JPH0117647Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイーゼルエンジンのノズルスリーブ
に係り、特にシリンダヘツドへのかしめに際し、
シリンダヘツド下面に変形が生ずるのを防止して
強力なかしめを可能としたノズルスリーブに関す
る。

従来、デイーゼルエンジンのノズルスリーブ１
は、第１図に示すように、本体１ａ、シリンダヘ
ツド３かしめ用ねじ部３ａに圧接される部分１ｂ
及び該部分を除く先端部１ｃとから構成されてお
り、部分１ｂ、先端部１ｃの両方が各々等径に形
成されていた。このため、かしめ工具２によりノ
ズルスリーブ１の内部からこれを拡開してかしめ
る強力なかしめを行うと、シリンダヘツド３の下
面３ｂに変形３ｃが生じ、これが亀裂に至ること
もあり、またこの変形はピストン（図示せず）の
上部と干渉するなどして好ましくない。そのた
め、従来は、余り強力なかしめを行なうことがで
きず、一方ゆるいかしめを行なうと、スリーブ１
の抜け出しや冷却水の燃焼室４への浸入が生ずる
等の不具合があつた。

本考案は、上記した従来技術の欠点を除くため
になされたもので、その目的とするところは、デ
イーゼルエンジンのノズルスリーブをその内部か
ら強力なかしめを行なつてもシリンダヘツド下面
に変形が生ずることがないようにしてシリンダヘ
ツドの亀裂を防止し、強力なかしめを可能とし
て、ノズルスリーブの抜け出しや浸水を防止する
ことにあり、またこれによつてエンジンの耐久性
と性能の向上を図ることである。

要するに本考案は、シリンダヘツドに対して内
部からかしめ工具により拡開してかしめるように
したノズルスリーブにおいて、シリンダヘツドの
かしめ用ねじ部に圧接される部分の外径を等径に
形成し、該部分よりシリンダヘツドの下面側に位
置する先端部の外周に先細りのテーパをつけると
共に、前記かしめ用ねじ部に圧接される等径の部
分とテーパがつけられた先端部とを同一の内径に
したことを特徴としている。

このようにシリンダヘツドのかしめ用ねじ部に
圧接される部分よりシリンダヘツドの下面側に位
置する先端部の外径を先端に至るに従つて次第に
小径となるようにしたうえで、前記かしめ用ねじ
部に圧接される部分と外周にテーパがつけられた
先端部とを同一の内径としているために、かしめ
工具を挿入してノズルスリーブを内部から拡開さ
せるとかしめ用ねじ部に対して充分に大きな力で
圧接され、この圧接力でノズルスリーブが固定さ
れる。そしてこの部分よりシリンダヘツドの下面
側に位置する先端部においては、先端に至るほど
圧接力が次第に減少するためにかしめによつてシ
リンダヘツドの下面が変形することがなく、かし
め用ねじ部に圧接される部分のと先端部とが一様
に拡開される。従つてかしめ作業を円滑に行なう
ことができるとともに、かしめによる応力の集中
を予防することもできる。

また先端部の外周にテーパをつけているため
に、このテーパをつけた部分をガイドとしてノズ
ルスリーブをシリンダヘツドに容易に挿入するこ
ともできる。

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第２図において、ノズルスリーブ５は、本体５
ａ、シリンダヘツド３のかしめ用ねじ部３ａに圧
接される部分５ｂ、該部分を除く先端部５ｃとか
ら構成されており、従来例と同様に中空に形成さ
れている。部分５ｂは、従来例と同様等径に形成
されているが、先端部５ｃの外周には、先細り状
のテーパがつけられている。

また部分５ｂの内径と先端部５ｃの内径とを同
一とすることにより、先端部５ｃの肉厚を先端に
至るに従つて次第に小さくしている。

本考案は、上記のように構成されており、以下
その作用について説明する。第１図をも参照しな
がら説明すると、本考案ノズルスリーブ５をシリ
ンダヘツド３に挿通し、かしめ工具２を挿入して
ノズルスリーブ５を内部から拡開させた場合、シ
リンダヘツド３のかしめ用ねじ部３ａに圧接され
る部分５ｂがまず膨張してシリンダヘツド３のか
しめ用ねじ部３ａとの間でかしめられ、かしめ工
具２は先端部５ｃが拡開されてもテーパにより先
細り状となつているので、この部分では、強力な
押圧力はシリンダヘツド３側に作用しない。この
ため従来例に見られるような変形３ｃがシリンダ
ヘツド３の下面３ｂに生ずることがない。またテ
ーパの大きさを適宜設定することによつてかしめ
力を任意に選択することができ、変形３ｃが生じ
ない程度の小さなテーパとしておくことで、先端
部５ｃにおいても適当なかしめ作用が得られる。
また先端部５ｃでのかしめ力が任意に選択できる
ことから、部分５ｂにおいては、十分に強力なか
しめを行なうことができる。

さらに先端部５ｃの外周を先細りのテーパとし
ているために、ノズルスリーブ５をシリンダヘツ
ド３に挿入する場合はこのテーパの部分（先端部
５ｃ）をガイドとすることができる。従つて先端
部の外周を従来のように等径としたものに比較し
てシリンダヘツドのノズルスリーブの挿入作業性
を大幅に向上することができるためにノズルスリ
ーブの組付作業性を改善することができる。しか
もかしめ用ねじ部３ａに圧接される部分５ｂの内
径と先端部５ｃの内径とを同一にしているため
に、部分５ｂと先端部５ｃとが一様に拡開され
る。従つてかしめ作業を円滑に行なうことができ
るとともに、かしめによる応力の集中を予防する
こともできる。

本考案は、上記のように構成され、作用するも
のであるから、デイーゼルエンジンのノズルスリ
ーブをその内部から強力なかしめを行なつてもシ
リンダヘツド下面に変形が発生することがないの
でシリンダヘツドのかしめによる亀裂を防し得、
シリンダヘツドのかしめ用ねじ部に圧接される部
分における強力なかしめが可能となり、ノズルス
リーブの抜け出しや浸水を防止することができる
効果が得られる。またこれによつてエンジンの耐
久性と性能の向上を図ることができる効果が得ら
れる。

さらに先端部の外周に先細りのテーパをつけて
いるのでシリンダヘツドへのノズルスリーブの挿
入作業性を向上できる。さらにまたかしめ用ねじ
部に圧接される部分の内径と先端部の内径とを同
一にしているのでかしめ作業を円滑に行なうこと
ができるとともに、このかしめによる応力の集中
を防止することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例ノズルスリーブにおけるかしめ
の状態及びシリンダヘツド下面に生ずる変形の状
態を示す縦断面図、第２図は本考案の実施例に係
るノズルスリーブの要部正面図である。 ２はかしめ用工具、３はシリンダヘツド、５は
ノズルスリーブ、５ａは本体、５ｂはシリンダヘ
ツドのかしめ用ねじ部に圧接される部分、５ｃは
先端部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドに対して内部からかしめ工具に
   より拡開してかしめるようにしたノズルスリーブ
   において、シリンダヘツドのかしめ用ねじ部に圧
   接される部分の外径を等径に形成し、該部分より
   シリンダヘツドの下面側に位置する先端部の外周
   に先細りのテーパをつけると共に、前記かしめ用
   ねじ部に圧接される等径の部分の内径とテーパが
   つけられた先端部の内径とを同一にしたことを特
   徴とするデイーゼルエンジンのノズルスリーブ。