例えば、紫外線の照射や除菌フィルターを用いた濾過等を行うこともできる。
また、この発酵前工程10においては、発酵前液の煮沸後、いわゆるワールプールにおいて、ハーブ類等の不溶成分を除去することもできる。ハーブ類が細かく軽いためにワールプールで十分沈殿せず除去できない場合は、遠心分離等の機械的分離やフィルターろ過により当該ハーブ類の不溶成分を除去することができる。また、ハーブ類をガーゼ等の目の細かい網からなる袋に入れてから発酵前液に投入し、煮沸した場合には、当該煮沸後、当該袋を回収することにより、当該ハーブ類を回収除去することができる。なお、ハーブ類以外の原料に由来する不溶成分についても、同様にして除去することができる。
このようにして発酵前工程10で除菌処理を施された発酵前液は、その温度を、酵母の添加に適した範囲内(例えば、0℃〜40℃の範囲)に調整された後、発酵工程11に供される。なお、発酵前工程10においては、調製の過程でいったん着色された発酵前液に、珪藻土や活性炭等の吸着剤を用いた脱色処理を施すことにより、その色度をEBC単位で1.0以下に低減させることもできるが、原料由来の香味成分、アミノ酸、タンパク質等を維持するためには、上述のように、そのような特別な脱色処理を施すことなく発酵前液を調製することが好ましい。また、特別な脱色処理を施すことなく発酵前液を調製することにより、製造コストの低減化を図ることもできる。
発酵工程11においては、発酵前工程10で調製された発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を開始させることにより、前発酵と、当該前発酵に続く後発酵(以下、「貯酒」という)と、を行う。酵母としては、例えば、下面発酵酵母や上面発酵酵母等のビール酵母を用いることができ、好ましくは、下面発酵酵母を用いることができる。また、発酵前液に添加する酵母の濃度は、1×10個/mL〜1×10万個/mLの範囲内とすることができ、好ましくは、1×10万個/mL〜1×10万個/mLの範囲内とすることができる。これは、例えば、酵母の濃度を1×10個/mLより高くした場合には、泡持ちが低下し、香味バランスが安定しないことがあり、1×10個/mLより低くした場合には、発酵期間が長くなり、発酵が十分進まないことがあるためである。
この発酵工程11においては、まず、発酵前液に酵母を添加した後、所定の温度で所定の時間だけ維持することによって前発酵を行う。この前発酵において、酵母は、発酵前液に含まれる炭素源や窒素源等の栄養源を消費しながら、エタノール、炭酸ガス、香味成分等を生成するアルコール発酵を行う。この前発酵は、発酵前工程10において酵母が利用可能な十分な量の炭素源及び窒素源を含む発酵前液が調製された場合には、糖化を伴わない、いわゆる単発酵とすることができる。
この前発酵の温度は、例えば、0℃〜40℃の範囲内とすることができ、好ましくは、6℃〜15℃の範囲内とすることができる。この温度範囲は、酵母添加量に応じて適宜調節することができる。
そして、この発酵工程11においては、前発酵を終えて酵母が沈降した発酵液の上澄みを回収して、さらにマイナス5℃〜30℃の範囲内の温度で、1日〜60日の範囲内の時間だけ維持することによって貯酒を行う。この貯酒においては、発酵液中の不溶物を沈殿させて濁りを取り、また、熟成により香味を向上させることができる。また、この貯酒において発酵液中に炭酸ガスをさらに溶解させることもできる。
このようにして、発酵工程11においては、酵母によって生成されたエタノールや香味成分等を含む発酵後液を得ることができる。なお、この発酵工程11における貯酒後の発酵後液に含まれるエタノールの濃度は、例えば、1%〜20%の範囲内とすることができ、好ましくは、3%〜10%とすることができる。
発酵後工程12においては、発酵工程11で発酵を終えた発酵後液に所定の処理を施すことにより、最終製品としての本飲料を得る。すなわち、この発酵後工程12においては、発酵後液に残存する生きた酵母を除去する。具体的に、珪藻土等を用いて、発酵後液をろ過することにより、当該発酵後液に含まれる酵母を除去する。また、例えば、発酵後液を60℃以上の温度で1分以上保持する低温殺菌や高温短時間殺菌により、当該発酵後液に含まれる酵母を死滅させる。また、この発酵後工程12においては、発酵後液に炭酸ガスを吹き込むことにより、その発泡性をさらに向上させることもできる。
