JP2020195318A - ビールテイスト飲料 - Google Patents

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【課題】新規なビールテイスト飲料(例えば、良質な味わいの複雑さ、及び、爽快感のバランスが改善されたビールテイスト飲料)が求められている。【解決手段】麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、外観発酵度が105%以上であり、ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上である、ビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
従来から、最近の消費者の多様化した好みに応じて、様々なビールテイスト飲料が検討され、提供されている。
例えば、特許文献1には、ビールらしい苦味と後キレを有するビールテイスト飲料の提供を目的として、0.3〜5ppmのクワシンおよび/または0.5〜5ppmのキニーネを含んでなるビールテイスト飲料が記載されている。
特開2017−6077号公報
このような状況において、新規なビールテイスト飲料(例えば、良質な味わいの複雑さ、及び、爽快感のバランスが改善されたビールテイスト飲料)が求められている。
本発明は、麦芽比率、外観発酵度、及びピログルタミン酸の含有量を所定の範囲に調製したビールテイスト飲料を提供する。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、
外観発酵度が100%以上であり、
ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上である、ビールテイスト飲料。
[2]
前記ビールテイスト飲料がビールである、上記[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、外観発酵度が100%以上であり、ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上であるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
下記工程(1)〜(2)を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
[4]
ピログルタミン酸の含有量を調整する工程を有する、上記[3]に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料は、良質な味わいの複雑さを有すると共に、爽快感のある飲料となり得る。
1.ビールテイスト飲料
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。
したがって、「ビールテイスト飲料」には、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる麦芽発酵飲料であるビールだけでなく、エステルや高級アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n−プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド)等を含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。
また、ビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール度数が1(v/v)%以上のビールテイスト飲料、及びアルコール度数が1(v/v)%未満のビールテイスト飲料等も含まれる。
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、特に制限は無いが、好ましくは1〜20(v/v)%、より好ましくは2〜17(v/v)%、更に好ましくは3〜15(v/v)%、より更に好ましくは4.5〜10(v/v)%である。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料は、麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、外観発酵度が100%以上であり、ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上である。
麦芽比率が50質量%以上と高いビールテイスト飲料は、良好な味わいを有する一方で、麦芽比率が高くなるほど爽快感が劣る傾向にある。
そこで、本発明のビールテイスト飲料では、爽快感を向上させるために、外観発酵度を100%以上となるように、糖化条件及び発酵条件を調整している。これにより、爽快感は改善されたが、一方で、外観発酵度が高いビールテイスト飲料ほど、味わいが単調となることが分かった。そのため、本発明のビールテイスト飲料では、さらに味わいの複雑さを付与するために、ピログルタミン酸の含有量を35質量ppm以上となるように調製している。
つまり、本発明のビールテイスト飲料では、麦芽比率、外観発酵度、及びピログルタミン酸の含有量を調製することで、良質な味わいの複雑さを付与し、爽快感のある飲料とすることができる。
本発明のビールテイスト飲料の麦芽比率は、50質量%以上100質量%以下であるが、60質量%以上100質量%以下であってもよく、70質量%以上100質量%以下であってもよく、80質量%以上100質量%以下であってもよく、90質量%以上100質量%以下であってもよい。
本明細書において、「麦芽比率」とは、平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度は、100%以上であるが、爽快感をより向上させたビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは103%以上、より好ましくは105%以上、更に好ましくは108%以上、より更に好ましくは110%以上であり、また、通常120%以下である。
本明細書において、「外観発酵度」とは、発酵前の液に含まれる全糖濃度のうち、酵母がアルコール発酵の栄養源として消費できる糖濃度の占める割合を意味する。例えば、本発明のビールテイスト飲料の外観発酵度AAは、下記式(1)から算出することができる。
式(1):AA(%)=100×(P−Es)/P
上記式(1)中、「P」は、原麦汁エキスであり、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載された方法により、測定することができる。
また、「Es」は、ビールテイスト飲料の外観エキスを示す。外観エキスは、例えば、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載されるように、下記式(2)から算出することができる。
式(2):Es=−460.234+662.649×D−202.414×D
(式(2)中、Dは、ガス抜きビールテイスト飲料の比重である。)
なお、外観エキス「Es」は、上記式(2)中のDによって負の値になることがあるため、算出される外観発酵度が100%を超える場合がある。
なお、ビールテイスト飲料の外観発酵度の値は、例えば、糖化条件、原料を糖化させる際の酵素の使用有無、及び、原材料の種類や配合量等を調整することにより、制御することができる。例えば、糖化時間を長くすれば、酵母が使用する事ができる糖濃度を高めることができ、外観発酵度を高めることができる。
また、本発明のビールテイスト飲料のピログルタミン酸の含有量は、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、35質量ppm以上であるが、爽快感を維持しつつ、さらに味わいの複雑さを付与したビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは40質量ppm以上、より好ましくは45質量ppm以上、更に好ましくは50質量ppm以上、より更に好ましくは65質量ppm以上で、特に好ましくは80質量ppm以上ある。
また、香味の調和がとれたビールテイスト飲料とする観点から、ピログルタミン酸の含有量は、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは400質量ppm以下、更に好ましくは300質量ppm以下、より更に好ましくは200質量ppm以下である。
