JP7488965B2 - ビールテイスト飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
従来から、最近の消費者の多様化した好みに応じて、様々なビールテイスト飲料が検討され、提供されている。
例えば、特許文献1には、麦芽を原料とし、コクとキレのバランスが良好な発酵麦芽飲料の提供を目的として、麦芽比率が50~66質量%の発酵原料と水とを含む混合物を糖化した後、煮沸して発酵原料液を調製する仕込工程と、前記仕込工程により得られた発酵原料液に酵母を接種し、発酵を行う発酵工程と、を少なくとも有し、苦味価が10~30BUである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法が記載されている。
特開2017-118824号公報
このような発酵麦芽飲料は、少量で満腹感を与えてしまう場合がある。
そのため、ビールテイスト飲料に不適な満腹感を感じ難いビールテイスト飲料が求められている。
本発明は、プロリン含有量、総ポリフェノール量、ピログルタミン酸含有量、および外観発酵度を所定の範囲に調整したビールテイスト飲料を提供する。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
プロリンの含有量が15~75mg/100mL、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度が70.0~95.0%である、ビールテイスト飲料。
[2]
総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が、1.5~5.5である、[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
オリジナルエキス濃度が6.0~20.0質量%である、[1]または[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
ピログルタミン酸の含有量(Z)(単位:mg/L)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(Z)/(Y)〕が、1.0~7.5である、[1]~[3]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[5]
前記ビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である、[1]~[4]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[6]
色度が5.0~20.0EBCである、[1]~[5]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[7]
pHが3.0~5.0である、[1]~[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[8]
乳酸の含有量が40~950質量ppmである、[1]~[7]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[9]
リン酸の含有量が40~800質量ppmである、[1]~[8]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[10]
ホップ由来成分を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[11]
ビールテイスト飲料の製造方法であって、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度を70.0~95.0%とする、ビールテイスト飲料の製造方法。
[12]
総ポリフェノール量が60~200質量ppmであり、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであるビールテイスト飲料において、外観発酵度が70.0~95.0%となるように外観発酵度を調整する、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
本発明の好適な一態様によれば、不適な満腹感を感じ難いビールテイスト飲料を提供する。また、本発明の好適な一態様によれば、よりビールテイスト飲料らしい飲料となり得、例えば、水っぽさを抑制し、麦に由来する豊かな味わいを有するビールテイスト飲料を提供する。
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは3.0~15、より好ましくは3.2~13」と記載されている場合、「3.0~13」との範囲や「3.2~15」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上、100以下」という範囲であることを意味する。
さらに、本明細書に記載された上限値及び下限値の規定において、それぞれの選択肢の中から適宜選択して、任意に組み合わせて、下限値~上限値の数値範囲を規定することができる。
加えて、本明細書に記載された好ましい態様として記載の各種要件は複数組み合わせることができる。
1.ビールテイスト飲料
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有の炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。
したがって、「ビールテイスト飲料」には、麦芽、ホップ、および水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる麦芽発酵飲料であるビールや、発酵ビールテイスト飲料だけでなく、エステルや高級アルコールやラクトンなどを含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。ビール香料としては、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコールが挙げられる。
さらに、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたエールビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたラガービールテイスト飲料、ピルスナービールテイスト飲料等であってもよい。また、本明細書でいう「発酵」は、アルコールが生じるアルコール発酵であってもよく、アルコールが生じない非アルコール発酵であってもよい。
ビールテイスト飲料のアルコール度数(エタノールの含有量)は、特に制限はないが、好ましくは0.5(v/v)%以上、1.0(v/v)%以上、より好ましくは2.0(v/v)%以上、さらに好ましくは3.0(v/v)%以上、よりさらに好ましくは3.5(v/v)%以上、特に好ましくは4.0(v/v)%以上であり、また、好ましくは10.0(v/v)%以下、より好ましくは9.0(v/v)%以下、さらに好ましくは8.0(v/v)%以下、よりさらに好ましくは7.0(v/v)%以下、特に好ましくは6.5(v/v)%以下であり、6.0(v/v)%以下としてもよい。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
アルコール度数の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽での糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、スピリッツや醸造アルコールなどの添加等を適宜設定して行うことができる。
本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度は70.0~95.0%である。外観発酵度が高いビールテイスト飲料は、満腹感を抑制できるが、旨味が低下し水っぽい味となり、麦の旨味が低下する傾向がある。そこで、本発明のビールテイスト飲料では、外観発酵度を70.0~95.0%となるように糖化条件および発酵条件を調整し、さらにプロリン含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸含有量が50~300mg/Lおよび、総ポリフェノール量が60~200質量ppmとなるように製造される。
本発明は、外観発酵度、プロリン含有量、ピログルタミン酸含有量および総ポリフェノール量を調整することで、不適な満腹感を与えずに、たくさん飲むことのできるビールテイスト飲料を提供でき、さらに好ましい態様の発明は、麦の旨味を感じることができる水っぽくないビールテイスト飲料や、麦に由来する豊かな味わいを有するビールテイスト飲料を提供できる。
