JPH0138944B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、トンネルの覆工或はカルバート構築
に使用する移動型枠装置に関するものである。

従来、トンネルのコンクリート覆工や各種カル
バートコンクリート等の施工においては、折畳み
可能な型枠を台車上に装備した移動型枠装置を使
用して作業の省力化、能率化を図るようにしてき
ているが、これまで使用されてきている装置は、
いずれも構造が複雑で重量が大であり、しかも操
作が煩雑である等多くの欠点を有していた。ま
た、装置の軽量化を図るために、型枠自体に走行
装置を設けて台車を省略した装置も開発されてき
たが、これも、装置の全体重量が軽減されたとい
うだけで、操作が面倒で熟練を要し作業能率が悪
いという欠点を有している。

本発明は、上記従来装置の欠点を改善し、構造
簡単で軽量であり、しかも操作が容易で作業能率
の極めて良好なトンネル或はカルバートの施工用
移動型枠装置を提供しようとするものである。

以下、本発明装置の実施例を図面を参照して説
明する。

第１図、第２図において、１はトンネルＡの床
面で、この床面上にはトンネルＡの長さ方向に沿
つて一対のガイドレール２，２が敷設され、この
レール２，２上には、左右に分割されて構成され
た一対の型枠体３，３を支持する走行脚車４，４
が車輪５，５を介して載置されている。

型枠体３はトンネルＡの所要覆工内面形状に適
合して形成され、例えば従来の一般的な構成のよ
うに、縦バタ６を所要間隔をおいて配置して、こ
れらを横バタ（図示を略す）で連結し、縦バタ６
の外面にせき板７を架設して構成されており、こ
れら一対の型枠体３，３は互にその頂部付近にお
いてピン８などにより回動自在に結合されてい
る。

走行脚車４は脚柱８に支脚９が油圧或はネジ式
等の昇降手段１０に昇降自在に設けられており、
支脚９の下端には横移動ジヤツキ１１が設けられ
ている。このジヤツキ１１は水平方向に配設した
ネジ杆１２を回動させることにより、そのネジ杆
１２に沿つてピン１３が横方向に移動調節される
ようになつており、このピン１３には車輪５がブ
ラケツト１４を介して装着されている。そして、
走行脚車４は、各型枠３，３の下部に、上下に所
要の間隔をおいてピン１５，１６により枢着され
た一対の支持アーム１７，１８の各先端部が、支
持アーム１７，１８を平行状態としてピン１９，
２０により枢着されており、型枠３と支持アーム
１７，１８と脚柱８とはリンク機構をなしてい
る。更に、走行脚車４は、支持アーム１７，１８
がその先端側を上方に向けた傾斜状態にされてお
り、そして、支持アーム１７，１８の傾斜角度を
適宜変更できる調節手段が設けられている。すな
わち、型枠体３の中間部には伸縮部材２１の基端
部が枢着２２され、伸縮部材２１はその先端側を
下方に向けて傾斜させ、その先端部を脚柱８の上
端部に枢着２３させている。したがつて、伸縮部
材２１を伸縮させることにより、型枠体３と走行
脚車４とは支持アーム１７，１８を仲介として、
上下方向に相対移動されると共に、相互間隔も調
節されることになる。

そして、前記の走行脚車４，４はそれぞれ各型
枠体３，３の前、後部その他適宜な位置に装着さ
れるのである。

次に、前記本発明移動型枠装置による施工態様
について説明すると、まず第１図のように型枠装
置を車輪を介してガイドレール２，２上に載せて
移動し所要の位置に固定する。そして、伸縮部材
２１または横移動ジヤツキ１１或はその両者を操
作して型枠体３，３を走行脚車４に対して横断方
向に移動調節して、横断方向の位置決めを行うと
共に、昇降手段１０を操作して型枠体３，３を上
昇させて所定の高さに位置決めする。型枠体３，
３が所定の位置に設定されれば、型枠体３，３の
下端に補助型枠２４，２４をセツトし、型枠体
３，３の外側にコンクリートＢ（第２図）を打設
する。

