JPH0224523B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えば自動車用の座席の背もたれの傾
度調節のための調節装置であつて、該背もたれが
その両側に有する各ヒンジ装置を介して座席と結
合されており、該ヒンジ装置がそれぞれ背もたれ
に配属されたヒンジレバーと座部に配属されたヒ
ンジレバーとを有し、この両ヒンジレバーが旋回
軸を介して互いに結合されており、更に両ヒンジ
レバーの相互位置を規定する伝動装置として形成
された調節兼固定装置が配設されており、該調節
兼固定装置が、前記旋回軸に支持された２つのく
さび状セグメントから成りかつ該旋回軸と協働す
る偏心体を有しており、該くさび状セグメントが
蓄圧部材によつて旋回軸に対して回転モーメント
伝達可能な接触位置に保たれている形式のものに
関する。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第3013304号明
細書で公知の座席背もたれ用調節装置は２つのヒ
ンジ装置から成り、座部と背もたれとの間で両座
席長手側に１つずつ配置されている。この場合、
各ヒンジ装置が１つの旋回軸を有し、該旋回軸を
介して１つのヒンジ装置の２つのヒンジレバーが
互いに回転結合されている。例えば背もたれと結
合された方のヒンジレバーが旋回軸の中心区分上
に支持され、そして例えば座部に結合された方の
ヒンジレバーが偏心体上に支承されてその外歯が
前者のヒンジレバーの内歯とかみ合い共同で所謂
偏心伝動装置を形成するようになつている。この
偏心体は、２つの互いにずらされた連行突起を有
しかつ旋回軸に回動不能に結合された１つの連行
円板と、この２つの連行突起の間に配置されかつ
１つの蓄力部材によつて相互に拡開可能な２つの
くさび状セグメントから成り、該くさび状セグメ
ントは一方で連行円板に圧着され、他方で偏心体
を取り囲むヒンジレバーの内孔に圧着されてい
る。この相互拡開可能なくさび状セグメントによ
つて、一方では各歯部がそして他方では各支承個
所が互いに遊びなしに緊定されている。旋回軸が
回転されて初めて、一方の連行突起を介してその
都度に隣接している方のくさび状セグメントが解
除方向で負荷され、それによつて調節運動を容易
化する遊びが形成される。両方の座席長手側に配
置された各ヒンジ装置の２つの旋回軸は公知方法
で、各旋回軸の非円形孔内に係合した伝達ロツド
によつて互いに結合されている。この場合伝達ロ
ツドと各ヒンジ装置の旋回軸との間の結合個所で
該伝達ロツド自体の弾性との関連で形成される遊
びに基づいて、また両方のヒンジ装置の偏心最高
点が正確に整合されないことに基づいて、前記公
知構造では背もたれ傾斜の調節移動時に、特に当
該の調節運動が伝達ロツドを介して継送されてく
るヒンジ装置において強い振動が発生する。この
ような強振動によつて座席調節作動時に、スムー
ズでない運動プロセス及び騒音が引起こされてし
まう。これは特に構造上比較的に堅いフレームを
有する背もたれの場合に不利に作用する。

本発明の課題は、冒頭に述べた形式の背もたれ
調節装置を改良して、前述の強振動に関する問題
を解決することである。

上記の課題は本発明によれば、前記旋回軸が、
両方のヒンジ装置を互いに結合する一貫した軸か
ら形成されており、該軸の各端部に前記の両ヒン
ジレバーがそれぞれ支承されており、その内の一
方のヒンジレバーが、軸両端部の切欠き内に支持
されたくさび状セグメントを取り囲んでいること
によつて解決された。本発明においては、両方の
ヒンジ装置のための一体的な旋回軸を形成する貫
通軸によつて既に、前記の製造技術的な理由から
各結合個所に生じる遊びが回避されており、何故
なら一体的な軸においてはそのような結合個所は
全くなく、また各切欠きがその高さ位置において
正確に一致されて各軸端部に形成可能であり、そ
れによつて両方のヒンジ装置の各偏心最高点も互
いに正確に整合可能だからである。また伝達ロツ
ドの独自のばね弾性による不利点は、軸を適切に
寸法設定することによつて十分に回避され得る。
これによつて背もたれ調節時の強振動の問題も解
決され、しかも同期的な調節運動が形成されてい
る。

