JPH0226996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、盛土の法面、または岩盤上に客土し
た客土面（以下、「法面」という）に敷設して表
土の安定および法面緑化に用いる法面保護用ネツ
トに関する。

［従来の技術］ 従来この種の法面保護材には魚網等がそのまま
適用されており、土壌の保持力は、網目の大小、
魚網を構成するロープの太さによつて定まり、土
壌保持力の大きいことが必要な場合には、魚網を
重ねて敷設するなどの方法がとられていた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしこの方法では、多数枚の魚網を必用と
し、又、施行手間も増大するので、いきおいコス
ト高となることが避けられなかつた。

本考案にかかる現状に鑑みてなされたもので、
土壌保持力の大きい法面保護用ネツトを得ること
を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案に係る法面保護用ネツトは、可撓性を有
するメインロープを結束してなるネツトと、この
ネツトのメインロープに取り付けられた細い糸
状、または線材もしくは薄板の成形部材よりなる
土壌保持部材とで構成されたものである。

［作用］ 可撓性を有するメインロープを結束したネツト
は、法面の凹凸に沿つて敷設される。土壌保持部
材は、実質的にメインロープを太く、かつ、網目
を小さくしたのと同様の土壌保持作用を呈するの
で、大きい土壌保持力を発揮する。特に岩盤法面
を緑化する場合、大きな効果が得られる。

［考案の実施例］ 第１図は本考案の一実施例の一部拡大斜視図
で、ネツト１は縦・横のメインロープ２に、土壌
保持部材を構成する多数本のバルキータイプの糸
の束３ａを副えて一定のたるみをもたせて結束し
たもので、このようなネツト１は、例えばメイン
ロープ２に塩化ビニールロープを用い、これにバ
ルキータイプのナイロン糸を束ねてポバール等の
水溶性の糊料で結着したものを副えてネツト状に
結束し、しかるのち80〜90℃で20〜80秒間加熱す
ることによつて両者の加熱収縮率の差からナイロ
ン糸にたるみを生じさせ、しかる後水洗して糊料
を除去し乾燥させることにより製造できる。

このように、メインロープ２にたるみをもたせ
たバルキータイプの糸の束３ａを保持させると、
バルキータイプの糸の束は結束部の中間で広が
り、ネツト１を盛土法面に敷設してその上に客土
すると、土壌がバルキータイプの糸の束３ａにか
らまつて保持されるので、ネツト１の土壌保持力
は大幅に向上する。

第２図は本考案の他の実施例の一部拡大斜視図
で、土壌保持部材に、カールさせたリボン糸の束
３ｂを適用したものである。このカールさせたリ
ボン状は、例えば塩化ビニール繊維製の不繊布
と、ナイロン繊維製の不繊布とを接着するか、又
はニードルパンチなどの方法で重ね合わせて接合
し、これを数mmないし数cmの幅に切断してリボン
状となし、軽くよりを入れたものを複数本束ねて
糊料で接着するか、またはそのまま塩化ビニール
製のメインロープ２に副えてネツト状に結束し、
しかるのち80℃〜90℃で20〜80秒間加熱すること
によりメインロープ２を収縮させるとともにリボ
ン状の糸も重ね合わせた布の収縮差によつて不規
則に大きくカールさせ、糊料を用いたときは水洗
除去することにより製造できる。

本実施例のネツト１は土壌保持部材がカールし
ているので嵩高となり、かつ伸縮性を有するので
土壌保持部材の土壌保持力がいつそう大きくなる
効果がある。

なお、多数本のバルキータイプの糸を束ねて糊
料で固定したものをメインロープに副えてネツト
状に結束し、しかるのち水洗して糊料を除去し、
乾燥させたネツトも、上記実施例と同様に嵩高で
あつて伸縮性を有するものとなり、上記実施例と
同様の効果を奏しうる。このバルキータイプの糸
の束を土壌保持材として用いると、メインロープ
を収縮させるための加熱工程を必ずしも必要とし
ない利点がある。

