JPH0115284Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトラクタの作業機コントロール装置に
関するものである。

プラウなどの作業機を牽引するようにした農用
トラクタ等では、一般にその作業機による耕深を
調節する所謂ポジシヨンコントロール機構が設け
られているが、さらに、牽引作業機の重量をその
トラクタの駆動輪に移行（ウエイトトランスフア
ー）することによる作業機の牽引力増加をはかる
ように調節する所謂トラクシヨンコントロール機
構などが設けられるようになつている。前者のポ
ジシヨンコントロールでは、その耕深設定のため
作業機自体を昇降させる必要があるため、油圧装
置の圧油は高圧のものが用いられる。一方、後者
のトラクシヨンコントロールでは、作業機を完全
に上昇移動させないで吊り上げ状態に保持するも
ので、その吊上げ状態に基づく作業機重量を駆動
輪に移行、即ち重量移行（ウエイトトランスフア
ー）させ牽引力の増大をはかるようにしたもので
あるため、油圧装置に対する圧油の圧力は前者の
ポジシヨンコントロールの場合のように高圧では
なく、低圧のものが使用される。

このような油圧の設定はリリーフバルブにより
行うが、従来の装置によると、その油圧設定のた
めに高圧用と低圧用との２種類のリリーフバルブ
が設けられるようになつている。また、油圧装置
を操作するための操作レバーおよびそれに伴うリ
ンク機構もポジシヨンコントロール用とトラクシ
ヨンコントロール用との２種類設けられ、したが
つてそのコントロール用の操作系統は、機構が複
雑化するという問題があつた。

この問題を解決するものとして例えば、特公昭
49−9681号公報がある。このものは、コントロー
ル弁本体内に設けたスプールを、単一の操作レバ
ーの操作に連動して切換えることにより、ポジシ
ヨンコントロール状態とトラクシヨンコントロー
ル状態とに切換える構造であるので、このスプー
ルに対応する弁本体内には両コントロールに必要
な油路を設けたり、その油路にはアンロードバル
ブ、チエツクバルブおよびリリーフバルブを併設
せねばならず、その構造が極めて複雑となる上、
リリーフバルブの有効利用ができないという欠点
があつた。

そこで、本考案は上述した従来の実情に鑑み、
その問題を解消すべく創案されたもので、圧力設
定用として設けた一個のリリーフバルブを、ポジ
シヨンコントロール状態の高圧とトラクシヨンコ
ントロール状態の低圧とに切換えることができる
構造が簡単なトラクタの作業機コントロール装置
を提供することを目的とするものである。

上記目的を達成する本考案は、トラクタに連結
した作業機を、操作レバーに連動する油圧装置を
介してポジシヨンコントロールとトラクシヨンコ
ントロールを行うものにおいて、前記油圧装置に
供給する圧油の圧力設定用のリリーフバルブを、
上記操作レバーに連動させてポジシヨンコントロ
ール状態の高圧とトラクシヨンコントロール状態
の低圧とに切換えるに、上記操作レバーに応動す
るカムおよびロツドよりなる作動体によりリリー
フ回路中に直列に設けられバネ常数が大小に構成
された二つのスプリングのうち、大小二つのスプ
リングで附勢する低圧と、大なるスプリングで附
勢する高圧とに切換えてなるものである。

以下、図に示す本考案の実施例により説明す
る。

第１図は本考案の実施例である作業機コントロ
ール装置を装備した農用トラクタを示すものであ
る。

第１図において、１はトラクタ本体、２はこの
トラクタ本体１に装着された油圧ケースである。
油圧ケース２には油圧ケース２内の油圧装置によ
り駆動されるリフトシヤフト４が軸支され、この
リフトシヤフト４にはリフトアーム３が固定さ
れ、リフトシヤフト４の回動に伴つて上下に揺動
するようになつている。リフトアーム３の先端に
はリフトロツド５を介してロワリンク８が連結支
持され、このロワリンク８は一端をトラクタ本体
１に枢支され、他端に作業機であるプラウ９を連
結している。また、プラウ９の上端はトツプリン
ク１０を介しブラケツト１１によりトラクタ本体
１に連結されている。一方、油圧ケース２には、
操作レバー７を固定したシヤフト６が回動自在に
軸支されており、この単一の操作レバー７を操作
することにより、詳細を後述する機構を介してプ
ラウ９のポジシヨンコントロールおよびトラクシ
ヨンコントロールを行うようになつている。

