JP7419714B2 - 電極及び電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極及び電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記二次電池は、一般的には、シート状の正極及び負極からなる一対の電極と、この電極間に介在する電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
上記一対の電極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回した電極体を形成する。上記セパレータは、電極間を電気的に絶縁する機能と、電解質を保持し、電極間でイオンを移動させる機能とを有する。セパレータとしては、樹脂製の多孔質膜が広く用いられている。
このようなセパレータの代わりとして、あるいはセパレータを用いると共に、活物質層の表面に形成された多孔質の高抵抗層を有する電極を備える蓄電素子が提案されている。
特許文献1には、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極合剤層と、正極集電体上及び正極合剤層上に形成された樹脂粒子を含む高抵抗層とを備えた正極シートが開示されている。そして、特許文献1では正極シートに対して高抵抗層の樹脂粒子の融点以上の温度の熱風を吹き付けることで、高抵抗層の樹脂粒子同士を熱溶着して、当該高抵抗層の強度を高めている。
特許文献2には、電極上に形成した絶縁性樹脂を含む高抵抗層を、該絶縁性樹脂の軟化点以上で加熱しながら加圧することで、多孔質高抵抗層と正極とを接合することが開示されている。
特開2016-119183号公報 特開2006-147185号公報
このように、活物質層の表面に多孔質の高抵抗層を形成する方法としては、活物質層の表面に配置した層を加熱する方法がある。本発明の発明者は、活物質層の表面に配置した層を加熱して高抵抗層を形成する工程において、加熱温度が高すぎると活物質層が膨張する虞があることを見出した。
本発明の目的は、活物質層の膨張を低減しつつ、高抵抗層を形成することができる電極及びこのような電極の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様は、第1バインダを含む活物質層、及び上記活物質層の表面に形成され、第2バインダを含む高抵抗層を有し、上記第2バインダの融点が上記第1バインダの融点より低い電極である。
上記目的を達成するためになされた本発明の他の一態様は、第1バインダを含む活物質層と、上記活物質層の表面に形成され、第2バインダを含む高抵抗層と、を備える電極の製造方法であって、上記活物質層の表面に、上記第2バインダを含む層を形成する工程と、上記第1バインダの融点よりも低く、且つ上記第2バインダの融点よりも高い温度で上記層を加熱して上記高抵抗層を形成する工程と、を含む、電極の製造方法である。
本発明によれば、活物質層の膨張を低減しつつ、高抵抗層を形成することができる電極、及びこのような電極の製造方法を提供することができる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す外観斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。 図3は、乾式塗工により形成された高抵抗層を備える正極断面の電子顕微鏡画像である。 図4は、湿式塗工により形成された高抵抗層を備える正極断面の電子顕微鏡画像である。 図5は、電極を加熱した際の、電極の表面温度に対する活物質層の膨張率を示すグラフである。
初めに、本明細書によって開示される電極及び電極の製造方法の概要について説明する。
本発明の一態様に係る電極は、第1バインダを含む活物質層、及び上記活物質層の表面に形成され、第2バインダを含む高抵抗層を有し、上記第2バインダの融点が上記第1バインダの融点より低い。
この電極によれば、活物質層の膨張を低減しつつ、高抵抗層を形成することができる。
ここで、上記高抵抗層における上記第2バインダの含有量が10質量%以上50質量%以下でもよい。
これによれば、活物質層への熱の伝導を抑制できる。
ここで、上記高抵抗層は乾式塗工層であってもよい。
これによれば、活物質層の膨張をさらに抑制できる。
ここで、上記第1バインダと上記第2バインダとがいずれも水系バインダであってもよい。また、上記第1バインダと上記第2バインダとがいずれも非水系バインダであってもよい。
これによれば、第1バインダ及び第2バインダの材質の最適化を容易にすることができる。
ここで、上記第1バインダの融点は250℃以下であってもよい。
これによれば、電極の製造コストを抑制できる。
本発明の他の一態様に係る電極の製造方法は、活物質層の表面に、第2バインダを含む層を形成する工程と、上記第1バインダの融点よりも低く、且つ上記第2バインダの融点よりも高い温度で上記層を加熱して上記高抵抗層を形成する工程とを含む。
この電極の製造方法によれば、活物質層の膨張を低減しつつ、高抵抗層を形成することができる。
ここで、上記第2バインダを含む層は、フィラー及び第2バインダを含み、且つ、溶媒を含まなくてもよい。
これによれば、活物質層の膨張をさらに抑制できる。
以下、本発明の一実施形態に係る電極、蓄電素子、電極の製造方法、蓄電素子の製造方法について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<電極>
本発明の一実施形態に係る電極は、電極基材、活物質層及び高抵抗層を有する。当該電極は、電極基材、活物質層及び高抵抗層がこの順に積層された層構造体である。活物質層は、電極基材の片面にのみ形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。高抵抗層は、電極基材の少なくとも一方の面に形成された活物質層の表面に形成されていればよく、電極基材の両面に形成された活物質層の表面に形成されていてもよい。また、高抵抗層は活物質層の表面の少なくとも一部に形成されていればよく、活物質層の表面の全面に形成されていてもよい。高抵抗層の一部は、活物質層に覆われていない電極基材の表面にも形成されていてもよい。電極基材の片面及び両面の表面には、活物質層及び高抵抗層が積層されていない領域があってもよい。当該電極は、正極であっても負極であってもよい。
(電極基材)
電極基材は、シート状の形状を有する。また、電極基材は導電性を有する。「導電性」を有するとは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
当該電極が正極である場合、電極基材(正極基材)の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
