JP5203365B2 - 発泡性アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡性アルコール飲料及びその製造方法に関し、特に、酵母を用いたアルコール発酵を利用して得られる発泡性アルコール飲料及びその製造方法に関する。
近年、ビールに用いられる量に比較して少ない量の麦芽を使用し、又は麦芽を使用することなく製造されたビール様発泡性アルコール飲料が登場している(例えば、特許文献1参照)。
従来、このようなビール様発泡性アルコール飲料の製造においては、ビールに類似した香味や苦味等の特性を飲料に付与するため、原料の一部としてホップを使用することが必須となっていた。
特許第3836117号公報
しかしながら、原料の一部としてホップを使用した場合には、ホップに特有の問題が発生することがあった。
すなわち、例えば、上記従来の発泡性アルコール飲料が日光に晒された場合には、ホップ由来の成分が変質することにより、好ましくない異臭(いわゆる日光臭)が発生していた。
また、例えば、上記従来の発泡性アルコール飲料の生産性は、ホップの収穫時期や保存様式に依存して制限されることがあった。
このような問題がある一方で、上記従来の発泡性アルコール飲料の製造においては、原料の一部としてホップを使用しない場合、香味が極めて希薄なものとなる等、その特性が損なわれることを避けることはできなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、原料の一部としてホップを使用することなく、香味等の特性に優れた発泡性アルコール飲料及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法は、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽させたエンドウを使用して発酵前液を調製する発酵前工程と、前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、を含むことを特徴とする。なお、本発明でいうアルコール飲料とは、例えば、エタノールを1体積%以上の濃度で含有する飲料である。そして、本発明でいう発泡性アルコール飲料とは、例えば、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡もち特性と、を有するアルコール飲料である。具体的に、この発泡性アルコール飲料は、例えば、EBC(European Brewery Convention:欧州醸造協会)法によるNIBEM値(泡もち特性を表す単位)で50以上を示すアルコール飲料である。
本発明によれば、原料の一部としてホップを使用することなく、香味等の特性に優れた発泡性アルコール飲料を製造する方法を提供することができる。すなわち、本発明によれば、製造される発泡性アルコール飲料においてホップ特有の問題が生じることを確実に回避できるのみならず、発芽させたエンドウに特有の香味等、従来にない特性を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。
また、前記発酵前工程において、前記発芽させたエンドウを、前記原料のうち0.01質量%〜0.35質量%の範囲内で使用して前記発酵前液を調製することとしてもよい。この場合、香味等の特性が特に優れた発泡性アルコール飲料を製造することができる。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料は、上記いずれかのアルコール飲料の製造方法により製造されたことを特徴とする。本発明によれば、原料の一部としてホップを使用することなく製造され、香味等の特性に優れた発泡性アルコール飲料を提供することができる。すなわち、本発明によれば、ホップ特有の問題を生じることがなく、発芽させたエンドウに特有の香味等、従来にない特性を有する発泡性アルコール飲料を提供することができる。
このように、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、原料の一部として、発芽させたエンドウを使用して発酵前液を調製することにより、ホップを使用することなく、香味等の特性に優れた発泡性アルコール飲料を製造することができるという知見を独自に見出した。
すなわち、原料の一部としてホップを使用することが前提とされていた従来の発泡性アルコール飲料の製造方法においては、例えば、ホップに加えて他の原料を使用することによって、最終的に得られる発泡性アルコール飲料の香味等の特性が改善されるという知見が得られたとしても、当該改善は、ホップにより付与される香味等の特性に対する追加的なものにすぎなかった。このため、そのような知見は、ホップを使用しない場合に必ずしも当てはまるものではなかった。また、そもそもホップにより付与される特性を、他の原料によって代替しようとする試みはほとんどなく、当該代替が可能か否かも不明であった。
これに対し、本発明者は、独自の研究を進めた結果、ホップを使用することなく、発芽エンドウを使用することによって、発芽エンドウ由来の特性を効果的に引き出し、香味等の特性に優れた発泡性アルコール飲料を製造できることを新たに見出したのである。
本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法に含まれる主な工程を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において発芽エンドウを使用した場合の発酵液中のエキス濃度の経時変化を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において発芽エンドウを使用した場合の発酵液中の浮遊酵母数の経時変化を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において発芽エンドウを使用して調製された発酵前液の分析結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料の分析結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して調製された発酵前液の分析結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料の分析結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料のNIBEM値を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して調製された発酵前液に含まれるFAN及び総タンパク質の濃度を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して得られた発酵前液及び発泡性アルコール飲料の色度を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法における発芽エンドウの使用比率と製造された発泡性アルコール飲料に含まれる酢酸イソアミルの濃度との相関関係を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法における発芽エンドウの使用比率と製造された発泡性アルコール飲料に含まれる酢酸イソアミルの濃度との直線的な相関関係を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の使用比率で発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料の官能検査の結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の発芽豆を使用して調製された発酵前液の分析結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法において種々の発芽豆を使用して製造された発泡性アルコール飲料の分析結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料」という)及びその製造方法(以下、「本製造方法」という)について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本製造方法に含まれる主な工程を示すフロー図である。図1に示すように、本製造方法は、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽させたエンドウ(以下、「発芽エンドウ」という)を使用して発酵前液を調製する発酵前工程10と、当該発酵前工程10で調製された発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程11と、当該発酵工程11を経た発酵後液に所定の処理を施して本飲料を得る発酵後工程12と、を含む。