このような処理を経て、発酵後工程12においては、最終的に、色度がEBC単位で1.0以下であって、且つ、良好な香味を有する本飲料を得ることができる。すなわち、本方法によって製造される本飲料は、その色度がEBC単位で1.0以下である。
また、本飲料は、透明でありながら、酵母によって生成された香味成分等、醸造酒特有の香味に優れている。すなわち、本飲料は、酵母によって生成される様々な香味成分を含み、例えば、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、フェネチルアセテート、カプリル酸、カプリン酸等を含む。また、本飲料は、これら発酵由来の各香味エステルを豊富に含み、例えば、酢酸エチルについては10.0mg/L以上、酢酸イソアミルについては0.5mg/L以上含み、好ましくは、酢酸エチルについては15.0mg/L以上、酢酸イソアミルについては0.8mg/L以上含む香味に優れた発泡性アルコール飲料とすることができる。
また、原料の一部として発芽豆類を用いた場合には、本飲料は、当該発芽豆類由来の香味成分や苦味成分をも含み、当該発芽豆特有の優れた香味及びバランスの取れた苦味を有することとなる。すなわち、本飲料は、原料の一部としてホップを用いない場合であっても、透明でありながら発酵由来の香味を十分に維持することに加えて、発芽豆類に特有の適度な苦味を有することにより、香味と苦味のトータルバランスに優れた発泡性アルコール飲料となる。
また、本飲料の透明度は高いことから、少量のハーブ類や色素等を用いることによって、その醸造酒に特有の香味を損なうことなく、所望の色付けを行うことができる。すなわち、本飲料に所望の色彩を付与するために必要とされるハーブ類の添加量は、高色度の飲料で必要とされる量に比べて少ないため、本飲料が有する発酵由来の優れた香味が、当該ハーブ類に特徴的な味によって損われることがない。したがって、本飲料の製造にハーブ類を用いることにより、酵母により生成された香味エステルと当該ハーブ類由来の芳香成分との調和によって、当該ハーブ類由来の色彩に加えて、バランスの取れた香味を実現することもできる。
次に、本方法により本飲料を製造した具体例について説明する。この具体例においては、リッター(L)スケールの醸造設備を用いた。
[実施例1]
実施例1においては、主な炭素源及び窒素源として、トウモロコシ由来の液糖(コーンシラップS75、日本コーンスターチ社製)と、発芽させていないエンドウから抽出したタンパク質の酵素分解物(エンドウ蛋白PP−CS、パーハイムフーズ社製)と、をそれぞれ準備した。
また、エンドウを20℃の水に10時間浸し、さらに12℃で3日間発芽させた後、室温から84℃に昇温させ、3時間焙燥することにより、発芽エンドウを得た。そして、この発芽エンドウを、粉砕装置(モルトミル、ジャーティンアセソン&カンパニー社製)を用いて粉砕することにより粉砕発芽エンドウを準備した。
そして、容量3.9Lの仕込タンクに、80℃の湯1Lと、600gの液糖と、46gのエンドウタンパク分解物と、3.9gの粉砕発芽エンドウと、を添加し、さらに80℃の湯を追加することにより、エキス濃度が12%の原料液を3.9L調製した。この原料液中の粉砕発芽エンドウの濃度は1g/Lであった。
そして、仕込タンクに備えられたヒーターによって、この80℃の原料液を加熱して煮沸させた。原料液の煮沸が開始した後、10分が経過した時点でヒーターによる加熱を停止した。煮沸後の原料液に水を加えて、エキス濃度が11.4%の発酵前液(以下、「本発酵前液」という)を調製した。この本発酵前液を10℃に冷却した後、その2.5Lを発酵タンクに移送した。
