JP2024001780A - 正極及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

正極及び非水電解質蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる正極、及びこのような正極を備える非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る正極は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質と、α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質とを含有し、上記第一活物質と上記第二活物質との合計含有量に対する上記第二活物質の含有量が、1質量%以上25質量%以下であり、上記第二活物質が、実質的に凝集していない一次粒子、及び一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5以下の二次粒子の少なくとも一方である非水電解質蓄電素子用の正極である。【選択図】図1

Description

本発明は、正極及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間で電荷輸送イオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
非水電解質蓄電素子に用いられる正極活物質として、リン酸鉄リチウム等のポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物が知られている。特許文献1には、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを含む正極と、負極活物質として黒鉛を含む負極とを備える非水電解質二次電池が記載されている。
特開2007-213961号公報
正極活物質としてのポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物は、長寿命である等の利点を有する。一方、上記特許文献1に記載されたような、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含む正極と黒鉛を含む負極とを備える非水電解質蓄電素子等は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物及び黒鉛がいずれも充放電電位の平坦性が高いため、電圧平坦性を有し(すなわち、充放電中の電圧の変化が小さく)、充電の際に満充電状態に至る直前で電圧が急上昇する。そのため、複数の非水電解質蓄電素子で構成される蓄電ユニットにおける非水電解質蓄電素子毎の充電状態の制御が難しい。具体的には、蓄電ユニットに対して充電を行ったときに、一部の非水電解質蓄電素子のみに極端に高い充電状態にまで充電がなされる場合が生じ、蓄電ユニット全体の寿命に影響を与える懸念がある。
そこで、上記のような非水電解質蓄電素子の正極活物質として、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物と共に、充放電電位が傾きを有するα-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を混合して用いることが考えられる。このようにした場合、満充電状態に至る直前でも電圧が比較的緩やかに上昇するため、非水電解質蓄電素子が極端に高い充電状態にまで至ることが抑制できる。しかし、一般的なα-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物は、深い放電状態まで利用すると粒子割れが生じ易い。そのため、このような正極活物質が用いられた非水電解質蓄電素子は、深い放電状態にまで至る充放電を繰り返した場合に容量の低下が生じ易いという不都合を有する。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる正極、及びこのような正極を備える非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る正極は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質と、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質とを含有し、上記第一活物質と上記第二活物質との合計含有量に対する上記第二活物質の含有量が、1質量%以上25質量%以下であり、上記第二活物質が、実質的に凝集していない一次粒子、及び一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5以下の二次粒子の少なくとも一方である非水電解質蓄電素子用の正極である。
本発明の他の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、当該正極を備える。
本発明の一側面によれば、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる正極、及びこのような正極を備える非水電解質蓄電素子を提供できる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。 図3は、実施例1及び比較例4の各非水電解質蓄電素子の充電曲線である。
初めに、本明細書によって開示される正極及び非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