第３図は本考案の他の実施例の一部拡大斜視図
で、この例は土壌保持部材をバルキータイプの糸
の束３ａまたはカールさせたリボン糸の束３ｂを
適当な長さに切断したものをネツト１の結び目ま
たは中間のメインロープ２に結びつけたもので、
メインロープ２への結着方法は接着または金具ま
たは針金によるものなどが適用できる。

本実施例のネツトは、土壌保持部材の長さを網
目の大きさに近いものにすると、ほぼ全面を土壌
保持部材で覆うようにできるので、大きな土壌保
持力が得られる効果がある。

第４図ないし第６図はそれぞれ本考案の他の実
施例の一部拡大斜視図で、第４図の例は土壌保持
部材を線材をコイルスプリング状に巻回したもの
３ｃを、両端部および中間部でメインロープ２に
掛け止めるようにして装着したものである。

また第５図の例は、帯状の金属板、プラスチツ
ク板、厚紙などをヘリカル状に成形したもの３ｄ
を、メインロープ２に巻きつけるようにして取り
付けてヘリカル中心軸で保持されるよう構成した
ものである。

また第６図の例は、メインロープ２の結び目お
よびその中間に線材を円錐ばね状に成形したもの
３ｅを掛け止めて土壌保持部材としたものであ
る。

これらの実施例は、ネツト１に施行現場で土壌
保持部材３ｃ，３ｄ，３ｅを取りつけるもので、
土壌保持部材自体は剛性が大きく、客土作時等に
おいて変形することなく土壌内に埋設されるの
で、土壌保持力が極めて大きいという効果があ
る。

［考案の効果］ 本考案は以上説明したように、可撓性を有する
メインロープを結束してなるネツトと、このネツ
トのメインロープに取り付けられた細い糸状、ま
たは線材もしくは薄板の成形部材よりなる土壌保
持部材とで構成されたものであるから、盛土法面
に敷設した場合、岩盤法面に敷設して客土した場
合に大きな土壌保持機能を発揮し、法面緑化に大
きな効力を発揮する効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図はそれぞれ本考案の異なる
実施例の一部拡大斜視図である。 １……ネツト、２……メインロープ、３ａ〜３
ｅ……土壌保持部材。なお、各図中、同一符号は
それぞれ同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 可撓性を有するメインロープを結束してなる
   ネツトと、このネツトのメインロープに取り付
   けられた細い糸状、または線材もしくは薄板の
   成形部材よりなる土壌保持部材とを備えた法面
   保護用ネツト。 (2) 細い糸状の土壌保持部材は多数本の細い糸の
   束であつて所定長のたるみをもつてメインロー
   プと共にネツト状に結束されたものである実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の法面保護用ネ
   ツト。 (3) 細い糸状の土壌保持部材はメインロープと共
   にネツト状に結束されたバルキータイプの糸の
   束またはカールさせたリボン状の糸の束である
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の法面保護
   用ネツト。 (4) 細い糸状の土壌保持部材は一端がメインロー
   プに結束されているバルキータイプの糸の束ま
   たはカールさせたリボン状の糸の束である実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の法面保護用ネ
   ツト。 (5) 線材よりなる土壌保持部材は、コイルスプリ
   ング状に成形された線材であつて、メインロー
   プにそのコイル中心軸が挿通されて保持される
   ように装着されたものである実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の法面保護用ネツト。 (6) 線材よりなる土壌保持部材は、メインロープ
   に一端が結着されている円錐ばね状に成形され
   た線材である実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の法面保護用ネツト。 (7) 薄板の成形部材よりなる土壌保持部材は、ヘ
   リカル状に成形された薄板であつて、メインロ
   ープにそのヘリカル中心軸が挿通されて保持さ
   れるように装着されたものである実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の法面保護用ネツト。