正極基材の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。正極基材の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。正極基材の平均厚さを上記下限以上とすることで、正極基材の強度を高めることができる。正極基材の平均厚さを上記上限以下とすることで、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。「正極基材の平均厚さ」とは、任意の十点において測定した厚さの平均値をいう。
当該電極が負極である場合、電極基材(負極基材)の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さの下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましい。負極基材の平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましい。負極基材の平均厚さが上記下限以上とすることで、負極基材の強度を高めることができる。負極基材の平均厚さが上記上限以下とすることで、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。「負極基材の平均厚さ」とは、任意の十点において測定した厚さの平均値をいう。
(活物質層)
活物質層は、電極基材に積層されている。活物質層は、活物質とバインダ(第1バインダ)を含む。活物質層は、必要に応じて、導電材、増粘剤、充填剤等の任意成分を含む。これらの各成分は、一般的な活物質層に用いられる公知の成分を用いることができる。
当該電極が正極である場合の活物質(正極活物質)としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1-x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LiMn,LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。当該電極が正極である場合の活物質層(正極活物質層)においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を、正極活物質、導電剤、結着剤、第1バインダ、充填剤以外の成分として含有してもよい。
正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。ここで、「平均粒径」とは、JIS-Z-8815(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。具体的には以下の方法による測定値とすることができる。測定装置としてレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所社の「SALD-2200」)、測定制御ソフトとしてWing SALD-2200を用いて測定する。散乱式の測定モードを採用し、測定対象試料が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザ光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、累積度50%(D50)にあたる粒子径を平均粒径とする。なお、上記測定に基づく平均粒径は、電子顕微鏡画像から、極端に大きい粒子及び極端に小さい粒子を避けて100個の粒子を抽出して測定する平均粒径とほぼ一致することが確認されている。
粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記下限以上とすることで、蓄電素子の電気容量を高めることができる。正極活物質の含有量の上限としては、99質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。正極活物質の含有量を上記上限以下とすることで、正極の製造が容易になる。
当該電極が負極である場合の活物質(負極活物質)としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。当該電極が負極である場合の活物質層(負極活物質層)においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素の結晶子サイズLcは、通常、0.80~2.0nmである。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチ由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
「難黒鉛化性炭素」とは、平均格子面間隔(d002)が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。難黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し難い性質を有する。
「易黒鉛化性炭素」とは、平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。易黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し易い性質を有する。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、第1バインダ、増粘剤、充填剤以外の成分として含有してもよい。
負極活物質の平均粒径は、例えば、1μm以上100μm以下とすることができる。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、正極で例示した方法から選択できる。
負極活物質層における負極活物質の含有量の下限としては、60質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。負極活物質の含有量を上記下限以上とすることで、蓄電素子の電気容量を高めることができる。負極活物質の含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。負極活物質の含有量を上記上限以下とすることで、負極の製造が容易になる。
(任意成分)
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、黒鉛;ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;金属;導電性セラミックス等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが好ましい。
活物質層における導電剤の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。導電剤の含有量の上限としては、10質量%が好ましく、9質量%がより好ましい。導電剤の含有量を上記範囲とすることで、蓄電素子の電気容量を高めることができる。なお、当該電極が負極である場合、負極活物質層における導電剤の含有量は、実質的に0質量%であってもよい。
第1バインダは、活物質等を固定でき、かつ使用範囲で電気化学的に安定であるものが通常用いられる。第1バインダとしては、水系バインダを用いてもよいし、非水系バインダを用いてもよい。