(1)本発明の一側面に係る正極は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質と、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質とを含有し、上記第一活物質と上記第二活物質との合計含有量に対する上記第二活物質の含有量が、1質量%以上25質量%以下であり、上記第二活物質が、実質的に凝集していない一次粒子、及び一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5以下の二次粒子の少なくとも一方である非水電解質蓄電素子用の正極である。
上記(1)に記載の正極は、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。この理由については定かではないが、以下の理由が推測される。上述のように、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物は、充放電電位が傾きを有する。上記(1)に記載の正極は、充放電電位の平坦性が高いポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質と共に、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質を含有するため、非水電解質蓄電素子が満充電状態に至る直前でも電圧が比較的緩やかに上昇する。また、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が、実質的に凝集していない一次粒子、及び一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5以下の二次粒子(以下、これらを総称して「単粒子系粒子」ともいう。)の少なくとも一方である場合、深い放電状態まで利用しても粒子割れが生じ難い。また、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質は、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質より長寿命である。このため、第二活物質として単粒子系粒子を用い、且つ第二活物質の量が第一活物質に対して比較的少量であることで、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率が高まる。以上のような理由から、上記(1)に記載の正極においては上記効果が生じると推測される。
「実質的に凝集していない一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、複数の一次粒子が凝集せずに独立して存在している一次粒子であること、又は一次粒子と他の一次粒子とが、おおむね直接結合していない状態の一次粒子であることをいう。一次粒子とは、SEMでの観察において、外観上に粒界が観測されない粒子である。
「平均一次粒子径」とは、SEMにおいて観察される粒子を構成する任意の50個の一次粒子の各粒子径の平均値である。一次粒子の粒子径は、次のようにして求める。一次粒子の最小外接円の中心を通り最も短い径を短径とし、上記中心を通り短径に直交する径を長径とする。長径と短径との平均値を一次粒子の粒子径とする。最も短い径が2本以上存在する場合、直交する径が最も長いものを短径とする。
「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値(D50:メジアン径)を意味する。なお、上記測定に基づく平均粒径は、粒子のSEM像から、極端に大きい粒子及び極端に小さい粒子を避けて50個の粒子を抽出して測定する各二次粒子の粒子径の平均値である平均二次粒子径とほぼ一致することが確認されている。このSEM像からの測定に基づく各二次粒子の粒子径は、次のようにして求める。SEM像は、上記した「平均一次粒子径」を求める場合に準じて取得する。各二次粒子の最小外接円の中心を通り最も短い径を短径とし、上記中心を通り短径に直交する径を長径とする。長径と短径との平均値を各二次粒子の粒子径とする。最も短い径が2本以上存在する場合、直交する径が最も長いものを短径とする。
平均一次粒子径及び平均粒径を測定する正極活物質(第一活物質及び第二活物質)は、以下の方法により完全放電状態としたときの正極活物質とする。また、後述する正極活物質の構成元素組成も、以下の方法により完全放電状態としたときの構成元素組成をいう。まず、非水電解質蓄電素子を、0.05Cの電流で通常使用時の充電終止電圧となるまで定電流充電し、満充電状態とする。30分の休止後、0.05Cの電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。解体し、正極を取り出し、金属リチウム電極を対極とした半電池を組み立て、正極活物質1gあたり10mAの電流で、正極電位が2.0V vs.Li/Liとなるまで定電流放電を行い、正極を完全放電状態に調整する。再解体し、正極を取り出す。ジメチルカーボネートを用いて、取り出した正極に付着した非水電解質を十分に洗浄し、室温にて一昼夜乾燥後、正極活物質を採取する。採取した正極活物質を測定に供する。非水電解質蓄電素子の解体から正極活物質の採取までの作業は露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中で行う。ここで、通常使用時とは、当該非水電解質蓄電素子について推奨され、又は指定される充放電条件を採用して当該非水電解質蓄電素子を使用する場合であり、当該非水電解質蓄電素子のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該非水電解質蓄電素子を使用する場合をいう。