また製造の簡易化と材料の経済的使用の目的と
のために本発明の１実施例によれば、前記軸が管
から成り、該管の両端部範囲にそれぞれ１つの切
欠きと該管内にそう入されたピンとが配設されて
おり、該ピンが各切欠きと共に、偏心体を形成す
るくさび状セグメントのためのスリツトを形成す
るようになつていると有利である。この場合、接
触位置におけるくさび状セグメントを拡開すべき
蓄圧部材が軸を取り囲むリングばねによつて形成
されており、該リングばねの内方へ曲げられた押
圧フインガが各くさび状セグメントの間の保持ノ
ツチに係合するようになつているとよい。

更にリングばねの拡開作用を常に維持するため
の本発明によれば、リングばねが、軸端部に固定
された鉢形板によつて位置確保されていると有利
である。

また押込みピンが管内で所定の軸線方向位置を
維持するために、該ピンがリング溝を有し、該リ
ング溝内に管の狭窄部分が押し込まれるようにな
つていると有利である。この場合更に組立て技術
上の理由から有利には、背もたれに結合されたそ
れぞれのヒンジレバーが軸上に直接に支承されて
おり、また座部に配属されたそれぞれのヒンジレ
バーが複数のくさび状セグメントから成る偏心体
を取り囲んでいるとよい。

次に図示の実施例につき本発明を説明する。

第１図に示されたように、背もたれ１０の両側
で該背もたれの各フレーム脚部１１がヒンジ装置
１２及び１３と固定結合されている。両方のヒン
ジ装置１２，１３はそれぞれ、背もたれのフレー
ム脚部１１と固定された旋回可能なヒンジレバー
１４と、図示されていない座部と結合された固定
的なヒンジレバー１５と調節装置１６とを有して
いる。

この調節装置１６は例えば固定的なヒンジレバ
ー１５から押抜き形成された外歯を備えた平歯車
１７を有し、該外歯が旋回可能なヒンジレバー１
４の、例えば同様に押抜きによつて形成された歯
環１８の内歯とかみ合つている。平歯車１７の歯
先円の直径は歯環１８の内歯の歯元円の直径より
も少なくとも１歯丈分だけ小さくなつている。従
つてこの両歯部の歯数は少なくとも１つだけは相
異なり、即ち歯環１８の歯数が平歯車１７の歯数
よりも大きい。この場合の調節装置の構造は、各
ヒンジ装置において背もたれと結合されたヒンジ
レバー１４の内歯がヒンジレバー１５の平歯車１
７の外歯上でかみ合いながらころがるように設計
されている。各ヒンジ装置が、内歯を備えた歯環
１８を有するヒンジレバー１４は、端部範囲を以
つて両ヒンジ装置を貫通している軸１９上に回転
可能に支承されている。この軸１９はほぼ１つの
管２０から成り、該管２０の各端部にはそれぞれ
１つのピン２１が押し込まれている。このピン２
１をそれぞれの管端部内で特に軸線方向で確保す
るために該ピン２１の、管２０の終端と整合すべ
き端面から少し距離を置いた所にリング溝２２が
設けられており、該リング溝２２内に管２０の、
狭窄部分２３として形成された壁部分がはめ込ま
れている。また軸１９の外側端部から僅かな距離
の所で管２０の両端部範囲内にそれぞれ、形と大
きさにおいて正確に一致した切欠き２４が形成さ
れており、該切欠２４は、管套壁部を展開した時
に方形している。この切欠き２４は管２０内に差
込まれたピン２１と協働することによつて軸１９
の両端部に、一定の周範囲に亘つて延びるスリツ
トを形成する。このスリツト内に２つのくさび状
セグメント２５，２６が係合し、該セグメントは
管２０の１部分と該管の内部に位置するピン２１
と共に１つの環状横断面を相補形成し、該横断面
合成部はそれぞれ軸１９上に１つの偏心体２７を
形成している。該偏心体の偏心率は歯環１８の歯
元円と平歯車１７の歯先円との寸法差の半分の値
に相応し、該偏心体上にはそれぞれヒンジレバー
１５の平歯車１７が支承されている。

