JPH022170Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、走行車体に対して苗植装置を上下昇
降可能に装着して成る乗用型田植機において、苗
植装置におけるフロートが圃場面に接地するとき
の圧力、つまり接地圧を略一定に制御する定圧制
御装置に関するものであり、詳しく、走行車体に
苗植装置をロワーリンク及びトツプリンクを介し
て上下昇降自在に装着し、苗植装置を走行車体側
の昇降機構にて上下昇降するように構成して成る
乗用型田植機において、前記トツプリンクの走行
車体への枢着部を前後方向に適宜距離移動自在に
構成し、この枢着部の前後移動によつて前記昇降
機構を介して苗植装置を上げ又は下げにしてフロ
ートの接地圧を略一定に制御するに当り、トツプ
リンクの走行車体への枢着ピンを前後動自在にし
たことによる不都合、つまり、非田植作業時にお
いて苗植装置を大きく上昇したとき、トツプリン
クの走行車体への枢着部を前後動自在に構成した
ことによつて苗植装置が振れ動くこと、及び次に
苗植装置を下降に操作し難くなることを防止する
ものである。

以下本考案を前植式の乗用型田植機に適用した
場合の実施例の図面について説明すると、図にお
いて１は左右一対の前輪２と同じく左右一対の後
輪３とで支持された走行車体を示し、該走行車体
１の上面には、ステアリングギヤボツクス４付き
操向ハンドル５と座席６及びエンジン７が設けら
れ、走行車体１の前方には、植付機構８付き伝動
ケース９、フロート１０及び苗載台１１等からな
る苗植装置１２が、左右一対のロワーリンク１３
及び一本のトツプリンク１４にて上下昇降自在に
装着され、両ロワーリンク１３を走行車体１の前
部に設けたリフトアーム１５に長溝１７付き連杆
１６にて連結し、リフトアーム１５を単動式油圧
シリンダ１８にて上下回動することにより、苗植
装置１２を上下昇降動するように構成され、且
つ、前記油圧シリンダ１８への油圧回路１９中に
は、スプール２０が油圧シリンダ１８への油圧の
出入りをカツトする中立位置から上昇すれば、油
圧シリンダ１８の油圧を放出して苗植装置１２の
下降になり、中立位置から下降すれば油圧シリン
ダ１８に油圧を送つて苗植装置１２の上昇に切換
わるようにした３ポジシヨン切換弁２１が設けら
れている。

前記トツプリンク１４の走行車体１側の枢着ピ
ン２２を、走行車体１前部上面に取付くブラケツ
ト２３に穿設したピン孔２４に嵌挿するにおい
て、当該ピン孔２４を走行車体１の前後方向に延
びる長溝孔に形成し、前記ブラケツト２３には長
溝状ピン孔２４の下部にこれと平行にセンサー軸
２５を回動自在に軸支し、該センサー軸２５に基
端を固着したセンサーレバー２６の上端を前記ト
ツプリンク１４の枢着ピン２２に嵌合し、センサ
ー軸２５端にはレバー２７を固着する一方、前記
ブラケツト２３には、断面コ字状の支持体２３′
を立設し、この支持体２３′には前記枢着ピン２
２の後部上方に連動軸２８を平行に回転自在に軸
支し、該連動軸２８上に回転自在に被嵌の第１ブ
ツシユ２９から突出したレバー３０と前記センサ
ー軸２５のレバー２７とを、枢着ピン２２の後方
移動によつて第１ブツシユ２９が左回転し、枢着
ピン２２の前方移動によつて第１ブツシユ２９が
右回転するようにロツド３１を介して連結し、ま
た、前記油圧切換弁２１の近傍にピン３２を枢着
したベルクランクレバー３３の一端を切換弁２１
のスプール２０に係合する一方、他端を前記連動
軸２８から突出したレバー３４に、連動軸２８の
左回転によつてスプール２０が下降して切換弁２
１が苗植装置の上昇に切換わり、連動軸２８の右
回転によつてスプール２０が上昇して切換弁２１
が苗植装置の下降に切換わるようにロツド３５を
介して連動連結し、ベルクランクレバー３３と支
持体２３′との間には、切換弁２１のスプール２
０を上昇方向、つまり苗植装置の下降方向に付勢
する引張ばね３６を装架する。

前記連動軸２８の他端にはレバー３７付き第２
ブツシユ３３を回転自在に被嵌する一方、前記ス
テアリングギヤボツクス４の側面に取付くブラケ
ツト３９から突出した軸４０には、昇降操作レバ
ー４１の基端ボス４２を、昇降操作レバー４１が
走行車体１の前後方向に回動するように回転自在
に被嵌し、該昇降操作レバー４１の基端ボス４２
から突出したレバー４３と前記第２ブツシユ３８
のレバー３７とを、昇降操作レバー４１をを中立
位置Ｎから後方の上昇位置Ａに操作すると第２ブ
ツシユ３８が左回転し、前方の下降位置Ｄに操作
すると第２ブツシユ３８が右回転するようにロツ
ド４４を介して連結する。