(2)上記(1)に記載の正極において、上記第一活物質の平均粒径に対する上記第二活物質の平均粒径の比は、0.8以下であることが好ましい。上記(2)に記載の正極は、第一活物質の粒子間の空隙に第二活物質が充填され易くなることで正極の密度が高まり、体積あたりの放電容量、エネルギー密度等を高めることができる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の正極において、上記第二活物質の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。通常、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が単粒子系粒子である場合、リチウムイオンの伝導性が低く、出力性能が低い傾向にある。上記(3)に記載の正極は、第二活物質(単粒子系粒子であるα-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物)として、比較的小粒径のものを用いることで、出力性能を高めることができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の正極において、上記第二活物質は、ニッケル元素を含むことが好ましい。上記(4)に記載の正極は、放電容量を大きくすること等ができる。
(5)本発明の他の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の正極を備える。上記(5)に記載の非水電解質蓄電素子は、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の正極を備えるため、満充電状態に至る直前での電圧の急上昇が抑制されており、且つ深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率も高い。
本発明の一実施形態に係る正極、非水電解質蓄電素子、蓄電装置、非水電解質蓄電素子の製造方法、及びその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<正極>
本発明の一実施形態に係る正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。当該正極は、非水電解質蓄電素子用の正極である。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10-2Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質は、第一活物質と第二活物質とを含有する。
第一活物質は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である。ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物は、オキソ酸アニオン(PO 3-、SO 2-、SiO 4-、BO 3-、VO 3-等)とリチウムイオンと遷移金属イオンとを含む化合物が挙げられる。オキソ酸アニオンは、縮合アニオン(P 4-、P10 5-等)であってもよい。第一活物質は、オリビン型の結晶構造を有していてもよい。第一活物質は、典型的には、リチウム元素と遷移金属元素とを含むポリアニオン化合物であり、その他の元素(例えばハロゲン元素等)がさらに含まれていてもよい。第一活物質が有する遷移金属元素としては、鉄元素、マンガン元素、ニッケル元素及びコバルト元素が好ましく、鉄元素がより好ましい。第一活物質が有するオキソ酸アニオンとしては、リン酸アニオン(PO 3-)が好ましい。
第一活物質は、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Li (AO ・・・(1)
式(1)中、Mは、少なくとも1種の遷移金属元素である。Aは、B、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Cr、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種である。Xは、少なくとも1種のハロゲン元素である。a、b、c、d及びeは、0<a≦3、0<b≦2、2≦c≦4、1≦d≦3、0≦e≦1を満たす数である。a、b、c、d及びeは、いずれも整数であってもよく、小数であってもよい。
式(1)中のMとしては、Fe、Mn、Ni及びCoのうちのいずれか1種、あるいはこれらのいずれか2種の組み合わせが好ましい。Mとしては、さらにFe、Mn又はこれらの組み合わせが好ましく、Feがより好ましい。また、MにおけるFeの含有率が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上、90モル%以上又は99モル%以上であることがより好ましい。Aとしては、Pが好ましい。Xとしては、Fが好ましい。一実施形態として、a=1、b=1、c=4、d=1、e=0が好ましい場合もある。
第一活物質の具体例としては、例えばLiFePO、LiCoPO、LiFe0.5Co0.5PO、LiMnPO、LiNiPO、LiMn0.5Fe0.5PO、LiCrPO、LiFeVO、LiFeSiO、LiFe(SO、LiFeBO、LiFePO3.90.2、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。これらの第一活物質中の原子又はポリアニオンは、他の原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。第一活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
第一活物質は、通常、粒子状である。第一活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。第一活物質は、表面が炭素材料で被覆されている粒子であることが好ましい。第一活物質は、炭素材料で被覆されている場合、粒子間の十分な電子伝導性を発揮することができる。炭素材料は、例えば炭素元素の含有量が80質量%以上100質量%以下の材料である。炭素材料における炭素元素の含有量は、90質量%以上であってもよく、95質量%であってもよい。炭素材料に含まれていてもよい炭素元素以外の元素としては、酸素元素、水素元素、窒素元素等が挙げられる。炭素材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素等が挙げられる。