発酵前工程10においては、まず、発酵前液の原料の一部として発芽エンドウを準備する。すなわち、エンドウを所定の湿潤状態で所定時間維持する発芽処理を行うことにより、発芽エンドウを得る。
具体的に、例えば、エンドウを所定温度の水に所定時間浸すこと(浸豆処理)により発芽エンドウを得ることができる。この浸豆処理に使用する水の温度や浸豆時間(エンドウを水に浸し始めてからの経過時間)等の処理条件は、本飲料に付与すべき特性等の製造条件に応じて適宜設定することができる。例えば、水の温度は、0℃〜40℃の範囲内とすることができ、好ましくは10℃〜20℃の範囲内とすることができる。また、浸豆時間は、例えば、1時間〜48時間の範囲内とすることができ、好ましくは6時間〜30時間の範囲内とすることができる。このような浸豆処理後のエンドウを発芽エンドウとして使用することができる。
また、例えば、エンドウに上述のような浸豆処理を施すとともに、さらに所定温度の湿潤空気に所定時間曝す処理を施すことにより発芽エンドウを得ることもできる。すなわち、この場合、例えば、浸豆処理後のエンドウを網状の床面に置いて、当該床面の下方から所定温度の湿度100%の空気を送りこむ。この湿潤空気の温度や送風時間(湿潤空気の送風を開始してからの経過時間)等の処理条件は、本飲料に付与すべき特性等の製造条件に応じて適宜設定することができる。例えば、湿潤空気の温度は、0℃〜40℃の範囲内とすることができ、好ましくは、5℃〜20℃の範囲内とすることができ、特に好ましくは12℃前後とすることができる。また、送風時間は、例えば、1時間〜12日とすることができ、好ましくは12時間〜9日とすることができ、さらに好ましくは1日〜6日とすることができる。送風時間を1時間〜12日とすることにより、発芽エンドウの使用に由来する香味等の優れた特性を本飲料に十分に付与することができ、12時間〜9日とした場合には、当該特性をさらに向上させることができ、1日〜6日とした場合には、当該特性を特に好ましいものとすることができる。このような浸豆処理及び湿潤空気送風を施したエンドウを発芽エンドウとして使用することができる。
発芽エンドウを使用して製造される本飲料は、発芽エンドウに代えて発芽処理を施していない生エンドウを使用した場合の豆臭、粉臭、不純な香りが消失するとともに、酵母発酵に特有の香味成分と発芽エンドウに特有の香味成分との相乗効果による良好なエステル香を有することができる。また、この場合、本飲料は、適度な酸味と甘みをも有し、その味わいはすっきりしたスムーズなものとなり、さらに泡もちが向上し、切れやのどごしも良好になるという、発芽エンドウに特有の極めて優れた特性を備えることができる。
なお、本発明者らは、エンドウ以外の豆類であっても、発芽させて発酵前液の原料の一部として使用することで、発芽させた当該豆類に特有の香味等の特性を本飲料に付与できるものであれば、エンドウに代えて使用できることも見出している。すなわち、例えば、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆、ヒタシ豆からなる群より選択される少なくとも1つを発芽させたもの、好ましくは大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、ウズラ豆を発芽させたもの、を発芽エンドウに代えて使用することができる。
すなわち、発芽豆として発芽大豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生大豆を使用した場合に比べて渋味、雑味、エグ味が低減され、エステル成分濃度の増加によってエステル香が顕著に高められる。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、切れが増すとともに、泡もちが良好で、発芽大豆に特有のマイルドですっきりした味わいを有するという、発芽大豆に特有の優れた特性を備えることができる。
発芽豆として発芽小豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生小豆を使用した場合に比べて渋味や比較的強い酸味が低減され、切れが増し、エステル香が高められる。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、泡もちが良好で、発芽小豆に特有の良好な味わいを有するという、発芽小豆に特有の優れた特性を備えることができる。
発芽豆として発芽黒豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生黒豆を使用した場合に比べて渋味や雑味が低減され、甘味が増加し、切れが増し、エステル香が高められる。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、泡もちが良好で、発芽黒豆に特有のマイルドな味わいを有するという、発芽黒豆に特有の優れた特性を備えることができる。
発芽豆として発芽緑豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生緑豆を使用した場合に比べて雑味やエグ味が低減され、酸味と甘味とが適度に増加する。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、泡もちが良好で、発芽緑豆に特有のすっきりした味わいを有するという、発芽緑豆に特有の優れた特性を備えることができる。
発芽豆として発芽大正金時を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生大正金時を使用した場合に比べて渋味やエグ味が低減され、切れが増し、エステル香が高められる。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、泡もちが良好で、発芽大正金時に特有の良好な甘味とマイルドな味わいを有するという、発芽大正金時に特有の優れた特性を備えることができる。
発芽豆として発芽ウズラ豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料においては、発芽処理を施していない生ウズラ豆を使用した場合に比べて味に厚みが付与され、水っぽさが解消され、エステル香が高められる。また、この場合、発泡性アルコール飲料は、泡もちが良好で、発芽ウズラ豆に特有のマイルドな味わいを有するという、発芽ウズラ豆に特有の優れた特性を備えることができる。
ただし、発芽エンドウを使用して製造される発泡性アルコール飲料は、これら他の発芽豆を使用して製造される発泡性アルコール飲料に比べても、よりバランスのよい顕著に優れた香味特性を有し、上述したように当該発芽エンドウに特有の極めて優れた特性を有することができる。
発酵前工程10においては、さらに発芽エンドウの焙燥を行うこともできる。この場合、上述のようにして得られた発芽エンドウを乾燥させ、さらに焙燥する。すなわち、発芽エンドウの温度を、発芽処理時の温度程度から50℃〜90℃に徐々に昇温させるよう、当該発芽エンドウに対する乾燥空気の送風温度を徐々に上昇させる。これにより、発芽エンドウの水分を十分に蒸発させるとともに、さらに加熱して、50℃〜90℃で所定時間保持する焙燥を行うことができる。また、この焙燥においては、発芽エンドウを煮沸させて当該発芽エンドウに含まれるデンプンのアルファ化等を行った後、当該煮沸後の発芽エンドウを乾燥させることもできる。なお、上述のようにして得られた発芽エンドウは、粉砕したものを好ましく使用することができる。