また、前記連動軸２８上には第１ブツシユ２９
と第２ブツシユ３８との間に連動ブツシユ４５を
被嵌して連動軸２８に固着し、該連動ブツシユ４
５を第１ブツシユ２９及び第２ブツシユ３８に、
互に噛合するクラツチ爪２９′，４５′及び４５′，
３８にて関連するにおいて、第１ブツシユ２９の
クラツチ爪２９′と連動ブツシユ４５のクラツチ
爪４５′との間には、第１ブツシユ２９の左回転
のときその回転が連動軸２８に伝達するが、第１
ブツシユ２９の右回転のとき第１ブツシユ２９の
みが少し右回転したのちその回転が連動軸２８に
伝達するようにした適宜角度θ₁の遊び４６に設け
る一方、第２ブツシユ３８のクラツチ爪３８′と
連動ブツシユ４５のクラツチ爪４５″との間には、
第２ブツシユ３８の左回転のときその回転が連動
軸２８に伝達するが、第２ブツシユ３８の右回転
のとき第２ブツシユ３８のみが少し右回転したの
ちその回転が連動軸３８に伝達するようにした適
宜角度θ₂の遊び４７を設ける。

なお、前記昇降操作レバー４１のブラケツト３
９には、昇降操作レバー４１が中立位置Ｎにある
とき、下降位置Ｄにいかないように一時的に保持
し、昇降操作レバー４１を強い力で操作すれば下
降位置Ｄに位置できるようにした係止手段４８が
設けられている。また、前記第１ブツシユ２９か
ら突設したレバー４９と、前記支持体２３′から
前方向に突設したばねブラケツト５０との間に
は、第１ブツシユ２９を左回転する方向に付勢す
る引張ばね５１に設けられ、この引張ばね５１は
ねじ５２にて調節されるようになつている。

そして、前記トツプリンク１４の走行車体１側
の基端下面にはピン５３を固着する一方、前記ブ
ラケツト２３の前端を前方向に突出して該突出部
５４の前端面及び下端面に、苗植装置１２を大き
く上昇したとき前記トツプリンク１４のピン５３
が接当して、トツプリンク１４を走行車体１から
離れる方向つまり前方向に押圧移動させるように
したカム面５５を設けて成るものである。

この構成において、昇降操作レバー４１を下降
位置Ｄに操作すると、これに連動して第２ブツシ
ユ３８が遊び区間θ₂を右回転することにより、ベ
ルクランクレバー３３を介して切換弁２１に連動
する連動軸２８が引張ばね３６力によつて右方向
に追従回転するから、切換弁２１のスプール２０
は上昇して苗植装置の下降に切換わつて、苗植装
置１２は圃場５６に向つて下降される。

そして、苗植装置１２のフロート１０が圃場面
５６に接地すると、これまでトツプリンク１４に
引張力として作用していた苗植装置１２の重量は
圃場面５６に移行することにより、トツプリンク
１４の枢着ピン２２は、第１ブツシユ２９をその
ばね５１に抗して左回転しつつ長溝状ピン孔２４
の前端部から後方に移行することになり、枢着ピ
ン２２が長溝状ピン孔２４の中途部に位置する状
態になつた時点で、第１ブツシユ２９の左回転に
追従して連動軸２８がばね３６により左回転し
て、切換弁２１が中立位置になつて、苗植装置１
２の下降が停止することにより、フロート１０の
圃場面５６に対する所定の接地圧が得られる。

従つて、この状態で苗植装置１２を駆動しつつ
走行車体１を前進走行することにより所定の田植
作業ができるのである。

この田植作業中において、走行車体１が圃場面
５６より低くなる等して、フロート１０の接地圧
が増大すれば、トツプリンク１４の枢着ピン２２
が後方に移動し、これに係合するセンサーレバー
２６が後方（右方向）に回動することにより、第
１ブツシユ２９を介して連動軸２８が引張ばね３
６に抗して左回転して、切換弁２１のスプール２
０を下降するから、切換弁２１は苗植装置の上昇
に切換わつて、苗植装置１２はフロートの接地圧
が低くなるように上昇される。この上昇に伴つ
て、枢着ピン２２が最前方向に移動し、最初の中
途部の位置に戻つた時点で切換弁２１が中立位置
に切換わつて、苗植装置１２の上昇は停止する。
また、フロート１０の接地圧が低下すれば、トツ
プリンク１４の枢着ピン２２が前方向に移動し、
センサーレバー２６の前方（左方向）への回動に
連動して第１ブツシユ２９が右回動することによ
り、作動軸２８が引張ばね３６力によつて右回動
するから、切換弁２１は苗植装置の下降に切換わ
つて、苗植装置１２はフロートの接地圧が増大す
るように下降される。この下降に伴つて、枢着ピ
ン２２が後方向に移動し、最初の中途部の位置に
戻つた時点で切換弁２１が中立位置に切換わつ
て、苗植装置１２の下降は停止するのであつて、
これにより、フロートの圃場面に対する接地圧は
略一定に自動制御できるのである。