本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度は、70.0%以上であるが、不適な満腹感を抑制させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは71.0%以上、より好ましくは72.0%以上、よりさらに好ましくは73.0%以上、よりさらに好ましくは74.0%以上であり、特に好ましくは75.0%以上であり、また、76.0%以上、78.0%以上、80.0%以上、81.0%以上、82.0%以上、83.0%以上、84.0%以上、85.0%以上、または86.0%以上としてもよい。
本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度は、95.0%以下であるが、麦に由来する豊かな味わいをより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは94.5%以下、より好ましくは94.0%以下、さらに好ましくは93.5%以下、よりさらに好ましくは93.0%以下、特に好ましくは92.0%以下であり、また、91.0%以下、または90.0%以下としてもよい。
本明細書において、「外観発酵度」とは、発酵前の液に含まれる全糖濃度のうち、酵母がアルコール発酵の栄養源として消費できる糖濃度の占める割合を意味する。例えば、本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度AAは、下記式(1)から算出することができる。
式(1):AA(%)=100×(P-Es)/P
上記式(1)中、「P」は、オリジナルエキス(原麦汁エキス)であり、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載された方法により、測定することができる。
また、「Es」は、ビールテイスト飲料の外観エキスを示す。外観エキスは、例えば、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載されるように、下記式(2)から算出することができる。
式(2):Es=-460.234+662.649×D-202.414×D
(式(2)中、Dは、ガス抜きビールテイスト飲料の比重である。)
なお、外観エキス「Es」は、上記式(2)中のDによって負の値になることがあるため、算出される外観発酵度が100%を超える場合がある。
なお、ビールテイスト飲料の外観発酵度の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素(糖質分解酵素、異性化酵素等も含む)の添加量、酵素反応時の温度、酵素の添加のタイミング、糖化時間、糖化時のpH、糖化時の温度、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前までの麦汁製造工程)でのpH、仕込工程での温度、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定して行うことができる。
本発明のビールテイスト飲料におけるオリジナルエキス(O-Ex)濃度(原麦汁濃度)は6.0~20.0質量%である。ビールテイスト飲料におけるオリジナルエキス濃度が高くなると水っぽさを感じにくくなる。そこで、本発明の一態様のビールテイスト飲料のオリジナルエキス濃度は、好ましくは6.5質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、さらに好ましくは7.5質量%以上、よりさらに好ましくは7.8質量%以上、特に好ましくは8.0質量%以上であるが、8.2質量%以上、8.5質量%以上、8.6質量%以上、8.7質量%以上、8.8質量%以上、8.9質量%以上、9.0質量%以上、9.1質量%以上、9.2質量%以上、9.3質量%以上、9.4質量%以上、9.5質量%以上、9.6質量%以上、9.7質量%以上、9.8質量%以上、9.9質量%以上、10.0質量%以上、10.1質量%以上、10.2質量%以上、10.3質量%以上、10.4質量%以上、10.5質量%以上、10.6質量%以上、10.7質量%以上、10.8質量%以上、10.9質量%以上、または11.0質量%以上であってもよい。また、本発明の一態様のビールテイスト飲料のオリジナルエキス濃度は、不適な満腹感を抑制させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは18.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下、さらに好ましくは16.0質量%以下、よりさらに好ましくは15.0質量%以下、特に好ましくは14.0質量%以下であるが、13.8量%以下、13.6量%以下、13.4量%以下、13.2量%以下、13.0質量%以下、12.8量%以下、12.7量%以下、12.6量%以下、12.5量%以下、12.4量%以下、12.3量%以下、12.2量%以下、12.1量%以下、12.0質量%以下であってもよい。
オリジナルエキス濃度の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、麦汁濾過の時間、麦汁濾過のpH、煮沸時間、煮沸温度、スピリッツの添加量、醸造アルコールの添加量等を適宜設定して行うことができる。
本発明に係るビールテイスト飲料のオリジナルエキス(原麦汁エキス)は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されている方法によって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のプロリン含有量は、不適な水っぽさを抑制したビールテイスト飲料とすると共に、麦に由来する豊かな味わい、飲み応え、味の厚みをより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、15mg/100mL以上であり、好ましくは16mg/100mL以上、より好ましくは17mg/100mL以上、さらに好ましくは18mg/100mL以上、よりさらに好ましくは19mg/100mL以上、特に好ましくは20mg/100mL以上であり、また、21mg/100mL以上、23mg/100mL以上、または、25mg/100mL以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料のプロリン含有量が多いと、満腹感を与えやすくなってしまうため、ビールテイスト飲料のプロリン含有量は、75mg/100mL以下であり、好ましくは73mg/100mL以下、より好ましくは71mg/100mL以下、さらに好ましくは69mg/100mL以下、よりさらに好ましくは67mg/100mL以下、特に好ましくは66mg/100mL以下であり、また、65mg/100mL以下、63mg/100mL以下、61mg/100mL以下、または60mg/100mL以下であってもよい。
本明細書において、プロリン含有量は、例えば、株式会社日立製作所製のアミノ酸自動分析装置L-8800A型等を用いて測定することができる。
プロリンは、麦芽等の含窒素原料中に含まれるアミノ酸であり、発酵工程において酵母によって栄養源として利用されないため、最終製品であるビールテイスト飲料の風味に上記のような影響をもたらす。プロリンは、ビールテイスト飲料の原料に含まれるものであってもよく、製造工程において別途添加されるもの(例えば、プロリン精製物)であってもよい。
プロリンの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、アミノ酸含有原材料(麦芽、麦、コーングリッツ、糖液、酵母エキス、大豆、エンドウ、プロリン精製物等)の種類、原材料の量、酵素の種類(タンパク分解酵素など)、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽での糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、スピリッツや醸造アルコールなどの添加等を適宜設定して行うことができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、不適な水っぽさを抑制したビールテイスト飲料とすると共に、ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい、飲み応え、味の厚みをより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、60質量ppm以上であり、好ましくは65質量ppm以上、より好ましくは70質量ppm以上であり、さらに好ましくは71質量ppm以上、より好ましくは72質量ppm以上、よりさらに好ましくは73質量ppm以上であり、また、75質量ppm以上、80質量ppm以上、85質量ppm以上、90質量ppm以上、95質量ppm以上、または、100質量ppm以上であってもよい。