また、発酵前工程10においては、発芽エンドウ以外にも、原料の一部として、酵母の栄養源を準備する。すなわち、例えば、酵母が資化できる炭素源と窒素源とを準備する。
炭素源としては、酵母がアルコール発酵に利用できるものであれば特に限られず任意のものを選択して使用することができる。すなわち、例えば、穀物から抽出されたデンプンを分解酵素や酸による加水分解によって分解して得られた、酵母が利用可能な発酵性糖を使用することができる。具体的には、トウモロコシ、馬鈴薯、米、小麦、大麦等から抽出されたデンプンを、アミラーゼ等の分解酵素を用いて低分子化することにより得られた精製糖類(例えば、グルコースやフルクトース等の単糖類や、マルトースやシュクロース等の二糖類を含む液状又は粉状の糖類)を使用することができ、好ましくは、トウモロコシ由来の液糖を使用することができる。
窒素源としては、酵母がアルコール発酵に利用できるものであれば特に限られず任意のものを選択して使用することができ、例えば、穀物から抽出されたタンパク質やペプチド、これらを分解酵素や酸による加水分解によって分解して得られた含窒素化合物を使用することができる。また、さらに、エンドウ、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆、ヒタシ豆等の豆類から抽出されたタンパク質をプロテアーゼ等の分解酵素によって低分子化して得られたアミノ酸やペプチドを使用することもでき、好ましくは、エンドウ由来タンパク質の酵素分解物を使用することができる。
また、原料の一部としては、必要に応じて、着色、香味の付与、泡もちの向上、発酵効率の向上等、本飲料に所望の特性を付与し、又は本製造方法の生産性を向上させるために有効な他の材料をさらに使用することができる。すなわち、例えば、本飲料にビール様の外観や、香ばしさを付与するためにカラメル色素を使用することができ、本飲料の泡もちを向上させるために好ましいタンパク質を使用することができ、発酵効率を向上させるために硫酸アンモニウムや酵母エキスを使用することができる。
なお、原料の一部として発芽エンドウを用いることにより、当該原料は、当該発芽エンドウに由来する、酵母がアルコール発酵に利用可能な炭素源や、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等の窒素源、泡もちを向上させるタンパク質等を含むこともできる。このため、本製造方法においては、原料の一部として必ずしも麦芽を使用する必要がない。すなわち、本製造方法においては、原料の一部として、麦芽及びホップのいずれも使用することなく本飲料を製造することができる。この場合、発芽エンドウ由来の特性を特に効果的に引き出すことができる。
発酵前工程10においては、上述のようにして準備した発芽エンドウ、炭素源、窒素源、及び水を少なくとも使用し、且つホップを使用することなく、発酵前液を調製する。すなわち、例えば、発芽エンドウ、炭素源、窒素源を所定の比率で所定温度の湯に溶解して、発酵工程11における酵母の添加に適した無菌状態の発酵前液を調製する。
ここで、原料中に占める発芽エンドウの使用比率は、本飲料に付与すべき特性に応じて任意に決定することができるが、例えば、従来のビール等、原料の一部として麦芽を使用する発泡性アルコール飲料の製造における当該麦芽の使用比率に比べて顕著に小さい比率とすることができる。
具体的に、例えば、発芽エンドウの使用比率は、原料のうち、0.01質量%〜0.35質量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.05質量%〜0.30質量%の範囲内とすることができ、特に好ましくは、0.10質量%〜0.15質量%の範囲内とすることができる。
すなわち、発芽エンドウの使用比率が0.35質量%より大きい場合、及び0.01質量%より小さい場合のいずれの場合にも、当該発芽エンドウに特有の特性を本飲料に付与することができないことがある。これに対し、発芽エンドウの使用比率を0.01質量%〜0.35質量%の範囲内とすることにより、当該発芽エンドウに特有の香味等の特性を本飲料に付与することができる。さらに、発芽エンドウの使用比率を0.05質量%〜0.30質量%の範囲内とした場合には、例えば、当該発芽エンドウに特有のエステル香等に基づく香味バランスに優れ、切れや泡もちが向上した本飲料を製造することができる。また、特に、0.10質量%〜0.15質量%の範囲内とした場合には、例えば、当該発芽エンドウに特有の香味バランスが一層優れたものとなり、切れや泡もちが一層向上し、すっきりしたスムーズな味わいを有する本飲料を製造することができる。
また、発芽エンドウ以外の炭素源及び窒素源は、予め互いに独立に調製されたものを使用することもできる。すなわち、例えば、発酵前工程10においては、酵母が利用可能な状態になるように、互いに独立に精製された炭素源と窒素源とをそれぞれ準備し、当該精製炭素源と精製窒素源とを湯に溶解して発酵前液を調製することができる。この場合、発酵前工程10においては、ビールの醸造等で行われている糖化処理を行うことなく発酵前液を調製することができる。
また、原料の一部としてカラメル色素を用いた場合には、本飲料は、ビールに類似した色度を有するのみならず、カラメル色素に由来する特有の香ばしさ(焙煎香)を有することができ、視覚的及び味覚的にもより好ましい発泡性アルコール飲料とすることができる。
発酵前工程10においては、さらに、発酵工程11に先立って、発酵前液に除菌処理を施すことができる。すなわち、例えば、原料を湯に溶解して発酵前液を調製した後、当該発酵前液を加熱して煮沸することにより、当該発酵前液を熱殺菌する。
ここで、本製造方法において、発酵前液は、原料の一部としてホップを使用することなく調製されるため、ビールの製造過程において発酵前に行う麦汁の煮沸のようにホップに含まれる成分を抽出する必要がない。したがって、発酵前工程10の煮沸処理においては、原料の添加後、発酵前液の温度を沸騰温度まで速やかに上昇させることができる。
具体的に、この発酵前液の煮沸処理においては、発芽エンドウ、炭素源、窒素源を含む原料を所定温度の湯に添加した後、当該発酵前液の加熱を速やかに開始する。そして、発酵前液の温度を、当初の当該所定温度付近から速やかに上昇させ、原料の添加から短時間のうちに当該発酵前液の煮沸を開始することができる。このため、本製造方法においては、従来のビール等の製造方法に比べて簡略化及び効率化を図ることができる。
さらに、発酵前液の煮沸条件は、発酵前液を殺菌するために最低限必要な条件とすることができる。すなわち、例えば、発酵前液の煮沸時間(例えば、煮沸が開始してから加熱を停止するまでの時間)は、除菌効果が得られる最低限の時間とすることができる。具体的に、この煮沸時間は、用いられる容器のスケール、発酵前液の量や組成等の条件によって適宜調整することができ、例えば、1分〜60分の範囲内とすることができ、好ましくは、5分〜20分の範囲内とすることができる。
このように、本製造方法においては、従来のビール等の製造方法に比べて、発酵前液の加熱時間及び煮沸時間を大幅に短縮することができる。このため、本製造方法においては、製造工程に要するエネルギーコストの低減化や工程時間の短縮化を図ることができる。また、本製造方法においては、発酵前液の煮沸条件を、従来のビール等の製造方法に比べて大幅に緩和することができる。このため、発芽エンドウに含まれる香味成分やタンパク質等を効果的に抽出できるという煮沸の利点を活かしつつ、煮沸が長引くことにより起こり得る、香味成分やタンパク質等の損失や変質といった問題を効果的に回避することもできる。
なお、発酵前液の除菌処理は、上述の煮沸処理に限られるものではなく、例えば、発酵前液に対する紫外線の照射や、除菌フィルターを使用した発酵前液の濾過等を行うこともできる。このように、発酵工程10において煮沸処理を省略することができる場合には、従来のビール等の製造方法に比べて、製造設備において煮沸釜を省略し、エネルギーコストを削減し、さらには環境への負荷を軽減することもできる。また、無菌的な炭素源や窒素源を使用する等、原料を無菌的に準備することにより発酵前液を無菌的に調製した場合には、発酵前工程10において発酵前液の除菌処理を省略することもできる。
