JP7392207B2 - ビールテイスト飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
従来から、最近の消費者の多様化した好みに応じて、様々なビールテイスト飲料が検討され、提供されている。
例えば、特許文献1には、麦汁発酵液、5.3ppmを超えて80ppm未満のピルビン酸及び29.2ppmを超えて90ppm未満のコハク酸を含み、2.0%(w/w)を超える真正エキス濃度を有する、アルコール濃度が1%(v/v)未満であるビールテイスト発酵麦芽飲料が開示されている。
特開2021-114959号公報
このようなビールテイスト発酵麦芽飲料は、ビールテイスト飲料に特有の飲み口の重たさが目立ってしまう場合がある。真正エキス値を下げることで、このような問題を解消し、飲みやすさを担保し得るが、真正エキス値が低いとビールテイスト飲料らしい飲みごたえを感じにくくなるという問題があった。
そこで、飲みやすさを担保しつつも、ビールテイスト飲料らしい飲みごたえを有するビールテイスト飲料が求められている。
本発明は、真正エキス値、総ポリフェノール量、全窒素量、およびリナロール含有量を所定の範囲に調整したビールテイスト飲料を提供する。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
真正エキス値が2.30質量%以下であり、
総ポリフェノール量が25~250質量ppmであり、
全窒素量が10~100mg/100mLであり、
リナロールの含有量が5~100質量ppbである、ビールテイスト飲料。
[2]
真正エキス値が0.55質量%以上である、[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
真正エキス値が1.50質量%未満である、[1]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
食物繊維の含有量が0.5g/100mL未満である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[5]
麦芽比率が50質量%以上である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[6]
麦芽比率が100質量%未満である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[7]
麦芽比率が90質量%以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[8]
麦芽比率が90質量%以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[9]
麦芽比率が67質量%未満である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[10]
糖質含有量が2.0g/100mL以下である、[1]~[9]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[11]
糖質含有量が1.0g/100mL未満である、[1]~[9]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[12]
苦味価が5.0BUs以上である、[1]~[11]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[13]
総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との比〔(A)/(B)〕が、0.5~4.5である、[1]~[12]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[14]
全窒素量(B)(単位:mg/100mL)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(B)/(Z)〕が、10~200である、[1]~[13]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[15]
総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との積(A×B)が、200~25,000である、[1]~[14]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[16]
前記ビールテイスト飲料が、上面発酵ビールテイスト飲料である、[1]~[15]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[17]
前記ビールテイスト飲料が、下面発酵ビールテイスト飲料である、[1]~[15]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[18]
前記ビールテイスト飲料が、ビールである、[1]~[17]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[19]
ピログルタミン酸の含有量が15mg/L以上である、[1]~[18]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[20]
ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
真正エキス値が2.30質量%以下、
総ポリフェノール量が25~250質量ppm、
全窒素量が10~100mg/100mL、
リナロールの含有量が5~100質量ppb、
となるように調整する工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
[21]
上面発酵酵母を用いて発酵を行う工程を有する、[20]に記載の製造方法。
[22]
下面発酵酵母を用いて発酵を行う工程を有する、[20]に記載の製造方法。
本発明の好適な一態様によれば、真正エキス値を一定量以下に下げることで飲みやすさを担保しつつも、好適な飲みごたえを有するビールテイスト飲料を提供する。また、本発明の好適な一態様によれば、爽やかな余韻を有するビールテイスト飲料を提供する。また、本発明の好適な一態様によれば、ビールテイスト飲料には不適な甘い香りが抑制されたビールテイスト飲料を提供する。
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは3.0~15、より好ましくは3.2~13」と記載されている場合、「3.0~13」との範囲や「3.2~15」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上(60もしくは60超)、100以下(100もしくは100未満)」という範囲であることを意味する。
さらに、本明細書に記載された上限値及び下限値の規定において、それぞれの選択肢の中から適宜選択して、任意に組み合わせて、下限値~上限値の数値範囲を規定することができる。
加えて、本明細書に記載された好ましい態様として記載の各種要件は複数組み合わせることができる。
1.ビールテイスト飲料
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有の炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。
したがって、「ビールテイスト飲料」には、麦芽、ホップ、および水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる麦芽発酵飲料であるビールや、発酵ビールテイスト飲料だけでなく、エステルや高級アルコールやラクトンなどを含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。本発明の一態様のビールテイスト飲料は、ビールである。
ビール香料としては、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコールが挙げられる。
さらに、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたエールビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたラガービールテイスト飲料、ピルスナービールテイスト飲料等であってもよいし、これらのビールテイスト飲料をブレンドしたものであってもよい。また、本明細書でいう「発酵」は、アルコールが生じるアルコール発酵であってもよく、アルコールが生じない非アルコール発酵であってもよい。
ビールテイスト飲料のアルコール度数(エタノールの含有量)は、特に制限はないが、好ましくは0.5(v/v)%以上、より好ましくは1.0(v/v)%以上、さらに好ましくは1.5(v/v)%以上、よりさらに好ましくは2.0(v/v)%以上、さらに好ましくは2.5(v/v)%以上、さらに好ましくは2.75(v/v)%以上、さらに好ましくは3.0(v/v)%以上、3.25(v/v)%以上、よりさらに好ましくは3.5(v/v)%以上、さらに好ましくは3.75(v/v)%以上、特に好ましくは4.0(v/v)%以上であり、また、4.25(v/v)%以上、4.3(v/v)%以上、4.4(v/v)%以上、4.5(v/v)%以上、4.6(v/v)%以上、4.7(v/v)%以上、4.8(v/v)%以上、4.9(v/v)%以上、5.0(v/v)%以上、5.1(v/v)%以上、5.2(v/v)%以上、5.3(v/v)%以上、5.4(v/v)%以上、5.5(v/v)%以上、5.6(v/v)%以上、5.7(v/v)%以上、5.8(v/v)%以上、5.9(v/v)%以上、または、6.0(v/v)%以上であってよい。また、ビールテイスト飲料のアルコール度数は、好ましくは10.0(v/v)%以下、より好ましくは9.0(v/v)%以下、さらに好ましくは8.0(v/v)%以下、よりさらに好ましくは7.0(v/v)%以下、特に好ましくは6.5(v/v)%以下であり、6.0(v/v)%以下としてもよい。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
アルコール度数の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽での糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、スピリッツや醸造アルコールなどの添加等を適宜設定して行うことができる。