他方、総ポリフェノール量が多いと飲み口も重くなり、不適な満腹感を与えやすくなってしまう。そこで、本発明の飲料の総ポリフェノール量は200質量ppm以下であり、好ましくは195質量ppm以下であり、より好ましくは190質量ppm以下であり、よりさらに好ましくは180質量ppm以下であり、よりさらに好ましくは170質量ppm以下であり、また、160質量ppm以下、150質量ppm以下、140質量ppm以下、130質量ppm以下、120質量ppm以下であってもよい。
ポリフェノールとは、芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基で置換された化合物をいう。ポリフェノールとしては、例えば、フラボノール、イソフラボン、タンニン、カテキン、ケルセチン、アントシアニンなどが挙げられる。
本発明における「総ポリフェノール量」とは、ビールテイスト飲料に含まれるこれらポリフェノールの総量である。
総ポリフェノール量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのポリフェノール重合条件(温度、撹拌速度など)、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間、ビール濾過の形式(珪藻土、膜、シート、カートリッジ、フィルターなど)、活性炭、ビール濾過時に添加する安定化剤(シリカゲル、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)、ベントナイト、タンニン、ベントナイトなど)等を適宜設定して行うことができる。
また、本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、大麦麦芽、麦芽のハスク(穀皮)などのポリフェノール含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制御できる。具体的には、ポリフェノール含有量の多い麦芽等の原材料の使用量を増やすことにより総ポリフェノール量を増加させることができる。
一般的に、ハスク(穀皮)がある麦芽等は窒素およびポリフェノールの含有量が多く、大豆、酵母エキス、エンドウ豆、トウモロコシ、トウモロコシ加工品(コーングリッツ、コーンタンパク等)、小麦、小麦麦芽等は窒素の含有量が多いがポリフェノールの含有量が少ない。そこで、ビールテイスト飲料におけるプロリン含有量および総ポリフェノール量は、原料の配合割合を調整することによって、増減させることができる。以下、原料の配合割合の調整によってプロリン含有量および総ポリフェノール量を増減させる代表的な方法(1)~(4)を挙げる。
(1)ハスクがある麦芽等の使用量を増やすことによって、ビールテイスト飲料のプロリン含有量および総ポリフェノール量を増やす。
(2)大豆、酵母エキス等の使用量を増減させることによって、総ポリフェノール量を維持しながら、ビールテイスト飲料のプロリン含有量を増減させる。
(3)ハスクがある麦芽等の使用量を増やし大豆、酵母エキス等の使用量を減らすことによって、プロリン含有量を維持しながら、総ポリフェノール量を増やす。
(4)ハスクがある麦芽等の使用量を減らし大豆、酵母エキス等の使用量を増やすことによって、プロリン含有量を維持しながら、総ポリフェノール量を減らす。
本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料において、ビールテイスト飲料らしい味わいをより向上させた飲料とする観点から、プロリンまたはポリフェノールの少なくとも一部が麦芽由来であることが好ましい。
また、本発明のビールテイスト飲料において、ビールテイスト飲料らしいシマリ感をより向上させた飲料とする観点から、プロリンまたはポリフェノールの少なくとも一部が大豆、酵母エキス、エンドウ豆、トウモロコシ、トウモロコシ加工品(コーングリッツ等)、小麦、小麦麦芽等由来であってもよい。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツ(蒸留酒)を含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、トウモロコシ、芋、さとうきび等の穀物を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、さらに蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、イネ科に属する植物が好ましく、さらに麦が好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料におけるピログルタミン酸の含有量は、ビールテイスト飲料に好ましい味わいを付与する観点から、50mg/L以上、好ましくは52mg/L以上、より好ましくは54mg/L以上、さらに好ましくは56mg/L以上、よりさらに好ましくは58mg/L以上、特に好ましくは60mg/L以上であり、また、65mg/L以上、70mg/L以上、75mg/L以上、80mg/L以上、85mg/L以上、または、90mg/L以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な酸味を抑制する観点から、ピログルタミン酸の含有量は、300mg/L以下、好ましくは290mg/L以下、より好ましくは280mg/L以下、さらに好ましくは270mg/L以下、よりさらに好ましくは260mg/L以下、さらに好ましくは250mg/L以下であり、また、240mg/L以下、230mg/L以下、220mg/L以下、210mg/L以下、または、200mg/L以下であってもよい。
ピログルタミン酸は、ビールテイスト飲料の原料に含まれるものであってもよく、製造工程において別途添加されるもの(例えば、ピログルタミン酸精製物)であってもよい。
ピログルタミン酸の含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、ピログルタミン酸精製物の添加、ピログルタミン酸含有原材料(麦芽、麦、コーングリッツ、糖液、酵母エキス、大豆、エンドウ、プロリン精製物等)の種類、原材料の量、仕込工程(麦芽などの原材料投入から酵母添加前での麦汁製造工程)での酵素反応時間、仕込工程でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、スピリッツや醸造アルコールなどの添加等を適宜設定して行うことができる。
なお、本明細書において、ピログルタミン酸の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、不適な満腹感を与えない観点から、総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が1.5~5.5であるが、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上、さらに好ましくは1.8以上、よりさらに好ましくは1.9以上、特に好ましくは2.0以上であり、また、2.2以上、2.4以上、または、2.6以上であってもよい。
他方、豊かな味わいのビールテイスト飲料にする観点から、総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕は、好ましくは5.4以下、より好ましくは5.3以下、さらに好ましくは5.2以下、よりさらに好ましくは5.1以下、特に好ましくは5.0以下であり、また、4.9以下、4.7以下、または、4.5以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、不適な満腹感を与えずに、複雑な味わいを付与する観点から、ピログルタミン酸の含有量(Z)(単位:mg/L)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(Z)/(Y)〕が1.0~7.5であるが、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.6以上、よりさらに好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上であり、また、2.6以上、2.7以上、または、2.8以上であってもよい。