偏心体２７の主要部分を形成するセグメントが
管２０内に配置されたピン２１を200゜以上の角度
で取り囲むことになるので、該セグメントは組立
て技術上の理由から２つのくさび状セグメント２
５，２６に分割されている。一方で製造誤差を受
容し他方で管２０の連行面２８へのくさび状セグ
メントの確実な当接を保証するために、くさび状
セグメント２５と２６の継ぎ目の範囲内に保持ノ
ツチ２９又は３０が形成されており、該保持ノツ
チ内に蓄力部材として作用すべきリングばね３３
の押圧フインガ３１，３２が係合している。この
状態で各リングばね３３は鉢形板３４又は３４′
によつて確保されており、つまみを有する方の座
部側にある鉢形板３４は、図示されていないハン
ドル車のための、ピン２１とねじ留めされた連行
円板３５によつて軸線方向位置で保持されてい
る。また反対側のヒンジ装置１３を有する方の座
部側では鉢形板３４′が軸１９の端面から突出し
ており、ピン２１のねじ穴３６内にねじ入れられ
たねじ３７を介して直接的に軸１９に固定されて
おり、これによつてヒンジ装置１３のリングばね
３３も軸線方向で位置確保されている。各ヒンジ
装置１２，１３の互いに旋回可能なヒンジレバー
１４，１５を軸線方向で協働せしめるためには公
知のように、例えばヒンジレバー１４にリベツト
継ぎされているヘツド付ピン３８が用いられてお
り、該ヘツド付ピン３８の縁範囲はもう一方のヒ
ンジレバー１５に上から係合している。

特に第１図と第３図から分るように軸１９が、
背もたれ１０の各フレーム脚部１１を互いに接続
するフレーム管部３９によつておおわれていると
よい。このフレーム管部３９は背もたれ１０のヒ
ンジ範囲内で強固な背もたれフレームを形成する
働きをする。

例えば図示されていないハンドル車の、軸１９
と回動不能に結合された連行円板３５を介して軸
１９に回動運動が導入されると、偏心体２７がヒ
ンジレバー１５に所属する平歯車１７の孔内でこ
ろがり運動し、この際に軸１９が当該の偏心体の
偏心程度に応じて偏心回転運動を行なう。このよ
ろめき（偏心）運動はヒンジレバー１４又は該ヒ
ンジレバーの歯環１８にも伝達され、その内歯が
平歯車１７の外歯上でかみ合いながらころがり運
動する。この場合、軸１９の１回転ごとに歯環１
８と平歯車１７との間のかみ合い個所も一巡し、
この一巡によつてヒンジレバー１４が１ピツチ分
回転される。両方のヒンジ装置１２，１３のため
の両方の偏心体２７が同じ軸１９上に配置されて
いるので、両方のヒンジ装置の同期的な回転運動
が可能となつている。