第一活物質の平均粒径としては、0.5μm以上30μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましく、2μm以上15μm以下がさらに好ましく、5μm以上10μm以下がよりさらに好ましい。第一活物質が、その表面が炭素材料等で被覆されている粒子である場合、第一活物質の平均粒径は被覆された状態での値とする。
第一活物質等の粒子を所定の平均粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層に含まれる全ての正極活物質に対する第一活物質の含有量としては、75質量%以上99質量%以下が好ましく、85質量%以上98質量%以下がより好ましく、90質量%以上97質量%以下がさらに好ましく、92質量%以上96質量%以下がよりさらに好ましい。全ての正極活物質に対する第一活物質の含有量を上記範囲とすることで、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができるという効果が特に十分に奏される。
第二活物質は、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である。第二活物質は、ニッケル元素を含むことが好ましく、ニッケル元素、コバルト元素及びマンガン元素を含むこと、又はニッケル元素、コバルト元素及びアルミニウム元素を含むことがより好ましい。第二活物質としてこのようなリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、非水電解質蓄電素子の放電容量を大きくすること等ができる。
第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するニッケル元素の含有量は、モル比で0.3以上0.9以下が好ましく、0.4以上0.8以下がより好ましく、0.5以上0.7以下がさらに好ましい。第二活物質におけるニッケル元素の含有量が上記範囲である場合、非水電解質蓄電素子の深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率をより高めること、放電容量を大きくすること等ができる。
第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するコバルト元素の含有量は、モル比で0.05以上0.5以下が好ましく、0.1以上0.4以下がより好ましく、0.15以上0.3以下がさらに好ましい。
第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するマンガン元素の含有量は、モル比で0.05以上0.6以下が好ましく、0.1以上0.5以下がより好ましく、0.2以上0.4以下がさらに好ましい。
第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するアルミニウム元素の含有量は、モル比で0.005以上0.2以下が好ましく、0.01以上0.1以下がより好ましく、0.015以上0.05以下がさらに好ましく、0.02以上又は0.025以上がよりさらに好ましい場合もある。第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するアルミニウム元素の含有量は、モル比で0.02以下、0.01以下又は0.005以下がよりさらに好ましい場合もある。
第二活物質におけるリチウム元素以外の金属元素に対するリチウム元素の含有量は、モル比で0.95以上1.6以下が好ましく、1.0以上1.5以下がより好ましい。このモル比の上限は、1.4、1.2、1.1又は1.05がさらに好ましい場合がある。このモル比は実質的に1(例えば0.95以上1.05以下)であってもよい。
第二活物質は、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Li1+α 1-α ・・・(2)
式(2)中、MはNiを含む金属元素(Liを除く)である。0≦α<1である。
式(2)中のMは、Ni、Co及びMnを含む、又はNi、Co及びAlを含むことが好ましく、実質的にNi、Co及びMnの三元素、又は実質的にNi、Co及びAlの三元素から構成されていることがより好ましい。但し、Mは、その他の金属元素が含有されていてもよい。その他の金属元素は、遷移金属元素であってもよく、典型金属元素であってもよい。
放電容量及び容量維持率等の観点から、式(2)で表される化合物における各構成元素の好適な含有量(組成比)は以下の通りである。
式(2)中、Mに対するNiのモル比(Ni/M)の下限としては、0.3が好ましく、0.4がより好ましく、0.5がさらに好ましい。一方、このモル比(Ni/M)の上限としては、0.9が好ましく、0.8がより好ましく、0.7がさらに好ましい。
式(2)中、Mに対するCoのモル比(Co/M)の下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.15がさらに好ましい。一方、このモル比(Co/M)の上限としては、0.5が好ましく、0.4がより好ましく、0.3がさらに好ましい。
式(2)中、Mに対するMnのモル比(Mn/M)の下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.2がさらに好ましい。一方、このモル比(Mn/M)の上限としては、0.6が好ましく、0.5がより好ましく、0.4がさらに好ましい。
式(2)中、Mに対するAlのモル比(Al/M)の下限としては、0.005が好ましく、0.01、0.015、0.02又は0.025がより好ましい場合もある。一方、このモル比(Al/M)の上限としては、0.2が好ましく、0.1、0.05、0.02、0.01又は0.005がより好ましい場合もある。