そして、圃場内での方向施回時又は路上走行等
の非田植作業時において、昇降操作レバー４１を
下げ位置Ｄから上昇位置Ａに操作すると、第２ブ
ツシユ３８を介して連動軸２８が引張ばね３８力
に抗して右回転して切換弁２１が苗植装置の上昇
に切換わるから、苗植装置１２は第１図に二点鎖
線で示すように圃場面から大きく上昇される。

このようにして苗植装置１２が圃場面から大き
く上昇すると、昇降レバー４１から手を放すこと
により、該昇降操作レバー４１はばね３６の付勢
によつて係止手段４８に接当する中立位置に戻
り、これによつて切換弁２１が中立位置に切換る
から、苗植装置１２の上昇は停止して、当該高さ
位置に保持される。

そして、このように苗植装置１２を大きく上昇
した状態では、トツプリンク１４に圧縮力が作用
してその枢着ピン２２が長溝状ピン孔２４を後方
向に移動するようになる。このとき、トツプリン
ク１４における５３及びブラケツト２３における
カム面５５が設けられていないときには、枢着ピ
ン２２が後方向に移動して、センサーレバー２６
が苗植装置の上げ位置となるので、次に昇降操作
レバー４１によつて切換弁２１を下げ位置に切換
えることが著しく困難になると共に、トツプリン
ク１４の枢着ピン２２が長溝孔２４に沿つて前方
向に動き得るので、苗植装置１２が振れ動くこと
になる。

これに対して、本考案は前記のようにトツプリ
ンク１４にはピン５３を設ける一方、ブラケツト
２３から前方向に突出した突出部５４には、苗植
装置１２を大きく上昇したとき前記トツプリンク
のピン５３が接当するカム面５５を設けたもの
で、苗植装置１２を大きく上昇した状態では、ト
ツプリンク１２はそのピン５３がカム面５５に接
当することにより前方向に押圧移動し、枢着ピン
２２が長溝ピン孔２４の前端に接当する下げ位置
になる。

従つて、次に昇降操作レバー４１によつて切換
弁２１を下げに切換えることが困難になることが
ないのであり、しかもトツプリンク１４はカム面
５５に接当するピン５３と、長溝ピン孔２４の前
端に接当する枢着ピン２２とによつて前後移動不
能に係止されるから、大きく上昇した苗植装置１
２の振れ動きを阻止できるのである。

なお、前記実施例は走行車体の前方に苗植装置
を配設した前植式の乗用型田植機に適用した場合
を示したが、本考案は、この前植式に限らず、走
行車体の後方に苗植装置を配設した後植式の乗用
型田植機にも同様に適用できうることはいうまで
もない、但し、後植式の場合には、トツプリンク
枢着部の前方向への移動によつて昇降機構が苗植
装置の上昇に切換わり、枢着部の後方向への移動
によつて昇降機構が苗植装置の下降に切換わるよ
うにする一方、苗植装置を大きく上昇したとき走
行車体側に設けたカム面によつてトツプリンクを
走行車体から離れる方向つまり後方向に押圧移動
するようにすれば良い。

以上の通り本考案によれば、走行車体に対して
苗植装置をロワーリンク及びトツプリンクを介し
て上下昇降自在に装着し、ロワーリンクを上下回
動する昇降機構にて苗植装置を上下昇降するよう
に構成して成る乗用型田植機において、前記トツ
プリンクの走行車体への枢着ピンを前後方向に移
動自在に構成し、この枢着ピンの前後動によつて
前記昇降機構を介して苗植装置を上げ又は下げに
してフロートの接地圧を略一定に制御するに当
り、非田植作業時において苗植装置を大きく上昇
したときにおける苗植装置の振れ動きを、走行車
体側に設けたカムよつて確実に阻止できるから、
苗植装置を大きく上昇した状態での走行がきわめ
て安全にできる一方、苗植装置を大きく上昇した
状態からの下降操作が容易にできる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は乗用型
田植機の側面図、第２図は第１図における要部の
一部切欠拡大図、第３図は第２図の−視断面
図、第４図は第２図の−視断面図、第５図は
第４図の−視断面図、第６図は第４図の−
視断面図である。 １……走行車体、２，３……車輪、１２……苗
植装置、１３……ロワーリンク、１４……トツプ
リンク、１５……リフトアーム、１８……油圧シ
リンダ、２１……油圧切換弁、２３……ブラケツ
ト、２２……枢着ピン、２４……長溝ピン孔、２
６……センサーレバー、２８……連動軸、２３…
…ブラケツト、５３……ピン、５４……突出部、
５５……カム面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪にて支持された走行車体に苗植装置をロワ
   ーリンク及びトツプリンクを介して上下昇降自在
   に装着し、前記苗植装置を走行車体における昇降
   機構にて上下昇降するように構成して成る乗用型
   田植機において、前記トツプリンクの走行車体へ
   の枢着部を適宜範囲内で前後方向に移動自在に構
   成し、トツプリンクを前記昇降機構に当該トツプ
   リンクの適宜範囲内での前後移動によつて昇降機
   構が上げ又は下げに切換わるように関連し、且つ
   走行車体には前記苗植装置を大きく上昇したと
   き、トツプリンクを走行車体から離れる方向に押
   圧移動するようにした手段を設けて成る乗用型田
   植機のフロート定圧制御装置。