他方、豊かな味わいのビールテイスト飲料にする観点から、ピログルタミン酸の含有量(Z)(単位:mg/L)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(Z)/(Y)〕は、好ましくは7.3以下、より好ましくは7.1以下、さらに好ましくは6.9以下、よりさらに好ましくは6.7以下、さらに好ましくは6.5以下、特に好ましくは6.0以下であり、また、5.9以下、5.8以下、5.7以下、5.6以下、または、5.5以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料においては、リン酸、乳酸またはこれらの塩を含むことは、ビールテイスト飲料に不適な満腹感を抑えることに特段影響を与えることはないが、pHを下げて微生物保証を確保しながら、不適な酸味を飲料に付与しないことが可能となる。
ビールテイスト飲料に不適な酸味を付与しないために、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、リン酸の含有量は800質量ppm以下が好ましく、750質量ppm以下がより好ましく、700質量ppm以下がさらに好ましく、600質量ppm以下がよりさらに好ましく、550質量ppm以下がよりさらに好ましく、500質量ppm以下がさらに好ましく、450質量ppm以下がよりさらに好ましく、400質量ppm以下がよりさらに好ましく、300質量ppm以下がよりさらに好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。
また、ビールテイスト飲料のpHを下げて微生物保証を得るために、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、リン酸の含有量は40質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上がより好ましく、60質量ppm以上がさらに好ましく、70質量ppm以上がよりさらに好ましい。
同様に、ビールテイスト飲料に不適な酸味を付与しないために、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、乳酸の含有量は950質量ppm以下が好ましく、900質量ppm以下がより好ましく、800質量ppm以下がさらに好ましく、700質量ppm以下がよりさらに好ましく、600質量ppm以下がよりさらに好ましく、500質量ppm以下がさらに好ましく、450質量ppm以下がよりさらに好ましく、400質量ppm以下がよりさらに好ましく、300質量ppm以下がよりさらに好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。
また、ビールテイスト飲料のpHを下げて微生物保証を得るために、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、乳酸の含有量は、40質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上がより好ましく、60質量ppm以上がさらに好ましく、70質量ppm以上がよりさらに好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、リン酸および乳酸の含有量は、例えば、リン酸または乳酸の含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制御できる。
なお、本発明のビールテイスト飲料の乳酸およびリン酸の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の糖質濃度は、飲みやすいビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは6.0g/100mL以下、より好ましくは5.5g/100mL以下、より好ましくは5.0g/100mL以下、さらに好ましくは4.8g/100mL以下、さらに好ましくは4.6g/100mL以下、よりさらに好ましくは4.4g/100mL以下、よりさらに好ましくは4.3g/100mL以下、特に好ましくは4.2g/100mL以下であり、さらに、4.0g/100mL以下、3.8g/100mL以下、3.6g/100mL以下、3.5g/100mL以下、3.3g/100mL以下、3.2g/100mL以下、または3.0g/100mL以下としてもよい。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料の糖質濃度は、飲みごたえのあるビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは0.3g/100mL以上、より好ましくは0.5g/100mL以上、より好ましくは0.8g/100mL以上、さらに好ましくは1.0g/100mL以上、さらに好ましくは1.3g/100mL以上、よりさらに好ましくは1.5g/100mL以上、よりさらに好ましくは1.7g/100mL以上、特に好ましくは1.8g/100mL以上であり、さらに、2.0g/100mL以上、2.2g/100mL以上、または2.5g/100mL以上としてもよい。
なお、本明細書において、「糖質」とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号、一部改正平成25年9月27日消費者庁告示第8号)に基づく糖質をいい、具体的には、対象となる食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分および水分を除いたものを意味する。そのため、食品中の糖質含有量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分および水分の量を控除することにより算定することができる。
ここで、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分および水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定することができる。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法で測定し、食物繊維の量はプロスキー法で測定し、灰分の量は直接灰化法で測定し、水分の量は減圧加熱乾燥法で測定することができる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料の糖質含有量は、希釈水または炭酸水の添加、酵素の種類、酵素の添加量、および添加のタイミング、糖化液を調製する際の各温度領域の設定温度および保持時間、発酵前液の組成(オリジナルエキス濃度、糖組成、タンパク含有量、食物繊維含有量、灰分など)、発酵工程の諸条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加タイミング等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定することで、調整できる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の色度は、飲んだ際のインパクトが強いビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは5.0EBC以上、より好ましくは5.3EBC以上、さらに好ましくは5.6EBC以上、よりさらに好ましくは5.9EBC以上、特に好ましくは6.2EBC以上であり、また、6.5EBC以上、7.0EBC以上、7.5EBC以上、または、8.0EBC以上であってもよい。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料の色度は、好ましくは20.0EBC以下、より好ましくは19.0EBC以下、さらに好ましくは18.0EBC以下、よりさらに好ましくは17.0EBC以下、さらに好ましくは16.0EBC以下、よりさらに好ましくは15.0EBC以下、さらに好ましくは14.0EBC以下であり、また、13.0EBC以下、12.0EBC以下、または、10.0EBC以下であってもよい。
本明細書において、飲料の「色度」は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の「8.8 色度」に記載された測定法よって測定することができる。なお、飲料の「色度」は、欧州醸造協会(European Brewery Convention)により定められた色度の単位(EBC単位)により特定される。数値が小さいほど色が薄く明るい飲料であり、逆に、数値が大きいほど色が濃く暗い飲料である。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料の色度は、例えば、使用する麦芽の種類、2種以上の麦芽を併用する場合にはその配合比率、発酵前液を調製する際の煮沸条件等を適宜調整することにより制御できる。より具体的に、例えば、ビールテイスト飲料の色度を高くするには、麦芽として濃色麦芽の配合比率を高くこと、煮沸処理時の温度を高くすること、煮沸時間を長くすること、及び糖化液の調製の際にデコクションを実施すること等により、調整可能である。また、原麦汁エキス濃度を高めることや、麦芽比率を高めることによっても、色度を高く調整することが