本発明のビールテイスト飲料における真正エキス値は2.30質量%以下である。真正エキスとは、特に発酵性飲料において溶存しており、飲料を(酵母や蛋白凝固物など不溶物がある場合はこれを濾別したうえで)穏やかに加熱して水分、アルコール、二酸化炭素、その他の揮発性成分をすべて蒸発させたとき、蒸発せずに乾固して残る固形物そのもの(可溶性蒸発残渣)、またはその含有量(質量%)をいう。ビールテイスト飲料における真正エキス値を2.30質量%以下とすることで、飲み口を軽快なものとすることができる。本発明の一態様のビールテイスト飲料の真正エキス値は、好ましくは2.20質量%以下、より好ましくは2.10質量%以下、さらに好ましくは2.00質量%以下であり、また、2.00質量%未満、1.95質量%以下、1.90質量%以下、1.85質量%以下、1.80質量%以下、1.75質量%以下、1.70質量%以下、1.65質量%以下、1.60質量%以下、1.55質量%以下、1.50質量%以下、1.50質量%未満、1.45質量%以下、1.40質量%以下、1.35質量%以下、1.30質量%以下、1.25質量%以下、1.20質量%以下、1.15質量%以下、1.10質量%以下、1.05質量%以下、1.00質量%以下、0.95質量%以下、0.90質量%以下、0.85質量%以下、または、0.80質量%以下であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料らしい飲みごたえを担保する観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料の真正エキス値は、好ましくは0.55質量%以上、より好ましくは0.56質量%以上、さらに好ましくは0.57質量%以上であり、また、0.58質量%以上、0.59質量%以上、0.60質量%以上、0.65質量%以上、0.70質量%以上、0.75質量%以上、0.80質量%以上、0.85質量%以上、0.90質量%以上、0.95質量%以上、1.00質量%以上、1.00質量%超、1.05質量%以上、1.10質量%以上、または、1.15質量%以上であってもよい。
真正エキス値の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、麦汁濾過の時間、麦汁濾過のpH、煮沸時間、煮沸温度、スピリッツの添加量、醸造アルコールの添加量等を適宜設定して行うことができる。
本発明に係るビールテイスト飲料の真正エキス値は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されている方法によって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料におけるピログルタミン酸の含有量は、ビールテイスト飲料に好ましい飲みごたえを付与する観点から、好ましくは15mg/L以上、より好ましくは20mg/L以上、さらに好ましくは25mg/L以上、よりさらに好ましくは26mg/L以上、より好ましくは27mg/L以上、より好ましくは28mg/L以上、特に好ましくは29mg/L以上であり、また、30mg/L以上、31mg/L以上、32mg/L以上、33mg/L以上、34mg/L以上、35mg/L以上、40mg/L以上、45mg/L以上、50mg/L以上、55mg/L以上、60mg/L以上、65mg/L以上、70mg/L以上、75mg/L以上、77mg/L以上、80mg/L以上、85mg/L以上、90mg/L以上、95mg/L以上、100mg/L以上、105mg/L以上、110mg/L以上、115mg/L以上、120mg/L以上、130mg/L以上、140mg/L以上、150mg/L以上、160mg/L以上、170mg/L以上、180mg/L以上、190mg/L以上、または、200mg/L以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な酸味を抑制する観点から、ピログルタミン酸の含有量は、300mg/L以下、好ましくは290mg/L以下、より好ましくは280mg/L以下、さらに好ましくは270mg/L以下、よりさらに好ましくは260mg/L以下、さらに好ましくは250mg/L以下であり、また、240mg/L以下、230mg/L以下、220mg/L以下、210mg/L以下、または、200mg/L以下であってもよい。
ピログルタミン酸は、ビールテイスト飲料の原料に含まれるものであってもよく、製造工程において別途添加されるもの(例えば、ピログルタミン酸精製物)であってもよい。
ピログルタミン酸の含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、ピログルタミン酸精製物の添加、ピログルタミン酸含有原材料(麦芽、麦、コーングリッツ、糖液、酵母エキス、大豆、エンドウ、プロリン精製物等)の種類、原材料の量、仕込工程(麦芽などの原材料投入から酵母添加前での麦汁製造工程)での酵素反応時間、仕込工程でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、スピリッツや醸造アルコールなどの添加等を適宜設定して行うことができる。
なお、本明細書において、ピログルタミン酸の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、リナロールの含有量が5~100質量ppbである。リナロールの含有量を上記範囲に調整することで、後味に爽やかな余韻を付与しつつ、ビールテイスト飲料に不適な甘い香りが少ないビールテイスト飲料を提供できる。リナロールはモノテルペンアルコールの一種であり、スズラン様のさわやかな甘い香りを有する成分であり、紅茶や緑茶などに含まれ、ホップの香気成分の1つとしても知られており、一般的に香料として使用されている。リナロールの含有量は、後味に爽やかな余韻を付与する観点から、好ましくは5質量ppb以上であるが、より好ましくは6質量ppb以上、さらに好ましくは7質量ppb以上、よりさらに好ましくは8質量ppb以上、9質量ppb以上、より好ましくは10質量ppb以上、より好ましくは10質量ppb超、より好ましくは11質量ppb以上、より好ましくは12質量ppb以上、さらに好ましくは13質量ppb以上、さらに好ましくは14質量ppb以上、よりさらに好ましくは15質量ppb以上、さらに好ましくは16質量ppb以上、さらに好ましくは17質量ppb以上、さらに好ましくは18質量ppb以上、さらに好ましくは19質量ppb以上、特に好ましくは20質量ppb以上であり、また、21質量ppb以上、22質量ppb以上、23質量ppb以上、24質量ppb以上、25質量ppb以上、26質量ppb以上、27質量ppb以上、28質量ppb以上、29質量ppb以上、30質量ppb以上、32質量ppb以上、34質量ppb以上、36質量ppb以上、38質量ppb以上、または、40質量ppb以上としてもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な甘い香りを抑制する観点から、リナロールの含有量は、好ましくは100質量ppb以下、より好ましくは95質量ppb以下、さらに好ましくは90質量ppb以下、さらに好ましくは85質量ppb以下であり、また、84質量ppb以下、83質量ppb以下、82質量ppb以下、81質量ppb以下、80質量ppb以下、75質量ppb以下、70質量ppb以下、または、65質量ppb以下としてもよい。
なお、本発明のビールテイスト飲料のリナロールの含有量は、例えば、リナロールの添加量を調整することや、リナロール含有量の多い原材料(例えば、ホップ等)の品種やその使用量、及び当該原材料の添加のタイミング等を調整することによって制御できる。
また、リナロールの含有量は、J. Agric. Food Chem., 2013, 61 (47), pp 11303-1131(Characterization of the Key Aroma Compounds in Two Bavarian Wheat Beers by Means of the Sensomics Approach)に記載のガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を用いて測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の全窒素量は、麦に由来する豊かな味わい、飲みごたえ、および味の厚みのうち少なくとも1つをより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは10mg/100mL以上、より好ましくは15mg/100mL以上、さらに好ましくは17mg/100mL以上、よりさらに好ましくは19mg/100mL以上、特に好ましくは20mg/100mL以上であり、また、21mg/100mL以上、22mg/100mL以上、23mg/100mL以上、24mg/100mL以上、25mg/100mL以上、26mg/100mL以上、27mg/100mL以上、28mg/100mL以上、29mg/100mL以上、30mg/100mL以上、31mg/100mL以上、32mg/100mL以上、33mg/100mL以上、34mg/100mL以上、35mg/100mL以上、36mg/100mL以上、37mg/100mL以上、38mg/100mL以上、39mg/100mL以上、40mg/100mL以上、45mg/100mL以上、50mg/100mL以上、55mg/100mL以上、60mg/100mL以上、65mg/100mL以上、70mg/100mL以上、75mg/100mL以上、または、80mg/100mL以上であってもよい。
他方、満腹感を与えにくい飲料とする観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料の全窒素量は、好ましくは100mg/100mL以下であり、より好ましくは95mg/100mL以下、さらに好ましくは90mg/100mL以下、特に好ましくは85mg/100mL以下であり、また、84mg/100mL以下、83mg/100mL以下、82mg/100mL以下、81mg/100mL以下、80mg/100mL以下、78mg/100mL以下、76mg/100mL以下、74mg/100mL以下、72mg/100mL以下、または、70mg/100mL以下であってもよい。
本発明における「全窒素量」とは、タンパク質、アミノ酸等の全ての窒素化合物の総量である。
本発明のビールテイスト飲料の全窒素量は、酵母が資化可能な原材料の使用量を調整することによって制御できる。具体的には、窒素含有量の多い麦芽等の使用量を増やすことにより全窒素量を増加させることができる。窒素含有量の多い原料としては、例えば、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、未発芽の穀物などが挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、大豆、エンドウ等が挙げられる。そのほかにもトウモロコシ(コーンタンパクなど)、米、生乳や脱脂粉乳、ホエーなどの乳原料、コラーゲンペプチド、酵母エキスなどが挙げられる。また、全窒素量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料の使用量や種類の選択の他に、酵素の種類、酵素(タンパク分解酵素等も含む)の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前までの麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度及び保持時間、煮沸工程での煮沸時間及びpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間、ビール濾過の条件(流量、温度など)、ビール濾過の形式(珪藻土、膜、シート、カートリッジ、フィルターなど)、ビール濾過時に添加する安定化剤(シリカゲル、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)、ベントナイト、タンニン、ベントナイト、白土、酸性白土など)等を適宜設定して調整できる。