第２図および第３図は、上記トラクタに装備さ
れた本考案による作業機コントロール装置の要部
を示すものである。

油圧ケース２に回動自在に軸支されたシヤフト
６の一端には操作レバー７が固定されており、ま
た反対側の他端にはリンク１２が回動自在に嵌合
されると共に、リンク１３が固定されている。回
動自在のリンク１２の中間部にはピン１４を介し
てリンク１６が回動自在に枢支され、このリンク
１６の他端部にはクレビス１９を介してバルブレ
バー２０ａが連結されている。バルブレバー２０
ａは油圧シリンダ３４用のコントロールバルブ２
０に連動するようになつている。リンク１６の端
部は引張弾性力の作用するスプリング１７が、リ
ンク１８との間に連結されている。リンク１８は
シヤフト２７を介して油圧ケース２に対し回動自
在に支持されている。

シヤフト６の端部に一体回動するように固定さ
れたリンク１３は、その他端側にリンク２５，２
６をそれぞれ回動自在に連結し、リンク２６の端
部は上述したリンク１８の中間部に回動自在に連
結されている。リンク２５の側面には比較的長い
直線状カム面２５ａと、この直線状カム面２５ａ
の下端側に傾斜して形成される傾斜状カム面２５
ｂとを有している。このカム面２５ａ，２５ｂに
対応する部分には、上記リンク１２上のピン１４
に支持されたローラ１５がスプリング１７の弾性
力に付勢されて接当を行つている。

一方、リフトシヤフト４にはパワーアーム３０
が固定されており、このパワーアーム３０は第３
図に示すように油圧シリンダ３４のピストンと係
合し、油圧シリンダ３４の駆動力によりリフトシ
ヤフト４を回転駆動するようになつている。シヤ
フト６に固定した操作レバー７には、カム２１が
固定されており、このカム２１には後述するリリ
ーフバルブ２２に設けたローラ２３が弾性力を付
勢されて従動可能に接当している。

第３図に詳細を示すように、油圧シリンダ３４
にはコントロールバルブ２０を介して油圧ポンプ
３３の圧油が供給されるようになつている。コン
トロールバルブ２０には、中立バルブ２０ｎ、上
げバルブ２０ｕ、下げバルブ２０ｄの３部分がそ
れぞれ設けられている。これらのうち、中立バル
ブ２０ｎが油路に対応する位置にあるときは、油
圧ポンプ３３の圧油は油圧シリンダ３４には供給
されず、プラウ９はその位置に保持される。上げ
バルブ２０ｕが油路に対応するときは、油圧ポン
プ３３の圧油が油圧シリンダ３４に供給され、パ
ワーアーム３０を介してリフトシリンダ４をプラ
ウ９が上昇する方向へ回転させる。また下げバル
ブ２０ｄが油路に対応するときは、油圧ポンプ３
３の圧油は油圧シリンダ３４へは供給されずにタ
ンク３５側に流れ、かつ油圧シリンダ３４内の圧
油はプラウ９の下降側への重量に基づく圧力によ
り押出されてタンク３５に還流されることにな
る。

油圧ポンプ３３とコントロールバルブ２０との
間にはリリーフバルブ装置２２が設けられ、油圧
ポンプ３３の圧油圧力を所定の圧力に設定するよ
うにしている。このリリーフバルブ装置２２は、
第４図および第５図に示すような構成になつてお
り、圧油圧力が高圧と低圧との２段階に切換可能
となつている。

