JPH0133438B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高所での作業のために作業員或いは
資材を持ち上げたり、不用部材を高所から降ろし
たりするために用いる昇降装置に関し、特に、従
来の昇降装置よりも高い位置に作業台を持ち上げ
ることができる高所昇降装置に関する。

〔従来の技術〕

従来から建築現場での資材積み上げ、積み下ろ
し、高速道路、街灯等の点検、修理のため昇降装
置が数多く用いられている。

この昇降装置ではブーム式とシザース式とが多
く用いられている。このブーム式では複数のブー
ムを竹の子状に組み合わせた多段ブームを用いる
ものであり、シザース式ではＸ字形に回動できる
リンク素子を上下に連結したパンタグラフ状のも
のである。

このブーム式では多段になつたブームの数を増
やすことにより、より高い位置に作業台（バケツ
ト）を移動させることができる反面、ブームの段
数を多くしてブーム体の長さを長くすると、その
自重でブームが曲げられてしまうことが多く、ま
た、重い物を持ち上げられない欠点があつた。ま
た、シザース式では重量物を持ち上げることがで
きる反面、より高い位置に作業台を持ち上げよう
とするとパンタグラフを構成するリンクの段数を
多くしなければならず、関節点が多くなつて作業
台が揺れ易くなり、パンタグラフを折り畳んだ場
合に地表から作業台までの高さが高くなる欠点が
あつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は上述の欠点に鑑み、ブーム式とシザー
ス式の両欠点を解消し、重量物をより高い位置に
まで持ち上げて、高い位置での建築作業、点検作
業を可能とする高所昇降装置を提供するものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、移動できる車体と、複数のブームを
テレスコピツク状に組み合わせて多段に伸縮でき
る一対のブーム体と、車体上方で上下に昇降でき
る作業台とから成り、一方のブーム体の基部を車
体上面の一方の端に軸支させるとともにそのブー
ム体の先端の段のブームの先端を作業台の下面の
他方の端に軸支させ、他方のブーム体の基部を車
体上面の他方の端に軸支させるとともにそのブー
ム体の先端の段のブームの先端を作業台の下面の
一方の端に軸支させ、両ブーム体をＸ字形となる
ように交差させた構成の高所昇降装置において、
一方のブーム体の中間の段のブームに回転自在に
連結するためのホルダーを設け、他方のブーム体
の中間の段のブームにこのホルダーと着脱自在に
係合するクランプ機構と設けたことを特徴とする
高所昇降装置提供するものである。

〔作用〕

本発明では、一対のブーム体が交差するように
して車体と作業台の間にＸ字形に配置され、両ブ
ーム体が伸びることで作業台が上方に持ち上げら
れる。そして、両ブーム体が或る程度伸長すると
一方のブーム体に取りつけたホルダーに他方のブ
ーム体に取りつけたクランプ機構が係合し、両者
を回動自在に結合する。このため、両ブーム体は
共に協同して伸長するので、作業台は安定して持
ち上げられることになる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。

図中の符号１は車体であり、この車体１の下部
両側前後にはそれぞれ車輪２，３が軸支してあ
り、両車輪２，３間には無限軌道としてのキヤタ
ピラ４が巻き廻してある。

この車体１の前後端部上面の一方と他方の四隅
には軸支片５〜８が固着してあり、軸支片５には
ブーム体９の基部下面に固着した軸支片１３が、
軸支片６にはブーム１０の基部下面に固着した軸
支片１４が、軸支片７にはブーム体１１の基部下
面に固着した軸支片１５が、軸支片８にはブーム
１２の基部下面に固着した軸支片１６が、それぞ
れピンによつて回動自在に連結してある。従つ
て、ブーム体９，１２はブーム体１０，１１に対
向して回動することができ、両ブーム体９と１
２、１０と１１の先端はそれぞれ反対位置にあ
る。

各ブーム体９〜１２の先端（第４番目のブー
ム）上面にはそれぞれ軸支片１７〜２０が固着し
てあり、作業員、資材等が搭乗する作業台２５の
下面四隅に固着した軸支片２１〜２４とそれぞれ
ピンにより回動自在に連結してある。これにより
車体１と作業台２５とはブーム体９〜１２によつ
てＸ字形に連結されており、作業台２５上面の周
囲には手すり２６が固着してある。そして、車体
１の中央には垂直に上下動するキツク機構２７が
設けてあるとともに、このキツク機構２７に隣設
してエンジン等を含む油圧発生機構２８が設けて
ある。