そして、この発酵タンク内で、本発酵前液にビール酵母を3×10個/mLの濃度となるように添加することにより、前発酵を開始した。この前発酵を14℃で5日間行った後、発酵液の上澄みを回収して、当該上澄みの2.0Lを貯酒タンクに移送した。そして、この貯酒タンク内で、発酵液をマイナス1℃に冷却し、さらに3週間維持することで、貯酒を行った。さらに、貯酒を終えた発酵後液を、珪藻土を用いてろ過することにより、当該発酵後液中の酵母を除去し、発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料A」という)を得た。
また、この実施例1においては、次のような方法により対照とする発泡性アルコール飲料を製造した。すなわち、容量3.9Lの仕込タンクに、80℃の湯1Lと、炭素源としてトウモロコシ由来の液糖(コーンシラップS75、日本コーンスターチ社製)600gと、窒素源として発芽させていないエンドウから抽出したタンパク質の酵素分解物(エンドウ蛋白PP−CS、パーハイムフーズ社製)46gと、をそれぞれ添加し、さらに2.6gのホップ(チェコ産)と、1.9gのカラメル色素と、を添加することにより対照原料液を調製した。そして、この対照原料液を仕込タンク内で加熱して60分間煮沸した後、10℃に冷却することにより、対照発酵前液を調製した。
この対照発酵前液を発酵タンクに移送して、ビール酵母を3×10個/mLの濃度となるように添加し、14℃で5日間、前発酵を行った。そして、この前発酵後の上澄みを貯酒タンクに移送して、さらにマイナス1℃で3週間の貯酒を行った。この貯酒を終えた対照発酵後液を珪藻土でろ過して酵母を除去することにより、発泡性アルコール飲料(以下、「対照飲料A」という)を得た。また、この対照飲料Aに、0.6g/L又は1.2g/Lの活性炭を用いて脱色処理を施したものを調製した。
図2には、本発酵前液、本飲料A、対照発酵前液、対照飲料A、当該対照飲料Aに0.6g/Lの活性炭による脱色処理を施した対照飲料(以下、「対照飲料B」という)、及び当該対照飲料Aに1.2g/Lの活性炭による脱色処理を施した対照飲料(以下、「対照飲料C」という)のそれぞれについて、色度(EBC単位)、遊離アミノ態窒素(Free Amino acid Nitrogen:FAN)濃度(mg/L)、総タンパク質濃度(mg/L)、苦味価(BU単位)を分析した結果を示す。
なお、色度は、EBC法に従い、分光光度計(U3210、日立社製)を用いて測定した430nmにおける各溶液の吸光度に基づいて算出した。また、遊離アミノ態窒素濃度、苦味価を表すBU値はEBC法に従って測定した。
図2に示すように、本発酵前液の色度はEBC単位で0.6であって、酵母を添加する前に、既に無色透明であった。そして、本発酵前液を発酵させて得られた本飲料Aの色度は、当該本発酵前液よりさらに低減されてEBC単位で0.4であり、やはり無色透明であった。なお、この本飲料Aにおける色度の低減は、主に本発酵前液中の色素が酵母に吸着されたことによるものと考えられる。
一方、対照発酵前液及び当該対照発酵前液を発酵させて得られた対照飲料Aの色度は、それぞれEBC単位で17.0及び6.7であり、一般的なビールの色度と略同程度であった。これに対し、対照飲料B及び対照飲料Cの色度は、用いられた活性炭量の増加に伴い、対照飲料Aに比べて顕著に低減され、それぞれEBC単位で3.2及び1.8であった。
また、図2に示すように、本飲料Aは、無色透明でありながら、遊離アミノ態窒素及び総タンパク質を豊富に含んでおり、その含有量は対照飲料Aと同等以上であった。これに対し、対照飲料B及び対照飲料Cの遊離アミノ態窒素及び総タンパク質の含有量は、用いられた活性炭量の増加に伴い、本飲料A及び対照飲料Aに比べて顕著に低減されていた。なお、本飲料A及び対照飲料AのNIBEM値は100〜150程度であり、十分な泡もち特性を有していた。
また、本方法においては、原料の一部としてホップを用いていないため、図2に示すように、本飲料Aの苦味価は、ホップを用いて製造された対照飲料A、対照飲料B、対照飲料Cに比べて、顕著に低かった。対照飲料B及び対照飲料Cの苦味価は、用いられた活性炭量の増加に伴い、対照飲料Aに比べて顕著に低減されていた。このように、活性炭を用いた脱色処理によって、対照飲料Aに含まれる色素のみならず、アミノ酸、タンパク質、苦味成分もまた顕著に除去されていた。