水系バインダは、水に分散又は溶解するバインダである。中でも、20℃において、水100質量部に対して1質量部以上溶解するバインダが水系バインダとして好ましい。水系バインダとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキサイド(ポリプロピレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ニトリル―ブタジエンゴム、セルロース等が好ましく、これらの中でも、塗工安定性や密着性の観点から、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)、セルロースの単独または混合使用が好ましい。
非水系バインダは、N-メチルピロリドン(NMP)等の非水溶媒に分散又は溶解するバインダである。中でも、20℃において、NMP100質量部に対して1質量部以上溶解するバインダが非水系バインダとして好ましい。非水系バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF―HFP)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロースとキトサンピロリドンカルボン酸塩との架橋重合体、キチン又はキトサンの誘導体が好ましく、これらの中でも、塗工安定性、および密着性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF―HFP)、ポリイミド、ポリアミドイミドが好ましい。なお、キトサンの誘導体としては、キトサンをグリセリル化した高分子化合物、キトサンの架橋体等を挙げることができる。
第1バインダとしては、上述した物質の中でも、耐熱性、化学的安定性等の観点からPTFEやPVDF等のフッ素樹脂が好ましく、PVDFがより好ましい。第1バインダは、上述した物質を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、第1バインダとして融点の異なる2種以上の物質を用いる場合、最も融点の低いバインダの融点を第1バインダの融点と見なす。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
充填剤は、特に限定されない。充填剤としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、アルミナシリケイト等が挙げられる。
活物質層における第1バインダの含有率の下限としては、例えば1質量%であり、2質量%であってもよい。活物質層における第1バインダの含有率を上記下限以上とすることで、活物質層の良好な結着性を確保することができる。活物質層における第1バインダの含有率の上限としては、例えば8質量%であり、5質量%であってもよい。活物質層における第1バインダの含有率を上記上限以下とすることで、第1バインダが活物質層の細孔を閉塞することを抑制し、蓄電素子の高率放電特性を向上させることができる。さらに、絶縁体である第1バインダの含有率が低下することから、活物質層の電子伝導性を向上することができる。
活物質層の平均厚さとしては、例えば10μm以上200μm以下とすることができる。
活物質層の多孔度の上限としては、50%が好ましく、40%がさらに好ましく、30%がより好ましい。活物質層の多孔度を上記上限以下とすることで、活物質層のエネルギー密度を高めることができる。活物質層の多孔度の下限としては、10%が好ましく、20%がさらに好ましく、25%がより好ましい。活物質層の多孔度を上記下限以上とすることで、蓄電素子の高率放電特性を向上することができる。さらに、電解液の浸透性が確保され、蓄電素子の製造工程における注液時間を短縮することができる。
ここで、層(活物質層及び高抵抗層)の多孔度とは、以下の式によって求められる値である。
多孔度(%)=(層の空孔体積/層の容積)×100
層の空孔体積は、水銀ポロシメータを用いた水銀圧入法により測定される。なお、本発明の実施形態では、活物質層と高抵抗層とが一体に形成されている。このような場合、活物質層と高抵抗層とが一体化された試料の多孔度を測定し、次いで高抵抗層を除去し、その後活物質層のみの多孔度を測定する。高抵抗層のみの多孔度は、活物質層と高抵抗層とが一体化された試料の多孔度と、活物質層のみの多孔度とを用いて算出する。
(高抵抗層)
高抵抗層は、活物質層の表面(外面)に配されている。高抵抗層とは、絶縁性を有する層のことを意味する。高抵抗層が「絶縁性を有する」とは、電極基材及び活物質層よりも高抵抗層の導電性が低いことをいう。具体的には、高抵抗層が「絶縁性を有する」とは、三菱化学アナリテック製低抵抗率計「Loresta EP MCP T360」の二探針プローブを、高抵抗層又は高抵抗層を備えない活物質層に押し当てて、両者の表面抵抗を測定したときに、高抵抗層の表面抵抗が高抵抗層を備えない活物質層の表面抵抗よりも50倍以上であることを指す。
高抵抗層は、フィラー及びバインダ(第2バインダ)を含有する。これにより、絶縁性を発揮することができる。高抵抗層は、フィラー及びバインダ以外の他の成分が含有されていてもよい。
高抵抗層においては、フィラーの粒子同士はバインダを間に介在させた状態で接していてもよく、直接接触した状態で接していてもよい。また、フィラーの粒子同士は酸化物を介在させた状態で接していてもよい。ここでいう「酸化物」とは、高抵抗層の形成前にフィラーの粒子の表面を覆っていた酸化物や、電極基材を構成する金属を由来とする酸化物を意味する。
(フィラー)
フィラーは、非導電性の粒子である。フィラーは無機物であってもよく、有機物であってもよい。耐熱性の観点からは無機物が好ましい。無機物としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の無機酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の無機窒化物、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物又は無機水酸化物、その他、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、硫酸アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ベーマイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、アルミノシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス等を挙げることができる。これらの中でも、熱的に安定であることから無機酸化物又は無機水酸化物が好ましく、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオンに対する安定性が高いことからアルミナがより好ましい。