できる。カラメル色素などの食品添加物や着色のある糖液などの量を制御することで、調整することもできる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、飲料の香味向上の観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.2以上、さらに好ましくは3.4以上、よりさらに好ましくは3.6以上、よりさらに好ましくは3.7以上であり、また、3.9以上、または4.1以上であってもよい。また、微生物の発生を抑制の観点から、ビールテイスト飲料のpHは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.9以下、さらに好ましくは4.8以下、よりさらに好ましくは4.7以下、特に好ましくは4.6以下である。
pHの調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の種類(乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定して行うことができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。
本発明のビールテイスト飲料の製造に使用できる穀物、甘味料等の任意の添加原料については、「1.1原材料」において詳述する。
1.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、水および麦芽であるが、ホップを用いることが好ましく、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を用いてもよい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に使用する麦芽は、modificationが80%以上であることが好ましい。modificationが80%未満であると麦汁の粘度が上がったり、濁度が上がったりして、麦汁濾過性、ビール濾過性などの生産効率が悪化する。そのため、modificationが80%以上である麦芽をつかうことが好ましい。後述する実施例および比較例では、modificationが80%以上である麦芽を使用した。modificationは、MEBAK Raw Materials
Barley Adjuncts Malt Hops And Hop Products Published by the Chairman Dr.Fritz Jacob Self-published by MEBAK 85350 Freising-Weihenstephan,Germany 2011の3.1.3.8 Modification and Homogeneity(Calcofluor Carlsberg Method-EBC)に記載の方法で測定することができる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料においては、使用する麦芽は、所望のビールテイスト飲料の色度に応じて、適宜選択されることが好ましく、選択する麦芽は、単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
麦芽には、プロリン、ピログルタミン酸およびポリフェノールが含まれている。したがって、本発明においては、本発明のビールテイスト飲料のプロリン、ピログルタミン酸および総ポリフェノール量を本発明で規定される範囲内とするために、原料における麦芽の比率を一定の範囲に設定することが好ましい。具体的には、麦芽比率(全ての麦芽の使用比率)は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは48質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上であり、また、60質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、67質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上または100質量%であってもよい。麦芽比率を向上させることにより、麦芽に由来する豊かな味わいや、麦の旨味をより強く感じることができるビールテイスト飲料を製造できる。
また、麦芽比率が高すぎると不適な満腹感を与えやすくなるため、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは78質量%以下、よりさらに好ましくは76質量%以下、よりさらに好ましくは74質量%以下、よりさらに好ましくは72質量%以下、よりさらに好ましくは70質量%以下であり、また68質量%以下、また67質量%以下、または66.6質量%以下であってもよい。
本明細書において、麦芽比率とは平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
麦芽比率を抑制する場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液、炭素源を含有する液糖等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、大豆タンパク、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、未発芽の穀物、これらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ等が挙げられる。また、これらの穀物から得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)を用いても良い。
原材料として用いることができる、麦等のイネ科植物以外の植物の実・果皮・樹皮・葉・花・茎・根・種子は、適宜選択することができる。
具体的なイネ科植物以外の植物としては、例えば、柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、スパイス類などが挙げられる。柑橘類としては、オレンジ、ゆず、レモン、ライム、ミカン、グレープフルーツ、伊予柑、キンカン、かぼす、ダイダイ、シークワーサー、すだちなどが挙げられる。
ソフトフルーツ類としては、桃、ブドウ、バナナ、リンゴ、ブドウ、パイナップル、イチゴ、梨、マスカット、カシスなどがあげられる。ハーブ類、スパイス類としては、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、花椒、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、エルダーベリー、グレインズ・オブ・パラダイス、アニス、スターアニス等が挙げられる。
これらは、そのまま使用してもよく、粉砕して使用してもよく、水やエタノール等の抽出溶媒で抽出した抽出液の形態として使用してもよく、搾汁したもの(果汁等)を使用してもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
消費者の嗜好に合わせて上記を適宜使用できるが、ビールらしいスッキリした爽快な味わいを楽しむには、原材料に上記の柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、およびスパイス類を全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。特にカシスはビール中に不適な乳様の香りがつくことから、原材料にカシスやカシス果汁は全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。
本発明の一態様で用いるホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
ホップの添加量としては、適宜調製されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。また、原材料としてホップを用いたビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分であるイソα酸を含有した飲料となる。