式(2)中、Mに対するLiのモル比(Li/M)、即ち、(1+α)/(1-α)の上限としては、1.6が好ましく、1.5、1.4、1.2、1.1又は1.05がより好ましい場合もある。モル比(Li/M)の下限は、0.95が好ましく、1.0がより好ましい。モル比(Li/M)は1であってもよい。即ち、αは0であってもよい。
第二活物質としては、例えばLiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNiO等を挙げることができる。
第二活物質は、単粒子系粒子である。単粒子系粒子は、深い放電状態まで利用した場合も割れ等が生じ難いため、非水電解質蓄電素子における深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。
単粒子系粒子の一例として、実質的に凝集していない一次粒子A(一つの一次粒子が単独で存在している粒子)が挙げられる。
単粒子系粒子の他の一例として、一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径(平均二次粒子径)の比が5以下である二次粒子Bが挙げられる。この平均一次粒子径に対する平均粒径の比は、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。二次粒子Bの平均一次粒子径に対する平均粒径の比が上記上限以下であることにより、深い放電状態まで利用した場合も割れ等が生じ難い等といった単粒子系粒子の利点を十分に発揮することができる。二次粒子Bの平均一次粒子径に対する平均粒径の比の下限は、1であってもよい。なお、平均一次粒子径の測定方法と平均粒径(平均二次粒子径)の測定方法との違いから、二次粒子Bの平均一次粒子径に対する平均粒径の比の下限は、1未満、例えば0.9であってもよい。
単粒子系粒子である第二活物質は、一次粒子Aと二次粒子Bとが混合されてなるものであってもよい。
単粒子系粒子は、公知の方法により製造することができ、単粒子系粒子は、市販品を用いてもよい。例えば、第二活物質の製造工程において、焼成温度を高温にしたり焼成時間を長時間にしたりする等して、複数の一次粒子を成長させて粒子径を大きくすることで、単粒子系粒子を得ることが可能である。あるいは、二次粒子を解砕することにより単粒子系粒子とすることが可能である。
第二活物質の平均粒径としては、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上7μm以下がより好ましく、3μm以上5μm以下がさらに好ましい。第二活物質の平均粒径が上記範囲であることにより、非水電解質蓄電素子の出力性能を高めること等ができる。
第一活物質の平均粒径に対する第二活物質の平均粒径の比(第二活物質の平均粒径/第一活物質の平均粒径)としては、0.1以上0.8以下が好ましく、0.2以上0.7以下がより好ましく、0.3以上0.6以下がさらに好ましい。二種の活物質の平均粒径の比が上記範囲であることにより、第一活物質の粒子間の空隙に第二活物質が充填され易くなることで正極活物質層の密度が高まり、体積あたりの放電容量、エネルギー密度等を高めることができる。
第一活物質と第二活物質との合計含有量に対する第二活物質の含有量は、1質量%以上25質量%以下であり、2質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましく、4質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。第一活物質と第二活物質との合計含有量に対する第二活物質の含有量が上記下限以上であることにより、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を十分に抑制できる。第一活物質と第二活物質との合計含有量に対する第二活物質の含有量が上記上限以下であることにより、一般的に長寿命である第一活物質の含有量が多くなり、非水電解質蓄電素子における深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。
正極活物質層に含まれる全ての正極活物質に対する第二活物質の含有量としては、1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、4質量%以上8質量%以下がよりさらに好ましい。全ての正極活物質に対する第二活物質の含有量を上記範囲とすることで、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができるという効果が特に十分に奏される。
正極活物質層における第一活物質及び第二活物質の合計含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。第一活物質及び第二活物質の合計含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
正極活物質層は、第一活物質及び第二活物質以外の他の正極活物質をさらに含んでいてもよい。他の正極活物質としては、従来公知の各種正極活物質を用いることができる。但し、正極活物質層に含まれる全ての正極活物質に対する第一活物質及び第二活物質の合計含有量は、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。このように正極活物質を実質的に第一活物質と第二活物質とのみから構成することで、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制しつつ、深い放電状態に至る充放電サイクル後の容量維持率を高めることができるという効果が特に十分に奏される。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。