JP4232318B2 - 苗移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、苗植付部を昇降可能に装備した苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
苗植付部を昇降制御する油圧切替バルブ、前植付部への回転動力を断続制御する植付クラッチを作動させるための操作具をモ−タ等のアクチュエ−タで駆動するようにし、苗植付部の昇降、植付クラッチの入り切りを手元の簡易操作レバ−でスイッチ操作できるようにしたものの開発が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
簡易操作レバ−による操作は、上記操作具の位置を検出する位置センサが故障したりする等、簡易操作レバ−の操作により前記操作具を作動させる制御系に異常が生じたときには、苗植付部の昇降や植付クラッチの入り切りが行えなくなるおそれがあり、植付作業を途中で中断しなければならず継続して行えなくなり、植付作業能率を低下させる要因となるおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明における課題解決のための具体的手段は、車体(1)の後部に昇降リンク機構(15)を介して苗植付部(7)を装着し、苗植付部(7)を昇降制御する油圧切替バルブ(17)を設け、苗植付部(7)への回転動力を断続制御する植付クラッチ(19)を設け、油圧切替バルブ(17)及び植付クラッチ(19)を作動させて上昇位置と固定位置と下降位置と植付位置の4段階の位置に操作する植付・昇降レバー(18)を設け、位置決め用のローラ(22)が嵌入するカム溝を4つ備える操作カム(21)を設け、該操作カム(21)が植付・昇降レバー(18)の回動軸(20)回りに一体回転して植付・昇降レバー(18)を前記4段階の位置に位置決めする構成とし、植付・昇降レバー(18)がスプリング(30)を介してアーム部に連動する構成とし、該アーム部を駆動する電動モータ(26)を設け、該電動モータ(26)を作動させる簡易操作レバ−(29)を設け、簡 易操作レバ−(29)を下げ方向に操作すると苗植付部(7)が所定の位置まで自動的に下降する通常モードと、簡易操作レバ−(29)を下げ方向に操作を継続している間電動モータ(26)を植付・昇降レバー(18)の下降位置の方向に駆動する非常手動モ−ドとに切替可能に構成し、苗植付部(7)の下降を規制する下降ロック装置(34)の回動式ノブ(36)を、ステップ(6)より下方で該ステップ(6)上面から上方に突出しない位置に配置したことを特徴とする苗移植機とする。
【0005】
【発明の効果】
従って、この発明によれば、簡易操作レバ−の操作モ−ドを、通常モ−ドと非常手動モ−ドとに切り替えができるようにしてあるので、非常手動モ−ドのときには、簡易操作レバ−を操作した時は操作している間電動モータを駆動することができる。そのため、非常手動モ−ドにより、苗植付部の昇降制御や植付クラッチの断続制御を行うことができ、簡易操作レバ−の操作により植付・昇降レバーを作動させる制御系に異常が生じても植付作業を途中で中断せずに行え、植付作業能率の低下を抑えることができる。しかも、植付・昇降レバーがスプリングを介してアーム部に連動する構成としたので、電動モータの電源が切れた状態で植付・昇降レバーを操作しても、スプリングが無理な操作力を吸収するので破損を招くことがない。更に、苗植付部の下降を規制する下降ロック装置の回動式ノブを、ステップより下方で該ステップ上面から上方に突出しない位置に配置したので、作業者がステップ上で苗植付部へ苗補給するとき、回動式ノブが邪魔にならずに行える。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、乗用田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部に操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置がステップ6上に設置され、車体後方部には昇降可能な苗植付部7が装備されている。操作ボックス4の後側に運転席8が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジン9が搭載されている。
