JPH0114078B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は後二輪が接地したまま、前一輪を備え
た前車体が左右に揺動（ローリング）するタイプ
の三輪車の後車輪懸架装置に関する。

（従来の技術） 前一輪を備える前車体が後二輪に対し左右にロ
ーリングする揺動式三輪車は、特公昭44−16411
号、特開昭49−102033号或いは特開昭55−110680
号等として知られている。

特公昭44−16411号に開示される揺動式三輪車
は車体フレームに対しボールジヨイント等を介し
て幅フレームを連結し、この幅フレームにて後輪
を支持するとともに、幅フレームと車体フレーム
間に緩衝器を設けており、特開昭49−102033号に
開示される揺動式三輪車は車体フレームに支持筒
を固着し、この支持筒内にローリング動をなすた
めの回転軸を挿入し、この回転筒の後端に上下揺
動を行う揺動杆を連結し、この揺動杆にて後輪を
支持するとともに、揺動杆と車体フレーム間にコ
イルスプリングを設けており、特開昭55−110680
号に開示される揺動式三輪車は車体の前部フレー
ムにローリング動を行うためのピボツト軸を取付
け、このピボツト軸の後輪に上下揺動を行う後部
フレームを取付け、この後部フレームの一部に上
下揺動の際の緩衝作用をなすゴム等の弾性体を介
在させている。

（発明が解決しようとする課題） 上述した特公昭44−16411号に開示される揺動
式三輪車にあつては緩衝器の上端をローリングす
る車体フレームに下端をローリングしない副フレ
ームに取付けているため、車体がローリングした
ときに緩衝器にねじり力が作用し、こじりが発生
したり或いはフリクシヨンが大きくなる。

一方、特開昭49−102033号及び特開昭55−
110680号に開示される揺動式三輪車にあつてはコ
イルスプリング単体或いはゴム等の弾性体によつ
て緩衝作用を発揮するようにしているため、ねじ
り力が作用しても悪影響を及ぼすことはないが、
減衰力特性を発揮するような緩衝作用をなすこと
ができず、乗心地性の面で最適とはいえない。

そこで、特開昭49−102033号のコイルスプリン
グの代りに減衰力特性を発揮し得る油圧緩衝器を
用いることも考えられるが、この場合には前記特
公昭44−16411号と同様に油圧緩衝器の一端をロ
ーリングする部材で他端をローリングしない部材
で支持することとなり、前記同様のこじり或いは
大きなフリクシヨンが発生し、却つて乗心地性は
悪化する。また特開昭55−110680号の弾性体の代
りに油圧緩衝器を設けるのはスペース的に無理で
ある。

（課題を解決するための手段） 上記問題点を解決すべく本発明は、ローリング
ジヨイントを車体側に上下揺動自在に枢着される
ジヨイント本体と、このジヨイント本体に軸廻り
に回転可能に挿入されるシヤフトによつて構成
し、前記ジヨイント本体と車体との間に油圧緩衝
器を設けた。

（作用） 車体に対しジヨイント本体を上下揺動自在に枢
支し、このジヨイント本体と車体間に油圧緩衝器
を設けたので、車体がローリングしても油圧緩衝
器にねじり力が作用することがない。また後二輪
のうちの一方が路面の凹凸部に当たり、後二輪が
ローリングした場合でも油圧緩衝器には影響を与
えず、後二輪のローリングは上下動に変換された
場合のみ車体側に伝達され乗心地性が向上する。

（実施例） 次に本発明の好適一実施例を添付図面に従つて
詳述する。

第１図は三輪車の基本構造を示す側面図で、三
輪車１のフレーム２前端のヘツドチユーブ３を介
してフロントフオーク４が操向自在に枢設され、
フロントフオーク４の下端で一輪の前車輪５を支
持し、これ４の上端にはハンドル６が付設されて
いる。

フレーム２の前部２ａは斜め上前方に傾斜して
前端に既述のヘツドチユーブ３を備えるととも
に、中間部２ｂは低い位置で後方に延出され、後
端部２ｃから斜め上後方に後部２ｄが延出され、
後部２ｄ上端にはシート７が付設されており、後
部２ｄはシートポストを兼ねる。以上のフレーム
２は第２図の如くヘツドチユーブ３から後方に二
本のパイプ材等のメンバ２−１，２−２を折曲延
出して形成されている。