そして、発酵前工程10においては、無菌状態の発酵前液の温度を、酵母の添加に適した範囲内(例えば、0℃〜40℃の範囲)に調整する。このようにして調整された発酵前液は、発酵工程11に供される。
発酵前工程10に続く発酵工程11においては、発酵前工程10で調製された発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う。すなわち、まず、予め適切な範囲の温度に調整された発酵前液に酵母を添加して発酵液を調製する。その後、酵母を含む発酵液を所定の温度で所定の時間だけ維持することによって前発酵を行う。この前発酵において、酵母は、発酵前液に含まれる炭素源や窒素源等の栄養源を消費しながらアルコール発酵等の代謝活動を行い、エタノール、炭酸ガス、香味成分(エステル等)等を生成する。
酵母としては、アルコール発酵を行うことができるものであれば特に限られず、任意のものを選択して使用することができる。すなわち、例えば、下面発酵酵母や上面発酵酵母等のビール酵母を使用することができ、好ましくは下面発酵酵母を使用することができる。
前発酵開始時の発酵液中における酵母の濃度は、1×10個/mL〜1×10万個/mLの範囲内とすることができ、好ましくは、1×10万個/mL〜1×10万個/mLの範囲内とすることができる。これは、例えば、前発酵開始時の酵母の濃度を1×10個/mLより高くした場合には、最終的に得られる本飲料の泡もちが低下し、香味バランスが安定しないことがあり、1×10個/mLより低くした場合には、発酵期間が長くなり、発酵が十分進まないことがあるためである。
前発酵は、発酵前工程10において酵母が利用可能な十分な量の炭素源及び窒素源を含む発酵前液を調製した場合には、糖化を伴わない、いわゆる単発酵とすることができる。すなわち、例えば、原料の一部として、発芽エンドウと、互いに独立に準備された精製炭素源及び精製窒素源と、を使用して、酵母がアルコール発酵を行うために必要とする量の炭素源及び窒素源が含まれた発酵前液を調製した場合には、発酵工程11において、ビール醸造で行われるような糖化処理を行う必要がない。
前発酵の温度は、使用する酵母の種類や発酵液中の濃度に応じて適宜調節することができ、例えば、0℃〜40℃の範囲内とすることができ、好ましくは、6℃〜15℃の範囲内とすることができる。
また、発酵工程11においては、前発酵に続いて後発酵(以下、「貯酒」という)を行う。すなわち、例えば、下面発酵酵母を用いた場合には、前発酵を終えて酵母が沈降した発酵液の上澄みを回収して、回収された上澄みをさらにマイナス5℃〜30℃の範囲内の温度で、1日〜60日の範囲内の時間だけ維持する。この貯酒により、発酵液中の不溶物を沈殿させて濁りを取り、また、熟成により香味を向上させることができる。また、この貯酒において発酵液中に炭酸ガスをさらに溶解させることもできる。
このようにして、発酵工程11においては、酵母によって生成されたエタノールや香味成分等を含む発酵後液を得ることができる。この貯酒後の発酵後液に含まれるエタノールの濃度は、例えば、1%〜20%の範囲内とすることができ、好ましくは、1%〜10%とすることができ、より好ましくは、3%〜10%とすることができ、特に好ましくは4%〜6%とすることができる。
発酵工程11に続く発酵後工程12においては、発酵工程11で前発酵及び貯酒を終えた発酵後液に所定の処理を施すことにより、最終的に本飲料を得る。すなわち、この発酵後工程12においては、例えば、発酵後液に残存する生きた酵母を除去する。具体的に、例えば、珪藻土等を用いて、発酵後液をろ過することにより、当該発酵後液に含まれる酵母を除去する。また、例えば、発酵後液を60℃以上の温度で1分以上保持する低温殺菌や、発酵後液をより高温で短時間保持する高温殺菌により、当該発酵後液に含まれる酵母を死滅させる。また、この発酵後工程12においては、発酵後液に炭酸ガスを吹き込むことにより、その発泡性をさらに向上させることもできる。
このような本製造方法によって製造される本飲料は、酵母が発芽エンドウを含む原料を効果的に資化して生成した香味成分等、醸造酒特有の香味成分を豊富に含む。具体的に、本飲料は、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、フェネチルアセテート、カプリル酸、カプリン酸等を含み、例えば、酢酸エチルを10.0mg/L以上、酢酸イソアミルを0.5mg/L以上含むことができ、好ましくは、酢酸エチルを15.0mg/L以上、酢酸イソアミルを0.8mg/L以上含むことができる。
さらに、本飲料は、これら発酵由来の香味成分に加えて、発芽エンドウ特有の成分をも含むことができる。すなわち、本飲料は、例えば、発芽エンドウ由来の香味成分や、味に厚みを付与する成分を含むことにより、香味のトータルバランスに優れ、味に厚みのある、発芽エンドウ特有の特性を備えた発泡性アルコール飲料とすることができる。
この本飲料に特有のバランスのよい香味特性は、例えば、原料の一部としてホップを使用して製造された発泡性アルコール飲料においては、ホップによるマスキング等の影響により得ることができないものである。すなわち、本飲料は、ホップを使用することなく製造されるため、ホップに特有の苦みや芳香を有しない。したがって、本飲料は、発芽エンドウの使用に由来する特有の香味が際立った発泡性アルコール飲料であり、ホップを使用して製造される従来の発泡性アルコール飲料とは異なる優れた香味を有することができる。具体的に、例えば、本飲料は、発芽エンドウの使用に由来する適度な酸味を有することにより、ホップを使用して製造される従来の発泡性アルコール飲料とは異なる、すっきりした味わいを実現することができる。
また、一般に、ホップに由来するビールの苦味は、ビールの特徴の一つとして評価されるが、この比較的強い苦味は、必ずしも好まれるものではない。一方、果汁の添加によって甘味を付与することも行われるが、果汁の甘味は喉に纏わりつくような比較的しつこいものであるため、ビールのようなすっきり感は得られにくい。これに対し、本製造方法によれば、ホップを使用することなく、且つ発芽エンドウを使用することにより、強い苦味は有しないが味に厚みがあり、また、豊富なエステル成分に由来すると思われる適度な甘味を有し、喉の通りがよいすっきり感をも得ることのできる、従来にない特性を有する本飲料を製造することができる。
また、本飲料に特有のバランスのよい香味特性は、本製造方法において、原料の一部としてホップ及び麦芽のいずれをも使用しない場合に、より一層際立ったものとなる。すなわち、この場合、本飲料は、発芽エンドウの使用に由来する特有の香味が際立った発泡性アルコール飲料であり、麦芽を使用して製造される従来の発泡性アルコール飲料とは異なる優れた香味を有することができる。
また、本製造方法においては、発芽エンドウに含まれるタンパク質を有効に利用することができるため、本飲料の泡もち特性を効果的に向上させることができるとともに、従来、原料の一部として使用されていた精製タンパク質等の泡もち向上物質の添加量を低減し、又は当該泡もち向上物質の添加を省略することができる。このため、本製造方法においては、発酵前液の濾過効率を向上させることができ、その結果、エキス収得率や、本飲料の酒質の純粋性を向上させることもできる。
また、本製造方法においては、ホップを使用する従来のビール等の製造方法に比べて、発酵前液や最終的に得られる本飲料のpHを高く維持することができるため、例えば、メイラード反応やカラメル色素の添加による着色を効率よく行うことができ、また、香味の劣化を効果的に抑制することもできる。
また、ホップを使用して製造される発泡性アルコール飲料には、ホップ由来のポリフェノールが含まれることとなるが、このポリフェノールは、渋味を付与し、また、高分子タンパク質と結合して沈殿物を生じることにより泡もち特性を低下させるといった側面も有する。これに対し、本製造方法においては、ホップを使用しないため、発芽エンドウの使用に由来するバランスのよい香味を有し、味に厚みがあり、泡もちが良好といった、発芽エンドウに特有の優れた特性を十分に活かした本飲料を製造することができる。
また、本製造方法においては、ホップを使用しないため、当然ながら、本飲料は、日光に晒された場合であっても、ホップ由来成分の変質に伴う日光臭を発生することがない。したがって、本飲料は、従来のホップを使用して製造される発泡性アルコール飲料で問題となっていた保管や輸送に伴う品質の劣化を効果的に回避することができ、発芽エンドウに特有の特性を安定して維持することができる。