第４図および第５図において、５１はリリーフ
バルブ装置２２の本体を構成するバルブブロツク
であり、バルブブロツク５１は油圧ケース２にボ
ルト等により固定されている。このバルブブロツ
ク５１内に形成された油路５２の入口には、油圧
ポンプ３３に連絡するパイプ３２が連結され、圧
油が導入されるようになつている。この油路５２
はバルブポート５３に連通し、コントロールバル
ブ２０へ圧油を流すようにしている。他方、油路
５２はバルブブロツク５１内で分岐した油路５４
を介し、リリーフ油路５５に通じ、このリリーフ
油路５５はタンク３５に通じている。リリーフ油
路５５にはバルブシート５６が設けられ、このバ
ルブシート５６にリリーフバルブ５７がスプリン
グ５８に弾性力を付勢されて接当している。スプ
リング５８の後端には別のボール５９が接当し、
このボール５９の後端に更に上記スプリング５８
よりもバネ力の小さいスプリング６０が接当して
いる。また、このボール５９の後端にはロツド６
１が配置され、このロツド６１はバルブブロツク
５１に固定したボルト６２に保持され、その端部
をボール５９に接当する位置と後退する位置とに
摺動可能にしてある。上記スプリング６０の反対
側端部はボルト６２の内側端部に接当支持されて
いる。またロツド６１は外側端部に固定した鍔６
３とボルト６２との間にスプリング６４を介在
し、このスプリング６４の弾性力により先端に回
動自在に設けたローラ２３をカム２１に向けて付
勢接当させている。つまり、上記リリーフバルブ
５７は、操作レバー７に応動して回動するカム２
１と、このカム２１に対面されボール５９に接当
する位置および後退する位置に摺動するロツド６
１とからなる作動体によつて、高圧状態と低圧状
態とに切換えられるようになつている。

操作レバー７に固定されたカム２１は、ローラ
２３と接当するカム面を二つ有し、その一つは第
４図に示すように操作レバー７がポジシヨンコン
トロール操作範囲Ｐで操作されるときにローラ２
３と接当するカム面２１ａであり、また他の一つ
は第５図に示すように操作レバー７がトラクシヨ
ンコントロール操作範囲Ｔで操作されるときにロ
ール２３と接当するカム面２１ｂである。カム２
１のカム面２１ａが接当するポジシヨンコントロ
ール操作のときは、第４図のようにロツド６１が
ボール５９を押込んでスプリング５８を圧縮状態
にしてボール５７に弾性力を作用させ、スプリン
グ６０は実質的に非圧縮状態でその弾性力が作用
しない状態になる。またカム面２１ｂが接当して
いるトラクシヨンコントロール操作のときは、第
５図のようにロツド６１は後退してボール５９か
ら離れ、両方のスプリング５８，６０がリリーフ
バルブ５７に弾性力を作用する状態になる。

即ち、いまスプリング５８のバネ常数をk₁、ス
プリング６０のバネ常数をk₂とすると、上述した
前者の場合は第６図Ａの略図のようであり、スプ
リング５８のみが作用するから全体のバネ常数Ｋ
はＫ＝k₁となる。また後者の場合は第６図Ｂのよ
うであり、スプリング５８，６０の両方が作用す
るから、全体のバネ常数K′はK′＝k₁k₂／（k₁＋
k₂）となる。上述したように、スプリング６０の
バネ力はスプリング５８よりも小さくしてあるの
で、k₂＜k₁なる関係にあり、したがつて、バネ常
数K′の値はＫの値よりも大幅に小さい値となつ
ている。したがつて、第４図のポジシヨンコント
ロールを行う状態にあるときのリリーフバルブ５
７は、油圧ポンプ３３の圧油圧力を高圧になるよ
うに規制し、また第５図のトラクシヨンコントロ
ールを行う状態にあるときのリリーフバルブ５７
は、油圧ポンプ３３の圧油圧力を低圧になるよう
に規制する。