増粘剤を使用する場合、正極活物質層における増粘剤の含有量は、例えば0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、5質量%以下又は1質量%以下とすることもできる。ここで開示される技術は、正極活物質層が増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。フィラーを使用する場合、正極活物質層におけるフィラーの含有量は、例えば0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、5質量%以下又は1質量%以下とすることもできる。ここで開示される技術は、正極活物質層がフィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を、正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
正極の作製は、例えば、正極基材への正極合剤ペーストの塗工及び乾燥により、正極活物質層を正極基材の少なくとも一方の面に沿って積層することにより行うことができる。正極合剤ペーストは、例えば、正極活物質層を構成する各成分と分散媒とを含む。正極合剤ペーストの塗工及び乾燥後、プレスを行うことが好ましい。プレスにより、密度の高い正極活物質層を得ることができる。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(正極)
当該非水電解質蓄電素子に備わる正極は、本発明の一実施形態に係る正極として上記したものを用いることができる。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましく、黒鉛がより好ましい。一般的に、負極活物質が黒鉛である場合、非水電解質蓄電素子の電圧平坦性が高まる。このため、負極活物質が黒鉛である形態である場合、非水電解質蓄電素子における満充電状態に至る直前での電圧の急上昇を抑制するという本発明の効果が特に有効に生じる。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質層は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、非水電解質蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃から25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の場合、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<蓄電装置>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも1つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された2つ以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、2つ以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、2つ以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、1つ以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
上述のように、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子においては、満充電状態に至る直前での電圧の急上昇が抑制されている。このため、蓄電ユニット又は蓄電装置に含まれる複数の非水電解質蓄電素子に対して本発明の技術を適用した場合、蓄電ユニットにおける非水電解質蓄電素子毎の充電状態の制御が容易になる。また、蓄電ユニット又は蓄電装置に含まれる複数の非水電解質蓄電素子に対して本発明の技術を適用した場合、蓄電ユニット又は蓄電装置全体も長寿命化し得る。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の正極及び非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(正極の作製)
第一活物質として、二次粒子であり、炭素材料に被覆されているLiFePO(平均粒径7.5μm)を準備した。第二活物質として、実質的に凝集していない一次粒子(単粒子系粒子)からなるLiNi0.5Co0.2Mn0.3(平均粒径3.5μm)を準備した。第一活物質と第二活物質とを95:5の混合比率(質量比)で混合し、正極活物質とした。
上記の正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び分散媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を用いて正極合剤ペーストを調製した。正極活物質とABとPVDFとの質量比率は固形分換算で90:5:5とした。この正極合剤ペーストを、正極基材であるアルミニウム箔に塗工し、乾燥し、ロールプレスすることにより正極活物質層を形成し、実施例1の正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質である黒鉛、バインダであるスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒である水を混合して負極合剤ペーストを調製した。黒鉛とSBRとCMCとの質量比率は固形分換算で96:3.3:0.7とした。この負極合剤ペーストを、負極基材である銅箔に塗工し、乾燥し、ロールプレスすることにより負極活物質層を形成し、負極を得た。
(非水電解質)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比率30:35:35で混合した溶媒に、1.1mol/dmの濃度でLiPFを溶解させて、非水電解質を得た。