また、本製造方法に関連して、本発明者らは、発芽エンドウの使用量に応じて、発泡性アルコール飲料の香味特性を制御できることを見出した。すなわち、この発泡性アルコール飲料の香味特性を制御する方法(以下、「本制御方法」という)は、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽エンドウを使用して発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行って発泡性アルコール飲料を製造する方法において、当該発芽エンドウの使用量によって、当該発泡性アルコール飲料の香味特性を制御する方法である。
本制御方法においては、発芽エンドウの使用量と、発泡性アルコール飲料が有するべき香味特性と、の相関関係に基づいて、実際に製造される発泡性アルコール飲料の香味特性を制御する。この相関関係としては、例えば、発芽エンドウの使用量と発泡性アルコール飲料の香味特性との規則的(例えば、直線的)な相関関係を好ましく採用することができる。具体的に、本制御方法においては、例えば、発芽エンドウの使用量を表す指標と、発泡性アルコール飲料の香味特性を表す指標(以下、「香味指標」という)と、の相関関係を示す検量データに基づいて、発芽エンドウの使用量を変動させることによって、得られる発泡性アルコール飲料の香味特性を当該発芽エンドウの使用量に応じて変動させることができる。
発芽エンドウの使用量を表す指標としては、例えば、発泡性アルコール飲料の製造過程のいずれかの段階で使用される原料、原料液(発酵前液、発酵液、発酵後液等)、又は最終的に得られる発泡性アルコール飲料、を単位量あたり得るのに必要とされる発芽エンドウの使用量の当該単位量に対する割合を使用することができる。この割合は、発芽エンドウの使用量と香味指標との相関関係を実験的又は理論的に予め取得できる範囲内であれば特に限られない。
具体的に、発芽エンドウの使用量を表す指標としては、例えば、発酵前液の原料中に占める発芽エンドウの使用比率(例えば、質量%で表される)を使用することができる。この発芽エンドウの使用比率は、当該使用比率と香味指標との相関関係を実験的又は理論的に予め取得できる範囲内であれば特に限られないが、例えば、0.01質量%〜0.35質量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.05質量%〜0.30質量%の範囲内とすることができる。すなわち、本発明者らは、独自の研究を進めた結果、発芽エンドウの使用比率が0.01質量%〜0.35質量%の範囲内である場合には、当該使用比率と香味指標との間に直線関係があることを見出した。また、この場合、上述のとおり、発芽エンドウに特有の香味特性を有する発泡性アルコール飲料を得ることもできる。したがって、本制御方法において、発芽エンドウの使用比率が0.01質量%〜0.35質量%の範囲内である場合には、当該使用比率によって、発泡性アルコール飲料の発芽エンドウに特有の香味特性を効果的に制御することができる。
香味指標としては、発泡性アルコール飲料の製造過程のいずれかの段階で調製される原料液(発酵前液、発酵液、発酵後液等)、又は最終的に得られる本飲料が有する香味特性を表す指標であれば特に限られず任意に決定することができ、例えば、当該発泡性アルコール飲料に含まれるエステル成分の濃度とすることができる。すなわち、例えば、発泡性アルコール飲料に含まれる少なくとも一種類のエステル成分の各濃度、又は当該各濃度を合計した総濃度の少なくとも一方を香味指標として使用することができる。
このエステル成分の種類は、発泡性アルコール飲料の製造過程のいずれかの段階で調製される原料液(発酵前液、発酵液、発酵後液等)、又は最終的に得られる発泡性アルコール飲料が有する香味特性に寄与するものであれば特に限られず、例えば、酵母により生成されるエステル成分や発芽エンドウに由来するエステル成分とすることができる。具体的に、例えば、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、フェネチルアセテート、カプリル酸、カプリン酸からなる群より選択される少なくとも1つのエステル成分とすることができ、好ましくは、酢酸エチル又は酢酸イソアミルの少なくとも一方とすることができる。
検量データは、実際の発泡性アルコール飲料の製造に先立って、発芽エンドウの使用量の変動に伴う発泡性アルコール飲料の香味特性の変動を調べることにより取得することができる。すなわち、例えば、まず、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽エンドウを当該原料に対する所定の使用比率で使用して、発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発泡性アルコール飲料の製造方法を、互いに異なる複数の当該使用比率で発芽エンドウを使用して複数回実行し、各使用比率で製造された各発泡性アルコール飲料に含まれるエステル成分の濃度を測定する。そして、この測定結果に基づいて、発芽エンドウの複数の使用比率について、各使用比率と、当該各使用比率の場合に測定されたエステルの濃度と、を対応付けた検量データを取得することができる。
具体的に、検量データは、例えば、発芽エンドウの使用比率とエステル濃度とが対応付けられたデータテーブルや関数等として表すことができる。検量データにおける発芽エンドウの使用比率やエステル濃度は、所定の幅をもって規定することもできる。また、検量データの作成に用いる複数の使用比率としては、上述したような、0.01質量%〜0.35質量%の範囲内とすることもできる。
このような検量データを参照すれば、所望の香味特性を有する発泡性アルコール飲料を製造するために必要な発芽エンドウの使用量を簡便に決定することができる。すなわち、例えば、特定のエステル成分を所定の濃度又は濃度範囲で含有する発泡性アルコール飲料を製造する場合には、まず、当該特定のエステル成分の濃度を香味指標として予め実験的又は理論的に取得された検量データにおいて、当該所定の濃度又は濃度範囲に対応付けられている発芽エンドウの使用比率を決定する。
そして、原料の一部として、ホップを使用することなく、検量データに基づいて決定した使用比率で発芽エンドウを使用して発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことにより、当該使用比率に応じた香味特性を有する発泡性アルコール飲料を製造することができる。なお、本制御方法は、原料の一部として、麦芽及びホップを使用しない発泡性アルコール飲料の製造方法において香味特性を制御する方法とすることもできる。
このように、本制御方法によれば、発芽エンドウの使用量を変化させることにより、発泡性アルコール飲料の香味特性を制御することができる。特に、上述したような検量データを用いることにより、所望の香味特性を有する発泡性アルコール飲料を、従来必要とされていた膨大な試行錯誤を行うことなく、簡便且つ確実に製造することができる。
なお、本発明者らは、エンドウ以外の豆類であっても、その使用量に応じて発泡性アルコール飲料の香味特性を制御できるものであればエンドウに代えて使用できることを見出している。すなわち、例えば、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、トラ豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、ウズラ豆、ハナ豆、ヒラ豆、ヒタシ豆からなる群より選択される少なくとも1つを発芽させたもの、好ましくは大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、ウズラ豆を発芽させたもの、を発芽エンドウに代えて使用することができる。
次に、本飲料、本製造方法、本制御方法に関する実施例について説明する。これらの実施例においては、数リッター(L)スケールの醸造設備を用いた。
[実施例1]