フィラーの平均粒径(D50)の下限としては、0.5μmが好ましく、1μmがより好ましく、2μmがより好ましい。フィラーの平均粒径(D50)の上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましい。フィラーの粒径を上記範囲とすることで、十分な非導電性を維持しつつ、電解質浸透性をより高めることなどができる。
(第2バインダ)
高抵抗層に含まれるバインダ(第2バインダ)は、活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)よりも融点が低い。第2バインダとしては、フィラー等を固定でき、かつ使用範囲で電気化学的に安定であるものが通常用いられる。第2バインダの材質としては、第1バインダとして例示したものと同様のものを挙げることができる。第2バインダには融点が第1バインダの融点よりも低い材料であればどのようなものを用いてよいが、本実施形態の電極を用いた蓄電素子が樹脂基材を含むセパレータを備えている場合においては、第2バインダは融点が該樹脂基材の融点よりも高いものが好ましい。このような観点から、第2バインダとしては、PTFEやPVDF等のフッ素樹脂が好ましく、PVDFがより好ましい。また製造性の観点から、融点の低いPE、PP等のポリオレフィン樹脂や、PMMA等のアクリル樹脂が好ましく、PMMAがより好ましい。第2バインダは、上述した物質を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、第2バインダとして融点の異なる2種以上の物質を用いる場合、最も融点の高い物質の融点を第2バインダの融点と見なす。
また、第2バインダの融点が第1バインダの融点よりも低ければ、第2バインダとして第1バインダと同一の単位構造を有する高分子化合物を用いてもよい。このような場合の例としては、第2バインダの分子量が第1バインダの分子量よりも小さい場合が挙げられる。したがって、例えば本発明は、第1バインダとして分子量が大きいPVDFを用い、第2バインダとして分子量の小さいPVDFを用いることでも実施することができる。また、第2バインダとして第1バインダと異なる物質を用いてもよい。また、第1バインダと第2バインダとは、それぞれ水系バインダを用いてもよいし、非水系バインダを用いてもよい。
高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の融点と、活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)の融点との差の下限は、10℃であることが好ましく、15℃であることがより好ましく、20℃であることがよりさらに好ましい。第2バインダと第1バインダとの融点の差を上記下限以上とすることで、第1バインダの融点よりも十分に低い温度での加熱によって第2バインダを溶融させることができる。このため、高抵抗層を加熱する工程において第1バインダが膨張する虞が低減され、活物質層の膨張を抑制することができる。また、第2バインダと第1バインダとの融点の差を上記下限以上とすることで、第1バインダの融点が比較的低い場合であっても、高抵抗層を加熱する工程において第1バインダが膨張する虞が低減され、活物質層の膨張を抑制することができる。
活物質層の膨張率とは、以下の式によって求められる値である。
活物質層の膨張率(%)=((膨張後の活物質層の厚さ―膨張前の活物質層の厚さ)/膨張前の活物質層の厚さ)×100
活物質層の厚さは、測定精度±0.1μmのマイクロメーターによって測定される。
高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の融点の上限は、150℃であることが好ましく、130℃であることがより好ましく、110℃であることがよりさらに好ましい。高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の融点を上記上限以下とすることで、より低い温度で第2バインダが溶融するため、高抵抗層を加熱する工程において必要とされる熱量が低減される。このため、活物質層の膨張を抑制することが容易になる。また、高抵抗層を加熱する工程に要する時間を低減することができる。さらに、第2バインダの融点以上の温度で電極を加熱した場合に生じる活物質層の膨張を抑制することができる。
バインダの融点は、例えば、JIS-K-7121(1987年)に記載されている方法によって測定できる。本明細書では、バインダの融点とは、バインダの示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線において、結晶性ポリマーの融解に伴う吸熱ピークと対応する温度(℃)をいう。
活物質層におけるバインダ(第1バインダ)の融点の下限は、180℃であることが好ましく、170℃であることがより好ましく、160℃であることがよりさらに好ましい。活物質層におけるバインダ(第1バインダ)の融点を上記下限以上とすることで、第1バインダの膨張を抑制しつつ、より高い温度で第2バインダを加熱することができる。このため、活物質層の膨張を抑制することが容易になる。また、高抵抗層を加熱する工程に要する時間を低減することができる。
活物質層におけるバインダ(第1バインダ)の融点の上限は、250℃であることが好ましく、220℃であることがより好ましく、190℃であることがよりさらに好ましい。
高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の含有率の下限としては、10質量%が好ましく、13質量%がさらに好ましく、15質量%がよりさらに好ましい。高抵抗層におけるバインダの含有率を上記下限以上とすることで、高抵抗層を加熱する工程における活物質層への熱の伝導が抑制される。このため、活物質層の膨張をさらに抑制できる。
これは、第2バインダはフィラーと異なり、融解熱を吸収することによる。即ち、高抵抗層における第2バインダの含有率を高めることによって、高抵抗層に含まれる第2バインダが固体から液体に溶融するときに必要な熱量が高くなり、高抵抗層の加熱工程において高抵抗層が吸収する熱量が増加する。これにより、活物質層が膨張することをさらに抑制できる。
また、比熱の観点からも、高抵抗層における第2バインダの含有率を高くすると、活物質層への熱の伝導が抑制される。本実施形態では、フィラーの比熱に対して第2バインダの比熱が大きい。例えば、フィラーとして好適なアルミナやシリカの比熱がそれぞれ0.75―0.80kJ/(kg・K)、0.74―0.77kJ/(kg・K)であるのに対し、第2バインダとして好適なPP、PVDF、PMMA等の比熱はそれぞれ約1.9kJ/(kg・K)、約1.4kJ/(kg・K)、約1.5kJ/(kg・K)と大きい。このため、高抵抗層における第2バインダの含有率を高くすると、高抵抗層を加熱する工程における活物質層の膨張を抑制することができる。
また、高抵抗層における第2バインダの含有率を高くすると、高抵抗層が活物質層と良好に密着し、絶縁信頼性を高めることもできる。高抵抗層におけるバインダの含有率の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がよりさらに好ましい。高抵抗層におけるバインダの含有率を上記上限以下とすることで、高抵抗層の密着性を保持しつつ、フィラー粒子間に適度な空隙を確保することができる。