８はローリングジヨイントで、ローリングジヨ
イント８は筒状のジヨイント本体９と、これに嵌
合されてこれの円周方向に回転自在、即ちジヨイ
ント本体９との関係でこれとの間でローリング方
向に回転自在としたシヤフト１０とからなる。ジ
ヨイント本体９の前端に設けた二股状ブラケツト
９ａをフレーム２の中間部２ｂ後端２ｃのメンバ
２−１，２−２の夫々に付設したブラケツト１
１，１１間に挟入し、各ブラケツト９ａ，１１間
にピン１２を通して、ジヨイント本体９前端をフ
レーム２にピン１２を支点として上下方向に揺動
自在に枢着する。ジヨイント本体９の後部上には
二股状のブラケツト９ｂを突設し、該ブラケツト
９ｂに油圧緩衝器で構成されるリヤクツシヨンユ
ニツト１３の下端をピン１４で枢着し、リヤクツ
シヨンユニツト１３の上端をシート７下辺のフレ
ーム後部２ｄのメンバ２−１，２−２に夫々付設
したブラケツト１５，１５間に臨ませ、これとピ
ン１６で枢着する。かくしてフレームとジヨイン
ト本体との間に緩衝器が介設されることとなる。

シヤフト１０の後部上には取付ブラケツト１７
を介して原動機１８のクランクケース、ミツシヨ
ンケースを兼ねるケース１９を搭載連結し、ケー
ス１９の前部上には原動機１８が突出する。そし
てケース１９の左右には同軸上に配された車軸２
０が突出し、この車軸２０の両端に駆動輪をなす
二輪の後車輪２１，２１が支持され、後車輪２
１，２１間に原動機を含むケース１９が位置す
る。

ところでローリングジヨイント８の前端の枢点
１２と交わるジヨイント本体９、シヤフト１０の
軸線Ｎは後下方に傾斜し、この延長線は車軸２０
の下を通るのが操安上好ましい。

以上において、後車輪２１，２１はローリング
ジヨイント８全体をスイングアームとしてピン１
２を支点として上下に揺動し、この揺動はジヨイ
ント本体９とフレーム後部２ｄ間に介設されたリ
ヤクツシヨンユニツト１３の軸方向揺動で吸収、
減衰され、緩衝する。従つてシヤフト１０に弾性
部材及び揺動部材を介して後車輪、原動機を搭載
する従来手段に比し揺動ストロークが大きくと
れ、全体の上下方向のスイングアーム動で高い緩
衝能力が得られる。そして後車輪の障害物の乗り
越し等においても、スイングアームであるローリ
ングジヨイント８の上下動でこれが衝撃を効果的
に吸収、減衰し、又スイング動で追従性は大幅に
向上する。上記スイング動による緩衝と併せ、後
二輪を支持するシヤフト１０はシヤフトの円周方
向に回転しにくく、前一輪のフレーム２側とジヨ
イント本体９はピン１２で上下方向にのみ揺動可
能に枢支されているため、フレーム２はジヨイン
ト本体９を含んでシヤフト１０周りを揺動し、即
ちローリング動を行う。このローリング動と上下
揺動による緩衝動は同時に作用し、ジヨイント本
体９、シヤフト１０の軸線Ｎとこの軸線Ｎに直交
し車軸２０の中心Ａを通る線との交点Ｐの関係は
ジヨイント自体が車軸と一緒に上下方向に揺動す
るため固定状態となり、この間の間隔は変化せ
ず、後二車輪は安定的に接地し、接地性は大幅に
改善され、良く路面に接地しつつ緩衝動及びロー
リング動を行う。従つて接地性は大幅に向上す
る。

以上の他ジヨイント本体９が後方に延出され、
シヤフト１０と車輪２０迄の距離Ｌが短くなる。
従つてシヤフト１０への曲げモーメントは従来に
比し小さくなり、シヤフト１０の小径化、本体９
の小径化が図れ、この部分のコンパクト化、軽量
化、取付スペースの減少が図れる。更にリヤクツ
シヨンユニツト１３の二本のフレーム２−１，２
−２間に配置したため、車体構成に影響を与える
ことなく緩衝器、車体、付属機器等の設計が行え
る。