実施例1においては、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽させたエンドウを使用して発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことによって発泡性アルコール飲料を製造した。
すなわち、まず、発芽処理を施していない生エンドウを15℃の水に24時間浸し、次いで12℃の湿潤空気を3日間送風することにより発芽させた。さらに、この発芽エンドウを室温から84℃に昇温させた環境で3時間焙燥した。そして、焙燥後の発芽エンドウを、粉砕装置(モルトミル、ジャーティンアセソン&カンパニー社製)を使用して粉砕することにより粉砕発芽エンドウを準備した。
また、原料の他の一部として、精製された炭素源及び窒素源を準備した。すなわち、主な炭素源及び窒素源として、トウモロコシ由来の液糖(コーンシラップS75、日本コーンスターチ株式会社製)及び発芽させていないエンドウから抽出したタンパク質の酵素分解物(エンドウ蛋白PP−CS、パーハイムフーズ社製)をそれぞれ準備した。
そして、容量3.9Lの仕込タンクに、80℃の湯1Lと、3.9gの粉砕発芽エンドウと、600gの液糖と、46gのエンドウタンパク分解物と、1.9gのカラメル色素(粉末カラメルSF、池田糖化工業株式会社製)と、を添加して、これらの原料を混合した。その後、この混合液にさらに80℃の湯を追加することにより、エキス濃度が約12%の原料液を3.9L調製した。この原料液中の粉砕発芽エンドウの濃度は1000ppm(parts per million)(すなわち、1g/L、約0.1質量%)であった。
次に、仕込タンクに備えられたヒーターによって、当該仕込タンク内の原料液を加熱して沸騰させた。原料液の煮沸を開始した後、20分が経過した時点でヒーターによる加熱を停止した。そして、煮沸後の原料液に水を加えて、エキス濃度を11.8%に調整することにより、発酵前液を調製した。この発酵前液を10℃に冷却した後、その2.5Lを発酵タンクに移送した。
発酵タンク内では、発酵前液に下面発酵ビール酵母を3×10個/mLの濃度となるように添加することにより、前発酵を開始した。前発酵を14℃で5日間行った後、発酵液の上澄みを回収した。そして、この上澄みの2.0Lを貯酒タンクに移送した。
貯酒タンク内では、移送された発酵液をマイナス1℃に冷却し、3週間維持することで、貯酒を行った。そして、貯酒を終えた発酵後液を、珪藻土を使用してろ過することにより、当該発酵後液中の酵母を除去し、発泡性アルコール飲料を得た。
また、この実施例1においては、発芽エンドウの代わりに、発芽処理を施していない生エンドウを使用して、上述の発芽エンドウを用いる方法と同様の方法により、発泡性アルコール飲料を製造した。この場合も発酵前液の原料液中における粉砕生エンドウの濃度は1000ppmであった。
図2及び図3には、発芽エンドウを使用した場合の前発酵における、発酵液中のエキス濃度及び浮遊酵母数の経時変化の一例を示す。これらエキス濃度及び浮遊酵母数は、各時点において採取した発酵液の一部を分析することにより確認した。
図2において、横軸は、発酵前液に酵母を添加してから経過した日数を表す発酵日数(日)、縦軸は、発酵液100gあたりのエキス量(g)を表すエキス濃度(%)、をそれぞれ示している。図2に示すように、前発酵中のエキス濃度は、発酵開始時の11.8(%)から徐々に低下し、発酵6日目には2.6(%)となった。前発酵は、エキス濃度が3.0(%)を下回った発酵6日目に終了した。
図3において、横軸は発酵日数(日)、縦軸は発酵液1mLあたりの浮遊酵母数(×10個)、をそれぞれ示している。図3に示すように、前発酵中の浮遊酵母数は、発酵開始から2日目までは増加し、その後、徐々に減少した。これら図2及び図3に示す結果から、原料の一部として、ホップを使用することなく、発芽エンドウを使用した場合において、下面発酵が順調に進行したことが確認できた。
図4には、発芽エンドウ又は生エンドウを使用して調製された発酵前液について、色度(EBC単位)、pH、遊離アミノ態窒素(Free Amino acid Nitrogen:FAN)濃度(mg/L)、総タンパク質濃度(mg/L)を分析した結果を示す。なお、色度は、EBC法に従い、分光光度計(U3210、株式会社日立製作所製)を用いて測定した430nmにおける各発酵前液の吸光度に基づいて算出した。また、FAN濃度は、EBC法に従って測定した。
図4に示すように、発酵前液のFAN濃度、総タンパク質濃度は、いずれも発芽エンドウを使用した場合の方が生エンドウを使用した場合に比べて高かった。すなわち、発芽エンドウを使用して調製された発酵前液は、FAN及び総タンパク質を豊富に含んでいることが確認された。
図5には、発芽エンドウ又は生エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料について、色度(EBC単位)、pH、FAN濃度(mg/L)、エタノールの体積%を表すアルコール濃度(%)、泡もち特性を表すNIBEM値(秒)、酵母により生成されることが知られているエステル成分である酢酸エチル及び酢酸イソアミルの濃度(mg/L)を分析した結果を示す。酢酸エチル及び酢酸イソアミルの濃度は、ガスクロマトグラフィー(HP6890、アジエントテクノロジー社製)を用いて分析した。
図5に示すように、発泡性アルコール飲料に含まれる酢酸エチル及び酢酸イソアミルの濃度は、発芽エンドウを使用した場合の方が生エンドウを使用した場合に比べて高かった。すなわち、発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料は、少なくとも醸造酒に特有のエステル成分を豊富に含んでいることが確認された。また、NIBEM値の結果から、発芽エンドウを使用した場合の方が、生エンドウを使用した場合に比べて泡もちが向上することが確認された。
さらに、最終的に得られた発泡性アルコール飲料について、熟練したパネリスト6人による官能検査を行った。その結果、発芽エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料については、良好なエステル香を有し、適度な酸味と甘みに加え、すっきりしたスムーズな味わいがあり、切れ(後味)やのどごしも良好であって、その総合評価は極めて優良であった。一方、生エンドウを使用して製造された発泡性アルコール飲料については、豆臭や粉臭を有し、香りが不純であって、発芽エンドウを使用した場合に比べて、切れやのどごしが劣ると評価された。
官能検査において優れた特性として評価された発芽エンドウに特有のエステル香は、図5に示したエステル成分等の醸造酒に特有な香味成分と、発芽エンドウに由来する特有の香味成分と、の相乗効果により得られた特性と考えられる。また、発芽エンドウを使用した場合に得られる、すっきりしたスムーズな味わいと、良好な切れとのどごしは、図5に示す種々の成分を有することに加え、発芽エンドウに特有のバランスのよい香味が付与され、味の厚みが増したたことにより得られた特性と考えられる。
このように、原料の一部として、麦芽もホップも使用することなく、発芽エンドウを使用して発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことにより製造された発泡性アルコール飲料は、従来にない優れた香味等の特性を有するものであることが確認された。これは、ホップを使用することなく、発芽エンドウを使用しているため、発芽エンドウに由来する特性を十分に活かすことができた結果と考えられる。
[実施例2]
実施例2においては、発酵前液の原料中に占める発芽エンドウの使用比率を変動させることにより、各使用比率で製造される発泡性アルコール飲料の特性がどのように変化するかを検討した。すなわち、原料の一部として、ホップを使用することなく、互いに異なる複数の使用比率で発芽エンドウを使用して複数の発酵前液を調製し、各発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことによって複数の発泡性アルコール飲料を製造した。
