図1は、本発明の第1実施形態のスライド機構1の動きを説明するための図である。図2は、本発明の第1実施形態のスライド機構1の構成を示す分解図である。図1は、スライド機構1を正面から見た図であり、便宜上、図1(A)の左側を左、上側を上として説明する。図及び明細書中のX方向,Y方向,Z方向は、3次元直角座標のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向と一致する。また明細書中、+X方向は図中に示されたX軸の矢印の方向を意味し、-X方向とは図中に示されたX軸の矢印と反対方向を意味する。+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向についても同様である。
本発明の第1実施形態のスライド機構1は、スライダーが第1方向に続いて第2方向に移動可能に構成される。第1方向及び第2方向は、予め規定された方向であり、第1方向と第2方向とは方向が異なる。以下、図1及び図2を用いて構成を具体的に説明する。
スライド機構1は、第1駒11と、第2駒21と、第1駒11及び第2駒21を案内する案内体31とからなる。本実施形態では、第2駒21がスライダー、案内体31がガイド本体、後述の案内溝38がガイド手段、第1案内部39が第1ガイド手段、第2案内部42が第2ガイド手段に該当する。また爪23が係合手段、爪23の第1摺動面が第1係合手段、爪23の第2摺動面が第2係合手段に該当する。
案内体31は、横断面がコ字状であり、矩形の底板32の両端部に側壁33、35を備える。左側壁33、右側壁35は、各々の内面34、36が平行となっている。左側壁の内面34及び右側壁の内面36は、第1駒11のガイドとして機能する。底板32の内面には、逆くの字状の案内溝38が設けられている。
案内溝38は、凹溝であり、第2駒21を第1の方向(第1方向)に導く第1案内部39と、第2駒21を第2の方向(第2方向)に導く第2案内部42とを有する。本実施形態では、第1方向が右斜め上、第2方向が左斜め上である。第1案内部39と第2案内部42とは繋がっており、また第1案内部39の中心軸線M1と第2案内部42の中心軸線M2とは交差する。第1案内部39の両側面40、41、第2案内部42の両側面43、44はそれぞれ平行に設けられている。
第1駒11は、直方体形状を有し、左右の側面12、13は平行である。左右の側面12、13の間隔W1は、案内体31の左右の側壁内面34、36の間隔Wと略同一であり、案内体31上に第1駒11を載せると左右の側面12、13が案内体31の左右の側壁内面34、36に接する。
第2駒21は、断面が矩形の棒状の部材であり、背面22に案内体31に設けられた案内溝38に嵌り込む爪23を有する。爪23は、背面22から突出しており突起ということもできる。爪23の高さ(厚み)は、案内溝38の深さと略同一である。爪23は、第2駒21の背面22を正面に見て菱形形状を有し、4つの側面24、25、26、27を備える。側面24と側面25、側面26と側面27はそれぞれ平行に設けられている。本実施形態において、爪23は、案内溝38に摺動自在に係合する係合手段であり、爪23を案内溝38に嵌め入れた状態で、第2駒21の長手方向が案内体31の長手方向と平行になるように設けられている。
爪23の対向する側面24、25は第1摺動面を、爪23の対向する側面26、27は、第2摺動面を構成する。第1摺動面は、案内体31に設けられた案内溝38の第1案内部39の両側面40、41に摺動自在に接触する面である。第2摺動面は、案内体31に設けられた案内溝38の第2案内部42の両側面43、44に摺動自在に接触する面である。
スライド機構1の動きを、図1を用いて説明する。ここでは、第1駒11を入力端、第2駒21を出力端とする。第1案内部39に爪23を嵌め込み、第2駒21の底面に接するように第1駒11を案内体31に載せる。この状態で第1駒11の両側面12、13は、案内体31の両側壁内面34、36に摺動自在に接し、爪23の第1摺動面が第1案内部39の両側面40、41に摺動自在に接する(図1(A)参照)。
第1駒11を上方(Y方向)に押し上げると、第1駒11は、案内体31の両側壁内面34、36をガイドとし、両側面12、13を摺動させながら上昇する。第2駒21は、第1駒11に押し出され、案内体31の第1案内部39をガイドとし、爪23の第1摺動面を第1案内部39の両側面40、41に摺動させながら第1案内部39に沿って第1方向(右斜め上)に移動する。
第2駒21は、第1駒11に押し出され爪23の側面26が第2案内部42の側面44に接触する位置まで移動すると、爪23の側面24は、これまで接触していた第1案内部39の側面40から外れる(図1(B)参照)。この状態から第1駒11を押し上げると、第2駒21は、第2案内部42をガイドとし、爪23の第2摺動面を第2案内部42の両側面43、44に摺動させながら第2案内部42に沿って第2方向(左斜め上)に移動する。
図3は、本発明の第1実施形態のスライド機構1を利用した切換えスイッチ2である。図1及び図2に示す第1実施形態のスライド機構1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
切換えスイッチ2は、第1駒11とリード線3aで結ばれた第1端子4aと、第1駒11とリード線3bで結ばれた第2端子4bとを有する。リード線3a、3bの途中にはそれぞれ第1ランプ5a、第2ランプ5bが設けられている。第1駒11及び第2駒21は、導電性を有し、第1駒11は、バッテリ(図示省略)を内蔵する。
第1端子4aは、第2駒21に設けられた爪23が案内溝38の第1案内部39の先端部(右上)に達したとき、第2駒21の上端部が接触する位置に設けられている。一方、第2端子4bは、第2駒21に設けられた爪23が案内溝38の第2案内部42の先端部(左上)に達したとき、第2駒21の上端部が接触する位置に設けられている。本実施形態では、第1端子4aは、第2駒21が最も右側に移動したときに接するように、また第2端子4bは、第2駒21が最も左側に移動したときに接するように設けられている。
上記構成からなる切換えスイッチ2は、第1駒11を介して第2駒21が押上げられ第2駒21の上端部が第1端子4aに接すると電路が形成され第1ランプ5aが点灯する。さらに第2駒21が押上げられると第2駒21の上端部が第1端子4aから離れ第1ランプ5aが消灯する。第2駒21が最も高い位置に押上げられると第2駒21の上端部が第2端子4bに接し第2ランプ5bが点灯する。
以上のように第1実施形態のスライド機構1は、案内体31が第2駒21を異なる2つの方向に案内する案内溝38を備えるので、第2駒21を確実に異なる2つの方向に移動させることができる。本実施形態のスライド機構1は、案内体31に設けられた凹状の案内溝38に爪23が嵌め込まれた第2駒21を第1駒11で突き出す構成ゆえ、構造が簡単で容易に実現することができる。
また凹状の案内溝38に嵌り込む爪23は、案内溝38の第1案内部39を移動するときに側面40、41に摺動する第1摺動面と、案内溝38の第2案内部42を移動するときに側面43、44に摺動する第2摺動面とを備える。第1摺動面及び第2摺動面は、それぞれ対向する2つの側面24、25、側面26、27からなり、第1案内部39又は第2案内部42を移動するときはそれぞれ2つ面が面接触する。これによりがたつきを発生させることなく安定して第2駒21を移動させることができる。
また案内体31は、第2駒21を案内する案内溝38とは異なる、第1駒11を案内するガイドを備えるので第1駒11を介して第2駒21を容易に第1方向に続いて第2方向に移動させることができる。
スライド機構1において、第1案内部39及び第2案内部42の方向は特に限定されるものではない。本実施形態では、第1案内部39が右斜め上に伸び、第2案内部42が左斜め上に伸びるが、第2案内部42が第1案内部39と異なる角度で右斜め上に伸びていてもよい。また第1案内部39及び第2案内部42のいずれか一方が第1駒11の押し上げ方向(Y方向)と同じであってもよい。これらの点は、後述の第2実施形態のスライド機構50、他の実施形態においても同じである。
案内溝38を構成する第1案内部39及び第2案内部42は、直線である必要はなく円弧であってもよく、円弧と直線との組合せであってもよい。要すれば第1方向及び第2方向はそれぞれ、直線状、部分的に曲線を有する直線状、曲線状、部分的に直線を有する曲線状の4種類のいずれか1であればよい。また案内溝38は、第2案内部42に続いて第3案内部が設けられていてもよく、案内溝に含まれる案内部の個数は4個以上であってもよい。これらの点は、第2実施形態のスライド機構50、他の実施形態においても同じである。
案内溝38に嵌り込む爪23の形態は、本実施形態に限定されるものではない。本実施形態において、爪23は、第1摺動面が案内溝38を構成する第1案内部39の両側面40、41に対してそれぞれ面接触するが、線接触又は点接触であってもよい。線接触の場合には、爪23は、案内溝38を構成する第1案内部39の両側面40、41に対してそれぞれ一辺以上で接すればよい。点接触の場合には、爪23は、案内溝38を構成する第1案内部39の両側面40、41に対してそれぞれ一点以上で、かつ合計で3点以上で接触すればよい。案内溝38を構成する第2案内部42に対しても同様である。これらの点は、第2実施形態のスライド機構50、他の実施形態においても同じである。
スライド機構1において第1駒11の上面14と第2駒21の底面28とを蟻溝構造の連結機構としてもよい。具体的には、第1駒11の上面14又は第2駒21の底面28のいずれか一方に凸条(蟻溝凸条)を、他方に凸条に摺動自在に嵌り込む蟻溝を設ける。このような形態のスライド機構では、第1駒11が連結部材、第2駒21がスライダー、案内体31がガイド本体、案内体31の左右の側壁内面34、36が連結部材ガイド手段に相当する。
また第1駒11の両側面12、13と案内体31の両側壁内面34、36とを凸条(蟻溝凸条)と蟻溝とを用いた蟻溝構造の連結機構としてもよい。さらには案内溝38と爪23とを、凸条(蟻溝凸条)と蟻溝とで連結させてもよい。このような構造は、部材がばらばらになり難いためスライド機構1を容易にユニット化することができる。これらの点は、第2実施形態のスライド機構50、他の実施形態においても同じである。
図4は、本発明の第2実施形態のスライド機構50の動きを説明するための図である。図5は、本発明の第2実施形態のスライド機構50の構成を示す分解図である。図1及び図2に示す第1実施形態のスライド機構1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図4は、スライド機構50を正面から見た図であり、便宜上、図4(A)の左側を左、上側を上として説明する。
本発明の第2実施形態のスライド機構50も、第1実施形態のスライド機構1と同様に、スライダーが第1方向に続いて第2方向に移動可能に構成される。第1方向と第2方向は、予め規定された方向であり、第1方向と第2方向とは方向が異なる(図5参照)。以下、図4及び図5を用いて構成を具体的に説明する。
スライド機構50は、第1駒11と、第2駒61と、第1駒11及び第2駒61を案内する案内体81とからなる。本実施形態では、第2駒61がスライダー、案内体81がガイド本体、後述の案内溝88及び案内体81の上部内面87がガイド手段、第1案内部89が第1ガイド手段、第2案内部92の側面93及び案内体81の上部内面87が第2ガイド手段に該当する。また爪63及び第2駒61の側面73が係合手段、爪63の第1摺動面が第1係合手段、爪63の傾斜面68及び第2駒61の側面73が第2係合手段に該当する。
案内体81は、横断面がコ字状であり、矩形の底板82の両端部に側壁83、85を備える。左側壁83は、正面視において直線状であり、右側壁85は、上部が左側に突出している。右側壁85の中央から下部の内面86は、左側壁83の内面84と平行であり、右側壁85の上部内面87は、左上方に傾斜した傾斜面となっている。左側壁内面84及び右側壁内面86は、第1駒11のガイドとして機能する。底板82の内面には、案内溝88が設けられている。
案内溝88は、凹溝であり、第2駒61を第1の方向(第1方向)に導く第1案内部89と、第2駒61を第2の方向(第2方向)に導く第2案内部92とを有する。本実施形態では、第1方向がY方向、第2方向が左斜め上である。第1案内部89と第2案内部92とは繋がっており、また第1案内部89の中心軸線M1と第2案内部92の中心軸線M2とは交差する(図5参照)。第1案内部89の左側面90と右側面91とは平行に設けられている。同様に第2案内部92の左側面93と右側面94とは平行に設けられている。
第2案内部92の左側面93は、底板82の高さ方向(Y方向)のほぼ中央部で第1案内部89の左側面90に繋がり、第2案内部92の右側面94は、底板82の高さ方向の上部(Y方向)で第1案内部89の右側面91に繋がる。このため第2案内部92の右側面94は、第2案内部92の左側面93に比較して短い。また第2案内部92の右側面94は、右側壁85の上部内面87と面一となっている。
第1駒11は、第1実施形態のスライド機構1の第1駒11と同一の構成ゆえ、説明を省略する。
第2駒61は、断面が矩形の棒状の部材であり、正面視において上部が左斜め上方向に屈曲している。第2駒61の中央から下部の両側面71、72は平行であり、第2駒61の上部両側面73、74は平行である。第2駒61の屈曲角度θ1(図4(B)参照)は、案内溝88の第1案内部89の中心軸線M1と第2案内部92の中心軸線M2との交角θ2(図5参照)と同じ角度である。
第2駒61は、本体下部の背面62に案内体81の案内溝88の第1案内部89に嵌り込む爪63を有する。爪63は、背面62から突出しており突起ということもできる。爪63の高さ(厚み)は、案内溝88の第1案内部89の深さと略同一である。爪63は、第2駒61の背面62を正面に見て五角形であり、右側面の下部が傾斜面68となっている。
爪63は、5つの側面64、65、66、67、68を備える。爪63の対向する側面64、65は、平行に設けられており、側面64は、第2駒61の下部の側面71と面一であり、側面65は、第2駒61の下部の側面72と面一である。爪63の側面64、65は、第1摺動面を構成する。第1摺動面は、案内体81に設けられた案内溝88の第1案内部89の両側面90、91に摺動自在に接触する面である。
爪63の傾斜した側面68は、第2駒61の上部側面73、74と平行である。爪63の傾斜した側面68は、第2駒61の爪63を案内溝88の第2案内部92に嵌め込むと、第2案内部92の左側面93に接する。このとき第2駒61の上部側面73は、案内体81の上部右側面87に接する。爪63の傾斜した側面68及び第2駒61の上部側面73は、それぞれ第2案内部92の左側面93及び案内体81の上部右側面87に摺動自在に接触する第2摺動面を構成する。
スライド機構50の動きを、図4を用いて説明する。ここでは、第1駒11を入力端、第2駒61を出力端とする。第1案内部89に爪63を嵌め込み、第2駒61の底面に接するように第1駒11を案内体81に載せる。この状態で第1駒11の両側面12、13は、案内体81の両側壁内面84、86に摺動自在に接し、爪63の第1摺動面が第1案内部89の両側面90、91に摺動自在に接する(図4(A)参照)。
第1駒11を上方(Y方向)に押し上げると、第1駒11は、案内体81の両側壁内面84、86をガイドとし、両側面12、13を摺動させながら上昇する。第2駒61は、第1駒11に押し出され、案内体81の第1案内部89をガイドとし、爪63の第1摺動面を第1案内部89の両側面90、91に摺動させながら第1案内部89に沿って第1方向(Y方向)に移動する。
第2駒61は、第1駒11に押し出され上部の側面73が案内体81の右上部側面87に接触する位置まで移動すると、爪63の側面65は、これまで接触していた第1案内部89の側面90から外れる(図4(B)参照)。この状態から第1駒11を押し上げると、第2駒61は、第2案内部92及び案内体81の右上側面87をガイドとし、爪63の側面68を第2案内部92の左側面93に、第2駒61の側面73を案内体81の右上側面87にそれぞれ摺動させながら第2方向(左斜め上)に移動する(図4(C)参照)。
第2実施形態のスライド機構50と第1実施形態のスライド機構1とを比較すると、第2駒を第2方向に案内する機構が異なる。第1実施形態のスライド機構1においては、第2駒21は、案内体31の案内溝38の第2案内部42に案内され第2方向に移動する。案内溝38の第2案内部42は、案内溝38の第1案内部39と同一平面上に設けられており、案内溝38の側面に摺動する第1摺動面及び第2摺動面は、爪23に設けられている。
一方、第2実施形態のスライド機構50においては、第2駒61は、案内体81の案内溝88の第2案内部92の左側面93と案内体81の右上側面87とに案内され第2方向に移動する。つまり第2実施形態のスライド機構50においては、案内溝88と案内体81の側面とが協働して第2駒61を第2方向に案内する。案内溝88の第2案内部92は、案内溝88の第1案内部89と同一平面上に設けられているが、案内体81の右上側面87は、案内溝88の第1案内部89と高さが異なる。また爪63の他に、第2駒61の側面73を摺動面としている点においても第1実施形態のスライド機構1と異なる。
以上のように第2実施形態のスライド機構50は、第1実施形態のスライド機構1と比較して、第2駒61を第2方向に案内する機構が異なるものの、基本的に案内溝により第2駒を異なる2つの方向に移動させることができる点において共通する。また爪61の作用効果も、スライド機構1の爪21と基本的に同じである。
スライド機構50において第1駒11の上面14と第2駒61の底面69とを蟻溝構造の連結機構としてもよい。具体的には、第1駒11の上面14又は第2駒61の底面69のいずれか一方に凸条(蟻溝凸条)を、他方に凸条に摺動自在に嵌り込む蟻溝を設ける。このような形態のスライド機構では、第1駒11が連結部材、第2駒61がスライダー、案内体81がガイド本体、案内体81の左右の側壁内面84、86が連結部材ガイド手段に相当する。
図6及び図7は、本発明の第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100の型閉じ時の断面図及び型開き後の断面図である。図8及び図9は、本発明の第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。図10は、本発明の第3実施形態のアンダーカット処理機構101の構成を示す分解図である。図1及び図2に示す第1実施形態のスライド機構1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第3実施形態の成形用金型100は、公知の射出成形用金型と同様、成形品Pの外面側を成形する固定型600と、成形品Pの内面側を成形する可動型700と、さらにアンダーカット処理機構101とを備える。便宜上、図6の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図6における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
固定型600は、成形品Pの外面側を成形するキャビティ606を有する。可動型700は、成形品Pの内面側を成形するコア712を有する可動側型板711、可動側取付板750、スペーサーブロック751、2枚のエジェクタ台板762、エジェクタピン763、リターンピン765、スプリング767、エジェクタロッド768を備え、エジェクタ台板762、エジェクタピン763及びエジェクタロッド768等でエジェクタ機構760が構成される。このエジェクタ機構760は、一段の突き出し機構である。
成形用金型100は、成形工程、冷却工程を経て型開きを行い、エジェクタ台板762が成形品Pの型抜き方向(図6の上方向,Y方向)である可動側型板711に近づくように移動することでエジェクタピン763によって成形品Pの突き出し動作を行う。なお上記構成及び動作は、公知の成形用金型と同様であるため説明を省略する。
本実施形態においてアンダーカット部P1は、成形品Pの端部から成形品Pの内側に突出した突出部P1であり、成形品Pの型抜き方向(Y方向)に対して交差している。また本実施形態に示す成形品Pは、アンダーカット部P1を抜く方向(X方向)の先に成形品Pの内側に突出した突出部P2を有する。成形品P、突出部P1及び突出部P2の形状は特に限定されるものではなく、成形品Pの素材もプラスチック等の合成樹脂に限らず、鉄や銅、アルミニウム等の金属でも良い。
アンダーカット処理機構101は、成形品Pの成形時にアンダーカット部P1を成形し、エジェクタ機構760と同期し、成形品Pの突き出し時にアンダーカット部P1から外れることで、成形品Pを成形用金型100から型抜き可能とするものである。本実施形態のアンダーカット処理機構101は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
アンダーカット処理機構101は、可動側型板711に埋設、固定されるホルダー121と、成形品Pのアンダーカット部P1を成形する成形コア191を先端に備える摺動駒171と、摺動駒171を摺動可能に保持する保持駒161とを備える。
本実施形態のホルダー121、成形コア191を先端に備える摺動駒171、保持駒161はそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21、第1駒11に相当する。また本実施形態では、摺動駒171がスライダー、ホルダー121がガイド本体、後述の案内溝141がガイド手段、第1案内部145が第1ガイド手段、第2案内部148が第2ガイド手段に該当する。また爪180が係合手段、爪180の第1摺動面が第1係合手段、爪180の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒171とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー121の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー121は、可動側型板711の底面713に臨むように設けられた凹部714に嵌め込まれ、固定板715を介して可動側型板711に埋設、固定される。ホルダー121は、摺動駒171及び保持駒161を収納し、摺動駒171及び保持駒161の移動方向を規制する。ここでホルダー121が摺動駒171及び保持駒161を収納するとは、摺動駒171及び保持駒161全体を収容する他、摺動駒171及び保持駒161を部分的に収容する場合を含む。
ホルダー121は、2つの同一形状の半割ホルダー部材125を組合せてなり、上端面及び下端面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている(図10参照)。ホルダー121は、複数に分割された部材で形成されていてもよく、可動側型板711に一体的に形成されていてもよい。ホルダー121は、左側壁126の内面127、右側壁129の内面130が保持駒161のガイドとして機能し、正面壁内面及び背面壁内面135に摺動駒171をガイドする案内溝141を有する。
案内溝141は、凹溝であり、摺動駒171を第1方向に導く第1案内部145と、摺動駒171を第2方向に導く第2案内部148とを有する。第1案内部145は、成形用金型100の型開き方向(Y方向)に対して傾斜して設けられ、第2案内部148は、成形用金型100の型開き方向(Y方向)と平行に設けられている。第1案内部145と第2案内部148とは繋がっており、第1案内部145の中心軸線M1と第2案内部148の中心軸線M2とは交差する(図10参照)。
第1案内部145は、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒171に取付けられた成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒171を左斜め上(第1方向)に案内する。ここで成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向とは、アンダーカット部P1を変形及び損傷させることなく成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向である。
第1案内部145は、中心軸線M1が成形品Pのアンダーカット部P1の形状、特に、アンダーカット部P1のX方向への突出量と、突き出しピン745のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア191が成形品Pのアンダーカット部P1から外れるように決められる。
第2案内部148は、アンダーカット部P1から外れた成形コア191が、アンダーカット部P1の抜き方向(X方向)の先に位置する突出部P2に衝突しないように成形コア191を案内する。本実施形態において第2案内部148は、成形コア191を型開き方向(第2方向,Y方向)に案内するように設けられている。これにより成形コア191のX方向への移動を防ぎ突起部P2への衝突を回避する。
本実施形態において第2案内部148の中心軸線(案内方向)M2は、成形用金型100の型開き方向(Y方向)に平行に設けられているがこれに限定されるものではない。アンダーカット部P1から外れた成形コア191を突出部P2に衝突させず、またアンダーカット部P1から外れた状態を維持できれば第2案内部148の中心軸線M2は、成形用金型100の型開き方向(Y方向)と同一でなくてもよい。
保持駒161は、直方体形状を有し、底面にエジェクタ台板762に固定された突き出しピン745が連結し、ホルダー121内に収容される。保持駒161は、左側面165及び右側面166をホルダー121の左側壁内面127、右側壁内面130に摺動可能に接し、突き出しピン745に突き出され左側壁内面127及び右側壁内面130に案内され型抜き方向(Y方向)に移動する。
保持駒161は、上面にX方向に延びる凸条(蟻溝凸条)168を備える。凸条168は、アンダーカット部P1を抜く方向と平行に設けられ、摺動駒171の本体175の下端に設けられた蟻溝176が摺動自在に係合し、成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒171を案内する。
摺動駒171は、断面が矩形の直線状の本体175を有し、本体175の先端部には成形コア191が取付けられ、下端には保持駒161の凸条168に摺動可能に係合する蟻溝176が設けられている。保持駒161の凸条(蟻溝凸条)168と摺動駒171の蟻溝176とで摺動自在に連結する蟻溝構造を形成する。また摺動駒171は、正面側の一部、背面側の一部にホルダー121の案内溝141に嵌り込む爪180を有する。爪180は、第1実施形態のスライド機構1の第2駒21に設けられた爪23に相当する。爪180は、断面形状が矩形であり、本体175の中央から下端にかけて正面側及び背面側に突出するように設けられ凸条ということもできる。
爪180の左側面181及び右側面182は、成形コア191がアンダーカット部P1から外れるまでの間、それぞれがホルダー121に設けられた案内溝141の第1案内部145の左側面146、右側面147に接する。また爪180の上側面183、下側面184は、アンダーカット部P1から外れた成形コア191を型抜き方向(Y方向)に案内すべく、ホルダー121に設けられた案内溝141の第2案内部148の左側面149、右側面150に接する。爪180の対向する左側面181及び右側面182が第1摺動面を、爪180の対向する上側面183及び下側面184が第2摺動面を構成する。
成形コア191は、アンダーカット部P1を含む成形品Pの一部に沿った形状のブロック部材であり、摺動駒171の上端面にネジ止め等で固定されている。成形コア191の形状は、成形品Pの形状に応じて決められる。なお成形コア191は、摺動駒171に一体的に形成されていてもよい。
次に、成形用金型100において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型100の動作、作用を説明する。成形品Pの成形時には、摺動駒171がホルダー121内に収容され、成形コア191が成形品Pのアンダーカット部P1を成形するように位置する(図6参照)。成形用金型100は、固定型600と可動型700とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成され、溶融材料が射出され成形品Pの成形が行われる。
溶融材料の射出、冷却の各工程が終了すると、型開き、成形品Pの取り出し工程に移行する。型開き、取り出し工程における成形用金型100の動作は次の通りである。
型開き後(図7参照)、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド768が押し出され、エジェクタ台板762が上方(Y方向)に移動する。これに伴いエジェクタ台板762上に立設したエジェクタピン763が成形品PをY方向に突き出す(図8参照)。
同時にホルダー121に収容された保持駒161が突き出しピン745に突き出されエジェクタピン763と同量Y方向へ移動する。保持駒161のY方向への移動に伴って、摺動駒171は、爪180の第1摺動面をホルダー121に設けられた案内溝141の第1案内部145の左側面146、右側面147に摺動させながら、図6に示す成形位置からホルダー121の第1案内部145に沿って移動する。これにより成形コア191は、Y方向及びX方向へ同時に移動しアンダーカット部P1から遠ざかる。
エジェクタ台板762が型締め状態からΔH1だけ上昇すると、摺動駒171の爪180の上側面183がホルダー121に設けられた案内溝141の第2案内部148の左側面149に接する。この時点で摺動駒171に取付けられた成形コア191は、アンダーカット部P1から完全に外れる(図8参照)。このとき摺動駒171は、爪180の上側面183がホルダー121の第2案内部148の左側面149に接し、かつ爪180の右側面182が、ホルダー121に設けられた案内溝141の第1案内部145の右側面147から外れている。
エジェクタ台板762が型締め状態からΔH1だけ上昇した時点で、成形品Pは取り出し可能な位置まで達していない(図8参照)。このためエジェクタ台板762は、引き続き上昇し、エジェクタピン763は、成形品Pの内側に接した状態で引き続き成形品Pを突き出す。保持駒161も同じように上昇し、摺動駒171は、爪180の第2摺動面をホルダー121に設けられた案内溝141の第2案内部148の左右側面149、150に摺動させながら上昇する。
ホルダー121の案内溝141の第2案内部148は、中心軸線M2がY方向に平行であるため成形コア191は、+X方向、-X方向に移動することなく上昇する。成形品Pには、アンダーカット部P1の抜き方向(+X方向)の先に突出部P2を有するが、成形コア191は、+X方向には移動しないので成形コア191が突出部P2に衝突することはない。さらに成形コア191は、-X方向にも移動しないので成形品Pを取り出す際にアンダーカット部P1が成形コア191に引っ掛かることもない(図9参照)。これにより成形品Pを損傷させることなく取り出すことができる。
成形品Pの取り出し後、次の成形品Pを成形すべく、再度、成形用金型100の型締めが行われる。型締め時には、可動型700全体が図9の上方向に移動するとともに、エジェクタ台板762が図9の下方向に移動する。アンダーカット処理機構101は、可動型700の移動に連動して、保持駒161が先とは逆向きに移動し、成形コア191の上面がコア712の上面と面一になる。型締めが完了すると、成形材料が射出され、次の成形品Pが成形される。成形用金型100の型開き状態から型締めへの動きは、従来のアンダーカット処理機構を備える成形用金型と基本的に同じである。
以上のように成形用金型100、アンダーカット処理機構101は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形用金型100の成形品Pの取り出し操作に連動して保持駒161がホルダー121内を摺動しながら上昇し、摺動駒171がホルダー121にガイドされ成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように移動するので容易にまた確実にアンダーカット部P1を抜くことができる。
さらに成形用金型100、アンダーカット処理機構101は、アンダーカット部P1を抜くように成形コア191を移動させた後に、さらに成形品Pの取り出し操作と連動し、成形コア191を型抜き方向(Y方向)に移動させるのでアンダーカット部P1を抜いた先に突出部P2を有するような成形品Pであっても容易にまた確実に型抜きすることができる。