図3には、本発酵前液、本飲料A、対照発酵前液、対照飲料A、対照飲料B、及び対照飲料Cのそれぞれについて、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、フェネチルアセテート、カプリル酸、カプリン酸の含有濃度(mg/L)を分析した結果を示す。この香味成分の分析は、ガスクロマトグラフィー(HP6890、アジエントテクノロジー社製)を用いて行った。
図3に示すように、本発酵前液及び対照発酵前液においては、各香味成分の含有量は、分析装置の検出感度以下であった。これに対し、本飲料A及び対照飲料Aは、各香味成分を豊富に含んでいた。すなわち、本飲料A及び対照飲料Aは、アルコール発酵において酵母により生成された各香味成分を豊富に含んでいた。
一方、対照飲料B及び対照飲料Cの各香味成分の含有量は、用いられた活性炭量の増加に伴い、本飲料A及び対照飲料Aに比べて顕著に低減されていた。すなわち、活性炭を用いた脱色処理によって、対照飲料Aに含まれる色素のみならず、各香味成分もまた顕著に除去されていた。
図4には、本飲料A、対照飲料A、対照飲料B、及び対照飲料Cのそれぞれについて、熟練したパネリスト4人により官能検査を行った結果を示す。図4に示すように、本飲料Aは良好なエステル香を有し、適度な酸味とすっきりしたスムーズな味わいがあり、のどごしも良好であって、その総合評価は優良であった。この本飲料Aのエステル香は、図3に示す各香味成分に基づく醸造酒特有の香味成分と、さらに原料の一部として用いた発芽エンドウ由来の香味と、によるものと考えられる。また、本飲料Aのすっきりしたスムーズな味わいや良好なのどごしは、図2や図3に示す各成分を豊富に含むことに加え、発芽エンドウに特有の香味やバランスのよい苦味が付与されたことによるものと考えられる。
一方、対照飲料Aは、エステル香とホップ香とを有し、酸味とふくらみのある味わいがあり、切れも良好であって、その総合評価は優良であった。これに対し、対照飲料B及び対照飲料Cは、異臭や刺激臭を有し、渋味やエグ味が現れ、のどごしも悪く、総合評価は、用いられた活性炭量の増加に伴い、本飲料A及び対照飲料Aに比べて著しく劣るものであった。このような劣悪な評価結果は、活性炭を用いた脱色処理によって、図2や図3に示す各成分が除去されたことによるものと考えられる。なお、このように脱色処理により失われた香味エステル成分の補填を目的として、当該脱色後に、人工的に調合された香味エステル成分を添加したとしても、原料や発酵に由来する香味のバランスを回復させることは困難である。
[実施例2]
実施例2においては、上述の実施例1で用いた発芽エンドウと同様に、図5に示す種々の発芽豆類又は麦芽を原料の一部として用いた。すなわち、この実施例2においては、発芽豆類として、エンドウ、大正金時、黒豆、小豆、大豆、緑豆をそれぞれ20℃の水に10時間浸し、さらに3日間発芽させた後、焙燥して粉砕したものと、エンドウを20℃の水に10時間浸した後、焙燥して粉砕したものと、を用いた。また、麦芽としては、大麦を20℃の水に10時間浸し、さらに3日間発芽させた後、焙燥して粉砕したものを用いた。これら発芽豆及び麦芽の発酵前液への添加量は、実施例1と同様に、それぞれ1g/Lとした。
図5には、各発芽豆類又は麦芽を用いた場合について、発酵前液の色度(EBC単位)及び遊離アミノ態窒素濃度(mg/L)、当該発酵前液を発酵させて得られた最終飲料の色度(EBC単位)、酢酸エチル濃度(mg/L)及び酢酸イソアミル濃度(mg/L)、さらに当該最終飲料の官能検査結果をそれぞれ示す。
図5に示すように、発芽豆類を用いた発酵前液の色度は0.5〜1.0であり、いずれも1.0以下であった。すなわち、発芽豆類を用いた発酵前液は、酵母を添加する前に既に無色透明であった。また、麦芽を用いた発酵前液の色度は1.1であった。さらに、各発酵前液を発酵させて得られた最終飲料の色度は0.2〜1.0であり、いずれも1.0以下であった。すなわち、全ての最終飲料は無色透明であった。