(セパレータ)
セパレータには、ポリエチレン微多孔膜を用いた。
(非水電解質蓄電素子の組み立て)
上記正極、負極及びセパレータを積層し、電極体を作製した。得られた電極体を容器に収容し、次いで上記非水電解質を容器に注入した後封口することにより、実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
[実施例2から3、比較例1から3]
第二活物質として表1に記載の活物質を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2から3及び比較例1から3の各正極及び非水電解質蓄電素子を得た。
[比較例4]
正極活物質として第一活物質のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の正極及び非水電解質蓄電素子を得た。
[評価]
(容量確認試験)
実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子について、25℃の下、以下の要領にて初期の容量確認試験を行った。充電電流0.1C、充電終止電圧3.7Vとして定電流定電圧充電を行った。充電終止条件は、総充電時間が15時間となるまでとした。10分間の休止期間を設けた後、放電電流0.1C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行った。充電電圧が3.5Vから3.7Vまでの充電容量を表1に示す。また、実施例1と比較例4の充電曲線を図3に示す。
(充放電サイクル試験)
続いて、各非水電解質蓄電素子について、45℃の下、以下の要領にて充放電サイクル試験を行った。充電電流1.0C、充電終止電圧3.5Vとして定電流定電圧充電を行った。充電終止条件は、充電電流が0.2Cに減衰した時点とした。その後、放電電流0.1C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行った。充電後及び放電後にはそれぞれ10分間の休止期間を設けた。この充電及び放電を1サイクルとして、300サイクル実施した。本充放電サイクル試験は、SOCが実質的に0%となる深い放電状態に至る充放電サイクル試験である。
充放電サイクル試験後の各非水電解質蓄電素子について、25℃にて、上記容量確認試験の条件で放電容量を測定し、充放電サイクル後の放電容量とした。そして、初期の放電容量に対する充放電サイクル後の放電容量の百分率を容量維持率として求めた。得られた容量維持率を表1に示す。
Figure 2024001780000002
図3及び表1に示されるように、正極活物質が第一活物質のみである比較例4の非水電解質蓄電素子は、満充電状態に至る直前で電圧が急上昇し、充電電圧が3.5Vから3.7Vまでの充電容量は0mAhであった。これに対し、図3及び表1に示されるように、正極活物質が第一活物質と第二活物質とを含む実施例1の非水電解質蓄電素子は、満充電状態に至る直前でも電圧が比較的緩やかに上昇し、充電電圧が3.5Vから3.7Vまでの充電容量は28mAhであった。実施例1以外においても、表1に示されるように、正極活物質が第一活物質と第二活物質とを含む実施例2、3及び比較例1から3の各非水電解質蓄電素子は、充電電圧が3.5Vから3.7Vまでの範囲に適度な充電容量を有し、満充電状態に至る直前でも電圧が比較的緩やかに上昇することが確認された。しかし、第二活物質として平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5超の二次粒子を用いた比較例1から3の各非水電解質蓄電素子においては、深い放電状態に至る充放電サイクル試験後の容量維持率が低かった。これに対し、第二活物質として単粒子系粒子を用いた実施例1から3の各非水電解質蓄電素子においては、深い放電状態に至る充放電サイクル試験後の容量維持率が高かった。
なお、第二活物質を用いていない比較例4の非水電解質蓄電素子においては、深い放電状態に至る充放電サイクル試験後の容量維持率が高かった。この結果から、第一活物質と第二活物質とを併用する場合においても、第二活物質の量を比較的少量とすることで、深い放電状態に至る充放電サイクル試験後の容量維持率を高めることができることがわかる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質二次電池をはじめとした非水電解質蓄電素子等として好適に用いられる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (5)

  1. ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物である第一活物質と、
    α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である第二活物質と
    を含有し、
    上記第一活物質と上記第二活物質との合計含有量に対する上記第二活物質の含有量が、1質量%以上25質量%以下であり、
    上記第二活物質が、実質的に凝集していない一次粒子、及び一次粒子が凝集した二次粒子であって平均一次粒子径に対する平均粒径の比が5以下の二次粒子の少なくとも一方である非水電解質蓄電素子用の正極。
  2. 上記第一活物質の平均粒径に対する上記第二活物質の平均粒径の比が、0.8以下である請求項1に記載の正極。
  3. 上記第二活物質の平均粒径が、1μm以上10μm以下である請求項1又は請求項2に記載の正極。
  4. 上記第二活物質が、ニッケル元素を含む請求項1又は請求項2に記載の正極。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の正極を備える非水電解質蓄電素子。
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