またアンダーカット処理機構101は、摺動駒171及び保持駒161をホルダー121内に収納した状態で成形用金型100に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型100への取付けが容易である。特にホルダー121、保持駒161、摺動駒171及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構101をユニットとすれば、成形用金型100への取付けがより容易となる。
図11及び図12は、本発明の第4実施形態のゲート切断機構201を備える成形用金型200の型閉じ時の断面図及び型開き途中の断面図である。図13、図14及び図15は、本発明の第4実施形態のゲート切断機構201を備える成形用金型200の型開き途中の断面図、型開き後の断面図及び成形品Pの突き出し途中の断面図である。図16は、本発明の第4実施形態のゲート切断機構201の構成を示す分解図である。図6~図10に示す本発明の第3実施形態の成形用金型100及びアンダーカット処理機構101と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
成形用金型200は、成形用金型100と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型602と、成形品Pの内面側を成形する可動型702と、さらにゲートGを切断するゲート切断機構201を備える。便宜上、図11の固定型602側を上、可動型702側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図11における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
固定型602は、第3実施形態の固定型600と同様に、成形品Pの外面を形成するキャビティ606を備える固定側型板605を有する。固定側型板605は、キャビティ606に隣接してゲート切断機構201を収容する収容部608を有する。収容部608は、固定側型板605を上下方向に貫通するように設けられている。また固定側型板605は、底面610に後述の可動駒205を進退させるスプリング218が嵌る凹部612を有する。
可動型702は、可動型700と同様に成形品Pの内面を形成するコア712を備える可動側型板711を有する。可動側型板711は、可動駒205が嵌り込む収容部720を有する。可動駒205が、収容部720に嵌り込むことでランナーRが形成される。また可動側型板711には、成形品Pを押出す(突き出す)エジェクタピン763が挿通する挿通孔の他に、ゲートG切断後のランナーRに残された材料を押出す(突き出す)エジェクタピン746が挿通する挿通孔が設けられている。
可動駒205は、直方体形状を有し、ホルダー221の下部が嵌り込む上面に臨む凹部208を有する。また可動駒205は、連結ピン215を取付けるための底部から上部へ向かう凹部210、さらに可動駒205の上面から凹部210につながる貫通孔を有する。貫通孔の直径は、凹部210の直径よりも小さく設定されている。
可動駒205は、連結ピン215を介して固定側型板605に連結されている。連結ピン215は、凹部210につながる貫通孔よりも直径の小さいピン本体の先端部に凹部210の直径より小さい鍔216を有する。連結ピン215は、鍔216が凹部210内に位置するように凹部210につながる貫通孔に挿通され、基端部が凹部612の底に固定されている。可動駒205を押し出すスプリング218は、連結ピン215に挿通され、下端を可動駒205の上面206に接し、凹部612に収容されるように取付けられる。
収容部720は、正面視において略矩形の凹部であり(図15参照)、収容部720の底面722の左側には、ランナーRを形成する凹部724が設けられている(図15参照)。さら収容部720の左上端と接するコア712には、カッター291の先端部293を保護する緩衝材212が取付けられている(図15参照)。緩衝材212は、軟鉄などカッター291の先端部293に比較して柔らかい材料からなる。
ゲート切断機構201は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを切断する装置であり、成形用金型200の型開きに連動してカッター291でゲートGを切断し、ゲートGを切断したカッター291をゲートGから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート切断機構201は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート切断機構201は、ゲートGを切断するカッター291と、カッター291と連結しカッター291をスライドさせる摺動駒271と、摺動駒271を摺動可能に保持する保持駒261と、保持駒261を進退可能に収容するホルダー221とを備える。
本実施形態の摺動駒271、保持駒261、ホルダー221は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、摺動駒271がスライダー、ホルダー221がガイド本体、後述の案内溝241がガイド手段、第1案内部245が第1ガイド手段、第2案内部248が第2ガイド手段に該当する。また爪280が係合手段、爪280の第1摺動面が第1係合手段、爪280の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒261と摺動駒271とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒261は、連結部材に該当し、ホルダー221の左右の側壁内面227、230は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー221は、保持駒261を進退可能に収容し、保持駒261を上下方向に案内する。さらにホルダー221は、摺動駒271に取付けられたカッター291がゲートGを切断するように案内すると共に、ゲートGを切断したカッター291をゲートGから遠ざけるように案内する。ホルダー221は、2つの同一形状の半割ホルダー部材225を組合せてなり、上面及び下面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー221は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、固定側型板605に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー221は、摺動駒271を第1方向及び第1方向に続き第2方向に案内する点において第3実施形態のホルダー121と共通する。一方で、ホルダー221は、カッター291を備える摺動駒271を摺動自在に収容するため、第3実施形態のホルダー121と形態が異なる。
ホルダー221は、左側壁226が背面壁234に比較して短く左側面の下方は開口している。この開口部は、カッター291の出入口となる。また左側壁226の下部には内側に突出した段差部228が設けられている。また右側壁229の下部にも内側に突出した段差部231が設けられている。左側壁内面227、右側壁内面230は、保持駒261のガイドとして機能し、左右の段差部228、231は、保持駒261のストッパーとして機能する。ホルダー221の正面壁内面及び背面壁内面235には、第3実施形態のホルダー121と同様に摺動駒271をガイドする案内溝241を有する。
案内溝241は、凹溝であり、背面壁内面235を正面に見て、くの字状である(図16参照)。案内溝241は、摺動駒271を第1方向に導く第1案内部245と、摺動駒271を第2方向に導く第2案内部248とを有する。第1案内部245は、上部が下部に比較して右側に位置し右斜め上方向に傾斜して設けられ、第2案内部248は、上部が下部に比較して左側に位置し左斜め上方向に傾斜する。第1案内部245と第2案内部248とは繋がっており、第1案内部245の中心軸線M1と第2案内部248の中心軸線M2とは交差する(図16参照)。
第1案内部245は、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒271に連結するカッター291がゲートGを切断するように摺動駒271を案内する。一方、第2案内部248は、エジェクタ機構760と同期して、ゲートGを切断したカッター291がゲートGから遠ざかるように摺動駒271を案内する。
ホルダー221は、左側壁226の下端が、固定側型板605の底面610と面一となるように収容部608に取付けられている。このためカッター291の出入口を含むホルダー221の下部は、固定側型板605の底面610から下方に突出している。ホルダー221のうち固定側型板605の底面610から下方に突出している部分は、型閉じ時には可動駒205の凹部208に収容可能に構成されている。
保持駒261は、直方体形状を有し、底面にX方向に延びる凸条(蟻溝凸条)268を備える。凸条268には、摺動駒271の本体275の上端に設けられた蟻溝276が摺動自在に係合し、摺動駒271に取付けられたカッター291を+X方向、-X方向に案内する。また保持駒261は、上面262に臨む凹部263を有する。凹部263は、保持駒261を下方に突き出すスプリング270の収容部であり、2個設けられている。
保持駒261は、左側面265及び右側面266をホルダー221の左側壁内面227、右側壁内面230に摺動可能に接し、成形用金型200の型開き、型閉じに連動し、型抜き方向(Y方向)に進退する。
摺動駒271は、断面が矩形の直線状の本体275を有し、本体275の中央部にはカッター291が取付けられ、上端には保持駒261の凸条268に摺動可能に係合する蟻溝276が設けられている。保持駒261の凸条(蟻溝凸条)268と摺動駒271の蟻溝276とで摺動自在に連結する蟻溝構造を形成する。また摺動駒271は、ホルダー221の案内溝241に嵌り込む爪280を有する。爪280は、本体275の中央部に正面側及び背面側に突出するように設けられており、凸条ということもできる。
爪280の左側面281及び右側面282は、カッター291がゲートGを切断するまでの間、それぞれがホルダー221の第1案内部245の左側面246、右側面247に接する第1摺動面である。また爪282の上側面283、下側面284は、ゲートGを切断したカッター291をゲートGから遠ざけるべくホルダー221の第2案内部248の右側面250、左側面249に接する第2摺動面である。
カッター291は、棒状であり基端側が摺動駒271に固定され、先端部293にゲートGを切断する刃が設けられている。カッター291は、摺動駒271に対して着脱可能に取付けられている。カッター291を摺動駒271と一体的に形成してもよいが、カッター291を摺動駒271に対して着脱可能とすれば、刃が摩耗したときもカッター291のみを交換することができるので好ましい。
以上からなるゲート切断機構201は、カッター291が摺動駒271に取付けられ、摺動駒271の蟻溝276が保持駒261の凸条268に嵌め込まれた状態でホルダー221に組み込まれる。このとき摺動駒271の爪281は、ホルダー221の案内溝241に嵌り込んでおり、カッター291は、ホルダー221の左側面開口部から突出している。各駒及びスプリング270が組み込まれたゲート切断機構201は、固定側型板605に設けられた収容部608に嵌め込まれ、固定板615を介して固定側型板605に固定される。
次に、成形用金型200において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型200及びゲート切断機構201の動作、作用を説明する。
型閉じ状態で可動駒205は、上面206が固定側型板605の底面610に接し、底面207が可動側型板711に設けられた収容部720の底722に接している。これによりランナーRが形成される。ゲート切断機構201は、ホルダー221の底部及び摺動駒271の底部が可動駒205の凹部208の底面に接触し、摺動駒271は、ホルダー221に対して最も上昇した位置にある。このとき爪280は、第1案内部245に位置しており、カッター291の先端部293は、ゲートGから僅かに右側に位置している(図11参照)。
型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、ホルダー221の底面と可動駒205の凹部208の底面との間に隙間(空間)ができる。これによりスプリング270が伸長し保持駒261が下方に押し出される。保持駒261に摺動自在に連結する摺動駒271は、第1摺動面をホルダー221に設けられた案内溝241の第1案内部245に摺動させ、第1案内部245に沿って下降する。第1案内部245は、左下に傾斜しているので摺動駒271に取付けられたカッター291は、下降しつつX方向へ移動する。
型開きに連動して摺動駒271が下降し、爪280の下部側面284が案内溝241の第2案内部248の左側面249に接したとき、ゲートGがカッター291で完全に切断される(図12参照)。さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、摺動駒271は、第2摺動面を案内溝241の第2案内部248に摺動させ、第2案内部248に沿って移動し、カッター291は、ゲートGから離れるように-X方向に移動する(図13参照)。保持駒261の底部がホルダー221の左右の段差部228、231に接すると、摺動駒271の降下及びカッター291の移動も停止する。
連結ピン215の鍔216が可動駒205の凹部210の天井面に接すると、可動駒205は固定型602と一体化され、以降、ホルダー221と可動駒205との位置関係は固定される。可動駒205と可動側型板711との間に、ランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保されると(図14参照)、エジェクタ台板762が上昇する。これにより成形品Pは、エジェクタピン763に突き出され、ランナーRに残った樹脂は、エジェクタピン746で突き出される(図15参照)。
図17は、本発明の第4実施形態の成形用金型200のゲート切断機構201の変形例であるゲート切断機構202の構成を示す分解図である。図16に示すゲート切断機構201と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート切断機構202とゲート切断機構201との相違点は、ホルダー221に設けられた案内溝241の第1案内部の形状にあり、それに対応するように摺動駒271の爪280の第1摺動面である左側面285及び右側面286の形状もゲート切断機構201のものと異なる。
ゲート切断機構201の案内溝241の第1案内部245は、中心軸線M1及び左右の側面246、247が直線状であるのに対して、ゲート切断機構202の案内溝241の第1案内部252は、中心軸線M1及び左右の側面253、254が僅かに湾曲している。それに合わせて摺動駒271の爪280の第1摺動面である左側面285及び右側面286も湾曲している。
ゲート切断機構202の案内溝241の第2案内部248は、ゲート切断機構201と同様に直線状であるが、第2案内部248も湾曲していてもよい。以上のように案内溝241の第1案内部及び第2案内部は、直線であっても曲線であってもよく、直線と曲線とが組み合わさったものであってもよい。
以上のように成形用金型200、ゲート切断機構201、202は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。またゲートGを切断したカッター291は、型開きに連動してゲートGを切断した後にゲートGから遠ざかるように移動するので成形品Pの取り出しのじゃまにならない。
さらに成形用金型200は、型開きに連動して可動駒205を移動させ、ランナーに残った材料を取り除くことができるので使い勝手がよい。またゲート切断機構201、202は、摺動駒271及び保持駒261をホルダー221内に収納した状態で成形用金型200に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型200への取付けが容易である。特にホルダー221、保持駒261、摺動駒271及びカッター291を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構201、202をユニット化すれば、成形用金型200への取付けがより容易となる。
図18~図22は、本発明の第5実施形態のゲート切断機構301を備える成形用金型300の動作を説明するための図である。図23は、本発明の第5実施形態のゲート切断機構301の構成を示す分解図である。図1及び図2に示す本発明の第1実施形態のスライド機構1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図18の成形品P側を上、成形用金型300側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図18における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
成形用金型300は、ゲートGを切断するゲート切断機構301を備える。ゲート切断機構301は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを切断する装置であり、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。成形用金型300は、成形用金型300の収容部305に組み込まれている。収容部305は、成形用金型300を上下に貫通するように設けられ、底部が他の部材で塞がれている。
ゲート切断機構301は、ゲートGを切断する第1カッター391と、第2カッター395と、第1カッター391を備える摺動駒371と、摺動駒371を摺動可能に保持する保持駒361と、保持駒361を進退可能に収容するホルダー321とを備える。
本実施形態の摺動駒371、保持駒361、ホルダー321は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、摺動駒371がスライダー、ホルダー321がガイド本体、案内溝38がガイド手段、第1案内部39が第1ガイド手段、第2案内部42が第2ガイド手段に該当する。また爪23が係合手段、爪23の第1摺動面が第1係合手段、爪180の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒361と摺動駒371とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒361は、連結部材に該当し、ホルダー321の左側壁内面327、中央駒310の左側面311は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー321は、摺動駒371を第1方向及び第1方向に続き第2方向に案内する点、及び保持駒361を型抜き方向(Y方向)に案内する点において第1実施形態のスライド機構1の案内体31と共通する。一方で、ホルダー321は、中央部にランナーRを備える中央駒310が取付けられており案内体31と構造が異なる。
ホルダー321は、横断面がコ字状のコ字部材322とコ字部材322の正面(前面)を塞ぐ正面壁となる平板(図示省略)とで構成され、上面及び下面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー321は、他の実施形態のように2つの同一形状の半割ホルダー部材を組合せて形成されていても複数の部材に分割して形成されていてもよく、成形用金型300に一体的に形成されていてもよい。
コ字部材322は、矩形の背面壁334の両端部に側壁326、329を備える。中央駒310は、横断面が矩形の直線状の部材であり、コ字部材322の背面壁内面335に右寄りに取付けられている。コ字部材322の左側壁内面327と中央駒310の左側面311とは平行であり、コ字部材322の右側壁内面330と中央駒310の右側面312とは平行である。
コ字部材322の左側壁内面327と中央駒310の左側面311は、保持駒361のガイドとして機能し、コ字部材322の右側壁内面330と中央駒310の右側面312は、第2カッター395のガイドとして機能する。またコ字部材322の背面壁内面335及びコ字部材322の正面を塞ぐ正面壁内面(図示省略)には、背面壁内面335を正面に見て逆くの字状の案内溝38が設けられている。この案内溝38は、第1実施形態のホルダー31に設けられた案内溝38と基本構成を同じくし、摺動駒371をガイドする。
案内溝38の第1案内部39は、摺動駒371に設けられた第1カッター391がゲートGを切断するように摺動駒371を案内する。一方、第2案内部42は、ゲートGを切断した摺動駒371に設けられた第1カッター391がゲートGから遠ざかるように摺動駒371を案内する。
保持駒361は、直方体形状を有し、正面壁363及び背面壁の上部に摺動駒371の下端に設けられた蟻溝376の爪377が摺動自在に係止する係止溝367を備える。係止溝367は、保持駒361の上面からわずか下方に、左端から中央部かけてX方向に平行に設けられる第1係止溝368と、第1係止溝368に続く右斜め下に伸びる第2係止溝369とを備える。保持駒361のうち第1係止溝368を含む上部は、凸条(蟻溝凸条)となっている。
保持駒361は、左側面365及び右側面366をホルダー321の左側壁内面327、中央駒310の左側面311に摺動可能に接し、突き出しピン745を介してY方向に突き出される。
中央駒310は、上部にゲートGに繋がるランナーRを備える。中央駒310の左右の上端は、傾斜面313、314となっている。左傾斜面313は、第1カッター391の傾斜面と同じ角度であり、右傾斜面314は、第2カッター395の先端部の傾斜面と同じ角度である(図18参照)。また中央駒310には、成形品Pを取り出した後にランナーRに残る材料を取り出すエジェクタピン746が連結する。
摺動駒371は、正面視において右側が傾斜した略三角形の本体375を有し、本体375の右上端に第1カッター391を備え、下端には保持駒361の係止溝367に摺動可能に係止する蟻溝376が設けられている。保持駒361の凸条(蟻溝凸条)と摺動駒371の蟻溝376とで摺動自在に連結する蟻溝構造を形成する。また摺動駒371は、ホルダー321の案内溝38に嵌り込む爪23を有する。爪23は、本体375の正面側及び背面側の下部に突出するように設けられており、凸条ということもできる。この爪23は、第1実施形態のスライド機構1の第2駒21に設けられた爪23と基本構成を同じくし、案内溝38の第1案内部39に摺動自在に接する第1摺動面、及び案内溝38の第2案内部42に摺動自在に接する第2摺動面を備える。
第1カッター391は、摺動駒371の本体375の右上端部に本体375と一体的に設けられ、先端部393がゲートGを切断する刃となっている。本実施形態では、摺動駒371と第1カッター391とが一体的に形成されているが、摺動駒371と第1カッター391とを別体とし、これらを連結してもよい。
第2カッター395は、断面が矩形の棒状体であり、左上端部にゲートGを切断する刃396が設けられている。第2カッター395の横幅W3は、ホルダー321の中央駒310の右側面312とホルダー321の右側壁内面330との間隔W4と略同一であり、第2カッター395をホルダー321に嵌め込むと、左側面397が中央駒310の右側面312に、また右側面398がホルダー321の右側壁内面330と摺動可能に接触する。第2カッター395の底面には、突出しピン747が連結される。
以上からなるゲート切断機構301は、摺動駒371の蟻溝376の爪377が保持駒361の係止溝367に嵌め込まれた状態でホルダー321に組み込まれる。また第2カッター395が、ホルダー321に組み込まれ、成形用金型300に設けられた収容部305に嵌め込まれ固定される。
次に、本実施形態の成形用金型300及びゲート切断機構301の動作、作用を説明する。
成形時、保持駒361は、ホルダー321の最下端に位置し、保持駒361に摺動自在に連結する摺動駒371も最も下がった位置にある。第1カッター391と第2カッター395との間隔は最も大きく離れ、第1カッター391及び第2カッター395は、ともにゲートGから離れた位置にある(図18参照)。
成形品Pの取り出しに伴い突き出しピン745、747及びエジェクタピン746が同時に同じ距離だけ突き上げられる。このとき右上先端部に第1カッター391を備える摺動駒371は、爪23の第1摺動面を案内溝38の第1案内部39に摺動させ、第1案内部39に案内され右上に移動する。一方、第2カッター395は、中央駒310の右側面312及びホルダー321の右側壁内面330に案内され、Y方向に移動する。
これにより第1カッター391が右側(-X方向)に移動し、第1カッター391と第2カッター395とでゲートGを切断する。このとき摺動駒371は、蟻溝376の爪377が保持駒361の第1係止溝368の最も右側に位置している。また摺動駒371の爪23は、案内溝38の第1案内部39に位置している(図19参照)。
さらに突き出しピン745、747及びエジェクタピン746が突き上げられると、成形品Pは、第2カッター395により押上げられ、ゲートGが切断されたランナーRもエジェクタピン746で押上げられる。一方、摺動駒371は、案内溝38の第1案内部39に案内され右上に移動しつつ、蟻溝376の爪377が保持駒361の第2係止溝369に入る。第2係止溝369は右下向きゆえ、第1カッター391は第2カッター395に比較して上向き方向(Y方向)の移動量が減少する。このため第1カッター391の先端部393は、第2カッター395の刃396の下に潜り込むよう移動する(図20参照)。これによりゲートGを確実に切断することができる。
さらに突き出しピン745、747及びエジェクタピン746が突き上げられると、摺動駒371は、爪23が案内溝38の第2案内部42に入る。第2案内部42は、左上向きゆえ、爪23が案内溝38の第2案内部42に入ると、蟻溝376の爪377が保持駒361の第1係止溝368に入る。これにより第1カッター391と第2カッター395との位置が揃い、成形品Pは、第1カッター391及び第2カッター395により押上げられる。同時にゲートGが切断されたランナーRに残る材料(成形材料)もエジェクタピン746で押上げられる(図21参照)。その後、摺動駒371は、案内溝38の第2案内部42に案内され左上方向に移動するため第1カッター391が第2カッター395から離れる(図22参照)。
以上の動作より成形品Pは、成形用金型300から取出し可能となり、ゲートGが切断されランナーRに残った成形材料もランナーRから取り除かれる。
以上のように成形用金型300、ゲート切断機構301は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しと連動して、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。さらに成形用金型300は、ランナーRに残った材料を取り除くことができるので使い勝手がよい。
またゲート切断機構301は、第1カッター391を備える摺動駒371、第2カッター395、保持駒361をホルダー321内に収納した状態で成形用金型300に組込むことができるのでコンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型300への取付けが容易である。特に、第1カッター391を備える摺動駒371、第2カッター395、保持駒361及びホルダー321を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構301をユニット化すれば、成形用金型300への取付けがより容易となる。
図24は、本発明の第6実施形態のゲート切断機構401を備える成形用金型400の型閉じ時の要部断面図である。図25及び図26は、本発明の第6実施形態のゲート切断機構401を備える成形用金型400の型開き途中の要部断面図である。図27は、本発明の第6実施形態のゲート切断機構401の構成を示す分解図である。図11~図17に示す本発明の第4実施形態のゲート切断機構201を備える成形用金型200と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
成形用金型400は、第4実施形態の成形用金型200と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型603と、成形品Pの内面側を成形する可動型703と、さらにゲートGを切断するゲート切断機構401を備える。便宜上、図24の固定型603側を上、可動型703側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図24における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
固定型603は、第4実施形態の固定型602と同様に、成形品Pの外面を形成するキャビティ606を備える固定側型板605を有する。固定側型板605は、キャビティ606に隣接してゲート切断機構401を収容する収容部608を有する。収容部608は、固定側型板605を上下方向に貫通するように設けられ、上部に段差を有する。固定側型板605の収容部608の右横底面には、摺動駒471を案内するガイト駒630が取付けられている。
可動型703は、第4実施形態の固定型702と同様に、成形品Pの内面を形成するコア712を備える可動側型板711を有する。可動側型板711のうち成形品PにつながるゲートG、ランナーRを形成する部分は、凹部となっており、固定側型板605の底面610との間に空間が形成される。
ゲート切断機構401は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを切断する装置であり、ゲートGを切断するカッター491と、カッター491と連結しカッター491をスライドさせる摺動駒471と、摺動駒471を摺動可能に保持する保持駒461と、保持駒461を進退可能に収容するホルダー421と、成形品Pを押える可動駒405とを備える。本実施形態のゲート切断機構401は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
本実施形態の可動駒405、保持駒461、ホルダー421は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、可動駒405がスライダー、ホルダー421がガイド本体、後述の第1案内溝441がガイド手段、第1案内部445が第1ガイド手段、第2案内部448が第2ガイド手段に該当する。また凸条412、413、414(図示省略)、415が係合手段、凸条412、413、414(図示省略)、415の第1摺動面が第1係合手段、凸条412、413、414(図示省略)、415の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒461と可動駒405とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒461は、連結部材に該当し、ホルダー421の左右の側壁内面427、430は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー421は、断面がコ字状の2つの同一形状の半割ホルダー部材425を組合せてなり、上面及び下面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー421は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、固定側型板605に一体的に形成されていてもよい。ホルダー421は、第1実施形態のスライド機構1の案内体31に対応する部材であり、第1実施形態のスライド機構1の第2駒21に対応する可動駒405を案内体31と同様に第1方向及び第1方向に続き第2方向に案内する。
さらにホルダー421は、第1実施形態のスライド機構1の第1駒11に相当する保持駒461を進退可能に収容し、保持駒461を上下方向に案内する。またホルダー421は、摺動駒471に取付けられたカッター491がゲートGを切断するように案内すると共に、ゲートGを切断したカッター491をゲートGから遠ざけるように案内する。