本明細書において、「ピログルタミン酸の含有量」は、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)有機酸分析システム(装置名:Prominence、株式会社島津製作所社製)等の分析装置を用いて測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール度数を調製するために、さらに、穀物に由来するスピリッツを含有してもよい。
ここで、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、麦芽又は必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。
ただし、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、良質な味わいを有し、ビールらしいビールテイスト飲料とする観点から、スピリッツを含有しないことが好ましい。
また、上記と同様の観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、ビールであることが好ましい。
本明細書において、「ビール」とは、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる飲料をいい、具体的には、平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達で定義されたものを意味する。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのような琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、又は、無色透明であってもよく、あるいは着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼でも判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは3.0〜4.5である。ビールテイスト飲料のpHが4.5以下であれば、微生物の発生を抑制でき、pHが2.0以上であれば飲料の香味が向上し易い。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲料が容器に詰められた態様であればよく、容器の例としては、例えば、ビン、ペットボトル、缶、又は樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
2.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、水及び麦芽であるが、ホップを用いることが好ましく、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料又は苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料等を用いてもよい。
また、ピログルタミン酸の含有量が、上述の範囲となるように、適宜、ピログルタミン酸を配合してもよい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、及びそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。
本発明の一態様で用いるホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
ホップの添加量としては、適宜調製されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.0001〜1質量%である。
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸又は酵素等で分解した市販の糖化液、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、及び酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース及びこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース等が挙げられる。
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリン又はポリデキストロースが好ましい。
ビールテイスト飲料において、苦味は、ホップ等によって付与することが好ましいが、さらに、苦味料又は苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料又は苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用いられるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びカテキン等が挙げられる。
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。
なお、ビールテイスト飲料は、アルコール発酵により生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。そのため、ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、ビール香料を別途添加する必要は特段無いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体的には、酢酸イソアミル、n−プロパノール、イソブタノール、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノデルタラクトン又はそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸又はそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酢酸又はそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、アルコール発酵で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表されるが、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的には、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm、4.5kg/cm、又は4.0kg/cmであり、下限は0.20kg/cm、0.50kg/cm、又は1.0kg/cmであり、これらの上限及び下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
2.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、及びペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
2.4 ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法としては、水および麦芽を含む原料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する方法であればよく、具体的には、下記工程(1)〜(2)を有する方法が挙げられる。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
なお、本発明の一態様において、良質な味わいを有し、ビールらしいビールテイスト飲料を製造する観点から、穀物に由来するスピリッツを添加する工程を有しないことが好ましい。
本発明の一態様において、ピログルタミン酸の含有量を上述の範囲に調整する工程を有することが好ましい。
当該工程は、工程(1)の糖化処理前の混合物もしくは糖化処理後の発酵原料液に対して行ってもよく、工程(2)の酵母を添加した、アルコール発酵前の発酵原料液もしくはアルコール発酵後の発酵液に対して行ってもよい。
また、ピログルタミン酸の含有量を調整する方法としては、ピログルタミン酸を直接配合する方法でもよいが、ピログルタミン酸を抽出し得る原材料を用いることで行ってもよい。また、ピログルタミン酸の含有量が多すぎる場合には、水を添加して調整してもよい。