本発明に係るビールテイスト飲料の全窒素量は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい、飲みごたえ、および味の厚みのうち少なくとも1つをより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは25質量ppm以上、より好ましくは30質量ppm以上、さらに好ましくは35質量ppm以上、さらに好ましくは40質量ppm以上、さらに好ましくは45質量ppm以上、よりさらに好ましくは50質量ppm以上、さらに好ましくは55質量ppm以上、特に好ましくは60質量ppm以上であり、また、65質量ppm以上、70質量ppm以上、75質量ppm以上、80質量ppm以上、85質量ppm以上、90質量ppm以上、95質量ppm以上、100質量ppm以上、110質量ppm以上、120質量ppm以上、130質量ppm以上、140質量ppm以上、150質量ppm以上、160質量ppm以上、170質量ppm以上、180質量ppm以上、190質量ppm以上、または、200質量ppm以上であってもよい。
他方、満腹感を与えにくい飲料とする観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、好ましくは250質量ppm以下、より好ましくは240質量ppm以下、さらに好ましくは230質量ppm、特に好ましくは220質量ppmであり、また、210質量ppm以下、200質量ppm以下、195質量ppm以下、190質量ppm以下、180質量ppm以下、175質量ppm以下、170質量ppm以下、165質量ppm以下、160質量ppm以下、155質量ppm以下、150質量ppm以下、145質量ppm以下、140質量ppm以下、135質量ppm以下、130質量ppm以下、または、120質量ppm以下であってもよい。
本明細書において、ポリフェノールとは、芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基で置換された化合物をいう。ポリフェノールとしては、例えば、フラボノール、イソフラボン、タンニン、カテキン、ケルセチン、アントシアニンなどが挙げられる。
本発明における「総ポリフェノール量」とは、ビールテイスト飲料に含まれるこれらポリフェノールの総量である。
総ポリフェノール量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのポリフェノール重合条件(温度、撹拌速度など)、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間、ビール濾過の形式(珪藻土、膜、シート、カートリッジ、フィルターなど)、活性炭、ビール濾過時に添加する安定化剤(シリカゲル、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)、ベントナイト、タンニン、ベントナイトなど)等を適宜設定して行うことができる。
また、本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、麦芽、麦芽のハスク(穀皮)などのポリフェノール含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制御できる。具体的には、ポリフェノール含有量の多い麦芽等の原材料の使用量を増やすことにより総ポリフェノール量を増加させることができる。
一般的に、ハスク(穀皮)がある麦芽等は窒素およびポリフェノールの含有量が多く、大豆、酵母エキス、エンドウ豆、トウモロコシ、トウモロコシ加工品(コーングリッツ、コーンタンパク等)、小麦、小麦麦芽等は窒素の含有量が多いがポリフェノールの含有量が少ない。そこで、ビールテイスト飲料における全窒素量および総ポリフェノール量は、原料の配合割合を調整することによって、増減させることができる。以下、全窒素量および総ポリフェノール量を増減させる代表的な方法(1)~(4)を挙げる。
(1)ハスクがある麦芽等の使用量を増やすことによって、ビールテイスト飲料の全窒素量および総ポリフェノール量を増やす。
(2)大豆、酵母エキス等の使用量を増減させることによって、総ポリフェノール量を維持しながら、ビールテイスト飲料の全窒素量を増減させる。
(3)ハスクがある麦芽等の使用量を増やし大豆、酵母エキス等の使用量を減らすことによって、全窒素量を維持しながら、総ポリフェノール量を増やす。
(4)ハスクがある麦芽等の使用量を減らし大豆、酵母エキス等の使用量を増やすことによって、全窒素量を維持しながら、総ポリフェノール量を減らす。
本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料において、ビールテイスト飲料に適した豊かな味わい、飲みごたえ、および味の厚みのうち少なくとも1つをより向上させた飲料とする観点から、窒素またはポリフェノールの少なくとも一部が麦芽由来であることが好ましい。
また、本発明のビールテイスト飲料において、ビールテイスト飲料らしいシマリ感をより向上させた飲料とする観点から、窒素またはポリフェノールの少なくとも一部が大豆、酵母エキス、エンドウ豆、トウモロコシ、トウモロコシ加工品(コーングリッツ等)、小麦、小麦麦芽等由来であってもよい。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツ(蒸留酒)を含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、トウモロコシ、芋、さとうきび等の穀物を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、さらに蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、イネ科に属する植物が好ましく、さらに麦が好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の糖質含有量は、飲料に付与したい特性に応じて設定でき、例えば、2.0g/100mL以下、1.9g/100mL以下、1.8g/100mL以下、1.7g/100mL以下、1.6g/100mL以下、1.5g/100mL以下、1.5g/100mL未満、1.4g/100mL以下、1.3g/100mL以下、1.2g/100mL以下、1.1g/100mL以下、1.0g/100mL以下、1.0g/100mL未満、0.95g/100mL以下、0.9g/100mL以下、0.85g/100mL以下、0.8g/100mL以下、0.75g/100mL以下、0.7g/100mL以下、0.65g/100mL以下、0.6g/100mL以下、0.55g/100mL以下、又は0.5g/100mL以下としてもよく、また、0.1g/100mL以上、0.2g/100mL以上、0.3g/100mL以上、0.4g/100mL以上、0.5g/100mL以上、0.5g/100mL超、0.55g/100mL以上、0.6g/100mL以上、0.65g/100mL以上、0.7g/100mL以上、0.75g/100mL以上、0.8g/100mL以上、0.85g/100mL以上、0.9g/100mL以上、0.95g/100mL以上、1.0g/100mL以上、1.1g/100mL以上、1.2g/100mL以上、1.3g/100mL以上、1.4g/100mL以上、又は1.5g/100mL以上としてもよい。
なお、本明細書において、「糖質」とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号、一部改正平成25年9月27日消費者庁告示第8号)に基づく糖質をいい、具体的には、対象となる食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分および水分を除いたものを意味する。そのため、食品中の糖質含有量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分および水分の量を控除することにより算定することができる。
ここで、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分および水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定することができる。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法で測定し、食物繊維の量はプロスキー法で測定し、灰分の量は直接灰化法で測定し、水分の量は減圧加熱乾燥法で測定することができる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料の糖質含有量は、希釈水または炭酸水の添加、酵素(多糖分解酵素、異性化酵素など)の種類、酵素の添加量、および添加のタイミング、糖化液を調製する際の各温度領域の設定温度、pHおよび保持時間、発酵前液の組成(オリジナルエキス濃度、糖組成、タンパク含有量、食物繊維含有量、灰分など)、発酵工程の諸条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加タイミング等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定することで、調整できる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、飲料の香味向上の観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.2以上、さらに好ましくは3.4以上、3.5以上、よりさらに好ましくは3.6以上、よりさらに好ましくは3.7以上であり、また、3.9以上、または4.1以上であってもよい。また、微生物の発生を抑制の観点から、ビールテイスト飲料のpHは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.9以下、さらに好ましくは4.8以下、よりさらに好ましくは4.7以下、特に好ましくは4.6以下であり、また、4.55以下、4.50以下、4.45以下、4.40以下、4.35以下、または、4.30以下であってもよい。
pHの調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の種類(乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定して行うことができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、プリン体の含有量は、麦の旨味を付与する観点から、0.5mg/100mL以上、0.6mg/100mL以上、0.7mg/100mL以上、0.8mg/100mL以上、0.9mg/100mL以上、1.0mg/100mL以上、1.1mg/100mL以上、1.2mg/100mL以上、1.3mg/100mL以上、1.4mg/100mL以上、1.5mg/100mL以上、または1.6mg/100mL以上とすることが好ましい。
他方、健康志向の観点から、プリン体の含有量は、10.0mg/100mL以下、9.0mg/100mL以下、8.0mg/100mL以下、7.0mg/100mL以下、6.5mg/100mL以下、6.0mg/100mL以下、5.9mg/100mL以下、5.8mg/100mL以下、5.7mg/100mL以下、5.6mg/100mL以下、5.5mg/100mL以下、5.4mg/100mL以下、5.3mg/100mL以下、5.2mg/100mL以下、5.1mg/100mL以下、または5.0mg/100mL以下とすることが好ましい。