ホルダー421は、左側壁426が背面壁434に比較して短く、左側面の下方は開口している。この開口部は、カッター491及び可動駒405の押え407の出口となる。右側壁429も背面壁434に比較して短く、右側面の下方は開口している。また右側壁429の下部には内側に突出した段差部431が設けられている。左側壁内面427、右側壁内面430は、保持駒461のガイドとして機能し、右の段差部431は、保持駒461のストッパーとして機能する。また右側壁429の段差部431の内側は、右下りの傾斜面432となっている。
ホルダー421の正面壁内面(図示省略)及び背面壁内面435には、第1実施形態の案内体31と同様に、可動駒405をガイドする第1案内溝441を有する。第1案内溝441は、凹溝であり、可動駒405を第1方向に導く第1案内部445と、可動駒405を第2方向に導く第2案内部448とを有する。第1案内部445は、左側壁426に沿うように左側壁426と平行に設けられ、可動駒405をY方向(第1方向)に案内する。第2案内部448は、右斜め下に傾斜するように上下方向に2つ配置され、可動駒405を右斜め下(第2方向)に案内する。上下方向に配置された2つの第2案内部448の軸線方向は平行であり、第1案内部445の軸線方向と交差する。第2案内部448は、第1案内部445に繋がるように設けられている(図27参照)。
またホルダー421の正面壁内面(図示省略)及び背面壁内面435には、摺動駒471をガイドする第2案内溝452を有する。第2案内溝452は、凹溝であり、上部が中央左側に、下部が右側壁429の下方に位置するように傾斜している。第2案内溝452は、摺動駒471に連結するカッター491がゲートGを切断するように摺動駒471を案内し、さらにゲートGを切断したカッター491がゲートGから遠ざかるように摺動駒471を案内する。
ホルダー421は、型締め状態においてカッター491の上面495が固定側型板605の底面610と面一となるように係止ピン455を介して収容部608に取付けられる。このためカッター491の出入口を含むホルダー421の下部は、固定側型板605の底面610から下方に突出している(図25参照)。
保持駒461は、直方体形状を有し、底面のZ方向中央にX方向に延びる蟻溝条467を備える。また蟻溝条467を挟み、正面側及び背面側にそれぞれX方向に延びる凸条(蟻溝凸条)468、469を備える(図27参照)。蟻溝条467には、摺動駒471に設けられた凸条(蟻溝凸条)476が摺動自在に、凸条468、469には、可動駒405に設けられた前後の爪408、409がそれぞれ摺動自在に嵌り込む。また保持駒461は、上面462に臨むようにスプリング470を収容する凹部463を有する。スプリング470は、保持駒461を下方に突き出す。
保持駒461は、左側面465及び右側面466をホルダー421の左側壁内面427、右側壁内面430に摺動可能に接し、成形用金型400の型開き、型閉じに連動し、型抜き方向(Y方向)に進退する。
摺動駒471は、直方体形状部472と、直方体形状部472の右端に繋がる正面視において三角形状を有する三角形状部473と、直方体形状部472の上面478及び三角形状部473の左側面に繋がる角柱形状部474とを備える本体475を有する。直方体形状部472の左端には、ランナーRを形成する凹部477が設けられている。また直方体形状部472の上面478の中央部には、カッター491を取付けるための取付部479が設けられている。
本体475の三角形状部473は、正面視において上部に比較して下部が広い三角形状を有し、直方体形状部472に直交配置されている。三角形状部473の上端は、直方体形状部472の上面478よりも上方に位置し、三角形状部473の底面は、直方体形状部472の底面と面一となっている。三角形状部473の正面及び背面の右端には、三角形状部473の右側面に沿うように凸条480が設けられている。この凸条480は、ホルダー421に設けられた第2案内溝452に摺動自在に嵌り込む。
本体475の三角形状部473の右側底部には、正面視において三角形の突出部481が設けられている。この突出部481は、左側面482が傾斜面となっており、可動側型板711に取付けられた引張駒730に係止する係止爪として機能する。
本体475の角柱形状部474の上端は、三角形状部473の上端と同じ高さであり、本体475の角柱形状部474の上端には上部に突出する凸条(蟻溝凸条)476が設けられている。凸条476は、X方向に平行に設けられている(図27参照)。本体475の角柱形状部474の幅(Z方向)は、直方体形状部472及び三角形状部473の幅(Z方向)よりも狭くなっている。
カッター491は、平板状であり、先端部側にゲートGを形成する貫通孔492が設けられている。貫通孔492は、ランナーRにつながる側に比較してキャビティ部につながる側が小さく先細り形状となっており、左側面はゲートGを切断する刃となっている。キャビティ部側に比較してランナーR側が広くなるように傾斜した部分は、ゲートGが切断されたランナーRに残る成形材料の退避スペースとなる。これらによりゲートGを確実にまたきれいに切断することができる。
カッター491は、基端部493が摺動駒471の直方体形状部472の上面478に設けられた取付部479に固定される。カッター491は、摺動駒471に取付けられると、貫通孔492が直方体形状部472の左端に設けられた凹部477の上に位置し、貫通孔492と凹部477とが連通する。これによりランナーR、ゲートG、さらにはキャビティ部につながる流路が形成される。
可動駒405は、摺動駒471に取付けられたカッター491がスライドし、ゲートGを切断するとき、成形品Pがカッター491に引っ張られ移動しないように、ゲートG近傍の成形品Pを押え付けるものである。可動駒405は、角柱状の本体406を有し、本体406の下部に左側に突出する押え407が本体406と一体的に設けられている。押え407は、平板状である。
可動駒405の本体406の上部には、上面から突出する前後一対の爪408、409が設けられている。爪408は、正面壁410の上部にX方向に平行に、爪409は、背面壁411の上部にX方向に平行に設けられている。保持駒461の凸条468、469と可動駒405の爪408、409とで摺動自在に連結する蟻溝構造を形成する。また可動駒405の本体406の右側面には、摺動駒471の角柱形状部474が摺動自在に嵌り込む凹部416が設けられている。
可動駒405の正面壁410には、上下に凸条412、413が、背面壁411にも上下に凸条414(図示省略)、凸条415が設けられている。凸条412と凸条414(図示省略)とは同じ形状で同じ位置・角度に設けられている。同様に、凸条413と凸条415とは同じ形状で同じ位置・角度に設けられている。
上下に配置される凸条412、413、414(図示省略)、415は、第4実施形態のゲート切断機構201の爪280に相当する部材であり、第1案内溝441に摺動自在に嵌り込む。各凸条の左右の壁面が第1摺動面を、各凸条の上下の壁面が第2摺動面を構成する。凸条413を用いて説明すれば左側面417、右側面418が第1摺動面を、上側面419、下側面420が第2摺動面となる。
以上からなるゲート切断機構401は、保持駒461の蟻溝467に、カッター491が取付けられた摺動駒471の凸条476が嵌め込まれ、さらに保持駒461の前後の凸条468、469に係合するように可動駒405の爪408、409が嵌め込まれる。この状態で可動駒405の凹部416に摺動駒471の角柱形状部474を嵌め込むと、可動駒405の押え407の底面が摺動駒471の角柱形状部474の上面478及びカッター491の上面495に摺動自在に接する。
保持駒461と摺動駒471と可動駒405とが連結された状態で、これらがホルダー421に組み込まれ、固定型603の収容部608に固定される。
次に、成形用金型400において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型400及びゲート切断機構401の動作、作用を説明する。
型閉じ状態で摺動駒471は、カッター491の先端が可動側型板711に設けられた凹部726に嵌り込み、摺動駒471の本体475底面は、可動側型板711の上面に接している。さらに摺動駒471に設けられた係止爪481は、引張駒730に係止し、摺動駒471の右側面下部は、ガイド駒630と接している。また可動駒405は、本体406の左側面がホルダー421の左側壁内面427に、右側面が摺動駒471の三角形状部473の左側面に接し、押え407の先端は、キャビティ内に位置する(図24参照)。摺動駒471の凸条480は、第2案内溝452に嵌り込み、可動駒405の凸条412、413、414(図示省略)、415は、第1案内溝441の第1案内部445に嵌り込む。
この状態でランナーR、ゲートG、キャビティ部が連通する。キャビティ部は、型閉じ状態で固定型603のキャビティ606と可動型703のコア712とで形成される成形品Pを成形する空間である。型閉じ状態で、図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、固定型603に設けられたスプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填される。保圧、冷却工程を経て成形品Pの取り出しとなるが、型開き及び成形品Pの取出しは以下の要領で行われる。
可動型703が後退し型開きが開始されると、保持駒461は、スプリング470により下方(-Y方向)に押し出される。保持駒461に摺動自在に連結する摺動駒471は、第2案内溝452に案内されホルダー421に対して右斜め下に移動する。これにより摺動駒471に取付けられたカッター491は、可動側型板711に対して-X方向にスライドし、貫通孔492に設けられた刃がゲートGを横切り、成形品PにつながるゲートGを切断する(図25参照)。
このとき保持駒461に摺動自在に連結する可動駒405は、ホルダー421に設けられた第1案内溝441の第1案内部445に案内され下方(-Y方向)に移動する。可動駒405は、摺動駒471と異なり+X方向,-X方向には移動しないので、成形品Pとの関係では型締め時と同じ状態である(図25参照)。
以上によりゲートGは、成形品Pが可動駒405の押え407により押え付けられた状態で切断することができる(図25参照)。またカッター491が右方向(-X方向)にスライドすることで、貫通孔492が切断されたランナーRの樹脂を右方向(-X方向)に引っ張る。これによりランナーRの樹脂は、ランナーRから取出し易くなる。
さらに可動型703が後退すると、可動駒405は、第1案内溝441の第2案内部448に案内され右斜め下に移動する。これにより可動駒405の押え407は、成形品Pから離れる。その後、成形品Pは、エジェクタピン(図示省略)より回収可能に突き出される。
以上のように成形用金型400、ゲート切断機構401は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。特に、ゲートGの切断が可動駒405によりゲートG近傍の成形品Pが押え付けられた状態で行われるので、確実にまたきれいに切断することができる。さらに成形用金型400は、型開きに連動して可動駒405を移動させ、ランナーRに残った材料を取り除くことができるので使い勝手がよい。
またゲート切断機構401は、摺動駒471、可動駒405及び保持駒461をホルダー421内に収納した状態で成形用金型400に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型400への取付けが容易である。特にホルダー421、保持駒461、摺動駒471及び可動駒405を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構401をユニット化すれば、成形用金型400への取付けがより容易となる。
図28は、本発明の第7実施形態のゲート切断機構501を備える成形用金型500の型閉じ時の要部断面図である。図29及び図30は、本発明の第7実施形態のゲート切断機構501を備える成形用金型500の型開き途中の要部断面図である。図31は、本発明の第7実施形態のゲート切断機構501の構成を示す分解図である。図24~図27に示す本発明の第6実施形態のゲート切断機構401を備える成形用金型400と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
成形用金型500は、第6実施形態の成形用金型400と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型603と、成形品Pの内面側を成形する可動型703と、さらにゲートGを切断するゲート切断機構501を備える。便宜上、図28の固定型603側を上、可動型703側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図28における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
第7実施形態の固定型603は、第6実施形態の固定型603と構成を同じくするので同一の符号を付して説明を省略する。同様に第7実施形態の可動型703は、第6実施形態の固定型703と構成を同じくするので同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート切断機構501は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを切断する装置であり、ゲートGを切断するカッター591と、カッター591と連結しカッター591をスライドさせる摺動駒571と、摺動駒571を摺動可能に保持する保持駒561と、保持駒561を進退可能に収容するホルダー521と、成形品Pを押える可動駒505とを備える。本実施形態のゲート切断機構501は、第2実施形態のスライド機構50を利用したものである。
本実施形態の可動駒505、保持駒561、ホルダー521は、それぞれ第2実施形態のスライド機構50の第2駒61、第1駒11、案内体81に相当する。また本実施形態では、可動駒505がスライダー、ホルダー521がガイド本体に該当する。また保持駒561と可動駒505とが摺動自在に連結されており、保持駒561は、連結部材に該当し、ホルダー521の左右の側壁内面527、530は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー521は、断面がコ字状の2つの同一形状の半割ホルダー部材525(525a、525b)を組合せてなり、上面及び下面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー521は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、固定側型板605に一体的に形成されていてもよい。ホルダー521は、第2実施形態のスライド機構50の案内体81に対応する部材であり、第2実施形態のスライド機構50の第2駒61に対応する可動駒505を案内体81と同様に、第1方向及び第1方向に続き第2方向に案内する。
さらにホルダー521は、第2実施形態のスライド機構50の第1駒11に相当する保持駒561を進退可能に収容し、保持駒561を上下方向に案内する。またホルダー521は、摺動駒571に取付けられたカッター591がゲートGを切断するように案内すると共に、ゲートGを切断したカッター591をゲートGから遠ざけるように案内する。
ホルダー521は、右側壁526(526a、526b)の下部に内側に突出した段差部528(528a、528b)を有し、段差部528の下部内面は傾斜面531(531a、531b)となっている。右側壁内面527(527a、527b)、左側壁内面530(530a、530b)は、保持駒561のガイドとして機能し、段差部528は、保持駒561のストッパーとして機能する。
ホルダー521の正面壁内面533には、第2実施形態の案内体81と同様に、可動駒505をガイドする第1案内溝541を有する。第1案内溝541は、凹溝であり、正面壁内面533を正面に見て上部が右側、下部が左側に位置する直線状の傾斜溝である。ホルダー521の正面壁側の左側内壁面530a、及びホルダー521の正面壁側の段差部528aの傾斜面531aは、可動駒505を第1方向に案内する第1ガイド手段である。また第1案内溝541の側面542及びホルダー521の正面壁側の段差部528aの傾斜面531aは、可動駒505を第2方向に案内する第2ガイド手段である。
またホルダー521の背面壁内面535には、摺動駒571をガイドする第2案内溝552を有する。第2案内溝552は、凹溝であり、背面壁内面535を正面に見て上部が左側、下部が右側に位置する直線状の傾斜溝である。第2案内溝552は、摺動駒571に連結するカッター591がゲートGを切断するように摺動駒571を案内し、さらにゲートGを切断したカッター591がゲートGから遠ざかるように摺動駒571を案内する。
ホルダー521は、係止ピン455を介して固定側型板605に設けられた収容部608に取付けられる。ホルダー521は、収容部608に取付けられた状態で底部が固定側型板605の底面610と面一となる。(図28参照)。
保持駒561は、ブロック状であり、正面視において右下りの底面に左右方向に伸びる凸条567(蟻溝凸条)を備える。保持駒561の右側面566の下部は切欠き部568となっている。この切欠き部568は、ホルダー521の段差部528に係止可能に設けられている。また保持駒561は、上面562に臨むようにスプリング470を収容する凹部563を有する(図31参照)。スプリング470は、保持駒561を下方に突き出す。
保持駒561は、左側面565及び右側面566をホルダー521の左側壁内面530、右側壁内面527に摺動可能に接触させ、成形用金型500の型開き、型閉じに連動し、型抜き方向(Y方向)に進退する。
摺動駒571は、本体572と、本体572の上面573に固定された第2係止体580を備える。本体572の左側面には、ランナーRを形成する凹部574が設けられている。また本体572の左側上部には、カッター591を取付けるための取付部577が設けられており、取付部577の上部は可動駒505の押え板507の収容部となっている。本体572の右側面575は、正面視において右下りの傾斜面となっている。
第2係止体580は、本体572の幅(Z方向)の約半分の厚さを有する板状体であり、正面視において上部が僅かに右下りであり、右側面582も右下がりの傾斜面となっている。第2係止体580の左側面583は、底面に対して直交し、本体572に取付けられた状態で本体572の上面573に直交する。
第2係止体580の正面584の上部には凹溝が設けられ、これにより爪585が形成されている。爪585は、保持駒561の凸条567のうち背面側に摺動自在に係止する。また第2係止体580の背面には右側面582に沿うように凸条586が設けられている。この凸条586は、ホルダー521の第2案内溝552に摺動自在に嵌り込む。
カッター591は、平板状であり、先端部側にゲートGを形成する貫通孔592が設けられている。貫通孔592は、ランナーRにつながる側に比較してキャビティ部につながる側が小さく先細り形状となっており、左側面はゲートGを切断する刃となっている。キャビティ部側に比較してランナーR側が広くなるように傾斜した部分は、ゲートGが切断されたランナーRに残る成形材料の退避スペースとなる。これらによりゲートGを確実にまたきれいに切断することができる。
カッター591は、基端部が摺動駒571の本体572の左側上部に設けられた取付部577に固定される。カッター591は、摺動駒571に取付けられると、貫通孔592が本体572の左端に設けられた凹部574の上に位置し、貫通孔592と凹部574とが連通する。これによりランナーR、ゲートG、さらにはキャビティ部につながる流路が形成される。
可動駒505は、摺動駒571に取付けられたカッター591がスライドし、ゲートGを切断するとき、成形品Pがカッター591に引っ張られ移動しないように、ゲートG近傍の成形品Pを押え付けるものである。可動駒505は、押え板507と押え板507の上面に取付けられた第1係止体510とからなる。
第1係止体510は、押え板507の幅(Z方向)の約半分の厚さを有する板状体であり、正面視において上部が僅かに右下りである。右側面512は、右下がりの傾斜面であり、右側面512の下部は、正面視において上部・中央部に比較して内側に入り込んだ傾斜面514である。第1係止体510の左側面511は、底面に対して直交し、押え板507に取付けられた状態で押え板507の上面508に直交する。傾斜面514及び左側面511は、第1ガイド手段に摺動自在に係合する第1係合手段である。
第1係止体510の背面の上部には凹溝が設けられ、これにより爪515が形成されている。爪515は、保持駒561の凸条567のうち正面側に摺動自在に係止する。また第1係止体510の正面には右側面512に沿うように凸条517が設けられている。凸条517は、ホルダー521の第1案内溝542に嵌り込む部位であるが、凸条517の幅L2は、第1案内溝542の幅L1に比較して小さい。凸条517及び右側面512は、第2ガイド手段に摺動自在に係合する第2係合手段である。
以上からなるゲート切断機構501は、以下の要領で固定型603の収容部608に固定される。カッター591が取付けられた摺動駒571の取付部577の上部に可動駒505の押え板507が嵌め込まれ、摺動駒571の第2係止体580の正面584と可動駒505の第1係止体510の背面とが合わされた状態で、第1係止体510の爪515及び第2係止体580の爪585が保持駒561の凸条567に嵌め込まれる。
保持駒561と摺動駒571と可動駒505とが連結された状態で、これらがホルダー521に組み込まれ、固定型604の収容部608に固定される。
次に、成形用金型500において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型500及びゲート切断機構501の動作、作用を説明する。
型閉じ状態で摺動駒571は、カッター591の先端が可動側型板711に設けられた凹部708に嵌り込み、第2係止体580の凸条586は、ホルダー521の第2案内溝552に摺動自在に嵌り込む。また摺動駒571の本体572の右側面575は、ガイド駒630と接している。また摺動駒571の第2係止体582の左側面583は、ホルダー521の左側壁内面530bに接している。
可動駒505は、押え板507の底面をカッター591の上面に接触させ、押え板507の先端がキャビティ部内に位置する(図28参照)。また可動駒505の第1係止体510は、底面を摺動駒571の本体572の上面573に接触させ、凸条517がホルダー521の第1案内溝541に摺動自在に嵌り込む。このとき凸条517は、第1係止体510を正面に見て、右側面を第2案内溝541の右側面543に接触させ、傾斜面514をホルダー521の段差部528の傾斜面531aに接触させている。一方、凸条517の左側面と第1案内溝541の左側面542とは接触しておらず、離れている(図28参照)。また可動駒505の第1係止体510の左側面511は、ホルダー521の左側壁内面530aに接している。
この状態でランナーR、ゲートG、キャビティ部が連通する。キャビティ部は、型閉じ状態で固定型603のキャビティ606と可動型703のコア712とで形成される成形品Pを成形する空間である。型閉じ状態で、図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、固定型603に設けられたスプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填される。保圧、冷却工程を経て成形品Pの取り出しとなるが、型開きは以下の要領で行われる。
可動型703が後退し型開きが開始されると、保持駒561は、スプリング470により下方(-Y方向)に押し出される。保持駒561に摺動自在に連結する摺動駒571は、第2案内溝552に案内されホルダー521に対して右斜め下に移動する。これにより摺動駒571に取付けられたカッター591は、可動側型板711に対して-X方向にスライドし、貫通孔592に設けられた刃がゲートGを横切り、成形品PにつながるゲートGを切断する(図29参照)。
このとき保持駒561に摺動自在に連結する可動駒505は、第1係止体510の凸条517の左側面がホルダー521の第1案内溝541の左側面542と接するように下方(第1方向,-Y方向)に移動する。このとき可動駒505は、摺動駒571と異なり+X方向,-X方向には移動しない。これは型締め状態において、可動駒505の第1係止体510の凸条517の左側面とホルダー521の第1案内溝541の左側面542との間が離れていたことによる(図29参照)。
以上によりゲートGは、成形品Pが可動駒505の押え板507で押え付けられた状態で切断される(図29参照)。またカッター591が右方向(-X方向)にスライドすることで貫通孔592によりゲートGが切断されたランナーRの樹脂も先端部が右方向(-X方向)に引っ張られる。これによりランナーRの樹脂は、ランナーRから取出し易くなる。
さらに可動型703が後退すると、可動駒505は、第1係止体510の凸条517が第1案内溝541に案内され第2方向である右斜め下に移動する。このとき第1係止体510の右側面512は、ホルダー521の段差部528aの傾斜面531aに摺動自在に接触するため可動駒505は、ぐらつくことなく右斜め下に移動する。これにより可動駒505の押え板507は、成形品Pから離れる。その後、成形品Pは、エジェクタピン(図示省略)より回収可能に突き出される。
以上のように成形用金型500、ゲート切断機構501は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。特に、ゲートGの切断が可動駒505によりゲートG近傍の成形品Pが押え付けられた状態で行われるので、確実にまたきれいに切断することができる。さらに成形用金型500は、型開きに連動して可動駒505を移動させ、ランナーRに残った材料を取り除くことができるので使い勝手がよい。
またゲート切断機構501は、摺動駒571、可動駒505及び保持駒561をホルダー521内に収納した状態で成形用金型500に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型500への取付けが容易である。特にホルダー521、保持駒561、カッター591を備える摺動駒571及び可動駒505を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構501をユニット化すれば、成形用金型500への取付けがより容易となる。
さらに本発明のスライド機構及びアンダーカット処理機構の他の実施形態を示す。
図32は、本発明の第8実施形態のスライド機構6の構成を示す分解図である。図33は、本発明の第8実施形態のスライド機構6を利用した切換えスイッチ7である。図1から図3に示す第1実施形態のスライド機構1及び切換えスイッチ2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第8実施形態のスライド機構6は、第1実施形態のスライド機構1と基本構成を同じくするが、案内溝45の形状及び爪30の形状が第1実施形態の案内溝38及び爪23と異なる。さらに第1駒11の上面14と第2駒21の底面28とが蟻溝構造により連結されている。具体的には、第1駒11の上面14に凸条(蟻溝凸条)15が、第2駒21の底面28に凸条15に摺動自在に嵌り込む蟻溝29が設けられている。
本実施形態では、第2駒21がスライダー、案内体31がガイド本体、案内溝45がガイド手段、第1案内部39が第1ガイド手段、第2案内部42が第2ガイド手段に該当する。また爪30が係合手段、爪30の第1摺動面が第1係合手段、爪30の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また第1駒11が連結部材、ホルダー31の左右の側壁内面34、36が連結部材ガイト手段に該当する。
第8実施形態のスライド機構6は、案内溝45が第1案内部39から第4案内部48まで4つの案内部を備える。案内部は、第1実施形態の案内部と同様に、第1案内部39、第2案内部42、第3案内部46及び第4案内部48の順番に順次、繋がっている。4つの案内部の幅(左右の側面間の距離)は、連結部を含め同一である。案内溝45の第1案内部39と第3案内部46とはそれぞれの中心軸線M1、M3が平行である。つまり第1方向と第3方向とは平行である。一方、第2方向及び第4方向は、他のいずれの方向とも異なっている。
案内溝が3個以上の案内部を備える場合において、それぞれの案内部が案内する方向のうち平行なものを同じ方向としたとき、3個以上の案内部が異なる2つの方向からなる場合には、第1実施形態と同様の爪23を使用することができる。本発明の第8実施形態のスライド機構6において、案内溝45が第1案内部39、第2案内部42、第3案内部46からなる場合がこれに該当する。
本発明の第8実施形態のスライド機構6では、案内溝45が第1案内部39から第4案内部48まであり、さらに第2方向42と第4方向48との方向が異なるため、第8実施形態のスライド機構6では、異なる3つの案内方向を備えることとなる。第1実施形態の爪23は、形態上、異なる3つの案内方向に対応することはできない。このような場合には、図32(B)に示すように爪30を円柱又は円筒とすればよい。横断面の外形が円で、その外径が案内部に隙間なく嵌り込む大きさを有する爪を使用すれば、案内方向が3個以上であっても対応することができる。
図33(A)において爪30は、第1案内部39の両側面40、41に対して図32(B)のA線及びB線の2カ所で線接触する。ここでは、爪30のA線及びB線が第1摺動面となる。図33(B)の第1案内部39と第2案内部42との境界部においては、爪30は、図32(B)のC線及びD線の2カ所で線接触する。さらに図33において第2案内部42を移動するときは、爪30は、図32(B)のE線及びF線の2カ所を両側面43、44に線接触する。ここでは、爪30のE線及びF線が第2摺動面となる。図33において第3案内部46は、第1案内部39と平行ゆえ、爪30は、第1案内部39と同様に図32(B)のA線及びB線の2カ所で線接触する。図33において第4案内部48は、他のいずれの案内部とも方向が異なるため爪30は、図32(B)に示すA線、B線、C線、D線、E線、F線以外の箇所を第4案内部48の両側面と線接触させる。
第8実施形態のスライド機構6では、第1駒11と第2駒21とを蟻溝構造により連結している。このような構造は、部品がばらばらになり難いためスライド機構6を容易にユニット化することができるというメリットの他に、第2駒21の姿勢を一定に保つことできるというメリットがある。
第8実施形態のスライド機構6において、第1実施形態と同様に第1駒11の上面14と第2駒21の底面28とを単に面接触させた場合、第2駒21の先端部20に先端部20を左右(+X方向,-X方向)に動かすよう力が作用すると第2駒21は、爪30を起点に左右に傾いてしまう。これ対して第1駒11と第2駒21とが蟻溝構造により連結されていれば、第1駒11の両側面12、13が案内体31の左右側壁内面34、36に面接触しているため第2駒21が左右に傾くことはない。
図33に示す切換えスイッチ7は、図3に示す切換えスイッチ2と同じ要領で、第1ランプ5aから第3ランプ5cを点灯、消滅させることができる。なお、スイッチ7は、案内溝45が第1案内部39から第4案内部48を備えるため4個のランプを点灯、消滅させるように切り替えることができる。
図34は、本発明の第9実施形態のアンダーカット処理機構103の構成を示す分解図である。図35及び図36は、本発明の第9実施形態のアンダーカット処理機構103を備える成形用金型102の型閉じ時及び型開き後の断面図である。図37から図39は、本発明の第9実施形態のアンダーカット処理機構103を備える成形用金型102の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図35の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図35における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第9実施形態のアンダーカット処理機構103を備える成形用金型102は、本発明の第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100と基本構成を同じくする。以下、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100との相違点を中心に説明する。