既に述べたように本発明は図示の例に限定され
るものではなく、更に種々の変化形及び他の実施
例が可能である。例えば偏心体が最大でも180゜の
外周面を有し管２０内のピン２１上に側方から差
し込み可能である場合には、２つのくさび状セグ
メントから成る偏心体２７の代りに唯１つの偏心
セグメントを用いることも可能である。そしてこ
の場合にはリングばね３３が不要となる。更に軸
１９を一体的に形成し、切欠き２４を例えばなら
いフライス加工又は類似のもの等によつて軸１９
に形成することも可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の１実施例を示すものであつて、
第１図は２つのヒンジ装置から成る調節装置を第
２図の−線による背もたれフレームの部分断
面と組合わせて示した図、第２図はヒンジ装置を
有する背もたれフレームを第１図の−線に沿
つた部分断面と組合わせて示した側面図、第３図
は軸のハンドル車側に設けられたヒンジ装置を第
１図の部分の拡大図として示した断面図、第４
図は両方のヒンジ装置を接続するための軸を第３
図の−線に沿つた横断面として偏心位置にお
いて示した図、第５図は第３図に示された軸端部
の分解斜視図である。 １０…背もたれ、１１…フレーム脚部、１２，
１３…ヒンジ装置、１４，１５…ヒンジレバー、
１６…調節装置、１７…平歯車、１８…歯環、１
９…軸、２０…管、２１…ピン、２２…リング
溝、２３…狭窄部分、２４…切欠き、２５，２６
…くさび状セグメント、２７…偏心体、２８…連
行面、２９，３０…保持ノツチ、３１，３２…押
圧フインガ、３３…リングばね、３４，３４′…
鉢形板、３５…連行円板、３６…ねじ穴、３７…
ねじ、３８…ヘツド付ピン、３９…フレーム管
部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 座席の背もたれの傾度調節のための調節装置
   であつて、該背もたれがその両側に有するヒンジ
   装置を介して座部と結合されており、該ヒンジ装
   置がそれぞれ、背もたれに配属されたヒンジレバ
   ーと座部に配属されたヒンジレバーとを有し、こ
   の両ヒンジレバーが旋回軸を介して互いに結合さ
   れており、更に両ヒンジレバーの相互位置を規定
   する偏心伝動装置として形成された調節兼固定装
   置が配設されており、該調節兼固定装置が、前記
   旋回軸に支持された２つのくさび状セグメントか
   ら成りかつ該旋回軸と協働する偏心体を有してお
   り、該くさび状セグメントが蓄圧部材によつて旋
   回軸に対して回転モーメント伝達可能な接触位置
   に保たれている形式のものにおいて、前記旋回軸
   が、両方のヒンジ装置１２，１３を互いに結合す
   る一貫した軸１９から形成されており、該軸１９
   の各端部に前記の両ヒンジレバー１４，１５がそ
   れぞれ支承されており、その内の一方のヒンジレ
   バー１５が、軸両端部の切欠き２４内に支持され
   たくさび状セグメント２５，２６を取り囲んでい
   ることを特徴とする、座席調節装置。 ２ 軸１９が管２０から成り、該管２０の両端部
   範囲にそれぞれ１つの切欠き２４と該管２０内に
   そう入されたピン２１とが配設されており、該ピ
   ン２１が各切欠き２４と共に、偏心体を形成する
   くさび状セグメント２５，２６のためのスリツト
   を形成している、特許請求の範囲第１項記載の調
   節装置。 ３ 接触位置におけるくさび状セグメント２５，
   ２６を拡開すべき蓄圧部材が軸１９を取り囲むリ
   ングばね３３によつて形成されており、該リング
   ばね３３の内方へ曲げられた押圧フインガ３１，
   ３２が各くさび状セグメント２５，２６の間の保
   持ノツチ２９，３０に係合するようになつてい
   る、特許請求の範囲第１項記載の調節装置。 ４ リングばね３３が、軸端部に固定された鉢形
   板３４，３４′によつて位置確保されている、特
   許請求の範囲第３項記載の調節装置。 ５ ピン２１がリング溝２２を有し、該リング溝
   ２２内に管２０の狭窄部分２３が押し込まれてい
   る、特許請求の範囲第２項記載の調節装置。 ６ 背もたれ１０に結合されたそれぞれのヒンジ
   レバー１４が軸１９上に直接に支承されており、
   また座部に配属されたそれぞれのヒンジレバー１
   ５が複数のくさび状セグメント２５，２６から成
   る偏心体を取り囲んでいる、特許請求の範囲第１
   項記載の調節装置。