発酵前液の原料中に占める発芽エンドウの使用比率は、0ppm(0.000質量%、すなわち発芽エンドウは不使用)、50ppm(0.005質量%)、100ppm(0.010質量%)、500ppm(0.050質量%)、1000ppm(0.100質量%)、3000ppm(0.300質量%)、3500ppm(0.350質量%)、4000ppm(0.400質量%)の8種類とした。そして、上述の実施例1と同様の製造方法を、各使用比率で実行して、8種類の発泡性アルコール飲料を製造した。
図6及び図7には、8種類の使用比率で発芽エンドウを使用した場合の各前発酵における、発酵液中のエキス濃度及び浮遊酵母数の経時変化の一例を示す。図6において、横軸は発酵日数(日)、縦軸はエキス濃度(%)をそれぞれ示している。また、図6及び図7において、黒塗り菱形印は0ppm、白抜き菱形印は50ppm、黒塗り四角印は100ppm、白抜き四角印は500ppm、黒塗り丸印は1000ppm、白抜き丸印は3000ppm、黒塗り三角印は3500ppm、白抜き三角印は4000ppm、の使用比率を採用した場合の結果をそれぞれ示している。図7において、横軸は発酵日数(日)、縦軸は発酵液1mLあたりの浮遊酵母数(×10個)をそれぞれ示している。
図6及び図7に示すように、特に、発芽エンドウの使用比率が50ppmより大きい場合において、下面発酵が順調に進行したことが確認できた。また、発芽エンドウの使用比率の増加に伴って、発酵液中における酵母の代謝活動や増殖が促進されることが確認された。なお、前発酵は、発芽エンドウの使用比率を3000ppm、3500ppm、4000ppmとした場合は4日間、使用比率を1000ppmとした場合は5日間、使用比率を100ppm、500ppmとした場合は6日間、使用比率を0ppm、50ppmとした場合は7日間、それぞれ行った。
図8には、最終的に得られた発泡性アルコール飲料の泡もち特性を示すNIBEM値を測定した結果の一例を示す。図8において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸はNIBEM値(秒)をそれぞれ示している。図8に示すように、いずれの使用比率の場合にも、製造される発泡性アルコール飲料は泡もちが良好であることが確認された。また、使用比率の増加に伴って、NIBEM値も増加する傾向があることが確認された。
図9には、発酵前液に含まれるFAN及び総タンパク質の濃度を測定した結果の一例を示す。図9において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸はFAN及び総タンパク質の濃度(mg/L)をそれぞれ示している。また、白抜きの棒はFAN濃度、黒塗りの棒は総タンパク質濃度をそれぞれ示している。図9に示すように、使用比率の増加に伴って、総タンパク質濃度も増加する傾向があることが確認された。一方、使用比率の増加に伴うFANの濃度の増加は、総タンパク質に比べると緩やかなものであった。
図10には、発酵前液及び最終的に得られた発泡性アルコール飲料の色度を測定した結果の一例を示す。図10において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸は色度(°EBC)をそれぞれ示している。また、白抜きの棒は発酵前液、黒塗りの棒は飲料(発泡性アルコール飲料)の測定結果をそれぞれ示している。図10に示すように、発酵前液の色度は使用比率にほとんど依存していなかった。一方、発泡性アルコール飲料の色度は、使用比率の増加に伴って増加した。この色度が低下する原因は不明であるが、使用比率に伴って増殖が促進される酵母による色素の吸着が、その原因の一つとして考えられる。
また、各使用比率で調製された発酵前液のpHを測定した結果、発酵前液のpHは6.70〜7.00の範囲内において、使用比率の増加に伴い、僅かに増加する傾向があった。また、各使用比率で製造された発泡性アルコール飲料のpHを測定した結果、発泡性アルコール飲料のpHは、3.75〜4.00の範囲内で使用比率の増加に伴い、僅かに増加する傾向があった。
図11には、最終的に得られた8種類の発泡性アルコール飲料の各々に含まれる酢酸イソアミルを測定した結果の一例を示す。図11において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸は酢酸イソアミルの濃度(mg/L)をそれぞれ示している。図11に示すように、酢酸イソアミル濃度は、使用比率が0ppmから100ppmまでの範囲において急激に増加し、使用比率が100ppmから4000ppmまでの範囲においては、より緩やかに増加した。すなわち、使用比率が0ppmから100ppmまでの範囲は第一の傾きで、使用比率の増加に伴い酢酸イソアミル濃度が直線的に増加し、使用比率が100ppmから4000ppmまでの範囲においては、当該第一の傾きより小さな第二の傾きで、使用比率の増加に伴い酢酸イソアミル濃度が直線的に増加した。
図12には、図11にプロットした8点のデータのうち、100ppmから4000ppmの範囲、すなわち、100ppm、500ppm、1000ppm、3000ppm、3500ppm、4000ppmの6点のデータを抜き出してプロットし、当該6点について直線近似した場合の一例を示す。図12において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸は酢酸イソアミルの濃度(mg/L)をそれぞれ示している。図12に示すように、使用比率が100ppm〜4000ppmの範囲内において、当該使用比率と酢酸イソアミル濃度とは、良好な直線関係を示した。なお、この直線近似における相関係数(R)は0.96であった。
これら図11及び図12に示すような、発芽エンドウの使用比率と酢酸イソアミル濃度との相関関係を示す検量データに基づいて、発芽エンドウの使用比率を変動させることにより、発泡性アルコール飲料に含まれる酢酸イソアミル濃度を簡便且つ確実に制御できる。特に、図12に示すように、発泡性アルコール飲料に優れた特性を付与できる使用比率の範囲内において、当該使用比率と酢酸イソアミル濃度との間に直線関係が成立する場合には、酢酸イソアミルを所望の濃度で含む発泡性アルコール飲料を製造するために必要な発芽エンドウの使用比率を簡便に決定することができる。そして、決定された使用比率で発芽エンドウを使用することにより、酢酸イソアミルを当該所望の濃度で含む発泡性アルコール飲料を確実に製造することができる。
また、8種類の発泡性アルコール飲料の各々について、熟練したパネリスト5人による官能検査を行った。その結果、発芽エンドウを使用していない場合(使用比率が0ppmの場合)、及び発芽エンドウの使用比率が50ppmであった場合に得られた発泡性アルコール飲料は、硫黄臭や硫化物臭が強く、味については渋味やエグ味があり、後味については切れに劣るものであった。一方、発芽エンドウの使用比率が4000ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、発芽エンドウの使用に由来するエステル香を僅かに有するものの、エグ味や雑味を有し、後味は切れに劣るものであった。
これに対し、発芽エンドウの使用比率が100ppm〜3500ppm(0.010質量%〜0.350質量%)の範囲内の場合に得られた発泡性アルコール飲料は、発芽エンドウに特有の好ましい特性を備えていた。すなわち、発芽エンドウの使用比率が100ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、僅かに硫黄臭があるものの、適度な酸味と甘味を有し、切れも良好であった。発芽エンドウの使用比率が500ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、発芽エンドウの使用に由来するエステル香を有し、適度な酸味と甘味を有し、切れも良好であった。発芽エンドウの使用比率が1000ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、発芽エンドウの使用に由来する特有のエステル香が顕著であり、適度な甘味を有し、切れも極めて良好で、後味がすっきりしていた。発芽エンドウの使用比率が3000ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、ややエグ味があるものの、発芽エンドウの使用に由来する特有のエステル香を有し、切れも良好であった。発芽エンドウの使用比率が3500ppmの場合に得られた発泡性アルコール飲料は、エグ味、雑味、渋味を有し、切れが劣るものの、発芽エンドウの使用に由来する特有のエステル香を有していた。