また、最終飲料は、いずれも醸造により生成された香味エステルとして、酢酸エチルを18.8mg/L〜25.5mg/L、酢酸イソアミルを0.86mg/L〜1.63mg/L、それぞれ含んでいた。
また、発芽豆類を用いた最終飲料の官能検査においては、それぞれ用いられた発芽豆類の種類に応じた特徴的な香味、味、切れを有し、いずれについても優れた総合評価が得られた。その中でも、粉砕発芽エンドウ(発芽3日)及び粉砕発芽緑豆を用いた最終飲料の官能評価が特に優れていた。このように、発芽豆類を、ビールやビール様飲料で用いられる麦芽の添加量に比べて顕著に少ない添加量で用いることによって、発泡性アルコール飲料に優れた香味とバランスの取れた苦味を付与できた。
一方、麦芽を用いた最終飲料の官能評価は、発芽豆類を用いた飲料に比べて劣るものであった。これは、麦芽の添加量がビールやビール様飲料に比べて顕著に少ないためと考えられる。
[実施例3]
実施例3においては、原料の一部としてハーブ類を含む発酵前液を調製した。すなわち、主な炭素源及び窒素源として、トウモロコシ由来の液糖(コーンシラップS75、日本コーンスターチ社製)と、発芽させていないエンドウから抽出したタンパク質の酵素分解物(エンドウ蛋白PP−CS、パーハイムフーズ社製)と、をそれぞれ準備した。また、ハーブ類として、乾燥させたハイビスカスホールを準備した。
また、エンドウを20℃の水に10時間浸し、さらに12℃で3日間発芽させた後、室温から84℃に昇温させ、3時間焙燥することにより、発芽エンドウを得た。そして、この発芽エンドウを、粉砕装置(モルトミル、ジャーティンアセソン&カンパニー社製)を用いて粉砕することにより粉砕発芽エンドウを準備した。
そして、容量3.9Lの仕込タンクに、80℃の湯1Lと、600gの液糖と、46gのエンドウタンパク分解物と、3.9gの粉砕発芽エンドウと、7.8gの乾燥ハイビスカスホールと、を添加し、さらに80℃の湯を追加することにより、エキス濃度が12%の原料液を3.9L調製した。この原料液中の粉砕発芽エンドウの濃度は1g/Lであった。また、この原料液中の乾燥ハイビスカスホールの濃度は2g/Lであった。なお、乾燥ハイビスカスホールは、ガーゼで作製した袋に詰めた後、当該袋ごと添加した。
そして、仕込タンクに備えられたヒーターによって、この80℃の原料液を加熱して煮沸させた。原料液の煮沸が開始した後、10分が経過した時点でヒーターによる加熱を停止した。煮沸後の原料液に水を加えて、エキス濃度が11.4%の発酵前液を調製した。また、この発酵前液から、乾燥ハイビスカスホールの入った袋を取り出すことにより、当該発酵前液から当該乾燥ハイビスカスホールの不溶成分を除去した。この本発酵前液を10℃に冷却した後、その2.5Lを発酵タンクに移送した。
そして、この発酵タンク内で、本発酵前液にビール酵母を3×10個/mLの濃度となるように添加することにより、前発酵を開始した。この前発酵を14℃で5日間行った後、発酵液の上澄みを回収して、当該上澄みの2.0Lを貯酒タンクに移送した。そして、この貯酒タンク内で、発酵液をマイナス1℃に冷却し、さらに3週間維持することで、貯酒を行った。さらに、貯酒を終えた発酵後液を、珪藻土を用いてろ過することにより、当該発酵後液中の酵母を除去し、発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料B」という)を得た。
また、この実施例3においては、上述の実施例1で調製した対照飲料Bに、本飲料Bで用いたものと同様の乾燥ハイビスカスホールを2g/L添加して、当該乾燥ハイビスカスホールの成分を所定時間抽出した対照飲料(以下、「対照飲料X」という)を調製した。また、さらに、市販のビール様発泡性アルコール飲料に、本飲料Bで用いたものと同様の乾燥ハイビスカスホールを2g/L添加して、当該乾燥ハイビスカスホールの成分を所定時間抽出した対照飲料(以下、「対照飲料Y」という)を調製した。なお、乾燥ハイビスカスホールの添加により、当該乾燥ハイビスカスホール由来の赤〜ピンク色の色彩を飲料に付与することができる。