なお、本明細書において、「プリン体」とは、アデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンのプリン体塩基4種を意味する。プリン体の定量では、アデニル酸及びアデノシンは「アデニン」と区別して定量することが困難であり、また、グアニル酸及びグアノシンも「グアニン」と区別して定量することが困難である。そのため、「アデニン」には、アデニン塩基と、アデニル酸及びアデノシンとが含まれる。また、「グアニン」には、グアニン塩基と、グアニル酸及びグアノシンとが含まれる。
そして、ビールテイスト飲料中のプリン体の含有量は、上述のプリン体塩基4種の合計含有量であって、過塩素酸処理後にLC-MS/MSを用いて検出する方法(「酒類のプリン体の微量分析のご案内」、財団法人日本食品分析センター、インターネット(https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_vol4_no23.pdf、2021年12月検索)により測定した値を意味する。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲みごたえを良好なものとする観点から、ピログルタミン酸の含有量(X)(単位:mg/L)とリナロールの含有量(Y)(単位:質量ppb)との比〔(X)/(Y)〕は0.5以上であるが、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上、よりさらに好ましくは1.9以上、特に好ましくは2.0以上であり、また、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、4.5以上、5.0以上、5.5以上、または、6.0以上であってもよい。
他方、爽やかな余韻のビールテイスト飲料にする観点から、ピログルタミン酸の含有量(X)(単位:mg/L)とリナロールの含有量(Y)(単位:質量ppb)との比〔(X)/(Y)〕は15以下であるが、好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは13.5以下、よりさらに好ましくは13以下、より好ましくは12.5以下、より好ましくは12以下、より好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下、より好ましくは10.5以下、特に好ましくは10以下であり、また、9.9以下、9.8以下、9.7以下、9.6以下、9.5以下、9.4以下、9.3以下、9.2以下、9.1以下、または、9.0以下であってもよい。
また、別の一態様において、ピログルタミン酸の含有量(X)(単位:mg/L)とリナロールの含有量(Y)(単位:質量ppb)との比〔(X)/(Y)〕は、爽やかな余韻のビールテイスト飲料にする観点から、32以下、30以下、28以下、25以下、23以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14.5以下、14以下、13.5以下、13以下、12.5以下、12以下、11.5以下、11以下、10.5以下、10以下、9.9以下、9.8以下、9.7以下、9.6以下、9.5以下、9.4以下、9.3以下、9.2以下、9.1以下、または、9.0以下とすることも好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲みごたえと飲みやすさのバランスが良好なビールテイスト飲料とする観点から、ピログルタミン酸の含有量(X)(単位:mg/L)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Z)〕は30以上であるが、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上、よりさらに好ましくは50以上、より好ましくは55以上、特に好ましくは60以上であり、また、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以下、100以上、110以上、120以上、130以上、140以上、または、150以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な酸味を抑制する観点から、ピログルタミン酸の含有量(X)(単位:mg/L)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Z)〕は300以下であるが、好ましくは280以下、より好ましくは270以下、さらに好ましくは260以下、特に好ましくは250以下であり、また、240以下、230以下、220以下、210以下、200以下、190以下、または、180以下であってもよい。また、一態様において、当該比〔(X)/(Z)〕は、450以下、440以下、435以下、430以下、400以下、350以下、300以下、280以下、270以下、260以下、250以下、240以下、230以下、220以下、210以下、200以下、190以下、または、180以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、爽やかな余韻を有し、飲みやすさのある飲料とする観点から、リナロールの含有量(Y)(単位:質量ppb)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(Y)/(Z)〕は5以上であるが、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上であり、また、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、または、60以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な甘い香りを付与しない観点から、リナロールの含有量(Y)(単位:質量ppb)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(Y)/(Z)〕は200以下であるが、好ましくは180以下、より好ましくは160以下、さらに好ましくは140以下、よりさらに好ましくは120以下、特に好ましくは100以下であり、また、95以下、90以下、85以下、80以下、75以下、または、70以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲みごたえのある飲料とする観点から、総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との積(A×B)は200以上であるが、好ましくは250以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは350以上、特に好ましくは385以上であり、また、390以上、450以上、500以上、600以上、700以上、800以上、900以上、1,000以上、1,400以上、1,500以上、1,600以上、1,800以上、2,000以上、4,000以上、6,000以上、8,000以上、10,000以上、12,000以上、または、14,000以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な満腹感を与えない観点から、総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との積(A×B)は25,000以下であるが、好ましくは23,000以下、より好ましくは20,000以下、さらに好ましくは18,000以下、よりさらに好ましくは16,000以下、特に好ましくは14,000以下であり、また、12,000以下、10,000以下、9,500以下、9,000以下、8,500以下、8,000以下、7,500以下、7,000以下、6,500以下、または、6,000以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲み口の重たさを抑えつつ飲みごたえのある飲料とする観点から、総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との比〔(A)/(B)〕は0.5以上であるが、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.0以上であり、また、1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.8以上、または、2.0以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な満腹感を与えない観点から、総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との比〔(A)/(B)〕は4.5以下であるが、好ましくは4.4以下、より好ましくは4.3以下、さらに好ましくは4.2以下、よりさらに好ましくは4.1以下、特に好ましくは4.0以下であり、また、3.9以下、3.8以下、3.7以下、3.6以下、または、3.5以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲みごたえと飲みやすさのバランスが良好なビールテイスト飲料とする観点から、全窒素量(B)(単位:mg/100mL)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(B)/(Z)〕は10以上であるが、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上、特に好ましくは30以上であり、また、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、または、60以上であってもよい。
他方、ビールテイスト飲料に不適な満腹感を与えない観点から、全窒素量(B)(単位:mg/100mL)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(B)/(Z)〕は200以下であるが、好ましくは190以下、より好ましくは180以下、さらに好ましくは170以下、特に好ましくは160以下であり、また、150以下、145以下、140以下、135以下、130以下、125以下、120以下、115以下、110以下、105以下、または、100以下であってもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。
本発明のビールテイスト飲料の製造に使用できる穀物、甘味料等の任意の添加原料については、「1.1原材料」において詳述する。
1.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、水および麦芽であるが、ホップを用いることが好ましく、その他に、麦などのイネ科植物、イネ科の植物以外の植物の実・果皮・樹皮・葉・花・茎・根・種子、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を用いてもよい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に使用する麦芽は、modificationが80%以上であることが好ましい。modificationが80%未満であると麦汁の粘度が上がったり、濁度が上がったりして、麦汁濾過性、ビール濾過性などの生産効率が悪化する。そのため、modificationが80%以上である麦芽をつかうことが好ましい。後述する実施例および比較例では、modificationが80%以上である麦芽を使用した。modificationは、MEBAK Raw Materials