なお、ここでいう「第2バインダの含有率」とは、活物質層の表面に第2バインダを含む層を形成し、次いで第2バインダの融点よりも高い温度で高抵抗層を加熱した後の高抵抗層における第2バインダの含有率を指す。
高抵抗層の密着性を考慮した場合、高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の好ましい含有率は、高抵抗層におけるフィラーの種類や平均粒径の影響を受ける。例えば、フィラーがアルミナの場合、第2バインダの含有率の下限は、10質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。またこの場合の第2バインダの含有率の上限は、25質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。フィラーとしてのアルミナは、平均粒径が約3μm(2μm以上4μm以下)のものを好適に用いることができる。
また、フィラーがベーマイトの場合、第2バインダの含有率の下限は20質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。またこの場合の第2バインダの含有率の上限は、40質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。フィラーとしてのベーマイトは、平均粒径が約2μm(1μm以上3μm以下)のものを好適に用いることができる。
高抵抗層におけるバインダ(第2バインダ)の含有率が、活物質層におけるバインダ(第1バインダ)の含有率よりも大きいことが好ましい。この含有率の差の下限としては、例えば1質量%であってよく、2質量%であってもよく、3質量%であってもよい。含有率の差の上限としては、例えば50質量%であり、30質量%であってよく、20質量%であってよく、10質量%であってよく、6質量%であってもよい。このようにすることで、活物質層の良好な多孔質状態、ひいては良好な電解質浸透性が確保され、蓄電素子の高率放電性能を高めることができる。
高抵抗層の平均厚さの下限としては、3μmが好ましく、4μmがより好ましく、6μmがさらに好ましく、7μmがよりさらに好ましい。高抵抗層の平均厚さを上記下限以上とすることで、より十分な絶縁性を発揮することができる。高抵抗層の平均厚さの上限としては、例えば30μmであり、20μmであってもよく、16μmであってもよい。高抵抗層の平均厚さを上記上限以下とすることで、蓄電素子を薄くすることや、エネルギー密度を向上することができる。また、当該蓄電素子においては、比較的厚く高抵抗層を形成した場合であっても、蓄電素子の高率放電性能の低下が小さく、良好な高率放電性能を発揮することができる。
なお、「高抵抗層の平均厚さ」とは、以下の方法で測定された値とする。高抵抗層が被覆された電極の任意の3箇所の断面電子顕微鏡画像を観察し、各断面につき、任意の3箇所の高抵抗層の厚さを測定する。測定した全ての箇所(全9カ所)の数値の平均値を高抵抗層の平均厚さとする。
高抵抗層の多孔度の上限としては、70%が好ましく、50%がより好ましく、35%がよりさらに好ましい。高抵抗層の多孔度を上記上限以下とすることで、高抵抗層の剥離が抑制され、絶縁信頼性を高めることができる。高抵抗層の多孔度の下限としては、10%が好ましく、15%がより好ましく、20%がよりさらに好ましい。高抵抗層の多孔度を上記下限以上とすることで、電解質浸透性が確保され、蓄電素子の高率放電性能を高めることができる。
高抵抗層における多孔度と、活物質層における多孔度が異なっていても良い。この多孔度の差((高抵抗層の多孔度)-(活物質層の多孔度))の下限としては、-40%が好ましく、-20%がより好ましく、-10%がよりさらに好ましい。この多孔度の差の上限としては、例えば40%が好ましく、30%がより好ましく、20%がよりさらに好ましい。このようにすることで、活物質層と高抵抗層の良好な多孔質状態、ひいては良好な電解質浸透性が確保され、蓄電素子の高率放電性能を高めることができる。また、この多孔度の差を-10%以上20%以下とすることで、活物質層と高抵抗層の良好な多孔質状態が確保されると共に高抵抗層の剥離を抑制することができるので、特に好ましい。
当該電極は、正極及び負極のいずれにも採用することができるが、平均粒径のより小さい活物質を含む電極に採用することが好ましく、充放電に伴う体積の変化率のより小さい活物質を含む電極に採用することが好ましい。なお、本実施形態では、正極活物質は負極活物質に比べ、平均粒径及び充放電に伴う体積の変化率が小さいことから、本実施形態の電極は正極として用いることが好ましい。また、本実施形態の電極を用いた蓄電素子が樹脂基材を含むセパレータを備えている場合、正極活物質層の表面に高抵抗層を設けることで、樹脂基材が酸化することを抑制できる。このような観点からも、本実施形態の電極は正極として用いることが好ましい。また、正極及び負極の双方において、当該電極を採用することもできる。
高抵抗層は湿式塗工層であってもよいが、乾式塗工層であることが好ましい。湿式塗工層とは、湿式塗工によって形成された層をいう。乾式塗工層とは、乾式塗工によって形成された層をいう。
なお、湿式塗工とは、溶媒を用いる塗工方法をいう。乾式塗工とは、溶媒を用いない塗工方法をいう。湿式塗工では、例えば、フィラーと第2バインダと溶媒とを混合してペースト状に調整した混合物(高抵抗層ペースト)を活物質層の表面に塗工する。これに対して乾式塗工では、溶媒を用いることなく、フィラーと第2バインダとの混合物を活物質層の表面に塗工する。
湿式塗工では、第2バインダが活物質層に流動することがある。第2バインダが活物質層に流動すると、活物質層内に第1バインダと第2バインダとが混在することとなる。活物質層内に第1バインダと第2バインダとが混在した状態で、高抵抗層を第2バインダの融点以上且つ第1バインダの融点未満の温度で加熱すると、高抵抗層に含まれる第2バインダ及び活物質層中に混在する第2バインダが溶融する。このため、活物質層が膨張してしまう虞がある。また、第2バインダが活物質層に流動すると、流動した第2バインダが活物質層の細孔を閉塞して、蓄電素子の高率放電特性を低下させる虞もある。これに対し、乾式塗工では第2バインダが活物質層に流動することが抑制されるため、乾式塗工層は高抵抗層の内部に十分な量の第2バインダを留めておくことができる。したがって、高抵抗層を加熱する工程における活物質層の膨張を抑制することができる。
また、高抵抗層が乾式塗工層であると、高抵抗層に十分な量の第2バインダを留めておくことができるため、高抵抗層における第2バインダの含有率を容易に高くすることができることからも、高抵抗層が乾式塗工物であることが好ましい。