本発明のビールテイスト飲料の苦味価は、特に限定されないが、5.0BUs以上45.0BUs以下であることが好ましい。本明細書において、「苦味価」とは、イソフムロンなどのイソα酸類によってもたらされる苦味の指標である。苦味価は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.15 苦味価」の項に記載の方法に従って測定することができる。具体的には、脱ガスしたサンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、得られたイソオクタン層の吸光度を、イソオクタンを対照にして275nmで計測し、ファクターを乗じて苦味価(BUs)を得ることができる。
苦味価は、飲料に含まれるイソα酸の含有量に依存し、イソα酸はホップに多く含まれる苦味成分である。したがって、ホップの使用量を制御することによって、所定の値の苦味価を有する飲料を製造できる。
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、ショ糖、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、異性化糖、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオースおよびこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース等が挙げられる。
これらの甘味料は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリンまたはポリデキストロースが好ましい。
ビールテイスト飲料において、苦味は、ホップ等によって付与することが好ましいが、さらに、苦味料または苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料または苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ニガヨモギ抽出物、アブシンチン、アルギン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用いられるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン等が挙げられる。
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。
なお、ビールテイスト飲料は、アルコール発酵により生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。そのため、ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、ビール香料を別途添加する必要性は低いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体的には、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコールが挙げられる。
これらの香料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノデルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸またはこれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酢酸またはこれらの塩がより好ましく、リン酸、乳酸またはこれらの塩が特に好ましい。これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。リン酸、乳酸またはこれらの塩の含有量は、上記「1.ビールテイスト飲料」で述べたとおりである。
保存料としては、例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩;パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等の安息香酸エステル;二炭酸ジメチル等が挙げられる。また、保存料としては、強力サンプレザー(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、安息香酸ナトリウムと安息香酸ブチルの混合物)等の市販の製剤を用いてもよい。これらの保存料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
保存料の配合量は、好ましくは5~1200質量ppm、より好ましくは10~1100質量ppm、さらに好ましくは15~1000質量ppm、よりさらに好ましくは20~900質量ppmである。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
これらの塩類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の炭酸ガス濃度は、好ましくは0.30(w/w)%以上、より好ましくは0.35(w/w)%以上、更に好ましくは0.40(w/w)%以上で、より更に好ましくは0.42(w/w)%以上、特に好ましくは0.45(w/w)%以上であり、また、好ましくは0.80(w/w)%以下、より好ましくは0.70(w/w)%以下、更に好ましくは0.60(w/w)%以下、より更に好ましくは0.57(w/w)以下、特に好ましくは0.55(w/w)%以下である。
なお、本明細書において、炭酸ガス濃度は、対象となる飲料が入った容器を時々振りながら20℃の水槽に30分間以上浸して、当該飲料が20℃になるよう調整した後に、ガスボリューム測定装置(例えば、GVA-500(京都電子工業株式会社製)等)を用いて測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料が容器詰め飲料である場合、容器詰め飲料の炭酸ガス圧は、上記の炭酸ガス濃度となる範囲で適宜調整すればよいが、飲料の炭酸ガス圧は5.0kg/cm以下、4.5kg/cm以下、または4.0kg/cm以下であり、また、0.20kg/cm以上、0.50kg/cm以上、または1.0kg/cm以上であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
1.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびコラーゲンペプチド等のペプチド含有物、酵母エキス、乳を起源とする原料などを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
1.4 容器詰飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビンやペットボトルが好ましい。
2. ビールテイスト飲料の製造方法
本発明は、ビールテイスト飲料の製造方法にも関する。本発明の一態様の製造方法は、具体的には、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度を70.0~95.0%とする。
また、本発明の一態様の製造方法は、より具体的には、下記工程(1)~(3)を有するものであってもよい。
・工程(1):原材料に対して、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理の少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程。
・工程(2):工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程。
・工程(3):工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程。
また、本発明の一態様の製造方法は、上記工程(1)~(3)以外に、総ポリフェノール量、プロリンおよびピログルタミン酸の含有量を確認及び/又は調整する工程を有していてもよい。当該工程は、工程(4)として後述する。
<工程(1)>
工程(1)は、各種原材料を用いて、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程である。
例えば、各種原材料として、麦芽を用いる場合には、水および麦芽を含む各種原材料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じて、発酵前に、原材料に由来する成分の変化を促進する多糖分解酵素やタンパク分解酵素などの酵素剤を添加してもよい。