次に、前記ブーム体９〜１２の内部の構成を詳
しく説明すると、各ブーム体９〜１２はそれぞれ
第１段のブーム３１〜３４、第２段のブーム３５
〜３８、第３段のブーム３９〜４２、第４段のブ
ーム４３〜４６とから成り、第１段のブーム３１
〜３４に第２段のブーム３５〜３８が、第２段の
ブーム３５〜３８に第３段のブーム３９〜４２
が、第３段のブーム３９〜４２に第４段のブーム
４３〜４６がそれぞれ摺動自在に挿通してあり、
各ブーム３１〜４６は薄肉鋼板を折り曲げた内部
中空の四角形状をしている。第１段のブーム３２
と３３の先端の間には連接杆４７が固着してあ
り、第２段のブーム３６と３７の先端の間には連
接杆４８が固着してあり、第３段のブーム４０と
４１の先端の間には連接杆４９が固着してある。
各連接杆４７，４８，４９はブーム３２，３３，
３６，３７，４０，４１の軸線と直角になるよう
に配置させてあり、これによりブーム体１０，１
１は梯子状に形成されている。このブーム３６，
３７の上端外側にはややプーリ形状の外周を持つ
ホルダー５０，５１が固着してあり、ブーム３
５，３８の上端内側にはこのホルダー５０，５１
と着脱自在に係合することができるクランプ機構
５２，５３が固着してある。

第５図は前述のブーム体９〜１２の内部構成を
示すもので、ブーム体９を側面から切断した断面
を示しており、他の各ブーム体１０〜１２も同一
の構成である。

各ブーム３５，３９，４３の下端にはそれぞれ
コロ５４〜５９が軸支してあり、コロ５４，５５
はブーム体３１の内周壁に接触させてあり、コロ
５６，５７はブーム３５の内周壁に接触させてあ
り、コロ５８，５９はブーム３９の内周壁に接触
させてある。また、ブーム３１，３５，３９の先
端下方にはそれぞれローラー６０，６１，６２が
軸支してあり、ローラー６０はブーム３５の外側
に接触させてあり、ローラー６１はブーム３９の
外側に接触させてあり、ローラー６２はブーム４
３の外側に接触させてある。また、ブーム３５の
先端にあるローラー６１に接近して小さいローラ
ー６３が軸支してあり、両ローラー６１，６３に
はチエーン６４が巻き廻してあり、このチエーン
６４の一端はブーム３９の下端に固着してある取
付具６６に連結してあり、その他端はブーム３１
の先端に固着してある取付具６５に連結してあ
る。そして、コロ５５にはチエーン６７が巻き廻
してあり、チエーン６７の両端にはそれぞれ取付
具６５，６６が連結してある。このブーム４３内
には一対の油圧シリンダ６８，６９が平行になる
ように挿入してあり、油圧シリンダ６８の本体は
ピン７０によりブーム４３に連結してあり、油圧
シリンダ６８のロツド７１はピン７２によりブー
ム３９に連結してある。さらに、油圧シリンダ６
９の本体はピン７３によりブーム３５に連結して
あり、油圧シリンダ６９のロツド７４はピン７５
によりブーム３１に連結してある。

次に、第６図、第７図は前述のホルダー５０，
５１とクランプ機構５２，５３の構成を詳しく説
明するものである。

ホルダー５０は、ブーム３７の側面に固着され
た支柱７６と、この支柱７６によつて回転自在に
軸支された円筒形の摺動環７７とから構成されて
いる。この摺動環７７の外周には断面Ｕ字形をし
た係合溝７８が形成してあり、支柱７６に摺動環
７７を挿通した後で支柱７６の端面には脱落防止
用の止め板７９が密着させてあり、止め板７９は
ボルト８０によつて支柱７６に固定してある。

また、前記ブーム３８の側面には取付板８１が
固着してあり、取付板８１には半円形状をしてい
てその内周壁が断面Ｖ字形に突起した連合金具８
２が固定してあり、取付板８１、連合金具８２は
ボルト８３，８４によつてブーム３８に固着して
ある。この連合金具８２の外周には二つの保持金
具８５と８９が固着してあり、保持金具８５には
ピン８７によつて油圧シリンダ８６の基部が回動
自在に連結してあり、保持金具８９にはピン９０
によつて作動体９１が回動自在に連結してある。
この油圧シリンダ８６には油圧により伸縮するシ
リンダロツド８８があり、シリンダロツド８８の
先端は作動体９１にピン９２で連結してあり、作
動体９１には半円形状をした鎌金具９３が固着し
てあり、鎌金具９３の内周壁には断面Ｖ字形に突
起させてある。

次に、本実施例の作用を第８図の説明図ととも
に説明する。

本実施例の高所昇降装置を畳み込んで、車体１
を移動させたりする際の状態は第８図中イの状態
となる。この第８図中イの状態より全ブーム体９
〜１２を伸張させ、作業台２５を最下位置より上
方に上昇させる場合にはエンジンを始動して油圧
発生機構２８より発生した油圧を各部の油圧シリ
ンダに供給させる。