図3及び図4は、それぞれ乾式塗工により形成された高抵抗層を備える正極と、湿式塗工により形成された高抵抗層を備える正極の断面の電子顕微鏡画像である。いずれの高抵抗層も、活物質層の表面に、フィラーと第2バインダとを混合した混合物を塗工することで形成している。図3、4において、白色度が高い部分が主に第2バインダを示している。図4の湿式塗工により高抵抗層を形成した正極においては、図の右側の高抵抗層にはほとんど第2バインダが残存しておらず、図の左側の活物質層の粒子間の多くの部分に第2バインダが充填されていることがわかる。一方、図3の乾式塗工により高抵抗層を形成した正極においては、図の右側の高抵抗層に十分に第2バインダが残存し、図の左側の活物質層の粒子間に存在する第2バインダの量が少ないことが分かる。さらに、図の右側の高抵抗層において、フィラー粒子の表面の全体がバインダに被覆されていることが分かる。
なお、高抵抗層の形成に用いたフィラーと第2バインダとの混合物に占める第2バインダの量は、乾式塗工(図3)では10質量%であり、湿式塗工(図4)では6質量%である。これに対し、熱重量測定(TG)により測定される、形成された高抵抗層に占める第2バインダの量は、乾式塗工(図3)では8質量%であり、湿式塗工(図4)では0質量%である。
これらのことから、乾式塗工によって形成される高抵抗層は、形成前後で第2バインダの含有量に変化が少なく、湿式塗工によって形成される高抵抗層に比べ第2バインダの含有量が多いことが分かる。
なお、正極活物質層を湿式塗工で形成する場合、正極活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)には非水系バインダを用いるのが好ましい。正極活物質として通常用いられる金属酸化物は、負極活物質として通常用いられる炭素材料に比べ、親水性が高い。このため、正極の活物質ペーストの溶媒に水を用いると、電極の乾燥が容易でない。また、正極活物質がリチウム遷移金属酸化物である場合、活物質ペーストの溶媒である水に正極活物質からLiOHが溶出し、スラリーのpHが高くなる。pHが高くなったスラリーを電極基材に塗布すると、電極基材が腐食される。正極活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)に非水系バインダを用いると、活物質層ペーストの溶媒に水を用いないため、電極基材の腐食を抑制できる。
また、負極活物質層を湿式塗工で形成する場合、負極活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)には水系バインダを用いるのが好ましい。水系バインダを用いる場合、活物質ペーストの溶媒には水を用いる。水は非水系バインダを用いた活物質ペーストに通常用いられる非水溶媒に比べて沸点が低い。このため、水系バインダを用いると活物質ペーストから溶媒を揮発させることが容易になる。また、活物質ペーストの溶媒として非水溶媒を用いると、揮発した非水溶媒を回収する必要が生じるため製造コストが上昇する。このため、水系バインダを用いると電極の製造コストを抑制できる。
正極活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)として非水系バインダを用いた正極活物質層の表面に、高抵抗層として湿式塗工層を形成する場合、高抵抗層に含まれるバインダ(第2バインダ)には水系バインダを用いるのが好ましい。第2バインダとして非水系バインダを用いると、溶媒として非水溶媒を含む高抵抗層ペーストを、第1バインダとして非水系バインダを含む正極活物質層の表面に塗布することになる。そうすると、高抵抗層ペーストに含まれる非水溶媒によって、正極活物質層に含まれる非水性系バインダ(第1バインダ)が溶出又は膨潤して活物質層が劣化する虞がある。第2バインダとして水系バインダを用いることで上述した虞を回避することができる。同様の理由から、負極活物質層に含まれるバインダ(第1バインダ)として水系バインダを用いた負極活物質層の表面に高抵抗層として湿式塗工層を形成する場合、高抵抗層に含まれるバインダ(第2バインダ)には非水系バインダを用いるのが好ましい。
なお、活物質層の表面に高抵抗層として乾式塗工層を形成する場合、高抵抗層を塗工する工程で溶媒を用いないため、上述したペーストに含まれる溶媒によって生じる問題はいずれも考慮する必要がなくなり、第1バインダと第2バインダとをいずれも水系バインダとする、又は、第1バインダと第2バインダとをいずれも非水系バインダとすることができる。つまり、第1バインダとして水系バインダを用いた場合であっても、第2バインダとして水系バインダを用いることができるし、第1バインダとして非水系バインダを用いた場合であっても、第2バインダとして非水系バインダを用いることができる。
このような構成とすることで、製造工程において第1バインダと第2バインダとを類似の条件で保存できる場合や、乾燥処理できる場合があるため好ましい。また、このような構成とすることで、バインダの水性・非水性に係らず、適当なバインダを選択することが可能となるため、第1バインダ及び第2バインダの材質の最適化が容易になるため好ましい。
<蓄電素子>
本実施形態の電極は蓄電素子に用いられてもよい。以下、当該蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池について説明する。該リチウムイオン二次電池は、正極及び負極を備える。正極及び負極は、積層又は巻回された電極体を形成する。電極体は電池容器に収納され、電池容器内に非水電解質が充填される。非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、電池容器としては、非水電解質二次電池の電池容器として通常用いられる公知の金属電池容器、樹脂電池容器等を用いることができる。
正極及び負極の少なくとも一方は、上述した本発明の一実施形態に係る電極である。なお、正極及び負極の一方に、本発明の一実施形態に係る電極以外の電極を用いることができる。このような電極としては、高抵抗層が積層されていない電極や、高抵抗層に含まれる第2バインダの融点が活物質層に含まれる第1バインダの融点よりも高い又は同一である電極等を挙げることができる。
当該蓄電素子の電極体としては、平板状の正極及び負極を交互に積層した積層型の電極体を用いるのが好ましい。積層型の電極体を用いると、電極を折り曲げないため、高抵抗層が剥落することを抑制できる。なお、積層型の電極体として、高抵抗層が形成された電極を折り曲げずに間に挟んだ状態で、高抵抗層が積層されていない極板を蛇腹状に折り曲げて積層してもよい。
正極と負極との双方に高抵抗層が形成されている場合、これらの高抵抗層の平均厚さ、多孔度、組成等は、同一であっても異なっていてもよい。
(セパレータ)
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極及び負極の間に介在するセパレータを備えていてもよい。セパレータを備えることで、正極と負極との間の絶縁性をより確実に確保することができる。なお「セパレータ」とは、本発明における高抵抗層とは異なる部材のことを指す。