また、得られるビールテイスト飲料の外観発酵度は、工程(1)の糖化処理、及び工程(2)のアルコール発酵の諸条件を、例えば、以下のように適宜調整することで所望の範囲に調整することができる。
<工程(1)>
工程(1)は、水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程である。
前記混合物は、麦芽比率が50質量%以上100質量%以下となるように調整される。
発酵原料液の調製方法としては、水及び麦芽等の原材料を仕込釜又は仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼ等の酵素を添加して混合物を調製した後、糖化処理して得る方法が挙げられる。その後、得られた発酵原料液は、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク等の固形分を取り除くことが好ましい。
また、糖化処理を供する混合物には、水及び麦芽以外に、ホップ、食物繊維、甘味料、酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素等を加えてもよい。
これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵後に加えてもよい。
本工程において、原材料を加えた前記混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させる。
糖化処理の温度及び時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水及び麦芽以外の原材料、使用する酵素の種類や量等によって適宜調整する。なお、本発明の一態様において、ビールテイスト飲料の外観発酵度を調整する観点から、糖化処理の温度は55〜75℃であり、糖化処理の時間は30〜240分であることが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で糖化処理して得られた発酵原料液に、酵母を添加し、アルコール発酵を行う工程である。この工程を経て、外観発酵度が100%以上であるビールテイスト飲料が得られる。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いてもよい。
酵母は、酵母懸濁液のまま原料液に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを原液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加してもよい。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×10cells/ml〜1×10cells/ml程度である。
アルコール発酵を行う際の発酵条件は、適宜設定することができるが、ビールテイスト飲料の外観発酵度を調整する観点から、発酵温度が5〜25℃であることが好ましい。また、ビールテイスト飲料の外観発酵度は、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素について種類、添加量及び添加のタイミングを適宜設定して調整することができ、また、必要に応じて、発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温又は降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
アルコール発酵後は、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。また、ピログルタミン酸の含有量を上述の範囲に調整する操作を行ってもよい。
このようにして得られたビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、ビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、上述のとおりである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
実施例1〜6、比較例1〜4
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽及び多糖分解酵素を、52℃で保持された温水40Lが入った仕込槽に投入した後、52℃で30分間保持し、続いて65℃で40分間、さらに76℃で5分間と段階的に温度を上げて保持して糖化液を調製した後、濾過して麦芽粕を除去し、麦汁を得た。得られた麦汁に、表1及び2に示す麦芽比率となるようにショ糖を添加し、さらにホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の麦汁を固液分離処理し、得られた清澄な麦汁を冷却し、酵母を添加して、発酵温度及び発酵時間、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素の添加量や添加のタイミングを調整して、得られる飲料が表1及び2に示す外観発酵度となるように調整し、発酵液を得た。そして、当該発酵液を濾過して、表1及び2に示す含有量となるようにピログルタミン酸を添加し、試験用飲料を得た。
<官能評価>
得られた飲料について、日頃から訓練を受けた5人のパネラーが、各飲料の「味わいの複雑さ」及び「爽快感」について、下記のスコア基準に基づき、5(最大値)〜1(最小値)の範囲で、0.1刻みのスコアにて評価し、5人のパネラーのスコアの平均値を算出した。結果を表1及び2に示す。
なお、評価に際しては、下記基準「5」、「4」、「3」、「2」及び「1」に適合するサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、表1及び2のいずれの官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
[味わいの複雑さのスコア基準]
・「5」:非常に良質な味わいの複雑さを感じる。
・「4」:良質な味わいの複雑さを感じる。
・「3」:味わいの複雑さを感じる。
・「2」:味わいの複雑さが少し感じられるが、単調に感じる。
・「1」:味わいが単調である。
[爽快感のスコア基準]
・「5」:非常に良好な爽快感がある。
・「4」:良好な爽快感がある。
・「3」:爽快感がある。
・「2」:刺激が弱く、爽快感があまり感じられない。
・「1」:刺激がほとんど感じられず、爽快感がない。
Figure 2020195318
Figure 2020195318
表1より、実施例1〜6で調製したビールは、味わいの複雑さ、及び爽快感のバランスに優れ、双方とも良好であった。一方で、表2より、比較例1〜4で調製した飲料は、味わいの複雑さ、もしくは爽快感が劣る結果となった。

Claims (4)

  1. 麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、
    外観発酵度が100%以上であり、
    ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上である、ビールテイスト飲料。
  2. 前記ビールテイスト飲料が、ビールである、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. 麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、外観発酵度が100%以上であり、ピログルタミン酸の含有量が35質量ppm以上であるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
    下記工程(1)〜(2)を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
    ・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
    ・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
  4. ピログルタミン酸の含有量を調整する工程を有する、請求項3に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
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