第9実施形態の成形用金型102において、成形品Pの形態、アンダーカット部P1及び突出部P2の形態、位置関係は、第3実施形態の成形用金型100と同じである。本実施形態のアンダーカット処理機構103は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様、第1実施形態のスライド機構1を利用したものであるが、第2駒21に相当する成形コア191を先端に備える摺動駒172を案内する第1方向及び第2方向が第3実施形態のアンダーカット処理機構101と異なる。これに伴い案内溝142の形態が、第3実施形態の案内溝141と異なる。
第9実施形態の成形用金型102において、ホルダー122及び成形コア191を先端に備える摺動駒172がそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21に相当し、摺動駒172がスライダー、ホルダー122がガイド本体、後述の案内溝142がガイド手段、第1案内部145が第1ガイド手段、第2案内部148が第2ガイド手段に該当する。また爪180が係合手段、爪180の第1摺動面が第1係合手段、爪180の第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒172とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー122の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー122は、正面壁内面及び背面壁内面135に設けられた、摺動駒172をガイドする案内溝142を除き、第3実施形態のホルダー121と同じである。案内溝142は、凹溝であり、摺動駒172を第1方向に導く第1案内部145と、摺動駒171を第2方向に導く第2案内部148とを有する。
第1案内部145は、成形用金型102の型開き方向(Y方向)と平行に設けられ、第2案内部148は、成形用金型102の型開き方向(Y方向)に対して傾斜して設けられている。第1案内部145と第2案内部148とは繋がっており、第1案内部145の中心軸線M1と第2案内部148の中心軸線M2とは交差する(図34参照)。
第1案内部145は、高さh1(Y方向)が、爪180の高さh2(Y方向)よりも高く設定されている(図34参照)。このため型締め状態において爪180の上方には空間がある。第1案内部145は、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒172に取付けられた成形コア191が成形品Pを型開き方向(第1方向,Y方向)に突き出すように案内する。第2案内部148は、摺動駒172に取付けられた成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒172を左斜め上(第2方向)に案内する。ここで成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向とは、アンダーカット部P1を変形及び損傷させることなく成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向である。
第2案内部148は、中心軸線M2が成形品Pのアンダーカット部P1の形状、特に、アンダーカット部P1のX方向への突出量と、突き出しピン745のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア191が成形品Pのアンダーカット部P1から外れるように決められる。第1案内部145及び第2案内部148は、アンダーカット部P1から外れた成形コア191が、アンダーカット部P1の抜き方向(X方向)の先に位置する突出部P2に衝突しないように成形コア191を案内する。
摺動駒172は、第3実施形態の摺動駒171と基本構成を同じくする。爪180の上側面183、下側面184は、成形コア191を型抜き方向(Y方向)に案内すべく、ホルダー122に設けられた案内溝142の第1案内部145の左側面151、及びホルダー122の右側壁内面130に接する。爪180の左側面181及び右側面182は、成形コア191がアンダーカット部P1から外れるまでの間、それぞれがホルダー122に設けられた案内溝142の第2案内部148の左側面149、右側面150に接する。爪180の対向する上側面183及び下側面184が第1摺動面を、爪180の対向する左側面181及び右側面182が第2摺動面を構成する。
次に、成形用金型102におけるアンダーカット処理機構103の動作について説明する。型締め状態において、摺動駒172は、爪180の左側面181が第1案内部145の傾斜面152に、上側面183が第1案内部145の左側面151に、また下側面184がホルダー122の右側壁内面130に接している(図35参照)。型開き後(図36参照)、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド768が押し出され、エジェクタ台板762が上方(Y方向)に移動する。これに伴いエジェクタ台板762上に立設したエジェクタピン763が成形品PをY方向に突き出す。このとき摺動駒172も第1案内部145に案内され上方に移動し、成形駒191が成形品PをY方向に突き出す(図37参照)。
エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒172の右側面182が、第2案内部148の右側面150に接するまで移動すると、摺動駒172は、爪180の左側面181及び右側面182をそれぞれ第2案内部148の左側面149及び右側面150に摺動させながら第2案内部148に沿って第2方向に移動する。これにより成形コア191は、Y方向及びX方向へ同時に移動しアンダーカット部P1から遠ざかる(図38参照)。
案内溝142の第1案内部145及び第2案内部148は、エジェクタ台板762が最も上昇したとき成形コア191が突出部P2に衝突することがないようにX方向の移動量が設定されているので成形コア191が突出部P2に衝突することはない(図38参照)。
第9実施形態のアンダーカット処理機構103及びそれを備える成形用金型102の作用及び効果は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101及びそれを備える成形用金型100の作用及び効果と基本的に同じである。
アンダーカット処理機構103は、摺動駒172及び保持駒161をホルダー122内に収納した状態で成形用金型102に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型102への取付けが容易である。特にホルダー122、保持駒161、摺動駒172及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構103をユニットとすれば、成形用金型102への取付けがより容易となる。
図40は、本発明の第10実施形態のアンダーカット処理機構105の構成を示す分解図である。図41及び図42は、本発明の第10実施形態のアンダーカット処理機構105を備える成形用金型104の型閉じ時及び型開き後の断面図である。図43から図45は、本発明の第10実施形態のアンダーカット処理機構105を備える成形用金型104の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図41の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図41における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第10形態実施形態のアンダーカット処理機構105を備える成形用金型104は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100と同様に、固定型600及び可動型700を備え、アンダーカット部P4を有する成形品Pを成形する。以下、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100との相違点を中心に説明する。
第10実施形態の成形用金型104で成形する成形品Pは、中央右寄りに位置し内側に突出するアンダーカット部P4を備える。アンダーカット部P4は、逆T字状であり、先端部が左右に伸びている。また成形品Pは、アンダーカット部P4の左側(+X方向)に位置し内側に突出する突出部P2と、アンダーカット部P4の右側(-X方向)に位置し内側に突出する突出部P3とを備える。
本実施形態のアンダーカット処理機構105は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様、第1実施形態のスライド機構1を利用したものであるが、アンダーカット部P4の位置、形状に伴い、成形コア及び摺動駒の構造、形態等が第3実施形態のアンダーカット処理機構103と大きく異なる。
第10実施形態の成形用金型104においては、ホルダー123及び成形コア191a、191bを先端に備える摺動駒173a、173bがそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21に相当し、摺動駒173a、173bがスライダー、ホルダー123がガイド本体、後述の案内溝143a、143bがガイド手段、第1案内部145a、145bが第1ガイド手段、第2案内部148a、148bが第2ガイド手段に該当する。また爪180a、180bが係合手段、爪180a、180bの第1摺動面が第1係合手段、爪180a、180bの第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒173a、173bとが摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー122の左右の側壁内面127a、127b、130a、130bは、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー123は、2つの半割れホルダー部材125a、125bで構成され、それぞれの半割れホルダー部材125a、125bに設けられた案内溝143a、143bが互いに対向するように、筒状に組み合わせ使用される。正面壁内面135a及び背面壁内面135bに設けられた、摺動駒173a、173bをガイドする案内溝143a、143bを除き、第3実施形態のホルダー121と同じ構成からなる。
2つの半割れホルダー部材125a、125bは同一の形状、構造からなるので、以下、半割れホルダー部材125aを用いて構造等について説明する。符号に付された添え字a、bは、2つの半割れホルダー部材125a、125bを区別するためのものであり、本実施形態のホルダー123の左側壁126aと126bと、第3実施形態のホルダー121の左側壁126とは同じ構成からなる。
案内溝143aは、凹溝であり、摺動駒173aを第1方向に導く第1案内部145aと、摺動駒173aを第2方向に導く第2案内部148aとを有する。第1案内部145aは、成形用金型104の型開き方向(Y方向)と平行に設けられ、第2案内部148aは、成形用金型104の型開き方向(Y方向)に対して傾斜して設けられている。第1案内部145aと第2案内部148aとは繋がっており、第1案内部145aの中心軸線M1と第2案内部148aの中心軸線M2とは交差する(図40参照)。
第1案内部145aは、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒173aに取付けられた成形コア191aが成形品Pを型開き方向(第1方向,Y方向)に突き出すように案内する。第2案内部148aは、摺動駒173aに取付けられた成形コア191aがアンダーカット部P4から外れるように摺動駒173aを右斜め上(第2方向)に案内する。ここで成形コア191aがアンダーカット部P4から外れる方向とは、アンダーカット部P4を変形及び損傷させることなく成形コア191aがアンダーカット部P4から外れる方向である。なお、第2案内部148bは、摺動駒173bに取付けられた成形コア191bがアンダーカット部P4から外れるように摺動駒173bを左斜め上(第2方向)に案内する。
第2案内部148aは、中心軸線M2が成形品Pのアンダーカット部P4の形状、特に、アンダーカット部P4のX方向への突出量と、突き出しピン745のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア191aが成形品Pのアンダーカット部P4から外れるように決められる。また第1案内部145a及び第2案内部148aは、アンダーカット部P4から外れた成形コア191aが、アンダーカット部P4の抜き方向(-X方向)の先に位置する突出部P3に衝突しないように成形コア191aを案内する。同様に第1案内部145b及び第2案内部148bは、アンダーカット部P4から外れた成形コア191bが、アンダーカット部P4の抜き方向(+X方向)の先に位置する突出部P2に衝突しないように成形コア191bを案内する。
本実施形態において摺動駒は、2つの摺動駒173a、173bを有する。2つの摺動駒173a、173bは同一の形状、構造からなるので、以下、摺動駒173aを用いて構造等について説明する。符号に付された添え字a、bは、2つの摺動駒173a、173bを区別するためのものであり、例えば本実施形態の摺動駒173aの爪180aと第3実施形態の摺動駒171の爪180とは同じ構成からなる。
摺動駒173aは、第3実施形態の摺動駒171と基本構成を同じくする。爪180aの上側面183a、下側面184aはそれぞれ、成形コア191aを型抜き方向(Y方向)に案内すべく、半割れホルダー部材125aに設けられた案内溝143aの第1案内部145aの左側面146a、右側面147aに接する。爪180aの左側面181a及び右側面182aは、成形コア191aがアンダーカット部P4から外れるまでの間、それぞれが半割れホルダー125aに設けられた案内溝143aの第2案内部148aの右側面150a、左側面149aに接する。爪180aの対向する上側面183a及び下側面184aが第1摺動面を、爪180aの対向する左側面181a及び右側面182aが第2摺動面を構成する。
摺動駒173aに設けられる爪180aは、成形用金型104に組み付けられた状態において、摺動駒173aを正面から見て摺動駒173aの正面側にのみ設けられ、摺動駒173aの背面側には設けられていない。一方、摺動駒173bに設けられる爪180bは、成形用金型104に組み付けられた状態において、摺動駒173bを正面から見て摺動駒173bの背面側にのみ設けられ、摺動駒173bの正面側には設けられていない(図44参照)。
摺動駒173aは、背面側の下部に保持駒161の凸条168に係合する凹溝177aを備える。ここで背面側は、爪180aが設けられた面と反対の面である。摺動駒173bは、正面側の下部に保持駒161の凸条168に係合する凹溝177bを備える。ここで正面側は、爪180bが設けられた面と反対の面である。
成形コア191a及び成形コア191bは、それぞれアンダーカット部P4を成形する凹溝192a、192bを備える。
以上からなるホルダー123、保持駒161、成形コア191aを備える摺動駒173a、成形コア191bを備える摺動駒173bは、保持駒161の凸条168の正面側に摺動駒173aの凹溝177aが嵌め込まれ、保持駒161の凸条168の背面側に摺動駒173bの凹溝177bが嵌め込まれ、ホルダー123に組み込まれる。
次に、成形用金型104におけるアンダーカット処理機構105の動作について説明する。型開き後(図42参照)、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド768が押し出され、エジェクタ台板762が上方(Y方向)に移動する。これに伴いエジェクタ台板762上に立設したエジェクタピン763が成形品PをY方向に突き出す。このとき摺動駒173a、173bも第1保持駒161に突き出され、第1案内部145に案内され上方に移動し、成形駒191a、191bが成形品PをY方向に突き出す(図43参照)。
エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒173aの爪180aの上側面183aが、第2案内部148aの右側面150aに接するまで移動すると、以降、摺動駒173aは、爪180aの左側面181a及び右側面182aをそれぞれ第2案内部148aの右側面150a及び左側面149aに摺動させながら第2案内部148aに沿って第2方向に移動する。これにより成形コア191aは、Y方向及び-X方向へ同時に移動しアンダーカット部P4から遠ざかる(図44参照)。
同様に、エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒173bの爪180bの上側面183bが、第2案内部148bの右側面150bに接するまで移動すると、以降、摺動駒173bは、爪180bの左側面及び右側面をそれぞれ第2案内部148bの右側面150b及び左側面149bに摺動させながら第2案内部148bに沿って第2方向に移動する。これにより成形コア191bは、Y方向及び+X方向へ同時に移動しアンダーカット部P4から遠ざかる(図44参照)。
案内溝143a、143bの第1案内部145a、145b及び第2案内部148a、148bは、エジェクタ台板762が最も上昇したときに成形コア191a、191bが突出部P3、P2に衝突することがないようにX方向の移動量が設定されている。本実施形態において、成形用金型104に組み込まれた摺動駒173a、173bは、左右対称に同じ量だけ移動するが、2つの摺動駒173a、173bの移動量が異なるものであってもよい。本実施形態において、成形コア191a、191bにとって、成形品Pの突出部P3、P2は、衝突を回避する他の部材に該当する。他の実施形態においても、成形コア191にとって、成形品Pの突出部は、衝突を回避する他の部材に該当する。
以上のように成形用金型104、アンダーカット処理機構105は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形用金型104の成形品Pの取り出し操作に連動して保持駒161がホルダー123内を摺動しながら上昇し、摺動駒173a、173bがホルダー123にガイドされ成形コア191a、191bがアンダーカット部P4から外れるように移動するので容易にまた確実にアンダーカット部P4を抜くことができる。またアンダーカット部P4を抜いた先に突出部P2、P3を有するような成形品Pであっても、突出部P2、P3に衝突することなく確実に成形品Pを回収することができる。
アンダーカット処理機構105は、摺動駒173a、173b及び保持駒161をホルダー123内に収納した状態で成形用金型104に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型104への取付けが容易である。特にホルダー123、保持駒161、摺動駒173a、173b及び成形コア191a、191bを1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構105をユニットとすれば、成形用金型104への取付けがより容易となる。
図46は、本発明の第11実施形態のアンダーカット処理機構107の構成を示す分解図である。図47及び図48は、本発明の第11実施形態のアンダーカット処理機構107を備える成形用金型106の型閉じ時及び型開き後の断面図である。図49及び図50は、本発明の第11実施形態のアンダーカット処理機構107を備える成形用金型106の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図47の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図47における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第11形態実施形態のアンダーカット処理機構107を備える成形用金型106は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100と同様に、固定型600及び可動型700を備え、アンダーカット部P5a、P5bを有する成形品Pを成形する。以下、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100との相違点を中心に説明する。
第11実施形態の成形用金型106で成形する成形品Pは、中央に間隔をあけて2つのアンダーカット部P5a、P5bを有する。正面視において左側に位置するアンダーカット部P5aは、正面視において逆L字状であり、下端に-X方向に伸びる突起を有する。一方、正面視において右側に位置するアンダーカット部P5bは、正面視においてL字状であり、下端に+X方向に伸びる突起を有する。
本実施形態のアンダーカット処理機構107は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様、第1実施形態のスライド機構1を利用したものであるが、アンダーカット部P5a、P5bの位置、形態に伴い、成形コア及び摺動駒の構造、形態等が第3実施形態のアンダーカット処理機構103と大きく異なる。
第11実施形態の成形用金型106においては、ホルダー124及び成形コア191a、191bをそれぞれ先端に備える摺動駒174a、174bがそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21に相当し、摺動駒174a、174bがスライダー、ホルダー124がガイド本体、後述の案内溝144a、144bがガイド手段、第1案内部145a、145bが第1ガイド手段、第2案内部148a、148bが第2ガイド手段に該当する。また爪180a、180bが係合手段、爪180a、180bの第1摺動面が第1係合手段、爪180a、180bの第2摺動面が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒174a、174bとが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー124の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー124は、一対の半割れホルダー部材125が筒状に組み合わせ使用される。正面壁内面及び背面壁内面135に設けられた、摺動駒174a、174bをガイドする案内溝144a、144bを除き、第3実施形態のホルダー121と同じ構成からなる。
ホルダー124の正面壁内面及び背面壁内面135には、それぞれ間隔をあけて左右対称に案内溝144a、144bが設けられている。案内溝144aは、凹溝であり、摺動駒174aを第1方向に導く第1案内部145aと、摺動駒174aを第2方向に導く第2案内部148aとを有する。第1案内部145aは、成形用金型106の型開き方向(Y方向)に対して傾斜して設けられ、第2案内部148aは、成形用金型106の型開き方向(Y方向)に平行に設けられている。第1案内部145aと第2案内部148aとは繋がっており、第1案内部145aの中心軸線M1と第2案内部148aの中心軸線M2とは交差する(図46参照)。
第1案内部145aは、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒174aに取付けられた成形コア191aがアンダーカット部P5aから外れるように摺動駒174aを右斜め上(第1方向)に案内する。ここで成形コア191aがアンダーカット部P5aから外れる方向とは、アンダーカット部P5aを変形及び損傷させることなく成形コア191aがアンダーカット部P5aから外れる方向である。第2案内部148aは、エジェクタ機構760と同期して、摺動駒174aに取付けられた成形コア191aが成形品Pを型開き方向(第2方向,Y方向)に突き出すように案内する。
第1案内部145aは、中心軸線M1が成形品Pのアンダーカット部P5aの形状、特に、アンダーカット部P5aの-X方向への突出量と、突き出しピン745のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア191aが成形品Pのアンダーカット部P5aから外れるように決められる。また第1案内部145a及び第2案内部148aは、アンダーカット部P5aから外れた成形コア191aが、成形コア191bに衝突しないように成形コア191aを案内する。成形コア191aにとって、成形コア191bは衝突を回避する他の部材に該当し、成形コア191bにとって、成形コア191aは衝突を回避する他の部材に該当する。
案内溝144bは、案内溝144aと比較して第1案内部145bの方向が異なるのみであり、他の構成は案内溝144aと同じである。よって符号aを符号bに置換して考えればよい。
本実施形態において摺動駒は、2つの摺動駒174a、174bを有する。2つの摺動駒174a、174bは同一の形状、構造からなるので、以下、摺動駒174aを用いて構造等について説明する。符号に付された添え字a、bは、2つの摺動駒174a、174bを区別するためのものであり、例えば、本実施形態の摺動駒174aの爪180aと摺動駒174bの爪180bと第3実施形態の摺動駒171の爪180とは同じ構成からなる。
摺動駒174aは、第3実施形態の摺動駒171と基本構成を同じくする。爪180aの上側面183a、下側面184aはそれぞれ、成形コア191aを型抜き方向(Y方向)に案内すべく、ホルダー124に設けられた案内溝144aの第2案内部148aの左側面149a、右側面150aに接する。爪180aの左側面181a及び右側面182aは、成形コア191aがアンダーカット部P5aから外れるまでの間、それぞれがホルダー124に設けられた案内溝144aの第1案内部145aの左側面146a、右側面147aに接する。爪180aの対向する上側面183a及び下側面184aが第2摺動面を、爪180aの対向する左側面181a及び右側面182aが第1摺動面を構成する。
成形コア191a及び成形コア191bは、それぞれアンダーカット部P5a、P5bを成形する凹溝192a、192bを備える。
以上からなるホルダー124、保持駒161、成形コア191aを備える摺動駒174a、成形コア191bを備える摺動駒174bは、それぞれ保持駒161の凸条168に蟻溝176a、176bを嵌め入れ、ホルダー124に組み込まれる。
次に、成形用金型106におけるアンダーカット処理機構107の動作について説明する。型開き後(図48参照)、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド768が押し出され、エジェクタ台板762が上方(Y方向)に移動する。これに伴いエジェクタ台板762上に立設したエジェクタピン763が成形品PをY方向に突き出す。これと同時に保持駒161も上方(Y方向)に移動する。
保持駒161に係合する摺動駒174aは、爪180aの左側面181a及び右側面182aをそれぞれ第1案内部145aの左側面146a及び右側面147aに摺動させながら第1案内部145aに沿って第1方向に移動する。これにより成形コア191aは、Y方向及び-X方向へ同時に移動しアンダーカット部P5aから外れる。同様に、摺動駒174bは、爪180bの左側面181b及び右側面182bをそれぞれ第1案内部145bの左側面146b及び右側面147bに摺動させながら第1案内部145bに沿って第1方向に移動する。これにより成形コア191bは、Y方向及び+X方向へ同時に移動しアンダーカット部P5bから外れる(図49参照)。
エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒174aの爪180aの上側面183aが、第2案内部148aの右側面150aに接するまで移動すると、摺動駒174aは、爪180aの上側面183a及び下側面184aをそれぞれ第2案内部148aの右側面150a及び左側面149aに摺動させながら第2案内部148aに沿って第2方向に移動する。これにより成形コア191aは、Y方向に移動する。
同様に、エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒174bの爪180bの上側面183bが、第2案内部148bの左側面149bに接するまで移動すると、摺動駒174bは、爪180bの上側面183b及び下側面184bをそれぞれ第2案内部148bの左側面149b及び右側面150bに摺動させながら第2案内部148bに沿って第2方向に移動する。これにより成形コア191bは、Y方向に移動する。
案内溝144a、144bの第1案内部145a、145b及び第2案内部148a、148bは、エジェクタ台板762が最も上昇したときに成形コア191a、191bが互いに衝突することがないようにX方向の移動量が設定されている(図50参照)。本実施形態において、成形用金型106に組み込まれた摺動駒174a、174bは、左右対称に同じ量だけ移動するが、2つの摺動駒174a、174bの移動量が異なるものであってもよい。
以上のように成形用金型106、アンダーカット処理機構107は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形用金型106の成形品Pの取り出し操作に連動して保持駒161がホルダー124内を摺動しながら上昇し、摺動駒174a、174bがホルダー124にガイドされ成形コア191a、191bがアンダーカット部P5a、P5bから外れるように移動するので容易にまた確実にアンダーカット部P5a、P5bを抜くことができる。またアンダーカット部P5a、P5bを抜いた後に2つの摺動駒174a、174bは、互いに衝突しないように構成されている。
アンダーカット処理機構107は、摺動駒174a、174b及び保持駒161をホルダー124内に収納した状態で成形用金型106に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型106への取付けが容易である。特にホルダー124、保持駒161、摺動駒174a、174b及び成形コア191a、191bを1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構107をユニットとすれば、成形用金型106への取付けがより容易となる。
図51は、本発明の第12実施形態のアンダーカット処理機構109の構成を示す分解図である。図52及び図53は、本発明の第12実施形態のアンダーカット処理機構109を備える成形用金型108の型閉じ時及び型開き後の断面図である。図54及び図55は、本発明の第12実施形態のアンダーカット処理機構109を備える成形用金型108の成形品Pの突き出し動作途中の断面図、図56は、本発明の第12実施形態のアンダーカット処理機構109を備える成形用金型108の成形品Pの突き出し後の様子を示す図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図52の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図52における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第12実施形態のアンダーカット処理機構109を備える成形用金型108は、本発明の第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100と同様に、固定型600、可動型700及びアンダーカット処理機構109を備え、アンダーカットを備える成形品Pを成形する点で共通するが、アンダーカット処理機構109の構造が異なる。以下、第3実施形態のアンダーカット処理機構101を備える成形用金型100との相違点を中心に説明する。
第12実施形態の成形用金型108において、成形品Pの形態、アンダーカット部P1及び突出部P2の形態、位置関係は、第3実施形態の成形用金型100と同じである。本実施形態のアンダーカット処理機構109は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様に、第2駒21に相当する成形コア191を先端に備える摺動駒178を第1方向及び第2方向に案内するが、第1方向及び第2方向に案内する第1ガイド手段及び第2ガイド手段がアンダーカット処理機構101と異なる。