発生した油圧は、まずキツク機構２７と油圧シ
リンダ６８に伝えられ、キツク機構２７のキツク
ピン９４を上方に押し上げて作業台２５を初期持
ち上げの動作により上昇させる。同時に油圧シリ
ンダ６８のシリンダロツド７１が伸びてブーム４
３〜４６をブーム３９〜４２より引出し、軸支片
１３〜１６と軸支片１７〜２０の間隔を長くさせ
るように作動させ、ブーム４３〜４６をそれぞれ
軸支片１３〜１６をそれらの回転の中心となるよ
うに回動させる。これによりブーム体９〜１２と
ブーム体１０，１１はそれぞれ反対方向に扇状に
回動して斜めに俯抑され、作業台２５を上昇させ
ながら保持することになる（第８図中ロ参照）。

前述の油圧シリンダ６８が伸び切つてしまうと
ブーム４３〜４６はブーム３９〜４２より最大伸
張した位置となり、第２段目のブーム３５〜３８
の先端部同士が接近して第８図中ロで示す様に同
一直線上に並び、Ｘ字形となる。このため、ブー
ム３６，３７に固着したホルダー５０，５１の摺
動環７７は連合金具８２の半円弧状の開口に入り
込み、摺動環７７の係合溝７８に連結金具８２が
噛み合うことになる。この後、油圧シリンダ８６
を作動させてシリンダロツド８８を押出し、ピン
９０を中心にして作動体９１、鎌金具９３を第７
図中時計方向に回転させ、鎌金具９３を連結金具
８２に接近させて両者の半円弧状の形状により摺
動環７７を挟持することで、ホルダー５０，５１
とクランプ機構５２，５３は連結される。この動
作により、ブーム３５，３６、ブーム３７，３８
とはそれぞれの中央を回転の中心として回動自在
に連結され、ブーム体９と１０、ブーム体１１と
１２とはそれぞれ側面からみてＸ字形に組み合わ
されることになる。

次いで、油圧シリンダ６９を作動させてシリン
ダロツド７４を伸張させると各ブーム３５〜３８
はブーム３１〜３４より押し出されることにな
り、ブーム３５〜３８がブーム３１〜３４から摺
動される際にはローラー６１がチエーン６４を引
き上げてチエーン６１の端部に固着してあるブー
ム３９〜４２をブーム３５〜３８より引き出すこ
とになり、油圧シリンダ６９の作用により３種の
ブーム３１〜３４、ブーム３５〜３８、ブーム３
９〜４２が同時に摺動することになる。このブー
ム３５〜４２の伸張量は同期しており、ブーム３
５〜３８に対してブーム３１〜３４とブーム３９
〜４２がそれぞれ伸張する量は同一となり、ホル
ダー５０，５１を中心として上下対称に伸張する
ことになり、各ブーム体９〜１２はそれぞれ上下
が相似対称形にＸ字形に伸張して作業台２５をよ
り高い位置に持ち上げる。

第８図中ハの状態が各ブーム体９〜１２が最大
限に伸張させて、作業台２５を最高高さの位置に
上昇させた状態を示すものである。

作業台２５を下降させるのは前述とは逆の手順
により行い、第８図中ハ→ロ→イの様に降下させ
る。

〔発明の効果〕

本発明は上述の様に構成したので、従来のシザ
ース式の昇降装置に比べ、折り畳んだ状態での地
表から作業台までの高さを低くでき、反面、従来
の構造に比べて作業台を高い位置にまで上昇させ
ることができる。また、作業台はＸ字形になつた
一対のブーム体で支持されるので、従来のブーム
式の昇降装置に比べて作業台を安定させることが
でき、しかも重量物を持ち上げることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す側面図、第２
図は同上の正面図、第３図は作業台を最高高さ位
置まで持ち上げた状態を示す正面図、第４図はク
ランプ機構付近を示す拡大斜視図、第５図はブー
ム体内の構成を示す側断面図、第６図はホルダー
とクランプ機構の断面図、第７図はクランプ機構
の平面図、第８図は作動順序を示す説明図であ
る。 １……車体、９〜１２……ブーム体、２５……
作業台、５０，５１……ホルダー、５２，５３…
…クランプ機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 移動できる車体と、複数のブームをテレスコ
   ピツク状に組み合わせて多段に伸縮できる一対の
   ブーム体と、車体上方で上下に昇降できる作業台
   とから成り、一方のブーム体の基部を車体上面の
   一方の端に軸支させるとともにそのブーム体の先
   端の段のブームの先端を作業台の下面の他方の端
   に軸支させ、他方のブーム体の基部を車体上面の
   他方の端に軸支させるとともにそのブーム体の先
   端の段のブームの先端を作業台の下面の一方の端
   に軸支させ、両ブーム体をＸ字形となるように交
   差させた構成の高所昇降装置において、一方のブ
   ーム体の中間の段のブームに回転自在に連結する
   ためのホルダーを設け、他方のブーム体の中間の
   段のブームにこのホルダーと着脱自在に係合する
   クランプ機構と設けたことを特徴とする高所昇降
   装置。