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の材質としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの材質の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、大気下で500℃にて重量減少が5%以下であるものが好ましく、大気下で800℃にて重量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。重量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム?酸化ケイ素複合酸化物等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウム-酸化ケイ素複合酸化物が好ましい。
セパレータの多孔度は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、セパレータの多孔度とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
なお、本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極及び負極の間に介在するセパレータを備えていなくてもよい。セパレータを備えていないことで、蓄電素子の製造コストを低下させることができる。
蓄電素子がセパレータを備えていない場合、正極と負極の双方において、活物質層の表面に形成された高抵抗層を配することが好ましい。正極と負極の双方が高抵抗層を有することで、セパレータを備えていなくともより良好な絶縁性能を発揮することができる。
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量の下限としては、0.1mol dm-3が好ましく、0.3mol dm-3がより好ましく、0.5mol dm-3がさらに好ましく、0.7mol dm-3が特に好ましい。電解質塩の含有量の上限としては、例えば、2.5mol dm-3が好ましく、2mol dm-3がより好ましく、1.5mol dm-3がさらに好ましい。
非水電解液は、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸エステル;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液全体に対するこれらの添加剤の含有割合の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.2質量%がさらに好ましい。添加剤の含有割合の上限としては、10質量%が好ましく、7質量%がより好ましく、5質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。添加剤の含有割合を上記範囲とすることで、蓄電素子の高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃~25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の場合、例えば、LiS-P系等が挙げられる。硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12、等が挙げられる。
本実施形態の蓄電素子では、主に非水電解質として非水溶媒に電解質塩が溶解されたものを用いる形態について説明したが、本発明は固体電解質を用いた全固体蓄電素子であってもよい。全固体蓄電素子とは、常温、例えば15℃~25℃において、構成成分が全て固体である蓄電素子をいう。全固体蓄電素子とすることで、蓄電素子に可燃性の非水溶媒を用いないので、安全装置の簡素化、製造コストの抑制、生産性の向上等が可能となる。
本実施形態の蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、ラミネートフィルム型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<非水電解質蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)をさらに集合した蓄電装置として搭載することができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<電極の製造方法>
当該電極は、例えば、電極基材の表面に活物質層を形成し、この活物質層の表面に高抵抗層を形成することで製造できる。高抵抗層はフィラーと第2バインダとを混合した混合物を活物質層の表面に塗工して形成される。塗工後に高抵抗層を加熱することで第2バインダを溶融させ、高抵抗層内に結着性を生じさせる。
活物質層は、公知の方法により形成することができる。例えば、活物質層は湿式塗工により形成することができる。具体的には、活物質と導電剤と第1バインダとを混合し、この混合物を溶媒に加えて混練し、活物質ペーストを調製する。この活物質ペーストを、電極基材の上に塗布する。そして、乾燥によって塗布した活物質ペーストから溶媒を除去する。
高抵抗層は、活物質層の表面にフィラーと第2バインダを含む混合物を塗工することで形成される。なお、上記混合物を塗工するときには、活物質層が未だ溶媒を含んでいてもよく、乾燥によって活物質層から既に溶媒が除去されていてもよい。
高抵抗層の形成は、乾式塗工によって行うことが好ましい。乾式塗工としては、帯電させたフィラーと第2バインダを含む混合物を活物質層上に積層する静電塗装が好ましく、粉体状の混合物を用いた粉体塗装も好ましく、静電塗装と粉体塗工とを組み合わせた静電粉体塗装法がさらに好ましい。粉体塗装としては、流動浸漬法等を挙げることができる。静電塗装としては、電界紡糸法等を挙げることができる。
粉体塗装においては、粒子状のフィラーと粒子状の第2バインダとを混合した粉体や、粒子状のフィラーの表面に第2バインダを付着させた粉体を用いることができるが、粒子状のフィラーの表面に第2バインダを付着させた粉体を用いることが好ましい。フィラーの表面に選択的に第2バインダを存在させることにより、フィラー粒子間の空隙に存在する第2バインダを低減して、フィラー間の空間を確保することができ、高抵抗層中の電解質の浸透性がより良好になる。また、粒子状のフィラーの表面に第2バインダを付着させた粉体を用いることで、第2バインダを高抵抗層の厚さ方向に対して均一に分布させることができる。
粉体塗装においては、粉体状の混合物をエアーフローフィーダーや振動フィーダー等の各種フィーダーを用いて活物質層の上から噴霧(散布)する。噴霧後、又は噴霧と共に、塗工された粉体状の混合物を加熱することで、粉体状の混合物が融着し、活物質層の表面に高抵抗層を形成することができる。なお、噴霧の際、粉体を静電気で帯電させておく静電粉体塗装法を採用することができる。静電粉体塗装法を用いることで、より均一性が高く、フィラーが層状に積層された高抵抗層を効率的に形成することができ、高抵抗層の厚さのバラツキが小さい安定した高抵抗層を形成することができる。
乾式塗工は、特開2014-137965号、特開2014-212072号等に記載されている方法や装置を用いて行うことが可能である。