さて、上述した装置において、作業機のポジシ
ヨンコントロールおよびトラクシヨンコントロー
ルの各コントロールを行うときは、次のようにし
て行われる。

まず、作業機であるプラウ９のポジシヨンコン
トロールを行うときについて、第７図を参照して
説明する。

操作レバー７は、ポジシヨンコントロール操作
範囲Ｐを設定する上げ位置の上限Puと下げ位置
の下限Pdの間の任意の位置へ移動することによ
り、プラウ９による耕深、即ちプラウ９の耕面か
らの距離を調節することができる。この操作レバ
ー７を上記ポジシヨンコントロール範囲内で移動
するときは、リンク１６上のローラ１５はリク２
５の直線状カム面２５ａの範囲内で接当しながら
移動を行う。

いま、耕深の変更設定を行うため、実線で示す
最下限Pdにある操作レバー７を、矢印ａで示す
ようにPdとPuとの間の所望の位置へ移動させる
と、リンク１３がシヤフト６と共に矢印ｂ方向へ
回動し、このリンク１３の回動によりリンク２５
が矢印ｃのように斜め下方へ向かつて下降すると
共に、リンク２６を矢印ｄのように下方へ向けて
回動させる。リンク２５は、上記下降移動のとき
リンク２５と２６との枢支点を中心にして図の左
方向へも変位するため、ローラ１５は矢印ｅ方向
へ押される。したがつて、リンク１６は全体とし
て矢印ｆのように移動し、コントロールバルブ２
０を中立バルブ２０ｎから上げバルブ２０ｕへ切
換える。このバルブ２０の切換えにより、油圧ポ
ンプ３３の圧油が油圧シリンダ３４に供給され
る。このとき、リリーフバルブ５７は第４図の状
態にあり、油圧ポンプ３３の圧油は高圧に維持さ
れ、この高圧油が作用する上記油圧シリンダ３４
によりパワーアーム３０が矢印Ｗの上げ方向へ回
動を行う。

一方、パワーアーム３０はリンク２９，１８，
２６によりリンク２５に連結されているため、こ
れらのリンクを介し、上記パワーアーム３０の矢
印Ｗ方向への回動はリンク２５へフイードバツク
される。即ち、リンク２５は図の右側へ移動し、
これに伴つてリンク１６がスプリング１７の付勢
力により矢印ｆとは反対方向へ移動を行う。した
がつて、上げ位置にあつたコントロールバルブ２
０は再び中立位置に戻つてパワーアーム３０の回
動を停止し、プラウ９を所定の上げ位置に設定す
る。

プラウ９を耕深がさらに深くなるように移動設
定する場合は、操作レバー７を上記とは逆にポジ
シヨンコントロール操作範囲内において、Pu側
からPd側へ移動させるようにすればよい。この
移動によりリンクは上記とは逆の作動を行い、プ
ラウ９は所定の下げ位置に設定される。

次に、トラクシヨンコントロールを行う場合を
第８図により説明する。

トラクシヨンコントロールを行う場合は、第８
図に示すようにポジシヨンコントロール操作範囲
内にある操作レバー７を、矢印Ａのようにその下
限位置Pdをさらに越えて下方へ押込むようにす
る。この操作レバー７の押込みにより、第５図に
示すようにリリーフバルブ５７は低圧リリーフバ
ルブとして作用し、油圧ポンプ３３の圧油圧力は
低圧に変化する。

一方、上記操作レバー７の下方への回動によ
り、シヤフト６に固定されたリンク１３は矢印Ｂ
のように回動し、リンク２５を矢印Ｃ方向へ引き
上げると共に、リンク２６を矢印Ｄ方向へ回動さ
せる。上記リンク２５の移動によりその傾斜状カ
ム面２５ｂが、ローラ１５を押上げて矢印Ｅ方向
へ移動させると共に、リンク１６を矢印Ｆ方向へ
移動させる。したがつて、コントロールバルブ２
０は中立バルブ２０ｎから上げバルブ２０ｕへ切
換わり、低圧に設定された油圧ポンプ３３の圧油
が油圧シリンダ３４に供給される。圧油が低圧で
あるため、油圧シリンダ３４はプラウ９を完全に
上昇させるだけの駆動力を出すことはできない
が、吊上げ状態に保持し、その吊上げ状態に伴う
プラウ９の重量を駆動輪へ移行させる。したがつ
て、その結果としてトラクタによる作業機の牽引
力が増大する、所謂トラクシヨンコントロールが
行われることになる。