第12実施形態の成形用金型108において、ホルダー131及び成形コア191を先端に備える摺動駒178がそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21に相当し、摺動駒178がスライダー、ホルダー131がガイド本体に相当する。ホルダー131の左右の側壁が第1ガイド手段、ノックピン169及びホルダー131に設けられた傾斜面134が第2ガイド手段に該当する。また保持駒161と摺動駒178とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー131の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー131は、一対の半割れホルダー132が筒状に組み合わされ使用される。ホルダー131は、摺動駒178をガイドする案内溝を備えておらず、内部には、ノックピン169が取付けられている。ノックピン169は、円柱状であり、正面視においてホルダー131の右上に位置する。ホルダー131は、左側壁内面127及び右側壁内面130が、摺動駒178を第1方向である型開き方向(Y方向)に案内し、左上に設けられた傾斜面134及びノックピン169が摺動駒178を第2方向である左上方向に案内する。ここで第1方向は、型開き方向(Y方向)と平行であり、第2方向は、型開き方向(Y方向)に対して傾斜している。
ノックピン169は、摺動駒178に取付けられた成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒178を左斜め上(第2方向)に案内する。ここで成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向とは、アンダーカット部P1を変形及び損傷させることなく成形コア191がアンダーカット部P1から外れる方向である。
ノックピン169の位置は、成形品Pのアンダーカット部P1の形状、特に、アンダーカット部P1のX方向への突出量と、突き出しピン745のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア191が成形品Pのアンダーカット部P1から外れるように決められる。またノックピン169は、アンダーカット部P1から外れた成形コア191が、アンダーカット部P1の抜き方向(X方向)の先に位置する突出部P2に衝突しないように成形コア191を案内する。
摺動駒178は、爪を備えておらず、本体175の上側面185及び下側面184を第1摺動面、左側面186及び右側面187を第2摺動面とする。摺動駒178は、ノックピン169に接するまでの間、上側面185及び下側面184が、それぞれホルダー131の左側壁内面127及び右側壁内面130に接し、成形コア191を第1方向に案内する。摺動駒178の本体175の左側面186及び右側面187は、本体175がノックピン169に接した後以降、左側面186はホルダー131の傾斜面134に、右側面187はノックピン169に摺動自在に接し、成形コア191を第2方向に案内する。
次に、成形用金型108におけるアンダーカット処理機構109の動作について説明する。型締め状態において、摺動駒178は、本体175の上側面185及び下側面184がそれぞれホルダー131の左側壁内面127及び右側壁内面130に接している(図52参照)。型開き後(図53参照)、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド768が押し出され、エジェクタ台板762が上方(Y方向)に移動する。これに伴いエジェクタ台板762上に立設したエジェクタピン763が成形品PをY方向に突き出す。このとき摺動駒178もホルダー131の両側壁内面に案内され上方に移動し、成形駒191が成形品PをY方向に突き出す(図54参照)。
エジェクタ台板762の移動に伴い、摺動駒178の本体右側面187が、ノックピン169に接するまで移動すると、摺動駒178は、本体右側面187をノックピン169に、本体左側面186をホルダー131の傾斜面134に摺動させながら第2方向に移動する。これにより成形コア191は、Y方向及びX方向に同時に移動しアンダーカット部P1から遠ざかる。ノックピン169の位置は、エジェクタ台板762が最も上昇したとき、成形コア191が突出部P2に衝突することがないようにX方向の移動量が設定されているので、成形コア191が突出部P2に衝突することはない。
第12実施形態のアンダーカット処理機構109及びそれを備える成形用金型108の作用及び効果は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101及びそれを備える成形用金型100の作用及び効果と基本的に同じである。
アンダーカット処理機構109は、摺動駒178及び保持駒161をホルダー131内に収納した状態で成形用金型108に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型108への取付けが容易である。特にノックピン169を備えるホルダー131、保持駒161、摺動駒178及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構109をユニットとすれば、成形用金型108への取付けがより容易となる。
図57は、本発明の第13実施形態のアンダーカット処理機構111の構成を示す分解図である。図58は、本発明の第13実施形態のアンダーカット処理機構111を備える成形用金型110の型閉じ時の断面図である。図51から図56に示す第12実施形態のアンダーカット処理機構109及び成形用金型108と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図58の固定型600側を上、可動型700側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図58における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第13実施形態のアンダーカット処理機構111を備える成形用金型110は、摺動駒178に取付けられた成形コア191がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒178を左斜め上(第2方向)に案内するノックピン169を備えるなど多くの点で、第12実施形態のアンダーカット処理機構109及び成形用金型108と共通する。以下、第12実施形態のアンダーカット処理機構109を備える成形用金型108との相違点を中心に説明する。
第13実施形態の成形用金型110において、成形品Pの形態、アンダーカット部P1及び突出部P2の形態、位置関係は、第12実施形態の成形用金型108と同じである。アンダーカット処理機構111は、独立したホルダーを備えておらず、可動側型板716に取付けられた入れ子770に一体的にホルダー776が設けられている。また可動側型板716の底部に可動側受板718が取付けられている。
第13実施形態の成形用金型110において、ホルダー776及び成形コア191を先端に備える摺動駒178がそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21に相当し、摺動駒178がスライダー、ホルダー776がガイド本体に相当する。ホルダー776の左右の側壁が第1ガイド手段、ノックピン169及びホルダー776の左上に設けられた傾斜面が第2ガイド手段に該当する。また保持駒161と摺動駒178とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー776の左右の側壁内面は、連結部材ガイド手段に該当する。
入れ子770は、本体772の上部が成形品Pの内面を成形するコア773となっており、上面には成形品Pの突出部P2を成形する凹部774が設けられている。入れ子770は可動側型板716に設けられた凹部717に嵌め込まれ、本体772の底部の鍔775を凹部717に引っ掛け、可動側受板718を介して可動側型板716に固定される。
ホルダー776は、本体772を上下方向に貫通する形で設けられている。ホルダー772の上部には、ホルダー772に繋がる凹部778を有する。この凹部778は、成形コア191が収容する収容孔であり、成形コア191が摺動自在に隙間なく嵌り込む。また入れ子770には、ノックピン169を取り付けるための取付孔780、エジェクタピン763が挿通する貫通孔782が穿設されている。
ホルダー776の基本構成及び作用は、第12実施形態のアンダーカット処理機構109のホルダー131と同じであるので説明を省略する。またノックピン169の位置、作用も第12実施形態のアンダーカット処理機構109のノックピン169と同じであるので説明を省略する。また本実施形態の摺動駒178は、第12実施形態のアンダーカット処理機構109の摺動駒178と同じである。
可動側受板718は、入れ子770を支持するように可動側型板716の底部に取付けられている。可動側受板718は、保持駒161が自由に移動できる貫通孔719を備える。
成形用金型110及びアンダーカット処理機構111の動作、作用、効果は、第12実施形態の成形用金型108及びアンダーカット処理機構109の動作、作用、効果と基本的に同じである。
アンダーカット処理機構111は、摺動駒178及び保持駒161をホルダー776内に収納した状態で成形用金型110に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型110への取付けが容易である。特にノックピン169を備えるホルダー776を有する入れ子770、保持駒161、摺動駒178及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構111をユニットとすれば、成形用金型110への取付けがより容易となる。
図59は、本発明の第14実施形態のアンダーカット処理機構112の構成を示す分解図である。図60の(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明の第14実施形態のアンダーカット処理機構112の成形コア191を備える摺動駒179の左側面図、正面図、右側面図である。図61は、本発明の第14実施形態のアンダーカット処理機構112の動きを説明するための図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、以下の説明において、アンダーカット処理機構112がアンダーカット処理機構101に代えて、成形用金型100に組み込まれているものとして説明する。本実施形態において、左とはX方向をいい、図61(A)の左側をいう。
アンダーカット処理機構112は、成形品Pの成形時にアンダーカット部P1を成形し、エジェクタ機構760と同期し、成形品Pの突き出し時にアンダーカット部P1から外れることで、成形品Pを成形用金型から型抜き可能とするものである。本実施形態のアンダーカット処理機構112は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
アンダーカット処理機構112は、ホルダー136と、成形品Pのアンダーカット部P1を成形する成形コア191を先端に備える摺動駒179と、摺動駒179を摺動可能に保持する保持駒161とを備える。本実施形態のアンダーカット処理機構112は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様に、第2駒21に相当する成形コア191を先端に備える摺動駒179を第1方向及び第2方向に案内するが、第1方向及び第2方向に案内する第1ガイド手段及び第2ガイド手段がアンダーカット処理機構101と異なる。
本実施形態のホルダー136、成形コア191を先端に備える摺動駒179、保持駒161はそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21、第1駒11に相当する。また本実施形態では、摺動駒179がスライダー、ホルダー136がガイド本体、後述の案内溝153、154、155(155a、155b)がガイド手段、案内溝153及び案内溝154が第1ガイド手段、案内溝155が第2ガイド手段に該当する。また摺動駒179の本体175が第1係合手段、爪188(188a、188b)が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒179とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー136の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー136は、2つの同一形状の半割ホルダー部材137を組合せてなる。ホルダー136は、左側壁126の内面127、右側壁129の内面130が保持駒161のガイドとして機能し、正面壁内面及び背面壁内面135に摺動駒179をガイドする案内溝153、154、155を有する。
案内溝153及び案内溝154は、摺動駒179を第1方向に導く凹溝であり、摺動駒179をY方向に導く。案内溝153及び案内溝154は、ホルダー136の正面壁内面及び背面壁内面135に、成形用金型100の型開き方向(Y方向)に平行に設けられている。案内溝154は、案内溝153の上部に位置し、正面視において段差なくつながっている。一方、案内溝154の溝の深さは、案内溝153の溝の深さに比較して浅く、案内溝154と案内溝153との境界156は、段部となっている(図59参照)。
案内溝153及び案内溝154の幅W5は、ホルダー136の正面壁内面及び背面壁内面135の半分程度の大きさであり、案内溝153及び案内溝154の右側面は、ホルダー136を正面に見てホルダー136の右側壁内面130と面一となるように設けられている(図61参照)。
案内溝155(155a、155b)は、摺動駒179を第2方向に導く凹溝であり、摺動駒179を左斜め上に導く。案内溝155は、ホルダー136の正面壁内面及び背面壁内面135であって、正面視において案内溝153及び案内溝154の左隣に設けられている。案内溝155は、Y方向に対し中間部に案内溝155aが、上部に案内溝155bが設けられている。
2つの案内溝155a、155bは、正面視において左側がホルダー136の左側壁内面127に接するように、また右側が案内溝153に繋がるように設けられている。案内溝155bは、正面視において上辺が案内溝154の下辺と一直線状になるように設けられている。案内溝155a、155bの溝の深さは、案内溝153の溝の深さと同じである。
摺動駒179は、断面が矩形の直線状の本体175を有し、本体175の先端部には成形コア191が取付けられ、下端には保持駒161の凸条168に摺動可能に係合する蟻溝176が設けられている。本体175は、上部の厚さが他の部分よりも僅かに薄くなっており、側面視において段差がついている(図60参照)。本体175の段差の高さは、案内溝154と案内溝153との境界156の段差の高さと同じである。
摺動駒179は、本体175の幅W6が案内溝153の幅W5と略同一であり、摺動駒179は、案内溝153、154に摺動自在に隙間なく嵌り込むことができる(図61(B)参照)。摺動駒179は、案内溝153の左側面157及び案内溝154の左側面158、さらにはホルダー136の右側壁内面130を摺動面として第1方向であるY方向に移動する。
摺動駒179は、本体175の正面及び背面に、案内溝155(155a、155b)に嵌り込む爪188(188a、188b)を有する。爪188aはY方向に対し下部に位置し、爪188bは中間部に位置する。爪188a、188bはそれぞれ、爪188a、188bを挟み上下に凹溝を設ける形で形成されており、凸条ということができる。
爪188(188a、188b)の高さ(厚さ)は、案内溝155(155a、155b)の深さと同じである。また爪188(188a、188b)の傾斜角度は、本体175及びホルダー136を正面に見て案内溝155(155a、155b)と平行である。また爪188aの幅は、案内溝155aの幅と略同一であり、爪188aは、案内溝155aに摺動自在に隙間なく嵌り込むことができる。同様に、爪188bの幅は、案内溝155bの幅と略同一であり、爪188bは、案内溝155bに摺動自在に隙間なく嵌り込むことができる。
アンダーカット処理機構112の動作について説明する。型締め状態において、摺動駒179は、本体175の左側面189が、案内溝153の左側面157及び案内溝154の左側面158に接し、本体175の右側面190が、ホルダー131の右側壁内面130に接している(図61(A)参照)。アンダーカット処理機構112は、型締め状態において、摺動駒179の本体175の左右の側面189、190が案内溝153、154及びホルダー131に対して、上下にわたり幅広く接しているため、成形コア191に対して左右方向(±X方向)に大きな荷重が加わってもずれることがない。
保持駒161がY方向に突き出されると、保持駒161は、ホルダー136の左側壁内面127及び右側壁内面130をガイドとしてY方向に移動する。保持駒161に連結する摺動駒179は、案内溝153の左側面157及び案内溝154の左側面158及びホルダー131の右側壁内面130をガイドしてY方向に移動する(図61(B)参照)。
摺動駒179が移動し、摺動駒179の爪188bの上辺193がホルダー131の境界156に接すると(図61(B)参照)、摺動駒179は、爪188aが案内溝155aに案内され、爪188bが案内溝155bに案内され、左上方向に移動する(図61(C)、図61(D)参照)。
アンダーカット処理機構112及びそれを組み込んだ成形用金型100の動作、作用、効果は、第3実施形態の成形用金型100及びアンダーカット処理機構101の動作、作用、効果と基本的に同じである。
アンダーカット処理機構112は、摺動駒179及び保持駒161をホルダー136内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー136、保持駒161、摺動駒179及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構112をユニットとすれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
図62は、本発明の第15実施形態のアンダーカット処理機構113の構成を示す分解図である。図63の(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、本発明の第15実施形態のアンダーカット処理機構113の成形コア191を備える摺動駒194の左側面図、正面図、右側面図、底面図である。図64は、本発明の第15実施形態のアンダーカット処理機構113の動きを説明するための図である。図6から図10に示す第3実施形態のアンダーカット処理機構101及び成形用金型100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、以下の説明において、アンダーカット処理機構113がアンダーカット処理機構101に代えて、成形用金型100に組み込まれているものとして説明する。本実施形態において、左とはX方向をいい、図64(A)を左側をいう。
アンダーカット処理機構113は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様に成形用金型100に取付けられ、成形品Pの成形時にアンダーカット部P1を成形し、エジェクタ機構760と同期し、成形品Pの突き出し時にアンダーカット部P1から外れることで、成形品Pを成形用金型から型抜き可能とするものである。本実施形態のアンダーカット処理機構113は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
アンダーカット処理機構113は、ホルダー138と、成形品Pのアンダーカット部P1を成形する成形コア191を先端に備える摺動駒194と、摺動駒194を摺動可能に保持する保持駒161とを備える。本実施形態のアンダーカット処理機構113は、第3実施形態のアンダーカット処理機構101と同様に、第2駒21に相当する成形コア191を先端に備える摺動駒194を第1方向及び第2方向に案内するが、第1方向及び第2方向に案内する第1ガイド手段及び第2ガイド手段がアンダーカット処理機構101と異なる。
本実施形態のホルダー138、成形コア191を先端に備える摺動駒194、保持駒161はそれぞれ、第1実施形態のスライド機構1の案内体31、第2駒21、第1駒11に相当する。また本実施形態では、摺動駒194がスライダー、ホルダー138がガイド本体、後述の案内溝159(159a、159b)、160、162(162a、162b)、傾斜面164がガイド手段、案内溝159、案内溝160及び傾斜面164が第1ガイド手段、案内溝162が第2ガイド手段に該当する。また摺動駒194の本体175が第1係合手段、爪195(195a、195b)が第2係合手段に該当する。また保持駒161と摺動駒194とが蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒161は、連結部材に該当し、ホルダー138の左右の側壁内面127、130は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー138は、2つの同一形状の半割ホルダー部材139を組合せてなる。ホルダー138は、左側壁126の内面127、右側壁129の内面130が保持駒161のガイドとして機能し、正面壁内面及び背面壁内面135に摺動駒194をガイドする案内溝159(159a、159b)、160、162(162a、162b)を有する。また左側壁126の上端に傾斜面164を有し、この傾斜面164は、摺動駒194を第1方向に案内するガイドとして機能する。
案内溝159及び案内溝160は、摺動駒194を第1方向に導く凹溝であり、ホルダー136の正面壁内面及び背面壁内面135に設けられ、摺動駒194を左斜め上に導く。案内溝160は、案内溝159aと案内溝159bとの間に位置し、正面視において段差なく一直線につながっている。案内溝159aと案内溝159bの溝の深さは同じであるが、案内溝160の溝の深さは、案内溝159の溝の深さに比較して浅く、案内溝159aと案内溝160、案内溝159bと案内溝160との境界は、段部163となっている(図62参照)。
案内溝162(162a、162b)は、摺動駒194を第2方向に導く凹溝であり、ホルダー136の正面壁内面及び背面壁内面135に設けられ、摺動駒194をY方向に導く。案内溝162は、ホルダー136を正面に見て案内溝160を挟み、案内溝160の右に案内溝162aが、案内溝160の左に案内溝162bが設けられている。案内溝162aの溝の深さは、案内溝159aの溝の深さと同じであり、案内溝162aと案内溝159aとは段差なく連通する。同様に、案内溝162bの溝の深さは、案内溝159bの溝の深さと同じであり、案内溝161bと案内溝159bとは段差なく連通する。
摺動駒194は、断面が矩形の直線状の本体175を有し、本体175の先端部には成形コア191が取付けられ、下端には保持駒161の凸条168に摺動可能に係合する蟻溝176が設けられている。本体175の正面及び背面には、それぞれ2つの爪195a、195bが設けられている(図62参照)。爪195aは本体175の下部に、爪195bは本体175の上部に、爪195aと爪195bとは間隔をあけて設けられている。
爪195aと爪195bの爪の高さは同じであり、爪195a、195bは、それぞれ隣りに凹部を設ける形で形成されており、凸条ということができる。爪195aは、案内溝162aに摺動自在にかつ隙間なく嵌り込むように、また爪195bは、案内溝162bに摺動自在にかつ隙間なく嵌り込むように設けられている。
爪195bの右隣りには、爪195bに比較して一段低い段部196が設けられている。段部196は、段部196の高さとホルダー138に設けられた案内溝160の高さとを加算した高さが、爪195a、195bの高さと同じになるように設けられている。
アンダーカット処理機構113の動作について説明する。型締め状態において、摺動駒194は、本体175の下側面184がホルダー138の右側壁内面130に接し、本体175の爪195aが案内溝159aに、本体175の爪195bが案内溝159bに、段部196が案内溝160に隙間なく嵌り込む(図64(A)参照)。アンダーカット処理機構113は、型締め状態において、摺動駒194の本体175の各所がホルダー138、案内溝159a、159b、案内溝160、さらには傾斜面164と上下にわたり幅広く接しているため、成形コア191に対して左右方向(±X方向)に大きな荷重が加わってもずれることがない。
保持駒161がY方向に突き出されると、保持駒161は、ホルダー131の左側壁内面127及び右側壁内面130をガイドとしてY方向に移動する。保持駒161に摺動自在に連結する摺動駒194は、案内溝159a、159b、案内溝160、さらには傾斜面164をガイドして第1方向である左上方向に移動する(図64(B)参照)。
摺動駒194が移動し、摺動駒194の爪195aの左側面197がホルダー131の案内溝160の段部163に接すると(図64(B)参照)、摺動駒194は、爪195aが案内溝162aに案内され、爪195bが案内溝162bに案内され、Y方向に移動する(図64(C)参照)。
アンダーカット処理機構113及びそれを組み込んだ成形用金型100の動作、作用、効果は、第3実施形態の成形用金型100及びアンダーカット処理機構101の動作、作用、効果と基本的に同じである。
アンダーカット処理機構113は、摺動駒194及び保持駒161をホルダー138内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー138、保持駒161、摺動駒194及び成形コア191を1つの独立したユニットとすることが可能であり、アンダーカット処理機構113をユニットとすれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
図65は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801を備える成形用金型800の型閉じ時の断面図である。図66及び図67は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801を備える成形用金型800の型開き途中の断面図及び型開き後の断面図である。図68は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801の構成を示す分解図である。図11~図16に示す本発明の第4実施形態の成形用金型200及びゲート切断機構201と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
成形用金型800は、成形用金型200と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型602と、成形品Pの内面側を成形する可動型702と、さらにゲートGを引きちぎるゲート引きちぎり機構801を備える。便宜上、図65の固定型602側を上、可動型702側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図65における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
固定型602は、固定側型板605及び成形品Pの外面を形成するキャビティ606を備える入れ子607を有する。固定側型板605は、底面610に後述の駆動駒841の位置を維持するスプリング849が嵌る凹部612を有する。入れ子607は、正面視において転倒L字形状を有し、下方(-Y方向)に延びる右側の下端はランナーRを形成するランナー溝の一部となっている。
可動型702は、可動側型板711、成形品Pの内面を形成するコアを備える入れ子721、及び可動側受板718を有する。可動側型板711は、ホルダー851などゲート引きちぎり機構801の構成部材が嵌り込む、正面視において略矩形の凹部728を有する(図66参照)。
ゲート引きちぎり機構801は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを引きちぎる装置であり、成形用金型800の型開きに連動して引きちぎり駒803でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構801は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート引きちぎり機構801は、ゲートGを引きちぎる引きちぎり駒803と、引きちぎり駒803と摺動自在に連結し引きちぎり駒803をスライドさせる保持駒821と、保持駒821と摺動自在に連結し保持駒821をスライドさせる駆動駒841と、保持駒821等を進退可能に収容するホルダー851とを備える。
本実施形態の引きちぎり駒803、保持駒821、ホルダー851は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、引きちぎり駒803がスライダー、ホルダー851がガイド本体、後述の案内溝856がガイド手段、第1案内部857が第1ガイド手段、第2案内部858が第2ガイド手段に該当する。また爪812が係合手段、爪812の第1摺動面が第1係合手段、爪812の第2摺動面が第2係合手段に該当する。保持駒821と引きちぎり駒803とは蟻溝構造により摺動自在に連結されており、保持駒821は、連結部材に該当し、ホルダー851の案内溝871は、連結部材ガイド手段に該当する。
ホルダー851は、保持駒821を進退可能に収容し、保持駒821を左右方向(+X方向,-X方向)に案内する。さらにホルダー851は、引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎるように案内すると共に、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。ホルダー851は、2つの略同一形状の半割ホルダー部材852を組合せてなり、左側面及び上面のうち中央から左側が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー851は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、可動側型板711に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー851は、第4実施形態のホルダー221と同様に、引きちぎり駒803を第1方向及び第1方向に続き第2方向に案内する。ホルダー851の左側面の開口部は、引きちぎり駒803及び保持駒821の出入口となる。また背面側の半割ホルダー部材852には、左側面に臨むように凹部865が設けられている。この凹部865は、保持駒821に取付けられたブロック部材830が入り込むスペースとなる。ホルダー851の上面右側には駆動駒841に連結する支持ピン846が挿通する挿通孔が設けられている。
ホルダー851は、正面壁内面853及び背面壁内面854に引きちぎり駒803をガイドする案内溝856を有する。さらにホルダー851の正面壁内面853及び背面壁内面854に、保持駒821をガイドする案内溝871、駆動駒841をガイドする案内溝875を有する。
案内溝856は、正面壁内面853及び背面壁内面854の左側上部に設けられた凹溝であり、くの字状である(図68参照)。案内溝856は、左右に並ぶように2つ設けられている。案内溝856は、引きちぎり駒803を第1方向に導く第1案内部857と、引きちぎり駒803を第2方向に導く第2案内部858とを有する。第1案内部857は、上下方向(Y方向)に設けられ、第2案内部858は、下部が右側に位置し右斜め下方向に傾斜する。第1案内部857と第2案内部858とは繋がっており、第1案内部857の中心軸線と第2案内部858の中心軸線とは交差する(図68参照)。
第1案内部857は、型開きに連動して引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎるように案内する。一方、第2案内部858は、型開きに連動してゲートGを引きちぎった引きちぎり駒803がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。
案内溝871は、正面壁内面853及び背面壁内面854の下端に設けられた凹溝であり、水平方向(X方向)に延びる(図68参照)。案内溝871には、保持駒821に設けられた凸条828が摺動自在に嵌まり込み、型開きに連動して保持駒821を水平方向(X方向)に案内する。