塗工された高抵抗層は、プレス機又はローラーによってプレスすることにより、所定の厚さ寸法に形成してもよい。なお、塗工時に高抵抗層の厚さ寸法を十分に設定可能な場合には、プレス工程は省略してもよい。
塗工された高抵抗層は、第2バインダの融点以上の温度に加熱される。これにより、高抵抗層に含まれる第2バインダが溶融し、第2バインダ同士が熱溶着される。高抵抗層の加熱は、例えば、赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱等により行うことができる。
高抵抗層を加熱する温度は、第2バインダの融点に対して5℃以上であることが好ましく、7℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることがよりさらに好ましい。上記の温度にて加熱することで、高抵抗層を加熱する工程に要する時間を短縮できる。
高抵抗層を加熱する温度は、第2バインダの融点に対して20℃以下であることが好ましく、18℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることがよりさらに好ましい。上記の温度にて加熱することで、活物質層に含まれる第1バインダが溶融することを抑制できる。即ち、活物質層が膨張することを抑制できる。
高抵抗層を加熱する温度は、第1バインダの融点よりも低い温度であると好ましい。これにより、活物質層が膨張することを抑制することができる。
高抵抗層を加熱する温度は、第1バインダの融点よりも高い温度であってもよい。これにより、高抵抗層を加熱する工程に要する時間を短縮できる。この場合、高抵抗層を加熱する手法は、赤外線加熱又は熱風加熱とすることが好ましい。これにより、熱源と活物質層との間に高抵抗層が介在するため、活物質層が膨張することを抑制することができる。
<蓄電素子の製造方法>
本発明の一実施形態に係る電極を用いた蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備する工程と、電解質を準備する工程と、電極体及び電解質を容器に収容する工程と、を備える。電極体を準備する工程は、正極及び負極を準備する工程と、正極及び負極を、積層又は巻回することにより電極体を形成する工程を備える。
電解質を容器に収容する工程は、公知の方法から適宜選択できる。例えば、電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の一実施形態に係る電極及び電極の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態において、活物質層が湿式塗工により形成される場合について説明したが、活物質層は乾式塗工により形成されてもよい。
上記実施形態において、高抵抗層が乾式塗工により形成される場合について説明したが、高抵抗層は湿式塗工により形成されてもよい。
上記実施形態において、高抵抗層がフィラーと第2バインダとを含む場合について説明したが、高抵抗層はフィラーを含まなくてもよい。フィラーを含まない高抵抗層を形成する手法としては、電界紡糸法等を挙げることができる。
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)である場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明の実施形態は、種々の二次電池、一次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(電極の作製)
電極基材である厚さ15μmのアルミニウム箔の片側の表面に、活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物(LiNi0.5Co0.2Mn0.3)、導電材としてアセチレンブラック粉末、バインダ(第1バインダ)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を非水溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に分散させた活物質ペーストを用いて活物質層を形成した。活物質ペーストの固形分中の活物質、導電材、第1バインダの含有量はそれぞれ93%、4%、3%とした。形成された活物質層の多孔度は27%であり、平均厚さは134μmであった。なお、上記PVDF(第1バインダ)には、融点が160℃のものを用いた。
[評価]
種々の電極の表面温度となるように加熱温度を変化させて電極を加熱し、各加熱温度における電極の表面温度、活物質層の平均厚さ及び活物質層の膨張率を測定した。結果を表1に示す。また、電極の表面温度に対する活物質層の膨張率を図5に示す。
表1及び図5から、加熱時の電極の表面温度が100℃を超え第1バインダの融点(160℃)以下である場合、電極の表面温度と、活物質層の膨張率とが比例関係にあること、即ち電極の表面温度の変化に対する活物質層の膨張率の変化が、概ね1%/10℃であることが分かる。また、電極の表面温度が100℃以下である場合、及び第1バインダの融点(160℃)を超える場合、、電極の表面温度を変化させても活物質層は体積変化しないことが分かる。
例えば、高抵抗層が含む第2バインダとして融点が約100℃であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いた場合、実施例1の電極を、電極の表面温度をPMMAが十分に溶融する温度である120℃となるまで加熱すると、活物質層が1.7%膨張することが分かる。また、実施例1の電極を、電極の表面温度を第1バインダであるPVDF(融点約160℃)が十分に溶融する温度である185℃となるまで加熱すると、活物質層が6.7%膨張することが分かる。以上のことから、第2バインダとして、第1バインダよりも融点の低いバインダを用いることで、活物質層が膨張することの抑制と、高抵抗層に含まれる第2バインダの溶融による高抵抗層の形成とを両立できる電極を提供できることが明らかとなった。
1 蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (4)

  1. 第1バインダを含む活物質層と、
    上記活物質層の表面に形成され、第2バインダを含む高抵抗層と、を備える電極の製造方法であって、
    上記活物質層の表面に、上記第2バインダを含む層を形成する工程と、
    上記第1バインダの融点よりも低く、且つ上記第2バインダの融点よりも高い温度で上記層を加熱して上記高抵抗層を形成する工程と、を含む、電極の製造方法。
  2. 上記第2バインダを含む層は、
    フィラー及び第2バインダを含み、且つ、溶媒を含まない、請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法により製造された電極。
  4. 請求項3に記載の電極を備える蓄電素子。


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