当該酵素剤としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、プリンヌクレオシダーゼ、デアミナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、グルカナーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、グルコシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、トランスグルコシダーゼ等が挙げられる。また、酒税法および酒類行政関係法令通達(平成30年6月27日改正)の第3条「7酒類の原料として取り扱わない物品」の「(3)酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤」に該当する酵素剤を挙げられる。
これらの酵素剤を添加することで、得られるビールテイスト飲料の成分組成を効率よく調整させることができる。麦芽以外の各種原材料としては、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を加えてもよい。これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵中やアルコール発酵後に加えてもよい。
各種原材料の混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させて糖化処理を行う。
糖化処理の温度および時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水および麦芽以外の原材料、使用する酵素の種類や量、最終的に得られる飲料のオリジナルエキス濃度等を考慮して適宜調整することが好ましい。本発明の一態様において、ビールテイスト飲料の外観発酵度を上記範囲に調整する観点から、糖化処理の温度は55~75℃であり、糖化処理の時間は15~240分であることが好ましい。糖化処理後に、濾過を行い、糖化液が得られる。
なお、この糖化液は煮沸処理を行うことが好ましい。
この煮沸処理を行う際に、原材料としてホップや苦味料等を用いる場合には、これらを加えることが好ましい。ホップや苦味料等は、糖化液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
なお、上記の糖化液の代わりに、麦芽エキスに温水を加えたものに、ホップや苦味料等を加えて煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
また、各種原材料として、麦芽を使用しない場合には、炭素源を含有する液糖、麦または麦芽以外のアミノ酸含有原料としての窒素源、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を、温水と共に混合し、液糖溶液を調製し、その液糖溶液に対して煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
ホップを用いる場合には、煮沸処理前に加えてもよく、液糖溶液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程である。
煮沸処理終了後には、ワールプールに移送し、0~23℃に冷却する。そして、冷却後に、凝固タンパク等の固形分の除去処理を行い、オリジナルエキス濃度を調整してもよい。
このような処理を経て、冷却発酵前液が得られる。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いてもよい。
酵母は、酵母懸濁液のまま原材料に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを発酵前液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加してもよい。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×10cells/mL~1×10cells/mL程度である。
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することができるが、外観発酵度を調整する観点から、例えば、8~25℃、5~10日間の条件で発酵させることが好ましい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
ビールテイスト飲料の外観発酵度は、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素について種類、添加量および添加のタイミングを適宜設定して調整することができ、また、発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させることによっても調整できる。
また、本工程の終了後に、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。
このように、得られるビールテイスト飲料の外観発酵度は、上記工程(1)の糖化処理および工程(3)のアルコール発酵の諸条件を適宜調整することで、所望の範囲に調整することができる。
<工程(4)>
工程(4)は、総ポリフェノール量、プロリンおよびピログルタミン酸の含有量を確認及び/又は調整する工程である。
これらの成分の含有量は、工程(1)及び(2)において、原材料の品種やその配合量、仕込条件(原材料の添加のタイミング等)、酵母種や発酵条件等を適宜設定することによっても調整できる。そこで、工程(4)では、これらの成分の含有量を測定して上述の範囲内であるかを確認することが好ましい。そして、仮にこれらの成分の中で範囲外であった成分がある場合、その範囲外となる成分を添加することによる調整もしくは希釈による調整を行うことが好ましい。
なお、本工程の各成分の含有量の調整は、工程(1)、工程(2)及び/又は工程(3)と並行して行ってもよく、工程(1)と工程(2)の間に行ってもよく、工程(2)と工程(3)の間に行ってもよく、工程(3)の後に行ってもよい。また、本工程の各成分の含有量の確認については、上記のいずれのタイミングで行ってもよいが、工程(3)の後に各成分の含有量の確認を行い、その結果、調整が必要な成分があれば、その成分の含有量の調整を行うことが好ましい。
これらの工程後、貯酒工程およびろ過工程等の当業者に周知のビールテイスト飲料の製造で行われる工程を行ってもよい。
このようにして得られたビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、ビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、上述のとおりである。
3. ビールテイスト飲料の香味改善方法
本発明は、ビールテイスト飲料の香味改善方法にも関する。本発明の一態様の香味改善方法は、具体的には、総ポリフェノール量が60~200質量ppmであり、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであるビールテイスト飲料において、外観発酵度が70.0~95.0%となるように外観発酵度を調整する。本発明の別の一態様の香味改善方法は、外観発酵度が70.0~95.0%のビールテイスト飲料において、総ポリフェノール量が60~200質量ppmであり、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lとなるように総ポリフェノール量、プロリンおよびピログルタミン酸の含有量を調整する。
本明細書において、ビールテイスト飲料の「香味」とは、麦の旨味、麦に由来する豊かな味わい、飲み応え、および味の厚みを包含する。また、本明細書において、「香味改善」または「香味を改善する」とは、プロリン含有量、ピログルタミン酸含有量、総ポリフェノール量、および外観発酵度を上記範囲に調整した飲料が、当該調整を行っていない飲料と比べて、不適な水っぽさが低減または抑制されること、麦に由来する豊かな味わいが増すこと、飲み応えが増すこと、および味の厚みが増すことの少なくとも1つが達成されることを意味する。
プロリン含有量、ピログルタミン酸含有量、総ポリフェノール量、および外観発酵度の好ましい範囲、ならびにこれらの含有量等を調整する方法は、上記「1.ビールテイスト飲料」および上記「2.ビールテイスト飲料の製造方法」で述べたとおりである。
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
また、実施例において、オリジナルエキス濃度および総ポリフェノール量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法に基づいて測定した。