【0007】
苗植付部7は、左右に往復動する苗載タンク10、1株分の苗を切取って土中に植込む植込杆を有する植付装置11、苗植付面を整地するフロ−ト12等からなる。走行ミッション装置は、エンジン9から入力された回転動力を左右前輪2,2及び左右後輪3,3に伝動するよう車体1の前側部でステップ6の下方に配置してミッションケ−ス13内に装備した構成としている。このミッションケ−ス13から苗植付部の入力伝動軸14を介して苗植付部7へ動力を伝達し、該苗植付部を作動するようになっている。
【0008】
また、苗植付部7は、車体1の後部に設けた昇降リンク機構15を介して装着され、油圧ポンプからの油圧により作動する油圧昇降シリンダ16の伸縮により上下に昇降可能に設けられている。尚、前記油圧昇降シリンダ16への油路の切替は車体1の後部に設けられた油圧切替バルブ17により行なうように構成している。
【0009】
運転部近くには操作具の一例である植付・昇降レバ−18が設けられ、前記油圧切替バルブ17を作動させることによる苗植付部7の昇降操作やミッションケ−ス13に設けられた植付クラッチ19を作動させることによる苗植付部7への駆動の断続(入切)操作が行なえるようになっている。即ち、植付・昇降レバ−18を前後方向に操作することにより回動軸20回りに該軸20と一体回転する操作カム21を回動する。該操作カム21には位置決め用のロ−ラ22が嵌入するカム溝が4つ設けられ、植付・昇降レバ−18はそれぞれ苗植付部7の「上昇」、「固定」、「下降」、及び「植付」の4段階に位置決めされる。なお、前記位置決め用ロ−ラ22は位置決め用揺動ア−ム23に取り付けられ、該揺動ア−ム23はスプリングにより操作カム21側に回動付勢されている。
【0010】
植付・昇降レバ−18の回動操作により、前記操作カム21と一体回動するカムア−ム部21aに取り付けた昇降操作連動機構24を介して油圧切替バルブ17を作動させるようになっている。また、植付・昇降レバ−18の回動操作により、前記操作カム21と一体回動するカムア−ム部21bに取り付けたクラッチ操作連動機構25を介して植付クラッチ19を断続制御するようになっている。
【0011】
前記回動軸20は、アクチュエ−タの一例である電動モ−タ26によって駆動するようにモ−タ26側のピニオンギヤ27と前記回動軸20側の扇形ギヤ28を介して連動連繋している。そして、このモ−タ26は、苗植付部の昇降制御及び植付クラッチの断続制御が行なえるように運転位置手元に設けた簡易操作レバ−となるフインガ−アップレバ−29によってスイッチ操作できる構成としている。
【0012】
尚、図4に示す実施例は、モ−タ26で油圧切替バルブ17を作動させる構成のものであるが、特に、モ−タによる作動よりも植付・昇降レバ−18による手動操作を優先させるものでは、該図4に示す如く、モ−タ26により駆動される扇形ギヤ28のア−ム部28aからスプリング30を介して植付・昇降レバ−18を作動させるように連動構成しておくと、エンジンOFFのとき、モ−タの電源が切れてレバ−を誤操作しても、スプリングが無理な操作力を吸収するので破損を招くことがない。
【0013】
次に、図5に示すブロック回路図について説明すると、制御部31の入力側には、フインガ−アップレバ−29、植付・昇降レバ−18のレバ−位置を検出するレバ−位置センサ(モ−タ位置センサ)32及び苗植付部の昇降位置を検出する昇降リンクセンサ33が設けられ、制御部の出力側にはモ−タ26が設けられている。即ち、制御部31により、植付・昇降レバ−位置センサ32からの入力に基づいて前記昇降リンクセンサ33からの入力値が制御目標値となるようモ−タ26を制御する構成である。
【0014】
苗植付部7が上昇状態でフインガ−アップレバ−29を下げ方向に操作するとモ−タ26は正回転駆動により苗植付部7を苗植付位置まで下降し、再度フインガ−アップレバ−29を下げ方向に操作すると苗植付部の植付クラッチを入りにして停止する。また、苗植付部7が下降状態(植付位置の状態)でフインガ−アップレバ−29を上げ方向に操作すると、モ−タは逆回転駆動により苗植付部の植付クラッチを切りにし、苗植付部を所定の非作業位置まで上昇させて停止する。
【0015】