上述したように本考案によるトラクタの作業機
コントロール装置は、トラクタに連結した作業機
を、操作レバーに連動する油圧装置を介してポジ
シヨンコントロールとトラクシヨンコントロール
とを行うものにおいて、前記油圧装置に供給する
圧油の圧力設定用のリリーフバルブを、上記操作
レバーに連動させてポジシヨンコントロール状態
の高圧とトラクシヨンコントロール状態の低圧と
に切換えるに、上記操作レバーに応動するカムお
よびロツドよりなる作動体によりリリーフ回路中
に直列に設けられバネ常数が大小に構成された二
つのスプリングのうち、大小二つのスプリングで
附勢する低圧と、大なるスプリングで附勢する高
圧とに切換えてなるが故に、圧力設定用として設
けた１個のリリーフバルブを、ポジシヨンコント
ロール状態の高圧とトラクシヨンコントロール状
態の低圧とに切換えることができるので、その構
造を極めて簡単とすることができる。

しかも、低圧状態のリリーフバルブは、直列に
設けられバネ常数が大小に構成された二つのスプ
リングのうち、大小二つのスプリングの合成によ
つて附勢することで、バネ常数が大幅に小さくな
つた状態で附勢できると共に、高圧状態のリリー
フバルブは、バネ常数が大なるスプリングのみで
附勢できる上、さらにリリーフバルブは、油圧装
置に連動の操作レバーに応動するカムおよびロツ
ドよりなる作動体により高圧と低圧とに切換えで
きるので、その操作を単純にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の作業機コントロール装置を装
備したトラクタの側面図、第２図はその要部を示
す概略斜視図、第３図は同装置に適用されている
油圧回路図、第４図および第５図は同装置におけ
るリリーフバルブ部分を、それぞれポジシヨンコ
ントロール時とトラクシヨンコントロール時とに
ついて示す断面図、第６図Ａ，Ｂはそれぞれ同リ
リーフバルブを附勢するスプリングの状態を説明
する説明図、第７図および第８図はそれぞれ同コ
ントロール装置の作動状況を説明する要部の側面
図である。 ３……リフトアーム、４……リフトシヤフト、
６……シヤフト、７……操作レバー、９……プラ
ウ、１２，１３，１６，１８，２５，２６，２９
……リンク、１５……ローラ、２５ａ……直線状
カム面、２５ｂ……傾斜状カム面、２０……コン
トロールバルブ、２１……カム、２１ａ，２１ｂ
……カム面、２２……リリーフバルブ装置、３０
……パワーアーム、３３……油圧ポンプ、３４…
…油圧シリンダ、５７……リリーフバルブ、５
８，６０……スプリング、６１……ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラクタに連結した作業機を、操作レバーに連
   動する油圧装置を介してポジシヨンコントロール
   とトラクシヨンコントロールを行うものにおい
   て、前記油圧装置に供給する圧油の圧力設定用の
   リリーフバルブを、上記操作レバーに連動させて
   ポジシヨンコントロール状態の高圧とトラクシヨ
   ンコントロール状態の低圧とに切換えるに、上記
   操作レバーに応動するカムおよびロツドよりなる
   作動体によりリリーフ回路中に直列に設けられバ
   ネ常数が大小に構成された二つのスプリングのう
   ち、大小二つのスプリングで附勢する低圧と、大
   なるスプリングで附勢する高圧とに切換えてなる
   トラクタの作業機コントロール装置。