図13には、この官能検査において、8種類の発泡性アルコール飲料について、A、B、Cの3段階(Aが最も優れた評価)の総合評価を行った結果の一例を示す。図13において、横軸は発芽エンドウの使用比率(ppm)、縦軸は、A評価又はC評価をつけたパネリストの人数(人)をそれぞれ示している。黒塗りの丸印がA評価の人数、白抜きの丸印がC評価の人数をそれぞれ示している。
図13に示すように、発芽エンドウの使用比率が0ppm、50ppm、4000ppmの場合には、A評価をつけたパネリストはいなかった。また、発芽エンドウの使用比率が100ppm及び3500ppmの場合には、それぞれA評価が1人及び2人であった一方で、C評価もまた1人及び2人であり、A評価とC評価が同数であった。
これに対し、発芽エンドウの使用比率が500ppm、1000ppm、3000ppmの場合には、C評価をつけたパネリストはいなかった。そして、この場合、A評価をつけた人数は、3000ppmの場合には1人、500ppmの場合には2人であり、1000ppmの場合には、5人のパネリスト全員がA評価をつけた。このように、原料の一部として、麦芽及びホップを使用することなく、発芽エンドウを使用して発泡性アルコール飲料を製造した場合には、当該発芽エンドウの使用比率が500〜3000ppmの範囲内である場合に、特に高い評価が得られた。
[実施例3]
実施例3においては、発芽エンドウを使用して、上述の実施例1と同様の製造方法により製造された発泡性アルコール飲料において、日光の照射に伴う日光臭が発生するか否かを検討した。すなわち、まず、原料の一部として、ホップを使用することなく、3日間発芽させた発芽エンドウを当該原料に対して1000ppmの比率で使用して発酵前液を調製し、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことにより発泡性アルコール飲料を製造した。
そして、この発泡性アルコール飲料の一部を褐色の容器に注入し、一週間にわたって屋外に放置した。発泡性アルコール飲料の入った容器は、この一週間のうち、少なくとも20時間の間、昼間の強い日光に晒された。また、この放置期間における発泡性アルコール飲料の温度は15℃〜40℃の範囲内であった。
そして、日光が照射される前の発泡性アルコール飲料と、容器内で一週間、屋外に放置された後の発泡性アルコール飲料と、のそれぞれについて、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの含有量を測定した。この3−メチル−2−ブテン−1−チオールは、ホップから抽出されるイソフムロンが光分解されることにより生成される物質である。この3−メチル−2−ブテン−1−チオールの生成は、ホップを使用して製造されたビール等の発泡性アルコール飲料が日光に晒された場合に発生する、いわゆる日光臭の主な原因物質と考えられており、その閾値は5ppt(parts per trillion)と言われている。
測定の結果、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの濃度は、日光が照射される前の発泡性アルコール飲料において2ppt、日光が照射された後の発泡性アルコール飲料においては3pptであった。すなわち、この発泡性アルコール飲料においては、保管時に日光の照射を長時間受けた場合であっても、日光臭は発生しないことが確認された。
[実施例4]
実施例4においては、上述した実施例1と同様の製造方法において、エンドウに代えて、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、ウズラ豆、ヒタシ豆の7種類の豆類のいずれかを使用して、14種類の発泡性アルコール飲料を製造した。各豆類は、実施例1と同様に、浸豆後に湿潤空気を3日間送風することにより発芽させたものを発芽豆として使用し、又は発芽処理を施していないものを生豆として使用した。
すなわち、原料の一部として、ホップを使用することなく、7種類の発芽豆又は7種類の生豆のいずれかを当該原料に対して1000ppmの比率で使用して14種類の発酵前液を調製し、各発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことにより、14種類の発泡性アルコール飲料を製造した。発芽豆及び生豆はいずれも粉砕して使用した。
図14には、14種類の発酵前液を、図4と同様の項目について分析した結果を示す。図14に示すように、FAN濃度は、大豆、小豆、黒豆、ヒタシ豆については、発芽させたものを使用した場合の方が生のものを使用した場合に比べて高かった。また、総タンパク質濃度は、大豆、小豆、緑豆、ウズラ豆、ヒタシ豆については、発芽させたものを使用した場合の方が生のものを使用した場合に比べて高かった。各発酵前液のpHは、6.7〜6.9の範囲内であった。
図15には、14種類の発泡性アルコール飲料を、図5に示した結果と同様の項目について分析した結果を示す。図15に示すように、発泡性アルコール飲料に含まれる酢酸エチルの濃度は、大豆、黒豆、緑豆、大正金時、ウズラ豆については、発芽したものを使用した場合の方が生のものを使用した場合に比べて高かった。また、酢酸イソアミルの濃度は、大豆、小豆、黒豆、緑豆、大正金時、ウズラ豆については、発芽したものを使用した場合の方が生のものを使用した場合に比べて高かった。NIBEM値は、いずれの豆類を使用した場合においても、発芽したものを使用した場合の方が生のものを使用した場合に比べて高かった。
また、14種類の発泡性アルコール飲料の各々について、熟練したパネリスト7人による官能検査を行った。その結果、生大豆を使用した場合には、渋味、エグ味、雑味が強く、切れがないのに対し、発芽大豆を使用した場合には、渋味が低減され、エグ味や雑味は消失し、切れが増し、マイルドですっきりした味わいを有するとの良好な評価が得られた。
また、生小豆を使用した場合には、酸味や渋味が強く、切れがないのに対し、発芽小豆を使用した場合には、渋味が消失し、切れが増して、適度な酸味と程よいエステル香を有するとの良好な評価が得られた。
また、生黒豆を使用した場合には、特徴がなく、魅力がないのに対し、発芽黒豆を使用した場合には、エステル香と適度な酸味があり、マイルドな味わいを有する良好な評価が得られた。
また、生緑豆を使用した場合には、味がフラットで、すっきり感が不足するのに対し、発芽緑豆を使用した場合には、適度な酸味があり、香味のバランスに優れているとの良好な評価が得られた。
また、生大正金時を使用した場合には、渋味やエグ味が強く、切れがないのに対し、発芽大正金時を使用した場合には、渋味やエグ味は消失し、エステル香と調和のとれた酸味を有するとの良好な評価が得られた。
また、生ウズラ豆を使用した場合には、香りのバランスが劣り、酸味が強いのに対し、発芽ウズラ豆を使用した場合には、香りのバランスが向上するとの良好な評価が得られた。
また、生ヒタシ豆と発芽ヒタシ豆とで大きな差は見られなかったが、発芽ヒタシ豆を使用することにより、甘味が増し、マイルドで飲みやすくなる傾向にあるとの評価が得られた。
このように、原料の一部として、麦芽及びホップを使用することなく、各発芽豆を使用することにより、当該発芽豆の種類に応じた特徴的な香味、味、切れ等の良好な特性を有する発泡性アルコール飲料を製造できることが確認された。

Claims (2)

  1. 原料の一部として、ホップ及び麦芽を使用することなく、発芽させたエンドウを、前記原料のうち0.05質量%〜0.30質量%の範囲内で使用して発酵前液を調製する発酵前工程と、
    前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、
    を含む
    ことを特徴とする発泡性アルコール飲料の製造方法。
  2. 請求項1に記載された製造方法により製造された
    ことを特徴とする発泡性アルコール飲料。
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