JPH0231630Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車の自動式多段変速装置の作業
媒体の圧力を調整するための装置であつて、変速
装置の入力軸及び出力軸のそのつどの回転数によ
つて変速比が規定される形式のものに関する。

従来の技術 自動車の自動式多段変速装置において、変速装
置の摩擦部材を操作するために使用される作業媒
体の圧力を自動車の種々異なる運転パラメータに
関連して調整することは公知である。一般にこの
圧力は機関負荷に関連してまた一時的には走行速
度にも関連して調整されるものであるが、さら
に、機関回転数つまり変速装置の駆動回転数に関
連して圧力が調整される装置も公知である。この
ような装置は例えばドイツ連邦共和国特許出願公
開第2843183号明細書に開示されている。

また、著しく高いコストを必要とするパラメー
タ、例えば出力軸トルクのパラメータに関連して
圧力を調整することも知られている。

考案が解決しようとする問題点 しかしながらこれらの公知の装置においては、
圧力を調整するために必要なパラメータの検出が
構造上非常に困難であるか、又は圧力を調整する
ために引き出されたパラメータは、ギヤシフトを
正確に特徴づけできず、また圧力を正確に調整で
きないという欠点がある。

問題点を解決するための手段 前記問題点を解決した本考案によれば(イ)作業液
体の圧力を調整するための調圧機と、(ロ)入力軸か
ら変速装置へ伝達される回転数を検出して入力軸
回転数信号を発信する入力軸回転数センサと、(ハ)
変速装置の出力軸回転数を検出して出力軸回転数
信号を発信する出力軸回転数センサと、(ニ)前記入
力軸回転数信号及び出力軸回転数信号に応答して
変速装置内の液体の圧力を連続的に変える圧力制
御手段と、(ホ)該圧力制御手段に接続されていて、
これを制御する時限回路手段とが設けられてお
り、(ヘ)該時限回路手段が、時間制御装置と、目標
値変速比の経時変化が記憶されている特性曲線記
憶装置とから成つており、(ト)前記圧力制御手段
が、所定の目標値変速比に応じて調圧機を制御
し、該調圧機がこれに基づいて、ギヤシフト操作
中に変速比を制御するようになつている。

効 果 本考案による装置は、使用された調整値に基づ
く「変速比」が全切換え制御特性を正確に特徴づ
けすることができるという利点を有している。さ
らに、この調整値は、簡単な構造の２つのセンサ
を使用することによつて検出することができるの
で、製造コストが安価であるという利点がある。
出力軸回転数を検出するために必要なセンサは非
常に簡単なものである。それというのは出力軸回
転数はギヤシフト過程中にほんのわずかに変化す
るだけだからである。さらに、使用された調整値
は、機関の運転状態、例えば回転数等には無関係
であるという利点を有している。

本考案の有利な実施態様によれば、すべての切
換え行程は２段階で調節されるようになつてお
り、まず制御段階で同期運転時点、つまり、先の
変速段に配属された摩擦部材が解除される時点ま
で圧力が制御され、次いで調製段階で所定の変速
比又は変速比の経時変化に従つて調整されるよう
になつている。

また段間の差を相応に調節することによつて、
あらかじめ与えられる目標値を特に簡単に形成す
ることが可能である。以上の利点以外に本考案に
よれば目標値をあらかじめ与えることが著しく容
易であるという利点がある。

実施例 次に図面に示した実施例について本考案の構成
を具体的に説明する。

第１図に示した回路図において、自動車の機関
１０にはトルク・コンバータ１１が後置されてい
るが、このトルク・コンバータ１１は必ずしも設
けなくてもよい。トルク・コンバータ１１は変速
装置１２に作用し、この変速装置１２自体は被駆
動部１３に接続されている。変速装置１２の入力
部及び出力部にはセンサ、すなわち入力軸回転数
センサ１４と出力軸回転数センサ１５とが配置さ
れている。変速装置１２を制御するために、一方
ではギヤ制御弁１６が用いられ、このギヤ制御弁
１６を介して、そのつど入れ替えようとする変速
段が操作され、他方、調圧機１７が変速装置１２
の摩擦部材を操作する際に有効な圧力Ｐを調整す
る。

ギヤ制御弁１６は通常の形式で変速装置制御ユ
ニツト１８によつて制御される。この変速装置制
御ユニツトには種々異なる運転パラメータ、例え
ば機関負荷、走行速度等が公知の形式で供給され
る。