案内溝875は、正面壁内面853及び背面壁内面854の右端に設けられた凹溝であり、上下方向(Y方向)に延びる(図68参照)。案内溝875には、駆動駒841に設けられた凸条844が摺動自在に嵌まり込み、型開きに連動して駆動駒841を上下方向(Y方向)に案内する。
引きちぎり駒803は、ゲートGを引きちぎる駒であり、直方体の部材を正面視において対角線で2分し、下側を切り落とした、底面が右斜め上方向に傾斜した略三角体形状を有する。引きちぎり駒803は、底面に凸条(蟻溝凸条)805を備える。凸条805には、摺動駒821の左傾斜面822に設けられた蟻溝824が摺動自在に係合する。
引きちぎり駒803は、左側面の中央部に第1溝部807と、第1溝部807の上部に位置し第1溝部807に連通する第2溝部808とを備える。この第1溝部807及び第2溝部808は、ランナーRを形成するランナー溝となる。第1溝部807は、台形状であり、引きちぎり駒803の背面壁は、第1溝部807につながるように台形状に切り取られている。一方、引きちぎり駒803の正面壁804は、切り取られておらず、第1溝部807に位置する正面壁804は、堰として機能する。
第2溝部808は、中央部が最も凹み、そこから上面、正面、背面に向い拡大するように傾斜面が設けられている。第2溝部808につながる上面は、僅かに切り取られ凹み810となっている。この凹み810は、ゲートGとなる。
引きちぎり駒803は、ホルダー851の案内溝856に嵌り込む爪812を有する。爪812は、正面壁804及び背面壁の上部にそれぞれ突出するように設けられており、凸条ということもできる。爪812は、ホルダー851の案内溝856に対応し、正面壁804及び背面壁にそれぞれ2つ設けられている。爪812及び案内溝856は、1つでもよいが、爪812及び案内溝856を2つ設けることで、より確実にまたより正確に引きちぎり駒803を移動させることができ、さらに爪812に加わる力を分散し、引きちぎり駒803の回転を抑止することができる。
爪812の左側面813及び右側面814は、ホルダー851の第1案内部857の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪812の上側面815、下側面816は、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけるべくホルダー851の第2案内部858の上側面、下側面に接する第2摺動面である。
保持駒821は、ゲートGを引きちぎるように引きちぎり駒803を動かす駒であり、正面視において略台形形状を有し、左側面822及び右側面823は傾斜面となっている。左傾斜面822には、引きちぎり駒803に設けられた凸条(蟻溝凸条)805が摺動自在に嵌り込む蟻溝824が、右傾斜面823には、駆動駒841に設けられた凸条(蟻溝凸条)845が摺動自在に嵌り込む蟻溝825が設けられている。また保持駒821の正面壁827及び背面壁の下端にはホルダー851に設けられた案内溝871に摺動自在嵌り込む凸条828が設けられている。
保持駒821は、背面側にブロック部材830を備える。ブロック部材830は、保持駒821の半分程度の高さの長方体形状のブロック材であり、前面上部が傾斜面831となっている。この傾斜面831は、型締め(型閉じ)状態で引きちぎり駒803の第1溝部807とつながりランナー溝の一部となる。
駆動駒841は、引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎるように保持駒821を動かすための駒であり、直方体の部材を正面視において対角線で2分し下側を切り落とした、底面が左斜め上方向に傾斜した三角体形状を有する。駆動駒841は、正面壁842及び背面壁843の右端に上下方向(Y方向)に延びる、ホルダーの案内溝875に摺動自在に嵌まり込む凸条844を有する。また左傾斜面に、摺動駒821の右傾斜面823に設けられた蟻溝825に摺動自在に係合する凸条(蟻溝凸条)845を備える。
駆動駒841の上面には、上方(Y方向)に延びる支持ピン846が取付けられている。支持ピン846は、上部に鍔848を有し、駆動駒841の上面と鍔848との間には支持ピン846が挿通するスプリング849が装着されている。
以上からなるゲート引きちぎり機構801は、引きちぎり駒803の凸条805が、保持駒821の蟻溝824に嵌め込まれ、また駆動駒841の凸条845が保持駒821の蟻溝825に嵌め込まれ、支持ピン846がホルダー851から突出するようにホルダー851に組み込まれる。このとき引きちぎり駒803の爪812は、ホルダー851の案内溝856に、保持駒821の凸条828は、ホルダー851の案内溝871に、引き上げ駒841の凸条844はホルダー851の案内溝875に嵌まり込んでいる。各駒が組み込まれたゲート引きちぎり機構801は、可動側型板711に設けられた凹部728に嵌め込まれ、ホルダー851が可動側型板711に固定される。
次に、成形用金型800において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801の動作、作用を説明する。
型閉じ状態で引きちぎり駒803は、最も左(X方向)に位置しており、引きちぎり駒803の左側面は入れ子721に接している。また入れ子607の右側の下端は、ブロック部材830の上面832に接している。これらによりランナーR及びゲートGが形成される。また型閉じ状態で保持駒821は最も左(X方向)に位置する。型閉じ状態で支持ピン846の上端847は、凹部612の底面613に接しており、駆動駒841は、最も降下した位置にある。また支持ピン846が挿通するスプリング849は最も圧縮された状態にある(図65参照)。
型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、ゲート引きちぎり機構801のうちホルダー851は、可動型702と一体的に-Y方向に下降する。一方、ホルダー851に摺動自在に嵌め込まれた駆動駒841は、スプリング849が鍔848を押し上げるように作用するため型閉じ状態と同じ位置にある。このため型開きが開始されると駆動駒841は、ホルダー851に対して相対的に上昇することとなる(図66参照)。
駆動駒841が、ホルダー851に対して相対的に上昇することで、駆動駒841に係合する保持駒821は、案内溝871にガイドされ右方向(-X方向)に移動する。さらに保持駒821が右方向(-X方向)に移動することで、保持駒821に係合する引きちぎり駒803は、案内溝856の第1案内部857にガイドされ-Y方向に移動する(図66参照)。これによりゲートGが引きちぎられ、さらにランナーRの樹脂は引き下げられる。
引きちぎり駒803が下降しゲートGを引きちぎるとき、ブロック部材830は、右方向(-X方向)に移動しているためブロック部材830と入れ子721との間に空間ができる。さらにブロック部材830の上面832と入れ子607の底面との間にも空間ができている。このためゲートGの引きちぎりに伴い引き下げられるランナーRの樹脂を、前記空間に退避させることができる。これによりランナーRの樹脂の破断を防ぎ、樹脂の回収機構を簡便にすることができる。
型開きに連動して引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎった後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、引きちぎり駒803は、第2摺動面を案内溝856の第2案内部858に摺動させ、第2案内部858に沿って移動する。これにより引きちぎり駒803が-X方向に移動し、引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される(図67参照)。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。
以上のように成形用金型800、ゲート引きちぎり機構801は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを引きちぎることができる。またゲートGを引きちぎった引きちぎり駒803は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った材料の取り出しが容易となる。特にゲート引きちぎり機構801は、ランナーRの材料を破断させることなくゲートGを引きちぎることができるので、ランナーRに残った材料を取り出すための機構が簡便となる。
また、ゲート引きちぎり機構801は、引きちぎり駒803、保持駒821及び駆動駒841をホルダー851内に収納した状態で成形用金型800に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型800への取付けが容易である。特にホルダー851、引きちぎり駒803、保持駒821及び駆動駒841を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構801をユニット化すれば、成形用金型800への取付けがより容易となる。
図69は、本発明の第17実施形態のゲート引きちぎり機構901を備える成形用金型900の型閉じ時の断面図である。図65~図68に示す本発明の第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図69の固定型602側を上、可動型702側を下として、本発明の第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801との相違点を中心に説明する。以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図69における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
第17実施形態の成形用金型900の構成及び動作は、第16実施形態の成形用金型800と基本的に同じである。また第17実施形態のゲート引きちぎり機構901も、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と基本構成を同じくするが、保持駒821をスライドさせる駆動駒941の構成が駆動駒841と異なる。これに伴い保持駒821を進退可能に収容するホルダー951の形態が、ホルダー851と一部異なる。
ゲート引きちぎり機構901は、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形用金型900の型開きに連動して引きちぎり駒803でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構901も、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。引きちぎり駒803及び保持駒821は、第16実施形態の引きちぎり駒803及び保持駒821と同じである。
第16実施形態の駆動駒841は、上部に取付けられた支持ピン846及びそれが挿通するスプリング849を用いて、型開きの際に駆動駒841の位置を維持するが、駆動駒941は、上面にZ方向に延びる板部材を配置し、その下方に配置したスプリング943を用いて駆動駒941の位置を維持する。駆動駒941の他の構成は、駆動駒841と同じである。
ホルダー951は、第16実施形態のホルダー851とほぼ同一の構成からなるが、ホルダー851と異なり上面全体が開口している。また正面壁の上右端には、駆動駒941の板部材が嵌まり込む凹部が、同様に背面壁の上右端には、駆動駒941の板部材が嵌まり込む凹部が設けられている。ホルダー951の他の構成は、ホルダー851と同じである。
以上からなるゲート引きちぎり機構901は、引きちぎり駒803の凸条805が、保持駒821の蟻溝824に嵌め込まれ、また駆動駒941の凸条845が保持駒821の蟻溝824に嵌め込まれる。引きちぎり駒803の爪812は、ホルダー951の案内溝856に、保持駒821の凸条828は、ホルダー951の案内溝871に、駆動駒941の凸条844はホルダー951の案内溝875に嵌まり込んでいる(図65~図68参照)。各駒が組み込まれたゲート引きちぎり機構901は、可動側型板711に設けられた凹部728に嵌め込まれ、ホルダー951が可動側型板711に固定される。
次に、成形用金型900において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、第17実施形態の成形用金型900及びゲート引きちぎり機構901の動作、作用を説明する。第17実施形態の成形用金型900及びゲート引きちぎり機構901の動作、作用は、第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801の動作、作用と基本的に同じであるので、図65~図68を参照しつつポイントとなる部分のみ説明する。
型閉じ状態で引きちぎり駒803は、最も左(X方向)に位置しており、引きちぎり駒803の左側面は入れ子721に接している。また入れ子607の右側の下端は、ブロック部材830の上面832に接している。これらによりランナーR及びゲートGが形成される。また型閉じ状態で保持駒821は最も左(X方向)に位置する。型閉じ状態で駆動駒941は、板部材の天井面が固定側型板605の底面610に接し、スプリング943は最も圧縮された状態にある(図69参照)。型開き時、ホルダー951に摺動自在に嵌め込まれた駆動駒941は、スプリング943が板部材を押し上げるように作用する。このため型開きが開始されても駆動駒941は型開き前の位置を維持し、ホルダー951に対して相対的に上昇することとなる。
成形品Pの成形要領、ゲートGの引きちぎり要領、成形品P及びランナーRに残った樹脂の取り出し要領は、第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と同じである。
成形用金型900及びゲート引きちぎり機構901の作用効果、特徴は、成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と基本的に同じであるが、ゲート引きちぎり機構901は、成形用金型900に組み込む際に固定型602を特に加工する必要がないという利点がある。
図70は、本発明の第18実施形態のゲート引きちぎり機構1001を備える成形用金型1000の型閉じ時の断面図である。図65~図68に示す本発明の第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801、図69に示す本発明の第17実施形態の成形用金型900及びゲート引きちぎり機構901と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図70の固定型602側を上、可動型702側を下として、本発明の第16及び第17実施形態の成形用金型800、900及びゲート引きちぎり機構801、901との相違点を中心に説明する。以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図70における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
第18実施形態の成形用金型1000の構成及び動作は、第16実施形態の成形用金型800と基本的に同じである。また第18実施形態のゲート引きちぎり機構1001も、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と基本構成を同じくするが、保持駒1021をスライドさせる駆動手段がゲート引きちぎり機構801と異なる。これに伴い保持駒1021、ホルダー1051の形態が、保持駒821、ホルダー851と一部異なる。
ゲート引きちぎり機構1001は、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形用金型1000の型開きに連動して引きちぎり駒803でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構1001は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。引きちぎり駒803は、第16実施形態の引きちぎり駒803と同じである。
保持駒1021は、保持駒821と同様に引きちぎり駒803をスライドさせる駒である。保持駒1021は、保持駒821と異なり右傾斜面823に蟻溝を備えていない。保持駒1021の右傾斜面823は、ロッキングブロック1041の傾斜面1044と摺動自在に接する。保持駒1021は、右傾斜面823に蟻溝を備えない点を除き、他の構成は保持駒821と同じである。
本実施形態において保持駒1021をスライドさせる駆動手段は、ガススプリング1080である。ガススプリング1080は、シリンダ本体に伸縮自在なロッド1082が取付けられた公知のガススプリングである。ガススプリング1080は、ロッド1082の進退方向が保持駒1021のスライド方向と同一となるように、またロッド1082の先端がブロック部材830の前面と接するように入れ子721に設けられた凹部729に取付けられている。
ロッキングブロック1041は、保持駒1021に摺動自在に接し、型閉じ状態で保持駒1021の位置決めを行い、型開き過程で保持駒1021の移動(スライド)を規制する駒である。ロッキングブロック1041は、直方体の部材の左側を斜めに切り落とした、左側面が右下方向に傾斜した傾斜面1044を有するブロック状の部材である。この傾斜面1044は、ホルダー1051に組み込まれた状態で保持駒1021の右傾斜面823と摺動自在に接する。
ロッキングブロック1041は、固定側型板605に設けられた凹部612に上部が嵌め込まれ、固定ボルト1046で固定側型板605に固定されている。ロッキングブロック1041は、固定側型板605に取付けられた状態で大半が下方に突出している。
ホルダー1051は、案内溝875及び板部材が嵌まり込む凹部を備えていない点を除き、他の構成はホルダー951と同じである。
以上からなるゲート引きちぎり機構1001は、引きちぎり駒803の凸条805が、保持駒1021の蟻溝824に嵌め込まれホルダー1051に組み込まれる。このとき引きちぎり駒803の爪812は、ホルダー1051の案内溝856に、保持駒1021の凸条828は、ホルダー1051の案内溝871に嵌まり込んでいる(図65~図68参照)。引きちぎり駒803及び保持駒1021がホルダー1051に組み込まれたゲート引きちぎり機構1001は、可動側型板711に設けられた凹部728に嵌め込まれ、ホルダー1051が可動側型板711に固定される。
次に、成形用金型1000において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、第18実施形態の成形用金型1000及びゲート引きちぎり機構1001の動作、作用を説明する。第18実施形態の成形用金型1000及びゲート引きちぎり機構1001の動作、作用は、第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801の動作、作用と基本的に同じであるのでポイントとなる部分のみ説明する。
型閉じ状態で引きちぎり駒803は、最も左(X方向)に位置しており、引きちぎり駒803の左側面は入れ子721に接している。また入れ子607の右側の下端は、ブロック部材830の上面832に接している。これらによりランナーR及びゲートGが形成される。また型閉じ状態で保持駒1021は、入れ子721に接している。またガススプリング1080は、ロッド1082の先端がブロック部材830の前面に接している。型開きに伴い可動型702が下降し、固定型602との間が開くと保持駒1021は、ガススプリング1080に押され-X方向に移動する。このとき保持駒1021の右傾斜面823は、ロッキングブロック1041の傾斜面1044に摺動自在に接する。
成形品Pの成形要領、ゲートGの引きちぎり要領、成形品P及びランナーRに残った樹脂の取り出し要領は、第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と同じである。成形用金型1000及びゲート引きちぎり機構1001の作用効果、特徴は、成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と基本的に同じである。
図71は、本発明の第19実施形態のゲート引きちぎり機構1101を備える成形用金型1100の型閉じ時の断面図である。図65~図68に示す本発明の第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図71の固定型602側を上、可動型702側を下として、本発明の第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801との相違点を中心に説明する。以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図71における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
第19実施形態の成形用金型1100の構成及び動作は、第16実施形態の成形用金型800と基本的に同じである。また第19実施形態のゲート引きちぎり機構1001も、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と基本構成、動作を同じくするが、保持駒821をスライドさせる駆動駒1141が駆動駒841と異なる。これに伴いホルダー1151の形態が、ホルダー851と一部異なる。
ゲート引きちぎり機構1101は、第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形用金型1100の型開きに連動して引きちぎり駒803でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒803をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構1101は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。引きちぎり駒803及び保持駒821は、第16実施形態の引きちぎり駒803及び保持駒821と同じである。ブロック部材830も第16実施形態のブロック部材830と基本構成を同じくするが、左側面にスプリング1180を収容する凹部835が設けられている。
駆動駒1141は、駆動駒841と同様に、引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎるように保持駒821を動かすための駒である。駆動駒1141は、正面視において三角形状を有し、正面壁及び背面壁の右端にホルダー1151の案内溝に摺動自在に嵌まり込む凸条844を有する。凸条844は正面視において上部が下部に比較して右方向に位置する。また左傾斜面に、摺動駒821の右傾斜面823に設けられた蟻溝825に摺動自在に係合する凸条(蟻溝凸条)を備える。
駆動駒1141の上面には、転倒L字型のフック1142が一体的に設けられている。フック1142は、駆動駒1141の上面につながる基部、基部につながる水平部を有し、水平部の先端1143が左向きに設けられている。
駆動駒1141は、固定側型板605に取付けられた係止フック1145に係止する。係止フック1145は、転倒L字状のフックであり、固定側型板605に設けられた凹部620に固定されている。係止フック1145は、水平部の先端1146が右を向くように、また水平部が下に位置するように凹部620に固定されている(図71参照)。このため係止フック1145の水平部の上方には空間ができる。
駆動駒1141は、型締め状態でフック1142の水平部が係止フック1145の水平部に載るように係止する。凹部620の長さ(X方向)は、係止フック1145とフック1142とを加算した長さよりも長い。このため係止フック1145に係止した駆動駒1141を右側(-X方向)に目一杯移動させると、駆動駒1141は、係止フック1145から外れ、固定側型板605からも離脱させることができる。
ホルダー1151は、ホルダー851と基本構成を同じくするが、ホルダー851と異なり上面が全面開口している。駆動駒1141の凸条844が摺動自在に嵌まり込む案内溝875は、駆動駒1141の凸条844に対応し、正面視において右斜め上に延びるように設けられている。またホルダー1151には、案内溝875に沿うように傾斜面1152が設けられている。この傾斜面1152には駆動駒1141の右傾斜面が摺動自在に接する。以上の点を除き、ホルダー1151はホルダー851と構成を同じくする。
スプリング1180は、保持駒821を-X方向に押し出す。
以上からなるゲート引きちぎり機構1101は、引きちぎり駒803の凸条805が、保持駒821の蟻溝824に嵌め込まれ、また駆動駒1141の凸条が保持駒821の蟻溝825に嵌め込まれホルダー1151に組み込まれる。このとき引きちぎり駒803の爪812は、ホルダー1151の案内溝856に、保持駒821の凸条828は、ホルダー1151の案内溝871に、駆動駒1141の凸条844はホルダー1151の案内溝875に嵌まり込んでいる(図65~図68参照)。各駒が組み込まれたゲート引きちぎり機構1101は、可動側型板711に設けられた凹部728に嵌め込まれ、ホルダー1151が可動側型板711に固定される。
次に、成形用金型1100において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、第19実施形態の成形用金型1100及びゲート引きちぎり機構1101の動作、作用を説明する。第19実施形態の成形用金型1100及びゲート引きちぎり機構1101の動作、作用は、第16実施形態の成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801の動作、作用と基本的に同じであるのでポイントとなる部分のみ説明する。
型閉じ状態で引きちぎり駒803は、最も左(X方向)に位置しており、引きちぎり駒803の左側面は入れ子721に接している。また入れ子607の右側の下端は、ブロック部材830の上面832に接している。これらによりランナーR及びゲートGが形成される。また型閉じ状態で駆動駒1141は、フック1142が係止フック1145に係止している。フック1142が係止フック1145に係止することで、スプリング1180より大きい力で各駒を駆動させることができる。スプリング1180は、圧縮された状態であり、先端が入れ子721に接している。
型開きに伴い可動型702が下降し固定型602との間が開くと、ホルダー1151に対して駆動駒1141が相対的に上昇するので、駆動駒1141に摺動自在に係合する保持駒821は、-X方向に移動する。型開きに伴いスプリング1180は伸長するものの、引き続き保持駒821を-X方向に押す。
保持駒821が右方向(-X方向)に移動することで、保持駒821に係合する引きちぎり駒803は、案内溝856の第1案内部857にガイドされ-Y方向に移動する。これによりゲートGが引きちぎられ、さらにランナーRの樹脂は引き下げられる。引きちぎり駒803が下降しゲートGを引きちぎるとき、ブロック部材830は、右方向(-X方向)に移動しているためブロック部材830と入れ子721との間に空間ができる。さらにブロック部材830の上面832と入れ子607の底面613との間にも空間ができている。このためゲートGの引きちぎりに伴い引き下げられるランナーRの樹脂を、前記空間に退避させることができる。
型開きに連動して引きちぎり駒803がゲートGを引きちぎった後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、引きちぎり駒803は、第2摺動面を案内溝856の第2案内部858に摺動させ、第2案内部858に沿って移動する。これにより引きちぎり駒803が-X方向に移動し、引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。
駆動駒1141は、ホルダー1151の案内溝875に沿って右斜め上に移動するので、型開きに連動して固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、フック1142が係止フック1145から外れる。係止フック1145から外れた駆動駒1141は、ホルダー1151を介して可動側型板711と一体的に移動する。駆動駒1141が、係止フック1145から外れても、スプリング1180が保持駒821を-X方向に押しているため各駒はその位置で保持される。
成形用金型1100及びゲート引きちぎり機構1101の作用効果、特徴は、成形用金型800及びゲート引きちぎり機構801と基本的に同じである。
図72~75は、本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201の動作を説明する斜視図である。図76は、本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201の構成を示す分解図である。便宜上、図72の成形品P側を上、案内駒1271側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図72における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型と、成形品Pの内面側を成形する可動型とを備える成形用金型に組み込まれ使用される。ゲート引きちぎり機構1201を組込み使用可能な固定型、可動型を備える成形用金型は、特に限定されるものではない。
ゲート引きちぎり機構1201は、ゲート引きちぎり機構801と同様に、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを引きちぎる装置であり、成形用金型の型開きに連動して引きちぎり駒1203でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒1203をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構1201は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート引きちぎり機構1201は、ゲートGを引きちぎる引きちぎり駒1203と、引きちぎり駒1203と摺動自在に係合し引きちぎり駒1203をスライドさせる保持駒1221と、引きちぎり駒1203及び保持駒1221を部分的に収容し、保持駒1221をスライドさせるホルダー1251と、保持駒1221を案内する案内駒1271とを備える(図76参照)。
本実施形態の引きちぎり駒1203、保持駒1221、ホルダー1251は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、引きちぎり駒1203がスライダー、ホルダー1251がガイド本体、後述の案内溝1256がガイド手段、第1案内部1257が第1ガイド手段、第2案内部1258が第2ガイド手段に該当する。また爪1212が係合手段、爪1212の第1摺動面が第1係合手段、爪1212の第2摺動面が第2係合手段に該当する。保持駒1221と引きちぎり駒1203とは摺動自在に係合しており、保持駒1221は、係合部材に該当し、案内駒1271は、係合部材ガイド手段に該当する。
引きちぎり駒1203は、ゲートGを形成するとともにゲートGを引きちぎる駒である。上部先端にゲートGを形成するZ方向に延びる突起1210を有する。突起1210は、先端(X方向)ほど細い先細り形状となっている。引きちぎり駒1203の先端側は、突起1210のある方であり、図76において左側となる。突起1210とは反対側の上部には、ホルダー1251の案内溝1256に摺動自在に嵌まり込む爪1212が設けられている。爪1212は、正面壁1204及び背面壁の上部にそれぞれ突出するように設けられており、凸条ということもできる。
爪1212の左側面1213及び右側面1214は、ホルダー1251の案内溝1256の第1案内部1257の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪1212の上側面1215、下側面1216は、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1203をゲートG及びランナーRから遠ざけるべくホルダー1251の案内溝1256の第2案内部1258の上側面、下側面に接する第2摺動面である。