Barley Adjuncts Malt Hops And Hop Products Published by the Chairman Dr.Fritz Jacob Self-published by MEBAK 85350 Freising-Weihenstephan,Germany 2011の3.1.3.8 Modification and Homogeneity(Calcofluor Carlsberg Method-EBC)に記載の方法で測定することができる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料においては、使用する麦芽は、所望のビールテイスト飲料の色度に応じて、適宜選択されることが好ましく、選択する麦芽は、単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
麦芽には、ピログルタミン酸、窒素化合物およびポリフェノールが含まれている。したがって、本発明においては、本発明のビールテイスト飲料のピログルタミン酸、全窒素量および総ポリフェノール量をそれぞれ本発明で規定される範囲内とするために、原料における麦芽の比率を一定の範囲に設定することが好ましい。具体的には、麦芽比率(全ての麦芽の使用比率)は、好ましくは50質量%以上であり、51質量%以上、52質量%以上、53質量%以上、54質量%以上、55質量%以上、56質量%以上、57質量%以上、58質量%以上、59質量%以上、60質量%以上、61質量%以上、62質量%以上、63質量%以上、64質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、66質量%超、67質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、または、100質量%であってもよい。麦芽比率を向上させることにより、麦芽に由来する豊かな味わいや、麦の旨味をより強く感じることができるビールテイスト飲料を製造できる。
また、麦芽比率が高すぎると不適な満腹感を与えやすくなる。そこで、本発明の一態様のビールテイスト飲料の麦芽比率は、100質量%未満である。本発明の別の一態様のビールテイスト飲料の麦芽比率は、90質量%以下である。本発明のさらに別の一態様のビールテイスト飲料の麦芽比率は、66.6質量%以下である。本発明の一態様のビールテイスト飲料の麦芽比率は、上記以外にも、例えば、100質量%未満、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、78質量%以下、76質量%以下、75質量%以下、75質量%未満、74質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、71質量%以下、70質量%以下、69質量%以下、68質量%以下、67質量%未満、67質量%以下、66.6質量%以下、66.6質量%未満、66質量%以下、65質量%以下、64質量%以下、63質量%以下、62質量%以下、61質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、58質量%以下、57質量%以下、56質量%以下、55質量%以下、54質量%以下、53質量%以下、または、52質量%以下であってもよい。
本明細書において、麦芽比率とは平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
麦芽比率を抑制する場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液、炭素源を含有する液糖等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、大豆タンパク、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、未発芽の穀物、これらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ等が挙げられる。また、これらの穀物から得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)を用いても良い。
原材料として用いることができる、麦などのイネ科植物以外の植物の実・果皮・樹皮・葉・花・茎・根・種子は、特に限定されないが、イネ科植物以外の植物としては、柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、スパイス類などが挙げられる。柑橘類としては、オレンジ、ゆず、レモン、ライム、ミカン、グレープフルーツ、伊予柑、キンカン、かぼす、ダイダイ、シークワーサー、すだちなどが挙げられる。ソフトフルーツ類としては、桃、ブドウ、バナナ、リンゴ、ブドウ、パイナップル、イチゴ、梨、マスカット、カシスなどがあげられる。ハーブ類、スパイス類としては、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、花椒、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、エルダーベリー、グレインズ・オブ・パラダイス、アニス、スターアニスなどが挙げられる。
上記は、そのまま使ってもよいし、粉砕して使ってもよいし、水やエタノールなどの溶媒で抽出したものを使ってもよいし、搾汁したもの(果汁など)を使ってもよい。上記を1種または2種以上を併用して用いることができる。
消費者の嗜好に合わせて上記を適宜使用できるが、ビールらしいスッキリした爽快な味わいを楽しむには、原材料に上記の柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、およびスパイス類を全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。特にカシスはビール中に不適な乳様の香りがつくことから、原材料にカシスやカシス果汁は全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。
本発明の一態様で用いるホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
ホップの添加量としては、適宜調製されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。また、原材料としてホップを用いたビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分であるイソα酸を含有した飲料となる。
本発明のビールテイスト飲料の苦味価は、特に限定されないが、5.0BUs以上であることが好ましい。本明細書において、「苦味価」とは、イソフムロンなどのイソα酸類によってもたらされる苦味の指標である。苦味価は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.15 苦味価」の項に記載の方法に従って測定することができる。具体的には、脱ガスしたサンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、得られたイソオクタン層の吸光度を、イソオクタンを対照にして275nmで計測し、ファクターを乗じて苦味価(BUs)を得ることができる。
本発明のビールテイスト飲料の苦味価は、好ましくは5.0BUs以上であるが、より好ましくは10.0BUs以上、より好ましくは12.0BUs以上、さらに好ましくは13.0BUs以上、よりさらに好ましくは14.0BUs以上、よりさらに好ましくは15.0BUs以上であり、また、15.0BUs以上、16.0BUs以上、17.0BUs以上、18.0BUs以上、19.0BUs以上、20.0BUs以上、21.0BUs以上、または、22.0BUs以上である。
また、本発明のビールテイスト飲料の苦味価は、好ましくは45.0BUs以下であり、より好ましくは40.0BUs以下、さらに好ましくは37.5BUs以下、よりさらに好ましくは35.0BUs以下、さらに好ましくは32.5BUs以下であり、また、30.0BUs以下、27.5BUs以下、26.0BUs以下、または、25.0BUs以下であってもよい。
苦味価は、飲料に含まれるイソα酸の含有量に依存し、イソα酸はホップに多く含まれる苦味成分である。したがって、ホップの使用量を制御することによって、所定の値の苦味価を有する飲料を製造できる。
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、ショ糖、乳糖、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、異性化糖、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオースおよびこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。
これらの甘味料は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、糖質含有量が上述した範囲であり、味の厚みが担保され得ることから、食物繊維の含有量は0.5g/100mL未満であることが好ましい。本発明の一態様のビールテイスト飲料の食物繊維の含有量は、より好ましくは0.5g/100mL以下、さらに好ましくは0.4g/100mL以下、よりさらに好ましくは0.3g/100mL以下、より好ましくは0.2g/100mL以下、特に好ましくは0.1g/100mL以下である。食物繊維としては、例えば、水溶性食物繊維が挙げられる。水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリンまたはポリデキストロースが好ましい。
なお、食物繊維は、市販品を添加して上記範囲となるように含有量を調整してもよいし、麦芽等の原料由来の食物繊維が上記範囲となるように製造工程において調整してもよい。市販品を添加する場合、食物繊維の含有量を上記範囲とすることで、ビールテイスト飲料に不適な粉っぽさを抑制することができる。製造工程において食物繊維の含有量を調整する場合、食物繊維の含有量を上記範囲とすることで、例えば、麦汁濾過、ビール濾過における濾過性を向上し、生産効率を上げることができる。
製造工程において食物繊維の含有量を調整する場合、本発明の一態様のビールテイスト飲料の食物繊維の含有量は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦、麦芽、コーン、糖液など)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、および酵素の添加のタイミング(糖化工程中、酵母添加前、酵母添加後、熟成中など)、糖化液を調製する際の各温度領域の設定温度、pHおよび保持時間を調整すること等により、調整することができる。