調圧機１７の制御は本考案によれば切換スイツ
チ１９を介して制御ユニツト２０又は調整ユニツ
ト２１に関連して行われる。つまりこの切換えス
イツチ１９と制御ユニツト２０と調整ユニツト２
１とによつて圧力制御手段が形成されている。切
換えスイツチ１９は時間制御装置２２によつて操
作される。入力軸回転数センサ１４と、出力軸回
転数センサ１５とによつて得られる入力軸回転数
信号n_Tと出力軸回転数信号n_abとはコンピユータ
２３に導かれる。このコンピユータ２３のアウト
レツトの一方は時間制御装置２２に接続されてい
て、他方は調整ユニツト２１に接続されている。
調整ユニツト２１は特性曲線記憶装置２４と作用
接続しており、この特性曲線記憶装置２４は変速
装置制御ユニツト１８からの制御信号を受けと
る。この時間制御装置２２と特性曲線記憶装置２
４とによつて時限回路手段が形成されている。

次に第１図に示された装置の作用形式を第２図
及び第３図を用いて説明する。

本考案に基づく制御によれば、切換え行程は有
利には２段階、つまり、制御ユニツト２０による
制御段階Ｓと、調整ユニツト２１による調整段階
Ｒとの２段階で行われる。制御段階Ｓは、ギヤシ
フト信号の発信、つまりギヤシフト運動の始まり
から同期点が得られるまで継続する。この同期点
とは、切換えようとする変速段に配属された摩擦
部材が全トルクを受け取つて、先の変速段に配属
された摩擦部材若しくは所属の同期運転が解除さ
れる時点のことである。

多段変速装置の切換え時における同期点を確認
するための装置は例えばドイツ連邦共和国特許出
願公開第2913824号明細書により公知である。

この制御段階Ｓにおいて圧力Ｐは機関トルクに
適合させられる。この適合は比較的粗い許容誤差
で十分である。この場合、変速装置内で変速比の
変化を得るために、ギヤシフトの始めにおけるカ
ツプリングトルクは、切換えようとする新たなギ
ヤにおいて伝達されるトルクよりも大きくなけれ
ばならない。また、カツプリングトルクは、良好
なギヤシフト動作を得るために、先の変速段にお
けるトルクよりも著しく大きくてはいけない。こ
れによつて、段間の差Δiが例えば1.5である場合、
これの約40％が圧力のための許容範囲として提供
される。

制御段階Ｓにおける圧力制御は公知の形式で、
例えば脈動する電磁弁によつて得られる。この電
磁弁は有利には温度センサを介して変速装置のオ
イル温度に関連して調節される。

本考案によれば、時間制御装置２２と特性曲線
記憶装置２４とから成る時限回路が設けられてお
り、この時限回路はギヤシフト信号が発信されて
から所定の時間内で変速装置において同期点が得
られているかどうかを監視する。所定の時間内で
同期点が得られていない場合は、時間制御装置２
２は、同期点が得られるまで圧力Ｐが傾斜状に又
は別の所定の関数に従つて高められるように作用
する。タイムインターバルは、通常切換え過程時
に同期点がタイムインターバル終了時前に得られ
るように選択されていることはいうまでもない。
またタイムインターバルは変速装置のオイル温度
に関連して調節可能であることは明らかである。

前記同期点が得られると、第２図及び第３図で
明らかなように、変速比ｉの変化は調整ユニツト
２１を介して調整段階Ｒで調整される。本考案に
よれば変速比ｉの実際値は入力軸回転数センサ１
４と出力軸回転数センサ１５とを介して検出され
てコンピユータ２３に伝達される。特性曲線記憶
装置２４には変速比ｉの目標値i_spllの経時変化が
あらかじめインプツトされている。この変速比ｉ
の目標値の経時変化は各ギヤシフトのために種々
異なつているか、又は同一であつてよい。このよ
うな、すべてのギヤシフトに同一な目標値は例え
ば、段間の差がそれぞれ同一の大きさである場合
特に与えられる。

第２図に示された経時変化において、調整段階
Ｒには変速比ｉの目標値i_spllがあらかじめインプ
ツトされており、この目標値は例えば直線的な経
時変化を有している。変速装置１２内の圧力Ｐ
は、調整ユニツト２１及び切換えスイツチ１９並
びに調圧機１７を介して実際の変速比が目標値に
合致するように調整される。出力軸トルクM_abの
調節された経時変化は第２図下に示されている。
切換え過程の終了時近くにおいてトルクが低下す
るのを避けるために、変速比ｉの目標値の経時変
化は、第２図で１点鎖線で示されているように変
更してもよい。そうすると、全体でより緩やかな
ギヤシフトが形成される出力軸トルクM_abの段階
状の経時変化が得られる。