引きちぎり駒1203は、突起1210の下方に-X方向に延びる突出部1206を有する。突出部1206の上部には、ランナーRを形成するランナー溝の一部となるL字状の凹部1208が設けられている。突出部1206の底面は、傾斜面1209となっている。この傾斜面1209は、前方に向かって下がっており、保持駒1221に設けられた傾斜面1222に摺動自在に接する。引きちぎり駒1203の底面は前方に向かって傾斜した傾斜面となっており、正面壁1204の下端には底面に沿うように凸条1205が設けられている。この凸条1205は、保持駒1221に設けられた凹溝に摺動自在に嵌まり込む。
保持駒1221は、ゲートGを引きちぎるように引きちぎり駒1203を動かす駒である。左側面は、傾斜面1222となっており、その傾斜面1222を彫り込むように、引きちぎり駒1203の下部が摺動自在に嵌まり込む凹部1224が設けられている。この凹部1224は、右上がりであり、側部に引きちぎり駒1203の凸条1205が嵌まり込む凹溝(図示省略)が設けられている。傾斜面1222には、引きちぎり駒1203の傾斜面1209が摺動自在に接する。
また保持駒1221は、正面壁1227の上部には前方に突出する突出部1230が設けられている。突出部1230と傾斜面1222とで成形される凹部1231には、引きちぎり駒1203の突出部1206が嵌まり込む。突出部1230は、凹部1231に嵌め込まれる突出部1206の凹部1208の上部を塞ぐ閉塞部となる。
保持駒1221の右側面は、右下がり傾斜面であり、正面壁1227及び背面壁には、右側面に沿うように凸条1225、1226が設けられている。この凸条1225、1226は、ホルダー1251に設けられた案内溝1259に摺動自在に嵌まり込む。保持駒1221の底部には、案内駒1271に設けられた凸条(蟻溝凸条)1273が摺動自在に嵌まり込む蟻溝が設けられている。
案内駒1271は、保持駒1221と摺動自在に連結し、保持駒1221を案内する。案内駒1271は、平板状の部材の上面に凸条(蟻溝凸条)1273が設けられてなる。ゲート引きちぎり機構1201を成形用金型に組み込む際には、案内駒1271は、可動型に固定される。本実施形態の案内駒1271には、案内駒1271を可動型に固定するためのボルト挿通孔1274が設けられている。
ホルダー1251は、引きちぎり駒1203及び保持駒1221を部分的に収容し、引きちぎり駒1203がゲートGを引きちぎるように案内すると共に、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1203をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。ホルダー1251は、2つの略同一形状の半割ホルダー部材1252を組合せてなる。ホルダー1251は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、固定型に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー1251は、略直方体形状の本体1253と、本体1253の上部に本体1253に一体的に設けられたフランジ1254とを有する。本体1253は、左側面が開口し内部に引きちぎり駒1203及び保持駒1221を部分的に収容する収容部1260を有する。収容部1260は、右方向(後方)に向かって狭くなるように設けられ、内部は右下がりの傾斜面1261となっている。この傾斜面1261に沿うように案内溝1256の第2案内部1258及び案内溝1259が設けられている。
ホルダー1251は、中央上部及び背面壁内面1263に、引きちぎり駒1203をガイドする案内溝1256を有する。背面壁内面1263に設けられた案内溝1256は、くの字状であり、引きちぎり駒1203を第1方向に導く第1案内部1257と、引きちぎり駒1203を第2方向に導く第2案内部1258とを有する。第1案内部1257は、上下方向(Y方向)に設けられ、第2案内部1258は、下部が右側に位置し右斜め下方向に傾斜する。第1案内部1257と第2案内部1258とは繋がっており、第1案内部1257の中心軸線と第2案内部1258の中心軸線とは交差する(図76参照)。一方、中央上部に設けられた案内溝1256は、引きちぎり駒1203を第1方向に導く第1案内部1257のみである。
第1案内部1257は、型開きに連動して、引きちぎり駒1203がゲートGを引きちぎるように案内する。一方、第2案内部1258は、型開きに連動して、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1203がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。背面壁内面1263に設けられた案内溝1256の第2案内部1258は、保持駒1221の凸条1226が摺動自在に嵌まり込む案内溝1259でもある。保持駒1221の凸条1225が嵌まり込む案内溝1259は、ホルダー1251の正面壁内面1262に設けられており、2つの案内溝1259で保持駒1221の移動を案内する。
またホルダー1251は、保持駒1221の移動を阻止するストッパー1267を収容するストッパー収容孔1266を備える。ストッパー収容孔1266は、上面1264に臨むように設けられ、下端は収容部1260につながる。フランジ1254には、ホルダー1251を固定型に固定するためのボルト挿通孔1274が設けられている。
ストッパー1267は、保持駒1221の移動を阻止する有底円筒部材であり、内部にスプリング1268が装填される。ストッパー1267は、下端が収容部1260に突出するようにストッパー収容孔1266に摺動自在に挿入される。保持駒1221が後退し、保持駒1221に設けられた移動規制部(図示省略)がストッパー1267に衝突した時点で移動が阻止される。
スプリング1268は、ストッパー1267に装填され、ゲート引きちぎり機構1201が成形用金型に組み込まれると、ストッパー1267を下方(-Y方向)に押し付ける。
次に、ゲート引きちぎり機構1201が、図65に示す固定型602及び可動型702と同様の成形用金型に組み込まれているものとし、成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態のゲート引きちぎり機構1201の動作、作用を説明する。図65に示す固定型602及び可動型702と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート引きちぎり機構1201は、引きちぎり駒1203の凸条1205が、保持駒1221の蟻溝に嵌め込まれ、また引きちぎり駒1203の突出部1206が保持駒1221の凹部1231に嵌め込まれ、ホルダー1251に組み込まれる。このとき引きちぎり駒1203の爪1212は、ホルダー1251の案内溝1256の第1案内部1257に、保持駒1221の凸条1225及び凸条1226は、それぞれホルダー1251の案内溝1259に嵌まり込んでいる。
ホルダー1251は、フランジ1254が固定側型板605に固定され、型閉じ状態においてホルダー1251の本体1253は、可動型702の凹部728に位置する。案内駒1271は、可動型702の凹部728の底面に固定されている。
型閉じ状態で引きちぎり駒1203は、ゲートG及びランナーRを形成する位置にある。保持駒1221もランナーRを形成するように引きちぎり駒1203の隣に位置する。このとき引きちぎり駒1203及び保持駒1221は、ホルダー1251から最も突出している(図72参照)。
型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、案内駒1271に摺動自在に連結する保持駒1221及び保持駒1221に摺動自在に係合する引きちぎり駒1203は、可動型702と一緒に下降する。一方、ホルダー1251は、固定型602に固定されているため位置は変わらない。このため型開きが開始されるとホルダー1251は、引きちぎり駒1203及び保持駒1221に対して相対的に上昇することとなる(図73参照)。
このとき引きちぎり駒1203は、爪1212が案内溝1256の第1案内部1257に案内され、成形品Pに対して-Y方向に移動する。これによりゲートGが引きちぎられ、ランナーRの樹脂は引き下げられる。保持駒1221は、凸条1225が案内溝1256の第2案内部1258に案内される。同時に保持駒1221は、案内駒1271と摺動自在に係合するため成形品Pに対する高さを変えることなくホルダー1251側に後退する(図73参照)。
引きちぎり駒1203が下降しゲートGを引きちぎるとき、保持駒1221もいっしょに下降し、突出部1230がランナーRを押し下げてしまうと、ランナーRの樹脂に剪断力が加わり破断する。これに対して本実施形態のゲート引きちぎり機構1201は、引きちぎり駒1203が下降しゲートGを引きちぎるとき、保持駒1221は後退し、ランナーRからは離れているので引きちぎり駒1203のみがランナーRを押し下げることとなる。このような状態で引きちぎり駒1203がランナーRを押し下げるとランナーRが撓むためランナーRの破断を防止することができる(図73参照)。
型開きに連動して引きちぎり駒1203がゲートGを引きちぎった後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、引きちぎり駒1203は、爪1212の第2摺動面を案内溝1256の第2案内部1258に摺動させ、第2案内部1258に沿って移動する。これにより引きちぎり駒1203がランナーRから離れる(図74参照)。さらに可動型702が下降すると、保持駒1221が案内駒1271から外れ、保持駒1221は引きちぎり駒1203と一緒にホルダー1251につながる。これにより成形品P及び引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される(図75参照)。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。
以上のようにゲート引きちぎり機構1201は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを引きちぎることができる。またゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1203は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った材料の取り出しが容易となる。特にゲート引きちぎり機構1201は、ランナーRの材料を破断させることなくゲートGを引きちぎることができるので、ランナーRに残った材料を取り出すための機構が簡便となる。
また、ゲート引きちぎり機構1201は、引きちぎり駒1203、保持駒1221をホルダー1251内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー1251、引きちぎり駒1203、保持駒1221及び案内駒1271を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構1201をユニット化すれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
図77~79は、本発明の第21実施形態のゲート引きちぎり機構1301の動作を説明する斜視図である。図80は、本発明の第21実施形態のゲート引きちぎり機構1301の構成を示す分解図である。便宜上、図77の成形品P側を上、スプリング1380側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図77における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第21実施形態のゲート引きちぎり機構1301は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型と、成形品Pの内面側を成形する可動型とを備える成形用金型に組み込まれ使用される。ゲート引きちぎり機構1301を組込み使用可能な固定型、可動型を備える成形用金型は、特に限定されるものではない。
ゲート引きちぎり機構1301は、ゲート引きちぎり機構1201と同様に、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを引きちぎる装置であり、成形用金型の型開きに連動して引きちぎり駒1303でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒1303をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構1301は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート引きちぎり機構1301は、ゲートGを引きちぎる引きちぎり駒1303と、引きちぎり駒1303と摺動自在に係合し引きちぎり駒1303をスライドさせる保持駒1321と、保持駒1321と摺動自在に係合し保持駒1321をスライドさせる駆動駒1341と、保持駒1321等を進退可能に収容するホルダー1351とを備える(図80参照)。
本実施形態の引きちぎり駒1303、保持駒1321、ホルダー1351は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、引きちぎり駒1303がスライダー、ホルダー1351がガイド本体、後述の案内溝1356がガイド手段、第1案内部1357が第1ガイド手段、第2案内部1358が第2ガイド手段に該当する。また爪1312が係合手段、爪1312の第1摺動面が第1係合手段、爪1312の第2摺動面が第2係合手段に該当する。保持駒1321と引きちぎり駒1303とは摺動自在に係合しており、保持駒1321は、係合部材に該当し、ホルダー1351の凹溝1371は、係合部材のガイド手段に該当する。
引きちぎり駒1303は、ゲートGを形成するとともにゲートGを引きちぎる駒である。上部先端にゲートGを形成するZ方向に延びる突起1310を有する。突起1310は、先端ほど細い先細り形状となっている。引きちぎり駒1303の先端側は、突起1310のある方であり、図80において左側となる。引きちぎり駒1303の背面壁1307には爪1312が2つ設けられ、それぞれの爪1312がホルダー1351に設けられた2つの案内溝1356にそれぞれ摺動自在に嵌まり込む。2つの爪1312は、背面壁1307から突出するように設けられており、凸条ということもできる。爪1312及び案内溝1356は、1つでもよいが、爪1312及び案内溝1356を2つ設けることで、より確実にまたより正確に引きちぎり駒1303を移動させることができ、さらに爪1312に加わる力を分散し、引きちぎり駒1303の回転を抑止することができる。
爪1312の左側面1313及び右側面1314は、ホルダー1351の案内溝1356の第1案内部1357の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪1312の上側面1315、下側面は、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1303をゲートG及びランナーRから遠ざけるべくホルダー1351の案内溝1356の第2案内部1358の上側面、下側面に接する第2摺動面である。
引きちぎり駒1303は、突起1310の下方にX方向に延びる凹部1308が設けられている。凹部1308の底面は、前下がりの傾斜面1309となっている。引きちぎり駒1303の底面は前方に向かって傾斜した傾斜面となっており、正面側の下端には底面に沿うように凸条1305が設けられている(図80参照)。この凸条1305は、保持駒1321に設けられた凹溝1331に摺動自在に嵌まり込む。
保持駒1321は、ゲートGを引きちぎるように引きちぎり駒1303を動かす駒である。保持駒1321は、前方に凹部1334が設けられている(図80参照)。凹部1334の底面は、前下がりの傾斜面1322となっている。凹部1344は、保持駒1321に引きちぎり駒1303が組み込まれたとき引きちぎり駒1303の凹部1308とつながるように設けられている。この凹部1334は、大きさ、形状が引きちぎり駒1303の凹部1308と同じであり、保持駒1321に引きちぎり駒1303が組み込まれると、保持駒1321の凹部1334の傾斜面1322と引きちぎり駒1303の凹部1308の傾斜面1309は、面一となる。凹部1308及び凹部1334は、ランナー溝となる。
保持駒1321の背面壁側には、引きちぎり駒1303の凸条1305が摺動自在に嵌まり込む、右上がりの凹溝1331が設けられている。保持駒1321の右側面1323は、右下がり傾斜面であり、正面側に凹溝1325が設けられている。この凹溝1325は、駆動駒1341に設けられた凸条に摺動自在に嵌まり込む。また保持駒1221の正面壁1327及び背面壁の下部には、ホルダー1351に設けられた凹溝1371に摺動自在に嵌まり込む凸条1328が設けられている。
保持駒1321の傾斜面1322の下方に位置する前面1329には、スプリング1380が嵌り込むスプリング収容孔1330が設けられている。スプリング1380は、一端を可動型に、他端をスプリング収容孔1330の底面に接し、保持駒1321を駆動駒1341側に押す。
駆動駒1341は、引きちぎり駒1303がゲートGを引きちぎるように保持駒1321を動かすための駒である。駆動駒1341の左側面1342は、傾斜面となっており、左側面1342は、保持駒1321の凹溝1325の左側面に摺動自在に接する。また駆動駒1341は、左側面1342に沿うように保持駒1321の凹溝1325が摺動自在に嵌まり込む凸条を有する。駆動駒1341の右側面1343も僅かに傾斜しており、駆動駒1341は、正面視において下方ほど狭い先細り形状を有する。
駆動駒1341の上面には、駆動駒1341を固定型に取付けるための取付部1345を備える。駆動駒1341は、固定側型板に設けられた凹部に取付部1345が嵌め込まれ固定ねじ等の固定具で固定される。駆動駒1341は、固定側型板に取付けられた状態で取付部1345より下方が固定側型板から突出している。
ホルダー1351は、保持駒1321を進退可能に収容する。さらにホルダー1351は、引きちぎり駒1303がゲートGを引きちぎるように案内すると共に、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1303をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。ホルダー1351は、2つの半割ホルダー部材1352a、1352bを組合せてなり、左側面及び上面が開口した内部空間を備える箱形筒状に形成されている。ホルダー1351は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、可動側型板711(図65参照)に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー1351の左側面の開口部は、引きちぎり駒1303及び保持駒1321の出入口となる。またホルダー1351の上面の開口部は、駆動駒1341の出入口となる。
ホルダー1351は、背面壁内面1354に、引きちぎり駒1303をガイドする案内溝1356を有する。さらにホルダー1351の正面壁内面1353の下部及び背面壁内面1354の下部に、保持駒1321をガイドする案内溝(凹溝)1371を有する。ホルダー1351の右側内壁面1375は、上部に向かって広がる傾斜面となっている。この右側内壁面1375には、駆動駒1341の右側面1343が接する。
案内溝1356は、背面壁内面1354の左側上部に設けられた凹溝であり、逆L字状である(図80参照)。案内溝1356は、左右に並ぶように2つ設けられている。案内溝1356は、引きちぎり駒1303を第1方向に導く第1案内部1357と、引きちぎり駒1303を第2方向に導く第2案内部1358とを有する。第1案内部1357は、上下方向(Y方向)に設けられ、第2案内部1358は、末端が右側に位置するように水平方向(左右方向)に延びる。第1案内部1357と第2案内部1358とは繋がっており、第1案内部1357の中心軸線と第2案内部1358の中心軸線とは交差する(図80参照)。
第1案内部1356は、型開きに連動して、引きちぎり駒1303がゲートGを引きちぎるように案内する。一方、第2案内部1357は、型開きに連動して、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1303がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。
案内溝1371は、正面壁内面1353及び背面壁内面1354の下端に設けられた凹溝であり、水平方向(X方向)に延びる(図80参照)。案内溝1371には、保持駒1321に設けられた凸条1328が嵌まり込み、型開きに連動して保持駒1321を水平方向(左右方向)に案内する。
またホルダー1351は、半割れホルダー部材1352aの左側先端にランナーRの一部を形成するランナー溝1372を備える。
次に、ゲート引きちぎり機構1301が、図65に示す固定型602及び可動型702と同様の成形用金型に組み込まれているものとし、成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態のゲート引きちぎり機構1301の動作、作用を説明する。図65に示す固定型602及び可動型702と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート引きちぎり機構1301は、引きちぎり駒1303の凸条1305が、保持駒1321の凹溝1331に嵌め込まれ、駆動駒1341の凸条が保持駒1321の凹溝1325に嵌め込まれホルダー1351に組み込まれる。このとき引きちぎり駒1303の爪1312は、ホルダー1351の案内溝1356の第1案内部1357に、保持駒1321の凸条1328は、ホルダー1351の案内溝1371に嵌まり込んでいる。
ホルダー1351は、可動側型板711に設けられた凹部728に嵌め込まれ固定される。ホルダー1351は、可動側型板711に固定された状態で上面1360が可動側型板711の上面と面一となる。駆動駒1341は、取付部1345が固定側型板605に設けられた凹部612に嵌め込まれ固定される。駆動駒1341は、固定側型板605に固定された状態で固定部1345を除いた部分が固定側型板605の底面610から突出している。
型閉じ状態で引きちぎり駒1303は、ゲートG及びランナーRを形成する位置にある。保持駒1321もランナーRを形成するように引きちぎり駒1303の隣に位置する(図77参照)。型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、ホルダー1351に収容された保持駒1321及び保持駒1321に摺動自在に係合する引きちぎり駒1303は、可動型702と一緒に下降する。一方、駆動駒1341は、固定型602に固定されているため位置は変わらない。このため型開きが開始されると駆動駒1341は、保持駒1321に対して相対的に上昇することとなる(図78参照)。
これにより保持駒1321は、ホルダー1351の案内溝1371にガイドされ後退する。保持駒1321に摺動自在に係合する引きちぎり駒1303は、保持駒1321が後退することで-Y方向に移動する。より詳細には、引きちぎり駒1303は、爪1312が案内溝1356の第1案内部1357に案内され、成形品Pに対して-Y方向に移動する。これによりゲートGが引きちぎられ、ランナーRの樹脂は引き下げられる(図78参照)。
型開きに連動して引きちぎり駒1303がゲートGを引きちぎった後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、引きちぎり駒1303は、爪1312の第2摺動面を案内溝1356の第2案内部1358に摺動させ、第2案内部1358に沿って移動する。これにより引きちぎり駒1303がランナーRから離れる。さらに可動型702が下降すると、成形品P及び引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される(図79参照)。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。駆動駒1341が保持駒1321から外れても、スプリング1380が保持駒1321を押圧しているので、保持駒1321及び引きちぎり駒1302の位置は維持される。
以上のようにゲート引きちぎり機構1301は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを引きちぎることができる。またゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1303は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った材料の取り出しが容易となる。特にゲート引きちぎり機構1301は、ランナーRの材料を破断させることなくゲートGを引きちぎることができるので、ランナーRに残った材料を取り出すための機構が簡便となる。
また、ゲート引きちぎり機構1301は、引きちぎり駒1303、保持駒1321をホルダー1351内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー1351、引きちぎり駒1303、保持駒1321及び駆動駒1341を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構1301をユニット化すれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
図81及び図82は、本発明の第22実施形態のゲート切断機構1401の動作を説明する斜視図である。本発明の第22実施形態のゲート切断機構1401は、本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201と基本構成を同じくし、多くの部分で共通する。図72~図76に示す本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図81のホルダー1451のフランジ1454側を上、案内駒1471側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図81における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第22実施形態のゲート切断機構1401は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型と、成形品Pの内面側を成形する可動型とを備える成形用金型に組み込まれ使用される。ゲート切断機構1401を組込み使用可能な固定型、可動型を備える成形用金型は、特に限定されるものではない。
ゲート切断機構1401は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを切断する装置であり、成形用金型の型開きに連動して切断駒1403でゲートGを切断し、その後、切断駒1403をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート切断機構1401は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート切断機構1401は、ゲートGを切断する切断駒1403と、切断駒1403と摺動自在に係合し切断駒1403をスライドさせる保持駒1421と、切断駒1403及び保持駒1421を部分的に収容し、保持駒1421をスライドさせるホルダー1451と、保持駒1421を案内する案内駒1471とを備える(図81参照)。
本実施形態の切断駒1403、保持駒1421、ホルダー1451は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、切断駒1403がスライダー、ホルダー1451がガイド本体、後述の案内溝がガイド手段、第1案内部が第1ガイド手段、第2案内部が第2ガイド手段に該当する。また切断駒1403の爪1212が係合手段、爪1212の第1摺動面が第1係合手段、爪1212の第2摺動面が第2係合手段に該当する。保持駒1421と切断駒1403とは摺動自在に係合しており、保持駒1421は、係合部材に該当し、案内駒1471は、係合部材ガイド手段に該当する。
切断駒1403は、ゲートGを形成するとともにゲートGを切断する駒である。上部先端に、ゲートGを形成する僅かな間隔を有する凹部及びランナーRを形成するランナー溝の一部となるL字状の凹部が設けられている。切断駒1403の先端側は、図81において左側となる。切断駒1403の反先端側上部には、ホルダー1451の案内溝1256に摺動自在に嵌まり込む爪1212が設けられている。爪1212は、切断駒1403の正面壁及び背面壁の上部にそれぞれ突出するように設けられており、凸条ということもできる。
この爪1212は、図76に示す爪1212と同じ構造からなり、爪1212の左側面1213及び右側面1214は、ホルダー1451の案内溝1256の第1案内部1257の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪1212の上側面1215、下側面1216は、ゲートGを切断した切断駒1403をゲートG及びランナーRから遠ざけるべくホルダー1451の案内溝1256の第2案内部1258の上側面、下側面に接する第2摺動面である(図76参照)。
切断駒1403の底面は、前方に向かって下がった傾斜面となっており、下端には凸条1405が設けられている。この凸条1405は、保持駒1421に設けられた凹溝に摺動自在に嵌まり込む。切断駒1403の凸条1405の上方は、凸条1405に平行な傾斜面1409となっており、保持駒1421の左側面に摺動自在に接する。
保持駒1421は、ゲートGを切断するように切断駒1403を動かす駒である。左側面は、傾斜面1422であり、ここには切断駒1403の凸条1405が摺動自在に嵌まり込む凹溝1427が設けられている。保持駒1421の傾斜面1422には、切断駒1403の傾斜面1409が摺動自在に接する。
保持駒1421の右側面の構造は、保持駒1221の右側面と同様の構成からなる。図76を参照しつつ説明すれば、保持駒1421の右側面は、右下がり傾斜面であり、正面壁1227及び背面壁には、右側面に沿うように凸条1225、1226が設けられている。この凸条1225、1226は、ホルダー1451に設けられた案内溝1256の第2案内部1258に摺動自在に嵌まり込む。
また保持駒1421は、右側底部に逆L字型の爪1428を有する。保持駒1421の底面1429と爪1428との間は、案内駒1471の後端に設けられた突起1473が摺動自在に嵌まり込む凹部となっている。
案内駒1471は、後端に保持駒1421に設けられた爪1428と係合する突起1473を有し、この突起1473を介して保持駒1421を案内する。ゲート切断機構1401を成形用金型に組み込む際には、案内駒1471は、可動型に固定される。
ホルダー1451は、切断駒1403及び保持駒1421を部分的に収容し、切断駒1403がゲートGを切断するように案内すると共に、ゲートGを切断した切断駒1403をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。ホルダー1451は、2つの略同一形状の半割ホルダー部材1452を組合せてなる。ホルダー1451は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、固定型に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー1451は、ホルダー1251と同様の構成からなる。図76を参照しつつ説明する。ホルダー1451は、略直方体形状の本体1453と、本体1453の上部に本体1453に一体的に設けられたフランジ1454とを有する。本体1453は、左側面が開口し内部に切断駒1403及び保持駒1421を部分的に収容する収容部1260を有する。収容部1260は、右方向に向かって狭くなるように設けられ、内部は右下がりの傾斜面1261となっている。この傾斜面1261に沿うように案内溝1256の第2案内部1258が設けられている。
ホルダー1451は、正面壁内面1262及び背面壁内面1263に、切断駒1403をガイドする案内溝1256を有する。案内溝1256は、くの字状であり、切断駒1403を第1方向に導く第1案内部1257と、切断駒1403を第2方向に導く第2案内部1258とを有する。第1案内部1257は、上下方向(Y方向)に設けられ、第2案内部1258は、下部が右側に位置し右斜め下方向に傾斜する。第1案内部1257と第2案内部1258とは繋がっており、第1案内部1257の中心軸線と第2案内部1258の中心軸線とは交差する(図76参照)。