図6には、本飲料B、対照飲料X、及び対照飲料Yについて、赤色を示す550nm、黄色を示す430nm、濁りを示す700nm、の各波長における吸光度を測定した結果を示す。なお、吸光度の測定は、分光光度計(U3210、日立社製)を用いて行った。
図6に示すように、本飲料B、対照飲料X、及び対照飲料Yの550nmにおける吸光度は同等程度であった。一方、対照飲料Yの430nmにおける吸光度は、本飲料B及び対照飲料Xに比べて顕著に高かった。この結果、本飲料Bは、ハイビスカス本来のピンク色の色彩をそのまま有していた。また、対照飲料Xは、本飲料Bに比べるとやや黄色みがかかっており、ハイビスカス本来の色彩とは言えないが、ピンク色に近い色彩を有していた。これに対し、対照飲料Yは、褐色がかった橙色であり、ハイビスカス本来の色彩とは明らかに異なる色彩を有していた。また、対照飲料Yの700nmにおける吸光度は、本飲料B及び対照飲料Xに比べて顕著に高かった。すなわち、本飲料B及び対照飲料Xは高い透明度を有していたのに対し、対照飲料Yには明らかな濁りが見られた。
また、ハイビスカスにより良好なピンク色の色彩を付与できた本飲料B及び対照飲料Xについて官能検査を行った。その結果、本飲料Bについては、上述の実施例1で得られた本飲料Aと同様に、スッキリ感や醸造酒特有の香味エステルを有するのみならず、さらに、ハイビスカスに特徴的な酸味や香味を適度に有することにより、醸造酒に特有の香味とハーブ香とをバランスよく備えているとの高い総合評価を得た。一方、対照飲料Xについては、上述の実施例1で得られた対照飲料Bと同様に、渋味やエグ味を有することに加えて、ハイビスカス由来の酸味や香味が醸造酒特有の香味に比べて強く強調されることにより、香味のバランスが悪いとの総合評価を得た。

Claims (7)

  1. 発芽させ焙燥した豆類を原料の一部として含み、且つ色度がEBC単位で1.5以下の発酵前液を調製する発酵前工程と、
    前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、
    前記アルコール発酵を経た発酵後液から、色度がEBC単位で1.0以下の発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程と、
    を含む
    ことを特徴とする発泡性アルコール飲料製造方法。
  2. 前記豆類として、エンドウ、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆からなる群より選択される少なくとも1つを用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載の発泡性アルコール飲料製造方法。
  3. 前記発酵前工程において、前記発芽させ焙燥した豆類を、原料のうち0.0001質量%〜10質量%の範囲内で含む前記発酵前液を調製する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料製造方法。
  4. 前記発酵前工程において、前記酵母が利用可能な炭素源と窒素源とを互いに独立に準備した後、当該炭素源と当該窒素源とを含む前記発酵前液を調製する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡性アルコール飲料製造方法。
  5. 前記発酵前工程において、前記発酵前液の煮沸を、その色度がEBC単位で1.5を超えない範囲内で行う
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡性アルコール飲料製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法によって製造され、色度がEBC単位で1.0以下である
    ことを特徴とする発泡性アルコール飲料。
  7. 発酵由来の香味エステルとして、酢酸エチルを10.0mg/L以上、及び酢酸イソアミルを0.5mg/L以上含む
    ことを特徴とする請求項6に記載の発泡性アルコール飲料。
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