ビールテイスト飲料において、苦味は、ホップ等によって付与することが好ましいが、さらに、苦味料または苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料または苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ニガヨモギ抽出物、アブシンチン、アルギン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用いられるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン等が挙げられる。
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。
なお、ビールテイスト飲料は、アルコール発酵により生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。そのため、ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、ビール香料を別途添加する必要性は低いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体的には、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコールが挙げられる。これらの香料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノデルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸またはこれらの塩が好ましく、リンゴ酸、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酢酸またはこれらの塩がより好ましく、リンゴ酸、クエン酸、リン酸、乳酸またはこれらの塩が特に好ましい。これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸味料の配合量は、好ましくは50~2000質量ppm、より好ましくは100~1800質量ppm、さらに好ましくは200~1500質量ppmである。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、リンゴ酸の含有量は、特に制限はないが、ビールテイスト飲料に好適な麦の旨味を増強する観点から、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、90質量ppm以上、100質量ppm以上、150質量ppm以上、または、200質量ppm以上とすることが好ましい。また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、600質量ppm以下、550質量ppm以下、500質量ppm以下、または450質量ppm以下とすることが好ましい。
また、リンゴ酸は合成リンゴ酸を使っても良いし、発酵リンゴ酸を使用しても良いし、合成リンゴ酸と発酵リンゴ酸を併用してもよい。リンゴ酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、クエン酸の含有量は、特に制限はないが、ビールテイスト飲料に好適な麦の旨味を増強する観点から、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、90質量ppm以上、100質量ppm以上、150質量ppm以上、200質量ppm以上、または、250質量ppm以上とすることが好ましい。また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、600質量ppm以下、550質量ppm以下、500質量ppm以下、または450質量ppm以下とすることが好ましい。
クエン酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、乳酸の含有量は、特に制限はないが、ビールテイスト飲料に好適なまろやかさを付与する観点から、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、90質量ppm以上、100質量ppm以上、150質量ppm以上、200質量ppm以上、250質量ppm以上、300質量ppm以上、350質量ppm以上、または、400質量ppm以上とすることが好ましい。また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、600質量ppm以下、550質量ppm以下、500質量ppm以下、または450質量ppm以下とすることが好ましい。
また、乳酸は合成乳酸を使っても良いし、発酵乳酸を使用しても良いし、合成乳酸と発酵乳酸を併用してもよい。乳酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、リン酸の含有量は、特に制限はないが、ビールテイスト飲料に好適なシャープな飲み口を付与する観点から、50質量ppm以上、75質量ppm以上、100質量ppm以上、125質量ppm以上、150質量ppm以上200質量ppm以上、250質量ppm以上、300質量ppm以上、350質量ppm以上、400質量ppm以上、または、450質量ppm以上とすることが好ましい。また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、1000質量ppm以下、950質量ppm以下、900質量ppm以下、または850質量ppm以下とすることが好ましい。
リン酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
保存料としては、例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩;パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等の安息香酸エステル;二炭酸ジメチル等が挙げられる。また、保存料としては、強力サンプレザー(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、安息香酸ナトリウムと安息香酸ブチルの混合物)等の市販の製剤を用いてもよい。これらの保存料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
保存料の配合量は、好ましくは5~1200質量ppm、より好ましくは10~1100質量ppm、さらに好ましくは15~1000質量ppm、よりさらに好ましくは20~900質量ppmである。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
これらの塩類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の炭酸ガス濃度は、好ましくは0.30(w/w)%以上、より好ましくは0.35(w/w)%以上、更に好ましくは0.40(w/w)%以上で、より更に好ましくは0.42(w/w)%以上、特に好ましくは0.45(w/w)%以上であり、また、好ましくは0.80(w/w)%以下、より好ましくは0.70(w/w)%以下、更に好ましくは0.60(w/w)%以下、より更に好ましくは0.57(w/w)以下、特に好ましくは0.55(w/w)%以下である。
なお、本明細書において、炭酸ガス濃度は、対象となる飲料が入った容器を時々振りながら20℃の水槽に30分間以上浸して、当該飲料が20℃になるよう調整した後に、ガスボリューム測定装置(例えば、GVA-500(京都電子工業株式会社製)等)を用いて測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料が容器詰め飲料である場合、容器詰め飲料の炭酸ガス圧は、上記の炭酸ガス濃度となる範囲で適宜調整すればよいが、飲料の炭酸ガス圧は5.0kg/cm以下、4.5kg/cm以下、または4.0kg/cm以下であり、また、0.20kg/cm以上、0.50kg/cm以上、または1.0kg/cm以上であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
1.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびコラーゲンペプチド等のペプチド含有物、酵母エキス、乳を起源とする原料などを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
1.4 容器詰飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビンやペットボトルが好ましい。
2. ビールテイスト飲料の製造方法
本発明のビールテイスト飲料の製造方法について、発酵ビールテイスト飲料および非発酵ビールテイスト飲料に分けて説明する。
2.1 発酵ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様であるビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である場合、本発明の一態様の発酵ビールテイスト飲料の製造方法としては、水および麦芽を含む原料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する方法が好ましく、より具体的には、下記工程(1)~(3)を有する方法がより好ましい。
・工程(1):原材料に対して、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理の少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程。
・工程(2):工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程。
・工程(3):工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程。
また、本発明の一態様の製造方法は、上記工程(1)~(3)以外に、真正エキス値、総ポリフェノール量、全窒素量、およびリナロール含有量を確認及び/又は調整する工程を有していてもよい。当該工程は、工程(4)として後述する。
<工程(1)>
工程(1)は、各種原材料を用いて、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程である。
例えば、各種原材料として、麦芽を用いる場合には、水および麦芽を含む各種原材料を仕込釜または仕込槽に投入し
、必要に応じて、発酵前に、原材料に由来する成分の変化を促進する多糖分解酵素やタンパク分解酵素などの酵素剤を添加してもよい。
当該酵素剤としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、プリンヌクレオシダーゼ、デアミナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、グルカナーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、グルコシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、トランスグルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、ウリカーゼ等が挙げられる。また、酒税法および酒類行政関係法令通達(平成30年6月27日改正)の第3条「7酒類の原料として取り扱わない物品」の「(3)酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤」に該当する酵素剤を挙げられる。