次に、例えばローギアからセカンドギアのシフ
ト時における本考案の調圧機１７による圧力の調
圧を具体的に説明する。

ローギアからセカンドギアへシフトされると、
第２図で鉛直方向に延びる破線で示した、調整段
階Ｒの開始時点から、セカンドギアのための変速
比の目標値（第２図の右側水平に延びる線）に追
従する、経時変化する新たな目標値が特性曲線記
憶装置２４から調整ユニツト２１の入力に供給さ
れ、それと同時に調整ユニツト２１に、第２図に
示された目標値変速比i_spllからずれている実際値
変速比i_istがコンピユータ２３から供給され、こ
れに応じて調圧機１７を介して、変速装置１２内
の圧力Ｐは、実際値変速比i_istが目標値変速比i_spll
に十分合致するように調節されるようになつてい
る。

もちろん、第２図による直線的な経時変化を変
化させて目標値のために、任意の第３図に示した
ような直線的でない関数をあらかじめインプツト
しておくことも可能である。変速比ｉの目標値の
直線的でない経時変化を介して、変速段切換え時
の衝撃に関連して又は開閉時間に関連して最適に
行われる出力軸トルクM_abの経時変化を得ること
ができる。もちろん特性曲線記憶装置２４に切換
えスイツチ２５を介して種々異なる目標値があら
かじめ与えられるので、運転者は切換えスイツチ
２５を調整することによつてスポーツカー向きの
走行形式又は快適な走行形式をあらかじめ選択す
ることができる。第３図において、直線で示した
経時変化は快適な走行形式を表わし一点鎖線で示
した経時変化は、快適性はより少ないが短い切換
え時間を有するスポーツカー向きの走行形式を表
わしている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による装置の１実施例の回路
図、第２図及び第３図は本考案による装置の２つ
の異なる作用形式をグラフで示した図である。 １０……機関、１１……トルク・コンバータ、
１２……変速装置、１３……被駆動部、１４……
入力軸回転数センサ、１５……出力軸回転数セン
サ、１６……ギヤ制御弁、１７……調圧機、１８
……変速装置制御ユニツト、１９……切換えスイ
ツチ、２０……制御ユニツト、２１……調整ユニ
ツト、２２……タイマー、２３……コンピユー
タ、２４……特性曲線記憶装置、２５……切換え
スイツチ、Ｓ……制御段階、Ｒ……調整段階、Ｐ
……圧力、M_ab……出力軸トルク、n_ab……出力
軸回転数信号、n_T……入力軸回転数信号、ｉ……
変速比、i_spll……目標値変速比、ｔ……時間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 自動車の自動式多段変速装置の作業媒体の圧
   力Ｐを調整するための装置であつて、変速装置
   １２の入力軸及び出力軸のそのつどの回転数に
   よつて変速比ｉが規定される形式のものにおい
   て、 (イ) 作業液体の圧力Ｐを調整するための調圧機
   １７と、 (ロ) 入力軸から変速装置１２へ伝達される回転
   数を検出して入力軸回転数信号n_Tを発信する
   入力軸回転数センサ１４と、 (ハ) 変速装置１２の出力軸回転数を検出して出
   力軸回転数信号n_abを発信する出力軸回転数
   センサ１５と、 (ニ) 前記入力軸回転数信号n_T及び出力軸回転数
   信号n_abに応答して変速装置１２内の液体の
   圧力Ｐを連続的に変える圧力制御手段１９，
   ２０，２１と、 (ホ) 該圧力制御手段１９，２０，２１に接続さ
   れていて、これを制御する時限回路手段２
   ２，２４とが設けられており、 (ヘ) 該時限回路手段が、時間制御装置２２と、
   目標値変速比i_spllの経時変化が記憶されてい
   る特性曲線記憶装置２４とから成つており、 (ト) 前記圧力制御手段１９，２０，２１が、所
   定の目標値変速比i_spllに応じて調圧機１７を
   制御し、該調圧機７がこれに基づいて、ギヤ
   シフト操作中に変速比ｉを制御する、 ことを特徴とする、自動式多段変速装置におい
   て作業媒体の圧力を調整するための装置。 ２ ギヤシフト開始時に、先の変速段に配属され
   た、変速装置１２の摩擦部材との摩擦接続が同
   期点において解除されるまで、圧力Ｐを制御段
   階Ｓで調整する手段と、次いで圧力Ｐを調整段
   階Ｒで変速比ｉの所定の目標値に調整する手段
   とが設けられている、実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の装置。 ３ 各ギヤの段間の幅が同一寸法であつて、すべ
   ての切換え行程が同一の経時変化関数に調整さ
   れるようになつている、実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の装置。 ４ ギヤシフト信号が発信されてから所定の時間
   内に同期運転が未だ得られない場合に、前記制
   御段階Ｓで圧力を高めて、制御段階Ｓと調整段
   階Ｒとの経時変化を調整する時間制御装置２２
   が設けられている、実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の装置。 ５ 特性曲線記憶装置２４に多数の経時変化関数
   がインプツトされている、実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の装置。