第1案内部1257は、型開きに連動して切断駒1403がゲートGを切断するように案内する。一方、第2案内部1258は、型開きに連動してゲートGを切断した切断駒1403がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。また第2案内部1258は、保持駒1421の凸条1225、1226が嵌まり込み、保持駒1421の移動を案内する。
またホルダー1451は、保持駒1421の移動を阻止するストッパー1267を収容するストッパー収容孔1266を備える。ストッパー挿通孔1266は、上面1264に臨むように設けられ、下端は収容部1260につながる(図76参照)。フランジ1454には、ホルダー1451を固定型に固定するためのボルト挿通孔1466が設けられている。
ストッパー1267は、保持駒1421の移動を阻止する有底円筒部材であり、内部にスプリング1268が装填される。ストッパー1267は、下端が収容部1260に突出するようにストッパー収容孔1266に摺動自在に挿入される。保持駒1421が後退し、保持駒1421に設けられた移動規制部(図示省略)がストッパー1267に衝突した時点で移動が阻止される。
スプリング1268は、ストッパー1267に装填され、ゲート切断機構1401が成形用金型に組み込まれると、ストッパー1267を下方(-Y方向)に押し付ける。
次に、ゲート切断機構1401が、図65に示す固定型602及び可動型702と同様の成形用金型に組み込まれているものとし、成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態のゲート切断機構1401の動作、作用を説明する。図65に示す固定型602及び可動型702と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート切断機構1401は、切断駒1403の凸条1405が、保持駒1421の凹溝1427に嵌め込まれ、ホルダー1451に組み込まれる。このとき切断駒1403の爪1212は、ホルダー1451の案内溝1256の第1案内部1257に、保持駒1421の凸条1225、1226は、ホルダー1451の案内溝1256の第2案内部1258に嵌まり込んでいる(図76参照)。ホルダー1451は、フランジ1454が固定側型板605に固定され、型閉じ状態においてホルダー1451の本体1453は、可動型702の凹部728に位置する。案内駒1471は、可動型702の凹部728の底面に固定され、突起1473は、保持駒1421の爪1428と係合する。
型閉じ状態で切断駒1403は、ゲートG及びランナーRを形成する位置にある(図81参照)。型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、案内駒1471に摺動自在に係合する保持駒1421及び保持駒1421に摺動自在に係合する切断駒1403は、可動型702と一緒に下降する。一方、ホルダー1451は、固定型602に固定されているため位置は変わらない。このため型開きが開始されるとホルダー1451は、切断駒1403及び保持駒1421に対して相対的に上昇することとなる(図82参照)。
このとき切断駒1403は、爪1212がホルダー1451に設けられた案内溝1256の第1案内部1257に案内され、成形品Pに対して-Y方向に移動する。これによりゲートGに剪断力が作用し切断され、ランナーRの樹脂は引き下げられる。保持駒1421は、ホルダー1451に設けられた案内溝の第2案内部に案内される。同時に保持駒1421は爪1428が、案内駒1471の突起1473と摺動自在に接するため成形品Pに対する高さを大きく変えることなくホルダー1451側に後退する(図82参照)。
本実施形態のゲート切断機構1401は、切断駒1403が下降しゲートGを切断するときランナーRが押し下げられる。切断駒1403は、ゲートGを形成する凹部に並びランナーRを形成するランナー溝の一部となるL字状の凹部を備えるので切断駒1403が下降した際にランナーRの下方に空間ができる。これによりランナーRが撓むことができ、ランナーRの破断を防止することができる(図82参照)。
型開きに連動して切断駒1403がゲートGを切断した後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、切断駒1403は、爪1212の第2摺動面をホルダー1451に設けられた案内溝1256の第2案内部1258に摺動させ、第2案内部1258に沿って移動する。これにより切断駒1403がランナーRから離れる。さらに可動型702が下降すると、保持駒1421が案内駒1471から外れ、保持駒1421は切断駒1403と一緒にホルダー1451につながる。これにより成形品P及び引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、成形品P及びランナーRに残った樹脂は、それぞれエジェクタピンで突き出される。
以上のようにゲート切断機構1401は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを切断することができる。またゲートGを切断した切断駒1403は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った材料の取り出しが容易となる。特にゲート切断機構1401は、ランナーRの材料を破断させることなくゲートGを切断することができるので、ランナーRに残った材料を取り出すための機構が簡便となる。
また、ゲート切断機構1401は、切断駒1403、保持駒1421をホルダー1451内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー1451、切断駒1403、保持駒1421及び案内駒1471を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート切断機構1401をユニット化すれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
図83から図86は、本発明の第23実施形態のゲート引きちぎり機構1501の動作を説明する斜視図である。図87は、本発明の第23実施形態のゲート引きちぎり機構1501の構成を示す分解図である。本発明の第23実施形態のゲート引きちぎり機構1501は、本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201と基本構成を同じくし、多くの部分で共通する。図72~図76に示す本発明の第20実施形態のゲート引きちぎり機構1201と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。便宜上、図83の成形品P側を上、エジェクタピン1601側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図83における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
本発明の第23実施形態のゲート引きちぎり機構1501は、本発明の第16実施形態のゲート引きちぎり機構801と同様に、成形品Pの外面側を成形する固定型と、成形品Pの内面側を成形する可動型とを備える成形用金型に組み込まれ使用される。ゲート引きちぎり機構1501を組込み使用可能な固定型、可動型を備える成形用金型は、特に限定されるものではない。
ゲート引きちぎり機構1501は、成形品PとランナーRとをつなぐゲートGを引きちぎる装置であり、成形用金型の型開きに連動して引きちぎり駒1503でゲートGを引きちぎり、その後、引きちぎり駒1503をゲートG及びランナーRから遠ざけることでランナーRに残った材料を取出し可能とする。本実施形態のゲート引きちぎり機構1501は、第1実施形態のスライド機構1を利用したものである。
ゲート引きちぎり機構1501は、ゲートGを引きちぎる引きちぎり駒1503と、引きちぎり駒1503と摺動自在に係合し引きちぎり駒1503をスライドさせる保持駒1521と、保持駒1521と係合し保持駒1521を後退させる駆動駒1541と、保持駒1521及び駆動駒1541を部分的に収容し、これらをガイドするホルダー1551と、引きちぎり駒1503をガイドする引きちぎり駒ホルダー1571とを備える(図87参照)。
本実施形態の引きちぎり駒1503、保持駒1521、引きちぎり駒ホルダー1571は、それぞれ第1実施形態のスライド機構1の第2駒21、第1駒11、案内体31に相当する。また本実施形態では、引きちぎり駒1503がスライダー、引きちぎり駒ホルダー1571がガイド本体、後述の案内溝1256がガイド手段、第1案内部が第1ガイド手段、第2案内部が第2ガイド手段に該当する。また爪1212が係合手段、爪1212の第1摺動面が第1係合手段、爪1212の第2摺動面が第2係合手段に該当する。保持駒1521と引きちぎり駒1503とは摺動自在に係合しており、保持駒1521は、係合部材に該当し、ホルダー1551に設けられた案内溝1556は、係合部材ガイド手段に該当する。
引きちぎり駒1503は、ゲートGを形成するとともにゲートGを引きちぎる駒である。本実施形態では、2個の成形品Pを成形する成形用金型に対応し、ゲート引きちぎり機構1501は、2つの引きちぎり駒1503を有する。2つの引きちぎり駒1503は、同じ構造、同じ大きさからなる。引きちぎり駒1503は、上部に突出部1507を有し、突出部1507の側部にゲートGを形成する僅かな間隔を有する凹部1510を有する。突出部1507の下方の左側面1506は、ランナーRを形成するランナー溝の一部となる。左側面1506の下部には、Z方向に延びる凹溝1511が設けられている。この凹溝1511には、保持駒1521に設けられた凸条1523が係合する。
引きちぎり駒1503の突出部1507を正面に見たとき背面側となる側面壁1504には、引きちぎり駒ホルダー1571の案内溝1256に摺動自在に嵌まり込む爪1212が設けられている。爪1212は、側面壁1504に突出するように設けられており、凸条ということもできる。
この爪1212は、図76に示す爪1212と同じ構造からなり、爪1212の左側面1213及び右側面1214は、引きちぎり駒ホルダー1571の案内溝1256の第1案内部1257の左側面、右側面に接する第1摺動面である。また爪1212の上側面1215、下側面1216は、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1503をゲートG及びランナーRから遠ざけるべく引きちぎり駒ホルダー1571の案内溝1256の第2案内部1258の上側面、下側面に接する第2摺動面である(図76参照)。
引きちぎり駒1503の突出部1507を正面に見たとき背面側となる背面壁1505は、後方(反突出部1507)に向かって下がった傾斜面となっている。この背面壁1505には、引きちぎり駒ホルダー1571の前側に設けられた傾斜面が摺動自在に接する。また引きちぎり駒1503は、平面視において側面壁1504と対向する側面が引きちぎり駒ホルダー1571の突出部1572に摺動自在に接する。また引きちぎり駒1503は、凹溝1511の下方に保持駒1521の傾斜面に摺動自在に接する傾斜面1512を有する。
引きちぎり駒ホルダー1571は、2つの引きちぎり駒1503と係合し、同時に2つの引きちぎり駒1503がゲートGを引きちぎるように案内し、またゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1503をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。引きちぎり駒ホルダー1571は、前面側に突出部1572を有し、その左右に設けられた傾斜面が、引きちぎり駒1503の平面視において側面壁1504と対向する側面と摺動自在に接する。
突出部1572の先端部にはスプルーの一部を形成する凹部1581が設けられている。突出部1572の両横にスプルーにつながるランナーRが形成され、突出部1572の底面は、ランナーRを形成するランナー溝の一部となる。
引きちぎり駒ホルダー1571の両側面内壁1573には、引きちぎり駒1503の爪1212が摺動自在に嵌まり込む案内溝1256が設けられている。案内溝1256は、くの字状であり、引きちぎり駒1503を第1方向に導く第1案内部1257と、引きちぎり駒1503を第2方向に導く第2案内部1258とを有する。第1案内部1257は、上下方向(Y方向)に設けられ、第2案内部1258は、斜め下方向に傾斜する。第1案内部1257と第2案内部1258とは繋がっており、第1案内部1257の中心軸線と第2案内部1258の中心軸線とは交差する(図87参照)。
第1案内部1257は、型開きに連動して引きちぎり駒1503がゲートGを引きちぎるように案内する。一方、第2案内部1258は、型開きに連動してゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1503がゲートG及びランナーRから遠ざかるように案内する。
また引きちぎり駒ホルダー1571は、引きちぎり駒1503の移動を阻止するストッパー1577を収容するストッパー挿通孔を備える。ストッパー挿通孔は、上面1574に臨むように設けられ、下端は前方傾斜面1580を貫通する。
ストッパー1577は、引きちぎり駒1503の移動を阻止する有底円筒部材であり、内部にスプリング1578が装填される。ストッパー1577は、下端が前方傾斜面1580から突出するようにストッパー挿通孔に摺動自在に挿入される。引きちぎり駒1503が後退し、引きちぎり駒1503に設けられた移動規制部(図示省略)がストッパー1577に衝突した時点で移動が阻止される。
スプリング1578は、ストッパー1577に装填され、ゲート引きちぎり機構1501が成形用金型に組み込まれると、ストッパー1577を下方(-Y方向)に押し付ける。
保持駒1521は、ゲートGを引きちぎるように引きちぎり駒1503を動かす駒である。保持駒1521は、図87に示す右側面の上部が傾斜面1522となっており、傾斜面1522の下方に凹部を設ける形でZ方向に延びる凸条1523が設けられている。この凸条1523は、2つの引きちぎり駒1503に設けられた凹溝1511に摺動自在に嵌まり込む。保持駒1521の傾斜面1522は、ランナーRを形成するランナー溝の一部となる。保持駒1521の右側面の下部には、引きちぎり駒1503の傾斜面1512が摺動自在に接する傾斜面1524が設けられている。
保持駒1521の左側面は、左下がりの傾斜面1525であり、傾斜面1525には駆動駒1541の爪1545が摺動自在に嵌まり込む蟻溝1526が設けられている。また保持駒1521の正面外壁1527及び背面外壁には、ホルダー1551に設けられた案内溝(凹溝)1556に摺動自在に嵌まり込むX方向に延びる凸条1528を備える。
ホルダー1551は、保持駒1521及び駆動駒1541を部分的に収容し、引きちぎり駒1503がゲートGを引きちぎるように案内すると共に、ゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1503をゲートG及びランナーRから遠ざけるように案内する。ホルダー1551は、2つの同一形状、大きさの半割ホルダー部材1552を組合せてなり、右側面及び上面が開口した箱形筒状である。ホルダー1551は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、可動側型板711に一体的に形成されていてもよい。
ホルダー1551は、正面壁内面1554及び背面壁内面1553に、保持駒1521をガイドする案内溝1556を有する。案内溝1556は、水平方向(X方向)に延びる凹溝であり、保持駒1521に設けられた凸条1528が嵌まり込み、型開きに連動して保持駒1521を水平方向(X方向)に案内する。ホルダー1551の左側内壁面1557は、上部に向かって広がる傾斜面となっている。この左側内壁面1557には、駆動駒1541の左側面1543が接する。またホルダーの底面にはボールプランジャー1560が嵌まり込む凹部1558が設けられている。
駆動駒1541は、引きちぎり駒1503がゲートGを引きちぎるように保持駒1521を動かすための駒である。駆動駒1541の右側面は、傾斜面1542となっており、傾斜面1542は、保持駒1521の左側面1525に摺動自在に接する。また駆動駒1541は、傾斜面1542に沿うように保持駒1521の凹溝1526が摺動自在に嵌まり込む爪1545を有する。この爪1545は、傾斜面1542から突出するように設けられており、凸条ということができる。駆動駒1541の左側面1543も僅かに傾斜しており、駆動駒1541は、正面視において下方ほど狭い先細り形状を有する。
駆動駒1541は、固定側型板に設けられた凹部に嵌め込まれ固定ねじ等の固定具で固定される。駆動駒1541は、固定側型板に取付けられた状態で傾斜面1542及び爪1545が固定側型板から突出している。
次に、ゲート引きちぎり機構1501が、図65に示す固定型602及び可動型702と同様の成形用金型に組み込まれているものとし、成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態のゲート引きちぎり機構1501の動作、作用を説明する。図65に示す固定型602及び可動型702と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
ゲート引きちぎり機構1501の各駒の組み込み要領を示す。2つの引きちぎり駒1503は、それぞれ凹溝1511が保持駒1521の凸条1523に嵌め込まれ、2つの引きちぎり駒1503と保持駒1521とが係合する。また2つの引きちぎり駒1503は、それぞれの爪1212が、引きちぎり駒ホルダー1571の案内溝1256の第1案内部1257に嵌め込まれ、2つの引きちぎり駒1503と引きちぎり駒ホルダー1571とが係合する。引きちぎり駒ホルダー1571は、固定側型板605に固定される。
この状態でホルダー1551の案内溝1556に保持駒1521の凸条1528が嵌め込まれる。駆動駒1541は、上部が固定側型板605に固定され、爪1545を保持駒1521の蟻溝1526に嵌め入れる。この状態で駆動駒1541の左側面1543は、ホルダー1551の左側内壁面1557に接する。ホルダー1551は、可動型702の凹部728に固定される。
型閉じ状態で引きちぎり駒1503は、ゲートG及びランナーRを形成する位置にある。型閉じ状態で、固定型602と可動型702とのパーティング面(PL面)が合わされキャビティ部が形成される。図示を省略した射出装置から溶融した樹脂が射出され、樹脂は、スプルー(図示省略)からランナーR、ゲートGを経由してキャビティ部に充填され、保圧、冷却工程を経て型開き、成形品Pの取り出しとなる。型開き、成形品Pの取り出しは、以下の要領で行われる。
可動型702が後退し型開きが開始されると、ホルダー1551及びホルダー1551に係合する保持駒1521は、可動型702と一緒に下降する。一方、駆動駒1541及び引きちぎり駒ホルダー1571は、固定型602に固定されているため位置は変わらない。このため型開きが開始されると駆動駒1541及び引きちぎり駒ホルダー1571は、引きちぎり駒1503及び保持駒1521に対して相対的に上昇することとなる(図84参照)。
駆動駒1541がホルダー1551に対して上昇すると、保持駒1521は後退(X方向)する。これに伴い保持駒1521に係合する引きちぎり駒1503は、引きちぎり駒ホルダー1571に設けられた案内溝1256の第1案内部1257に案内され、成形品Pに対して-Y方向に移動する。これによりゲートGが引きちぎられ、ランナーRの樹脂は引き下げられる。(図84参照)。
型開きに連動して引きちぎり駒1503がゲートGを引きちぎった後、さらに固定型602と可動型702との間隔が大きくなると、引きちぎり駒1503は、爪1212の第2摺動面を引きちぎり駒ホルダー1571に設けられた案内溝1256の第2案内部1258に摺動させ、第2案内部1258に沿って移動する。これにより引きちぎり駒1503がランナーRから離れる。引きちぎり駒1503が-X方向に移動し、ストッパー1577に接すると引きちぎり駒1503の移動が停止する。保持駒1521は、ホルダー1551に取付けられたボールプランジャー1560によりその位置が固定される。これにより型締め(型閉じ)の際に無理なく元の状態に戻ることができる。ボールプランジャー1560に代えて板ばね、その他弾性体を用いてもよい。
さらに可動型702が下降すると、引きちぎり駒1503が保持駒1521から外れ、引きちぎり駒1503は、引きちぎり駒ホルダー1571に係止する(図85参照)。これにより成形品P及び引きちぎられランナーRに残った樹脂を取り出すに必要な空間が確保される。その後、図示を省略したエジェクタ台板が上昇し、ランナーRに残った樹脂は、エジェクタピン1601で突き出され、成形品Pも図示を省略したエジェクタピンで突き出される。
以上のようにゲート引きちぎり機構1501は、コンパクトでかつ簡素な構成ながら成形品Pの取り出しに先立ち、容易にまた確実にゲートGを引きちぎることができる。ゲート引きちぎり機構1501は、2つの成形品Pを成形する成形用金型に好適に使用することができる。またゲートGを引きちぎった引きちぎり駒1503は、型開きに連動してゲートG及びランナーRから遠ざかるように移動するので成形品P及びランナーRに残った材料の取り出しが容易となる。特にゲート引きちぎり機構1501は、ランナーRの材料を破断させることなくゲートGを引きちぎることができるので、ランナーRに残った材料を取り出すための機構が簡便となる。
また、ゲート引きちぎり機構1501は、2つの引きちぎり駒1503、保持駒1521、駆動駒1541をホルダー1551内に収納した状態で成形用金型に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型への取付けが容易である。特にホルダー1551、引きちぎり駒1503、保持駒1521、駆動駒1541及び引きちぎり駒ホルダー1571を1つの独立したユニットとすることが可能であり、ゲート引きちぎり機構1501をユニット化すれば、成形用金型への取付けがより容易となる。
以上、第1から第23実施形態のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構、固定型、可動型、成形用金型を用いて、本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構、固定型、可動型、成形用金型を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。
第16実施形態のゲート引きちぎり機構において、引きちぎり駒は、ゲートを引きちぎった後にゲート及びランナーから遠ざかる。このとき引きちぎり駒が、ゲートを引きちぎった後にランナーの一部から遠ざかるようにしてもよい。この点は、他の実施形態のゲート引きちぎり機構についても同じであり、ゲート切断機構においても切断駒、カッターなどがランナーの一部から遠ざかるようにしてもよい。
上記実施形態に示すゲート引きちぎり機構は、ゲートを引きちぎる、換言すればゲートを破断させるが、用途によってはゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせたいとの要求もある。また用途によってはゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせ後に駒をゲート又はランナー又はランナーの一部から遠ざかるように移動させたいとの要求もある。
ゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせる機構は、上記実施形態に示すゲート引きちぎり機構を用いることができる。ゲート引きちぎり機構の引きちぎり駒を、ゲートに負荷を加え又はゲートを引き伸ばし又はゲートに亀裂を生じさせる引張り駒に置換して考えればよく、このような機構はゲート引張り機構といえる。またゲートの引きちぎり操作は、ゲートに対する引張り操作の一態様と言えることからゲート引張り機構は、ゲート引きちぎり機構を含む上位概念といえ、本発明に係るゲート引きちぎり機構は、本発明に係るゲート引張り機構といえる。
上記実施形態のアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構では、筒状のホルダーを使用するが、本発明に係るアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構において、使用可能なホルダーは筒状のものに限定されない。本発明に係るアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構において、使用可能なホルダーは、保持駒など各種駒を進退可能に収容でき、案内溝などのガイド手段を設けることができればよい。また保持駒など各種駒の収容も部分的な収容であってもよく、収容を保持と捉えてもよい。例えば第1実施形態のコ字状の案内体のような形状、構造のものをホルダーとして用いてもよい。
またホルダー、駆動駒などの固定位置も上記実施形態に限定されない。例えば、第21実施形態のゲート引きちぎり機構では、ホルダーが可動側型板に固定されているが、ホルダーは、可動型又は可動型と一体的に動く部材に固定されていればよい。同様に第21実施形態のゲート引きちぎり機構では、駆動駒が固定側型板に固定されているが、駆動駒は、固定型又は固定型と一体的に動く部材に固定されていればよい。これらの点は、他の実施形態においても同じであり、ホルダー、駆動駒以外の部材についても同様に考えることができる。
また第3実施形態では、アンダーカット処理機構を可動型に組み込むが、アンダーカット処理機構を固定型に組み込むようにしてもよい。他の実施形態に示す本発明のアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構においても、固定型と可動型とを入れ替えて組み込むようにしてもよい。
本発明に係るアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構の駆動機構、駆動源も本実施形態に限定されるものではない。また本発明に係るアンダーカット処理機構は、1つの成形用金型に2個または3個以上組み込まれていてもよく、また本発明に係るアンダーカット処理機構と本発明に係るゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構とが1つの成形用金型に組み込まれていてもよい。
本発明の第14実施形態のアンダーカット処理機構112、本発明の第15実施形態のアンダーカット処理機構113の説明において、成形用金型100に組み込まれているものとして説明したが、本発明の第14実施形態のアンダーカット処理機構112、本発明の第15実施形態のアンダーカット処理機構113を組み込み使用可能な成形用金型は、成形用金型100に限定されるものではない。
先に示した本発明の実施形態において、押圧手段としてスプリング(ばね)、ガススプリングが使用されるが、スプリング(ばね)、ガススプリングに代わる他の押圧手段を用いてもよい。またガススプリングに代えてスプリング(ばね)を使用し、逆にスプリング(ばね)に代えてガススプリングを使用してもよい。他の押圧手段には、スプリング以外の弾性体、位置を固定するためのボールプランジャーなどが挙げられ、その他の機構、部材を代用してもよい。
第1実施形態では、ガイド手段として凹溝を、ガイド手段に係合する係合手段として爪を使用するが、ガイド手段を凸条として、ガイド手段に係合する係合手段を凹溝としてもよい。これは他の実施形態においても同じである。また上記実施形態では、凸条(蟻溝凸条)と蟻溝とを用いた連結構造(連結機構)を示したが、凸条(蟻溝凸条)と蟻溝との配置を入れ替えてもよい。蟻溝凸条と蟻溝とを用いた連結構造(連結機構)は、凸条または突起または爪とそれを案内する溝とで構成される係合構造(係合機構)の一態様であり、係合構造(係合機構)に含まれる。よって第1実施形態の第1駒11は係合部材、案内体31の左右の側壁内面34、36は係合部材ガイド手段ということができる。本発明の他の実施形態においても同じである。凸条または突起または爪とそれを案内する溝とで構成される係合構造(係合機構)は、蟻溝構造(蟻溝機構)でなくてもよい。
また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構において、互いに嵌合又は係合する斜溝、凸条、嵌合部、係合部又は係止部の断面形状は、図に示した矩形であるものに限定されるものではなく断面が円形、三角形等であってもよい。また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構において、ホルダー、保持駒及び摺動駒のそれぞれのガイド手段、規制手段は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、リニアガイド等を用いてもよい。
本発明のゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及びそれを備える成形用金型において、ゲートGの種類は特に限定されるものではない。サイドゲート、オーバーラップゲート、サブマリンゲートなど種々のゲートを採用することができる。またランナーもコールドランナーのみならずホットランナーにも適用することができる。
本発明の第23実施形態のゲート引きちぎり機構では、成形品P及びランナーRに残った樹脂の取り出しにエジェクタ台板に固定されたエジェクタピンを使用するが、成形品P又はランナーRに残った原料の取り出しはこれに限定されるものではない。エジェクタピンに代えてロボットアーム、人の手を使用してもよい。これについては他のゲート引きちぎり機構、ゲート切断機構についても同じである。
また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型において、各構成部材の角及び側稜にR面取りやC面取り等が施されていてもよい。
また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型に使用される各構成部材の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、公知のアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型に使用される部材の材質と同様のものを適宜用いればよい。ただし各構成部材における摺動面は、摺動性の良好な材質又は摺動性の良好な表面処理が施された材料を用いることが好ましい。
また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型は、水平、垂直又はその他の方向に開閉するスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型に適用可能である。
また本発明のアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構及び成形用金型は、射出成形金型以外にダイカスト金型のようなモールド金型、モールドプレス成形金型などに好適に使用することができる。
また本発明のスライド機構、アンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構は、それぞれ独立した1つのユニットとすることができるのでスライド機構はスライド装置、アンダーカット処理機構はアンダーカット処理装置、ゲート切断機構はゲート切断装置、ゲート引きちぎり機構はゲート引きちぎり装置、ゲート引張り機構はゲート引張り装置ということもできる。
また上記実施形態では、本発明のスライド機構をアンダーカット処理機構、ゲート切断機構、ゲート引きちぎり機構、ゲート引張り機構に利用する例を示したが、本発明のスライド機構は、被加工物を切断するカッター機構、切断装置として使用することもできる。また本発明のスライド機構は、スライド機構又はスライド装置として成形用金型以外の他の装置、例えば搬送装置、加工装置に組み込み使用することもできる。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修
正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。