第３図乃至第５図は変更実施例を示し、前記実
施例と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明
は省略する。

フレーム２の中間部２ｂの後部上にブラケツト
１１１，１１１を突設し、ブラケツト１１１，１
１１間にリンク１２２の上端をピン１２３で枢着
し、リンク１２２を垂下し、これの下端をローリ
ングジヨイント８のジヨイント本体９の二股状ブ
ラケツト９ａ間に臨ませ、ピン１１２で双方を枢
着する。このリンク１２２の枢点１２３，１１２
を結ぶ線とリヤクツシヨンユニツト１３の軸線、
即ちリヤクツシヨンユニツト１３の上下の枢点１
６，１４とを結ぶ線とを略平行とする。かくする
ことによりスイングアームを兼ねるローリングジ
ヨイント８は車体側に四辺形リンクを介して支持
されることとなり、前記リンク１２２にリヤクツ
シヨン反力による回転モーメントを受ける影響が
少なくなるばかりか、リンク１２２を介してロー
リングジヨイント８は良く前後動し、これにより
追従性は向上し、特に支点１１２と車軸２０の中
心とを路面から等しい高さの同一線上に配するこ
とにより追従性は向上、又リンクをなす部材の支
点１２３，１２２と、１６，１４を乗車負荷状態
で路面に対し略直角とすることにより追従性は更
に向上し、以上を組み合せることにより上記の緩
衝性能の向上と良好な追従性を得ることができ
る。そしてリンクをなす部材の支点１２３，１１
２と１６，１４は車輪２０の部分で上下方向に剛
性が高く、前後方向に剛性が低く、第５図の如く
支点部１２３，１１２と１６，１４にラバープツ
シユ１２４………を介設することと併せて原動機
１８の主加振力に起因する振動を吸収、減衰し、
特に主加振力を前後方向に発現させることにより
この方向の振動を平行リングで効果的に吸収、減
衰し、これの車体への伝搬を抑制し、乗心地性を
向上せしめることができる。又ラバープツシユ１
２４は上記乗車負荷状態でリンクをなす部材１２
２，１３を直角とすることによりセツト状態で回
転モーメントを受けることがなく、従つて変位量
が少なく、ラバープツシユの耐久性を高めること
ができ、更にラバープツシユはリングをなす部材
でねじに方向に荷重が働き、従つて圧縮、或いは
引張は作用せず、吸収、減衰効果、追従動の緩衝
に高い効果を発揮する。

尚本実施例ではリヤクツシヨンユニツトを一本
とし、上記により一本の油圧緩衝器で上述の如き
利点を奏することができるが、車体フレームとジ
ヨイント間に二本の油圧緩衝器を介設することは
妨げない。

（発明の効果） 以上で明らかな如く本発明によれば、揺動式三
輪車において後二輪がローリングした場合でも緩
衝器には影響を与えず、後二輪のローリングは上
下動に変換された場合のみ車体側に伝達され乗心
地性が向上する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は三輪車の側面図、第２図は同要部の斜視図、第
３図は変更実施例の第１図と同様の図、第４図は
同第２図と同様の図、第５図は同要部拡大縦断側
面図である。 尚図面中１は三輪車、２は車体、８はローリン
グジヨイント、９はジヨイント本体、１０はシヤ
フト、１３は油圧緩衝器、２１は後車輪、１２２
はリンクである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前一輪、後二輪を備えた三輪車の後輪をロー
   リングジヨイントを介して車体側に連結した揺動
   式三輪車の懸架装置において、前記ローリングジ
   ヨイントは前端部が車体側に上下揺動可能に枢支
   されるジヨイント本体と、このジヨイント本体に
   対し一端が軸廻りに回転可能に挿入され他端が後
   二輪側に結合されるシヤフトからなり、更に前記
   ジヨイント本体には上端部が車体側に取付けられ
   る油圧緩衝器の下端が取付けられていることを特
   徴とする揺動式三輪車の懸架装置。 ２ 前記ジヨイント本体はリンクを介して車体側
   に枢支され、このリンクと前記ローリングジヨイ
   ント、油圧緩衝器及び車体フレームにて四辺形リ
   ンクを構成したことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の揺動式三輪車の懸架装置。