図6のフロ−チャ−トで示すように、フインガ−アップレバ−29による操作モ−ドは、通常モ−ドと非常手動モ−ドとに切替可能に構成してある。そして、その切替は運転部近くに設けた切替スイッチ34によって切り替える構成である。
【0016】
通常モ−ドでは、例えば、苗植付部を苗植付作業位置に下降させる場合は、フインガ−アップレバ−29を単に下げの方向に操作するだけ(レバ−を中立に戻しても)で、苗植付部は所定の植付位置まで自動的に下降するが、非常手動モ−ドでは、下げ方向の操作を苗植付部が所定位置に下降するまで継続操作する必要がある。つまり、下げ方向の操作を継続している間、モ−タをその方向に駆動して苗植付部を下降させることにある。
【0017】
図7及び図8に示す実施例について説明する。苗植付部の下降ロック装置34をロックしたり解除したり操作するロック解除ア−ム35が上下揺動自在に枢着して設けられ、上端に回動式ノブ36を設けたネジ杆37の昇降により、ロック解除ア−ム35を揺動操作する構成である。ノブを左方向に回すと苗植付部7の下降が規制され、右方向に回すと前記下降の規制が解除されるようになっている。そして、このノブ36はステップ6上面から上方に突出しないよう開口部38より下方に位置させている。これにより、作業者がステップ6上で苗植付部7の苗載タンク10へ苗補給するとき、前記ノブ36が邪魔にならずに行える。
【0018】
苗植付作業時には、苗載タンク10に土付マット状苗を収納載置して車体1を走行し、苗植付部7を牽引しながら各部を回転駆動する。すると、苗植付部7は、下部のフロ−ト12で土壌表面に支持されて滑走されながら、左右往復移動する苗載タンク10から植付装置11の植込杆が一株分づつの苗を分割して土壌表面に植付けて行く。このようにして、一行程の走行で数条列の苗植付け作業が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】操作制御機構部の展開図
【図4】同上要部の斜視図
【図5】ブロック回路図
【図6】フロ−チャ−ト
【図7】田植機の一部の斜視図
【図8】同上要部の側断面図
【符号の説明】
1 車体 、 2 前輪
3 後輪 4 操作ボックス
5 ステアリングハンドル 6 ステップ
7 苗植付部 8 運転席
9 エンジン 10 苗載タンク
11 植付装置 12 フロ−ト
13 ミッションケ−ス 14 入力伝動軸
15 昇降リンク機構 16 油圧昇降シリンダ
17 油圧切替バルブ 18 植付・昇降レバ−
19 植付クラッチ 20 回動軸
21 操作カム 22 ロ−ラ
23 揺動ア−ム 24 昇降操作連動機構
25 クラッチ操作連動機構 26 モ−タ
27 ピニオンギヤ 28 扇形ギヤ
29 フィンガ−アップレバ− 30 スプリング
31 制御部 32 レバ−位置センサ
Claims (1)
- 車体(1)の後部に昇降リンク機構(15)を介して苗植付部(7)を装着し、苗植付部(7)を昇降制御する油圧切替バルブ(17)を設け、苗植付部(7)への回転動力を断続制御する植付クラッチ(19)を設け、油圧切替バルブ(17)及び植付クラッチ(19)を作動させて上昇位置と固定位置と下降位置と植付位置の4段階の位置に操作する植付・昇降レバー(18)を設け、位置決め用のローラ(22)が嵌入するカム溝を4つ備える操作カム(21)を設け、該操作カム(21)が植付・昇降レバー(18)の回動軸(20)回りに一体回転して植付・昇降レバー(18)を前記4段階の位置に位置決めする構成とし、植付・昇降レバー(18)がスプリング(30)を介してアーム部に連動する構成とし、該アーム部を駆動する電動モータ(26)を設け、該電動モータ(26)を作動させる簡易操作レバ−(29)を設け、簡易操作レバ−(29)を下げ方向に操作すると苗植付部(7)が所定の位置まで自動的に下降する通常モードと、簡易操作レバ−(29)を下げ方向に操作を継続している間電動モータ(26)を植付・昇降レバー(18)の下降位置の方向に駆動する非常手動モ−ドとに切替可能に構成し、苗植付部(7)の下降を規制する下降ロック装置(34)の回動式ノブ(36)を、ステップ(6)より下方で該ステップ(6)上面から上方に突出しない位置に配置したことを特徴とする苗移植機。
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