コンクリートＢの硬化後は、型枠体３，３を内
方に移動して脱型すると共に縮型して次の施工位
置に走行移動させるのであるが、それには、第２
図のように、まず、補助型枠２６，２６を取外
し、次いで伸縮部材２１，２１を短縮してやれ
ば、型枠体３，３は走行脚車４，４の方に僅かに
近寄ると共に下降することになり、型枠体３，３
は全体的にコンクリートＢより離れ、脱型される
ことになる。この場合、もし伸縮部材２１を操作
しないで横移動ジヤツキ１１だけを操作するとす
れば、型枠体３，３の頂部が上方に突き上ること
になつて、硬化したコンクリートＢがその動きを
さまたげることになるので、横移動ジヤツキ１１
の操作と同時に昇降手段１０を操作して型枠体
３，３を下げねばならない。このように２種の部
分を同時に操作するということは、現場において
予想以上にむずかしいことなのである。したがつ
て、型枠体３と走行脚車４とを支持アーム１７，
１８で連結し、支持アーム１７，１８の傾斜角度
を調節自在とし、それによつて型枠体３と走行脚
車４とを相対的に上下方向および横断方向に同時
に移動できるようにしたことは、型枠体３，３の
初期の脱型作業をスムーズに行うために極めて重
要なことなのである。

そして、脱型後の型枠装置の移動にあたつて
は、昇降手段１０を更に操作して型枠体３，３の
コンクリートＢよりの離反を大きくすると共に、
横移動ジヤツキ１１を更に操作して型枠体３，３
を一層内側に寄せて型枠装置を大きく縮型する。
それによつて型枠装置の走行移動はスムーズに行
われることになる。

次の施工位置において型枠体３，３の位置決め
を行うには、さきの縮型、脱型の逆の操作、すな
わち、横移動ジヤツキ１１と昇降手段１２および
伸縮部材２１の操作を行えばよいが、しかし、レ
ール２，２は一般的に正確な位置に施設されるの
が困難で、特に横方向への狂いがおこり易いもの
であり、このような横方向の狂いに対しては型枠
体３，３の全体的な巾寄せを行うものであるか
ら、それに対しては横断方向のみに型枠体３，３
の移動調節ができる横移動ジヤツキ１１，１１を
操作することにより簡易な調節を行うことができ
るのである。

第３図および第４図は本発明装置における支持
アームの傾斜角度調節機構の他の実施例を示した
もので、第３図の実施例のものは、伸縮部材２１
の一端を上部支持アーム１７のピン１５の個所に
枢着し、他端を下部支持アーム１８の中間部にピ
ン２５により枢着したものである。また、第４図
の実施例のものは、脚柱８の中間部にブラケツト
２６を突設させると共に、上部支持アーム１７を
枢着ピン１９より外方に突出させて延長部２７を
形成し、伸縮部材２１は延長部２７とブラケツト
２６とに枢着２８，２９して取付けられている。
これらいずれの実施例のものも、伸縮部材２１を
操作すれば、第２図の実施例の場合と同様の作用
が行われる。

以上説明したように、本発明型枠装置は、互に
頂部付近で回動自在に連結した型枠体の各内側下
部に、車輪が型枠の横断方向に移動調節自在に取
付けられた支脚を昇降調節自在に設けてなる走行
脚車を、上下一対の支持アームを介して斜め上下
方向に移動調節自在に装着したので、型枠体の高
低の調節と横方向への移動調節と、コンクリート
からの剥離とがそれぞれ個別の操作で行い得るこ
とになり、型枠体の複雑な位置決めおよび脱型、
縮型作業が極めて簡易にでき、熟練作業者を必要
としないばかりでなく、作業人員も少なくてす
み、省力的で高能率の施工ができる。また、構造
が極めて簡単で軽量、安価に製作することがで
き、トンネルやカルバート用移動型枠として多く
の優れた効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による装置をトンネ
ルの施工に適用して整型した状態を示した平面
図、第２図は同じく脱型した状態を示した正面
図、第３図および第４図はそれぞれ本発明装置に
おける支持アームの傾斜角度調節機構の他の実施
例を示した正面図である。 Ａ……トンネル、Ｂ……コンクリート、１……
床面、２……レール、３……型枠体、４……走行
脚車、５……車輪、６……縦バタ、７……せき
板、８……連結ピン、９……支脚、１０……昇降
手段、１１……横移動ジヤツキ、１７，１８……
支持アーム、２１……伸縮部材、２４……補助型
枠。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 互に頂部付近で回動自在に連結した型枠体の
   各内側下部に、内方に向けて上下一対の支持アー
   ムを枢着し、該支持アームの先端には、車輪が型
   枠の横断方向に移動調節自在に取付けられた支脚
   を昇降調節自在に設けてなる走行脚車を、前記支
   持アームの先端側を上方に向け平行に傾斜させた
   状態にして枢着すると共に、該支持アームの傾斜
   角度を調節する手段を設けたことを特徴とする、
   トンネル或はカルバート用移動内型枠装置。