これらの酵素剤を添加することで、得られるビールテイスト飲料の成分組成を効率よく調整させることができる。麦芽以外の各種原材料としては、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を加えてもよい。これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵中やアルコール発酵後に加えてもよい。
各種原材料の混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させて糖化処理を行う。
糖化処理の温度および時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水および麦芽以外の原材料、使用する酵素の種類や量、最終的に得られる飲料のオリジナルエキス濃度等を考慮して適宜調整することが好ましい。本発明の一態様において、ビールテイスト飲料の外観発酵度を上記範囲に調整する観点から、糖化処理の温度は55~75℃であり、糖化処理の時間は15~240分であることが好ましい。糖化処理後に、濾過を行い、糖化液が得られる。
なお、この糖化液は煮沸処理を行うことが好ましい。
この煮沸処理を行う際に、原材料としてホップや苦味料等を用いる場合には、これらを加えることが好ましい。ホップや苦味料等は、糖化液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
なお、上記の糖化液の代わりに、麦芽エキスに温水を加えたものに、ホップや苦味料等を加えて煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
また、各種原材料として、麦芽を使用しない場合には、炭素源を含有する液糖、麦または麦芽以外のアミノ酸含有原料としての窒素源、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を、温水と共に混合し、液糖溶液を調製し、その液糖溶液に対して煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
ホップを用いる場合には、煮沸処理前に加えてもよく、液糖溶液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程である。
煮沸処理終了後には、ワールプールに移送し、0~23℃に冷却する。そして、冷却後に、凝固タンパク等の固形分の除去処理を行い、オリジナルエキス濃度を調整してもよい。
このような処理を経て、冷却発酵前液が得られる。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いてもよい。
酵母は、酵母懸濁液のまま原材料に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを発酵前液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加してもよい。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×10cells/mL~1×10cells/mL程度である。
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することができるが、例えば、8~25℃、5~10日間の条件で発酵させることが好ましい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
また、本工程の終了後に、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、真正エキス値、総ポリフェノール量、全窒素量、およびリナロール含有量を確認及び/又は調整する工程である。
これらの含有量等は、工程(1)及び(2)において、原材料の品種やその配合量、仕込条件(原材料の添加のタイミング等)、酵母種や発酵条件等を適宜設定することによっても調整できる。そこで、工程(4)では、これらの含有量等を測定して上述の範囲内であるかを確認することが好ましい。そして、仮にこれらの成分の中で範囲外であった成分がある場合、その範囲外となる成分を添加することによる調整もしくは希釈による調整などを行うことが好ましい。
なお、本工程の各成分の含有量等の調整は、工程(1)、工程(2)及び/又は工程(3)と並行して行ってもよく、工程(1)と工程(2)の間に行ってもよく、工程(2)と工程(3)の間に行ってもよく、工程(3)の後に行ってもよい。また、本工程の各成分の含有量等の確認については、上記のいずれのタイミングで行ってもよいが、工程(3)の後に各成分の含有量等の確認を行い、その結果、調整が必要なものがあれば、その成分の含有量等の調整を行うことが好ましい。
これらの工程後、貯酒工程およびろ過工程等の当業者に周知のビールテイスト飲料の製造で行われる工程を行ってもよい。
このようにして得られたビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、ビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、上述のとおりである。
2.2 非発酵ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様であるビールテイスト飲料が、非発酵ビールテイスト飲料である場合には、一般的な非発酵ビールテイスト飲料の製造方法により製造することができる。本発明の一態様の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法としては、具体的には、下記工程(a)~(c)を有する方法が挙げられる。
・工程(a):各種原材料を用いて、調合処理(各種原料の混合処理)、アルコール原料添加処理、糖化処理、煮沸処理、及び固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、一次原料液を得る工程。
・工程(b):前記一次原料液を必要に応じて殺菌し、希釈し、カーボネーション処理によって炭酸ガスを加える工程。
・工程(c):真正エキス値、総ポリフェノール量、全窒素量、およびリナロール含有量を確認及び/又は調整する工程。
なお、必要に応じて、各段階において、濾過、遠心分離等で沈澱を分離除去することもできる。これらの工程は、通常のソフトドリンクの製造プロセスを用いることで、発酵設備を持たなくても、簡便に非発酵ビールテイスト飲料を製造することが可能である。
工程(a)により一次原料液を得る具体的な方法は、上述の工程(1)と同様の方法が挙げられる。
そして、非発酵アルコール含有ビールテイスト飲料とする場合には、アルコール原料として酒類を加えてアルコール含有一次原料液とすることができる。加える酒類は、特に限定されないが、例えば、原料用アルコール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン等のスピリッツ等が挙げられる。
工程(b)のカーボネーション処理によって、一次原料液又はアルコール含有一次原料液に炭酸ガスを加え、炭酸飲料とすることができる。
なお、炭酸ガスの添加方法としては、一次原料液又はアルコール含有一次原料液に直接炭酸ガスを添加する方法であってもよく、これらの原料液を濃厚な状態で調製した上で、炭酸水との混和によって添加する方法であってもよい。なお、炭酸ガスを加える際に、必要に応じて、保存料、甘味料、香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。
また、オリや雑味の原因物質を除去するために、カーボネーション工程の前に沈殿を除去する処理を行うことが好ましい。
殺菌工程および希釈工程は、カーボネーション処理前におこなっても良いし、容器充填後におこなっても良いし、両方でおこなっても良い。
そして、上記工程(3)と同様に、工程(c)として、真正エキス値、総ポリフェノール量、全窒素量、およびリナロール含有量を確認及び/又は調整する工程を経ることが好ましい。
工程(c)は、工程(a)と工程(b)の間に行ってもよく、工程(a)及び工程(b)の後に行ってもよい。また、工程(a)及び/又は工程(b)と並行して行ってもよい。
このようにして得られた本発明の一態様の非発酵ビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
容器詰めの方法としては、発酵ビールテイスト飲料の製造方法で述べたものと同じ方法を用いることができる。
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
また、実施例において、真正エキス値、全窒素量および総ポリフェノール量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法に基づいて測定した。
実施例1~50、比較例1~14、参考例1~5
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽を温水120Lが入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕等を除去した。ろ過後、当該原料液およびホップを煮沸釜に投入し、温水で100Lに調整して熱麦汁を得た。
得られた熱麦汁を冷却し、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液60Lを得た。
このようにして得られた発酵前液にビール酵母(下面発酵酵母)を添加して約1週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調整水を添加しビールテイスト飲料を調製した。なお、すべての実施例および比較例において、食物繊維の含有量は0.4g/100mL以下であった。
それぞれの実施例および比較例において、麦芽、液糖、ホップ等の原材料の量や種類、マッシングパターン、タンパク分解酵素等の酵素剤の種類、添加量、添加のタイミングおよび必要に応じて酵素活性の失活処理、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度、保持時間、pH調整、麦汁濾過時の濁度、ホップの添加タイミング、煮沸時間、発酵条件、等を適宜設定し、表3~9に示す麦芽比率、真正エキス値、全窒素量、総ポリフェノール量、リナロール含有量、および糖質含有量となるように調整した。なお、表1は、真正エキス値の違いによるビールテイスト飲料に好適な飲みやすさを事前に評価した際の結果を示す。また、表2は、総ポリフェノール量と全窒素量との積の違いによるビールテイスト飲料らしい飲みごたえを事前に評価した際の結果を示す。
また、以下の各表に示される各成分の含有量は、四捨五入を考慮した値であり、各成分の含有量比は、四捨五入を考慮せずに各成分の含有量に基づいて計算を行い、小数点以下第2位を四捨五入した値を示している。
<官能評価>