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽を温水120Lが入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕等を除去した。また、表1~3に記載のとおり、いくつかの実施例では、大麦麦芽と一緒にタンパク分解酵素を温水に添加した。ろ過後、当該原料液およびホップを煮沸釜に投入し、温水で100Lに調整して熱麦汁を得た。
得られた熱麦汁を冷却し、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液60Lを得た。
このようにして得られた発酵前液にビール酵母(下面発酵酵母)を添加して約1週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調整水を添加しビールテイスト飲料を調製した。
それぞれの実施例および比較例において、麦芽、液糖、ホップ等の原材料の量や種類、マッシングパターン、タンパク分解酵素の種類、添加量および添加のタイミング、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度、保持時間、pH調整、麦汁濾過時の濁度、ホップの添加タイミング、煮沸時間、発酵条件、等を適宜設定し、表1~3に示す外観発酵度、プロリン含有量、ピログルタミン酸含有量、総ポリフェノール量、オリジナルエキス濃度、糖質含有量、色度、pH、乳酸およびリン酸の含有量となるように調整した。
なお、表1に記載された参考例1~8では、糖質含有量、色度、pH、ピログルタミン酸、乳酸およびリン酸の含有量の調整および測定は行わなかった。
<官能評価>
得られたビールテイスト飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の試飲をし、以下のように行った。
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが350mL試飲し、「ビールテイスト飲料には不適な満腹感」、「ビールテイスト飲料には不適な水っぽさ」および「ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい」という評価項目について、下記のスコア基準に基づき、3.0(最大値)~1.0(最小値)の範囲で、0.1刻みのスコアにて評価し、6人のパネラーのスコアの平均値を算出した。なお、表1に記載された参考例1~8では、「ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい」という評価項目の評価を行わなかった。
評価に際しては、評価項目がそれぞれ下記基準「1.0」「2.0」および「3.0」に該当するサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、すべての実施例および比較例の官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
[ビールテイスト飲料には不適な満腹感]
・「3.0」:飲んだ後に不適な満腹感が全く感じられない。
・「2.5」:飲んだ後に不適な満腹感が感じられない。
・「2.0」:飲んだ後に不適な満腹感がほぼ感じられない。
・「1.5」:飲んだ後に不適な満腹感が感じられる。
・「1.0」:飲んだ後に不適な満腹感が強く感じられる。
[ビールテイスト飲料には不適な水っぽさ]
・「3.0」:ビールテイスト飲料には不適な水っぽさが全く感じられない。
・「2.5」:ビールテイスト飲料には不適な水っぽさが感じられない。
・「2.0」:ビールテイスト飲料には不適な水っぽさがほぼ感じられない。
・「1.5」:ビールテイスト飲料には不適な水っぽさが感じられる。
・「1.0」:ビールテイスト飲料には不適な水っぽさが強く感じられる。
[ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい]
・「3.0」:ビールテイスト飲料らしい豊かな味わいが非常に強く感じられる。
・「2.5」:ビールテイスト飲料らしい豊かな味わいが強く感じられる。
・「2.0」:ビールテイスト飲料らしい豊かな味わいが感じられる。
・「1.5」:ビールテイスト飲料らしい豊かな味わいがあまり感じられない。
・「1.0」:ビールテイスト飲料らしい豊かな味わいがほとんど感じられない。
また、前記3つの評価項目に基づき、下記の基準で総合評価を行った。
[総合評価]
・「A」:検証した3つの官能評価項目の平均スコアのすべてが2.5以上である。
・「B」:「A」および「C」に該当しない。
・「C」:検証した3つの官能評価項目の平均スコアのいずれか1つ以上が2.0未満である。
Figure 0007488965000001
Figure 0007488965000002
Figure 0007488965000003
実施例の結果から、ビールテイスト飲料におけるプロリン含有量が15~75mg/100mL、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度が70.0~95.0%であると、「ビールテイスト飲料には不適な満腹感」を抑えながら、「ビールテイスト飲料には不適な水っぽさ」を抑制し、「ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい」を有する飲料を提供できた。

Claims (11)

  1. プロリンの含有量が15~75mg/100mL、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度が70.0~95.0%であ糖質含有量が2.0g/100mL以上であり、
    総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が、2.0~5.0である、ビールテイスト飲料。
  2. オリジナルエキス濃度が6.0~20.0質量%である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. ピログルタミン酸の含有量(Z)(単位:mg/L)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(Z)/(Y)〕が、1.0~7.5である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  4. 前記ビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  5. 色度が5.0~20.0EBCである、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  6. pHが3.0~5.0である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  7. 乳酸の含有量が40~950質量ppmである、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  8. リン酸の含有量が40~800質量ppmである、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  9. ホップ由来成分を含む、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  10. ビールテイスト飲料の製造方法であって、総ポリフェノール量が60~200質量ppm、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであり、外観発酵度を70.0~95.0%、糖質含有量を2.0g/100mL以上とし、
    総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕を、2.0~5.0とする、ビールテイスト飲料の製造方法。
  11. 総ポリフェノール量が60~200質量ppmであり、プロリンの含有量が15~75mg/100mL、ピログルタミン酸の含有量が50~300mg/Lであるビールテイスト飲料において、外観発酵度70.0~95.0%、糖質含有量を2.0g/100mL以上、総ポリフェノール量(X)(単位:質量ppm)とプロリンの含有量(Y)(単位:mg/100mL)との比〔(X)/(Y)〕を、2.0~5.0となるように調整する、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
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