得られたビールテイスト飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の試飲をし、以下のように行った。
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが350mL試飲し、「ビールテイスト飲料らしい好適な飲みごたえ」、「ビールテイスト飲料らしい好適な爽やかな余韻」および「ビールテイスト飲料に不適な甘い香り」という評価項目について、下記のスコア基準に基づき、3.0(最大値)~1.0(最小値)の範囲で、0.1刻みのスコアにて評価し、6人のパネラーのスコアの平均値を算出した。また、表1においては、「ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさ」という評価項目について同様の評価を行った。表2においては、「ビールテイスト飲料らしい好適な飲みごたえ」についてのみ評価を行った。
評価に際しては、評価項目がそれぞれ下記基準「1.0」「2.0」および「3.0」に該当するサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、すべての実施例および比較例の官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
[ビールテイスト飲料らしい好適な飲みごたえ]
・「3.0」:ビールテイスト飲料らしい飲みごたえが非常に強く感じられる。
・「2.5」:ビールテイスト飲料らしい飲みごたえが強く感じられる。
・「2.0」:ビールテイスト飲料らしい飲みごたえが感じられる。
・「1.5」:ビールテイスト飲料らしい飲みごたえがあまり感じられない。
・「1.0」:ビールテイスト飲料らしい飲みごたえがほとんど感じられない。
[ビールテイスト飲料らしい好適な爽やかな余韻]
・「3.0」:ビールテイスト飲料らしい爽やかな余韻が非常に強く感じられる。
・「2.5」:ビールテイスト飲料らしい爽やかな余韻が強く感じられる。
・「2.0」:ビールテイスト飲料らしい爽やかな余韻が感じられる。
・「1.5」:ビールテイスト飲料らしい爽やかな余韻があまり感じられない。
・「1.0」:ビールテイスト飲料らしい爽やかな余韻がほとんど感じられない。
[ビールテイスト飲料に不適な甘い香り]
・「3.0」:ビールテイスト飲料に不適な甘い香りが全く感じられない。
・「2.5」:ビールテイスト飲料に不適な甘い香りがほとんど感じられない。
・「2.0」:ビールテイスト飲料に不適な甘い香りがあまり感じられない。
・「1.5」:ビールテイスト飲料に不適な甘い香りが感じられる。
・「1.0」:ビールテイスト飲料に不適な甘い香りが強く感じられる。
[ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさ]
・「3.0」:ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさが非常に強く感じられる。
・「2.5」:ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさが強く感じられる。
・「2.0」:ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさが感じられる。
・「1.5」:ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさがあまり感じられない。
・「1.0」:ビールテイスト飲料に好適な飲みやすさがほとんど感じられない。
また、表3~9については、前記3つの評価項目に基づき、下記の基準で総合評価を行った。
[総合評価]
・「A」:検証した3つの官能評価項目の平均スコアのすべてが2.2以上である。
・「B」:「A」および「C」に該当しない。
・「C」:検証した3つの官能評価項目の平均スコアのいずれか1つ以上が2.0未満である。
Figure 0007392207000001
Figure 0007392207000002
Figure 0007392207000003
Figure 0007392207000004
Figure 0007392207000005
Figure 0007392207000006
Figure 0007392207000007
Figure 0007392207000008
Figure 0007392207000009
実施例51~65、比較例15~17
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽を温水120Lが入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕等を除去した。ろ過後、当該原料液およびホップを煮沸釜に投入し、温水で100Lに調整して熱麦汁を得た。
得られた熱麦汁を冷却し、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液60Lを得た。
このようにして得られた発酵前液にビール酵母(上面発酵酵母)を添加して約1週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調整水を添加しビールテイスト飲料を調製した。なお、すべての実施例および比較例において、食物繊維の含有量は0.4g/100mL以下であった。
それぞれの実施例および比較例において、麦芽、ホップ等の原材料の量や種類、マッシングパターン、タンパク分解酵素等の酵素剤の種類、添加量、添加のタイミングおよび必要に応じて酵素活性の失活処理、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度、保持時間、pH調整、麦汁濾過時の濁度、ホップの添加タイミング、煮沸時間、発酵条件、等を適宜設定し、表10~11に示す麦芽比率、真正エキス値、ピログルタミン酸含有量、リナロール含有量および糖質含有量となるように調整した。
得られたビールテイスト飲料を用いて、上記<官能評価>の方法と同様の方法で官能評価を行った。結果を下記表10および11に示す。
なお、以下の各表に示される各成分の含有量は、四捨五入を考慮した値であり、各成分の含有量比は、四捨五入を考慮せずに各成分の含有量に基づいて計算を行い、小数点以下第2位を四捨五入した値を示している。
Figure 0007392207000010
Figure 0007392207000011
実施例の結果から、ビールテイスト飲料における真正エキス値が2.30質量%以下であり、総ポリフェノール量が20~250質量ppmであり、全窒素量が5~100mg/100mLであり、リナロールの含有量が5~100質量ppbであると、「ビールテイスト飲料らしい好適な飲みごたえ」および「ビールテイスト飲料らしい好適な爽やかな余韻」を有しつつ、「ビールテイスト飲料に不適な甘い香り」が抑制された飲料を提供できた。

Claims (19)

  1. 真正エキス値が0.55質量%以上2.30質量%以下であり、
    総ポリフェノール量が25~250質量ppmであり、
    全窒素量が10~100mg/100mLであり、
    リナロールの含有量が5~100質量ppbであ
    アルコール度数が1.5(v/v)%以上であり、
    苦味価が5.0BUs以上であり、
    全窒素量(B)(単位:mg/100mL)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(B)/(Z)〕が、10~200である、ビールテイスト飲料。
  2. 麦芽比率が50質量%以上である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. 真正エキス値が1.50質量%未満である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 食物繊維の含有量が0.5g/100mL未満である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  5. 麦芽比率が100質量%未満である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  6. 麦芽比率が90質量%以下である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  7. 麦芽比率が90質量%以上である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  8. 麦芽比率が66.6質量%以下である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  9. 糖質含有量が2.0g/100mL以下である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  10. 糖質含有量が1.0g/100mL未満である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  11. 総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との比〔(A)/(B)〕が、0.5~4.5である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  12. 総ポリフェノール量(A)(単位:質量ppm)と全窒素量(B)(単位:mg/100mL)との積(A×B)が、200~25,000である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  13. 前記ビールテイスト飲料が、上面発酵ビールテイスト飲料である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  14. 前記ビールテイスト飲料が、下面発酵ビールテイスト飲料である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  15. 前記ビールテイスト飲料が、ビールである、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  16. ピログルタミン酸の含有量が15mg/L以上である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
  17. ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
    真正エキス値が0.55質量%以上2.30質量%以下、
    総ポリフェノール量が25~250質量ppm、
    全窒素量が10~100mg/100mL、
    リナロールの含有量が5~100質量ppb、
    アルコール度数が1.5(v/v)%以上、
    苦味価が5.0BUs以上、
    全窒素量(B)(単位:mg/100mL)と糖質含有量(Z)(単位:g/100mL)との比〔(B)/(Z)〕が、10~200、
    となるように調整する工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
  18. 上面発酵酵母を用いて発酵を行う工程を有する、請求項17に記載の製造方法。
  19. 下面発酵酵母を用いて発酵を行う工程を有する、請求項17に記載の製造方法。
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